説明

誘導加熱炊飯器

【課題】安価な接触型の温度センサを用いても、不要な加熱を抑えて温度センサと鍋との接触に異常がないか判定できる誘導加熱炊飯器を提供すること。
【解決手段】炊飯鍋と、鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電力を供給するインバータ手段と、前記炊飯鍋の温度を検知するために鍋に接するように配置され、導電性の金属に表面を覆われた温度センサと、温度センサの金属部分で鍋に接する部分からの漏れ電流を検知する漏れ電流検知手段と、炊飯器の動作を制御する制御部を有し、前記制御部はインバータ動作時に漏れ電流を検知できない時に、温度センサが鍋に接していないと判断するようにしたもので、安価な接触型の温度センサを用いても、不要な加熱を抑えて温度センサと鍋との接触に異常がないか判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に家庭用に使用される誘導加熱炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の炊飯器は、鍋に接するように配置された温度センサによって、鍋温度を検出し、その温度情報に基づき、予めプログラムされた炊飯曲線に従うように温度制御をしている。
【0003】
底温度センサに米粒などの異物が挟まり、鍋と接触できない時や、温度センサと鍋の接触部分が汚れていたりすると、正常に鍋温度を検出できなくなることがあるため、非接触で温度検知ができる赤外線センサを用いたもの(例えば、特許文献1参照)や所定の時間内に所定の温度上昇が無い場合に温度センサの異常と判定する機能を有するもの(例えば、特許文献2)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−194080号公報
【特許文献2】特許第4285574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の温度検知の方法では、高価な赤外線センサを用いることでコストが高くなることや、実際に鍋を加熱して異常判定することで、異常を判別するまでに時間がかかり、さらには加熱をされることでその後の正常な炊飯ができないなどの課題を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、安価な接触型の温度センサを使用して、かつ不要な加熱を行わずに、米粒などの異物によって、鍋と温度センサが接触していないことを判別する機能を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱炊飯器は炊飯鍋と、鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電力を供給するインバータ手段と、前記炊飯鍋の温度を検知するために鍋に接するように配置され、導電性の金属に表面を覆われた温度センサと、温度センサの金属部分で鍋に接する部分からの漏れ電流を検知する漏れ電流検知手段と、炊飯器の動作を制御する制御部を有し、前記制御部はインバータ動作時に漏れ電流を検知できない時に、温度センサが鍋に接していないと判断するようにしたものである。
【0008】
これによって、安価な接触型の温度センサを使用して、かつ不要な加熱を行わずに、米粒などの異物によって、鍋と温度センサが接触していないことを判別する機能を実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の誘導加熱炊飯器は、インバータを短時間動作させただけで、温度センサが鍋に接しているかどうか判定できるため、安価な接触型の温度センサを用いてコストを下げることができる。また、不要な加熱を抑えて温度センサの異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における誘導加熱炊飯器の構成図
【図2】本発明の実施の形態1における誘導加熱炊飯器のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、炊飯鍋と、鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電力を供給するインバータ手段と、前記炊飯鍋の温度を検知するために鍋に接するように配置され、導電性の金属に表面を覆われた温度センサと、温度センサの金属部分で鍋に接する部分からの漏れ電流を検知する漏れ電流検知手段と、炊飯器の動作を制御する制御部を有し、前記制御部はインバータ動作時に漏れ電流を検知できない時に、温度センサが鍋に接していないと判断することで、安価な接触型の温度センサを用いてコストを下げることができる。また、不要な加熱を抑えて温度センサの異常を判定することができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における誘導加熱炊飯器の構成図である。図2は本発明の第1の実施の形態における誘導加熱炊飯器のブロック図である。
【0014】
図1において、米・水を入れる炊飯鍋1、高周波磁界を発生する誘導加熱コイル2、表面を導電性の金属材料で覆い炊飯鍋に接するように配置した炊飯鍋の温度を検知する温度センサ3を備えている。さらに、誘導加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ4、炊飯器を制御する制御部5、前記温度センサからの漏れ電流を検知する漏れ電流検知手段6を構成している。
【0015】
また、図2において、電源ライン間に同一コンデンサを直列で接続した擬似中性点7を有し、電気的な中間電位を作り擬似中性点としている。温度センサ3の金属部と前記擬似中性点7を電気的に接続し、底の温度センサ3から擬似中性点7の間を流れる電流を漏れ電流として漏れ電流検知手段6で検知し、漏れ電流を検知したことを制御部5に信号として送信する。
【0016】
アース付きの炊飯器であれば、上記擬似中性点7のような構成を取らず、直接アースに接続しても同じの効果を得ることができる。
【0017】
以上のように構成された誘導加熱炊飯器について、以下その動作、作用を説明する。
【0018】
一般に誘導加熱炊飯器の場合、インバータが動作し、高周波電流による誘導加熱が行われると加熱される鍋には渦電流が流れ、その一部が漏れ電流として擬似中性点7もしくはアースに対して流れる。
【0019】
漏れ電流は一般的に数mA程度であるが、抵抗を直列に入れ電流が流れた時の抵抗の両端電圧を検知するなどの方法で漏れ電流検知手段を構成することができる。
【0020】
漏れ電流は、インバータが動作した時に炊飯鍋1に渦電流が発生し、かつ温度センサ3の金属部分が炊飯鍋1に接触している時に漏れ電流検知手段6に流れることになるため、制御部5はインバータを駆動している時に、漏れ電流検知手段6からの信号が来なかった場合は、温度センサ3が炊飯鍋に接触していないと判断することができる。
【0021】
これにより、温度センサ3の上に米粒などの異物が挟まり、炊飯鍋1に接触していないことを短時間インバータ動作させただけで判断することが可能になり、使用者に対して速やかに報知することや、異物に対応した動作を自動的に行うことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
以上のように、本発明にかかる誘導加熱炊飯器は、炊飯器のみならず、温度センサを鍋に接触させる構成を持つ調理機器においても有用である。
【符号の説明】
【0023】
1 炊飯鍋
2 誘導加熱コイル
3 温度センサ
4 インバータ
5 制御部
6 漏れ電流検知手段
7 擬似中性点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯鍋と、鍋を加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルに高周波電力を供給するインバータ手段と、前記炊飯鍋の温度を検知するために鍋に接するように配置され、導電性の金属に表面を覆われた温度センサと、前記温度センサの金属部分で鍋に接する部分からの漏れ電流を検知する漏れ電流検知手段と、炊飯器の動作を制御する制御部を有し、前記制御部はインバータ動作時に漏れ電流を検知できない時に、前記温度センサが鍋に接していないと判断する炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−42839(P2013−42839A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181238(P2011−181238)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】