説明

誘導加熱調理器

【課題】トッププレートに載置した鍋の温度を安価な構成で精度良く検出して加熱コイルに供給する電力を制御することができる誘導加熱調理器を提供する。
【解決手段】被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルの上方で被加熱物を載置するトッププレートと、前記加熱コイルの下方に設けられ、前記被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、受光穴を有するシールドケースと、放射面形状からなる凹面鏡と、前記赤外線センサの出力から被加熱物の温度を算出する温度算出手段と、前記温度算出手段の出力に応じて前記加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器であって、前記被加熱物が放射した赤外線は、前記トッププレートを透過し、前記シールドケースに設けられた受光穴を通過し、前記凹面鏡で90度曲げられた後、前記赤外線センサの受光面で受光されることを特徴とする誘導加熱調理器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トッププレートに載置された被加熱物の温度を検出して加熱コイルに供給する電力を制御する誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の誘導加熱調理器において、鍋等の被加熱物の温度をトッププレートを介してサーミスタで検出し、被加熱物の温度を制御する方式のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、トッププレートの一部に赤外線透過材を設け、該赤外線透過材の下部に赤外線センサを設け、前記赤外線透過材を透過して鍋から放射される赤外線を前記赤外線センサにより効率良く検出して、高精度で鍋温度を検出するものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、加熱コイルの中央部に、鍋の温度を検出する温度センサと赤外線センサを設け、前記温度センサを赤外線センサより上方に配置することにより、鍋の空焚きなどの異常加熱を温度センサで検出して、赤外線センサの使用温度保証内で加熱を停止し、赤外線センサを保護するものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平03−269989号公報
【特許文献2】特開平03−208288号公報
【特許文献3】特開2004−273302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来技術において、特許文献1に示すものは、鍋の温度をトッププレートを介して検出しているため、時間遅れが生じることにより、実際の鍋の温度とサーミスタの検知温度とに誤差が生じ、鍋の温度を精度良く検出できないという課題を有していた。
【0007】
また、特許文献2に示すものは、鍋からの赤外線放射エネルギを、トッププレートに吸収されることなく赤外線センサで検出することができるようにするため、トッププレートに穴を開け、そこに赤外線を透過しやすい材料を埋め込むような構成にしているため、トッププレートの機械的強度が低下する。
【0008】
また、トッププレートの表面に段差や隙間が有ると表面の掃除が難しくなるという課題を有していた。
【0009】
また、特許文献3に示すものは、赤外線センサが加熱コイルの発熱や、トッププレートの温度上昇の影響を受け易い構成であるため、鍋の温度を精度良く検出できないという課題を有していた。
【0010】
また、赤外線センサの周囲温度が上昇し易い構成であるため、赤外線センサを保護するため加熱を停止することが頻繁に発生するため、調理器としては使いにくいものであるという課題を有していた。
【0011】
また、赤外線センサを冷却するためペルチェ素子を使用すると、構造が複雑になり、価格が高いものとなる。また、ファンを使用して赤外線センサを冷却すると、赤外線センサの周囲温度がファンの風の揺らぎにより変化するため、赤外線センサの出力信号に揺らぎが発生し、温度の測定精度に影響が出てしまうという課題を有していた。
【0012】
本発明は、上記の課題のうち少なくとも一つを解決するものであり、トッププレートに載置された被加熱物の温度を精度良く検出することができる誘導加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題は、被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルの上方で被加熱物を載置するトッププレートと、前記加熱コイルの下方に設けられ、前記被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、受光穴を有するシールドケースと、放射面形状からなる凹面鏡と、前記赤外線センサの出力から被加熱物の温度を算出する温度算出手段と、前記温度算出手段の出力に応じて前記加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器であって、前記被加熱物が放射した赤外線は、前記トッププレートを透過し、前記シールドケースに設けられた受光穴を通過し、前記凹面鏡で90度曲げられた後、前記赤外線センサの受光面で受光される誘導加熱調理器により解決できる。
【0014】
また、被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、前記加熱コイルの上方で被加熱物を載置するトッププレートと、前記加熱コイルの下方に設けられ、前記被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、該赤外線センサを実装した基板と、前記赤外線センサおよび前記基板を覆うシールドケースと、該シールドケース内に設けられた放射面形状からなる凹面鏡と、前記赤外線センサの出力から被加熱物の温度を算出する温度算出手段と、前記温度算出手段の出力に応じて前記加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器であって、前記被加熱物が放射した赤外線は、前記トッププレートを透過し、前記シールドケースに設けられた受光穴を通過し、前記凹面鏡で90度曲げられた後、前記赤外線センサの受光面で受光される誘導加熱調理器によっても解決できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の誘導加熱調理器は、上記のように構成したことにより、トッププレート自身からの赤外線放射の影響を低減できるとともに、赤外線センサの周囲温度を安定させることができ、鍋の温度を精度良く検出できる誘導加熱調理器を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施例における誘導加熱調理器の外観斜視図である。
【図2】同じく誘導加熱調理器の要部縦断面図である。
【図3】同じく誘導加熱調理器の要部縦断面図である。
【図4】黒体の分光放射強度曲線を示すグラフである。
【図5】結晶化ガラスの透過率曲線を示すグラフである。
【図6】本発明の第2の実施例における誘導加熱調理器の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は第1の実施例における誘導加熱調理器の外観斜視図、図2及び図3は第1の実施例における誘導加熱調理器の要部縦断面図、図4は黒体の分光放射強度曲線を示すグラフ、図5は結晶化ガラスの透過率曲線を示すグラフである。
【0019】
図1において、誘導加熱調理器の本体1の上面にはトッププレート2が水平に配置されている。
【0020】
トッププレート2は、耐熱性の高い結晶化ガラスよりなり、鉄等の磁性体又はアルミ等の非磁性体よりなる鍋30等の被加熱物を載置する。
【0021】
トッププレート2下方の本体1内の上部左右には、加熱コイル3が配置されており、トッププレート2に載置された鍋30などの被加熱物を誘導加熱する。
【0022】
トッププレート2の前面側の上面には、夫々の加熱コイル3に対応した操作部7が設けられていて、加熱コイル3の通電状態の設定や操作を行う。また、操作部7に対応して表示部8が操作部7の近傍に設けられており、夫々の加熱コイル3の通電状態を表示する。
【0023】
本体1の後部右側には、上方に向けて開口した吸気口4が設けられており、本体1内に設けられたファン11(図2)により吸気口4から吸気した冷却風20(図2)を本体1内に設けられた制御基板(図示せず)や加熱コイル3等に流して冷却する。
【0024】
本体1の後部左側には、本体1内部を冷却した冷却風20を排気する排気口5が設けられている。
【0025】
本体1の前面左部には、グリル加熱部6が設けられている。
【0026】
図2,図3において、加熱コイル3は、ドーナツ状の円板形をしており、トッププレート2下方の本体1内に設けられたコイルベース9上に設置されている。
【0027】
コイルベース9の下部には、棒状のフェライト10が放射状に複数本配置されており、加熱コイル3から発生する磁束がコイルベース9の下方に広がって、近傍にある金属や電子部品に対して誤加熱するのを防止するものであり、磁力線に起因するノイズの影響を電子部品が受けにくいようにしている。
【0028】
加熱コイル3が設置されたコイルベース9は、複数のバネ(図示せず)によりトッププレート2方向に付勢され、加熱コイル3がトッププレート2に対して略並行となるように構成されている。
【0029】
加熱コイル3の略中心部には、サーミスタからなる温度センサ17がトッププレート2の下面に密着するように設けられ、鍋30の温度をトッププレート2を介して検出する。そして、鍋30等が異常に加熱されたときは、温度センサ17により異常温度を検出して、安全性が損なわれないように加熱コイル3の通電を停止するなどして安全性を確保する。
【0030】
加熱コイル3の中心部の下方には、鍋30の底面から放射される赤外線を検出する赤外線センサ12が設けられており、該赤外線センサ12の受光面12aは、加熱コイル3の内径Aの中心から該内径Aの1/4以内の位置で、トッププレート2の下面から32mmから40mm離れた位置に設けられている。
【0031】
また、赤外線センサ12は、熱型検出素子を使用した方式のセンサであり、その受光面12aの前面には樹脂製のハウジングにメッキを施して形成された放物面形状よりなる凹面鏡14が設けられており、鍋30から放射された赤外線は、トッププレート2を透過して凹面鏡14に入射した後、90度右に曲げられて受光面12aで受光する。
【0032】
したがって、赤外線センサ12の視野角は凹面鏡14により制限され、図3に示すようにトッププレート2の下面の位置で10φから15φの温度検出スポット25を検出するような視野角となるようにしている。
【0033】
なお、本実施例では、赤外線センサ12の視野角を狭視野にするため放物面形状の凹面鏡14を赤外線センサ12の受光面12aの前面に設けたが、凸レンズ形状のものを受光面12aの前面に置くようにしてもかまわない。
【0034】
赤外線センサ12は、基板15に半田付けされて実装され、赤外線センサ12の受光面12aの出力信号を基板15に実装されたオペアンプ(図示せず)に入力し、電圧に変換されて出力される。
【0035】
図4に示す黒体の分光放射強度曲線から明らかのように、一般に物体から放射する赤外線エネルギは、100℃,200℃,300℃,400℃と温度が高くなればなるほど大きなエネルギを赤外線として放射する。また、その曲線のピークは高温の場合は短波長側へ、低温の場合は長波長側へ寄っている。
【0036】
鍋30が加熱されて温度が上昇すると、図4に示すように温度が高くなればなるほど大きなエネルギを赤外線として放射し、また、赤外線エネルギのピークは高温の場合は短波長側へ、低温の場合は長波長側へ寄っていく。
【0037】
そして、鍋30から放射される赤外線は結晶化ガラスのトッププレート2を透過して赤外線センサ12に入射する。但し、結晶化ガラスは、図5に示すような赤外線の透過率曲線特性を有しているため、鍋30から放射される赤外線のうち4μm以下の波長の赤外線しか透過しない。
【0038】
したがって赤外線センサ12に入射する赤外線エネルギは微弱であるが、赤外線センサ12の近傍に設けられたオペアンプにより5000〜10000倍に増幅した後出力することで、赤外線センサ12に入射される鍋30から放射した赤外線エネルギを電気信号に変換し、そのエネルギ量に応じた電圧を出力する。
【0039】
赤外線センサ12及び基板15は、加熱コイル3により鍋30を誘導加熱する際に発生する磁界の影響を受け難くし、また、周囲温度の変動を抑制するため鋼板よりなる磁気シールド用部材で構成したシールドケース16で覆われている。
【0040】
シールドケース16は、上面に鍋30から放射される赤外線を入射させるための受光穴18を有し、該受光穴18には前記した鍋30から放射される赤外線を赤外線センサ12の受光面12aに入射させ、トッププレート2自身から放射される赤外線を赤外線センサ12の受光面12aに入射させないようにするための赤外線透過特性を有する遮熱板19が取り付けられている。
【0041】
遮熱板19は、シールドケース16の受光穴18の内周縁部(外周縁部でもよい)に隙間無く密接して取り付けられ、シールドケース16の内と外で空気の流通が無いように構成されている。
【0042】
遮熱板19の赤外線透過特性は、4μm以下の波長域の赤外線を透過し、4μm以上の波長域の赤外線は減衰する特性を有するものであり、このような特性を有することにより、トッププレート2自身や、加熱コイル3を保持するコイルベース9等から放射される4μm以上の波長域の赤外線による輻射熱を遮熱して赤外線センサ12の受光面12aに入射させないようにし、精度の高い温度検出を可能としている。
【0043】
また、遮熱板19は、トッププレート2と同一材質である結晶化ガラスで構成してもよく、この場合には、トッププレート2を透過した赤外線が遮熱板19を透過する際、図5に示すように4μm以上の波長域の赤外線は減衰して透過しないようにすることができるとともに、鍋30から放射される赤外線エネルギを効率良く赤外線センサ12に入射させることができる。
【0044】
赤外線センサ12は、前記したようにシールドケース16により覆われており、加熱コイル3を載置したコイルベース9の下方で加熱コイル3から発生する磁束の影響を受けにくい場所に設置されている。
【0045】
但し、シールドケース16は、コイルベース9の下方でも加熱されて温度が上昇すると、赤外線センサ12の温度検出に影響を与える。したがって、シールドケース16を本体1内の適宜位置に配置したファン11による冷却風20で冷却することにより、より精度の高い温度測定を可能としている。
【0046】
このように、赤外線センサ12は、加熱コイル3の漏洩磁束の影響を受けず、また、加熱コイル3の発熱による温度上昇や、トッププレート2自身の温度上昇による影響を受けにくい位置に設けるのがよく、そのために、実験によって赤外線センサ12の受光面12aを加熱コイル3の内径Aの中心から該内径Aの14以内の位置で、トッププレート2の下面から32mmから40mm離れた位置に配置することにより、より精度の高い温度測定を可能とすることができた。
【0047】
赤外線センサ12を実装した基板15には、温度算出手段21の一端が接続されており、赤外線センサ12により検出された鍋30の赤外線エネルギを電気信号に変換した信号を温度算出手段21に入力する。
【0048】
温度算出手段21は、入力された電気信号から鍋30の温度を算出し、その結果を温度算出手段21の他端に接続されている制御手段22に出力する。
【0049】
制御手段22は、加熱コイル3に電力を供給するインバータ電源23の一端に接続され、インバータ電源23の他端には加熱コイル3が接続されている。
【0050】
本実施例は以上の構成よりなり、その動作は、図示していない電源スイッチを投入し、表示部8の表示を見ながら操作部7を操作して所定の温度を設定すると、制御手段22によりインバータ電源23を制御して加熱コイル3に所定の電力を供給する。
【0051】
加熱コイル3に電力が供給されると、加熱コイル3から高周波磁界が発せられてトッププレート2に載置された鍋30が誘導加熱される。
【0052】
この誘導加熱により鍋30の温度が上昇し、この温度上昇により鍋30から放射された赤外線は、トッププレート2を透過してシールドケース16上面の受光穴18から遮熱板19を透過し、凹面鏡14に入射した後、90度右に曲げられて赤外線センサ12の受光面12aで受光する。
【0053】
このとき、赤外線センサ12の視野角は凹面鏡14により制限され、トッププレート2の下面の位置で10φから15φの温度検出スポット25を検出する。
【0054】
赤外線センサ12で検出された赤外線は、電気信号に変換され、さらに変換された電気信号は、鍋30の温度を算出する温度算出手段21に入力される。
【0055】
温度算出手段21で算出した鍋30の温度情報は、鍋30の温度に応じて加熱コイル3に供給する電力を制御する制御手段22に入力され、制御手段22はインバータ電源23を制御して加熱コイル3に供給する電力を制御する。
【0056】
上記した本実施例によれば、赤外線センサ12の受光面12aを覆う遮熱板19は、4μm以下の波長域の赤外線を透過し、4μm以上の波長域の赤外線は減衰する特性を有するものであり、このような特性を有することにより、トッププレート2自身や、加熱コイル3を保持するコイルベース9等から放射される4μm以上の波長域の赤外線による輻射熱を遮熱して赤外線センサ12の受光面12aに入射させないようにするため、精度の高い温度検出を可能とすることができる。
【0057】
また、遮熱板19をトッププレート2と同一材質である結晶化ガラスで構成した場合には、トッププレート2を透過した赤外線が遮熱板19を透過する際、赤外線透過特性がトッププレート2と同じであるため、4μm以上の波長域の赤外線は減衰して透過しないようにすることができるとともに、鍋30から放射される赤外線エネルギを効率良く赤外線センサ12に入射させることができる。
【0058】
また、高価な光学フィルタを使用することなく安価なトッププレート2と同じものを遮熱板19に使用することにより、安価な構成とすることができる。
【0059】
また、鋼板で構成されるシールドケース16で密閉された空間に赤外線センサ12を配置したことにより、赤外線センサ12は加熱コイル3からの磁束の影響を受けなくなるとともに、赤外線センサ12の周囲温度が安定するため、赤外線センサ12による正確な温度検出が可能となり、安定した加熱制御を行うことができる。
【0060】
また、遮熱板19は、シールドケース16の受光穴18の周縁部に取り付けられ、遮熱板19の大部分がシールドケース16に覆われているため、トッププレート2自身や、加熱コイル3を保持するコイルベース9等から放出される赤外線に曝される面積が少ないため、遮熱板19の温度上昇が抑えられ、遮熱板19の温度上昇により放射される赤外線エネルギが赤外線センサ12に入射して鍋30の温度検出精度を悪化させることを抑制することができる。
【0061】
また、シールドケース16の受光穴18を遮熱板19により密封したことにより、シールドケース16に冷却風20を当てて冷却する際、冷却風20がシールドケース16内に入り込んで赤外線センサ12の周囲温度を変化させることが無く、したがって、赤外線センサ12の出力信号に揺らぎの発生による影響を無くすことができ、精度の高い温度検出が可能となる。
【0062】
さらに、シールドケース16をファン11による冷却風20で冷却することにより、より精度の高い温度測定ができる。
【0063】
また、赤外線センサ12の受光面12aを、加熱コイル3の内径Aの中心から該内径Aの14以内の位置に配置したこと、及び、トッププレート2の下面から32mmから40mm離れた位置に配置することにより、鍋30の中心付近の温度を検出することができるとともに、加熱コイル3やコイルベース9等からの輻射熱の影響を受け難くすることができ、精度の高い温度検出が可能となる。
【実施例2】
【0064】
図6は、本発明の第2の実施例における要部縦断面図を示す。
【0065】
図6において、上記した第1の実施例と同一の部分については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0066】
本実施例においては、シールドケース16と赤外線センサ12の間に熱容量が小さく熱伝達率の悪い樹脂等により壁24を設ける構成としている。
【0067】
上記のように、壁24により覆われた空間に赤外線センサ12を配置したことにより、加熱コイル3からの漏洩磁束による影響や、トッププレート2や加熱コイル3の温度上昇の影響によりシールドケース16の温度が変化しても、赤外線センサ12には温度の影響が伝わりにくいため、精度の高い温度検出が可能となる。
【0068】
また、壁24により赤外線センサ12を覆うようにしたことにより、シールドケース16に多少の隙間があって冷却風20がシールドケース16内に入り込んでも赤外線センサ12の周囲温度を変動させることが無い。
【符号の説明】
【0069】
2 トッププレート
3 加熱コイル
12 赤外線センサ
12a 受光面
16 シールドケース
18 受光穴
19 遮熱板
20 冷却風
21 温度算出手段
22 制御手段
24 壁
25 温度検出スポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルの上方で被加熱物を載置するトッププレートと、
前記加熱コイルの下方に設けられ、前記被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、
受光穴を有するシールドケースと、
放射面形状からなる凹面鏡と、
前記赤外線センサの出力から被加熱物の温度を算出する温度算出手段と、
前記温度算出手段の出力に応じて前記加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器であって、
前記被加熱物が放射した赤外線は、前記トッププレートを透過し、前記シールドケースに設けられた受光穴を通過し、前記凹面鏡で90度曲げられた後、前記赤外線センサの受光面で受光されることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項2】
被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルの上方で被加熱物を載置するトッププレートと、
前記加熱コイルの下方に設けられ、前記被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサと、
該赤外線センサを実装した基板と、
前記赤外線センサおよび前記基板を覆うシールドケースと、
該シールドケース内に設けられた放射面形状からなる凹面鏡と、
前記赤外線センサの出力から被加熱物の温度を算出する温度算出手段と、
前記温度算出手段の出力に応じて前記加熱コイルに供給する電力を制御する制御手段とを備えた誘導加熱調理器であって、
前記被加熱物が放射した赤外線は、前記トッププレートを透過し、前記シールドケースに設けられた受光穴を通過し、前記凹面鏡で90度曲げられた後、前記赤外線センサの受光面で受光されることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の誘導加熱調理器において、
前記被加熱物が放射した赤外線を透過させるために前記トッププレートに設けられた温度検出スポットの大きさは10φから15φであることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の誘導加熱調理器において、
前記赤外線センサは、前記加熱コイルの中心部の下方に設けられていることを特徴とする誘導加熱調理器。
【請求項5】
請求項1または2に記載の誘導加熱調理器において、
前記シールドケースは鋼板で構成され、前記シールドケースをファンにより冷却することを特徴とする誘導加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−259835(P2009−259835A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124834(P2009−124834)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【分割の表示】特願2008−107390(P2008−107390)の分割
【原出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】