説明

誘導加熱装置

【課題】ふきこぼれを確実に検出し、ふきこぼれの量に応じて加熱電力を制御する誘導加熱装置を提供すること。
【解決手段】調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる略円形の加熱コイルと、加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、トッププレート下面に加熱コイルの縁に沿うように配置された円弧形状の複数の電極と、トッププレート上に被調理物が付着することにより電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有した誘導加熱装置において、静電容量検出手段が、複数の電極のうち少なくとも2つの電極で静電容量に変化があったことを検出すると、加熱制御部が、加熱電力を減少あるいは停止させるように制御することにより、確実にふきこぼれを検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭、レストラン及びオフィスなどで使用される誘導加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の誘導加熱装置では、調理容器や調理容器からふきこぼれた食材等がトッププレート下面に配した電極上を覆うことによって静電容量が変化し、その変化から調理容器の大きさなどを検出する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−159494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、調理容器の大きさや電極の形状や配置などによって検出精度のばらつきが大きいなどの課題を有していた。また、ふきこぼれ以外の要因で静電容量が変化した場合に、ふきこぼれであると誤検出する場合もあった。
【0005】
本発明は、確実に検出することのできる誘導加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱装置は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、前記電極は、前記加熱コイルの縁に沿うように配置したことにより、確実にふきこぼれを検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の誘導加熱装置によれば、確実にふきこぼれを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1の誘導加熱装置のブロック構成図
【図2】本発明の実施の形態1の誘導加熱装置における電極の配置構成図
【図3】本発明の実施の形態6の誘導加熱装置における電極の配置構成図
【図4】本発明の実施の形態8の誘導加熱装置における電極の配置構成図
【図5】本発明の実施の形態9の誘導加熱装置における電極の配置構成図
【図6】本発明の実施の形態10の誘導加熱装置における電極の配置構成図
【図7】本発明の実施の形態11の誘導加熱装置における電極の配置構成図
【図8】本発明の実施の形態12の誘導加熱装置における電極の配置構成図
【図9】本発明の実施の形態12の誘導加熱装置における電極の他の配置構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
第1の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、前記電極は、前記加熱コイルの縁に沿うように配置した誘導加熱装置とすることにより、調理容器からこぼれた被調理物をすぐに検出することができる。
【0010】
第2の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、前記電極は扇形の円弧形状を持ち、その半径方向長は円弧方向長より短い形状とした誘導加熱装置とすることにより、電極面積が小さくても確実にふきこぼれを検出することができる。
【0011】
第3の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した複数の電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって少なくとも2つの電極で静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれを確実に検出することができる。
【0012】
第4の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した複数の電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって2つ以上の電極で静電容量に変化があったことを検出した場合と1つの電極で静電容量の変化を検出した場合とで加熱制御部の制御内容を変更する誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれの量を検出し、その量に応じた制御を行うことができる。
【0013】
第5の発明は、静電容量検出手段が2つ以上の電極で静電容量の変化を検出した場合、1つの電極で静電容量の変化を検出した場合よりも加熱電力を減少させる量を多くする請求項4に記載の誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれが継続しない必要最小限の加熱電力の減少に押さえ、調理の出来映えを落とさずにふきこぼれを止めることができる。
【0014】
第6の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した複数の電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、少なくとも2つの電極は、加熱コイルの中心から
の距離が異なるように配した誘導加熱装置とすることにより、大きさの異なる調理容器でのふきこぼれに対応することができる。
【0015】
第7の発明は、静電容量検出手段が、加熱コイルの中心に近い方の電極の静電容量の変化を先に検出し、その後、加熱コイルの中心から遠い方の電極の静電容量の変化を検出した場合に加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う請求項6に記載の誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれを確実に検出することができる。
【0016】
第8の発明は、静電容量検出手段が、加熱コイルの中心に近い方の電極の静電容量の変化を先に検出し、その後、所定時間内に加熱コイルの中心から遠い方の電極の静電容量の変化を検出した場合に加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う請求項7に記載の誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれ以外の要因で静電容量が変化していないかを検出することができる。
【0017】
第9の発明は、少なくとも2つの電極の縁方向中心は、加熱コイルの中心から1直線上に揃わないようにずらして配した請求項6に記載の誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれ方の違いによる検出のばらつきを少なくすることができる。
【0018】
第10の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段と、記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された設定値と前記静電容量検出手段が検出した静電容量の変化量とを比較し、その比較結果に基づいて前記加熱制御部の制御内容を変更する誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれの量を検出し、その量に応じた制御を行うことができる。
【0019】
第11の発明は、記憶手段に記憶された設定値と静電容量検出手段が検出した静電容量の変化量とを比較し、設定値よりも静電容量の変化が大きい場合の方が小さい場合よりも加熱電力を減少させる量を多くする請求項10に記載の誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれが継続しない必要最小限の加熱電力の減少に押さえ、調理の出来映えを落とさずにふきこぼれを止めることができる。
【0020】
第12の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる複数の加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、前記電極はそれぞれの前記加熱コイルの間に配置した誘導加熱装置とすることにより、少ない電極でふきこぼれを検出することができる。
【0021】
第13の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる複数の加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、前記電極はそれぞれの前記加熱コイルの間に個
別に配置した誘導加熱装置とすることにより、強電界によるノイズの影響を受けにくくすることができる。
【0022】
第14の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる複数の加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、前記電極はそれぞれの前記加熱コイルの外周から最短距離となる位置に配置した誘導加熱装置とすることにより、少ない電極でふきこぼれを検出することができる。
【0023】
第15の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、使用者が加熱状態を指示する操作部をさらに有し、前記電極は加熱コイルの中心と操作部との間に配置した誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれた被調理物が操作部にかからないようにすることができる。
【0024】
第16の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、前記加熱制御部等を冷却するための空気を吸い込むための吸気口をさらに有し、前記電極は前記加熱コイルの中心と前記吸気口との間に配置した誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれた被調理物が吸気口に入らないようにすることができる。
【0025】
第17の発明は、調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に配した電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段によって静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部によって加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置であって、前記加熱制御部等の冷却に使用した空気を排出するための排気口をさらに有し、前記電極は前記加熱コイルの中心と前記排気口との間に配置した誘導加熱装置とすることにより、ふきこぼれた被調理物が排気口に入らないようにすることができる。
【0026】
第18の発明は、誘導加熱時の影響を回避するために前記電極の厚みを誘導加熱時の動作周波数から決まる表皮深さよりも薄くすることにより、誘導加熱時の影響を排除してふきこぼれ検出が可能な誘導加熱装置を提供することができる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態の誘導加熱装置のブロック図を示すものである。本実施の形態の誘導加熱装置は、調理物を加熱するための調理容器1を載置するトッププレート2と、調理容器1を加熱するために誘導磁界を発生させる加熱コイル3と、商用電源からの電力を変換して加熱コイル3に高周波電流を供給するインバータ回路7と、インバータ回路7を制御して調理容器1の加熱電力を制御する加熱制御部4とを有する。
【0029】
電極5はトッププレート2の下面に構成され、電極5が他の導電体との間で構成する静電容量の変化を検出する静電容量検出手段6が加熱制御部4と接続され、加熱制御部4は静電容量検出手段6の結果に応じてインバータ回路7を制御して加熱コイル3に供給する高周波電流が変化し、調理容器1の加熱電力が制御される。
【0030】
調理容器1は、食材などの被調理物を入れる容器であって、鍋、フライパン、やかんなどであり、誘導加熱によって加熱が可能なものである。
【0031】
調理容器1は、誘導加熱装置の外郭の一部を形成するトッププレート2上に載置される。そのとき、調理容器1は加熱コイル3と対向する位置に載置される。トッププレート2は結晶化ガラスを使用することが多いが、それに限定するものではない。
【0032】
加熱コイル3は、加熱制御部4の指示に従って動作するインバータ回路7から高周波電流が供給され、その電流によって高周波磁界を発生させる。高周波磁界を受けた調理容器1には渦電流が発生し、その渦電流によって調理容器1が加熱される。
【0033】
図2は、本発明の第1の実施の形態の電極の配置構成図を示すものである。
【0034】
図2では、加熱コイル3が粗密に巻かれており、途中に空隙を設ける構成となっているが、それに限定するものではない。また、加熱コイル3は円形である必要はなく、楕円型や、四角形のようなものであっても良い。
【0035】
図2のように電極5は、加熱コイル3の縁に沿って配置され、調理容器1のどの位置からふきこぼれても被調理物が電極上にかかりやすいように広い範囲をカバーするよう構成されており、ふきこぼれをすぐに検出することが可能である。また、図2のように加熱コイル3が粗密に巻かれている場合には、電極5bのように空隙部に電極を設けて径の小さい調理容器1でもすぐにふきこぼれを検出することができる。ただし、この場合には誘導加熱によるノイズの影響を受けるため、正常に静電容量を検出することができなくなる可能性がある。したがって、ノイズ対策を強化する等の対策が必要な場合がある。このように電極5を配置する理由は、調理容器1が加熱コイル3の中心に置かれた場合、調理容器1からふきこぼれた被調理物は、加熱コイル3を中心に広がっていくことが多いため、加熱コイル3の縁を沿うように電極を広く配置するとふきこぼれを検出し易いからである。
【0036】
さらに、電極5は面積を大きくすると強電界の影響を受けやすくなるため、電極5の面積を余り大きくできない。また、閉ループ構成としてしまうのも同様である。したがって、できる限り小さい面積で、広くふきこぼれを検出できる構成とするには、加熱コイル3の縁に沿って配置することが望ましい。
【0037】
加熱制御部4は、誘導加熱装置の使用者が加熱電力などを指示するための操作部8やインバータ回路7が接続されている。加熱制御部4は、例えば操作部8によって自動調理モードを指示された場合には、その自動調理内容に応じてインバータ回路7を制御する。ま
た、使用者が加熱の開始や停止、あるいは加熱電力の調節を操作部8より行った場合にも、加熱制御部4はインバータ回路7を制御して所望の動作となるように制御するものである。
【0038】
電極5は、トッププレート2の下面に塗布または接着などによって形成される導電体であって、トッププレート2上の導電体とでコンデンサを形成する。通常はトッププレート2上には何もない状態であるため、空気がその役割を果たす。しかし、調理容器1、指、水、被調理物などの別の物がトッププレート2上にあると、それぞれの比誘電率が空気と異なるため静電容量が変化する。この静電容量の変化を静電容量検出手段6によって検出する。静電容量検出手段6は、静電容量の変化を直流電圧の変化などに変換して検出するものが多いが、それに限定するものではない。
【0039】
なお、電極5は、誘導加熱調理器が誘導加熱を行う際の動作周波数から決まる表皮深さよりも薄い形状で構成する。電極5を表皮深さよりも薄く構成することで、調理容器1を誘導加熱する際に生じる磁界の影響による電極5内部での渦電流発生を抑制でき、ふきこぼれによる静電容量変化検出を妨げるような不要電界発生を抑制することができる。
【0040】
以上のように構成された誘導加熱装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0041】
使用者が操作部8によって加熱の開始を指示すると、加熱制御部4はインバータ回路7を動作させて加熱コイル3に高周波電流を供給する。これにより、加熱コイル3から高周波磁界が発生し、調理容器1の加熱が開始される。
【0042】
加熱制御部4は、操作部8を操作することによって使用者が設定した火力になるようにインバータ回路7を制御する。具体的には、例えばインバータ回路7の入力電流を検出し、その検出値を加熱制御部4に入力する。加熱制御部4は、使用者が設定した火力とインバータ回路7の入力電流とを比較して、インバータ回路7の動作状態を変更する。このような動作を繰り返すことによって、使用者が設定した火力に制御し、その火力を維持するように加熱制御部4は動作する。
【0043】
このようにして調理容器1を加熱している際、調理容器1内の被調理物が沸点に到達するなどして被調理物が調理容器1外にふきこぼれる場合がある。その際、加熱電力を減少させることなく加熱を継続すると、調理容器1から次々に被調理物がこぼれ、操作部8にかかって操作部8が熱くて操作できない、誘導加熱装置の吸排気口に被調理物が入って清掃することができなくなるなどの不具合が生じる可能性がある。また、調理容器1からトッププレート2上にふきこぼれた被調理物が、熱が加わることによってトッププレート2にこびりついてしまう場合があった。
【0044】
そこで本発明では、静電容量検出手段6の検出した静電容量の変化を検出した場合に加熱電力を減少あるいは加熱を停止することによってふきこぼれが継続することを防止し、被調理物がトッププレート2にこびりついてしまうことがないようにした誘導加熱装置としている。
【0045】
そして、加熱コイル3が図2のように円形の場合には、加熱コイル3の縁に沿って電極を配置した場合には扇形の円弧形状となる。この円弧形状は、図2のように半径方向長(すなわち、電極5の幅)が円弧方向長(すなわち、電極5の長さ)より短い形状とすることによって、面積を余り大きくすることなく広い範囲(すなわち、加熱コイル3の中心からの角度)のふきこぼれに対応できる電極形状とすることができ、より早く確実にふきこぼれを検出することが可能となる。
【0046】
(実施の形態2)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0047】
本発明では、複数の電極を有し、静電容量検出手段は複数の電極で静電容量の変化を検出した場合に加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置としたものである。
【0048】
既述のように、調理容器1から被調理物がふきこぼれる際、調理容器1のどの部分からふきこぼれるかは予測することができない。したがって、加熱コイル3の縁に沿って外周を囲えば電極5上にふきこぼれた被調理物が覆う可能性は高まるものの、強電界の影響を受けやすくなるために外周を囲うことはできない。そのため、余り大きな面積となるような電極を配置することができない。
【0049】
小さい電極5の場合、例えば炒め物調理を行っている最中に被調理物が飛び出して電極5上にたまたま落ちた場合であっても静電容量が変化し、ふきこぼれと誤検出して加熱電力を減少させてしまい、調理性能が落ちるという可能性がある。
【0050】
このように、小さい電極では静電容量が変化した場合であってもふきこぼれであるか否かの判別が難しい。
【0051】
したがって、本発明では複数の電極を配置し、静電容量検出手段6が複数の電極で静電容量の変化を検出して確実にふきこぼれであることを検出した場合に加熱電力を減少させて、ふきこぼれを止める制御を行うようにした。これによって、ふきこぼれる被調理物を少なくし、被調理物がトッププレート2にこびりついて掃除がしにくくなるのを防ぐことができる。本実施の形態では、電極を2つ設けているが、電極を3つ以上設け、そのうち2つ以上の電極で静電容量の変化を検出した場合に確実にふきこぼれであることを検出したとして加熱電力を減少させて、ふきこぼれを止める制御を行うようにしてもよい。
【0052】
(実施の形態3)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0053】
本発明では、複数の電極を有し、静電容量検出手段が複数の電極で静電容量の変化を検出した場合と1つの電極で静電容量の変化を検出した場合とで加熱制御部の制御内容を変更する誘導加熱装置としたものである。
【0054】
複数の電極において静電容量の変化があった場合には確実にふきこぼれであることを検出することができる。しかしながら、複数の電極で静電容量の変化があるまで加熱電力を減少させずに加熱を継続すると、ふきこぼれる被調理物の量が多くなってしまう可能性もある。したがって、複数の電極で静電容量の変化を検出した場合には高い確率でふきこぼれが発生しており、1つの電極で静電容量の変化を検出した場合にはふきこぼれの可能性があるとして加熱制御部4はそれぞれの状況に対応した制御を行うことによって、ふきこぼれの量を少なくすることができる。
【0055】
制御内容としては、静電容量検出手段6が複数の電極5で静電容量の変化を検出した場合、1つの電極5で静電容量の変化を検出した場合よりも加熱電力を減少させる量を多くするものとし、ふきこぼれていることが確実な時の方が加熱電力を減少させて、ふきこぼれを確実に押さえる制御を行い、ふきこぼれの可能性のある1つの電極の場合にはふきこぼれる速度を抑えるために加熱電力を減少させるなどの制御が考えられる。
【0056】
本実施の形態では、電極を2つ設けているが、電極を3つ以上設け、そのうち2つ以上の電極で静電容量の変化を検出した場合に、1つの電極5で静電容量の変化を検出した場合よりも加熱電力を減少させる量を多くするものと制御を行うようにしてもよい。
【0057】
(実施の形態4)
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0058】
本発明では、複数の電極5は、加熱コイル3の中心からの距離が異なるように配した誘導加熱装置としたものである。
【0059】
既に説明してきたように、調理容器1の径の大きさが変わると、ふきこぼれた被調理物が電極5上まで広がるまでに時間がかかる場合がある。
【0060】
したがって、図2のように複数の電極を配置する場合には、加熱コイル3の中心からの距離を変えて配置することによって、径の大きさが異なる調理容器1であってもより早くふきこぼれを検出することが可能となる。
【0061】
(実施の形態5)
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0062】
本発明では、静電容量検出手段6が、加熱コイル3の中心に近い方の電極5の静電容量の変化を先に検出し、その後、加熱コイル3の中心から遠い方の電極5の静電容量の変化を検出した場合に加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う誘導加熱装置としたものである。
【0063】
調理容器1の径が小さい場合、ふきこぼれた被調理物は調理容器1の縁からこぼれ出て、外側に広がっていく。そのため、図2のように複数の電極が加熱コイル3の中心から異なる距離に配置された場合には、加熱コイル3の中心に近い電極5b上を先に被調理物が覆い、その後で電極5a上を覆うはずである。
【0064】
したがって、その順番で静電容量の変化を検出されなかった場合にはふきこぼれ以外の現象が発生している可能性があるため、加熱制御部4は制御を行わないようにして誤検出を防ぐことができる。また、それぞれの電極5が静電容量の変化を検出する時間が長い場合、例え検出の順番はふきこぼれ時と同じであっても、ふきこぼれ以外の要因で静電容量が変化した可能性がある。したがって、所定時間内に、加熱コイル3の中心に近い電極から静電容量の変化が検出された場合にふきこぼれであるとして制御を行うようにするのが望ましい。
【0065】
所定時間は、電極の構成や配置によって異なるが、例えば5秒以上間隔があいた場合には連続したふきこぼれが発生している状況にはないと考えられる。所定時間の決定は、連続したふきこぼれを発生させ、実験的に決定することが望ましいと考えられる。
【0066】
(実施の形態6)
次に本発明の第6の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0067】
本発明では、それぞれの電極の縁方向中心は、加熱コイルの中心から1直線上に揃わな
いようにずらして配した誘導加熱装置としたものである。
【0068】
既に説明してきたように、調理容器1から被調理物がふきこぼれる際、どの方向からふきこぼれが発生するかは予測することができない。どの方向からふきこぼれが発生しても対応できるように、複数の電極を配置する場合には、図3のように電極5の中心が1直線上に揃わないようにずらして配置することでどの方向からふきこぼれが発生しても対応できる可能性が高まり、ふきこぼれ検出の精度を高めることができる。
【0069】
(実施の形態7)
次に本発明の第7の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0070】
本発明では、記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された設定値と静電容量検出手段が検出した静電容量の変化量とを比較し、その比較結果に基づいて加熱制御部の制御内容を変更する誘導加熱装置としたものである。
【0071】
電極5の静電容量は、電極5上を覆う被調理物の比誘電率や電極5を覆う面積などによって異なる。特に、電極5を覆う面積の違いについては、ふきこぼれた被調理物の量とも関係するものであり、検出後の制御にとって重要な情報となりうる。
【0072】
電極5上を広く被調理物が覆った場合には静電容量の変化が大きく、電極5上を覆う量が少なかった場合には静電容量の変化が小さいため、静電容量の変化量からふきこぼれた被調理物の量を判定できる。
【0073】
記憶手段9は所定値を記憶しておくためのもので、所定値は1つであっても複数であっても良い。また、記憶手段9はフラッシュメモリのように書き換え可能なものであっても書き換えができないものであっても良い。また、記憶手段9が加熱制御部4の一部であっても良く、例えばマイコンやDSPのような加熱制御部4のROM領域、あるいはフラッシュ領域が記憶手段9であっても良い。
【0074】
加熱制御部4は、静電容量検出手段6によって静電容量の変化を検出すると、加熱制御部4と接続された記憶手段9に記憶された所定値と比較し、制御内容を決定する。例えば、所定値よりも静電容量の変化が大きい場合には加熱を停止し、所定値よりも静電容量の変化が小さい場合には加熱電力を減少させる。静電容量の変化が大きい場合にはふきこぼれた被調理物の量が多い場合のため、ふきこぼれを早く止めるために加熱を停止し、静電容量の変化が小さい場合にはふきこぼれた被調理物の量も少なく、加熱電力を少し減少させるだけでもふきこぼれを止めることが可能な場合もある。必要以上に加熱電力を減少させてしまうと、沸騰状態を維持して煮込む場合などに火力が弱くなり、調理性能が落ちるといった弊害が発生してしまう可能性もあるため、加熱電力を減少させるのはふきこぼれが継続しない必要最小限にとどめることが望ましい。本発明のように、ふきこぼれた被調理物の量に応じて加熱電力を減少させる量を決定すれば、調理性能を落とすことなくふきこぼれを最小限に抑えることが可能で、清掃が容易で使い勝手の良い誘導加熱装置を実現できる。
【0075】
(実施の形態8)
次に本発明の第8の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0076】
本発明では、複数の加熱コイルを有し、電極はそれぞれの加熱コイルの間に配置した誘導加熱装置としたものである。
【0077】
図4は、電極の配置構成図である。誘導加熱装置は、加熱コイルを1つしか持たないものから複数持つものまである。図4では、3つの加熱口をもつ誘導加熱装置で、3つの全ての加熱口が誘導加熱で加熱されるものであるため、3つの加熱コイルをもつ。操作部8から最も離れた奥にある加熱口がラジェントヒーターであるタイプも多く普及している。本発明では、加熱口が全て誘導加熱方式であるものとして説明を行うが、他の加熱方式であってもかまわない。
【0078】
ふきこぼれが発生すると、被調理物は調理容器1を中心として広がっていき、他の加熱口の方に広がっていくことになる。他の加熱口では別の調理が行われている場合もあり、トッププレート2の上面の温度が高くなっていた場合にはふきこぼれた被調理物がトッププレート2にこびりつき、清掃に手間がかかってしまう可能性がある。
【0079】
このような状況になることを防止するため、電極5をそれぞれの加熱コイル3の間に配置することによって、ふきこぼれた被調理物が隣の加熱口にまで広がることを防止することができる。さらに、それぞれの加熱コイル間に配した電極5を、図4のように接続しておくと、静電容量検出手段6が1つですみ、安価に構成することできる。
【0080】
(実施の形態9)
次に本発明の第9の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0081】
本発明では、複数の加熱コイルを有し、電極はそれぞれの加熱コイルの間に個別に配置した誘導加熱装置としたものである。
【0082】
電極5は、面積を大きくすると強電界の影響を受けて正しく検出することができない。そのような場合、図5のようにそれぞれの加熱コイル3間に電極5を配置することによって、面積を大きくすることなくふきこぼれた被調理物を検出することが可能となる。ただし、この場合には静電容量検出手段6が3つの電極5の静電容量変化を検出する必要がある反面、図4の例よりもどの加熱口からふきこぼれたかを推測しやすい。
【0083】
(実施の形態10)
次に本発明の第10の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0084】
本発明では、複数の加熱コイルを有し、電極はそれぞれの加熱コイルの概中心に配置した誘導加熱装置としたものである。
【0085】
複数の加熱口を有する誘導加熱装置において、できる限り小さい面積で、静電容量検出手段6の数にするには、図6のように電極5をそれぞれの前記加熱コイルの外周から最短距離となる位置に配置すると、それぞれの加熱口からふきこぼれた被調理物を検出することができる。
【0086】
ただし、本実施の形態の場合にはそれぞれの加熱コイル3の中心と電極5の距離が長くなるため、調理容器1が小さい場合にはふきこぼれた被調理物が十分に広がってからでないと検出することができない。つまり、ふきこぼれが発生してから検出するまでに長い時間を有する。
【0087】
ふきこぼれを早く検出するためには、実施の形態8のような構成の方が望ましいが、最も低コストで、実現が容易なのは本実施の形態の構成である。したがって、コストや実施
の容易性をとるか、ふきこぼれの検出の確実性と検出までの時間をとるかで電極5の構成を変更する必要がある。
【0088】
(実施の形態11)
次に本発明の第11の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0089】
本発明では、使用者が加熱状態を指示する操作部を有し、電極は加熱コイルの中心と操作部との間に配置した誘導加熱装置としたものである。
【0090】
誘導加熱装置の操作部8は、機器の前面や、機器の上面であるトッププレート2上に配置されることが多い。トッププレート2上に配置される場合、操作部8とトッププレート2との間にトッププレート2を支持するフレームがある場合と、トッププレート2の下面に電極を配して静電容量の変化を利用した操作部8とに大別される。フレームがある場合には段差が生じるため、調理容器1からふきこぼれた被調理物が操作部8上を覆うことは希であるが、トッププレート2の下面に電極を配して静電容量の変化を利用した操作部8の場合にはトッププレート2と段差がないため、ふきこぼれた被調理物が操作部8上を覆う場合がある。そのような場合、ふきこぼれた被調理物は高温のため、加熱電力を減少させる、あるいは加熱を停止するために操作部8を操作しようにも高温の被調理物があるため操作できない、あるいは火傷するといった可能性もある。
【0091】
そのようなことを防止するため、図7のように電極5を加熱コイル3の中心と操作部8との間に配置することによって、ふきこぼれた被調理物が操作部8上を覆うことがないように加熱制御部4が加熱電力を減少させ、安全に使用できる誘導加熱装置を実現することができる。なお、電極5は加熱コイル3の縁と操作部8との間に配置されるのが望ましいが、それに限定するものではない。
【0092】
電極5としては、電極5aのように加熱コイル3の縁に沿うように配置しても良いし、電極5bのように直線上であってもかまわない。
【0093】
(実施の形態12)
次に本発明の第12の実施の形態について説明する。実施の形態1と同一部分は説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【0094】
誘導加熱装置は、機器内部のインバータ回路7や加熱コイル3が発熱するため、機器の破損を防止するために冷却を行っている場合が多い。冷却方法としては、冷却ファンによって発熱部に空気を送り込む方法がとられることが多い。その場合、冷却ファンが空気を外部から取り込む吸気口と、冷却後の暖かい空気を外部に排出する排気口が必要となる。
【0095】
これらの吸気口や排気口にふきこぼれた被調理物が侵入すると、清掃が容易ではないため、ふきこぼれた被調理物が侵入することを防ぐ必要がある。
【0096】
よって、図8のように電極5を加熱コイル3の中心と吸気口10の間に配置する、あるいは、図9のように加熱コイル3の中心と排気口11の間に配置することによってふきこぼれを検出し、加熱制御部4によって加熱電力を減少させることによって吸気口10や排気口11への被調理物の侵入を防ぐことができる。なお、電極5は加熱コイル3の縁と吸気口10あるいは排気口11との間に配置されるのが望ましいが、それに限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明にかかる誘導加熱装置は、機器の操作や清掃性に支障を来すことがないように電極を配置することによって、ふきこぼれた被調理物を確実に検出し、かつふきこぼれた被調理物の量に応じて加熱電力を制御することによって、調理性能を維持したままふきこぼれが継続することを防止し、清掃もしやすいという効果を有し、一般家庭などで使用される誘導加熱装置に有用である。
【符号の説明】
【0098】
1 調理容器
2 トッププレート
3 加熱コイル
4 加熱制御部
5、5a、5b 電極
6 静電容量検出手段
7 インバータ回路
8 操作部
9 記憶手段
10 吸気口
11 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理容器を載置するトッププレートと、調理容器を加熱するために誘導磁界を発生させる略円形の加熱コイルと、前記加熱コイルに供給する高周波電流を制御して調理容器の加熱電力を制御する加熱制御部と、前記トッププレート下面に前記加熱コイルの縁に沿うように配置された円弧形状の複数の電極と、前記トッププレート上に被調理物が付着することにより前記電極に生じる静電容量の変化を検出する静電容量検出手段を有し、前記静電容量検出手段が、前記複数の電極のうち少なくとも2つの電極で静電容量に変化があったことを検出すると、前記加熱制御部が、前記加熱電力を減少あるいは停止させるように制御する誘導加熱装置。
【請求項2】
前記複数の電極のうち、前記静電容量検出手段が2つ以上の電極で静電容量に変化があったことを検出した場合と1つの電極で静電容量の変化を検出した場合とで前記加熱制御部の制御内容を変更する請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項3】
前記静電容量検出手段が2つ以上の電極で静電容量の変化を検出した場合、1つの電極で静電容量の変化を検出した場合よりも前記加熱電力を減少させる量を多くする請求項2に記載の誘導加熱装置。
【請求項4】
前記複数の電極のうちの少なくとも2つの電極は、前記加熱コイルの中心からの距離が異なるように配された請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項5】
前記静電容量検出手段が、前記加熱コイルの中心に近い方の電極の静電容量の変化を先に検出した後、前記加熱コイルの中心から遠い方の電極の静電容量の変化を検出した場合に前記加熱電力を減少、あるいは停止させるように制御を行う請求項4に記載の誘導加熱装置。
【請求項6】
前記静電容量検出手段が、前記加熱コイルの中心に近い方の電極の静電容量の変化を先に検出した後、所定時間内に前記加熱コイルの中心から遠い方の電極の静電容量の変化を検出した場合に加熱電力を減少あるいは停止させるように制御を行う請求項5に記載の誘導加熱装置。
【請求項7】
少なくとも2つの電極の縁方向中心は、前記加熱コイルの中心から1直線上に揃わないようにずらして配した請求項4に記載の誘導加熱装置。
【請求項8】
さらに記憶手段を有し、前記記憶手段に記憶された設定値と前記静電容量検出手段が検出した静電容量の変化量との比較結果に基づいて前記加熱制御部の制御内容を変更する請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項9】
前記記憶手段に記憶された設定値と前記静電容量検出手段が検出した静電容量の変化量とを比較し、前記設定値よりも前記静電容量の変化が大きい場合の方が小さい場合よりも前記加熱電力を減少させる量を多くする請求項8に記載の誘導加熱装置。
【請求項10】
複数の加熱コイルを有し、前記電極が前記複数の加熱コイルの間に配置された請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項11】
使用者が加熱状態を指示する操作部をさらに有し、前記電極は前記加熱コイルの中心と操作部との間に配置した請求項1に誘導加熱装置。
【請求項12】
前記加熱制御部等を冷却するための空気を吸い込むための吸気口をさらに有し、前記電極
は前記加熱コイルの中心と前記吸気口との間に配置された請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項13】
前記加熱制御部等の冷却に使用した空気を排出するための排気口をさらに有し、前記電極は前記加熱コイルの中心と前記排気口との間に配置された請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項14】
誘導加熱時の影響を回避するために前記電極の厚みを誘導加熱時の動作周波数から決まる表皮深さよりも薄くすることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−33758(P2013−33758A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−244160(P2012−244160)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【分割の表示】特願2009−113264(P2009−113264)の分割
【原出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】