説明

試料片採取方法、翼の温度推定方法

【課題】部材を極力損傷させることなく、部材表面から試料片を採取可能な試料片採取方法を提供する。
【解決手段】試料片採取方法は、翼10(11)の表面114aから試料片20を採取する方法であり、、円筒状の刃202を備える超音波カッタ200を翼10(11)の表面114aから基材100の表面100aまで送って切削することで、円筒状の切り込み121を形成する。円盤状の刃222を備える回転カッタ220により円筒状の切り込み121から内側に向けて切削することで、切り込み121の内側にある部分20aを切り取り、これが試料片となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に層が設けられた部材から試料片を採取する試料片採取方法に関し、特に、ガスタービンに用いられる翼の表面にから試料片を採取する試料片採取方法と、翼の温度推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品の耐熱性を向上させるために、基材の表面に遮熱コーティングを施すことが従来から知られており、例えば、ガスタービンにおいては、タービンを構成する動翼や静翼の表面に遮熱コーティング(Thermal Barrier Coating)を施すことが知られている。
【0003】
遮熱コーティングにより部品表面に構成された部材(以下、遮熱コートと記す)は、一般的に、トップコートと呼ばれる最外層と、ボンドコートと呼ばれるトップコートと基材を接合する層の2つの層で構成されている。ガスタービン用の遮熱コートの場合、トップコートには、低熱伝導性のセラミックが用いられ、ボンドコートには、耐酸化性に優れた合金が用いられている。
【0004】
このような遮熱コートは長時間高温にさらされると、ボンドコートのうちトップコートに接する側に、トップコートからの熱を受けて酸化した酸化物(Thermally Grown Oxide、以下、酸化スケール層と記す)が生じることがある。酸化スケール層は、トップコートに接する部分に生じ、熱的負荷の増大につれて体積膨張する。酸化スケール層が膨張して厚みを増すと、酸化スケール層がトップコートを押し上げてしまい、トップコートに割れ等が生じ、場合によっては、トップコートが基材及びボンドコートから剥離することがある。
【0005】
このような遮熱コートに生じる剥離を事前に察知するために、遮熱コートの損傷の度合い、すなわち劣化状態を評価する手法が求められており、下記の特許文献1に記載の技術では、球体を衝突させる等、遮熱コートに衝撃力を与えることで、遮熱コートを破壊し、剥離等の破壊の状況から遮熱コートの劣化状態を把握している。
【0006】
【特許文献1】特開2002−277383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の技術は、遮熱コートに強い衝撃力を与えて、遮熱コートの組織を壊してしまうものであるため、遮熱コートを光学的に観察して劣化状態を把握するには適していない。
【0008】
また、酸化スケール層は、厚くても20μmと極めて薄いものであり、単純な組成の酸化物ではないため、非破壊的な手法により、遮熱コートの酸化スケール層の状態を正確に把握することも困難である。
【0009】
特に、ガスタービン用の翼に設けられている翼の遮熱コートの劣化状態を評価する場合、翼を切断するなどして、遮熱コートと部品とを共に破壊していた。このため、遮熱コートの評価を行うごとに、破壊した部品に替えて、新たな部品を備え付ける必要があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、部材を極力損傷させることなく、部材表面から試料片を採取可能な試料片採取方法と、翼を破壊することなくガスタービン用の翼の温度を推定可能な翼の温度推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係る試料片採取方法は、表面に層が設けられた部材から試料片を採取する試料片採取方法であって、筒状の刃を備える筒状カッタを表面から厚さ方向に送って切削することで、筒状の切り込みを形成する切込形成工程と、筒状の切り込みから内側に向けて切削することで、切り込みの内側に構成される試料片を切り取る試料片切取工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る試料片採取方法において、筒状の切り込みを形成した後に、切り込みを外側に拡げるよう部材を切削する切込拡大工程を含むものとすることができ、試料片切取工程は、円盤状の刃を備える回転カッタを、筒状の切り込み内に挿入して切削するものとすることができる。
【0013】
本発明に係る試料片採取方法において、部材は、ガスタービン用の翼であるものとすることができ、翼は、基材上に遮熱コートの層が設けられて表面が構成されるものとすることができ、切込形成工程において、筒状カッタは、基材に接するまで送られるものすることができ、試料片切取工程において、回転カッタは、基材を切削するものとすることができる。
【0014】
本発明に係る試料片採取方法において、切込形成工程において、複数の筒状の切り込みを一部重複させて形成するものとすることができる。
【0015】
本発明に係る翼の温度推定方法は、前記試料片採取方法で得られた試料片を用いて、基材上にボンドコートとトップコートが順次形成された翼の温度を推定する方法において、翼と同じ組成の供試体に基づいて、翼の酸化スケール層の厚さと温度,時間との関係を求めた後、この関係を利用して、実機から得られた試料片の酸化スケール層の厚みから翼の温度を推定するものとすることもできる。
【0016】
また、本発明に係る翼の温度推定方法は、前記試料片採取方法で得られた試料片を用いて、基材上にセラミック層であるトップコートが形成された翼の温度を推定する方法において、得られた試料片から、トップコートに生成される単斜晶の量をX線回折法により測定し、この単斜晶の量に基づいてトップコートの表面温度を推定するものとすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る試料片採取方法によれば、筒状の刃を備える筒状カッタにより筒状の切り込みを形成する切込形成工程と、筒状の切り込みから内側に向けて切削することで試料片を切り取る試料片切取工程とを含むものとしたので、試料片を採取する際に部材に衝撃力を極力与えることなく、部材の表面から試料片を得ることができる。部材の正確な光学的観が可能となる。
【0018】
本発明に係る試料片採取方法において、筒状の切り込みを形成した後に、切り込みを外側に拡げるよう部材を切削する切込拡大工程を含むものとすることで、筒状カッタによる内径と外径の差が小さく、切り込みの内縁と外縁との間の距離が小さなものであっても、回転カッタを極力、部材表面に対して鋭角に挿入することができる。この結果、切り取られる試料片を極力薄いものとすることができ、試料片が切り取られた後に部材に形成される凹みを極力浅いものとすることができる。
【0019】
本発明に係る試料片採取方法において、部材は、ガスタービン用の翼であるものとし、翼は、表面に遮熱コートの層が設けられて表面が構成されているものとし、切込形成工程において、筒状カッタは、基材に接するまで送られ、試料片切取工程において、回転カッタは、基材を切削するものとすることで、ガスタービンの翼の遮熱コートの試料片を、損傷の少ない形で採取することができる。これにより、ガスタービンの翼を破壊して交換することなく、酸化スケール層の評価を行って、翼の劣化状態を評価することが可能となる。
【0020】
本発明に係る試料片採取方法において、複数の筒状の切り込みを一部重複させて形成するものとすることで、得られる試料片の面積に対する、複数の切り込みから外側に拡げる領域の面積割合を、切り込みを一つ形成する場合に比べて小さなものとすることができる。これにより、切り込みを外側に拡げるという面倒な工程を最小限に抑制しつつ、複数の試料片を得ることができる。
【0021】
本発明に係る翼の温度推定方法は、翼と同じ組成の供試体に基づいて、翼の酸化スケール層の厚さと温度,時間との関係を求めた後、この関係を利用して、実機から得られた試料片の酸化スケール層の厚みから翼の温度を推定することで、翼を極力損傷させることなく、翼の温度を推定することができる。試料を得るために、翼を交換する必要がないため、低コストで翼の劣化状態を評価することができる。
【0022】
また、本発明に係る翼の温度推定方法は、前記試料片採取方法から得られた試料片から、トップコートに生成される単斜晶の量をX線回折法により測定し、この単斜晶の量に基づいてトップコートの表面温度を推定することで、翼を極力損傷させることなく、翼の温度を推定することができる。試料を得るために、翼を交換する必要がないため、低コストで翼の劣化状態を評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0024】
本実施例に係る遮熱コート試料片の採取方法が適用されるガスタービンと、そのタービンの翼に設けられた遮熱コートについて図1〜図3−2を用いて説明する。図1は、ガスタービンの全体構成を示す縦断面図である。図2は、翼の断面図である。図3−1は、翼に設けられている遮熱コートの一例を示す図であり、図3−2は、遮熱コート内に酸化スケール層が生成された状態を示す図である。なお、図1及び図2には、本発明に関連する要部のみを模式的に示している。また、図3は、図2に二点鎖線Bで囲う部位の拡大図となっている。
【0025】
図1に示すように、本実施例に係るガスタービン1は、産業用のものであり、空気の流れの上流側から下流側に向かって空気取入口2、圧縮機3、燃焼器4及びタービン5が設けられている。空気取入口2から取り込まれた空気は圧縮機3によって圧縮され、高温・高圧の圧縮空気となって燃焼器10に供給する。燃焼器4は、圧縮空気に天然ガス等の気体燃料、或いは軽油や重油等の液体燃料を供給して燃料を燃焼させて、高温・高圧の燃焼ガスを生成する。燃焼器4で生じた高温・高圧の燃焼ガスは、タービン5に供給される。
【0026】
タービン5には、静翼10及び動翼11が交互に配列されている。タービン5は、燃焼器4から供給される燃焼ガスのエネルギを、静翼10と動翼11によって回転トルクに変換している。燃焼ガスからタービン5が受けた機械的動力のうち一部は、圧縮機3の駆動に用いられ、残りは、発電等に供される。なお、「翼」とは、動翼又は静翼を意味している。
【0027】
図2に示すように、本実施例に係る翼10(11)は、その断面の全周に亘って、基材100の表面100a上に遮熱コート110の層が設けられている。遮熱コート110は、基材100の表面100aに対して、蒸着や溶射を行うことで設けられる。翼10(11)に遮熱コート110を設けることで、基材100の温度(メタル温度)を、翼10(11)に接する燃焼ガスの温度(例えば、1500℃)に比べて低いものとすることができる。
【0028】
図3−1に示すように、本実施例に係る遮熱コート110は、翼10(11)の外表面を構成する最外層であるトップコート114と、トップコート114と基材100を結合する金属結合層であるボンドコート112を有している。ボンドコート112の材質には、耐酸化性に優れたMCrAlY(M:Ni,Co,Fe等)の合金が用いられている。この合金を低圧プラズマ溶射等により基材100上に施工することで、ボンドコート112が形成されている。一方、トップコート114の材質には、ジルコニア系のセラミックが用いられる。このセラミックを大気圧プラズマ溶射や電子ビーム物理蒸着法によりボンドコート112上に施工することで、トップコート114が形成されている。
【0029】
トップコート114は、内部に多数の気孔を有するなどして、遮熱性を有している。トップコート114は、その表面114aに触れる燃焼ガスの温度に比べて基材100の温度を低減させている。ボンドコート112は、トップコート114と基材100を結合すると共に、トップコート114内に入り込んだ燃焼ガスやその熱により基材100が酸化することを防止している。なお、トップコート114の表面114aが、翼10(11)の表面となっている。
【0030】
以上のように構成されたガスタービン1が長時間運転されると、動翼10及び静翼11の遮熱コート110においては、ボンドコート112とトップコート114との境界に隣接してボンドコート112に、図3−2に示すように、酸化物である酸化スケール層112sが生じる。酸化スケール層112sは、熱的負荷を受けるにしたがって、その領域が大きくなる(成長する)。これにより、トップコート114が基材100から離れる側に押し上げられて、トップコート114に割れが生じ、場合によっては、トップコート114が剥離する場合がある。
【0031】
このような遮熱コート110における酸化スケール層112sの生成状態を把握するために、本実施例では、円筒状の刃(切削部)を備える超音波カッタを利用してガスタービンの翼の表面から遮熱コートの試料片を採取しており、以下、図4〜図7を用いて、遮熱コートの試料片の採取方法を説明する。図4は、超音波カッタの円筒状の刃を示す斜視図である。図5−1〜図5−5は、試料片を採取する各工程における加工内容を説明する図である。図6は、試料採取中の遮熱コートの上面図である。図7は、超音波カッタにより翼の表面に形成される切り込みの他の態様を示す図である。
【0032】
なお、図5−1には、加工前の状態を示し、図5−2は、遮熱コート110に円筒状の切り込みを入れた状態を示し、図5−3には、円筒状の切り込みの周囲をグラインダで切削している状態を示し、図5−4には、円盤状の刃を有する回転カッタにより、試料片の下にある基材100を切削する状態を示し、図5−5には、基材100から試料片が切り離された状態を示している。
【0033】
図4に示すように、本実施例で用いる超音波カッタ200は、刃202が細かく振動することで加工対象部材を切削するものである。超音波カッタ200の刃202は、円筒状を呈しており、その直径Dは3〜5mmとなっている。この超音波カッタ200は、刃202を遮熱コート110に押し付けることで、遮熱コート110に円筒状の切り込みを形成することが可能となっている。また、超音波カッタ200は、刃202の送り、すなわち刃202のトップコート114から基材100に向かう方向への移動(図中、矢印Aで示す)の距離を把握できるように構成されている。
【0034】
図5−1に示すように、まず、遮熱コート110の上から円筒状の刃202を垂直に突き立て振動させてトップコート114の切削を開始する。そして、トップコート114及びボンドコート112を切削しながら、図に矢印Aで示すように、基材100に向けて、遮熱コート110の厚さ分だけ、刃202を送る。
【0035】
なお、超音波カッタ200の刃202の振動周波数は、1kHz〜50kHzのものが用いられる。振動周波数を大きくするに従って、切削速度すなわち刃の送り速度も大きくすることができるが、50kHz以上では、切削速度が大きすぎて、トップコート114に損傷を与えてしまう。一方、1kHz以下では、トップコート114の切削速度が、後述する標準条件の100分の1以下となり、著しく低下してしまう。本実施例の標準的な条件では、刃の振動周波数が25kHzに設定されていると共に、刃の送り速度が0.5mm/minに設定されている。
【0036】
また、超音波カッタ200の砥粒には、カーボランダム(SiC)が用いられ、その粒度は、粒度#240〜#1000、すなわち砥粒の直径約60μm〜16μmのものが用いられている。本実施例の標準的な条件では、粒度は#400すなわち砥粒の直径約30μmに設定されている。なお、砥粒の粒度が#240より小さい即ち砥粒の粒径が大きいと、切削速度が速くなるが、切断面に損傷が生じ易く、#1000より大きい即ち砥粒の粒径が小さくなると切削速度が著しく低下する。
【0037】
そして、図5−2に示すように、超音波カッタ200の刃202が基材100と遮熱コート110の境界である基材表面100aに接するまで切削する(切込形成工程)。これにより、図6に示すように、遮熱コート110に円筒状の切り込み121を形成することができる。遮熱コート110のうち、この円筒状の切り込み121に囲まれた部位が、後述する試料片20となる。すなわち切り込み121の内縁120が試料片20の縁となる。
【0038】
そして、図5−3に示すように、切り込み121の外側にある遮熱コート110を、後の工程において円盤状の刃222(切削部)を有する回転カッタ220が挿入できるように、グラインダ等により除去する。詳細には、図6に示すように、切り込み121の外縁122に隣接する遮熱コート110を、外縁122から基材100の表面100aに沿う方向に所定の距離の離れた縁130まで切削することで、切り込み121を拡大する(切込拡大工程)。縁130は、切削前のトップコート114の表面114aと連続することとなる。つまり、切り込み121の外縁122から所定の距離をあけた縁130までは、外縁122から縁130に向けて離れるに従って、基材100表面100aからトップコート114表面114aに向かうように皿状に切削されている。このように、切り込み121の外縁122に隣接する領域133の遮熱コート110を切削することで、切り込み121を外側に皿状に拡げている。
【0039】
そして、図5−4に示すように、後に試料片20となる部分20aのうちボンドコート112より基材100側が、極薄の円盤状の刃222(切削部)を備える回転カッタ220により切削される。
【0040】
回転カッタ220は、ダイヤモンドの砥粒が円盤に電着されて、円盤状の刃222が構成されているものである。回転カッタ220は、円盤状の刃222を回転させることで、加工対象部材のうち刃222に接する部位を切削することが可能となっている。回転カッタ220の刃222は、厚さTが0.05〜0.4mmのものが用いられる。本実施例において、回転カッタ220の刃の厚さTは、0.2mmのものを用いている。なお、刃の厚さが0.05mm未満のものを用いると、切削中に刃222が撓んでしまう。一方、刃222の厚さが0.4mmを超えるものを用いると、「切削しろ」が大きく、基材100を大きく削ることとなってしまうため好ましくない。また、回転カッタ220の円盤状の刃222の外径は、超音波カッタ200の円筒状の刃202の内径D2に比べて十分大きいものが用いられている。
【0041】
回転カッタ220は、試料片20となる部分20aのうちボンドコート112を削らないように、刃先223が挿入される。加えて、回転カッタ220は、ボンドコート112の下にある基材100を極力削らないよう、なるべく円盤の表面222aと基材100の表面100aが、小さな角度をなすように挿入される。
【0042】
そして、回転カッタ220により、円筒状の切り込み121の内縁120から全周に亘って、試料片20となる部分20aから内側に向けて基材100を切削することで、図5−5に示すように、翼10(11)から試料片20が切り取られる(試料片切取工程)。このようにして、本実施例では、超音波カッタ200の筒状の刃202の内径に応じた試料片20を採取することができる。得られた試料片20は、遮熱コート110の劣化状態の評価に供される。なお、「内側」とは、切り込み121から、試料片となる部分20aの中心に向かう方向、すなわち円筒状の切り込み121の径方向内向きを意味している。
【0043】
試料片20を採取する際に、試料片20のトップコート114及びボンドコート112と共に基材100の一部110cが切り取られてしまい。基材100には、この痕跡である凹み100eが形成されてしまう。しかし、この凹み100eの基材表面100aからの深さBが、0.5mm程度であれば、凹み100eの上に遮熱コート110を再び形成することで、凹み100eを有する翼10(11)を、そのままガスタービン1のタービン5の翼10(11)として用いることができる。
【0044】
以上に説明したように本実施例では、筒状の刃202を備える超音波カッタ200により遮熱コート110の表面114aから基材100の表面まで、円筒状の切り込み121を形成する工程と、円盤状の刃222を備える回転カッタ220により、円筒状の切り込み121から内側に向けて切削することで、試料片20を切り取る工程とを有している。このため、採取する際に遮熱コート110に衝撃力を極力与えてしまうことがなく、翼10(11)から遮熱コート110を含む試料片20を得ることができる。これにより、翼10(11)設けられた遮熱コート110のボンドコート112に生じている酸化スケール層112sの厚さの計測など、酸化スケール層112sの正確な光学的観察が可能となる。この結果、ガスタービン1において、タービン5の翼10(11)を交換することなく、遮熱コート110の劣化状態の評価を行うことができる。
【0045】
また、本実施例では、超音波カッタ200により切り込み121を形成した後、切り込み121の外側にある遮熱コート110を全周に亘って切削することで切り込み121を拡げてから、回転カッタ220により切り込み121から内側に向けて切削するものとした。切り込み121を外側に拡げてから、切り込み121に回転カッタ220を挿入するため、超音波カッタ200による内径D2と外径D1の差が小さく、切り込み121の内縁120と外縁122との間の距離が小さなものであっても、回転カッタ220を極力、基材100表面に対して鋭角に挿入することができる。この結果、試料片20において遮熱コート110と共に切り取られる基材100を極力薄いものとすることができ、試料片20が切り取られた後に基材100に形成される凹み100eを極力浅いものとすることができる。
【0046】
なお、本実施例において、超音波カッタ200による筒状の切り込み121は、円形のものが1つ形成されるものとしたが、切り込み121の態様は、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、複数の切り込み121c,121fを一部重複させて形成することも好適である。このように切り込み121c,121fを重ねることで、得られる試料片(20c,20e,20f)の面積に対する、切り込み121c,121fから外側に拡げる領域135の面積の割合を、切り込み121を一つ形成する場合に比べて小さなものとすることができる。これにより、切り込み121を外側に拡げるという他の工程に比べて面倒な工程を最小限のものとしつつ、複数の試料片20c,20e,20fを得ることができる。
【実施例2】
【0047】
本実施例に係る遮熱コートの試料片の採取方法について、図5−2、図5−3、及び図8−1〜図9−3を用いて説明する。図8−1は、放電ワイヤカット装置の正面図である。図8−2は、放電ワイヤカット装置の側面図である。図9−1〜図9−3は、放電ワイヤカット装置の動作を説明する図であり、図9−1は、電極が遮熱コートに形成された切り込みに入り込む状態を示す図である。図9−2は、電極が放電により切削を行いながら基材表面に沿って移動している状態を示す図である。図9−3は、電極が切削を終えて切り込みから抜け出す状態を示す図である。本実施例は、回転カッタに替えて放電ワイヤカット装置を用いて、遮熱コートの試料片を切り取る点で、実施例1とは異なり、以下に詳細を説明する。なお、ガスタービン、翼、及び遮熱コートについては、実施例1と共通の構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
図8−1に示すように、放電ワイヤカット装置300は、コの字形のワイヤで構成されて放電により金属を切削可能な電極310と、この電極310を保持する電極ホルダ315を有している。電極310には、図示しない電源から電力が供給されており、電極310は、加工対象部材であり金属部材である翼10(11)との間に、放電を生じさせることで、翼10(11)を切削することが可能に構成されている。
【0049】
また、放電ワイヤカット装置300には、電極ホルダ315を回転駆動する回転軸330と、ステー325を介して回転軸330に結合されているスライド機構320と、ローラ340の動きを電極ホルダ315に伝達する回転軸330の回転を電極ホルダ315に伝達するステー325とを有している。回転軸330は、図示しないモータに結合されており、回転軸330の軸心Cを中心に回転駆動される。回転軸330の回転は、ステー325から後述するスライド機構320を介して電極ホルダ315に伝達される。これにより、電極310を回転軸330の周方向に回転駆動することが可能となっている。
【0050】
加えて、放電ワイヤカット装置300には、電極310及び電極ホルダ315の回転軸330の径方向にスライド移動を可能にするスライド機構320と、電極310の径方向に移動を規定する輪郭面(プロファイル面、351,352,353)が形成されているならい型350と、ならい型350の輪郭面351,352,353に沿って移動するローラ340と、ローラ340の回転軸330の径方向の移動を、電極ホルダ315及び電極310に伝達するロッドとを有している。
【0051】
ローラ340は、ロッド335に対して回転可能に支持されており、ならい型350の輪郭面(351,352,353)に沿って移動する。ロッド335は、図示しないスプリングにより、ローラ340を、回転軸330の径方向をならい型350の輪郭面(351,352,353)に向かう方向に付勢している。これにより、ローラ340は、ならい型350の輪郭面(351,352,353)に沿って移動することができ、ロッド335は、ならい型350の輪郭に応じて回転軸330の径方向に駆動される。ロッド335には、電極ホルダ315が結合されており、且つスライド機構320を介して、回転軸330に結合されている。これにより、回転軸330の回転と、ならい型350の輪郭面(351,352,353)により規定されるロッド335の、回転軸330の径方向へのスライド移動が統合されて、電極ホルダ315及び電極310に伝達される。
【0052】
このように構成された放電ワイヤカット装置300は、図8−2に示すように、ならい型350の輪郭面(351,352,353)の断面形状を回転軸330の軸心Cを中心とする円周形から変化させた分だけ、電極310が回転軸330の径方向にスライド移動することとなる。つまり、放電ワイヤカット装置300は、ならい型350の輪郭面(351,352,353)の断面形状を設定することで、回転軸330の軸心Cから電極310までの距離Eが電極310の回転角位置に応じた所望の値となるよう調整することができる。
【0053】
本実施例に係る遮熱コートの試料片採取方法では、実施例1と同様に、まず、図5−2に示すように、円筒状の刃202を備える超音波カッタ200により遮熱コート110から基材100まで円筒状の切り込み121を形成する(切込形成工程)。そして、図5−3に示すように、切り込み121の外縁より外側にある遮熱コート110を切削することで、切り込み121を外側に拡げる(切込拡大工程)。
【0054】
そして、切り込み121が形成された翼10(11)を、図9−1に示すように、放電ワイヤカット装置300にセットして、図示しないモータを制御して回転軸330を回転させると共に、電極310に電圧をかけて放電させる。ならい型350の輪郭面(351,352,353)のうち第1面351に沿ってローラ340が移動することで、電極310は、回転軸330の周方向に回転移動して、切り込み121内に入り込む。
【0055】
そして、ローラ340は、図9−2に示すように、輪郭面(351,352,353)のうち中央にある第2面352に沿って移動する。第2面352は、第1面351に比べて電極310を回転軸330の径方向をならい型350側にスライド移動させるよう凹み100eが形成されている。この第2面352は、これに沿ってローラ340が移動することで、回転軸330を中心としてローラ340の反対側に設けられている電極310が、基材100と遮熱コート110の基材表面100aに沿って平行に移動するよう、形状が設定されている。このように設定することで、電極310は、基材表面100aに沿って平行移動すると共に、遮熱コート110及び基材100との間で放電を生じさせることにより、基材表面100aに沿って切削する(試料片切取工程)。
【0056】
そして、ローラ340が、第2面352から第3面353に沿って移動することで、翼10(11)から試料片20が切り取られ、電極310は、切り込み121から抜け出る。このようにして、放電ワイヤカット装置300は、翼10(11)の表面から、遮熱コート110の試料片20を切り取ることができる。
【0057】
以上説明したように本実施例に係る遮熱コート110の試料片採取方法では、回転軸330のから電極310までの距離Eを電極310の回転角位置に応じた所望の値に調整可能な、放電ワイヤカット装置300により、筒状の切り込み121から内側に向けて切削して試料片20を切り取る工程を行うものとしたので、採取される遮熱コート110の試料片20を、基材100が極力含まれないものとすることができる。
【0058】
なお、本実施例において、放電ワイヤカット装置300は、ならい型350と、ならい型350の輪郭面(351,352,353)に沿って移動するローラ340と、ローラ340を回転可能に指示すると共に電極ホルダ315に結合されているローラ340を有するものとしたが、放電ワイヤカット装置300の態様は、これに限定されるものではない。回転軸330のから電極310までの距離Eを電極310の回転角位置に応じた所望の値に調整可能であれば良い。例えば、本実施例の放電ワイヤカット装置300に対して、ならい型350、ローラ340、ロッド335を廃止し、電極ホルダ315を保持するスライド機構320に替えて、制御装置により伸縮制御可能なアクチュエータで構成するものとして良い。
【実施例3】
【0059】
本実施例は、実施例1又は2に係る試料片の採取方法で得られた遮熱コートの試料片から、基材の温度である「メタル温度」を推定する方法であり、以下に詳細を説明する。なお、ガスタービン、翼、及び遮熱コートと共通の構成については、実施例1と共通の構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
本実施例に係るメタル温度推定方法は、基材100上にボンドコート112とトップコート114を順次形成した翼10(11)のメタル温度を推定する方法において、翼10(11)と同じ組成の供試体に基づいて、翼10(11)の酸化スケール層112sの厚さと温度,時間との関係を求めた後、この関係を利用して実機から得られた試料片20の酸化スケール層112sの厚みから翼10(11)のメタル温度を推定する。これにより、翼10(11)の基材100を極力損傷させることなく、トップコート114の剥離等の翼10(11)の劣化時期を予測することができ、翼10(11)の残存寿命を評価することができる。翼を交換する必要がないため、低コストで翼の劣化状態を評価することができる。
【0061】
また、本実施例に係るメタル温度推定方法は、基材100上にボンドコート112とトップコート114を順次形成した翼10(11)のメタル温度を推定する方法において、翼10(11)と同じ組成の供試体に基づいて、翼10(11)の表面側に形成された析出物消失深さと温度,時間との関係を求めた後、この関係を利用して実機から得られた試料片20に形成されている析出物消失深さから翼10(11)のメタル温度を推定するものとすることができる。この方法によっても、トップコート114の剥離等の翼10(11)の劣化時期を予測することができ、翼10(11)の残存寿命を評価することができる。
【0062】
また、本実施例に係るメタル温度推定方法は、基材100上にボンドコート112を形成した翼10(11)のメタル温度を推定する方法において、翼10(11)と同じ組成の供試体に基づいて、翼10(11)の基材100表面に形成されている拡散層の厚さと温度,時間との関係を求めた後、この関係を利用して実機から得られた試料片20の拡散層の厚さから高温部品のメタル温度を推定するものとすることができる。この方法によっても、トップコート114の剥離等の翼10(11)の劣化時期を予測することができ、翼10(11)の残存寿命を評価することができる。
【0063】
また、本実施例に係るメタル温度推定方法は、基材100上にボンドコート112を形成した翼10(11)のメタル温度を推定する方法において、翼10(11)と同じ組成の供試体に基づいて、翼10(11)の基材100側に形成された析出物消失深さと温度,時間との関係を求めた後、この関係を利用して実機から得られた試料片20に形成されている析出物消失深さから高温部品のメタル温度を推定するものとすることができる。この方法によっても、トップコート114の剥離等の翼10(11)の劣化時期を予測することができ、翼10(11)の残存寿命を評価することができる。
【0064】
なお、本実施例に係るメタル温度推定方法の詳細は、本願出願人の特許第3794939号公報の第0001段落から第0028段落に記載されており、本実施例は、これら段落に対応して説明されている、図をも含むものとする。
【実施例4】
【0065】
本実施例に係る翼10(11)の温度推定方法は、実施例1又は2に係る試料片20の採取方法で得られた遮熱コート110の試料片20から、翼10(11)のトップコート114の温度を推定する方法であり、以下に詳細を説明する。なお、ガスタービン、翼10(11)、及び遮熱コート110の構成については、実施例1と共通の構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
本実施例に係る翼10(11)の温度推定方法は、基材100上にセラミック層であるトップコート114が形成された翼10(11)の温度を推定する方法において、得られた試料片20から、トップコート114に生成される単斜晶の量をX線回折法により測定し、この単斜晶の量に基づいてトップコート114の表面温度を推定する。これにより、非破壊的にトップコート114の表面温度を推定して、トップコート114の剥離等の翼10(11)の劣化時期を予測することができ、翼10(11)の残存寿命を評価することができる。翼を交換する必要がないため、低コストでトップコート114の状態を評価することができる。
【0067】
基材100上にトップコート114が形成された翼10(11)の温度を推定する方法において、得られた試料片20からトップコート114の深さ方向に沿う断面のミクロ組織を画像処理して膜状欠陥の面積率を求めることにより、この面積率に基づいてトップコート114の表面温度を推定する。この方法によっても、トップコート114の剥離等の翼10(11)の劣化時期を予測することができ、翼10(11)の残存寿命を評価することができる。
【0068】
基材100上にトップコート114が形成された翼10(11)の温度を推定する方法において、トップコート114の深さ方向に沿う断面の硬さを求め、この硬さに基づいてトップコート114の表面温度を推定する。この方法によっても、トップコート114の剥離等の翼10(11)の劣化時期を予測することができ、翼10(11)の残存寿命を評価することができる。
【0069】
なお、本実施例に係るメタル温度推定方法の詳細は、本願出願人の特許第3519703号公報の第0001段落から第0038段落に記載されており、本実施例は、これら段落を含むものとする。
【0070】
なお、上述の各実施例において、基材100上には、遮熱コート110として、耐酸化層であるボンドコート112と、セラミック層であるトップコート114が順次設けられているものとし、試料片20は、主にボンドコート112とトップコート114で構成されるものとしたが、遮熱コート110及び試料片20の構成は、これに限定されるものではない。例えば、基材の上に設けられたボンドコートと、翼の表面を構成するトップコートの間に、別途、耐酸化層を設ける構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本実施例に係る試料片の採取方法は、タービン用の翼に設けられた遮熱コートの劣化状態の評価に有用であり、特に、産業用ガスタービン用の翼の劣化状態の評価に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施例1に係るガスタービンの全体構成を示す縦断面図である。
【図2】実施例1に係る翼の断面図である。
【図3−1】実施例1に係る翼に設けられている遮熱コートの一例を示す図である。
【図3−2】実施例1に係る遮熱コート内に酸化スケール部が生成された状態を示す図である。
【図4】実施例1に係る超音波カッタの円筒状の刃を示す斜視図である。
【図5−1】実施例1に係る試料片を採取する各工程における加工内容を説明する図であり、加工前の状態を示す図である。
【図5−2】実施例1に係る試料片を採取する各工程における加工内容を説明する図であり、遮熱コートに円筒状の切り込みをいれた状態を示す図である。
【図5−3】実施例1に係る試料片を採取する各工程における加工内容を説明する図であり、円筒状の切り込みの周囲をグラインで切削している状態を示す図である。
【図5−4】実施例1に係る試料片を採取する各工程における加工内容を説明する図であり、円盤状の刃を有する回転カッタにより、試料片の下にある基材を切削する状態を示す図である。
【図5−5】実施例1に係る試料片を採取する各工程における加工内容を説明する図であり、基材から試料片が切り離された状態を示す図である。
【図6】実施例1に係る試料採取中の遮熱コートの上面図である。
【図7】超音波カッタにより翼に形成される切り込みの他の態様を示す図である。
【図8−1】実施例2に係る放電ワイヤカット装置の正面図である。
【図8−2】実施例2に係る放電ワイヤカット装置の側面図である。
【図9−1】実施例2に係る放電ワイヤカット装置の動作を説明する図であり、電極が遮熱コートに形成された切り込みに入り込む状態を示す図である。
【図9−2】実施例2に係る放電ワイヤカット装置の動作を説明する図であり、電極が切削を行いながら基材表面に沿って移動している状態を示す図である。
【図9−3】実施例2に係る放電ワイヤカット装置の動作を説明する図であり、電極が切削を終えて切り込みから抜け出す状態を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 ガスタービン
3 圧縮機
5 タービン
20 試料片
20c,20e,20f 試料片
100 基材
100a 基材の表面
110 遮熱コート
112 ボンドコート
112s 酸化スケール層
114 トップコート
114a 表面(翼の表面)
120 内縁
121 切り込み
122 外縁
200 超音波カッタ(筒状カッタ)
202 刃(筒状の刃)
220 回転カッタ
222 刃(円盤状の刃)
300 放電ワイヤカット装置(放電サンプリング装置)
310 電極
315 電極ホルダ
320 スライド機構
330 回転軸
340 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に層が設けられた部材から試料片を採取する試料片採取方法であって、
筒状の刃を備える筒状カッタを表面から厚さ方向に送って切削することで、筒状の切り込みを形成する切込形成工程と、
筒状の切り込みから内側に向けて切削することで、切り込みの内側に構成される試料片を切り取る試料片切取工程と、
を含むことを特徴とする試料片採取方法。
【請求項2】
請求項1に記載の試料片採取方法であって、
筒状の切り込みを形成した後に、切り込みを外側に拡げるよう部材を切削する切込拡大工程を含み、
試料片切取工程は、円盤状の刃を備える回転カッタを、筒状の切り込み内に挿入して切削することを特徴とする試料片採取方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の試料片採取方法であって、
部材は、ガスタービン用の翼であり、
翼は、基材上に遮熱コートの層が設けられて表面が構成されるものであり、
切込形成工程において、筒状カッタは、基材に接するまで送られ、
試料片切取工程において、回転カッタは、基材を切削する、
ことを特徴とする試料片採取方法。
【請求項4】
請求項2に記載の試料片採取方法であって、
切込形成工程において、複数の筒状の切り込みを一部重複させて形成することを特徴とする試料片採取方法。
【請求項5】
請求項4に記載の試料片採取方法で得られた試料片を用いて、基材上にボンドコートとトップコートが順次形成された翼の温度を推定する方法において、
翼と同じ組成の供試体に基づいて、翼の酸化スケール層の厚さと温度,時間との関係を求めた後、この関係を利用して、実機から得られた試料片の酸化スケール層の厚みから翼のメタル温度を推定することを特徴とする翼の温度推定方法。
【請求項6】
請求項4に記載の試料片採取方法で得られた試料片を用いて、基材上にセラミック層であるトップコートが形成された翼の温度を推定する方法において、得られた試料片から、トップコートに生成される単斜晶の量をX線回折法により測定し、この単斜晶の量に基づいてトップコートの表面温度を推定することを特徴とする翼の温度推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図9−3】
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【公開番号】特開2008−202986(P2008−202986A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36905(P2007−36905)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】