説明

講義配信システム

【課題】マルチキャスト配信される講義映像と補習データの受講者が指定した区間を蓄積し、復習することのできる講義配信システムを提供する。
【解決手段】ネットワーク30を介して接続された、講義情報および1つ以上の補習情報を配信情報として配信する講義配信サーバ20と配信情報を受信する講義受講者端末10とを有する講義配信システム1であって、講義配信サーバ20は、講義情報を格納し、補習情報を格納し、受講者情報に基づいて講義の所定区間毎の難易度を算出し、難易度に基づいて講義の特定区間に対応する補習情報の中から配信を行う特定補習情報を選択し、講義映像の配信速度に基づいて特定補習情報の配信速度を指定し、配信速度に基づいて講義映像および特定補習情報を配信情報として講義受講者端末10へ配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチキャスト型伝送により送信される講義コンテンツデータを再生すると同時に蓄積し、蓄積したコンテンツを再利用し学習支援する講義配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の講義配信システムは、予め蓄積保存した講義映像と講義資料を受講者の都合にあわせて配信し、講義を視聴できる非同期型と、予め決められた時間に講義映像と講義資料を受講者に配信し、受講者が講義を視聴する同期型がある。非同期型の講義配信システムでは、映像配信をオンデマンドで配信するのが一般的であり、受講者は映像の一時停止や巻戻しをすることで講義を復習することができる。一方、同期型の講義配信システムでは、一方的に配信される講義映像を利用者は、リアルタイムで視聴し、場合によっては視聴映像を蓄積し、復習用として利用する。
【0003】
また、同期型の配信システムで、ブロードキャストまたはマルチキャストで配信される映像データを受信して、受信した映像データを蓄積し、受信データ視聴中のユーザ操作により蓄積された映像の視聴を制限するシステムがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−14266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の同期型の講義配信システムにおいては、講義に関連する情報を閲覧する場合に、講義映像を止めて復習することができないという事情があった。一方で、講義映像を録画し、講義を復習することができるが、講義映像のすべてを録画するため、より大きい蓄積媒体が必要になる。また、非同期方の講義配信システムにおいては、視聴している講義映像の巻戻しや早送り、一時停止といった操作が可能であるが、ユニキャスト配信であるため受講者が増加によるネットワーク負荷が増大するという事情があった。
【0005】
本発明は、従来の事情を鑑みてなされたものであって、マルチキャスト配信により講義本編映像とそれに関連する補習映像および補習データを配信し、受講者が必要な区間だけを蓄積することのできる受信端末、講義配信サーバ、講義配信システム、講義配信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の講義配信サーバは、講義の映像を含む講義情報を格納する講義情報格納部と、前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報を格納する補習情報格納部と、前記講義の所定区間を受講した受講者のレベルを含む受講者情報に基づいて、前記講義の所定区間毎の難易度を算出する区間情報算出部と、前記難易度に基づいて、前記講義の所定区間のうちの特定区間に対応する前記補習情報の中から配信を行う特定補習情報を選択する補習情報選択部と、前記講義情報および前記特定補習情報のデータ量に基づいて、前記特定補習情報の配信速度を指定する配信速度指定部と、前記配信速度に基づいて、前記講義情報および前記特定補習情報を配信する配信部とを有する構成としている。
【0007】
この構成により、講義映像の中でより難易度の高い部分の補習データを講義映像と共にに送信することができ、受講者側で難易度の高い部分の復習を効率よくできることになる。また、講義内容に合わせた適切な配信速度が決定されるため、効果的に講義内容を学習することができる。
【0008】
また、本発明の第1の受信端末は、講義の映像を含む講義情報および前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報を配信情報として配信する講義配信サーバから前記配信情報を受信する配信情報受信部と、前記配信情報のうち、前記講義情報および前記補習情報のそれぞれについて、保存を行う保存区間を指定する保存区間指定部と、前記保存区間指定部による指定に基づいて、前記保存区間に該当する前記講義情報および前記補習情報を蓄積する配信情報蓄積部と、を有する構成としている。
【0009】
この構成により、受講者が復習する区間の映像および補習データのみを蓄積することが可能となり、使用する蓄積媒体の容量を抑えることとなる。
【0010】
また、本発明の第2の受信端末は、前記配信情報が、前記講義の所定区間における難易度に関する難易度情報を含み、前記難易度と所定の難易度とを比較する難易度比較部と、前記比較部による比較結果に基づいて、前記受講者へ前記講義の前記所定区間の復習を促す復習促進画面を表示する画面表示部とを有する構成としている。
【0011】
この構成により、受講者は補習対象区間を容易に判断することができ、効率よく復習できるようになる。
【0012】
また、本発明の第3の受信端末は、前記配信情報蓄積部に蓄積された講義情報および補習情報を蓄積情報として取得する蓄積情報取得部と、前記蓄積情報の区間における前記講義の映像の再生時間および前記補習映像の総再生時間に基づいて、前記講義の映像の再生速度を指定する再生速度指定部と、前記再生速度に基づいて、前記蓄積情報に含まれる講義の映像および前記補習情報を再生し同一画面上に表示する蓄積情報再生表示部とを有する構成としている。
【0013】
この構成により、講義復習時により多くしかも効率的に画面を表示することができ、復習効率を上げることとなる。
【0014】
また、本発明の第1の講義配信システムは、ネットワークを介して接続された、講義の映像を含む講義情報および前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報を配信情報として配信する講義配信サーバと前記配信情報を受信する受信端末とを有する講義配信システムであって、前記講義配信サーバは、前記講義情報を格納する講義情報格納部と、前記補習情報を格納する補習情報格納部と、前記講義の所定区間を受講した受講者のレベルを含む受講者情報に基づいて、前記講義の所定区間毎の難易度を算出する区間情報算出部と、前記難易度に基づいて、前記講義の所定区間のうちの特定区間に対応する前記補習情報の中から配信を行う特定補習情報を選択する補習情報選択部と、前記講義情報および前記特定補習情報のデータ量に基づいて、前記特定補習情報の配信速度を指定する配信速度指定部と、前記配信速度に基づいて、前記講義映像および前記特定補習情報を前記配信情報として前記受信端末へ配信する配信部とを有する構成としている。
【0015】
この構成により、講義映像の中でより難易度の高い部分の補習データを講義映像と共にに送信することができ、受講者側で難易度の高い部分の復習を効率よくできることになる。また、講義内容に合わせた適切な配信速度が決定されるため、効果的に講義内容を学習することができる。
【0016】
また、本発明の第2の講義配信システムは、前記受信端末が、前記講義配信サーバから前記配信情報を受信する配信情報受信部と、前記配信情報のうち、前記講義情報および前記補習情報のそれぞれについて、保存を行う保存区間を指定する保存区間指定部と、前記保存区間指定部による指定に基づいて、前記保存区間に該当する前記講義情報および前記補習情報を蓄積する配信情報蓄積部と、を有する構成としている。
【0017】
この構成により、受講者が復習する区間の映像および補習データのみを蓄積することが可能となり、使用する蓄積媒体の容量を抑えることとなる。
【0018】
また、本発明の第1の講義配信方法は、講義の映像を含む講義情報が格納されるステップと、前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報が格納されるステップと、前記講義の所定区間を受講した受講者のレベルを含む受講者情報に基づいて、前記講義の所定区間毎の難易度が算出されるステップと、前記難易度に基づいて、前記講義の所定区間のうちの特定区間に対応する前記補習情報の中から配信が行われる特定補習情報が選択されるステップと、前記講義情報および前記特定補習情報のデータ量に基づいて、前記特定補習情報の配信速度が指定されるステップと、前記配信速度に基づいて、前記講義情報および前記特定補習情報が配信されるステップとを有する方法としている。
【0019】
この方法により、講義映像の中でより難易度の高い部分の補習データを講義映像と共にに送信することができ、受講者側で難易度の高い部分の復習を効率よくできることになる。また、講義内容に合わせた適切な配信速度が決定されるため、効果的に講義内容を学習することができる。
【0020】
また、本発明の第1の受信方法は、講義の映像を含む講義情報および前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報を配信情報として配信する講義配信サーバから前記配信情報が受信されるステップと、前記配信情報のうち、前記講義情報および前記補習情報のそれぞれについて、保存が行われる保存区間が指定される保存区間指定ステップと、前記保存区間指定ステップにおける指定に基づいて、前記保存区間に該当する前記講義情報および前記補習情報が蓄積されるステップと、を有する方法としている。
【0021】
この方法により、受講者が復習する区間の映像および補習データのみを蓄積することが可能となり、使用する蓄積媒体の容量を抑えることとなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、講義環境全体のネットワーク負荷を軽減し、講義受講者の蓄積媒体の容量を抑え、講義受講者が効率よく短時間で講義の復習ができるという効果を有する講義配信サーバ、受信端末、講義配信システム、講義配信方法、および受信方法を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態の講義配信システムについて、図面を用いて説明する。
【0024】
(実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態における講義配信システム1のブロック図である。
図1において、本発明の実施形態における講義配信システム1は、講義受講者端末10、講義配信サーバ20、およびネットワーク30を有して構成されている。講義受講者端末10は、講義配信サーバ20から送信される講義本編映像データを受信し、逐次再生し、画面表示するとともに、講義本編映像と同時に送信される補習映像および補習データを必要部分だけ蓄積する。講義配信サーバ20は、講義の本編映像、その補習映像、および補習データを複数の講義受講者端末10にマルチキャスト配信する。ネットワーク30は、講義受講者端末10と講義配信サーバ20とを接続している。
【0025】
講義配信サーバ20は、本編映像データ格納部201、補習映像関連データ格納部202、補習区間受信部203、区間情報集計部204、区間難易度集計情報格納部205、補習データ選択部206、配信データ制御部207、データ読込部208、データ送信部209を有する。
【0026】
ここで、本編映像データ格納部201は講義情報格納部の一例である。また、補習映像関連データ格納部202は補習情報格納部の一例である。また、区間情報集計部204は区間情報算出部の一例である。また、補習データ選択部206は補習情報選択部の一例である。また、配信データ制御部207は配信速度指定部の一例である。データ送信部209は配信部の一例である。
【0027】
本編映像データ格納部201は、講義本編映像データを格納する。補習映像関連データ格納部202は、本編映像の中のチャプターにより区分された区間に関連する複数の補習映像データと画像、テキストなどの補習データを格納する。補習区間受信部203は、講義受講者端末10から送信される補習区間情報を受信する。
【0028】
区間情報集計部204は、複数の受講者端末10から受信した補習区間情報を集計する。区間難易度情報データ格納部205は、区間情報集計部204により出力される区間難易度情報データを格納する。補習データ選択部206は、区間難易度情報データにより、上記複数の補習映像データ、補習データからその区間に適した補習映像データ、補習データを選択する。
【0029】
配信データ制御部207は、配信する本編映像のデータ量と各区間での補習データのデータ量をもとに補習データのデータ配信速度を制御する。データ読込部208は、本編映像データ201と補習データ選択部206により選択された補習映像および補習データとを逐次読み込む。データ送信部209は、データ読込部208、配信データ制御部207から受け渡る本編映像データと補習データを講義受講者端末10に送信する。
【0030】
また、講義受講者端末10は、配信データ受信部101、本編データ取得部102、本編映像再生部103、受信データ蓄積部104、蓄積媒体105、ユーザ操作受付部106、蓄積保存判断部107、補習区間通知部108、蓄積映像再生部109、難易度判断部110、メッセージ表示部111を有する。
【0031】
ここで、講義受講者端末10は受信端末の一例である。また、配信データ受信部101は配信情報受信部の一例である。また、ユーザ操作受付部106は保存区間指定部の一例である。また、受信データ蓄積部104は配信情報蓄積部の一例である。また、難易度判断部110は難易度比較部の一例である。また、メッセージ表示部111は画面表示部の一例である。また、蓄積映像再生部109は蓄積情報取得部、再生速度指定部、蓄積情報再生表示部の一例である。
【0032】
データ受信部101は、講義配信サーバ20から送信される本編映像データおよび補習データを受信する。本編データ取得部102は、データ受信部101によって受信した受信データを解析し、受信したデータから本編映像データのみを取得する。本編映像再生部103は、本編データ取得部102によって取得したデータを逐次再生し画面表示する。本編映像再生部103による再生画面の一例を図10(a)に示す。尚、CH1は本編映像データを示している。
【0033】
受信データ蓄積部104は、受信した本編映像データおよび補習データを区間ごとに蓄積媒体105に保存する。蓄積媒体105は、受信データ蓄積部104の指示によって、受信したデータを蓄積する。ユーザ操作受付部106は、受講者が分かり難いと判断した時点での操作を受け付ける。
【0034】
蓄積保存判断部107は、ユーザ操作受付部106によるユーザ操作の有無により、蓄積する本編映像、補習映像、および補習データを削除するか残すかを判断する。補習区間通知部108は、ユーザ操作を受け付けた時点での再生されている本編映像の区間を講義配信サーバ20に通知する。蓄積映像再生部109は、本編映像視聴後、蓄積媒体105に蓄積した本編映像、補習映像、および補習データを再生し同一画面上に表示する。蓄積映像再生部109による再生画面の一例を図10(b)に示す。尚、CH1は本編映像データ、CH2は補習映像および補習データを示している。
【0035】
難易度判断部110は、受信した本編映像データに付与された難易度情報と予め受講者により設定された難易度設定とを比較する。メッセージ表示部111は、難易度判断部110の情報により受講者にメッセージを通知する。このメッセージは本編映像再生部103の再生画面に重畳して表示することが可能である。
【0036】
以上のように構成された講義配信システム1について、その動作を説明する。
【0037】
まず、講義配信サーバ20の動作について説明する。
最初に、本編映像の各区間の難易度を設定する動作について説明する。
補習区間受信部203は、マルチキャスト配信される本編映像を再生している複数の講義受講者端末10が送信する区間情報を受信し、区間情報集計部204は、受信した区間情報、受講者ID情報などを集計し、例えば図2のような区間難易度集計情報を作成する。
【0038】
区間難易度集計情報は区間難易度集計情報格納部205に格納されており、現状の本編映像の各区間の難易度、各区間で補習データを取得した受講者の情報が格納されている。さらに、受講者ごとに補習する区間の難易度を集計し、受講者ごとのレベルを決める。ここで決定した受講者のレベルと各区間で補習データを取得した受講者の情報を照らし合わせ、各区間の難易度を決定する。決定した各区間の難易度を本編映像の各区間の難易度として更新し保存する。
【0039】
次に配信する補習データを選択する動作について説明する。
講義配信サーバ20は、既に蓄積保存されている本編映像データ格納部201に格納された本編映像を予めチャプターごとに区分けし区間ごとに管理する。そして、補習映像関連データ格納部202に格納された複数の補習映像および補習データは、図3に示すような管理情報で区間ごとに管理する。
【0040】
図3は本発明の実施形態における区間管理情報の一例を示した図である。図3では、例えば、補習コンテンツとして、本編映像の区間mの補習映像として補習映像m1、補習映像m2、補習映像m3の3個、補習データとして補習データm1、補習データm2、補習データm3の3個、が存在することを示している。
【0041】
補習データ選択部206は、各区間ごとの区間の難易度をもとに上記で管理される補習コンテンツを選択し、配信コンテンツ情報に格納する。例えば、図4に示すように、区間番号1の難易度は0であり、難易度が低いため補習データ11のみ、区間番号nの難易度は5であり、難易度が高いため補習映像n1、補習映像n2、補習映像n3、補習映像n4、補習データn1、補習データn2、補習データn3、補習データn4とより多くの補習コンテンツを配信対象とする。図4は本発明の実施形態における配信対象補習コンテンツ一覧の一例を示した図である。
【0042】
次に、上記で関連づけられた配信対象となった補習映像および補習データと本編映像をマルチキャスト配信する動作について図5を用いて説明する。図5は本発明の実施形態におけるマルチキャスト配信を行う際の動作フロー図である。
【0043】
配信データ制御部207は、講義配信サーバ20内部の本編映像データ格納部201に既に蓄積保存されている本編映像のデータ量と再生時間を取得する(ステップS101)。ステップS101において取得された本編映像データ量と再生時間により、配信データ制御部207は、本編映像の配信速度を決定する(ステップS102)。さらに、配信データ制御部207は、配信コンテンツ情報を参照し、配信対象のすべての補習映像および補習データのデータ量を取得し(ステップS103)、取得された本編映像の再生時間と補習映像および補習データのデータ量により補習配信速度を算出する(ステップS104)。
【0044】
例えば、本編映像の再生時間が90分、本編映像データのデータ量が2.7ギガバイト、配信対象の補習映像データおよび補習データの総データ量が4.05ギガバイトの場合、本編映像データの配信速度は4Mbps、補習映像データおよび補習データの配信速度は6Mbpsとなる。
【0045】
次にデータ読込部208は、読込む本編映像データが存在する場合(ステップS105)、本編映像配信速度に応じた本編映像データを本編映像データ格納部201から読込む(ステップS106)。配信データ制御部207は、区間難易度集計情報を参照し、区間番号に読込んだ本編映像データに該当する区間番号と該当する難易度を付与する(ステップS107)。
【0046】
同時にデータ読込部208は、補習配信速度に応じた補習映像データまたは補習データを補習映像関連データ格納部202から読込み(ステップS108)、配信データ制御部207は、読込んだ補習映像データまたは補習データに該当する区間番号を付与する(ステップS109)。そして配信データ制御部207は、本編映像データにチャンネル番号を付与し、補習映像データまたは補習データに本編映像データに付与したチャンネル番号とは別のチャンネル番号を付与する(ステップS110)。
【0047】
図6に本編映像データ600と補習映像データおよび補習データ610の構成例を示す。図6は本発明の実施形態における本編映像データ600と補習映像データおよび補習データ610の構成例を示す図である。本編映像データ600は、送信する本編映像データ600にチャンネル番号601、その映像データの区間番号602、難易度ランク603が付与され、補習映像データおよび補習データ610は、チャンネル番号611とそのデータの区間番号612を付与された構成となる。
【0048】
そして、データ送信部209は、本編映像データ600と補習映像データまたは補習データ610をネットワーク30上にマルチキャスト配信する(ステップS111)。
【0049】
図7に講義配信サーバ20がマルチキャスト配信する送信データ列の一例を示す。図7は本発明の実施形態におけるマルチキャスト配信データ列の一例を示した図である。図7では、難易度2の区間m−1、難易度5の区間m、および難易度3の区間m+1が含まれており、それぞれの区間にCH1の本編講義映像、CH2の補習映像および補習データが含まれている。
【0050】
ステップS111の処理が終了すると、ステップS105の処理へ戻り、読込む本編映像データが存在しなくなるまでステップS105〜S111の処理を行う。
【0051】
また、同時に配信する本編映像データ600と補習映像データおよび補習データ610の区間番号は同一とは限らない。また、図7の例では、難易度の高い区間mの補習映像データまたは補習データ610は、区間mの難易度よりも低い難易度の前区間m−1、後区間m+1でも配信されるようになっている。
【0052】
次に、講義受講者端末10の動作について説明する。
最初に、講義受講者端末10で行う配信データの再生、蓄積における処理フローについて図8を用いて説明する。図8は本発明の実施形態における蓄積処理の動作フロー図である。
【0053】
まず、配信データ受信部101は、受信データがあるかどうか判断し(ステップS201)、あれば配信データを受信し(ステップS202)、なければ処理は終了する。受信データがある場合、本編データ取得部102は受信データのチャンネル番号から本編データを取得し(ステップS203)、本編映像再生部103は取得した本編データの映像を再生する(ステップS204)。
【0054】
また、同時に、本編データ取得部102は、受信データのチャンネル番号から本編映像の区間番号を取得し(ステップS205)、蓄積保存判断部107は、取得した区間番号の前区間が保存区間かどうか判断する(ステップS206)。前区間が保存区間でなければ、蓄積保存判断部107は、蓄積媒体105に既に蓄積されている前区間の本編映像データを削除する(ステップS207)。
【0055】
ここで、ユーザ操作受付部106が補習データ蓄積指示を示すユーザイベントを受け付けていれば(ステップS208)、取得した本編映像区間を保存区間に登録する(ステップS209)。そして、受信した本編映像データは、受信データ蓄積部104により蓄積媒体105に蓄積される(ステップS210)。
【0056】
さらに、蓄積保存判断部107は、上記により本編映像区間取得後、受信データのチャンネル番号から補習データの区間番号を取得し(ステップS211)、上記で取得した本編映像区間と補習データ区間を比較する(ステップS212、ステップS216)。
【0057】
補習データ区間番号が本編映像区間番号の前区間である場合において、蓄積保存判断部107は、取得した補習データ区間が保存区間に登録されているか判断する(ステップS213)。登録されていれば、受信データ蓄積部104により受信した補習データを蓄積媒体105に蓄積する(ステップS215)。一方、登録されていなければ、蓄積保存判断部107は、既に蓄積されている補習データ区間の補習データを蓄積媒体105から削除する(ステップS214)。
【0058】
補習データ区間番号が本編映像区間番号と同じ場合において、蓄積保存判断部107は、取得した補習データ区間番号の前区間が保存区間かどうか判断する(ステップS217)。前区間が保存区間でなければ、蓄積保存判断部107は既に蓄積されている前区間の補習データを蓄積媒体105から削除する(ステップS218)。そして、受信データ蓄積部104により受信した補習データを蓄積媒体105の蓄積する(ステップS219)。補習データ区間番号が本編映像区間番号の後区間である場合は、受信データ蓄積部104により受信した補習データを無条件で蓄積媒体105に蓄積する(ステップS219)。
【0059】
ステップS219の処理が終了すると、ステップS201へ処理が戻り、受信データが存在しなくなるまでステップS201〜S219の処理が行われる。
【0060】
次に、補習を促進するメッセージ表示の動作について図9を用いて説明する。図9は本発明の実施形態における補習促進画面表示時の動作フロー図である。
講義受講者端末10において、ユーザ操作受付部106は、講義視聴前に予め受講者によって指定された難易度を保存する(ステップS301)。データ受信部101は、受信データがあるかどうか判断し(ステップS302)、あれば配信データを受信し(ステップS303)、なければ処理は終了する。
【0061】
受信データがある場合、本編データ取得部102は受信データのチャンネル番号から本編データを取得し、その区間番号を取得する(ステップS304)。蓄積保存判断部107は、取得した区間番号が保存されている区間番号と異なるか判断し(ステップS305)、異なる場合、取得した区間番号を保存する(ステップS306)。
【0062】
また、本編データ取得部102は、本編データから難易度を取得し(ステップS307)、難易度判定部110は取得した難易度が予め受講者により指定された難易度より高いかどうか判断する(ステップS308)。難易度が高い場合には、メッセージ表示部111は、図10(c)のような補習促進画面を本編映像再生画面に重ねて表示する(ステップS309)。尚、図10は本発明の実施形態における画面表示の一例を示した図である。
【0063】
ステップS309の処理が終了すると、ステップS302の処理へ戻り、受信データが存在しなくなるまで、ステップS302〜S309の処理を行う。
【0064】
次に、受講者が指示した補習区間情報を講義配信サーバ20に通知する動作について説明する。本動作に関しては、説明のための図を省略している。
ユーザ操作受付部106は、リモコン装置、キーボード装置、マウス装置等のユーザインターフェースを介して、受講者により補習区間取得指示されるとユーザイベントを受け付ける。そして、本編データ取得部102は、配信データ受信部101により現在受信している本編データから区間番号を取得し、補習区間通知部108は、取得した区間番号を講義配信サーバ20に送信する。
【0065】
次に、本編映像視聴後に、本編映像視聴中に蓄積した本編映像と補習映像、補習データにより復習するための蓄積映像再生部109の再生フローについて図11を用いて説明する。図11は本発明の実施形態における蓄積映像再生時の動作フロー図である。
【0066】
まず、蓄積映像再生部109は再生該当区間を1から順に選択し、再生該当区間があるかどうか判断する(ステップS401)。再生該当区間がなければ終了する。再生該当区間があれば、蓄積映像再生部109は蓄積媒体105に蓄積された本編映像の再生該当区間における再生時間を取得する(ステップS402)。また、再生該当区間に補習映像があれば、蓄積映像再生部109は再生該当区間における補習映像の総再生時間を取得する(ステップS403)。
【0067】
上記で取得した本編映像と補習映像の再生時間をもとに、蓄積映像再生部109は、補習映像の再生速度を1として本編映像の再生速度および繰り返し回数を決定する(ステップS404)。例えば、該当区間における本編映像の再生時間が7分、補習映像の再生時間が10分とすると、本編映像の再生速度は0.7倍速となる。また、補習映像がない区間の場合は、本編映像を等倍にする。そして、蓄積映像再生部109は再生速度に応じて本編映像データを蓄積媒体105から読込み(ステップS405)、上記で決定された再生速度で本編映像を再生する(ステップS406)。
【0068】
同時に、蓄積映像再生部109は補習データを蓄積媒体から読込み(ステップS407)、補習映像データと文字、画像データを分離する(ステップS408)。そして、蓄積映像再生部109は補習映像データを再生し(ステップS409)、文字、画像データを表示する(ステップS410)。
【0069】
さらに、蓄積映像再生部109は、ステップS406、S409、S410の処理が終了した後に、本編映像、補習映像、補習データを表示するレイアウトを構成し(ステップS411)、画面上に各映像、データを表示する(ステップS412)。
【0070】
ステップS412の処理が終了すると、ステップS401の処理へ戻り、再生該当区間がなくなるまで、ステップS401〜S412の処理を行う。
【0071】
このような本発明の実施形態における講義配信システム1によれば、ネットワーク30を介して接続された、講義の映像を含む講義情報および講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報を配信情報として配信する講義配信サーバ20と配信情報を受信する講義受講者端末10とを有する講義配信システム1であって、講義配信サーバ20は、講義情報を格納する本編映像データ格納部201と、補習情報を格納する補習映像関連データ格納部202と、講義の所定区間を受講した受講者のレベルを含む受講者情報に基づいて、講義の所定区間毎の難易度を算出する区間情報集計部204と、難易度に基づいて、講義の所定区間のうちの特定区間に対応する補習情報の中から配信を行う特定補習情報を選択する補習データ選択部206と、講義映像の配信速度に基づいて、特定補習情報の配信速度を指定する配信データ制御部207と、配信速度に基づいて、講義映像および特定補習情報を配信情報として講義受講者端末10へ配信するデータ送信部209とを有する構成とすることで、受講者が指示した部分のみの復習を短時間で行うことができ、難易度の高い部分をより多く復習することができ、講義受講者端末10の蓄積媒体105の容量を抑えることができ、また、講義環境全体のネットワーク30の負荷を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、講義環境全体のネットワーク負荷を軽減し、講義受講者の蓄積媒体の容量を抑え、講義受講者が効率よく短時間で講義の復習ができるという効果を有し、マルチキャスト型伝送により送信される講義コンテンツデータを再生すると同時に蓄積し、蓄積したコンテンツを再利用し学習支援する講義配信システム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態における講義配信システムのブロック図
【図2】本発明の実施形態における区間集計情報の例
【図3】本発明の実施形態における区間管理情報の例
【図4】本発明の実施形態における配信対象補習コンテンツ一覧の例
【図5】本発明の実施形態におけるマルチキャスト配信の動作フロー
【図6】本発明の実施形態における本編映像データと補習映像データおよび補習データのデータ例
【図7】本発明の実施形態におけるマルチキャスト配信データ列の例
【図8】本発明の実施形態における蓄積処理の動作フロー
【図9】本発明の実施形態における補習促進画面表示の動作フロー
【図10】本発明の実施形態における表示画面の例
【図11】本発明の実施形態における蓄積映像再生の動作フロー
【符号の説明】
【0074】
1 講義配信システム
10 講義受講者端末
20 講義配信サーバ
101 配信データ受信部
102 本編データ取得部
103 本編映像再生部
104 受信データ蓄積部
105 蓄積媒体
106 ユーザ操作受付部
107 蓄積保存判断部
108 補習区間通知部
109 蓄積映像再生部
110 難易度判定部
111 メッセージ表示部
201 本編映像データ格納部
202 補習映像関連データ格納部
203 区間情報受信部
204 区間情報集計部
205 区間難易度集計情報格納部
206 補習データ選択部
207 配信データ制御部
208 データ読込み部
209 データ送信部
600 本編映像データ
601 チャンネル番号
602 区間番号
603 難易度ランク
610 補習映像データおよび補習データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
講義の映像を含む講義情報を格納する講義情報格納部と、
前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報を格納する補習情報格納部と、
前記講義の所定区間を受講した受講者のレベルを含む受講者情報に基づいて、前記講義の所定区間毎の難易度を算出する区間情報算出部と、
前記難易度に基づいて、前記講義の所定区間のうちの特定区間に対応する前記補習情報の中から配信を行う特定補習情報を選択する補習情報選択部と、
前記講義情報および前記特定補習情報のデータ量に基づいて、前記特定補習情報の配信速度を指定する配信速度指定部と、
前記配信速度に基づいて、前記講義情報および前記特定補習情報を配信する配信部と、
を有する講義配信サーバ。
【請求項2】
講義の映像を含む講義情報および前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報を配信情報として配信する講義配信サーバから前記配信情報を受信する配信情報受信部と、
前記配信情報のうち、前記講義情報および前記補習情報のそれぞれについて、保存を行う保存区間を指定する保存区間指定部と、
前記保存区間指定部による指定に基づいて、前記保存区間に該当する前記講義情報および前記補習情報を蓄積する配信情報蓄積部と、
を有する受信端末。
【請求項3】
請求項2に記載の受信端末であって、
前記配信情報は、前記講義の所定区間における難易度に関する難易度情報を含み、
前記難易度と所定の難易度とを比較する難易度比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記受講者へ前記講義の前記所定区間の復習を促す復習促進画面を表示する画面表示部と、
を有する受信端末。
【請求項4】
請求項2に記載の受信端末であって、
前記配信情報蓄積部に蓄積された講義情報および補習情報を蓄積情報として取得する蓄積情報取得部と、
前記蓄積情報の区間における前記講義の映像の再生時間および前記補習映像の総再生時間に基づいて、前記講義の映像の再生速度を指定する再生速度指定部と、
前記再生速度に基づいて、前記蓄積情報に含まれる講義の映像および前記補習情報を再生し同一画面上に表示する蓄積情報再生表示部と、
を有する受信端末。
【請求項5】
ネットワークを介して接続された、講義の映像を含む講義情報および前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報を配信情報として配信する講義配信サーバと前記配信情報を受信する受信端末とを有する講義配信システムであって、
前記講義配信サーバは、
前記講義情報を格納する講義情報格納部と、
前記補習情報を格納する補習情報格納部と、
前記講義の所定区間を受講した受講者のレベルを含む受講者情報に基づいて、前記講義の所定区間毎の難易度を算出する区間情報算出部と、
前記難易度に基づいて、前記講義の所定区間のうちの特定区間に対応する前記補習情報の中から配信を行う特定補習情報を選択する補習情報選択部と、
前記講義情報および前記特定補習情報のデータ量に基づいて、前記特定補習情報の配信速度を指定する配信速度指定部と、
前記配信速度に基づいて、前記講義映像および前記特定補習情報を前記配信情報として前記受信端末へ配信する配信部と、
を有する講義配信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の講義配信システムであって、
前記受信端末は、
前記講義配信サーバから前記配信情報を受信する配信情報受信部と、
前記配信情報のうち、前記講義情報および前記補習情報のそれぞれについて、保存を行う保存区間を指定する保存区間指定部と、
前記保存区間指定部による指定に基づいて、前記保存区間に該当する前記講義情報および前記補習情報を蓄積する配信情報蓄積部と、
を有する講義配信システム。
【請求項7】
講義の映像を含む講義情報が格納されるステップと、
前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報が格納されるステップと、
前記講義の所定区間を受講した受講者のレベルを含む受講者情報に基づいて、前記講義の所定区間毎の難易度が算出されるステップと、
前記難易度に基づいて、前記講義の所定区間のうちの特定区間に対応する前記補習情報の中から配信が行われる特定補習情報が選択されるステップと、
前記講義情報および前記特定補習情報のデータ量に基づいて、前記特定補習情報の配信速度が指定されるステップと、
前記配信速度に基づいて、前記講義情報および前記特定補習情報が配信されるステップと、
を有する講義配信方法。
【請求項8】
講義の映像を含む講義情報および前記講義の所定区間の内容を補う補習映像を含む1つ以上の補習情報を配信情報として配信する講義配信サーバから前記配信情報が受信されるステップと、
前記配信情報のうち、前記講義情報および前記補習情報のそれぞれについて、保存が行われる保存区間が指定される保存区間指定ステップと、
前記保存区間指定ステップにおける指定に基づいて、前記保存区間に該当する前記講義情報および前記補習情報が蓄積されるステップと、
を有する受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−28823(P2008−28823A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200665(P2006−200665)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】