説明

試料分析装置、試料分析方法および試料分析プログラム

【課題】試料面における応力の分布を、測定位置を限定することなく短時間で測定できるようにする。
【解決手段】本発明の試料分析装置1によれば、X線照射部10が試料12に対して平行X線束を照射する。そして、透過X線検出部14は、試料12を透過した透過X線を検出する。また、回折X線検出部15は、試料12で回折された回折X線を検出する。演算部16は、透過X線検出部14の検出結果から、試料12における回折位置を特定すると共に、回折X線検出部15の検出結果に基づいて、回折X線の回折角を判定する。さらに、演算部16は、回折角から応力を計算し、計算した応力を特定した回折位置の応力と判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料分析装置、試料分析方法および試料分析プログラムに関し、特に試料の応力を測定するための試料分析装置、試料分析方法および試料分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI(Large Scale Integration)の小型化、薄型化が急速に進んでいる。このような小型化、薄型化に伴い、LSIを封止材によって封止してLSIパッケージを製造した後に、素子不良が発生するという問題が顕著になっている。この素子不良は、封止材から受ける圧力によってLSIに用いられる半導体基板に発生する応力や、この応力の影響による半導体基板の変形が一因となって発生する。そこで、LSIパッケージの品質向上を目的として、半導体基板の形状と基板面上の応力の分布とを評価したいという要求がある。
【0003】
ここで、LSIパッケージから半導体基板を取り出すと、半導体基板の応力は消失してその形状も変化する。したがって、半導体基板をLSIパッケージに封入した状態における形状や応力の分布を測定する場合、LSIパッケージから半導体基板を取り出すことなく測定を行う必要がある。
【0004】
このように、非破壊で試料の形状や応力の分布を測定するために、X線断層撮影法(X線CT(Computed Tomography)法)やX線応力測定法が一般に用いられている。
X線CT法では、試料にX線を照射し、試料内部でのX線の吸収効果による透過X線の強度の変化を測定して、試料の透過像を取得する。この透過像を、試料の全方位に対して取得し、取得した透過像の画像再構成を行って試料の断層像を求める。このような形状の測定方法として、試料を構成する物質ごとのX線吸収の特性を利用し、試料内の特定の物質の高精度な断層像を測定する方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、X線応力測定法では、試料の結晶構造が応力によって受ける影響が、試料で回折された回折X線の回折角に表れることを利用する。この方法では、回折X線の強度がピークを示す回折角を測定して、その回折角の無応力状態からの変位によって応力を測定する。上記の応力の測定方法として、集中法によって試料からの回折X線を検出し、その回折角を求めて、得られた回折角に基づいた計算により試料の応力を求める方法が知られている。集中法では、試料の測定点を通る焦点円上に、X線源または、照射X線の幅を決めるスリットを配置する。さらに、X線検出器を上記焦点円上に設置して、試料に対する照射X線の入射角と、回折X線の検出角とが等しくなるようにX線源またはスリットとX線検出器とが配置される。このような配置とすることで、試料の予め決められた測定点に対して高精度なX線の回折データを取得することが可能となる(例えば、特許文献2,3参照)。
【特許文献1】特開平5−340894号公報
【特許文献2】特開平11−258186号公報
【特許文献3】特開2007−114220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献2,3に記載の方法では、測定位置の特定のため、X線が照射される領域は試料面の予め指定した一点に絞る必要がある。なぜなら、試料の測定面に対して、広範囲に一度にX線を照射して回折X線を測定すると、応力の分布が一様でない場合に、測定面上の各点で生じる回折X線の回折角の違いから、その回折位置を特定することができないためである。このため、試料面における応力の分布を得るためには、試料または照射X線のうちのどちらか一方を走査して、試料面の一点ずつの応力測定を繰り返し行う必要があり、非常に多くの測定時間が必要になるという課題がある。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の方法は、X線を照射する領域を試料面の測定対象となる面領域として測定を行うのに対して、上記特許文献2,3に記載の方法では、X線を照射する領域を試料の一点に絞って測定を行う。このように使用するX線束の照射面積の違いによって、応力の分布の測定を形状の測定と同時に行うことができない。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、短時間で試料面における応力の分布の測定を行うことが可能な試料分析装置、試料分析方法および試料分析プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような試料分析装置が提供される。本発明の試料分析装置1は、X線を用いて、試料12を分析する。試料分析装置1は、X線照射部10、透過X線検出部14、回折X線検出部15および演算部16を有する。X線照射部10は、試料12に対してX線束を照射する。透過X線検出部14は、試料12を透過した透過X線を検出する。回折X線検出部15は、試料12で回折された回折X線を検出する。演算部16は、透過X線検出部14の検出結果に基づいて試料12における回折位置を特定すると共に、回折X線検出部15の検出結果に基づいて、X線の照射方向に対する回折X線の回折角を特定して、回折角から回折位置の応力を算出する。
【0010】
このような試料分析装置1によれば、X線照射部10によって、試料12に対してX線束が照射される。そして、透過X線検出部14によって試料12を透過した透過X線が検出され、回折X線検出部15によって試料12で回折した回折X線が検出される。さらに、演算部16により、透過X線検出部14の検出結果に基づいて試料12における回折位置が特定されると共に、回折X線検出部15の検出結果に基づいて、X線の照射方向に対する回折X線の回折角が特定され、この回折角から回折位置の応力が算出される。
【0011】
また、上記課題を解決するために、X線を用いて試料を分析する試料分析方法において、試料に対してX線束を照射し、試料を透過した透過X線を検出すると共に、試料で回折された回折X線を検出し、透過X線の検出結果に基づいて試料における回折位置を特定すると共に、回折X線の検出結果に基づいてX線の照射方向に対する回折X線の回折角を特定して、回折角から回折位置の応力を算出する、ことを特徴とする試料分析方法が提供される。
【0012】
このような試料分析方法によれば、試料に対して、X線束が照射される。そして、試料を透過した透過X線が検出されると共に、試料で回折された回折X線が検出される。さらに、透過X線の検出結果に基づいて試料における回折位置が特定され、回折X線の検出結果に基づいてX線の照射方向に対する回折X線の回折角が特定されて、回折角から回折位置の応力が算出される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、試料に対してX線を照射したときに得られるデータに基づいて試料を分析する試料分析プログラムにおいて、コンピュータを、試料に対してX線束が照射されたときの、試料を透過した透過X線の検出データと試料で回折された回折X線の検出データとを取得するデータ取得手段、データ取得手段が取得した透過X線の検出データに基づいて試料における回折位置を特定すると共に、データ取得手段が取得した回折X線の検出データに基づいて、X線の照射方向に対する回折X線の回折角を特定して、回折角から回折位置の応力を算出する応力計算手段、として機能させることを特徴とする試料分析プログラムが提供される。
【0014】
このような試料分析プログラムをコンピュータで実行させた場合、データ取得手段により、試料に対してX線束が照射されたときの、試料により回折された回折X線の検出データと試料を透過した透過X線の検出データとが取得される。そして、応力計算手段により、データ取得手段が取得した透過X線の検出データに基づいて試料における回折位置が特定されると共に、データ取得手段が取得した回折X線の検出データに基づいて、X線の照射方向に対する回折X線の回折角が特定されて、回折角から回折位置の応力が算出される。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、試料に対してX線束を照射し、試料で回折されたX線と試料を透過したX線とを共に検出する。そして、透過X線の検出結果により、回折X線の回折位置を特定するようにした。これによって、X線の照射範囲を絞らずに、試料の広範囲に対してX線を照射しても、計算した応力がどの位置の応力かを特定することができ、測定時間を大幅に短縮することができる。また、応力の測定にあたって、試料に対して広範囲にX線束を照射して透過X線の検出を行うため、X線CT法等を用いた形状の測定を並行して行うことも可能となる。よって、形状の測定を合わせて行う場合、本発明は特に有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、試料分析装置の要部構成を説明する図である。
本発明の試料分析装置1は、LSIパッケージ内に封止された半導体基板である試料12を回転走査してX線を照射し、試料12を分析する。試料分析装置1は、X線照射部10、試料回転台13、透過X線検出部14、回折X線検出部15、演算部16および制御部17を有する。
【0017】
X線照射部10は、試料12の分析対象領域に対して互いに平行なX線束(図1の照射X線11)を照射する。
X線照射部10は、X線源10a、モノクロメータ10b、4象限スリット10cおよびソーラースリット10dを有する。
【0018】
X線源10aは、連続X線の発生源である。X線源10aとしては、例えばX線管球、回転対陰極が用いられる。
モノクロメータ10bは、X線源10aによって放射されたX線を単色化する。
【0019】
4象限スリット10cは、モノクロメータ10bによって単色化されたX線を任意の断面積に成形するスリットの上下方向および左右方向の開口軸である開口2軸と、上記X線を取り出す位置を任意に決定するためにスリット位置を上下方向および左右方向に移動させる並進2軸を有する。また、4象限スリット10cは、各開口部が独立に並進動作が可能である並進4軸を備えて、X線を任意の断面積に成形し、同時にX線の取り出し位置を任意に決定するようにしてもよい。
【0020】
ソーラースリット10dは、4象限スリット10cからのX線を、試料12への照射方向に対して平行な成分のみを抽出して、平行X線とする。
試料回転台13は、試料12を支持する。試料回転台13は、照射X線11に対する位置調整を行う機構を有する。また、試料回転台13は、試料12に対する照射X線11の入射角を、試料回転台13が有する照射X線11と垂直な回転軸によって変化または固定させる。ここで、以下では試料回転台13による試料12の回転角をωと表すこととする。
【0021】
透過X線検出部14は、試料12を透過した透過X線の強度とその検出位置とを測定可能な2次元検出器である。透過X線検出部14として用いられる検出器としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)がある。
【0022】
回折X線検出部15は、試料12で回折された回折X線の強度とその検出位置とを測定可能な1次元または2次元検出器である。回折X線検出部15として用いられる検出器としては、例えばPSPC(Position Sensitive Proportional Counter)がある。ここで、測定する試料12や照射X線11のエネルギーを様々に変更することを想定し、それに伴う回折X線の回折角の変化に対応できるように、回折X線検出部15は、回転台に載置されている。そして、測定対象とする回折X線の回折角に応じて、その回折X線が回折X線検出部15の測定範囲内に収まるように、上記回転台によって回転され、固定される。
【0023】
演算部16は、透過X線検出部14の検出結果に基づいて、試料12のいわゆる透過像を取得する。また、演算部16は、回折X線検出部15の検出結果に基づいて、回折X線のいわゆる回折像を取得する。そして、演算部16は、取得した透過像と回折像とに基づいて、試料12における応力の分布を計算する。さらに、演算部16は、必要に応じて、透過像を用いてX線CT法などにより、試料12の形状を測定する。
【0024】
制御部17は、透過X線の検出結果を演算部16より取得して試料回転台13を操作し、試料12の照射X線11に対する位置を調整する。
図2は、試料回転台に固定された座標系を示す図である。
【0025】
図2では、試料12の測定面に対して照射X線11が平行に入射する配置(試料の回転角ω=0°)を表している。このとき、試料回転台13の座標系は、座標系21のように定義される。x軸は、照射X線11と直交する水平方向の座標軸である。y軸は、照射X線11に平行な座標軸である。z軸は、照射X線11と直交する鉛直方向の座標軸である。また、試料回転台13は、位置調整および試料回転用の軸を有しており、その回転軸系は回転軸系22のように定義される。Rz軸は、上記z軸回りの回転軸である。Rx軸は、上記x軸回りの回転軸である。Ry軸は、上記y軸回りの回転軸である。座標系21と回転軸系22とは、試料回転台13の回転中心にその原点が設定される。x軸、y軸、Rx軸およびRy軸は、Rz軸回転と共に回転する。
【0026】
ここで、試料回転台13は、上記のx軸、y軸、z軸に沿って並進移動させることが可能であり、さらにRx軸、Ry軸回りの回転を可能とすることで、試料12の照射X線11に対する設置位置を調整することができる。また、試料回転台13は、Rz軸回転により、試料12の回転角ωを自由に変更することで、試料12に対する照射X線11の入射角を自由に変更することができる。
【0027】
図3は、試料の回転角ωと回折X線検出部の設置角2φとを示す図である。
回転角ωは、図3に示されるように、X線照射方向からの試料12の回転角度の変位を表す。
【0028】
また、回折X線検出部15は、図3に示されるように、測定対象とする回折X線が回折X線検出部15の測定範囲内で測定できるように、回折X線検出部15が載置された回転台によって回転され、固定される。この回転台の回転軸は、試料回転台13の回転軸Rzの位置と同じ位置に設けられている。設置角2φは、図3に示されるように、回折X線検出部15の中心と上記回転台の回転中心とを結ぶ直線が、X線照射方向となす角である。
【0029】
ここで、演算部16は、回折X線検出部15が、試料12の試料中央(z軸上)からの回折X線を検出したときに、その回折像の検出位置の情報と2φから、演算部16が回折X線の回折角2θを特定できるよう設定されている。試料中央からずれた位置からの回折X線の回折角は、回折像のみでは特定することができないが、演算部16は、回折像を特定するために同時に取得した透過像を利用する。すなわち、演算部16は、試料12の試料中央からずれた箇所からの回折X線に関しても、回折像と共に検出した透過像に基づいて、その試料12面上の回折位置と試料中央位置とから回折像の検出位置の情報を補正することで、正しく回折角2θを特定することができる。
【0030】
図4は、試料の結晶格子面に対するX線の入射角θと回折角2θとを示す図である。
図4に示されるように、試料12のある結晶格子面12aに対して、ブラッグ角θでX線が入射する場合、図示の回折角2θでX線が回折される。試料面法線12bは、試料12のX線が照射される面に対する法線である。格子面法線12cは、結晶格子面12aに対する法線である。ここで、試料面法線と格子面法線のなす角をψとし、結晶格子面12aからの回折X線が発生したときの試料回転角をωψと表すこととすると、ωψ=θ+ψである。試料に応力が発生している場合、応力によって結晶格子面の間隔が広げられたり狭められたりするため、ブラッグ条件を満たすブラッグ角θが変化する。これによって、回折角2θも変化し、この2θを測定することで、応力を計算することができる。
【0031】
次に、試料分析装置1を用いての試料分析の手順をフローチャートを用いて説明する。
図5は、試料の形状と応力の分布との測定の手順を説明するフローチャートである。
以下、図5に示す手順をステップ番号に沿って説明する。
【0032】
[ステップS1]制御部17は、照射X線11に対する試料12の位置調整を行う。試料位置の調整は、試料回転台13が有する調整機構を用いる。
[ステップS2]回転軸Rzによる試料12の回転角が0°から180°まで、以下のステップS3〜S8の手順を繰り返す。回転角180°での測定が完了したら、手順がステップS9に移される。
【0033】
[ステップS3]X線照射部10は、試料12にX線を照射する。そして、透過X線検出部14は、透過X線の検出を行う。同時に、回折X線検出部15は、回折X線の検出を行う。透過X線の検出と回折X線の検出は、別々に行われても構わないが、同時に行われることが望ましい。ここで、1つの回転角ωにおける検出時間は、0.1秒〜100秒程度である。透過X線の検出結果と回折X線の検出結果とは、演算部16に転送される。そして、演算部16は、透過X線の検出結果から透過像を取得し、回折X線の検出結果から回折像を取得する。
【0034】
[ステップS4]演算部16は、上記ステップS3において、回折X線が検出されたか否かを判定する。検出された場合、手順がステップS5に移される。検出されなかった場合、手順がステップS8に移される。
【0035】
[ステップS5]演算部16は、透過像を参照して、試料12面上の回折位置を特定する。
[ステップS6]演算部16は、回折X線像とステップS5で特定された回折位置とに基づいて、回折X線の回折角を特定する。
【0036】
[ステップS7]演算部16は、ステップS3で得られた透過像を、X線CT法による画像再構成では不使用とすることを表す付加情報を透過像に付与する。
[ステップS8]試料回転台13は、回転軸Rzでさらに試料12を回転する。ここで、一度に回転させる角度は、0.1°〜10°程度である。ただし、応力を測定する回転角の近傍(±5°程度)では、より細かくデータを取得するために、一度に回転させる角度を0.0001°〜0.01°程度とする。
【0037】
[ステップS9]演算部16は、試料12面上における応力の分布を出力装置(図1の構成では図示していない)に出力する。また、演算部16は、上記ステップS7の手順によって画像再構成で不使用とすることを表す付加情報が付与されている透過像を除いて、X線CT法による画像再構成を行う。そして、演算部16は、画像再構成の結果得られた断層像を出力装置に出力する。
【0038】
このように、演算部16は、透過X線検出部14の検出結果と回折X線検出部15の検出結果とを取得する。X線は、物体を透過する性質をもつが、透過の際には物体内部での吸収効果によりエネルギーを失い、強度が減少する。この強度の減少量は、透過した物質および物体の厚みによって異なる。このため、試料12の場合、LSIパッケージに利用される封止材のみを透過したX線と封止材および試料12を透過したX線とでは、透過X線の強度が異なって検出される。また、X線の回折が起こった場合には、照射X線の一部が試料12を透過せずに、回折角の分だけ経路が曲げられるため、透過X線の強度は減少する。すなわち、回折が発生した箇所と回折が発生していない箇所とにおいても、透過像において透過X線の強度の差が現れる。演算部16は、このような強度の差を反映した試料12の透過像を取得する。
【0039】
そして、演算部16は、透過像と回折像とに基づいて、回折X線の試料12面上における回折位置を透過X線の強度減少により特定する。さらに、演算部16は、回折像に基づいて、その検出位置の情報を回折X線の回折角2θに対応させて変換し、特定した回折位置の応力を計算することができる。これによって、応力の測定にあたって試料12の広範囲にX線を照射することが可能となり、一度の試料回転走査によって試料12面上の応力の分布を測定することができるので、測定時間を大幅に短縮できる。
【0040】
また、本実施の形態では、上記のように応力の測定にあたって、透過像を取得しているためX線CT法を用いた形状の測定も合わせて行うことができる。X線CT法にあたっては、上記の説明で示したように、回折X線が発生した回転角における透過像を除いて画像再構成を行うことが可能である。回折X線が発生すると、特に試料12がLSIで使用されるシリコン(Si)基板などの完全結晶に近い物質である場合、X線の回折の効果が顕著であるため、透過X線の強度が大きく減少する。このような場合、検出された透過像は、試料12内部での吸収の効果を反映した透過像とならず、画像再構成における正しい入力とはなり得ない。したがって、本実施の形態に示したように、回折X線が発生した回転角における透過像を除いて画像再構成を行うことが好ましい。
【0041】
なお、図5の手順では、回折X線が発生した試料の回転角における透過像を除いて画像再構成を行うこととしたが、より正確に断層像を得るために、回折X線が発生した回転角ωに対して、ω前後の微少角Δωだけ変位させた回転角で取得したデータに基づいて、除いた透過像を補完してもよい。すなわち、回転角がω−Δωおよびω+Δωにおける透過像を平均化して回転角ωの透過像を生成する。これによってX線CT法への入力データを補完し、高精度の断層像を得ることができる。ここで、微少角Δωは、ωに加減して回折X線の発生を確実に抑えることができる最小の角度として、測定する物質ごとに予め値が決められる。このようなΔωは、例えば、Siの場合では、0.1°が好ましい。
【0042】
次に、試料分析装置1を用いての試料位置の調整方法を模式図を用いて説明する。
図6は、透過像による試料の位置調整の方法を示した第1の模式図である。
図6における透過像31〜34は、全て試料12の回転角ωを0°とした場合の透過像である。
【0043】
まず、透過像31のように、初期設置の状態では、試料12は照射X線11に対して左方向に傾いているものとする。透過像31における画像領域31aは、封止材も試料12も透過せずに、照射X線11が透過X線検出器14に直接照射された領域である。画像領域31b、31cは、封止材を透過したX線を検出した領域であり、X線の強度が大きい領域である。ただし、画像領域31bは、照射X線11に対して傾いていることによる封止材の輪郭のぼやけを表している。画像領域31d、31eは、試料12を透過したX線を検出した領域であり、試料12での吸収の効果が封止材よりも大きいために、画像領域31b、31cの領域よりもX線の強度が小さいことを表している。ただし、画像領域31dは、照射X線11に対して傾いていることによる試料12の輪郭のぼやけである。
【0044】
透過像32は、位置調整における透過像31の次の段階を示している。制御部17は、回転軸Rzによる回転によって、左右方向の輪郭のぼやけを解消する。
透過像33は、位置調整における透過像32の次の段階を示している。制御部17は、透過像32の状態から回転軸Ryによる回転を行って、照射X線11に対する試料12の方向を決定する。
【0045】
透過像34は、位置調整における透過像33の次の段階を示している。制御部17は、試料回転台13が有するx軸方向およびz軸方向の調整機構により、照射X線11に対する試料12の配置を決定する。
【0046】
図7は、透過像による試料の位置調整の方法を示した第2の模式図である。
図7における透過像35,36は、図6で示した位置調整に引き続き、試料12の回転角ωを90°とした場合の透過像である。
【0047】
透過像35は、透過像34の状態から回転軸Rzの回転によってωを90°にした直後の透過像である。
透過像36は、位置調整における透過像35の次の段階を示している。制御部17は、試料回転台13が有する回転軸Rxにより回転を行い、さらに、試料回転台13が有するy軸方向の調整機構により、照射X線11に対する試料12の配置を決定する。
【0048】
このように、演算部16は、応力の測定にあたって試料12の広範囲に対してX線を照射可能な装置を用いて、試料12の透過像も取得している。制御部17は、その透過像に基づいて、試料12全体の透過像を確認しながら、その設置位置の調整を自動で行うことができる。ここで、照射X線11に対する試料12の設置位置を定義するデータが制御部17に予め設定される。これによって、試料位置の調整を透過像に基づいた判定によって、容易にかつ短時間で行うことができる。なお、位置の調整は、透過像を確認しながらオペレータが制御部17を直接操作することで行うようにしてもよい。さらに、上記の説明では、位置調整のために参照する像として、試料12の透過像のみを示したが、試料12の形状が複雑である場合は、X線CT法による試料12の断層像に基づいて位置を調整するようにしてもよい。
【0049】
次に、上記の位置調整後における、試料分析装置1を用いての透過像および回折像の検出を模式図を用いて説明する。
図8は、透過像と回折像との検出結果を表す第1の模式図である。
【0050】
図8では、試料回転台13の回転角ωを0°とした場合の透過像40と回折像41を表している。このとき、透過像40のように、試料12または封止材によるX線の吸収の効果を反映した透過像を得ることができる。回折像41には、回折X線が発生しないため回折X線による像は現れない。
【0051】
図9は、透過像と回折像との検出結果を表す第2の模式図である。
図9では、試料回転台13の回転角ωを45°とした場合の透過像42と回折像43を表している。この場合においても、回折像43には、回折X線が発生しないため回折X線による像は現れない。透過像42には、試料12を45°回転させたときの透過像が現れる。透過像42では、透過像40では現れなかった封止材および試料12の輪郭のぼやけが現れる。
【0052】
図10は、透過像と回折像との検出結果を表す第3の模式図である。
図10では、試料回転台13の回転角ωを、試料12でX線の回折が発生する回転角ωψとした場合の透過像44と回折像45とを表している。この場合、透過像44は、試料12表面で回折が発生した箇所だけ透過X線の強度が著しく小さく検出される。一方、回折像45には、試料12からの回折像が検出される。ここで、図10に示す回折X線は、試料12の面上の応力が各点において等しいために、試料12の面上から一様に発生している様子を表している。
【0053】
図11は、透過像と回折像との検出結果を表す第4の模式図である。
図11では、試料回転台13の回転角ωを90°とした場合の透過像46と回折像47を表している。この場合においても、回折像47には、回折X線が発生しないため回折X線による像は現れない。
【0054】
図12は、透過像と回折像との検出結果を表す第5の模式図である。
図12では、試料回転台13の回転角ωが、試料12でX線の回折が発生する回転角ωψとした場合の透過像48と回折像49とを表している。図12では、透過X線を表す矢印は省略してある。図10にも同様に回折X線の発生の様子を表したが、図12では、回折X線の発生する領域が試料12のある点に限られている。
【0055】
図12のX線経路1,2で示すように、回折像49のみから回折X線の試料12面上における回折位置を特定しようとすると、試料12面上のあらゆる点が回折位置としての候補となるため、どの位置でX線が回折されたのかを特定することができない。ここで、演算部16により同時に取得された透過像48では、試料12で回折が発生した箇所だけ透過X線の強度が他の箇所よりも減少して検出される。この減少量は、半導体基板に使用されるSiなどの完全結晶に近い物質ほど大きく、その差は顕著である。そのため、演算部16は、回折X線の試料12面上のおける回折位置を、透過像48の強度が著しく小さい箇所と特定することができる。すなわち、演算部16は、図12においては、X線経路1が実際の経路であったと特定する。さらに、演算部16は、特定した回折位置と回折像とに基づいて回折X線の回折角を計算し、特定した回折位置における応力を計算する。このように、試料12の一度の試料回転走査によって、試料12面上の応力の分布を計算することができるため、従来のように試料回転走査を繰り返し行って測定する場合に比べて、測定時間を大幅に短縮することができる。
【0056】
以下に、具体的な応力分布の測定例を説明する。
測定に用いる試料12は、LSIパッケージに封止されたSi基板とし、基板面に対する垂直方向をSi(1,0,0)の格子面法線の方向とする。そして、応力の無い状態において、格子面間隔d(=0.209036(Å))が同じ値であるSi(25,5,5)とSi(15,15,15)とに注目して回折X線を測定し、応力を計算する。
【0057】
図13は、試料における格子面法線および応力を表す模式図である。
Si(1,0,0)の格子面法線とSi(0,1,1)の格子面法線とを含む面は、試料面50に対して垂直である。そして、Si(1,0,0)の格子面法線とSi(0,1,1)の格子面法線とを含む面に、Si(25,5,5)の格子面法線とSi(15,15,15)の格子面法線とが含まれる。測定においては、図13の試料面50に対してX線が照射される。照射するX線のエネルギーとしては、封止された試料12の透過像および回折像を検出するために最適なエネルギーが選択される。そして、回転角ωを変化させることで、X線の入射角度を変化させて測定を行う。なお、Si(1,0,0)の格子面法線とSi(25,5,5)の格子面法線とのなす角をψ1で表すものとし、Si(1,0,0)の格子面法線とSi(15,15,15)の格子面法線とのなす角をψ2で表すものとする。
【0058】
ここで、単純化のため、求める応力を図13に示すようにSi(0,1,1)に平行な成分とし、試料面の直交する2方位であるSi(0,1,1)とSi(0,−1,1)における応力σの大きさは等しいものとすると、以下の式により、回折位置における応力を求めることができる。
【0059】
【数1】

【0060】
ここで、s11およびs12は、弾性コンプライアンス定数であり、θ0は、応力の無い場合のブラッグ角である。ここで、s11=7.681(MPa-1)、s12=−2.137(MPa-1)である。また、照射X線11のエネルギーを31(keV)とする。このとき、応力の無い状態における回折角2θ0は、2θ0=146.1255°である。回折X線検出部15は、この2θ0前後の回折角を検出可能な位置に配置される。
【0061】
測定では、回転角ωを変化させることによって、Si(25,5,5)に対して、回折角2θ1とωψ1とを取得する。ここで、ψ1は、Si(1,0,0)の格子面法線とSi(25,5,5)の格子面法線とのなす角であるから、ψ1=15.7932°であり、θ0=73.0628°であることから、ωψ1は図4における関係から、ψ1+θ0≒88°近傍であることが予測できる。すなわち、回転角ωが88°近傍において、Si(25,5,5)からの回折X線を検出することができる。したがって、ω=88°近傍においては、ωの変位を細かく取って測定を行い2θ1とωψ1とを取得する。また、同様に回転角ωを変化させることによって、Si(15,15,15)に対して、回折角2θ2とωψ2とを取得する。ここで、ψ2は、Si(1,0,0)の格子面法線とSi(15,15,15)の格子面法線とのなす角であるから、ψ2=54.7356°であり、θ0=73.0628°であることから、ωψ2はψ2+θ0≒127°近傍であることが予測できる。すなわち、回転角ωが127°近傍において、Si(15,15,15)からの回折X線を検出することができる。したがって、ω=127°近傍においては、ωの変位を細かく取って測定を行い2θ2とωψ2とを取得する。
【0062】
ここで、材料力学の理論においては、材料に応力が作用しているときに2θとsin2ψとは比例関係にあることが知られており、両者をグラフ上にプロットするとある直線上の点となる。したがって、試料面50上の一点に関して、2つ以上の互いに異なるψに関して2θを測定し、上記プロットを行って、その勾配∂(2θ)/∂(sin2ψ)を最小2乗法などによって求めれば、応力σを計算することができる。なお、ψ1、ψ2としては、ψ1=ωψ1−θ1、ψ2=ωψ2−θ2の関係式から測定結果に基づいた値を求める。
【0063】
図14は、回折像の検出結果を表すグラフである。
回折像60は、Si基板のSi(25,5,5)に関する回折像を表している。回折像61は、Si(15,15,15)に関する回折像を表している。
【0064】
これらの回折像の回折X線検出部15における検出位置から、演算部16は、角度分布62を取得する。角度分布62は、横軸に回折角2θ(deg.)、縦軸にX線強度(a.u.)が示されている。演算部16は、角度分布62により回折X線の回折角2θを取得し、θとこのときの試料回転台13の回転角ωψからψを計算する。そして、演算部16は、2θをsin2ψに対してグラフ上にプロットする。
【0065】
図15は、2θをsin2ψに対してプロットした結果を表すグラフである。
グラフ80には、横軸にsin2ψ、縦軸に回折角2θ(deg.)が示されている。また、各結晶格子面に関するデータをプロットし、さらに2点を結ぶ直線を求めている。この直線の勾配が、式(1)における∂(2θ)/∂(sin2ψ)であり、式(1)より応力を求めることができる。
【0066】
演算部16は、応力の分布を計算するために測定されたデータを演算部16が保持する応力データテーブルに書き込む。
図16は、応力データテーブルを示す図である。
【0067】
応力データテーブル70は、試料座標(X,Z)を示す項目、回折1〜n(2θ,ω)を示す項目、応力(σ)を示す項目を有する。各項目の横方向に並べられた情報同士が互いに関連付けられて、1つの点に関する応力の情報を構成する。
【0068】
試料座標(X,Z)を示す項目には、試料12面上に固定された座標系における座標値が格納される。ここで、この座標値は、演算部16によって、透過X線検出部14における透過像の検出座標が変換されて求められる。ここで、試料座標Xとは、試料12面上における水平方向の座標軸上の座標である。また、試料座標Zとは、試料12面上における鉛直方向の座標軸上の座標である。
【0069】
回折1〜n(2θ,ω)を示す項目には、2θに回折X線の回折角を、ωに回折X線が発生したときの試料12の回転角が格納される。ここでは、2つの結晶格子に関して回折X線の測定を行って応力を求めているため、回折1,2を示す項目のみに測定値が格納されているが、3つ以上の結晶格子に関してデータを取得して、応力の計算に用いてもよい。
【0070】
応力(σ)を示す項目には、式(1)を用いて計算された応力の値が格納される。
このように、回折X線を検出するごとに、透過像によって特定された回折位置の試料座標、回折角および試料回転角を関連付けながら測定することで、一度の試料回転走査によって応力の分布を短時間で測定することができる。
【0071】
また、応力の分布の測定と共に、透過像によって試料12の形状の測定も行うことができ、両方を測定したい場合には、特に有効である。さらに、X線CT法による画像再構成によって、断層像を測定したい場合に、回折X線の発生時の透過像を使用しない、または、補正を行うことでより高精度の断層像を測定することができる。
【0072】
なお、上記の実施の形態においては、試料12をLSIパッケージ内に封止されたSi基板としたが、LSIパッケージ封止材以外の封止材で封止されていても構わない。また、試料12としてSi以外の結晶を用いても構わない。また、照射するX線のエネルギーとして、31(keV)を選択したが、試料12からの回折X線ピークを検出することができれば、その他のエネルギーのX線を用いても構わない。
【0073】
なお、上述した演算部16および制御部17の処理機能は、コンピュータによっても実現できるが、その場合、各処理内容を記述した試料分析プログラムが提供される。ここで、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)を有する。このようなコンピュータで、上記試料分析プログラムを実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。この場合、CPUは、透過X線の検出結果と回折X線の検出結果とに基づいて、形状や応力の計算を実行する。そして、CPUは、取得した検出結果のデータや計算の結果得られたX線CT法による断層像、応力データテーブル70をRAMやHDDなどの記録媒体に格納する。また、処理内容を記述した試料評価プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどが挙げられる。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などが挙げられる。光磁気記録媒体には、MO(Magneto - Optical disk)などがある。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】試料分析装置の要部構成を説明する図である。
【図2】試料回転台に固定された座標系を示す図である。
【図3】試料の回転角ωと回折X線検出部の設置角2φを示す図である。
【図4】試料の結晶格子面に対するX線の入射角θと回折角2θとを示す図である。
【図5】試料の形状と応力の分布との測定の手順を説明するフローチャートである。
【図6】透過像による試料の位置調整の方法を示した第1の模式図である。
【図7】透過像による試料の位置調整の方法を示した第2の模式図である。
【図8】透過像と回折像との検出結果を表す第1の模式図である。
【図9】透過像と回折像との検出結果を表す第2の模式図である。
【図10】透過像と回折像との検出結果を表す第3の模式図である。
【図11】透過像と回折像との検出結果を表す第4の模式図である。
【図12】透過像と回折像との検出結果を表す第5の模式図である。
【図13】試料における格子面法線および応力を表す模式図である。
【図14】回折像の検出結果を表すグラフである。
【図15】2θをsin2ψに対してプロットした結果を表すグラフである。
【図16】応力データテーブルを示す図である。
【符号の説明】
【0075】
1 試料分析装置
10 X線照射部
10a X線源
10b モノクロメータ
10c 4象限スリット
10d ソーラースリット
11 照射X線
12 試料
13 試料回転台
14 透過X線検出部
15 回折X線検出部
16 演算部
17 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を用いて試料を分析する試料分析装置において、
前記試料に対してX線束を照射するX線照射部と、
前記試料を透過した透過X線を検出する透過X線検出部と、
前記試料で回折された回折X線を検出する回折X線検出部と、
前記透過X線検出部の検出結果に基づいて前記試料における回折位置を特定すると共に、前記回折X線検出部の検出結果に基づいてX線の照射方向に対する前記回折X線の回折角を特定して、前記回折角から前記回折位置の応力を算出する演算部と、
を有することを特徴とする試料分析装置。
【請求項2】
前記透過X線検出部は、前記試料に対するX線の入射角を変化させたときの各入射角における透過X線を検出し、
前記回折X線検出部は、前記試料に対するX線の入射角を変化させたときの各入射角における回折X線を検出し、
前記演算部は、前記透過X線検出部の検出結果のうち前記回折X線が検出された入射角における検出結果を除外した検出結果に基づいて、前記試料の形状を計算する、
ことを特徴とする請求項1記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記回折X線が検出された入射角から前後に所定角度だけ離れた入射角における前記透過X線検出部の各検出結果に基づいて、除外した検出結果を補完する、
ことを特徴とする請求項2記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記試料を保持する試料台と、
前記透過X線検出部の検出結果に基づいて、前記試料台を操作して試料位置を移動させる制御部とを更に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項5】
前記試料を保持して回転させる試料台を更に有しており、
前記演算部は、前記試料台の回転中心と前記回折位置との距離を計算し、計算した距離に基づいて前記回折X線検出部の検出結果を補正して前記回折角を特定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項6】
X線を用いて試料を分析する試料分析方法において、
前記試料に対してX線束を照射し、
前記試料を透過した透過X線を検出すると共に、前記試料で回折された回折X線を検出し、
前記透過X線の検出結果に基づいて前記試料における回折位置を特定すると共に、前記回折X線の検出結果に基づいてX線の照射方向に対する前記回折X線の回折角を特定して、前記回折角から前記回折位置の応力を算出する、
ことを特徴とする試料分析方法。
【請求項7】
試料に対してX線を照射したときに得られるデータに基づいて前記試料を分析する試料分析プログラムにおいて、
コンピュータを、
前記試料に対してX線束が照射されたときの、前記試料を透過した透過X線の検出データと前記試料で回折された回折X線の検出データとを取得するデータ取得手段、
前記データ取得手段が取得した前記透過X線の検出データに基づいて前記試料における回折位置を特定すると共に、前記データ取得手段が取得した前記回折X線の検出データに基づいて、X線の照射方向に対する前記回折X線の回折角を特定して、前記回折角から前記回折位置の応力を算出する応力計算手段、
として機能させることを特徴とする試料分析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−97937(P2009−97937A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268566(P2007−268566)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】