説明

誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイ用の酸化マグネシウム含有障壁層

誘電厚膜交流エレクトロルミネッセンスディスプレイに使用されるチオアルミン酸ベースの蛍光体の動作安定性を改善する新規な積層体が提供される。この新規な構造体は、希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸蛍光体薄膜層と、前記蛍光体薄膜層の底部に隣接して接触するように提供された酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層とを含む。この発明は、特に蛍光薄膜層を形成し活性化するために高い処理温度に晒される誘電厚膜層を使用するエレクトロルミネッセンスディスプレイに使用される蛍光体に適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高誘電定数を有する誘電厚膜層を使用するフルカラー交流エレクトロルミネッセンスディスプレイに使用される蛍光体の輝度及び動作安定性を改善することを対象とする。より詳細には、本発明は、蛍光体の劣化を防止するための蛍光体層に接触する酸化マグネシウム含有層を提供する。
【背景技術】
【0002】
誘電厚膜構造体は、米国特許第5,432,015号に示されるように、薄膜エレクトロルミネッセンス(TFEL)ディスプレイと比較して低下した動作電圧に加えて、絶縁破壊に対する優れた耐性を提供する。この誘電厚膜構造体は、TFELディスプレイで実現されるものよりも大きな光度を提供するために蛍光体に注入することができる電荷の量も高める。フルカラーの誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイは、例えば本出願人の継続中の国際特許出願WO2004/036961に記載されている。これらのディスプレイは、青色の副画素を直接照射するための高輝度の青色蛍光体材料と、赤色及び緑色の副画素において青色光を赤色光及び緑色光に変換するための色変換材料を使用する。誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイに使用される好ましい青色蛍光体材料は、ユーロピウムで活性化されたチオアルミン酸バリウムである。
【0003】
厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイは、陰極線管(CRT)ベースのディスプレイの光度とカラースペクトルに完全に適合する。しかしながら、この動作安定性は、依然としてCRTで提供されるものに及ばない。
【0004】
酸化マグネシウム層は、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイを周囲の湿気から保護するために有機エレクトロルミネッセンスディスプレイに使用されており、酸化マグネシウム層は、米国特許第4,429,303号、4,547,702号、4,849,674号、5,319,282号、5,466,990号、5,190,333号、6,087,766号、6,023,258号、6,111,353号、6,207,302号、6,147,456号、6,414,442号、及び、米国特許出願2003/0073042号及び2004/0159903号に記載されたディスプレイなどの薄膜構造体において使用されている。しかしながら、酸化マグネシウム層は、無機蛍光体薄膜と、近接する誘電層、特に、化学的に複雑であり、ディスプレイ製造及び後続のディスプレイ動作中に近接する蛍光体層と反応する傾向を有する誘電厚膜層との間の化学的な分離を提供する無機エレクトロルミネッセンスディスプレイにおける使用において報告されていない。
【0005】
アルミナ層は、誘電厚膜層と蛍光体層との間の化学的な分離の測定を提供するために使用されているが、それらの有効性は、この蛍光体が蒸着よりもスパッタリングによって堆積される場合に低下する。蛍光体スパッタリング法は、誘電薄膜層の劣化をもたらすかもしれないエネルギーイオンによる衝撃に下層の誘電薄膜層を晒すかもしれない。酸化マグネシウムは、カラープラズマディスプレイで使用される蛍光体薄膜を被覆するために使用されており、蛍光体材料を紫外線放出画素プラズマの厳しい環境から保護している。
【特許文献1】米国特許第4,429,303号明細書
【特許文献2】米国特許第4,547,702号明細書
【特許文献3】米国特許第4,849,674号明細書
【特許文献4】米国特許第5,319,282号明細書
【特許文献5】米国特許第5,466,990号明細書
【特許文献6】米国特許第5,190,333号明細書
【特許文献7】米国特許第6,087,766号明細書
【特許文献8】米国特許第6,023,258号明細書
【特許文献9】米国特許第6,111,353号明細書
【特許文献10】米国特許第6,207,302号明細書
【特許文献11】米国特許第6,147,456号明細書
【特許文献12】米国特許第6,414,442号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2003/0073042号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0159903号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイの中に備えられる蛍光体の輝度をさらに改善し、最小の劣化でそれらの動作寿命を延長する誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイに対するさらなる改善を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、希土類の活性化種がドーピングされたアルカリ土類チオアルミン酸薄膜蛍光体に対する改善された動作寿命を提供する。この改善された動作寿命は、蛍光体の底部に直接接触する酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層を提供することによって達成される。従って、酸化マグネシウム障壁層または酸化マグネシウム含有障壁層は、酸化マグネシウム障壁層または酸化マグネシウム含有障壁層が蛍光体層に接触するようにディスプレイの誘電厚膜構造体と蛍光体層との間に位置する。本発明の他の態様においては、第2の酸化マグネシウム障壁層または酸化マグネシウム含有障壁層は、エレクトロルミネッセンスディスプレイに使用される上部電極に近接する蛍光体の上部に隣接して提供されてもよい。
【0008】
本発明の酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、蛍光体材料の輝度の低下をもたらす化学種に対する障壁として作用する。
【0009】
本発明のある態様において、酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、限定されないが、バリウム、アルミニウム及びそれらの混合物から選択される追加の元素を含む。
【0010】
本発明のある態様によれば、誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子用の改善された蛍光構造体が提供され、前記構造体は、希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸蛍光薄膜層と、前記蛍光薄膜層の底部に隣接して提供される酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、を含む。
【0011】
本発明のある態様によれば、誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子内に改善された蛍光構造体が提供され、前記構造体は、希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸蛍光薄膜層と、前記蛍光薄膜層の底部に隣接して提供される酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、を含む。
【0012】
本発明の他の態様は、誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイに使用される蛍光積層体であって、前記積層体は、(a)希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸蛍光薄膜層と、(b)前記蛍光薄膜層の底部に隣接して接触するように設けられた酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、(c)前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層の下部表面に近接する誘電厚膜層と、を含む。
【0013】
本発明の他の態様は、誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイ内の蛍光積層体であって、前記積層体は、(a)希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸蛍光薄膜層と、(b)前記蛍光薄膜層の底部に隣接して接触するように設けられた酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、(c)前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層の下部表面に近接する誘電厚膜層と、を含む。
【0014】
ある態様において、前記蛍光積層体は、前記(b)と(c)との間にチタン酸バリウム層をさらに含んでもよい。本発明のさらなる態様においては、窒化シリコン層、窒化アルミニウム層及び/又はアルミナ層は、前記蛍光体層と接触しない前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層の表面に隣接して接触するように提供することができる。さらなる他の態様において、前記蛍光積層体は、前記チタン酸バリウム層と酸化アルミニウム層との間にタンタル酸バリウム層をさらに含む。
【0015】
本発明のさらなる態様は、誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子用の蛍光積層体であって、前記蛍光積層体は、希土類で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光薄膜層と、前記蛍光薄膜層の底部に隣接して接触するように設けられた酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層に近接する誘電厚膜層と、を含む。
【0016】
本発明のさらなる態様によれば、誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子、ユーロピウムで活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光体と、前記蛍光体の底部表面に隣接する酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、前記酸化マグネシウム層と酸化マグネシウム含有層に近接する厚膜誘電層と、を含む。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子は、式AB1+3x/2:REで表されるチオアルミン酸蛍光体層であって、Aが、Mg、Ca、SrまたはBaのうちの少なくとも1つであり、Bが、AlまたはInのうちの少なくとも1つであり、Cは、SまたはSeのうちの少なくとも1つであり、xが、2≦x≦4を満たし、REがセリウム及びユーロピウムであるところのチオアルミン酸蛍光体層と、前記蛍光体の底部表面に隣接して設けられる酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、を含む。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子は、硬い熱抵抗基板と、前記基板の上部表面に近接する電極層と、前記電極層に近接する誘電厚膜層と、前記誘電厚膜層に近接する酸化マグネシウムを含有する層または酸化マグネシウムからなる層と、前記酸化マグネシウムを含有する層または酸化マグネシウムからなる層と直接接触する蛍光体層と、を含む。
【0019】
さらなる態様において、前記素子は、前記誘電厚膜層に近接する任意のチタン酸バリウム層を含んでもよい。さらなる態様においては、前記素子は、前記蛍光体層に接触しない前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層の表面に隣接して接触する窒化シリコン層、窒化アルミニウム層及び/又はアルミナ層を含んでもよい。他の態様において、前記素子は、前記窒化アルミニウム層及び/又はアルミナ層と前記チタン酸バリウム層との間にタンタル酸バリウム層をさらに含んでもよい。
【0020】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。しかしながら、本発明の精神及び範囲内での種々の変更または修正が詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明及び特定の実験例が、本発明の実施形態が例示の目的でのみ与えられたものであることを示すことは理解されなければならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、以下に記載の詳細な説明と添付の図面から完全に理解されるだろう。これらは、本発明が対象とする範囲を限定するものではなく、単に例示のために与えられるものである。
【0022】
本発明は、薄膜のチオアルミン酸ベースの蛍光体層であり、この蛍光薄膜層は、酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層に隣接している。そのようなものとして、酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、蛍光薄膜層と誘電層との間に位置する。
【0023】
本発明の態様においては、薄膜のチオアルミン酸ベースの蛍光体層は、誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子(ディスプレイ)で使用され、または誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子(ディスプレイ)に備えられる。そのようなものとして、酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、蛍光薄膜層と誘電厚膜層との間に位置する。
【0024】
図1は、全体的に参照符号10によって表されるこのような素子の一実施形態の断面の概略図を示す。この素子10は、この構造体内に基板12、下部電極14を形成するための導電性膜層、誘電厚膜層16、酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層18、蛍光薄膜層20、上部電極を形成するための、光学的に透過性で導電性である、通常窒化アルミニウムからなる上部誘電薄膜層23を連続して有する基本構造体を有する。この下部電極14は、通常金または銀であり、この上部電極22は、透過性の導電層であり、一般的にはインジウムスズ酸化物(ITO)などの酸化物である。誘電厚膜層16、酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層18、蛍光薄膜層20及び上部誘電薄膜層23のこの組み合わせは、蛍光積層体と呼ぶこともできる。
【0025】
この酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層18は、約20nmから約50nm(当業者に理解されるように、21nmから49nm、25nmから45nmなどのあらゆる範囲)の厚さで提供されてもよく、それが、蛍光薄膜層20と誘電厚膜層16との間に位置するように、この蛍光薄膜層20の下部に隣接または直接接触されるべきである。この層は、実質的に酸化マグネシウムでありえ、または、ある態様においては、他の元素、例えば近接する蛍光膜または他の近接層に存在する元素を含むこともあり得る。このようなものとして、酸化マグネシウム含有層内に存在する追加の元素は、限定されないが、例えばバリウム、アルミニウム及びそれらの混合物である。
【0026】
酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層に接触する層の材料組成の注意深い選択によって、絶縁破壊、及び、近接層と酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層との化学反応または電気化学反応が防止される。この選択は、それが提案された近接薄膜層に接触するようにマグネシウムまたは酸化マグネシウム含有層を薄膜積層体に取り入れ、ディスプレイ素子を組み立てるための処理条件下でその積層体を提供し、次いで、動作中に素子内で予想される条件下でこの積層体の安定性を決定するために適切な電圧波形をこの素子に印加することによって行うことができる。このような決定は、絶縁耐力特性解析及び電気化学特性解析の測定における当業者によって容易に行われる。
【0027】
酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層18は、蛍光薄膜層20を堆積し、焼き鈍しするために使用される工程に適合性のあるあらゆる適切な真空蒸着法を用いて堆積することができる。ある態様において、この方法は、低圧アルゴンスパッタリング雰囲気を使用した酸化マグネシウムターゲットを用いたスパッタリングまたは低圧酸素含有雰囲気内で行われるマグネシウムターゲットの反応性スパッタリングであり得る。
【0028】
酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層の機能の一部は、素子の動作中に、蛍光体材料と反応し、性能の劣化を引き起こすかも知れない酸素または水が蛍光体材料内に移動することを最小化することである。蛍光体劣化は、蛍光体材料の少なくとも一部の化学組成を変化させる、蛍光体材料との酸素または水の反応を伴うかも知れない。酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、この素子の誘電厚膜構造体内から生来する酸素または水に対する障壁層として作用することによって、これらの反応の速度を減少させるかもしれない。この酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、それが、その安定性を改善するために好ましい方式で堆積される場合、または、それが、蛍光層内の圧力を最小化するための誘電構造体と蛍光層との間の圧力緩和層として作用する場合に、蛍光体層の結晶粒子を核とするために役立つかも知れない。それは、蛍光体層にわたる電位と蛍光体層にわたる電流がある場合に、動作中に蛍光体界面で電気化学的な反応を抑制するように作用するかも知れない。
【0029】
さらに、酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、蛍光体堆積中または後続の蛍光体加熱処理中に、特にスパッタリングによって堆積される蛍光体膜を使用する場合には、蛍光体層とその下の誘電構造体との間の化学反応を最小化するように作用するかも知れない。蛍光体膜のスパッタリングは、大面積のディスプレイ基板に対する改善された厚さ及び化学組成の均一性を容易にするための能力のために、電子ビーム法または熱蒸着法に比べて製造において有利であるが、これらの利点は、蛍光体堆積処理中のディスプレイ基板の増加する反応性の費用において実感される。基板の反応性は、誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイに対する懸念事項である。それは、誘電厚膜層に使用される高誘電定数の材料が、硫化物蛍光膜を堆積するために一般的に使用される低圧硫化水素含有雰囲気で反応的であり、特にチオアルミン酸バリウム化合物などに基づく材料が、米国特許出願2004/0090402(参照することによって完全に含まれる)などのフルカラーエレクトロルミネッセンスディスプレイにおいて主要な青色のエレクトロルミネッセンス放射を提供するために使用されるからである。誘電厚膜層に使用される高誘電定数の材料は、高温において、特に硫化水素が存在する雰囲気で、特にスパッタリングで一般的に使用されるような低圧雰囲気のような化学的に減圧された状態で酸素を失う傾向にあるペロブスカイト構造の酸化物を含む。酸素のこの消失は、この材料の金属原子からのダングリングボンドの存在のために、後続の処理段階及び素子動作中に、誘電材料の結晶構造を変化させ、その誘電定数の減少をもたらし、化学的安定性を増加させる。このスパッタリング中に、堆積基板は、高温の結果によるものと同様の方式で誘電材料に酸素損失をもたらす、高エネルギーの原子とスパッタリングプラズマから生成するイオンとによって衝撃を受ける。理論に反しない限り、この現象は、蒸着された蛍光体膜を有する同様の素子におけるものに比べて、スパッタリングされた蛍光体膜を有するエレクトロルミネッセンス素子の寿命試験中に観察された低い輝度安定性に関与するかも知れない。繰り返しになるが、理論に反しない限り、蛍光体層と下層のペロブスカイト含有誘電材料との間に酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層を挿入することは、後続の処理工程及び素子動作中に、ペロブスカイト構造物の材料からの酸素の損失を減少させ、それらの誘電定数の低下を最小化または防止し、化学的または電気化学的なそれらの安定性を増加させる。
【0030】
酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層に関連する、本発明に使用されるチオアルミン酸蛍光体は、AB1+3x/2:REの形態であり、ここで、“A”は、Mg、Ca、SrまたはBaのうちの1つ又はそれ以上であり、“B”は、AlまたはInのうちの少なくとも1つであり、“C”は、SまたはSeのうちの少なくとも1つであり、それは、SとSeの濃度を合わせた濃度の0.2未満である相対原子濃度の酸素を含んでもよい。“RE”は、所望の光スペクトルを生成する1つ又はそれ以上の希土類活性種であり、ある態様ではEuまたはCeから選択される。“x”における値は、2≦x≦4になるように選択される。ある態様における蛍光体膜は、ユーロピウムで活性化されたチオアルミン酸バリウムからなる群から選択され、ここで、バリウムに対するアルミニウムの比は、約2.0から2.5の間であり、ある態様では約2.0から2.2である。他の好ましい態様では、バリウムに対するアルミニウムの比は2.5から4.0であり、ある態様では3.0から4.0である。さらなる態様では、この蛍光体組成物は、マグネシウムとバリウムの合計に対するマグネシウムの原子濃度の比が約0.001から約0.2であるマグネシウムをさらに含む。本発明のある態様では、この蛍光体は、ユーロピウムで活性化されたBaAlである。
【0031】
本発明は、特に誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイの使用に好ましく、ここで、この誘電厚膜構造体は、米国特許第5,432,015号及び国際特許出願WO00/70917、WO03/056879(これらの開示は、参照することによってここに含まれる)に教示されるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の平滑化層を有する厚膜層が焼結されたマグネシウムニオブ酸鉛またはマグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PMN、PMN−PT)を含む。
【0032】
本発明の第1実施形態では、図1に示されるが、酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層18は、蛍光体層20の底部側に隣接してディスプレイ10内に提供される。
【0033】
本発明のさらなる実施形態が図2に示されており、ここで、チタン酸バリウム層24が、誘電厚膜層16と酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層18との間に備えられる。チタン酸バリウム層は、約70から200nmn厚さを有し、ある態様では約100から170nmの厚さを有してもよい。チタン酸バリウムの厚さが70から200nmの間のあらゆる範囲であり得ることは、当業者には理解されるだろう。
【0034】
本発明のさらなる実施形態が図3に示されており、ここで、タンタル酸バリウム層26が、チタン酸バリウム層24と酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層18との間に備えられる。このタンタル酸バリウム層26は、約30から70nmの範囲の厚さを有する。この実施形態では、アルミナ層27は、タンタル酸バリウムと酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層との間に備えられる。
【0035】
本発明のさらなる実施形態が図4に示されており、ここで、第2の酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層28が、蛍光体膜20と上部誘電薄膜層23との間に位置する。この第2の層28が本質的に第1の層18と同様であることを当業者は理解するだろう。
【0036】
本発明のさらなる実施形態が図5に示されており、ここで、アルミナ、窒化アルミニウム及び窒化シリコン層30から選択される層が、蛍光体膜に対向する少なくとも1つの酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層の表面と接触するように備えられる。この方式で、この素子10は、アルミナ、窒化アルミニウム及び/又は窒化シリコンの1つ又は2つの層30を含んでもよい。タンタル酸バリウム層26は、チタン酸バリウム層24と、アルミナ層、窒化アルミニウム層及び窒化シリコン層30との間に備えられてもよい。
【0037】
この素子が、図面に示され、ここに説明された実施形態のあらゆる組み合わせを含む、ここに記載された実施形態の何れによっても製造することができることを当業者は理解するだろう。例えば、図1に示される素子は、チタン酸バリウム層24、アルミナ層、窒化アルミニウム層または窒化シリコン層30及び酸化マグネシウムを含んだりそれ自体であったりする第2の層28を含んで製造することができる。
【0038】
本発明は、希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸蛍光体材料、特にユーロピウムで活性化されたチオアルミン酸バリウムを含む誘電厚膜エレクトロルミネッセンスディスプレイの動作寿命を改善することを特に対象としている。これらの蛍光体を安定化させるための詳細なメカニズムが不明であるが、酸素または水が蛍光体と反応することを防止することは、希土類活性化種がホストのチオアルミン酸化合物の結晶格子内に溶解したままであることを保証するかも知れない。酸素または水との蛍光体の反応は、蛍光体からの酸化アルミニウムまたは水酸化アルミニウムの析出を引き起こすかもしれず、残っている材料がバリウムリッチになることを引き起こすかもしれない。蛍光体膜の特定の結晶構造の安定化は、化学量論比からの結晶構造内の元素の比のマイナーな偏差に依存するかもしれず、それは、逆に処理雰囲気または下層の誘電構造体から生じるかもしれない酸素または水にその材料を晒すことによって影響を受ける。
【0039】
本発明の範囲には、本発明の酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層を堆積するために使用される方法も含まれる。それは、低圧酸素含有雰囲気で行われるこれらの材料の堆積処理にまで拡張される。本発明の層を堆積する前に、それは、減少した金属種が存在しないことを保証することによって、誘電厚膜エレクトロルミネッセンス層を安定化するために誘電厚膜エレクトロルミネッセンス層を完全に飽和することが望ましいかもしれない。酸化マグネシウムを堆積するための処理の例は、不活性雰囲気下での酸化マグネシウムターゲットからのスパッタリングまたは酸素含有雰囲気下でのマグネシウム金属の反応性スパッタリングである。
【0040】
以下の例は、本発明の好ましい実施形態のいくつかを説明するために提供されるものであり、これらの範囲にされるものではない。
【0041】
(実験例1)
この実験例は、従来の素子の性能及び動作安定性を示すためのものです。ユーロピウムで活性化されたチオアルミン酸バリウムを含む薄膜蛍光体層を有する誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子を製造した。この厚膜基板は、0.1cmの厚さを有する5cm×5cmのガラスからなる。2000年5月12日に出願された本出願人の継続中の国際特許出願WO00/70917に示された方法によって、この基板上に金電極を堆積し、マグネシウムニオブ酸タンタル酸鉛の高誘電定数の誘電厚膜層及びPZT活性化層を堆積した。約170ナノメートルの厚さを有するチタン酸バリウムからなる誘電薄膜層を、米国特許第6,589,674号に示された方法(その記載は、参照することによってここに完全に含まれる)によって堆積した。50ナノメートルの厚さを有するタンタル酸バリウムからなる第2の薄膜層をチタン酸バリウム層の上部にスパッタリングによって堆積した。25ナノメートルの厚さを有するスパッタリングされたアルミナからなる第3の薄膜層をタンタル酸バリウム層に堆積した。米国特許出願の方法によって、バリウムに対して約3原子%のユーロピウムで活性化された400ナノメートルのチオアルミン酸バリウム蛍光厚膜からなる蛍光体層を電子ビーム蒸着によってアルミナ層に堆積した。この蛍光体は、エネルギー分散型X線解析(EDX)によって測定すると、約3.3のバリウムに対するアルミニウムの原子比を有していた。堆積に続いて、この堆積された蛍光体を、第1に空気中で約610℃の温度で約40分間、次いで窒素中で約720℃の温度で30分間ベルト炉で焼き鈍した。次いで、その開示が参照することによってここに完全に含まれる米国特許出願2004/0170864号に示される方法によって、50ナノメートルの厚さの窒化アルミニウム層をスパッタリング堆積した。最後に、インジウムスズ酸化物膜を堆積し、この素子上に第2電極を形成した。
【0042】
この素子を、30マイクロ秒のパルス幅と光学閾値電圧に関して60ボルトの振幅とを有する240Hzの交流極性方形波電圧波形を印加することによって試験した。図6(白抜きの丸印)は、この素子における動作時間を関数とする輝度を示す。このデータから分かるように、初期輝度は、約169カンデラ/mであったが、最初の20時間の間に非常に速く減少し、74カンデラ/mになった。
【0043】
(実験例2)
この実験例は、本発明の利点を示すためのものである。37ナノメートルの厚い酸化マグネシウム層が蛍光体の堆積の前にアルミナ層の上部にスパッタリング堆積されたことを除いては、実験例1と同様に素子が製造された。実験例1の素子と同一の条件で試験されたこの素子における輝度データは、図6(黒ダイヤ)に示されており、173カンデラ/mの初期輝度を示し、それに続く輝度損失の遅い速度を示す。1100時間の動作後の輝度は、依然として約87カンデラ/mであった。
【0044】
(実験例3)
この実験例は、様々な蛍光体組成を有するエレクトロルミネッセンス素子における動作安定性を改善するための本発明の利点を示すためのものである。図7は、それが、バリウムに対して約6原子%のユーロピウムのユーロピウム濃度を有する蛍光体組成(白抜きの丸印)を有したことを除いては、実験例2と同様の素子における動作時間を関数とする輝度を示す。図7は、アルミナ層と蛍光体層との間に37ナノメートルの厚い酸化マグネシウム層を有する同様の素子にける動作時間を関数とする輝度も示す。これらの2つの素子の初期輝度は、100カンデラ/mで非常に類似していた。酸化マグネシウムがない素子の輝度は、570時間の動作後に48カンデラ/mまで降下し、酸化マグネシウム層を有する他の素子の輝度は、1400時間の動作後に依然として約80カンデラ/mであった。
【0045】
(実験例4)
この実験例は、酸化マグネシウム層に接触する様々な誘電材料を有する単純化した素子構造体において本発明の酸化マグネシウム層の効果を示すためのものである。アルミナ層またはアルミナ層及びタンタル酸バリウム層の両方がこの素子の構造体から省略されたことを除いては、実験例2及び3と同様の素子が製造された。図8において、アルミナ層がないこの素子における輝度データは、白抜きの丸印で示され、アルミナ及び層及びタンタル酸バリウム層がない素子における輝度データは、黒塗りのダイヤで示された。このデータから分かるように、後者の素子において輝度は非常にゆっくり減少し、アルミナ層を酸化マグネシウム層に単に置換することによって最適な結果が生じないことを示す。この素子における輝度損失の速度は、実験例1の従来の素子のものと同様である。この結果は、酸化マグネシウム層と化学的に適合性のある他の層の間に酸化マグネシウム層を配置することの必要性を示すものである。
【0046】
図9は、誘電厚膜構造体と蛍光体層との間にチタン酸バリウム層、タンタル酸バリウム層及びアルミナ層がない非常に単純な構造体の安定性の比較を示す。黒塗りの丸印は、誘電厚膜構造体のPZT平滑化層に直接堆積された酸化マグネシウム層を有する素子における動作時間を関数とする輝度を表し、比較として、白抜きの丸印は、実験例1の従来の素子における動作時間を関数とする輝度を表す。両方の素子における初期輝度は約175カンデラ/mであり、従来の素子における輝度は、1280時間の動作後に85カンデラ/mまで減少し、一方、PZT平滑化層の上部に直接堆積された酸化マグネシウム層を有する単純化された素子における輝度は、1300時間の継続動作後に依然として約140カンデラ/mであった。これらの結果は、MgOが、それと化学的に適合性のある層と接触して使用されると、素子性能を安定化させるために有用であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の酸化マグネシウム層の位置を示す、誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子の断面の概略断面図を示す。
【図2】図1の素子のさらなる実施形態を示す。
【図3】図1の素子のさらなる実施形態を示す。
【図4】図1の素子のさらなる実施形態を示す。
【図5】図1の素子のさらなる実施形態を示す。
【図6】チオアルミン酸バリウム蛍光体を有する2つのエレクトロルミネッセンス素子における動作時間を関数とする輝度を表すグラフを示し、一方は、本発明による酸化マグネシウム層を有するものであり、他方は、酸化マグネシウム層を有しないものである。
【図7】増加したユーロピウム含有量を有するチオアルミン酸バリウム蛍光体を有する2つのエレクトロルミネッセンス素子における動作時間を関数とする輝度を表すグラフであり、一方は、本発明による酸化マグネシウム層を有するものであり、他方は、酸化マグネシウム層を有しないものである。
【図8】チオアルミン酸バリウム蛍光体を有し、本発明による様々な組み合わせの酸化マグネシウム層を有するエレクトロルミネッセンス素子における動作時間を関数とする輝度を表すグラフである。
【図9】2つのエレクトロルミネッセンス素子における動作時間を関数とする輝度を表すグラフであり、一方は、チオアルミン酸蛍光体と、誘電厚膜層のPZT平滑化層と蛍光膜との間の酸化マグネシウム層のみを有し、他方は、従来の構造体を有するものである。
【符号の説明】
【0048】
12 基板
14 下部電極
16 誘電厚膜層
18 酸化マグネシウム含有層
20 蛍光体層
22 上部電極
23 上部誘電薄膜層
24 チタン酸バリウム層
26 タンタル酸バリウム層
27 アルミナ層
28 酸化マグネシウム含有層
30 アルミナ層、窒化アルミニウム層、窒化シリコン層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類で活性化されたアルカリ土類チオアルミン酸蛍光薄膜層と、
前記蛍光薄膜層の底部に近接して接触するように設けられた酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、
前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層に近接する誘電厚膜層と、
を含む誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子用の蛍光積層体。
【請求項2】
前記蛍光薄膜層は、AB1+3x/2:REで表され、
ここで、Aは、Mg、Ca、SrまたはBaのうちの少なくとも1つであり、
Bは、AlまたはInのうちの少なくとも1つであり、
Cは、SまたはSeのうちの少なくとも1つであり、
xは、2≦x≦4を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記REは、Eu及びCeからなる群から選択される1つ又はそれ以上の希土類活性種である、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記蛍光体は、バリウムに対するアルミニウムの比が約2.0から約4.0の間であるチオアルミン酸バリウムである、請求項2または3に記載の積層体。
【請求項5】
前記バリウムに対するアルミニウムの比が約2.0から約2.2の間である、請求項2から4の何れか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記バリウムに対するアルミニウムの比が約3.0から約4.0の間である、請求項4に記載の積層体。
【請求項7】
前記蛍光体は、バリウムとマグネシウムとの合計に対するマグネシウムの原子濃度の比が0.001から0.2であるチオアルミン酸マグネシウムバリウムである、請求項3に記載の積層体。
【請求項8】
前記蛍光体は、SとSeの濃度を合わせた濃度の0.2未満の相対原子濃度の酸素を付加的に含む、請求項3に記載の積層体。
【請求項9】
前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、約20nmから約50nmの厚さを有する、請求項1に記載の積層体。
【請求項10】
前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、前記蛍光薄膜構造体に付着される、請求項1から9の何れか一項に記載の積層体。
【請求項11】
前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、真空蒸着法によって堆積される、請求項1から10の何れか一項に記載の積層体。
【請求項12】
前記真空蒸着法は、スパッタリングである、請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
酸化マグネシウムターゲットがスパッタリングで使用される、請求項12に記載の積層体。
【請求項14】
スパッタリングが低圧酸素含有雰囲気で行われる、請求項12に記載の積層体。
【請求項15】
スパッタリングが低圧アルゴン雰囲気で行われる、請求項12に記載の積層体。
【請求項16】
前記誘電厚膜層は、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)またはマグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PMN−PT)の底部層と、平滑化層としてのチタン酸ジルコン酸鉛の上部層とを含む、請求項1から15の何れか一項に記載の積層体。
【請求項17】
前記平滑化層の上部にチタン酸バリウムの層が備えられる、請求項16に記載の積層体。
【請求項18】
アルミナ及びタンタル酸バリウムの層が、前記チタン酸バリウムの層の上に備えられ、前記タンタル酸バリウムは、前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層に隣接される、請求項17に記載の積層体。
【請求項19】
前記チタン酸バリウムの層は、約70nmから約200nmの厚さを有する、請求項17に記載の積層体。
【請求項20】
前記タンタル酸バリウムの層は、約30nmから約70nmの厚さを有する、請求項18に記載の積層体。
【請求項21】
アルミナ、窒化アルミニウム及び窒化シリコンからなる群から選択される層が、前記蛍光層に接触しない前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層の表面に接触して備えられる、請求項1から20の何れか一項に記載の積層体。
【請求項22】
第2の酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層が、前記蛍光膜の上部に備えられる、請求項1から21の何れか一項に記載の積層体。
【請求項23】
希土類で活性化されたチオアルミン酸バリウム蛍光薄膜層と、
前記蛍光薄膜層の底部に隣接して接触するように設けられた酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、
前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層に近接する誘電厚膜層と、
を含む誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子用の蛍光積層体。
【請求項24】
チオアルミン酸蛍光体と、
前記蛍光体の底部表面に隣接する酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層と、
前記酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウム含有層の前記層に近接する誘電厚膜層と、
を含む誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項25】
前記蛍光薄膜層は、AB1+3x/2:REで表され、
ここで、Aは、Mg、Ca、SrまたはBaのうちの少なくとも1つであり、
Bは、AlまたはInのうちの少なくとも1つであり、
Cは、SまたはSeのうちの少なくとも1つであり、
xは、2≦x≦4を満たすことを特徴とする、請求項24に記載の素子。
【請求項26】
前記REは、Eu及びCeからなる群から選択される1つ又はそれ以上の希土類活性種である、請求項25に記載の素子。
【請求項27】
前記蛍光体は、バリウムに対するアルミニウムの比が約2.0から約4.0の間であるチオアルミン酸バリウムである、請求項26に記載の素子。
【請求項28】
前記バリウムに対するアルミニウムの比が約2.0から約2.2の間である、請求項26に記載の素子。
【請求項29】
前記バリウムに対するアルミニウムの比が約3.0から約4.0の間である、請求項26に記載の素子。
【請求項30】
前記蛍光体は、バリウムとマグネシウムとの合計に対するマグネシウムの原子濃度の比が0.001から0.2であるチオアルミン酸マグネシウムバリウムである、請求項26に記載の素子。
【請求項31】
前記蛍光体は、結合されたSとSeの濃度の0.2未満の相対原子濃度の酸素を付加的に含む、請求項24に記載の素子。
【請求項32】
前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、約20nmから約50nmの厚さを有する、請求項24から31の何れか一項に記載の素子。
【請求項33】
前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、前記蛍光薄膜構造体に付着される、請求項24から32の何れか一項に記載の素子。
【請求項34】
前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層は、真空蒸着法によって堆積される、請求項24から33の何れか一項に記載の素子。
【請求項35】
前記真空蒸着法は、スパッタリングである、請求項34に記載の素子。
【請求項36】
酸化マグネシウムターゲットがスパッタリングで使用される、請求項35に記載の素子。
【請求項37】
スパッタリングが低圧酸素含有雰囲気で行われる、請求項36に記載の素子。
【請求項38】
スパッタリングが低圧アルゴン雰囲気で行われる、請求項36に記載の素子。
【請求項39】
前記誘電厚膜層は、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)またはマグネシウムニオブ酸チタン酸鉛(PMN−PT)の底部層と、平滑化層としてのチタン酸ジルコン酸鉛の上部層とを含む、請求項24から38の何れか一項に記載の素子。
【請求項40】
前記平滑化層の上部にチタン酸バリウムの層が備えられる、請求項39に記載の素子。
【請求項41】
アルミナ及びタンタル酸バリウムの層が、前記チタン酸バリウムの層の上に備えられ、前記タンタル酸バリウムは、前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層に隣接される、請求項40に記載の素子。
【請求項42】
前記チタン酸バリウムの層は、約70nmから約200nmの厚さを有する、請求項40に記載の素子。
【請求項43】
前記タンタル酸バリウムの層は、約30nmから約70nmの厚さを有する、請求項41に記載の素子。
【請求項44】
アルミナ、窒化アルミニウム及び窒化シリコンからなる群から選択される層が、前記蛍光層に接触しない前記酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層の表面に接触して備えられる、請求項24に記載の素子。
【請求項45】
第2の酸化マグネシウム層または酸化マグネシウム含有層が、前記蛍光膜の上部に備えられる、請求項24に記載の素子。
【請求項46】
誘電厚膜エレクトロルミネッセンス素子における、希土類活性種がドーピングされたアルカリ土類チオアルミン酸蛍光体の輝度及び動作寿命を改善する方法であって、前記素子内に請求項1から23の何れか一項に記載の積層体を提供することを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−536969(P2008−536969A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505703(P2008−505703)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000568
【国際公開番号】WO2006/108291
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(505089913)アイファイアー・テクノロジー・コープ (18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】