説明

識別コードを入力する方法

自動車において第1の装置から第2の装置に識別コードを送信する方法であって、前記識別コードは、前記第2の装置の電子セキュリティ機能をロック解除するようになっている方法において、複数個の識別コードを前記第1の装置に記憶させる段階と、前記識別コードの少なくとも1個に関連ある複数個の所定の各使用者識別情報の1個に対応しうる使用者識別情報を所定の機会に確認する段階と、前記使用者の識別情報が所定の識別情報と合致する場合に、前記使用者に関連ある前記識別コードを前記第1の装置から前記第2の装置に送信する段階とを構成する。本発明の目的は、前記第2装置がスイッチオンされる度毎に手動で識別コードを入力する必要性を回避することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置において識別コードを入力する方法に関する。本発明は、好ましくは、識別コードが繰り返し折々に入力される必要がある場合に用いられる。
【背景技術】
【0002】
近代の自動車には、多数の異なる電気装置がある。これらの装置のほとんどは、永久的に自動車に一体化されるが、取り外すこともできる数多くの装置がある。このような装置の例は、たとえば無線機、電話または電話加入情報カード(SIMカード)である。これらの装置は、いくつかの理由によって取外し可能とされうる。ひとつの理由は、自動車が使用されていないときに装置を取り外すことにより、装置が盗まれることを防ぐためでありうる。また他の理由は、装置が車外でも使用可能である、たとえば移動電話であるためでありうる。さらに他の理由は、装置が何台かの異なる自動車において用いられて、1台の自動車からまた他の自動車に移されうるためでありうる。
【0003】
たとえば大型の嵩高い無線機を持ち歩かなければならないことを避けるために、さまざまなコード機能の形態をとる盗難防止装置を備えた無線装置が入手可能である。この無線装置が、たとえば盗難の場合に、電源から接続解除されると、セキュリティ・コードが起動し、該コードが無線装置に入力されるまで該無線装置が使用されることを防ぐ。しかし、自動車がスイッチオフされているときは、点火装置がスイッチオフされていても、無線装置の特別な入力がバッテリに接続されるため、このコードは起動しない。
【0004】
これは、自動車において用いられる移動電話では不可能である。その代わりに、電話がスイッチオフされているときに、電話が再びスイッチオンされても電話の識別コードが入力されるまで電話が使用されることを不可能にする識別コード(PINコード)を起動させることができる。これにより、電話は、識別コードを用いてロック解除されうる電子ロックによりセキュリティ・モードとなる。以下において、電話の識別コードは、電話コードと呼ばれる。この電話コードの起動のためには、電話が手動でスイッチオフされなければならない。電話がドッキングステーションに取り付けられ、かつ電話への電力が遮断されても、電話は通常スイッチオフされずに、その代わりに電話の内蔵電池が電話に電力を供給する。
【0005】
同様の方法で、電話がスイッチオフされると、該電話が再びスイッチオンされてもSIMカードの識別コードが入力されるまで前記電話において前記SIMカードを使用することを不可能にする識別コードを起動させることができる。以下において、SIMカードの識別コードは、カード・コードと呼ばれる。このカード・コードの起動のためには、電話が手動でスイッチオフされなければならない。電話がドッキングステーションに取り付けられ、かつ電話への電力が遮断されても、電話は通常スイッチオフされずに、その代わりに電話の内蔵電池が電話に電力を供給する。
【0006】
しかし、電話が自動車に一体化されている場合は、点火装置がスイッチオフされるときに識別コードを起動させることができる。この識別コードは、電話コードおよび/またはカード・コードでありうる。電話は、自動車の電気系統に一体化され、かつさらにまた組み込まれているため、盗難の危険性は低い。したがって、SIMカードが起動されることを防いで、SIMカードが盗まれた場合に該カードを使用することができないようにする識別コードが最も一般的である。運転者が自動車に一体化された電話を有しており、かつ自動車を離れる場合は、点火装置がスイッチオフされると、前記電話の電圧源が作動解除され、すなわち電話のSIMカードはセキュリティ・モードにされるとともに、自動車を再始動させるときにカード・コードを入力して電子ロックをロック解除することが必要になる。これは、当然ながら、運転者にとって、特にたとえば頻繁に停止する必要がある配達用自動車を運転する運転者にとって極めて厄介でありうる。
【0007】
外部的にスイッチオフされうる移動電話の場合は、盗難に関する限り、最も安全な方法は、電話コードとカード・コードとの両方を起動させることである。これは、運転者が、自動車を始動させる度毎に2つの識別コードを入力しなければならないことを意味する。
【0008】
電話がスイッチオンされる度毎に識別コードを入力する必要性を回避するひとつの方法は、PINコード機能を作動解除すること、すなわち電話がスイッチオンされるときに識別コードを入力しなくてもよいように電話を設定することである。この方法の欠点は、一体化された電話の場合は、たとえば盗難に遭った場合にSIMカードが保護されないことである。移動電話の場合は、電話とSIMカードとのいずれもが保護されない。また、ある種の操作者はPINコード機能が作動解除されることを許可しないという場合もある。
【発明の開示】
【0009】
したがって、本発明の目的は、装置において識別コードを入力する方法において、識別コードの入力が単純かつ安全な方法で自動的に実行される方法を提供することにある。
【0010】
本発明にしたがった前記問題の解決策は、請求項1の主要部に記載されている。その他の請求項には、本発明にしたがった前記方法の有利な実施形態とさらなる開発形態とが示されている。
【0011】
自動車内の第1の装置から第2の装置に識別コードを送信する、本発明にしたがった方法は、複数個の識別コードを前記第1の装置内において記憶させる段階と、前記識別コードの少なくとも1個に関連ある複数個の所定の各使用者識別情報の1個に対応しうる使用者識別情報を所定の機会に確認する段階と、前記使用者の識別情報が所定の識別情報と一致する場合に、前記使用者に関連ある前記識別コードを前記第1の装置から前記第2の装置に送信する段階とによって行なわれる。この方法の利点は、単純かつ安全な方法で自動的に識別コードを装置に入力することができるところにある。
【0012】
本発明にしたがった前記方法の有利なさらなる開発形態において、使用者の識別情報は、前記第1および/または第2の装置の起動時に確認される。このことの利点は、使用者の識別が、自動車の始動手順と組み合わされうるところにある。
【0013】
本発明にしたがった前記方法のまた他の有利なさらなる開発形態において、使用者の識別情報は、前記第1の装置によって確認される。このことの利点は、使用者の識別が既存の使用者識別と関連づけられうるところにある。
【0014】
本発明にしたがった前記方法のさらにまた他の有利なさらなる開発形態において、前記識別コードは、第2の識別コードと一緒に送信される。このことの利点は、いくつかの異なる識別コードが装置に送信されて、たとえば前記装置の異なるサブシステムを起動させうるところにある。
【0015】
以下に、本発明にしたがった方法を示すフローチャートである添付図面に示されている実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に説明される本発明の実施形態とさらなる開発形態とは、単に例と見なされるべきであり、特許請求の範囲により与えられる保護をいかなる形でも制限するものではない。
【0017】
本発明にしたがった、装置において識別コードを入力する方法の第1の実施形態においては、自動車に一体化される電話が、この方法の例証に用いられる。この電話は、除去可能なSIMカードを有する。しかしながら、前記方法は、作動解除された装置において識別コードが入力されることが必要であるその他の種類の機構にも用いられうることが理解されるべきである。前記方法を説明するフローチャートが、図1に示されている。
【0018】
Aは、自動車が始動せしめられる前に適用される待機モードに対応する。この待機モードは、アクティブ状態とされ得、すなわち制御装置が作動せしめられるとともに、待機モードにされうる。段階10において、自動車は、点火スイッチによって電圧を供給される。これとともに、自動車内のさまざまなサブシステムが電圧を供給され、一体化されている電話もまた同様である。識別コードが起動せしめられると、電話は、セキュリティ・モードとなる。一体化されている電話は、自動車の電源と外部アンテナと制御装置とに接続される。前記電話は、さらにまた、自動車の制御系統にデータバスを介して接続されうる。
【0019】
段階20において、自動車の制御装置が作動せしめられる。運転者の識別は、この時点において、運転者の識別情報を要求する制御装置によって開始される。この識別は、多数の方法で、たとえばキーのコードを読み取ること、特殊な識別カード、指紋等によって行なわれうる。
【0020】
これらの識別方法は、当業者には周知であり、さらに詳細に説明することはしない。本例においては、一体化されたコードを有するキーが識別手段として用いられる。
【0021】
段階30において、運転者の識別情報、すなわちキーのコードは、記憶されているコードと比較される。これらのコードが合致する場合、すなわち運転者が承認されたキーを使用している場合は、運転者は、識別されたと見なされる。肯定的識別の場合は、プロセスは段階40へと続く。
【0022】
段階40において、制御装置は、運転者が肯定的に識別されたことを通知される。制御装置は、次に、記憶されている識別コードを電話に送信する。このコードは、電話のSIMカードをロック解除するために必要とされるカード・コードである。このカード・コードは、適当な方法で制御装置内に記憶される。最も単純な方法は、電話がカード・コードを制御装置に特殊なプログラミング・モードにおいて送信することである。さらにまた、メニュー・システムを介して制御装置にカード・コードをプログラムすることも可能である。
【0023】
電話がカード・コードを制御装置から受信し、かつSIMカードがロック解除されると、電話は、運転者が電話をかけることができる使用者モードとなり、前記方法は、Bへと続くとともに、自動車の通常動作が継続する。
【0024】
段階30における比較が否定的である場合、すなわち、たとえば間違ったキーを使用したことにより運転者が識別されなかった場合は、段階40および50は行なわれない。その後、プロセスは、Bに直接飛び越すか、またはAに戻るかのいずれかとなりうる。これは、たとえばどのような種類の運転者識別が用いられたかと、自動車のシステムがどのように運転者の識別を処理するかとによる。
【0025】
否定的識別の場合は、始動シーケンス全体が、たとえば、同時に中断されて、前記方法はAに戻るようになる。これは、たとえば、カード・コードが記憶される制御装置がいわゆるイモビライザである場合に有利である。イモビライザは、間違ったキーによって自動車が始動されることを不可能にするだけではなく、始動シーケンスを中断するため、この場合も、いかなるカード・コードもイモビライザから電話に送信されることはない。
【0026】
本発明にしたがった方法のさらなる開発形態では、複数個の異なるコードの1個が制御装置から送信されうる。これは、何人かの異なる運転者が自動車を使用する場合に有利である。たとえば、各運転者は、内蔵電話用の自身のSIMカードを有しうる。運転者が段階30において識別されると、制御装置は、段階40において、前記運転者が肯定的に識別されたことと、前記運転者の識別情報との両方を通知される。次に、制御装置は、電話に識別された運転者に関連ある識別コードを送信する。このコードは、電話のSIMカードをロック解除するために必要とされるカード・コードである。運転者の識別は、たとえば、異なるコードを有する異なる識別カードまたはキーを有する異なる運転者によって行なわれうる。これは、さらにまた、何人かの運転者が同じ自動車を使用する場合に、取外し可能な移動電話と組み合わせて用いられうる。さらにまた他の可能性は、電話が同じSIMカードに関連あるいくつかのアカウントを有しうることである。本発明にしたがった方法によって、各運転者は、自動車を始動させる度毎に特別なコードを入力する必要なく、電気通信会社の自身のアカウントと関連付けられうる。
【0027】
本発明にしたがった方法のさらなる開発形態においては、複数個の異なる識別コードが、同時に制御装置から送信されうる。これは、装置がロック解除のためにいくつかの識別コードを必要とする場合に有利である。たとえば、外部的にスイッチオフされうる移動電話は、ロック解除のために電話コードとカード・コードとの両方を必要としうる。運転者が識別されると、たとえば電話コードが最初に送信され、続いてカード・コードが送信されるという具合に、第1の識別コードが、次にまた他の識別コードが装置に送信される。
【0028】
本発明は、前記の実施形態に制限されると見なされるべきではなく、数多くのさらに他の変形態様と改変とが以下の特許請求の範囲の枠内において可能である。前記方法は、たとえば、自動車または船の常設装置において互いに接続される装置を作動させるのにも適する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にしたがった方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車において第1の装置から第2の装置に識別コードを送信する方法であって、前記識別コードは、前記第2の装置の電子セキュリティ機能をロック解除するようになっている方法において:
‐ 複数個の識別コードを前記第1の装置に記憶させる段階と、
‐ 前記識別コードの少なくとも1個に関連ある複数個の所定の各使用者識別情報の1個に対応しうる使用者識別情報を所定の機会に確認する段階と、
‐ 前記使用者の識別情報が所定の識別情報と合致する場合に、前記使用者に関連ある前記識別コードを前記第1の装置から前記第2の装置に送信する段階とからなる方法。
【請求項2】
前記第2の装置は、作動せしめられると、セキュリティ・モードとなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使用者の識別情報は、前記第1および/または第2の装置の作動と同時に確認されることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記使用者の識別情報は、前記第1の装置によって確認されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記識別コードは、第2の識別コードと一緒に送信されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1の装置は、自動車内の既存の制御装置であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第2の装置は、電話および/または電話用SIMカードであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記識別コードが送信されて、前記電話において使用者固有のSIMカードがロック解除されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記識別コードが送信されて、前記使用者は、同じSIMカードに関連ある複数個のアカウントの1個である自身のアカウントと関連付けられることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータにより実行されるときに、請求項1乃至9のいずれかに記載の全ての段階を実施するプログラム・コードからなるコンピュータ・プログラム。
【請求項11】
コンピュータ読取り可能媒体上において記憶されて、コンピュータにより実行されるときに、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法を実施するプログラム・コードからなるコンピュータ・プログラム製品。

【図1】
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【公表番号】特表2007−522736(P2007−522736A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552080(P2006−552080)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000155
【国際公開番号】WO2005/076584
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(500277711)ボルボ ラストバグナー アーベー (163)
【Fターム(参考)】