説明

調製済表層材およびそれを用いた表層形成方法

【課題】規模の大小に関わらず基盤上を表層材で被覆する表面仕上げを行なう場合に、骨材と接着剤である樹脂材の混練作業を簡素化するとともに、施工者の熟練度合いによって施工面の仕上がり具合に大きな差が出るのを抑制することのできる調製済表層材を提供する。
【解決手段】少なくとも1種類の固形物からなる骨材2と、水分散性で,水分の蒸発により樹脂が不可逆的に硬化する樹脂系接着剤3と、粘度を調整する水4と、骨材2及び樹脂系接着剤3及び水4の混合体を密封した状態で収容する包装容器体5とを有し、混合体における水4は、使用時必要水量の一部を構成して調製され、包装容器体5を開封した際に、使用時必要水量の残量を混合体に加えて粘度を低下させて使用するように調製済表層材1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁面や舗道等の表面を被覆して仕上げるための表層材に関し、施工対象の大小に関わらず施工現場における表層材の調整作業を簡略化することのできる調製済表層材及びそれを用いた表層形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の壁面や舗装面の表面に表層材を塗布して表面仕上げを行なう場合、骨材と、例えば合成樹脂系の接着剤を適切に計量して配合し、均一に混練する必要がある。通常、この作業には熟練を要し、施工者が未熟な場合には仕上げ面の出来栄えにムラが生じて望ましくないという課題があった。
このような課題に対処するための表面仕上げ材に関する先行技術がいくつか開示されている。
【0003】
特許文献1には「舗装方法及び舗装材キット」という名称で、建物の周りや玄関土間あるいは歩行路等における舗装、特に小規模な舗装に適した舗装方法及び舗装材キットに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、骨材と、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系合成樹脂の一種または複数種と、繊維及び増粘剤とを混練して形成した舗装基材を、密封包装し、この色装体に、舗装基材に添加、混練する硬化剤を密封包装して添着させたことを特徴とする舗装材キットである。
特許文献1に開示される発明によれば、配合、調整の難しい舗装基材は、あらかじめ所定量ずつ袋等の容器に密閉されているので、長期にわたり硬化することなく保存することができるとともに、硬化剤も所定量を袋詰めにされ、この舗装基材を収容した容器に付帯して設けられているので、使用者は、施工の場で舗装基材及び硬化剤を収容した容器、袋を開いて両者を混練する、という極めて簡単な作業で施工ができ、特に経験の少ない素人や、小規模業者向きとして好適であり、材料の無駄を省くこともできる。
【0004】
また、本願発明に直接的に関連する技術ではないが、従来の技術レベルを示す先行技術として、特許文献2に「水硬性組成物」という名称で、各種建築物に施工する作業性と速硬性と寸法安定性とに優れる水硬性組成物と、水硬性組成物を用いて得られるコンクリート構造体に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、アルミナセメントを含む水硬性成分と、樹脂成分と、細骨材とを含み、流動化剤を含まない水硬性組成物であって、水硬性組成物と水とを混合・混練して調製した水硬性モルタルについて、JASS 15M−103に準拠したフロー試験で測定したフロー値が、60〜150mmであることを特徴とする水硬性組成物である。
上記構成の特許文献2に開示される水硬性組成物は、速硬性・速乾性に優れるアルミナセメントを含む水硬性成分と、樹脂成分と、細骨材とを含む水硬性組成物であり、水と混練して得られる水硬性モルタルは、適度な流動性を有し、ハンドリング性(可使時間)が長く、良好なこて塗り作業性を有しながら、所定の可使時間が経過したのちに速やかに硬化が進行して、早期強度発現が良好で、優れた寸法安定性を有するモルタル硬化体が得られるものであり、左官職人の施工性をより向上させるとともに、短工期のモルタル施工を可能とし、耐久性・耐候性に優れたモルタル硬化体を提供することができる。
【0005】
そして、これも本願発明に直接的に関連する技術ではないが、従来の技術レベルを示す先行技術として、特許文献3に「加熱溶融型舗装用材料」という名称で、路面に施される滑り止め舗装の形成に用いられる、加熱溶融型の舗装材料に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示される発明は、熱可塑性合成樹脂からなるバインダー100重量部に対して、粒径0.5mm〜5mmの滑り止め骨材を100〜500重量部配合し、更にガラスビーズが5〜500重量部配合されていることを特徴とする加熱溶融型舗装用材料である。
特許文献3に開示される発明によれば、滑り止め骨材により十分な滑り止め効果が確保されると共に、ガラスビーズが配合されていることで夜間における高い再帰反射性を得ることができる。更には材料中にガラスビーズが配合されていることで、舗装後の摩耗による再帰反射性の低下が抑えられ、長期に亘って高い再帰反射性を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−360351号公報
【特許文献2】特開2009−215136号公報
【特許文献3】特開2006−28850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示される発明は小規模の表面仕上げや補修に適していると考えられるが、大規模な表面仕上げや補修を行なう場合に、多量の舗装基材に硬化剤を均質に混練する際に時間と手間がかかって煩雑であるという課題があった。
また、舗装基材に硬化剤を混合したものを使い残してしまった場合、硬化してしまうため廃棄するしかなく無駄になるという課題もあった。
【0008】
特許文献2及び特許文献3に記載の発明は、いずれも骨材と接着剤である樹脂の混練作業に熟練が必要であり、施工者によって仕上がり具合にムラが生じ易いという課題があった。また、表層材を構成する材料を全て混合してしまった後に、保管したり保存可能にする技術については何ら開示されていない。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、規模の大小に関わらず基盤の表面を被覆して表面を仕上げたり、補修する場合に、骨材と接着剤である樹脂系接着剤の混練作業を大幅に短縮するとともに、施工者の熟練度合いによって施工面の仕上がり具合に大きな差が出るのを抑制することができ、表層材を構成する材料を全て混合した後でも長期間保存や保管が可能な調製済表層材およびそれを用いた表層形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である調製済表層材は、少なくとも1種類の固形物からなる骨材と、水分散性で,水分の蒸発により樹脂が不可逆的に硬化する樹脂系接着剤と、粘度を調整する水と、骨材及び樹脂系接着剤及び水の混合体を密封した状態で収容する包装容器体とを有し、混合体における水は、使用時必要水量の一部を構成して調製され、包装容器体を開封した際に、使用時必要水量の残量を混合体に加えて粘度を低下させて使用することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、骨材は被塗布面上を被覆して、被塗布面に,被塗布面を構成する材質とは異なる色彩や質感や機能を、又は、これらの組み合わせを付与するという作用を有する。
樹脂系接着剤は、骨材同士を接着して被塗布面上に薄層状に付着させるという作用を有する。また、樹脂系接着剤は、その分散材である水が一定以上蒸発するまでは粘性及び流動性を維持して、混合体を被塗布面上に塗布可能に保つという作用を有する。
また、水はその内部に樹脂系接着剤を分散させることで、骨材の隅々にまで樹脂系接着剤を行き渡らせるという作用を有する。
また、包装容器体は混合体と空気の接触を遮断して、混合体中の水分が蒸発するのを妨げるという作用を有する。
さらに、表層材として使用時、すなわち塗布するのに適した粘度にするために必要な水量の一部のみを用いて混合体を調整することで、包装容器体内に収容される調製済の表層材は濃縮状態になる。この場合、表層材を被塗布面への塗布に適した低粘度状態に調製した場合に比べて、搬送又は保管時の混合体の重量及び体積を小さくするという作用を有する。
そして、使用時に、包装容器体を開封した際に、表層材として実際に塗布するのに適した粘度に調整するのに必要な水量のうちの残りの水量のみを追加することで、熟練した技術や特別な設備を備えない場合でも、骨材と樹脂系接着剤の配合割合が最適で、かつ、塗布するのに適切な粘度を有する(モルタル状の)調製済の表層材を容易に準備可能にするという作用を有する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の調製済表層材であって、樹脂系接着剤の添加量は、骨材100重量部に対しての1〜5重量部であり、混合体における水の添加量は、骨材100重量部に対して5〜15重量部であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同じ作用に加えて、接着剤の添加量を骨材100重量部に対しての1〜5重量部とすることで、被塗布面にしっかりと骨材を接着させるとともに、樹脂系接着剤が硬化した際に、仕上げ面上に樹脂分が浮き上がってきて、表層面の質感や触感が損なわれるのを妨げるという作用を有する。
また、混合体における水の添加量を、骨材100重量部に対して5〜15重量部にすることで、骨材の隅々にまで樹脂系接着剤を行き渡らせるために必要かつ十分な水を供給するという作用を有する。これにより、混合体の重量及び容積を最小限度にするという作用を有する。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の調製済表層材であって、骨材は、建築廃材又は廃ガラスを破砕して粒状にしたものを含むことを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明と同じ作用に加えて、骨材に建築廃材又は廃ガラスを破砕して粒状にしたものを含むことで、骨材の原材料費を削減するとともに、建築廃材又は廃ガラスの再利用を促進するという作用を有する。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の調製済表層材における包装容器体内の混合体の少なくとも一部を容器に移し,水を加えて撹拌してモルタル状の撹拌体にする第1の工程と、この第1の工程の後に、撹拌体を水で濡らした基盤上に塗布する第2の工程と、この第2の工程の後に、塗布済み撹拌体を硬化させる第3の工程とを有することを特徴とするものである。
上記構成の発明において第1の工程は、包装容器体内に収容される混合体の粘度を低下させて被塗布面への薄塗りを可能にするという作用を有する。また、第2の工程は、被塗布面に撹拌体を展着してその表面を被覆するとともに、撹拌体を空気に接触させることで水分を蒸発させて樹脂系接着剤を不可逆的に硬化させるという作用を有する。さらに、第3の工程は、撹拌体を硬化させて、基盤上に表層を形成させるという作用を有する。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の表層形成方法であって、基盤は、アスファルト舗装,又は,コンクリート製床又は壁,又は,セラミックス製建築材,又は,金属板,又は,コンクリート製建築材,又は,石材,又は,木製建築材,又は,土壁,又は,土砂とセメント系硬化剤の混合物による舗装面であることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項4記載の発明における基盤を具体的に記載したものであり、その作用は請求項4記載の発明と同じである。
また、基盤は、撹拌体を支持するという作用を有する。さらに、基盤として用いられるアスファルト舗装,又は,コンクリート製床又は壁,又は,セラミックス製建築材,又は,金属板,又は,コンクリート製建築材,又は,石材,又は,木製建築材,又は,土壁,又は,土砂とセメント系硬化剤の混合物による舗装面は、撹拌体が硬化してなる表層の強度を補うという作用を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1記載の発明によれば、骨材と、樹脂系接着剤と、調整済表層材とが適切な比率で配合され,かつ、均質に撹拌されており、しかも、開封後に水を加えて粘度を調整するだけですぐに利用できる表層材を濃縮状態で使用者に提供することができるという効果を有する。
従来、表層材が、例えば、複数の材料A〜Dの混合体により構成される場合、その供給方法は、例えば、材料A〜Dを別々に準備して現場でこれらを計量・混合する方法、あるいは、材料A〜Cを予め計量・混合しておき,最後に,現場で材料Dを計量・混合して最終調整する方法が主に知られている。そして、上述のいずれの場合も、表層材として被塗布面に塗布する前に、全ての材料が十分に撹拌・混合する作業が必要であり時間を要していた。また、この場合、撹拌混合が不十分だと、表層材中にムラが生じ、硬化後の仕上がりも好ましくなかった。
これに対して、請求項1に記載の発明では、濃縮状態ではあるものの、表層材を構成する材料の全てが既に均一に混合・撹拌された混合体として供給されるので、施工現場における混合・撹拌作業の大部分を省略することができる。
また、請求項1記載の発明によれば、表層材を濃縮状態の混合体として供給することで、その容積及び重量を小さくすることができる。このため、請求項1記載の調製済表層材の搬送コストを低減し、保管のためのスペースを削減することができるという効果を有する。
そして、施工者は包装容器体内に収容された混合体を開封して、混合体を必要量取出し、水を加えて所望の粘度になるまで撹拌してモルタル状の撹拌体にするだけで直ちに施工面に塗布することができるので、施工現場における表層材の計量作業及び混練作業を大幅に省略することができる。この結果、表面仕上げ作業の作業性を向上して施工期間を短縮するとともに、施工者の熟練度合いによって施工面の仕上がりにムラが生じるのを防止することができる。
たとえば、調製済みの表層材として、固形物からなる骨材と、粉末又は顆粒状の樹脂系接着剤を、水を加えることなく混合して包装容器体に収容した場合、骨材と樹脂系接着剤の粒度が異なると、包装容器体内における配合比率が適切であっても、搬送中や保管の過程において、包装容器体内における骨材と樹脂系接着剤の部混合状態にムラが生じ、包装容器体内から収容物の一部のみを取り出して水と撹拌して表層材を調製する場合と、残りの収容物を取り出して水と撹拌して表層材を調整する場合とでは、骨材と樹脂系接着剤の配合比率が異なってしまうことも考えられる。この場合、施工ムラが生じ、硬化後の表層の耐久性を低下させる恐れがあった。また、上述のように骨材と、樹脂系接着剤を、水を加えることなく混合して包装容器体に収容する場合で,かつ,包装容器体内に収容される収容物の全てを用いる場合でも、収容物が均質に混合されていない場合には、水を加えて混練し調製する際に時間をかけて十分に撹拌する必要があり、やはり施工に時間と手間がかかるという課題があった。
これに対して、請求項1記載の発明によれば、包装容器体内に収容される混合体の一部を使用しても,全部を使用しても骨材と樹脂系接着剤の配合比率はほぼ一定であり、かつ、水を加えて粘度を調整するだけでよいので実質的には撹拌・混練する時間はほとんど必要ない。従って、施工面の仕上がりを均質にすると同時に、施工にかかる時間についても大幅に短縮することができる。
また、骨材や樹脂系接着剤を個別に計量する場合、少量ずつ何度かに分けて表層材の調製を行なうことは時間もかかり極めて煩雑である。しかしながら、多めに表層材を調製しておくと調整済みの表層材が余って無駄にしまう場合もある。
これに対して、請求項1に記載の調製済表層材を用いた場合、頻繁に表層材の粘度の調製を行なったとしてもその手間はわずかであるため、表層材を無駄なく使用することができるという効果を有する。
さらに、使用時の必要水量の一部は予め混合体に含まれており、必要水量の残量のみを加えるので、被塗布面の種類や用途によって多様な必要水量に対して同一の調整済表層材を用いながら現場で容易に対応可能である。
また、包装容器体内に収容される混合体は、過度に水分が蒸発してしまわない限り樹脂系接着材が硬化しないので、水分の蒸発を防止することで混合体を長期間保存可能である。従って、請求項1記載の発明によれば、包装容器体中の混合体を使い残した場合でも廃棄する必要はなく、長期間保存した後も問題なく使用することが可能である。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明における骨材に対する樹脂系接着剤の添加量と、混合体における水の添加量を具体的に記載したものであり、その効果は請求項1記載の発明と同じである。
また、請求項2記載の発明よれば、樹脂系接着剤の添加量を骨材100重量部に対して1〜5重量部とすることで、被塗布面への骨材の十分な接着効果を発揮させながら、表層材により被覆されてなる仕上げ面の質感を、骨材の質感に近い自然な風合いにすることができるという効果を有する。加えて、撹拌体を硬化させてなる表層上に樹脂系接着剤の樹脂分が浮き上がるのを防止して、表層の表面がべた付くのを防止することができるという効果を有する。
また、混合体における水の添加量を骨材100重量部に対して5〜15重量部にすることで、骨材と樹脂系接着剤を十分に撹拌混合させるために必要かつ十分な量の水を供給することができる。このため、混合体中に含有される水の量を最少にすることができるという効果を有する。
この結果、請求項2記載の発明の搬送のコストを削減するとともに、製品の保管のためのスペースを少なくすることができるという効果を有する。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明と同じ効果に加えて、骨材に建築廃材又は廃ガラスを破砕して粒状にしたものを含むことで、建築廃材又は廃ガラスのリサイクルを促進することができるという効果を有する。
【0018】
請求項4記載の発明において、混合体は、請求項1乃至請求項3記載のそれぞれの発明と同じ効果を有する。
また、請求項4記載の発明の第1の工程では、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載される濃縮状態の調整済表層材の粘度を低下させて薄層状に塗布可能にすることができるという効果を有する。また、続く第2の工程においては、基盤上(被塗布面上)に撹拌体を塗布することで、撹拌体と空気との接触面を大きくして撹拌体中の水分の蒸発を促進し樹脂系接着剤を不可逆的に硬化させることができるという効果を有する、
そして、第3の工程においては、塗布済みの撹拌体を硬化させることで、基盤上に均質な表層を形成することができる。
このように、請求項4記載の表層形成方法によれば、施工者の熟練の程度によらず、施工面の仕上がりを高品質にすることができるとともに、施工時間も大幅に短縮することができるという効果を有する。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明における基盤を具体的に記載したものであり、請求項5記載の発明と同じ効果を有する。
また、特に基盤をアスファルト舗装,又は,コンクリート製床又は壁,又は,セラミックス製建築材,又は,金属板,又は,コンクリート製建築材,又は,石材,又は,木製建築材,又は,土壁,又は,土砂とセメント系硬化剤の混合物による舗装面とすることで、撹拌体が硬化してなる表層が補強されて、表層の破損を防止することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1に係る調製済表層材の概念図である。
【図2】本発明の実施例2に係る調製済表層材を用いた表層形成方法のフローチャートである。
【図3】本発明の実施例1に係る調製済表層材を用いた表層の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施例1に係る調製済表層材及びそれを用いた表層形成方法について実施例1及び実施例2を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明の実施例1に係る調製済表層材の概念図である。
図1に示すように、実施例1に係る調製済表層材1は、例えば、合成樹脂製のシート体からなる包装容器体5内に、骨材2と樹脂系接着剤3と水4とが十分に混練された混合体6が密封された状態で収容されたものである。
また、包装容器体5に収容される混合体6に含有される水4の量は、混合体6を被塗布面に薄く塗布可能なモルタル状にするために必要な水4量よりも少ない量で、かつ、包装容器体5に収容される骨材2の隅々にまで樹脂系接着剤3を行きわたらせるのに十分な量が添加されている。すなわち、包装容器体5内に収容される混合体6は、被塗布面に塗布されるモルタル状の表層材が濃縮状態で収容されているといえる。
さらに、樹脂系接着剤3は、水に対する分散性を有するとともに、分散材である水分の蒸発により樹脂系接着剤3の樹脂分が互いに接触して不可逆的に硬化するものを用いている。
【0023】
従来、舗装材や壁面材等の硬質の基盤の表面の質感や色を変える目的で表層材を塗布して表面仕上げを行なう場合、施工現場において、施工者が、骨材2と樹脂系接着剤3と水4とを慎重に計量してから、専用の装置を用いて十分に時間をかけて混練し、モルタル状にしたものを表層材として用いていた。
通常、この作業には時間がかかる上、作業者の熟練の度合いによって施工面の仕上がりに差が出てしまうという課題があった。また、表層材を均質に混合するためには十分に混練するための時間を確保する必要があるため、施工期間を短縮することが難しいという課題もあった。
また、表層材の混練に時間がかかることから、繰り返し表層材の混練作業を行うことは作業効率を向上し難いため、やや多めに表層材を調製する必要があった。この場合、使い残した調整済みの表層材が無駄になってしまう場合もあった。
【0024】
このような事情に鑑み、発明者ははじめ包装容器体5内に水4を除く、骨材2(粒状)と樹脂系接着剤3(粒状又は粉末)適量だけ計量して混合して調整済みの表層材として提供することを考えた。しかしながら、この場合、材料を計量する時間は省略することができるものの、骨材2と樹脂系接着剤3が混合されたものに水4を加えて十分に混練しなくてはならないことには変わりがなく、このため、施工現場における作業時間の大幅な短縮には結びつき難かった。
また、上述の場合、骨材2と樹脂系接着剤3の粒径に大きな差がある場合、搬送・保管時に包装容器体5内において樹脂系接着剤3と骨材2が分離してしまい、包装容器体5内から骨材2及び樹脂系接着剤3の一部のみを取り出して使用する場合に、その配合割合が残りのものと異なってしまい、施工後の表層に施工ムラを生じる原因にもなりさらに望ましくないという課題もあった。
次に発明者は、包装容器体5内に、骨材2及び樹脂系接着剤3に水4を加えて混練し被塗布面に塗布するのに最適な粘度に調製したものを包装容器体5内に密封して、開封後直ちに使用できる状態にして提供することを考えた。しかしながら、この場合、調整済みの表層材の容積が大きくなってしまい、流通時や保管時のコストが嵩むという課題があった。
【0025】
そこで、発明者は鋭意研究の結果、図1に示すように、包装容器体5に表層材を濃縮状態の混合体6として密封して提供することで、上述のような課題を解決できることを見出した。
具体的には、包装容器体5内に骨材2,及び,樹脂系接着剤3,及び,モルタル状の粘度にするために必要な水4量の一部を混合して濃縮状態の混合体6として密封して提供することで、施工現場において施工者は、包装容器体5から所望の量の混合体6を取り出して、この混合体6に適宜水4を加えて薄塗りが容易な粘度に調整する(モルタル状にする)だけで、直ちに被塗布面に塗布することができるようした。
この結果、施工現場においてモルタル状の表層材を調製するための計量作業及び混練作業を大幅に省略することができる。
【0026】
しかも、実施例1に係る調製済表層材1を用いる場合、搬送や保管後に、包装容器体5のどの部分の混合体6を取り出しても、また、包装容器体5から取り出す混合体6の量の多少に関わらず、混合体6中の骨材2と樹脂系接着剤3の配合割合及び骨材2の粒度の分布も一定である。
このため、施工者が包装容器体5から所望の量の混合体6を取り出し、取り出した混合体6に所望量の水4を加えるだけで、いつも同じ品質のモルタル状の表層材である撹拌体を得ることができる。
したがって、施工者の熟練の程度によって表層材の調製の出来具合に差が生じ、これにより、施工面の仕上がりに差が出るのを確実に防止することができる。
また、施工面の仕上がりにムラがないということは、施工後、経時変化に伴って表層の劣化や剥離等の不具合が生じ難いことを意味している。このため、実施例1に係る調製済表層材1を用いることによれば、施工者の熟練の程度に関わらず高い耐久性を有する表層を提供することができる。
すなわち、誰が施工しても迅速にかつ高品質表層を提供することができるという効果を有する。
また、実施例1に係る調製済表層材1を用いる場合、少量の撹拌体を調整する手間も、多量の撹拌体を調製する手間もほとんど変わらない。従って、必要に応じて所望の量だけ撹拌体を調製することが容易であるため、撹拌体を残すことなく使い切ることができる。
この結果、撹拌体の使い残しや廃棄を防止することができる。
【0027】
また、実施例1に係る調製済表層材1の混合体6を中に含有される樹脂系接着剤3には酢酸ビニル系の接着剤を、より具体的にはEVA樹脂(Ethylene Vinylacetate copolymer)を用いている。
また、実施例1に係る調製済表層材1の混合体6を調製する場合、100重量部の骨材2に対して樹脂系接着剤3が1〜5重量部が添加され、さらに、100重量部の骨材2に対して水4が5〜15重量部添加されている。
この場合、樹脂系接着剤3の添加量が1重量部よりも少ないと骨材2の十分な接着効果が発揮されなくなる。他方、樹脂系接着剤3の添加量が5重量部を超えると、基盤上に撹拌体により表層を形成し硬化させた際に、樹脂系接着剤3を構成する樹脂分が表層の表面に浮き上がり、表層に触れた際にべたつき感を生じたり、骨材2の自然な風合いが損なわれる等の不具合が生じて好ましくない。
また、水4の添加量が5重量部よりも少ないと、混合体6が高粘度体となってしまい撹拌が困難になるという不具合が生じ、樹脂系接着剤3を骨材2の隅々にまで行き渡らせることが困難となる。他方、水4の添加量が、15重量部を超えた場合でも撹拌体としての使用には何ら支障はないが、混合体6の体積及び重量が大きくなり、搬送や保管が不利になる。
従って、樹脂系接着剤3の添加量及び水の添加量を、骨材2の重量を基準にしてそれぞれ1〜5重量部、5〜15重量部の範囲内とすることで、撹拌体が硬化してなる表層を骨材2の色合いや触感が活かされたものにすることができ、かつ、包装容器体5内に収容される骨材2の隅々にまで樹脂系接着剤3を分散させて行き渡らせることができ、しかも、包装容器体5に収容される混合体6の容積及び重量を最少にすることができるという効果を有する。
そして、これにより、実施例1に係る調製済表層材1の搬送にかかるコストを低減することができるだけでなく、調製済表層材1を保管するためのスペースも最少にすることができる。
【0028】
さらに、実施例1に係る調製済表層材1の骨材2は、固形物からなりその平均粒径が概ね5mm以下であればどのようなものでも用いることができる。
骨材2として使用可能なものとしては、例えば、砂礫、砕石、木質系材料の粉砕物又は成形体、固形ゴム等の粉砕物又は成形体、もみ殻、植物の種子又は果実の乾燥体、セラミックス粉砕体又は成形体、廃棄建材(瓦、木質建材を含む)の粉砕体、廃棄ガラスの粉砕体、固形合成樹脂粉砕体又は成形体、固形状にした繊維集合体等がある。
そして、廃棄建材や廃棄ガラス等を用いた場合、骨材2の調達にかかるコストを安価にすることができる。また、建築廃材や廃棄ガラス等のリサイクルを促進することができるという効果を有する。
【0029】
また、実施例1に係る調製済表層材1の混合体6を製造する場合、骨材2に計量された水4を添加して十分に撹拌した後に、計量された樹脂系接着剤3(粉体又は粒体)を添加する(パターン1)ことが望ましい。
これに対して、例えば、骨材2に樹脂系接着剤3(粉体又は粒体)を添加して撹拌した後に、水4を加える方法(パターン2)では、骨材2と樹脂系接着剤3とを混合する際に粉塵が発生して作業がしづらく好ましくない。
また、水4に樹脂系接着剤3(粉体又は粒体)を添加して混合した後、骨材2を添加して撹拌する方法(パターン3)では、詳細な原因は不明であるが、樹脂系接着剤3の接着力が低くなるという不具合が生じてしまう。
このため、骨材2と樹脂系接着剤3と水4は、上述のパターン1の手順に従って撹拌・混合することが望ましい。
【0030】
さらに、混合体6に、骨材2、樹脂系接着剤3及び水4に加えて、水分散性を有する着色料又は着色剤を加えて着色してもよい。なお、着色料又は着色剤の添加量は、骨材2の全量に対してごく僅かであるため、樹脂系接着剤3や水4の添加量を変える必要はない。
このような着色された調製済表層材1によれば、様々な色彩を有する表層を用意に提供することができるという効果を有する。
また、調製済表層材1の混合体6を製造する際に、予め、着色料又は着色剤を添加しておくことで、現場でその都度着色料又は着色剤を添加して色彩の調整を行う場合に比べて、表層の色むらも生じ難くすることができるという効果を有する。
【0031】
そして、このような実施例1に係る調製済表層材1は、包装容器体5を開封し、混合体6の一部を取り分けて使用し、残りの一部を包装容器体5内に残した状態であっても、包装容器体5の口を封じるなどして混合体6中の水分の蒸発を防止することで、包装容器体5内での混合体6の長期間保存も可能である。
また、自然に蒸発した水4を追加してやることで、混合体6をさらに長期間の間保存することも可能である。
このように、実施例1に係る調製済表層材1は、樹脂系接着剤3として水分の蒸発で樹脂分が不可逆的に硬化するものを用いることで、被塗布面に塗布可能な撹拌体とするのに必要な全ての材料を予め撹拌・混合済みの濃縮状態で包装容器体5内に収容保存することが可能になっている。
この場合、従来の調製済み表層材(例えば、特許文献1に開示される発明)のように、塗布可能な状態とするための材料の少なくとも一部を欠いた状態で供給されるものとは異なり、施工現場における撹拌・混合の手間の省略することができるとともに、使い残しの混合体6が硬化して使用不能になる等の不具合を防止して無駄なく最後まで混合体6を使い切ることができるという効果を有する。
【実施例2】
【0032】
本発明の実施例2に係る表層形成方法について図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の実施例2に係る表層形成方法のフローチャートである。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係る表層形成方法7は、上述の実施例1に係る調製済表層材1を用いた表層形成方法である。
具体的には、図2に示すように、まず実施例1に係る調製済表層材1の包装容器体5を開封して所望の量の,又は,全ての混合体6を取り出して容器に移してから、取り出した混合体6に希釈用(粘度調整用)の水4を加えて撹拌してモルタル状の撹拌体とする(ステップS1)。なお、粘度調製用の水4の添加量は特に記載しないが、被塗布面に撹拌体を塗布した際に、撹拌体が被塗布面から垂れたり、流れたりしない程度の粘度に調整することが望ましい。また、撹拌体を厚塗りしたい場合には、水4の添加量を少なくして撹拌体の粘度を高めに調整するとよい。
このように水4が加えられることでモルタル状に希釈された混合体6(撹拌体)は、骨材2と樹脂系接着剤3とがほぼ均質に混合されているので、基盤からなる被塗布面への塗布が直ちに可能である。
そして、ステップS1に続くステップS2は、上記撹拌体を被塗布面に塗布する工程である。
【0033】
本発明の実施例1に係る調製済表層材1は、混合体6に水4を加えてなる撹拌体が硬化したものは、それ自体で荷重を支えたり構造材として利用できる程度の強度を有するものではない。このため、それのみを路上の舗装材や壁材として用いることはできないので、この撹拌体を塗布する被塗布面を、耐荷重性又は強度を有する基盤により構成しておく必要がある。
すなわち、発明の実施例1に係る調製済表層材1は、耐荷重性又は強度を有する基盤の表面の色やテクスチャーを変えるための表面仕上げ材である。また、基盤は撹拌体が硬化してなる表層を補強するという作用を有する。
従って、ステップ1において調製された撹拌体が塗布される基盤としては、例えば、アスファルト舗装,又は,コンクリート製床又は壁,又は,セラミックス製建築材,又は,金属板,又は,コンクリート製建築材,又は,石材,又は,木製建築材,又は,土壁,又は,土砂とセメント系硬化剤の混合物による舗装面等のように剛性があり、接着剤の接着効果が発揮されるものであればどのようなものでも使用可能である。なお、土砂とセメント系硬化剤の混合物の具体例としては、本願出願人が開発し、製造販売しているハーデンソイル(登録商標)が適しているが、その他の土砂とセメント系硬化剤の混合物を用いてもよい。
【0034】
図3は本発明の実施例1に係る調製済表層材を用いた表層の一例を示す断面図である。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。ここでは、実施例1に係る調製済表層材を、例えば、壁面に塗布する場合について説明する。
ステップS2では、例えば図3に示すように、素地8上に硬質の平板材からなる基盤9が貼設された被塗布面11上に、薄く(壁面の場合、例えば2〜3mm程度の厚さとなるように)撹拌体10をコテ等で均一に塗布する。
なお、アスファルト舗装面上等の地表面上に塗布する場合には、撹拌体10は少なくとも2mmを超えるように塗布すればよい。より好ましくは、2〜5mm程度の厚さとなるよう塗布すればよい。
さらに、被塗布面11である基盤9の表面は、撹拌体10を塗布する前に予め水で濡らしておくとよい。この場合、被塗布面11への撹拌体10の接着性を高めることができるという効果を有する。
【0035】
そして、基盤9の被塗布面11上に塗布された撹拌体10は空気との接触により水4が蒸発して、水4中に分散していた樹脂系接着剤3を構成する樹脂分が互いに接触して付加逆的に硬化することで表層12が形成される。
なお、ステップS2を完了した後は、撹拌体10に雨水が当たらないようにして樹脂系接着剤3の硬化が十分に完了するまで放置する(ステップS3)。
上述のような、実施例2に係る表層形成方法7によれば、先に述べた実施例1に係る調製済表層材1を用いることで、骨材2と樹脂系接着剤3とが十分に撹拌・混練されたモルタル状の撹拌体10を施工現場において短時間で準備することができるという効果を有する。
この場合、現場において骨材2や樹脂系接着剤3を個別に計量する必要がない。より具体的には、実施例2に係る表層形成方法7においては、調製済表層材1に密封される混合体6を取り出して、塗布に適した粘度になるまで混合体6に水4を加えて混ぜるだけでよい。つまり、施工者の習熟の程度によらず、また、撹拌体10の調製量の多少によらず、容易に施工現場において均質なモルタル状の撹拌体10を準備することができる。
そして、被塗布面11に撹拌体10を塗布した場合に、骨材2と樹脂系接着剤3の配合割合にムラが生じて、硬化後に剥離やひび割れが生じる等の不具合の発生を防止することができる。
つまり、施工時には施工面積の大小によらず施工作業を短縮することができ、施工後は高品質な表層12(仕上げ面)を提供することができるという効果を同時に発揮することができる。
また、撹拌体を硬化してなる表層12は、骨材2があたかもそのまま舗装面上や壁面に敷き詰められているかのような、自然で美しい仕上げ面を形成するという効果を有する。さらに、表層12は、基盤9の表面を被覆して装飾するだけでなく、傷んだ基盤9の表面を補修して補強するという効果も有する。
また、冬季の低温や、真夏の直射日光に対しても十分な耐性を有し、被塗布面を保護するとともに、基盤と共同して十分な強度を有しかつ見た目に美しい舗装面や壁面を構成するという効果を有する。
【0036】
また、実施例2に係る表層形成方法7の粘度調製工程(ステップS1)において、水4に加えて着色料又は着色剤を加えてもよい。
この場合、混合体6を施工現場において着色したり、あるいは、既に着色済の混合体6の色を施工現場において適宜調整することができるという効果を有する。
また、色の調整を行う場合に、混合体6に添加する着色料又は着色剤の量は、混合体6の重量に応じて比例させて調整すればよいので、モルタル状の撹拌体10の調製作業を複数回に分けて行う場合でも、撹拌体10の色の差を小さくすることができるという効果を有する。
従って、複数回に分けて、着色料又は着色剤を加えながら調製した撹拌体10を用いて表層を形成した場合でも撹拌体10を塗布した表層全体の色を容易にほぼ均一にすることができるという効果を有する。
よって、この点からも高品質な表層(仕上げ面)を提供することができるという効果を有する。
さらに、施工現場において顧客のニーズにこたえて撹拌体10の微妙な色彩や色調の変更が可能になるので、品質の高い表層(仕上げ面)を提供することができるという効果も有する。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明したように、本発明は規模の大小に関わらず基盤上を表層材で被覆する表面仕上げを行なう場合に、骨材と接着剤である樹脂系接着剤の混練作業を大幅に短縮するとともに、施工者の熟練度合いによって施工面の仕上がり具合に大きな差が出るのを抑制することのできる調製済表層材およびそれを用いた表層形成方法であり、建築や土木に関する分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
1…調製済表層材 2…骨材 3…樹脂系接着剤 4…水 5…包装容器体 6…混合体 7…表層形成方法 8…素地 9…基盤 10…撹拌体 11…被塗布面 12…表層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の固形物からなる骨材と、水分散性で,水分の蒸発により樹脂が不可逆的に硬化する樹脂系接着剤と、粘度を調整する水と、前記骨材及び前記樹脂系接着剤及び前記水の混合体を密封した状態で収容する包装容器体とを有し、
前記混合体における前記水は、使用時必要水量の一部を構成して調製され、
前記包装容器体を開封した際に、前記使用時必要水量の残量を前記混合体に加えて粘度を低下させて使用することを特徴とする調製済表層材。
【請求項2】
前記樹脂系接着剤の添加量は、前記骨材100重量部に対しての1〜5重量部であり、
前記混合体における前記水の添加量は、前記骨材100重量部に対して5〜15重量部であることを特徴とする請求項1記載の調製済表層材。
【請求項3】
前記骨材は、建築廃材又は廃ガラスを破砕して粒状にしたものを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の調製済表層材。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の調製済表層材における前記包装容器体内の混合体の少なくとも一部を容器に移し,水を加えて撹拌してモルタル状の撹拌体にする第1の工程と、
この第1の工程の後に、前記撹拌体を水で濡らした基盤上に塗布する第2の工程と、
この第2の工程の後に、塗布済み前記撹拌体を硬化させる第3の工程とを有することを特徴とする表層形成方法。
【請求項5】
前記基盤は、アスファルト舗装,又は,コンクリート製床又は壁,又は,セラミックス製建築材,又は,金属板,又は,コンクリート製建築材,又は,石材,又は,木製建築材,又は,土壁,又は,土砂とセメント系硬化剤の混合物による舗装面であることを特徴とする請求項5記載の表層形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−127337(P2011−127337A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286869(P2009−286869)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(593016190)
【Fターム(参考)】