説明

認証装置、認証方法及び認証プログラム

【課題】再入力パスワードが入力された際の認証時間の短縮化を図ることができる認証装置を提供する。
【解決手段】予めパスワードを格納したデータベース15と、パスワードを入力するための入力部2と、入力部2で入力された入力パスワードを記憶する記憶部8と、パスワードと入力パスワードとが一致するかを認証する認証部16と、認証部16によってパスワードと入力パスワードとが不一致であると判定されて入力部2で再入力パスワードが入力された場合に、その再入力パスワードが認証部16で認証すべき定義に当てはまるか否かを判定する判定部9を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予めデータベースに格納されたパスワードと入力部で入力された入力パスワードとを比較する認証装置、認証方法及び認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ・モバイル機器・携帯電話等の電子機器や、玄関カードキーシステム・ATM・貸金庫等、様々な分野においてパスワードの入力を促す認証装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
このような認証装置では、パスワードと入力パスワードとが一致しなかった場合、入力部から再度のパスワードを入力させ、その再入力パスワードがパスワードと一致した場合に次の工程へと移行することができる。
【0004】
この際、ユーザは、モニタ等の表示部があったとしても、セキュリティの確保の観点から表示部には入力パスワードが表示されないことと相俟って、入力部でパスワードを最初に入力操作した際、その入力操作が間違っていたと勘違いして、最初に入力したパスワードと再入力したパスワードとを同一の文字や記号等で入力してしまうことがある。
【0005】
一方、パスワードを認証する認証サーバ等にあっては、パスワードが入力される度に、データベース等に格納されたパスワードと入力パスワードや再入力パスワードとの認証を行っている。
【特許文献1】特開2003−087477号公報
【特許文献1】特開2005−354550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、入力パスワードと再入力パスワードとは、その入力の度にデータベースに格納したパスワードと一致するかの認証を行うため、最初のパスワード認証と再度のパスワード認証とが略同一の認証時間を要してしまうという問題が生じていた。
【0007】
また、パスワードの設定には、システム上のセキュリティ確保の観点から、パスワード設定時の文字入力に関して必須条件を設定している場合がある。
【0008】
ユーザは、その必須条件に応じてパスワードを設定するため、複数のパスワードを所持・使い分けしなければならず、最初に入力したパスワードと再入力したパスワードとが全く異なるパスワードを入力する場合があるが、このような場合においても、その入力の度にデータベースに格納したパスワードと一致するかの認証を行うため、最初のパスワード認証と再度のパスワード認証とが略同一の認証時間を要してしまうという問題が生じていた。
【0009】
尚、上述した文字入力に関する必須条件としては、例えば、文字数(例えば、4桁や6文字以上等)、全半角(例えば、全て半角)、大小文字(例えば、英字は全て小文字)、英数字混在等がある。
【0010】
また、上述した認証時間は、特に、電気通信回線を利用したネットワークシステムにおいて、時間を要してしまう場合が多い。
【0011】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、再入力パスワードが入力された際の認証時間の短縮化を図ることができる認証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の認証装置は、予めパスワードを格納したデータベースと、前記パスワードを入力するための入力部と、該入力部で入力された入力パスワードを記憶する記憶部と、前記パスワードと前記入力パスワードとが一致するかを認証する認証部と、を備えた認証装置において、前記認証部によって前記パスワードと前記入力パスワードとが不一致であると判定されて前記入力部で再入力パスワードが入力された場合に、該再入力パスワードが前記認証部で認証すべき定義に当てはまるか否かを判定する判定部を備えていることを特徴とする。
【0013】
この際、前記判定部は、前記入力パスワードと前記再入力パスワードとが一致している場合には、前記認証部で認証すべき定義に当てはまらないと判定することができる。
【0014】
また、前記判定部は、パスワード設定時の文字入力に関する必須条件として文字数・全半角・大小文字・英数字混在の少なくとも一つが条件設定されている際、前記再入力パスワードが前記必須条件を満たさない場合には、前記認証部で認証すべき定義に当てはまらないと判定することができる。
【0015】
さらに、前記判定部と前記認証部とは、電気通信回線を通じてネットワーク接続されていても良い。
【0016】
また、本発明の認証方法は、入力部で入力された入力パスワードを記憶する記憶ステップと、予めデータベースに格納されたパスワードと前記入力パスワードとが一致するかを認証する認証ステップと、前記パスワードと前記入力パスワードとが不一致であると判定されて前記入力部で再入力パスワードが入力された場合に、該再入力パスワードが前記認証部で認証すべき定義に当てはまるか否かを判定する判定ステップと、含むことを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に記載の各ステップをコンピュータに実行させるための認証プログラムとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の認証装置は、再入力パスワードが入力された際の認証時間の短縮化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る認証装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態に係る認証装置の一例のブロック図、図2は本発明の一実施形態に係る認証装置の認証ルーチンのフロー図である。
【0021】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る認証装置は、電気通信回線を利用したネットワーク回線NTを介して接続されたホスト端末1と認証サーバ11とを備えている。
【0022】
ホスト端末1は、テンキー等のパスワードを入力するための入力部2と、本発明に係わる認証プログラムを格納したROM3と、パスワードを入力するまでの時間を計時するタイマ4と、磁気記録部やICチップ等に記憶された利用者情報を読み取るカードリーダ5と、ROM3に格納された認証プログラムに基づいて再入力パスワード認証処理制御を行う制御回路部(CPU)6と、パスワードの入力や再入力、或いは、パスワード認証結果等を表示或いは鳴動により報知する報知部7と、入力部2で入力された入力パスワードを一時的に記憶するRAM等の記憶部8と、入力部2で入力された再入力パスワードを判定する判定部9と、ネットワーク回線NTと接続するためのインターフェース部10とを備えている。
【0023】
尚、タイマ4は、認証装置の種類等によって必要に応じて設けることができる。また、タイマ4は、パスワードが所定時間経過しても入力されない場合に認証を中止する際や、記憶部8に記憶されたパスワードを所定時間経過後に削除する際に用いられる。これにより、例えば、パスワード変更した際に、変更前のパスワードが残って認定・判定時に古いパスワードに基づいて認定・判定を行うことが無いように設定されている。
【0024】
カードリーダ5は、例えば、カードキーシステム・会員制電子機器(複合機等)・ATM等の場合に、カードキー・会員証・社員証・クレジットカード・キャッシュカード等に付帯の磁気記録部やICチップ等に記憶された利用者情報(ユーザ名等)を読み取る際に利用される。従って、これらのシステム以外で認証装置を利用する場合には、カードリーダ5は無くても良い。
【0025】
認証サーバ11は、ネットワーク回線NTと接続するためのインターフェース部12と、通常の(公知の)認証プログラムを格納したROM13と、ROM13に格納された認証プログラムに基づいて入力パスワード認証処理制御を行う制御回路部(CPU)14と、利用者情報(必要な場合)とその利用者情報と対応付けしたパスワードとを格納したデータベース15と、入力部2で入力された入力パスワードとデータベース15に格納されたパスワードとを比較する認証部16とを備えている。
【0026】
ROM13には、データベース15に格納するパスワードに対して、必要に応じて(例えば、セキュリティレベル)文字入力に関する必須条件を設定することができる。尚、この必須条件としては、文字数・全半角・大小文字・英数字混在等が想定される。また、この必須条件は、最初の入力パスワードの判定結果が不一致である場合に、ネットワーク回線NTを通じて、その判定結果と共にホスト端末1に送信され、記憶部8に一時的に格納される。
【0027】
認証部16は、入力部2で入力された最初の入力パスワードとデータベース15に格納されたパスワードとを比較し、その判定結果(一致・不一致)をホスト端末1に返送する。また、認証部16は、入力部2で入力された最初の入力パスワードが不一致であると判定した後に、ホスト端末1から送信された再入力パスワードとデータベース15に格納されたパスワードとを比較し、その判定結果(一致・不一致)をホスト端末1に返送する。
【0028】
一方、判定部9は、認証部16によって入力パスワードが不一致であると判定された場合に、入力部2から再入力された再入力パスワードが認証部16で認証すべき定義に当てはまるか否かを判定する。これにより、パスワードが入力される度に認証部16を経由する必要が無く、簡素なパスワード認証とする分だけ再認証時間の短縮化を図ることができる。
【0029】
次に、図2に基づいて、本発明の認証システム例を説明する。尚、図2に示した認証制御ルーチンでは、特定情報としての利用者情報やユーザ名を取得した後のパスワード入力待機状態、或いは、ダイレクトのパスワード入力待機状態から開始するものとする。
【0030】
(ステップS1)
ステップS1では、制御回路部6は、入力部2からのパスワードの入力を待機し、パスワード入力があった場合にはステップS2へと移行し、パスワード入力が無い場合には引き続きステップS1を監視する。尚、タイマ4を用いた場合、所定時間経過してもパスワードの入力が無かった場合には、この認証ルーチンを終了する。また、以降のルーチンを含め、何らかの中止操作(例えば、カードリーダ5からのカード抜き取りや入力部2の中止操作等)があった場合にも認証ルーチンを終了する。
【0031】
(ステップS2)
ステップS2では、制御回路部6は、入力部2で入力された入力パスワードを記憶部8に記憶してステップS3へと移行する。
【0032】
(ステップS3)
ステップS3では、制御回路部6は、入力部2で入力されたパスワードの入力が1回目の入力であるか否かを判断し、1回目の入力である場合にはステップS4へと移行し、2回目以降の入力である場合にはステップS6へと移行する。尚、2回目以降の入力の場合には、その入力回数に制限を設けた場合(例えば、3回)には、その入力回数をカウントして記憶部8に記憶する。
【0033】
(ステップS4)
ステップS4では、制御回路部14は、認証部16により、データベース15に格納されたパスワードとホスト端末1から送信された入力パスワードとを比較させると共にパスワードと入力パスワードとが一致したか否かを判定させ、パスワードと入力パスワードとが一致した場合(認証OK)にはステップS5へと移行し、パスワードと入力パスワードとが一致しなかった不一致の場合(認証NG)にはステップS7へと移行する。
【0034】
また、ステップS4では、制御回路部14は、認証部16により、データベース15に格納されたパスワードとホスト端末1から送信された再入力パスワードとを比較させると共にパスワードと再入力パスワードとが一致したか否かを判定させ、パスワードと再入力パスワードとが一致した場合(認証OK)にはステップS5へと移行し、パスワードと再入力パスワードとが一致しなかった場合にはステップS7へと移行する。
【0035】
(ステップS5)
ステップS5では、制御回路部6は、ステップS4での認証OKにより、記憶部8に記憶した入力パスワード(2回目以降の再入力パスワードを含む)を削除して次の工程へと移行する(認証ルーチンとしてはステップS1にループする)。
【0036】
(ステップS6)
ステップS6では、制御回路部6は、2回目以降のパスワードの入力に伴い、判定部9により、その再入力パスワードが認証部16により認証すべき定義に当てはまるか否かを判定させる。
【0037】
具体的には、判定部9は、ROM3に格納された認証プログラムに基づいて、記憶部8に記憶されたパスワードと入力部2で再入力された再入力パスワードとを比較すると共に入力パスワードと再入力パスワードとが一致したか否かを判定し、入力パスワードと再入力パスワードとが不一致の場合にはステップS4へと移行し、入力パスワードと再入力パスワードとが一致した場合にはステップS7へと移行する。
【0038】
この際、制御回路部6は、ROM3に格納された認証プログラムに基づいて、記憶部9に格納された文字入力に関する必須条件を満たしているか否かを判定部9で判定させ、その必須条件を満たしている場合にはステップS4へと移行し、その必須条件を満たしていない場合にはステップS7へと移行する。
【0039】
例えば、データベース15に設定・格納したパスワードを“Arigato”とし、最初の入力パスワードが“arigatou”の場合、認証サーバ11は不一致と判断する。
【0040】
この際、再入力パスワードが“arigatou”の場合、最初の入力パスワードと再入力パスワードは同一であるため、認証部16による認証を行うことなく、判定部9で事前に認証NGとする。
【0041】
また、パスワードには、大文字と小文字の混在が必須条件として設定されていた場合、再入力パスワード“arigato”は最初の入力パスワード“arigatou”とは異なっているものの、大文字の“A”が存在しないため、認証部16による認証を行うことなく、判定部9で事前に認証NGとする。
【0042】
(ステップS7)
ステップS7では、制御回路部6は、2回目以降のパスワードの再入力に伴い、その回数を確認し、制限回数に達した場合にはステップS9へと移行し、制限回数に達していない場合にはステップS8へと移行する。
【0043】
(ステップS8)
ステップS8では、制御回路部6は、2回目の再入力パスワードを記憶部8に記憶したうえで、報知部7にパスワードの再入力を促す表示やパスワードエラーの放置音を鳴動してステップS1へとループする。
【0044】
(ステップS9)
ステップS9では、所定回数のパスワードの入力の何れもがデータベース15に格納されたパスワードと一致しなかったことから、認証NGの表示或いは鳴動をしてステップS5へと移行する。
【0045】
尚、上述したルーチンは、認証の完了(認証OK)の他、タイマ4のカウントアップ、カードリーダ5からのカードの抜き取り、入力部2による中止操作等、この認証ルーチンを強制的に終了する操作があったか場合には、ステップS5で入力パスワード等を記憶部8から削除した後に認証ルーチンを強制終了する。
【0046】
このように、本発明の認証装置によれば、再度(又は再々度)のパスワードの入力が最初の入力パスワード(又は再度のパスワード)と一致している場合には、判定部11でのパスワードの判定を行わずに認証NGとすることにより、認証時間の短縮化を図ることができる。
【0047】
ところで、上記実施の形態では、本発明の認証装置は、テンキー等の入力部により入力したパスワードがデータベースと一致しなかった場合に、再度のパスワードの入力を可能とした認証装置全般に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係る認証装置の一例のブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る認証装置の認証ルーチンのフロー図である。
【符号の説明】
【0049】
1…ホスト端末(認証装置)
2…入力部
8…記憶部
9…判定部
11…認証サーバ(認証装置)
15…データベース
16…認証部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予めパスワードを格納したデータベースと、前記パスワードを入力するための入力部と、該入力部で入力された入力パスワードを記憶する記憶部と、前記パスワードと前記入力パスワードとが一致するかを認証する認証部と、を備えた認証装置において、
前記認証部によって前記パスワードと前記入力パスワードとが不一致であると判定されて前記入力部で再入力パスワードが入力された場合に、該再入力パスワードが前記認証部で認証すべき定義に当てはまるか否かを判定する判定部を備えていることを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記入力パスワードと前記再入力パスワードとが一致している場合には、前記認証部で認証すべき定義に当てはまらないと判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
前記判定部は、パスワード設定時の文字入力に関する必須条件として文字数・全半角・大小文字・英数字混在の少なくとも一つが条件設定されている際、前記再入力パスワードが前記必須条件を満たさない場合には、前記認証部で認証すべき定義に当てはまらないと判定することを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項4】
前記判定部と前記認証部とは、電気通信回線を通じてネットワーク接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の認証装置。
【請求項5】
入力部で入力された入力パスワードを記憶する記憶ステップと、
予めデータベースに格納されたパスワードと前記入力パスワードとが一致するかを認証する認証ステップと、
前記パスワードと前記入力パスワードとが不一致であると判定されて前記入力部で再入力パスワードが入力された場合に、該再入力パスワードが前記認証部で認証すべき定義に当てはまるか否かを判定する判定ステップと、
を含むことを特徴とする認証方法。
【請求項6】
請求項5に記載の各ステップをコンピュータに実行させるための認証プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−15712(P2009−15712A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178667(P2007−178667)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】