識別装置および識別方法
【課題】医療器材等の識別対象物体に識別マークを付することなく、その可動軸を検出することが可能な識別装置および識別方法の提供。
【解決手段】識別対象物体の画像を入力する画像入力手段10と、画像入力手段10により入力された画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段12と、エッジ抽出手段12により抽出されたエッジから複数の直線を検出する直線検出手段13と、直線検出手段13により検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得する可動軸取得手段14とを含む。
【解決手段】識別対象物体の画像を入力する画像入力手段10と、画像入力手段10により入力された画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段12と、エッジ抽出手段12により抽出されたエッジから複数の直線を検出する直線検出手段13と、直線検出手段13により検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得する可動軸取得手段14とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器材や医療機器構成部品などの識別対象物体の識別装置および識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療スタッフが行う手術後の医療器材に対する作業は、主に数量の確認、破損していないか等の点検、洗浄機までの運搬がある。これらの作業はすべて人の手で行われており、近年では医療技術の発達で手術機器の増加および多様化により、これらの器材を医療スタッフがすべて管理することは困難で、医療スタッフの負担となっている。また、人が不潔区間に介入するため、院内感染の危険性を考えると好ましくない。よって、人を介さない医療器材洗浄システムが理想的であると考えられる。
【0003】
自動で医療器材の確認作業や運搬作業を管理する場合、各作業において器材を判別および認識する必要があり、そのシステムを構築するにあたって、医療器材の自動認識が必要不可欠となる。なお、医療用に限らず、画像に含まれる対象物の位置、姿勢、形態等を検出する方法が種々の分野において研究されているが、例えば特許文献1には対象物の姿勢の変化による影響を抑え、安定して精度良く特徴点の検出を行う方法が記載されている。
【0004】
この検出方法は、画像中の対象物の特徴点を、ある1つの特徴点とは異なる他の特徴点の候補の位置から統計的に定まる当該1つの特徴点の存在確率分布を複数求めて合成し、合成後の存在確率分布上の存在確率の大小に基づいて当該1つの特徴点の位置を推定する特徴点検出処理において、合成する存在確率分布に対し、その特徴点と他の特徴点との間の位置関係に応じて重み付け係数を設定し、当該重み付け係数を用いて存在確率を合成するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−226424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、鋏のような医療器材の場合、可動軸周りに自由に動作可能であるため、動作角度によって識別対象物体の形状が変化してしまう。このような可動軸を有する医療器材の場合、上記特許文献1に記載の検出方法では検出することが不可能である。なお、可動軸の検出のために、可動軸に予め識別マークを付しておくことも考えられるが、既存の医療器材に識別マークを付することは現実的に困難である。
【0007】
そこで、本発明においては、医療器材等の識別対象物体に識別マークを付することなく、その可動軸を検出することが可能な識別装置および識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の識別装置は、識別対象物体の画像を入力する画像入力手段と、画像入力手段により入力された画像から複数の直線を検出する直線検出手段と、直線検出手段により検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得する可動軸取得手段とを含むものである。
【0009】
また、本発明の識別方法は、識別対象物体の画像を入力する画像入力ステップと、画像入力ステップにより入力された画像から複数の直線を検出する直線検出ステップと、直線検出ステップにより検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するする可動軸取得ステップとを含む。
【0010】
これらの発明によれば、識別対象物体の入力画像から複数の直線を検出し、この検出された複数の直線の交点を求めることで、識別対象物体の可動軸中心点を検出することができる。なお、直線の検出は、ハフ変換によることが望ましい。ハフ変換は主に直線の検出に用いられる画像処理であり、このハフ変換により容易に複数の直線を抽出することができる。
【0011】
ここで、直線検出手段は、3以上の直線を検出するものであり、可動軸取得手段は、3以上の直線の交点の平均により可動軸中心点を決定するものであることが望ましい。3以上の検出された直線の複数の交点は可動軸中心点付近に集中するので、この複数の交点の平均により可動軸中心点を決定することで、より正確な可動軸中心点の位置を検出することができる。
【0012】
また、本発明の識別装置は、画像入力手段により入力された画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段をさらに含み、直線検出手段が、エッジ抽出手段により抽出されたエッジから複数の直線を検出するものとすることができる。これにより、識別対象物体の入力画像からエッジを抽出し、この抽出されたエッジから複数の直線を検出し、この検出された複数の直線の交点を求めることで、識別対象物体の可動軸中心点を検出することができる。
【0013】
また、本発明の識別装置は、可動軸中心点からいくつかの等しい距離に存在するエッジ抽出手段により抽出されたエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することで、可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するパラメータ導出手段と、識別対象物体について等距離エッジ点強度パラメータを予め導出したテンプレートデータを記憶するテンプレート記憶手段と、パラメータ導出手段により導出された等距離エッジ点強度パラメータをテンプレート記憶手段に記憶されたテンプレートデータと照合し、識別対象物体を識別する識別手段とをさらに含むことが望ましい。
【0014】
これらの発明によれば、可動軸中心点を中心として、いくつかの等しい距離に存在するエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することにより可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータが導出される。この等距離エッジ点強度パラメータは、それぞれの距離におけるエッジ上の点の個数をパラメータとしているため、特徴量は距離に依存した一次元データとなる。この等距離エッジ点強度パラメータは、識別対象物体の回転によって変動が生じないパラメータ、すなわち回転不変パラメータである。本発明によれば、この等距離エッジ点強度パラメータを、テンプレート記憶手段に記憶されたテンプレートデータと照合することにより、識別対象物体を識別することができる。
【0015】
また、本発明の識別装置は、画像入力手段により入力された画像を二値化する二値化処理手段をさらに含み、直線検出手段は、二値化処理手段による二値化後の画像から複数の直線を検出するものであることが望ましい。画像入力手段により入力された画像がカラー画像やグレースケール画像などの場合、そのままの状態でも直線検出することは可能であるが、二値化処理により識別対象物体と背景画像とを完全に分離することで、より正確に直線を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
(1)識別対象物体の画像を入力し、入力された画像から複数の直線を検出し、検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得する構成により、識別対象物体に識別マークを付することなく、識別対象物体の置かれる向きに関わらず、識別対象物体の直線部分から可動軸中心点を検出することが可能となる。
【0017】
(2)3以上の直線を検出し、3以上の直線の交点の平均により可動軸中心点を決定する構成により、様々な種類の識別対象物体において、より正確な可動軸中心点の位置を検出することが可能となる。
【0018】
(3)入力画像からエッジを抽出し、抽出されたエッジから複数の直線を検出する構成により、直線の検出処理を高速化することが可能となる。
【0019】
(4)可動軸中心点を中心として、いくつかの等しい距離に存在するエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することにより可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出し、この等距離エッジ点強度パラメータを、テンプレートデータと照合する構成により、識別対象物体を識別することができる。これにより、識別対象物体の置かれる向きに関わらず、識別対象物体の識別処理時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0020】
(5)二値化後の画像から直線検出する構成により、識別対象物体と背景画像とを完全に分離して、より正確に直線を検出し、識別精度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態における識別装置の概略構成図である。
【図2】図1の識別装置のブロック図である。
【図3】ハフ変換により直線抽出した例を示す図である。
【図4】ハフ変換の説明図である。
【図5】交点を算出した例を示す図である。
【図6】複数の交点を算出した例を示す図である。
【図7】重心点からの等距離エッジ点強度パラメータの例を示す図である。
【図8】鋏型器材の開閉角度による形状変化を示す図である。
【図9】姿勢検出の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態における識別装置による識別処理のフロー図である。
【図11】可動軸中心点の検出実験に使用した対象物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の実施の形態における識別装置の概略構成図、図2は図1の識別装置のブロック図である。
【0023】
図1において、本発明の実施の形態における識別装置1は、テーブルT上に配置された医療器材、医療機器構成部品や工具等の識別対象物体(以下、「対象物」と称す。)Mを撮像する撮像装置としてのカメラ装置2と、対象物Mをピッキングするピッキング装置3と、カメラ装置2およびピッキング装置3が接続された電子計算機としてのコンピュータ4と、コンピュータ4に接続された表示装置としてのディスプレイ5とから構成される。カメラ装置2は、図2に示す画像入力手段10として機能する。
【0024】
ピッキング装置3は、図2に示すピッキング手段19として機能する。ピッキング装置3は、x,y,zの3軸直交で動作するものであり、先端部に上記カメラ装置2とピッキングを行うための二爪のグリッパ3aが取り付けられたものである。なお、カメラ装置2の取り付け位置およびピッキング装置3の動作方向に制約はない。
【0025】
また、コンピュータ4は、図2に示すように、入力画像を二値化する二値化処理手段11、入力画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段12と、エッジ抽出手段12により抽出されたエッジから複数の直線を検出する直線検出手段13と、対象物M上の可動軸中心点を取得する可動軸取得手段14、可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するパラメータ導出手段15、対象物Mについてのテンプレートデータを記憶するテンプレート記憶手段16、対象物Mを識別する識別手段17、対象物Mの姿勢を認識する姿勢検出手段18として機能する。
【0026】
二値化処理手段11は、画像入力手段10により入力された画像を二値化するものである。二値化の際に必要な閾値は、二値化処理により対象物Mを1(黒画素)、背景画像を0(白画素)に完全に分離できる適切な値を実験的に設定する。
【0027】
エッジ抽出手段12は、画像入力手段10により入力された画像からエッジを抽出するものである。本実施形態においては、エッジ抽出手段12は、二値化処理手段11により二値化された画像からエッジを抽出する。エッジ抽出は、エッジ抽出フィルタの一種であるラプラシアンフィルタによって実現する。なお、エッジ抽出は、ラプラシアンフィルタの他にも、ガウシアンフィルタ、プレヴィットフィルタやゾーベルフィルタなどの公知のエッジ抽出フィルタを用いることにより実現することができる。
【0028】
直線検出手段13は、エッジ抽出手段12により抽出されたエッジから複数の直線を検出するものである。本実施形態においては、この直線の検出にデジタル画像処理で用いられる特徴抽出法の1つであるハフ変換(Hough Transform)を利用する。図3は二値化された画像からエッジを抽出し、ハフ変換により直線抽出した例を示している。
【0029】
ハフ変換の基本原理は、いかなる点をとっても、その点を通る直線は無限個存在し、それぞれが様々な方向を向くというものである。このハフ変換の目的は、それらの直線の中で、画像の特徴点を最も多く通るものを決定することにある。すなわち、ハフ変換では、その画像に最もよくあった直線を近似的に検出する。なお、本実施形態においてはエッジ抽出手段12により抽出されたエッジからハフ変換により直線抽出しているが、エッジ抽出することなく入力画像からハフ変換により直線抽出することも可能である。
【0030】
ここで、ハフ変換について詳細に説明する。2つの点が様々な直線のうち、同一のものの上に乗っていることをはっきりさせるためには、直線と直線との比較ができるような方法で直線を表現する必要がある。標準的なハフ変換では、1つの直線を2つのパラメータで表す。例として、図4の点(x,y)を考える。
【0031】
パラメータは通常、rおよびθで表し、それぞれ原点から問題の直線に引いた法線の長さと角度とを表す。rとθを用いて、直線の式を表すと次式(1)のようになる。
r=xcosθ+ysinθ …(1)
そこで、画像上の全ての直線に、(r,θ)の組を対応させることができる。θ∈[0,π]かつr∈Rとするか、もしくはθ∈[0,π]かつr≧0とすると、ある直線に対する(r,θ)の組は一意に決定する。言い換えれば、θに対して直角で、原点からrの距離にあるものとして直線を表現することができる。この(r,θ)の組の集合がなす平面をハフ空間と呼ぶ。
【0032】
ハフ変換では、角度θを変化させながら式(1)よりrを求めることができる。rを求め、角度θと距離rごとに、その個数を加算していく。個数が最大になった角度θと距離rの組み合わせを元の直角座標に戻したものが、最も直線らしい点の集まりとなる。
【0033】
直線検出の精度にはθとrの2つのパラメータのうちθが大きな影響を及ぼす。理論から十分に予測されるが、直線検出の精度を上げるには膨大な計算が必要となるが、[0,2π]の値をとっているθの等分割する数を調節したり、三角関数のテーブルを予め用意したりすることにより、計算量を減らして高速化を図ることができる。
【0034】
2本の直線を検出するときは、式(1)より次式(2),(3)で表すことができる。
r0=xcosθ0+ysinθ0 …(2)
r1=xcosθ1+ysinθ1 …(3)
なお、2本目の直線検出のとき、1本目の直線が検出されないように1本目の直線を削除する処理を行っている。
【0035】
可動軸取得手段14は、この直線検出手段13により検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するものである。直線の交点(x,y)は、式(2),(3)から式(4),(5)で求めることができる。
【数1】
【数2】
ここで、1本目の直線のr,θは添え字0で、2本目の直線のr,θは添え字1とする。実際に交点を算出した例を図5に示す。図中の白丸が交点である。
【0036】
なお、ハフ変換の直線検出は基準がはっきりしないため、対象物Mの形状によっては取得した可動軸中心点が真の可動軸中心点からずれることがある。そこで、本実施形態においては、直線検出手段13により3以上の直線を検出し、可動軸取得手段14により複数の交点を求め、算出した交点の平均を可動軸中心点とする。これにより、ハフ変換の直線検出の基準が曖昧な部分を補い、複数の交点の中から可動軸中心点を選別する。
【0037】
複数の交点は、次式(6),(7)で求めることができる。このときのnは、直線の本数をNとしたときの(N−1)の総和である。複数の交点の算出をした画像を図6に示す。図中の白丸が交点である。
【数3】
【数4】
【0038】
なお、ハフ変換を行い、交点を求めることで、真の可動軸中心点あたりに交点は集中して現れるが、図6に示すように離れている交点もいくつか見られる。そのため、次のような点の選別を行うことが望ましい。選別は、まず対象物Mのエッジ外の点を考慮しないようにする。これにより、その後の処理の高速化を図ることができる。次に、エッジ内の点同士の距離を計算する。そして、計算した結果から離れている点を除き、その他の点で平均値を取得し、その点を可動軸中心点にする。
【0039】
パラメータ導出手段15は、可動軸中心点からいくつかの等しい距離上に存在するエッジ上の点(以下、「エッジ点」と称す。)の個数をそれぞれ算出することで、可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するものである。パラメータ導出手段15は、まず、可動軸取得手段14により得られた可動軸中心点座標とエッジ抽出手段12により得られたエッジデータとから各エッジ点と可動軸中心点との距離を算出する。
【0040】
エッジデータをE(x,y)、各エッジ点に対応する距離データをD(x,y)とすると、D(x,y)は以下の式で表される。
【数5】
ここで、エッジデータはエッジ部分を1、その他を0で表した二値画像である。よってD(x,y)は、エッジが存在しない部分では0の値をとる。
【0041】
次に、可動軸中心点から一番遠い場所にあるエッジ点までの距離を算出する。これはD(x,y)の最大値をとることで実現できる。この最大距離Rmaxを所定数に分割、例えば100分割し、それぞれR0(=0),R1,R2,・・・,R100(=Rmax)とおく。最後に、これらの分割した各距離R0,R1,R2,・・・,R100にそれぞれ存在するエッジ点の個数をそれぞれ算出することで、最終的な可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出する。
【0042】
等距離エッジ点強度パラメータP(x)(x=1,2,・・・・・・,100)は以下の要領で導出される。
【数6】
上式をi,jの全ての範囲について計算することで、等距離エッジ点強度パラメータP(x)が決定される。
【0043】
テンプレート記憶手段16は、対象物Mについて等距離エッジ点強度パラメータを予め導出したテンプレートデータを記憶するものである。テンプレートデータは、対象物Mを可動軸中心点周りにいくつかの角度に回転させた状態でそれぞれ取得した等距離エッジ点強度パラメータの平均値をとる。このように対象物Mを可動軸中心点周りにいくつかの角度に回転させた状態でそれぞれ取得した等距離エッジ点強度パラメータの平均値をとることで、入力画像の誤差に対応することができる。
【0044】
識別手段17は、パラメータ導出手段15により導出された等距離エッジ点強度パラメータをテンプレート記憶手段16に記憶されたテンプレートデータと照合し、対象物Mを識別するものである。前述のように、パラメータ導出手段15により導出された等距離エッジ点強度パラメータP(x)は、対象物Mの回転によって変動が生じない回転不変パラメータであるため、この等距離エッジ点強度パラメータP(x)によって対象物Mの照合を行うことで、対象物Mの回転姿勢に対して不変な識別が可能となる。
【0045】
ここで、回転不変パラメータである等距離エッジ点強度パラメータについて、図7および図8を参照して詳細に説明する。図7は重心点からの等距離エッジ点強度パラメータの例を示す図である。なお、図7においては、説明を分かりやすくするために、対象物MとしてアルファベットのA字状の識別対象物体30を例にとっている。
【0046】
図7において、中央の黒丸で示した点が、識別対象物体30の重心点31である。重心点31は、識別対象物体30の幾何学的重心点であり、識別対象物体30が回転しても幾何学的重心点であることに変わりなく、この重心点31は識別対象物体30の回転によっても識別対象物体30上の相対位置が変化しない点である。
【0047】
等距離エッジ点強度パラメータは、この重心点31から等しい距離に存在するエッジ32上の点の個数を特徴量とするパラメータである。図7において、重心点31からいくつかの等しい距離R1,R2に存在するエッジ32上の点の個数を算出する。図7の例では、重心点31から距離R1に存在するエッジ32上の点の個数は4個、重心点31から距離R2に存在するエッジ32上の点の個数は8個である。それぞれの距離R1,R2におけるエッジ点の個数を等距離エッジ点強度パラメータとするため、特徴量は距離に依存した一次元データとなる。
【0048】
なお、現在の手術において一番多く使用される医療器材は、鋏形状の器材であり、多種類の鋏型器材が存在する。鋏形状の特徴は、一つの軸(可動軸)周りに自由に動くことが可能な点である。これは画像識別する際の大きな問題となる。一例として、鋏の開閉角度によって形状が変化することで、誤識別することが挙げられる。図8は鋏型器材の開閉角度による形状変化を示す図である。
【0049】
図7で説明した回転不変パラメータは、重心点31周りの等距離エッジ点強度パラメータである。一般に、任意の点からの等距離エッジ点強度パラメータは、回転に対して不変である。一方、医療現場では、図8に示す鋏型器材40のように開閉する器材が多用されている。ここで注意が必要なのは、回転とは異なり、開閉に対しては、任意の点からの等距離エッジ点強度パラメータが不変になるわけではないという点である。等距離エッジ点強度パラメータが開閉に対して不変となる代表的な点としては、可動軸中心点を挙げることができる。そこで、本実施形態においては、鋏型器材40等の開閉器材については、可動軸中心点41からの等距離エッジ点強度パラメータを採用している。
【0050】
これにより、開閉および回転の双方に対して不変なパラメータを構築することができ、可動軸中心点41周りの等距離エッジ点強度データをパラメータとして照合を行うことで、鋏型器材40の開閉角度に対して不変な照合が可能となる。また、この可動軸中心点41は、鋏型器材40が回転しても可動軸中心点41であることに変わりなく、この可動軸中心点41は鋏型器材40の回転によっても鋏型器材40上の相対位置が変化しない点である。したがって、この可動軸中心点41周りの等距離エッジ点強度データは、回転不変パラメータにもなっていることが分かる。
【0051】
姿勢検出手段18は、対象物Mの長手方向を検出するものである。なお、対象物Mをピッキングする位置の座標は、対象物Mの重心点である(xg,yg)をピッキング装置3の作業領域に変換したものを使用する。これは対象物Mを掴む際、当然対象物Mの重心点を掴むと安定するためである。一方、対象物Mをグリッパ3aにより掴む角度については、複雑な形状を有する対象物でない限り、大部分が長手方向と直交するようにグリッパ3aの角度を調整することで掴むことが可能である。
【0052】
そこで、姿勢検出手段18は、重心点からの距離が最も遠い閉領域内の画素から順に抽出した複数の画素の重心点に対するそれぞれの角度の平均値を算出することにより長手方向の角度を取得する。具体的には、姿勢検出手段18は、重心点からの距離D(x,y)の最大値からp(<100)%の距離までの間に存在する閉領域内の黒画素を抽出し、それぞれの重心点に対する角度の平均値を算出する。図9は姿勢検出手段18による姿勢検出の説明図である。
【0053】
ここで、Dの上位p%の値をqとし、重心点から最も離れた黒画素の点群を(xmk,ymk)(k=1,2,・・・,q)とすると、重心点から最も離れた各黒画素の点の角度θkは、
【数7】
で表される。
【0054】
よって、長手方向の角度θは、
【数8】
となる。この角度θ方向に伸ばした直線を掴むようにグリッパ3aの角度を調整することで対象物Mを掴むことができる。
【0055】
次に、上記構成の識別装置1による対象物Mの識別処理について、図10のフロー図に基づいて説明する。なお、図10のフロー図に従って対象物Mの識別処理を行う前に、予め識別対象物体である対象物Mについて等距離エッジ点強度パラメータを導出したテンプレートデータをテンプレート記憶手段16へ記憶しておく。
【0056】
そして、最初に、テーブルT上に配置された対象物Mを画像入力手段10(カメラ装置2)により撮像し、撮像した画像データをコンピュータ4に入力する(ステップS101)。次に、コンピュータ4は、二値化処理手段11により入力画像を二値化する(ステップS102)。そして、コンピュータ4は、エッジ抽出手段12により二値化画像からエッジを抽出する(ステップS103)。
【0057】
次に、コンピュータ4は、直線検出手段13により、この抽出されたエッジから複数の直線を検出する(ステップS104)。そして、コンピュータ4は、この検出された複数の直線から可動軸取得手段14により交点を求めて可動軸中心点を取得する(ステップS105)。
【0058】
次に、コンピュータ4は、パラメータ導出手段15により、前述のように、可動軸中心点からいくつかの等しい距離上に存在するエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することで、可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出する(ステップS106)。
【0059】
その後、コンピュータ4は、識別手段17により、この導出された可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを、予めテンプレート記憶手段16に記憶されたテンプレートデータと照合し、対象物Mを識別する(ステップS107)。
【0060】
そして、コンピュータ4は、姿勢検出手段18により対象物Mの角度θを検出し(ステップS108)、ピッキング手段19(ピッキング装置3)の位置および角度を調整し(ステップS109)、対象物Mをピッキングする(ステップS110)。この一連の処理により、本実施形態における識別装置1では、対象物Mの識別およびピッキングを実現する。
【0061】
以上のように、本実施形態における識別装置1では、入力画像から対象物Mのエッジを抽出し、抽出されたエッジから複数の直線を検出し、検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するので、識別対象物体に識別マークを付することなく、識別対象物体の置かれる向きに関わらず、識別対象物体の直線部分から可動軸中心点を検出することが可能である。
【0062】
そして、この検出した可動軸中心点を中心として、いくつかの等しい距離に存在するエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することにより可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出し、この等距離エッジ点強度パラメータを、テンプレートデータと照合する構成により、識別対象物体を識別することができる。これにより、識別対象物体の置かれる向きに関わらず、識別対象物体の識別処理時間を大幅に短縮することが可能である。
【0063】
また、本実施形態における識別装置1では、テンプレートデータとして、対象物Mを可動軸中心点周りにいくつかの角度に回転させた状態でそれぞれ取得した等距離エッジ点強度パラメータの平均値を用いているので、対象物Mの回転によって若干生じる入力画像の誤差に対応することが可能となっており、識別精度が向上している。
【0064】
特に、本実施形態における識別装置1では、対象物Mが可動器材であるため、テンプレートデータとして、対象物Mを、可動軸中心点を中心としていくつかの角度に動作させた状態でそれぞれ取得した等距離エッジ点強度パラメータの平均値を用いているので、対象物Mの可動軸中心点を中心とする動作によって若干生じる入力画像の誤差に対応することが可能となっており、識別精度がさらに向上している。
【実施例】
【0065】
本実施形態における識別装置1を用いて医療器材の可動軸中心点の検出実験を行った。図11は検出結果を示している。図中の白丸が検出された交点であり、これらの複数の交点の平均をとることで真の可動軸中心点に近い可動軸中心点を検出できていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の識別装置および識別方法は、医療器材、医療機器構成部品や工具などの可動部を有する識別対象物体の可動軸を検出するための装置および方法として有用である。
【符号の説明】
【0067】
M 医療器材
1 識別装置
2 カメラ装置
3 ピッキング装置
4 コンピュータ
5 ディスプレイ
10 画像入力手段
11 二値化処理手段
12 エッジ抽出手段
13 直線検出手段
14 可動軸取得手段
15 パラメータ導出手段
16 テンプレート記憶手段
17 識別手段
18 姿勢検出手段
19 ピッキング手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器材や医療機器構成部品などの識別対象物体の識別装置および識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医療スタッフが行う手術後の医療器材に対する作業は、主に数量の確認、破損していないか等の点検、洗浄機までの運搬がある。これらの作業はすべて人の手で行われており、近年では医療技術の発達で手術機器の増加および多様化により、これらの器材を医療スタッフがすべて管理することは困難で、医療スタッフの負担となっている。また、人が不潔区間に介入するため、院内感染の危険性を考えると好ましくない。よって、人を介さない医療器材洗浄システムが理想的であると考えられる。
【0003】
自動で医療器材の確認作業や運搬作業を管理する場合、各作業において器材を判別および認識する必要があり、そのシステムを構築するにあたって、医療器材の自動認識が必要不可欠となる。なお、医療用に限らず、画像に含まれる対象物の位置、姿勢、形態等を検出する方法が種々の分野において研究されているが、例えば特許文献1には対象物の姿勢の変化による影響を抑え、安定して精度良く特徴点の検出を行う方法が記載されている。
【0004】
この検出方法は、画像中の対象物の特徴点を、ある1つの特徴点とは異なる他の特徴点の候補の位置から統計的に定まる当該1つの特徴点の存在確率分布を複数求めて合成し、合成後の存在確率分布上の存在確率の大小に基づいて当該1つの特徴点の位置を推定する特徴点検出処理において、合成する存在確率分布に対し、その特徴点と他の特徴点との間の位置関係に応じて重み付け係数を設定し、当該重み付け係数を用いて存在確率を合成するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−226424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、鋏のような医療器材の場合、可動軸周りに自由に動作可能であるため、動作角度によって識別対象物体の形状が変化してしまう。このような可動軸を有する医療器材の場合、上記特許文献1に記載の検出方法では検出することが不可能である。なお、可動軸の検出のために、可動軸に予め識別マークを付しておくことも考えられるが、既存の医療器材に識別マークを付することは現実的に困難である。
【0007】
そこで、本発明においては、医療器材等の識別対象物体に識別マークを付することなく、その可動軸を検出することが可能な識別装置および識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の識別装置は、識別対象物体の画像を入力する画像入力手段と、画像入力手段により入力された画像から複数の直線を検出する直線検出手段と、直線検出手段により検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得する可動軸取得手段とを含むものである。
【0009】
また、本発明の識別方法は、識別対象物体の画像を入力する画像入力ステップと、画像入力ステップにより入力された画像から複数の直線を検出する直線検出ステップと、直線検出ステップにより検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するする可動軸取得ステップとを含む。
【0010】
これらの発明によれば、識別対象物体の入力画像から複数の直線を検出し、この検出された複数の直線の交点を求めることで、識別対象物体の可動軸中心点を検出することができる。なお、直線の検出は、ハフ変換によることが望ましい。ハフ変換は主に直線の検出に用いられる画像処理であり、このハフ変換により容易に複数の直線を抽出することができる。
【0011】
ここで、直線検出手段は、3以上の直線を検出するものであり、可動軸取得手段は、3以上の直線の交点の平均により可動軸中心点を決定するものであることが望ましい。3以上の検出された直線の複数の交点は可動軸中心点付近に集中するので、この複数の交点の平均により可動軸中心点を決定することで、より正確な可動軸中心点の位置を検出することができる。
【0012】
また、本発明の識別装置は、画像入力手段により入力された画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段をさらに含み、直線検出手段が、エッジ抽出手段により抽出されたエッジから複数の直線を検出するものとすることができる。これにより、識別対象物体の入力画像からエッジを抽出し、この抽出されたエッジから複数の直線を検出し、この検出された複数の直線の交点を求めることで、識別対象物体の可動軸中心点を検出することができる。
【0013】
また、本発明の識別装置は、可動軸中心点からいくつかの等しい距離に存在するエッジ抽出手段により抽出されたエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することで、可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するパラメータ導出手段と、識別対象物体について等距離エッジ点強度パラメータを予め導出したテンプレートデータを記憶するテンプレート記憶手段と、パラメータ導出手段により導出された等距離エッジ点強度パラメータをテンプレート記憶手段に記憶されたテンプレートデータと照合し、識別対象物体を識別する識別手段とをさらに含むことが望ましい。
【0014】
これらの発明によれば、可動軸中心点を中心として、いくつかの等しい距離に存在するエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することにより可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータが導出される。この等距離エッジ点強度パラメータは、それぞれの距離におけるエッジ上の点の個数をパラメータとしているため、特徴量は距離に依存した一次元データとなる。この等距離エッジ点強度パラメータは、識別対象物体の回転によって変動が生じないパラメータ、すなわち回転不変パラメータである。本発明によれば、この等距離エッジ点強度パラメータを、テンプレート記憶手段に記憶されたテンプレートデータと照合することにより、識別対象物体を識別することができる。
【0015】
また、本発明の識別装置は、画像入力手段により入力された画像を二値化する二値化処理手段をさらに含み、直線検出手段は、二値化処理手段による二値化後の画像から複数の直線を検出するものであることが望ましい。画像入力手段により入力された画像がカラー画像やグレースケール画像などの場合、そのままの状態でも直線検出することは可能であるが、二値化処理により識別対象物体と背景画像とを完全に分離することで、より正確に直線を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
(1)識別対象物体の画像を入力し、入力された画像から複数の直線を検出し、検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得する構成により、識別対象物体に識別マークを付することなく、識別対象物体の置かれる向きに関わらず、識別対象物体の直線部分から可動軸中心点を検出することが可能となる。
【0017】
(2)3以上の直線を検出し、3以上の直線の交点の平均により可動軸中心点を決定する構成により、様々な種類の識別対象物体において、より正確な可動軸中心点の位置を検出することが可能となる。
【0018】
(3)入力画像からエッジを抽出し、抽出されたエッジから複数の直線を検出する構成により、直線の検出処理を高速化することが可能となる。
【0019】
(4)可動軸中心点を中心として、いくつかの等しい距離に存在するエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することにより可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出し、この等距離エッジ点強度パラメータを、テンプレートデータと照合する構成により、識別対象物体を識別することができる。これにより、識別対象物体の置かれる向きに関わらず、識別対象物体の識別処理時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0020】
(5)二値化後の画像から直線検出する構成により、識別対象物体と背景画像とを完全に分離して、より正確に直線を検出し、識別精度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態における識別装置の概略構成図である。
【図2】図1の識別装置のブロック図である。
【図3】ハフ変換により直線抽出した例を示す図である。
【図4】ハフ変換の説明図である。
【図5】交点を算出した例を示す図である。
【図6】複数の交点を算出した例を示す図である。
【図7】重心点からの等距離エッジ点強度パラメータの例を示す図である。
【図8】鋏型器材の開閉角度による形状変化を示す図である。
【図9】姿勢検出の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態における識別装置による識別処理のフロー図である。
【図11】可動軸中心点の検出実験に使用した対象物を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の実施の形態における識別装置の概略構成図、図2は図1の識別装置のブロック図である。
【0023】
図1において、本発明の実施の形態における識別装置1は、テーブルT上に配置された医療器材、医療機器構成部品や工具等の識別対象物体(以下、「対象物」と称す。)Mを撮像する撮像装置としてのカメラ装置2と、対象物Mをピッキングするピッキング装置3と、カメラ装置2およびピッキング装置3が接続された電子計算機としてのコンピュータ4と、コンピュータ4に接続された表示装置としてのディスプレイ5とから構成される。カメラ装置2は、図2に示す画像入力手段10として機能する。
【0024】
ピッキング装置3は、図2に示すピッキング手段19として機能する。ピッキング装置3は、x,y,zの3軸直交で動作するものであり、先端部に上記カメラ装置2とピッキングを行うための二爪のグリッパ3aが取り付けられたものである。なお、カメラ装置2の取り付け位置およびピッキング装置3の動作方向に制約はない。
【0025】
また、コンピュータ4は、図2に示すように、入力画像を二値化する二値化処理手段11、入力画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段12と、エッジ抽出手段12により抽出されたエッジから複数の直線を検出する直線検出手段13と、対象物M上の可動軸中心点を取得する可動軸取得手段14、可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するパラメータ導出手段15、対象物Mについてのテンプレートデータを記憶するテンプレート記憶手段16、対象物Mを識別する識別手段17、対象物Mの姿勢を認識する姿勢検出手段18として機能する。
【0026】
二値化処理手段11は、画像入力手段10により入力された画像を二値化するものである。二値化の際に必要な閾値は、二値化処理により対象物Mを1(黒画素)、背景画像を0(白画素)に完全に分離できる適切な値を実験的に設定する。
【0027】
エッジ抽出手段12は、画像入力手段10により入力された画像からエッジを抽出するものである。本実施形態においては、エッジ抽出手段12は、二値化処理手段11により二値化された画像からエッジを抽出する。エッジ抽出は、エッジ抽出フィルタの一種であるラプラシアンフィルタによって実現する。なお、エッジ抽出は、ラプラシアンフィルタの他にも、ガウシアンフィルタ、プレヴィットフィルタやゾーベルフィルタなどの公知のエッジ抽出フィルタを用いることにより実現することができる。
【0028】
直線検出手段13は、エッジ抽出手段12により抽出されたエッジから複数の直線を検出するものである。本実施形態においては、この直線の検出にデジタル画像処理で用いられる特徴抽出法の1つであるハフ変換(Hough Transform)を利用する。図3は二値化された画像からエッジを抽出し、ハフ変換により直線抽出した例を示している。
【0029】
ハフ変換の基本原理は、いかなる点をとっても、その点を通る直線は無限個存在し、それぞれが様々な方向を向くというものである。このハフ変換の目的は、それらの直線の中で、画像の特徴点を最も多く通るものを決定することにある。すなわち、ハフ変換では、その画像に最もよくあった直線を近似的に検出する。なお、本実施形態においてはエッジ抽出手段12により抽出されたエッジからハフ変換により直線抽出しているが、エッジ抽出することなく入力画像からハフ変換により直線抽出することも可能である。
【0030】
ここで、ハフ変換について詳細に説明する。2つの点が様々な直線のうち、同一のものの上に乗っていることをはっきりさせるためには、直線と直線との比較ができるような方法で直線を表現する必要がある。標準的なハフ変換では、1つの直線を2つのパラメータで表す。例として、図4の点(x,y)を考える。
【0031】
パラメータは通常、rおよびθで表し、それぞれ原点から問題の直線に引いた法線の長さと角度とを表す。rとθを用いて、直線の式を表すと次式(1)のようになる。
r=xcosθ+ysinθ …(1)
そこで、画像上の全ての直線に、(r,θ)の組を対応させることができる。θ∈[0,π]かつr∈Rとするか、もしくはθ∈[0,π]かつr≧0とすると、ある直線に対する(r,θ)の組は一意に決定する。言い換えれば、θに対して直角で、原点からrの距離にあるものとして直線を表現することができる。この(r,θ)の組の集合がなす平面をハフ空間と呼ぶ。
【0032】
ハフ変換では、角度θを変化させながら式(1)よりrを求めることができる。rを求め、角度θと距離rごとに、その個数を加算していく。個数が最大になった角度θと距離rの組み合わせを元の直角座標に戻したものが、最も直線らしい点の集まりとなる。
【0033】
直線検出の精度にはθとrの2つのパラメータのうちθが大きな影響を及ぼす。理論から十分に予測されるが、直線検出の精度を上げるには膨大な計算が必要となるが、[0,2π]の値をとっているθの等分割する数を調節したり、三角関数のテーブルを予め用意したりすることにより、計算量を減らして高速化を図ることができる。
【0034】
2本の直線を検出するときは、式(1)より次式(2),(3)で表すことができる。
r0=xcosθ0+ysinθ0 …(2)
r1=xcosθ1+ysinθ1 …(3)
なお、2本目の直線検出のとき、1本目の直線が検出されないように1本目の直線を削除する処理を行っている。
【0035】
可動軸取得手段14は、この直線検出手段13により検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するものである。直線の交点(x,y)は、式(2),(3)から式(4),(5)で求めることができる。
【数1】
【数2】
ここで、1本目の直線のr,θは添え字0で、2本目の直線のr,θは添え字1とする。実際に交点を算出した例を図5に示す。図中の白丸が交点である。
【0036】
なお、ハフ変換の直線検出は基準がはっきりしないため、対象物Mの形状によっては取得した可動軸中心点が真の可動軸中心点からずれることがある。そこで、本実施形態においては、直線検出手段13により3以上の直線を検出し、可動軸取得手段14により複数の交点を求め、算出した交点の平均を可動軸中心点とする。これにより、ハフ変換の直線検出の基準が曖昧な部分を補い、複数の交点の中から可動軸中心点を選別する。
【0037】
複数の交点は、次式(6),(7)で求めることができる。このときのnは、直線の本数をNとしたときの(N−1)の総和である。複数の交点の算出をした画像を図6に示す。図中の白丸が交点である。
【数3】
【数4】
【0038】
なお、ハフ変換を行い、交点を求めることで、真の可動軸中心点あたりに交点は集中して現れるが、図6に示すように離れている交点もいくつか見られる。そのため、次のような点の選別を行うことが望ましい。選別は、まず対象物Mのエッジ外の点を考慮しないようにする。これにより、その後の処理の高速化を図ることができる。次に、エッジ内の点同士の距離を計算する。そして、計算した結果から離れている点を除き、その他の点で平均値を取得し、その点を可動軸中心点にする。
【0039】
パラメータ導出手段15は、可動軸中心点からいくつかの等しい距離上に存在するエッジ上の点(以下、「エッジ点」と称す。)の個数をそれぞれ算出することで、可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するものである。パラメータ導出手段15は、まず、可動軸取得手段14により得られた可動軸中心点座標とエッジ抽出手段12により得られたエッジデータとから各エッジ点と可動軸中心点との距離を算出する。
【0040】
エッジデータをE(x,y)、各エッジ点に対応する距離データをD(x,y)とすると、D(x,y)は以下の式で表される。
【数5】
ここで、エッジデータはエッジ部分を1、その他を0で表した二値画像である。よってD(x,y)は、エッジが存在しない部分では0の値をとる。
【0041】
次に、可動軸中心点から一番遠い場所にあるエッジ点までの距離を算出する。これはD(x,y)の最大値をとることで実現できる。この最大距離Rmaxを所定数に分割、例えば100分割し、それぞれR0(=0),R1,R2,・・・,R100(=Rmax)とおく。最後に、これらの分割した各距離R0,R1,R2,・・・,R100にそれぞれ存在するエッジ点の個数をそれぞれ算出することで、最終的な可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出する。
【0042】
等距離エッジ点強度パラメータP(x)(x=1,2,・・・・・・,100)は以下の要領で導出される。
【数6】
上式をi,jの全ての範囲について計算することで、等距離エッジ点強度パラメータP(x)が決定される。
【0043】
テンプレート記憶手段16は、対象物Mについて等距離エッジ点強度パラメータを予め導出したテンプレートデータを記憶するものである。テンプレートデータは、対象物Mを可動軸中心点周りにいくつかの角度に回転させた状態でそれぞれ取得した等距離エッジ点強度パラメータの平均値をとる。このように対象物Mを可動軸中心点周りにいくつかの角度に回転させた状態でそれぞれ取得した等距離エッジ点強度パラメータの平均値をとることで、入力画像の誤差に対応することができる。
【0044】
識別手段17は、パラメータ導出手段15により導出された等距離エッジ点強度パラメータをテンプレート記憶手段16に記憶されたテンプレートデータと照合し、対象物Mを識別するものである。前述のように、パラメータ導出手段15により導出された等距離エッジ点強度パラメータP(x)は、対象物Mの回転によって変動が生じない回転不変パラメータであるため、この等距離エッジ点強度パラメータP(x)によって対象物Mの照合を行うことで、対象物Mの回転姿勢に対して不変な識別が可能となる。
【0045】
ここで、回転不変パラメータである等距離エッジ点強度パラメータについて、図7および図8を参照して詳細に説明する。図7は重心点からの等距離エッジ点強度パラメータの例を示す図である。なお、図7においては、説明を分かりやすくするために、対象物MとしてアルファベットのA字状の識別対象物体30を例にとっている。
【0046】
図7において、中央の黒丸で示した点が、識別対象物体30の重心点31である。重心点31は、識別対象物体30の幾何学的重心点であり、識別対象物体30が回転しても幾何学的重心点であることに変わりなく、この重心点31は識別対象物体30の回転によっても識別対象物体30上の相対位置が変化しない点である。
【0047】
等距離エッジ点強度パラメータは、この重心点31から等しい距離に存在するエッジ32上の点の個数を特徴量とするパラメータである。図7において、重心点31からいくつかの等しい距離R1,R2に存在するエッジ32上の点の個数を算出する。図7の例では、重心点31から距離R1に存在するエッジ32上の点の個数は4個、重心点31から距離R2に存在するエッジ32上の点の個数は8個である。それぞれの距離R1,R2におけるエッジ点の個数を等距離エッジ点強度パラメータとするため、特徴量は距離に依存した一次元データとなる。
【0048】
なお、現在の手術において一番多く使用される医療器材は、鋏形状の器材であり、多種類の鋏型器材が存在する。鋏形状の特徴は、一つの軸(可動軸)周りに自由に動くことが可能な点である。これは画像識別する際の大きな問題となる。一例として、鋏の開閉角度によって形状が変化することで、誤識別することが挙げられる。図8は鋏型器材の開閉角度による形状変化を示す図である。
【0049】
図7で説明した回転不変パラメータは、重心点31周りの等距離エッジ点強度パラメータである。一般に、任意の点からの等距離エッジ点強度パラメータは、回転に対して不変である。一方、医療現場では、図8に示す鋏型器材40のように開閉する器材が多用されている。ここで注意が必要なのは、回転とは異なり、開閉に対しては、任意の点からの等距離エッジ点強度パラメータが不変になるわけではないという点である。等距離エッジ点強度パラメータが開閉に対して不変となる代表的な点としては、可動軸中心点を挙げることができる。そこで、本実施形態においては、鋏型器材40等の開閉器材については、可動軸中心点41からの等距離エッジ点強度パラメータを採用している。
【0050】
これにより、開閉および回転の双方に対して不変なパラメータを構築することができ、可動軸中心点41周りの等距離エッジ点強度データをパラメータとして照合を行うことで、鋏型器材40の開閉角度に対して不変な照合が可能となる。また、この可動軸中心点41は、鋏型器材40が回転しても可動軸中心点41であることに変わりなく、この可動軸中心点41は鋏型器材40の回転によっても鋏型器材40上の相対位置が変化しない点である。したがって、この可動軸中心点41周りの等距離エッジ点強度データは、回転不変パラメータにもなっていることが分かる。
【0051】
姿勢検出手段18は、対象物Mの長手方向を検出するものである。なお、対象物Mをピッキングする位置の座標は、対象物Mの重心点である(xg,yg)をピッキング装置3の作業領域に変換したものを使用する。これは対象物Mを掴む際、当然対象物Mの重心点を掴むと安定するためである。一方、対象物Mをグリッパ3aにより掴む角度については、複雑な形状を有する対象物でない限り、大部分が長手方向と直交するようにグリッパ3aの角度を調整することで掴むことが可能である。
【0052】
そこで、姿勢検出手段18は、重心点からの距離が最も遠い閉領域内の画素から順に抽出した複数の画素の重心点に対するそれぞれの角度の平均値を算出することにより長手方向の角度を取得する。具体的には、姿勢検出手段18は、重心点からの距離D(x,y)の最大値からp(<100)%の距離までの間に存在する閉領域内の黒画素を抽出し、それぞれの重心点に対する角度の平均値を算出する。図9は姿勢検出手段18による姿勢検出の説明図である。
【0053】
ここで、Dの上位p%の値をqとし、重心点から最も離れた黒画素の点群を(xmk,ymk)(k=1,2,・・・,q)とすると、重心点から最も離れた各黒画素の点の角度θkは、
【数7】
で表される。
【0054】
よって、長手方向の角度θは、
【数8】
となる。この角度θ方向に伸ばした直線を掴むようにグリッパ3aの角度を調整することで対象物Mを掴むことができる。
【0055】
次に、上記構成の識別装置1による対象物Mの識別処理について、図10のフロー図に基づいて説明する。なお、図10のフロー図に従って対象物Mの識別処理を行う前に、予め識別対象物体である対象物Mについて等距離エッジ点強度パラメータを導出したテンプレートデータをテンプレート記憶手段16へ記憶しておく。
【0056】
そして、最初に、テーブルT上に配置された対象物Mを画像入力手段10(カメラ装置2)により撮像し、撮像した画像データをコンピュータ4に入力する(ステップS101)。次に、コンピュータ4は、二値化処理手段11により入力画像を二値化する(ステップS102)。そして、コンピュータ4は、エッジ抽出手段12により二値化画像からエッジを抽出する(ステップS103)。
【0057】
次に、コンピュータ4は、直線検出手段13により、この抽出されたエッジから複数の直線を検出する(ステップS104)。そして、コンピュータ4は、この検出された複数の直線から可動軸取得手段14により交点を求めて可動軸中心点を取得する(ステップS105)。
【0058】
次に、コンピュータ4は、パラメータ導出手段15により、前述のように、可動軸中心点からいくつかの等しい距離上に存在するエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することで、可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出する(ステップS106)。
【0059】
その後、コンピュータ4は、識別手段17により、この導出された可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを、予めテンプレート記憶手段16に記憶されたテンプレートデータと照合し、対象物Mを識別する(ステップS107)。
【0060】
そして、コンピュータ4は、姿勢検出手段18により対象物Mの角度θを検出し(ステップS108)、ピッキング手段19(ピッキング装置3)の位置および角度を調整し(ステップS109)、対象物Mをピッキングする(ステップS110)。この一連の処理により、本実施形態における識別装置1では、対象物Mの識別およびピッキングを実現する。
【0061】
以上のように、本実施形態における識別装置1では、入力画像から対象物Mのエッジを抽出し、抽出されたエッジから複数の直線を検出し、検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するので、識別対象物体に識別マークを付することなく、識別対象物体の置かれる向きに関わらず、識別対象物体の直線部分から可動軸中心点を検出することが可能である。
【0062】
そして、この検出した可動軸中心点を中心として、いくつかの等しい距離に存在するエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することにより可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出し、この等距離エッジ点強度パラメータを、テンプレートデータと照合する構成により、識別対象物体を識別することができる。これにより、識別対象物体の置かれる向きに関わらず、識別対象物体の識別処理時間を大幅に短縮することが可能である。
【0063】
また、本実施形態における識別装置1では、テンプレートデータとして、対象物Mを可動軸中心点周りにいくつかの角度に回転させた状態でそれぞれ取得した等距離エッジ点強度パラメータの平均値を用いているので、対象物Mの回転によって若干生じる入力画像の誤差に対応することが可能となっており、識別精度が向上している。
【0064】
特に、本実施形態における識別装置1では、対象物Mが可動器材であるため、テンプレートデータとして、対象物Mを、可動軸中心点を中心としていくつかの角度に動作させた状態でそれぞれ取得した等距離エッジ点強度パラメータの平均値を用いているので、対象物Mの可動軸中心点を中心とする動作によって若干生じる入力画像の誤差に対応することが可能となっており、識別精度がさらに向上している。
【実施例】
【0065】
本実施形態における識別装置1を用いて医療器材の可動軸中心点の検出実験を行った。図11は検出結果を示している。図中の白丸が検出された交点であり、これらの複数の交点の平均をとることで真の可動軸中心点に近い可動軸中心点を検出できていることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の識別装置および識別方法は、医療器材、医療機器構成部品や工具などの可動部を有する識別対象物体の可動軸を検出するための装置および方法として有用である。
【符号の説明】
【0067】
M 医療器材
1 識別装置
2 カメラ装置
3 ピッキング装置
4 コンピュータ
5 ディスプレイ
10 画像入力手段
11 二値化処理手段
12 エッジ抽出手段
13 直線検出手段
14 可動軸取得手段
15 パラメータ導出手段
16 テンプレート記憶手段
17 識別手段
18 姿勢検出手段
19 ピッキング手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別対象物体の画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段により入力された画像から複数の直線を検出する直線検出手段と、
前記直線検出手段により検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するする可動軸取得手段と
を含む識別装置。
【請求項2】
前記直線検出手段は、3以上の直線を検出するものであり、
前記可動軸取得手段は、前記3以上の直線の交点の平均により前記可動軸中心点を決定するものである請求項1記載の識別装置。
【請求項3】
前記直線検出手段は、ハフ変換により前記複数の直線を検出するものである請求項1または2に記載の識別装置。
【請求項4】
前記画像入力手段により入力された画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段をさらに含み、
前記直線検出手段は、前記エッジ抽出手段により抽出されたエッジから前記複数の直線を検出するものである
請求項1から3のいずれかに記載の識別装置。
【請求項5】
前記可動軸中心点からいくつかの等しい距離に存在する前記エッジ抽出手段により抽出されたエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することで、前記可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するパラメータ導出手段と、
前記識別対象物体について前記等距離エッジ点強度パラメータを予め導出したテンプレートデータを記憶するテンプレート記憶手段と、
前記パラメータ導出手段により導出された前記等距離エッジ点強度パラメータを前記テンプレート記憶手段に記憶された前記テンプレートデータと照合し、識別対象物体を識別する識別手段と
をさらに含む請求項4記載の識別装置。
【請求項6】
前記画像入力手段により入力された画像を二値化する二値化処理手段をさらに含み、
前記直線検出手段は、前記二値化処理手段による二値化後の画像から前記複数の直線を検出するものである
請求項1から5のいずれかに記載の識別装置。
【請求項7】
前記識別対象物体が、医療器材または医療機器構成部品である請求項1から6のいずれかに記載の識別装置。
【請求項8】
識別対象物体の画像を入力する画像入力ステップと、
前記画像入力ステップにより入力された画像から複数の直線を検出する直線検出ステップと、
前記直線検出ステップにより検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するする可動軸取得ステップと
を含む識別方法。
【請求項9】
前記直線検出ステップは、3以上の直線を検出するものであり、
前記可動軸取得ステップは、前記3以上の直線の交点の平均により前記可動軸中心点を決定するものである請求項8記載の識別方法。
【請求項10】
前記直線検出ステップは、ハフ変換により前記複数の直線を検出するものである請求項8または9に記載の識別方法。
【請求項11】
前記画像入力ステップにより入力された画像からエッジを抽出するエッジ抽出ステップをさらに含み、
前記直線検出ステップは、前記エッジ抽出ステップにより抽出されたエッジから前記複数の直線を検出するものである
請求項8から10のいずれかに記載の識別方法。
【請求項12】
前記可動軸中心点からいくつかの等しい距離に存在する前記エッジ抽出ステップにより抽出されたエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することで、前記可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するパラメータ導出ステップと、
前記識別対象物体について前記等距離エッジ点強度パラメータを予め導出したテンプレートデータをテンプレート記憶手段に記憶するステップと、
前記パラメータ導出ステップにより導出された前記等距離エッジ点強度パラメータを前記テンプレート記憶手段に記憶された前記テンプレートデータと照合し、識別対象物体を識別する識別ステップと
を含む請求項11記載の識別方法。
【請求項13】
前記画像入力ステップにより入力された画像を二値化する二値化処理ステップをさらに含み、
前記直線検出ステップは、前記二値化処理ステップによる二値化後の画像から前記複数の直線を検出するものである
請求項8から12のいずれかに記載の識別方法。
【請求項14】
前記識別対象物体が、医療器材または医療機器構成部品である請求項8から13のいずれかに記載の識別方法。
【請求項1】
識別対象物体の画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段により入力された画像から複数の直線を検出する直線検出手段と、
前記直線検出手段により検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するする可動軸取得手段と
を含む識別装置。
【請求項2】
前記直線検出手段は、3以上の直線を検出するものであり、
前記可動軸取得手段は、前記3以上の直線の交点の平均により前記可動軸中心点を決定するものである請求項1記載の識別装置。
【請求項3】
前記直線検出手段は、ハフ変換により前記複数の直線を検出するものである請求項1または2に記載の識別装置。
【請求項4】
前記画像入力手段により入力された画像からエッジを抽出するエッジ抽出手段をさらに含み、
前記直線検出手段は、前記エッジ抽出手段により抽出されたエッジから前記複数の直線を検出するものである
請求項1から3のいずれかに記載の識別装置。
【請求項5】
前記可動軸中心点からいくつかの等しい距離に存在する前記エッジ抽出手段により抽出されたエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することで、前記可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するパラメータ導出手段と、
前記識別対象物体について前記等距離エッジ点強度パラメータを予め導出したテンプレートデータを記憶するテンプレート記憶手段と、
前記パラメータ導出手段により導出された前記等距離エッジ点強度パラメータを前記テンプレート記憶手段に記憶された前記テンプレートデータと照合し、識別対象物体を識別する識別手段と
をさらに含む請求項4記載の識別装置。
【請求項6】
前記画像入力手段により入力された画像を二値化する二値化処理手段をさらに含み、
前記直線検出手段は、前記二値化処理手段による二値化後の画像から前記複数の直線を検出するものである
請求項1から5のいずれかに記載の識別装置。
【請求項7】
前記識別対象物体が、医療器材または医療機器構成部品である請求項1から6のいずれかに記載の識別装置。
【請求項8】
識別対象物体の画像を入力する画像入力ステップと、
前記画像入力ステップにより入力された画像から複数の直線を検出する直線検出ステップと、
前記直線検出ステップにより検出された複数の直線の交点を求めて可動軸中心点を取得するする可動軸取得ステップと
を含む識別方法。
【請求項9】
前記直線検出ステップは、3以上の直線を検出するものであり、
前記可動軸取得ステップは、前記3以上の直線の交点の平均により前記可動軸中心点を決定するものである請求項8記載の識別方法。
【請求項10】
前記直線検出ステップは、ハフ変換により前記複数の直線を検出するものである請求項8または9に記載の識別方法。
【請求項11】
前記画像入力ステップにより入力された画像からエッジを抽出するエッジ抽出ステップをさらに含み、
前記直線検出ステップは、前記エッジ抽出ステップにより抽出されたエッジから前記複数の直線を検出するものである
請求項8から10のいずれかに記載の識別方法。
【請求項12】
前記可動軸中心点からいくつかの等しい距離に存在する前記エッジ抽出ステップにより抽出されたエッジ上の点の個数をそれぞれ算出することで、前記可動軸中心点周りの等距離エッジ点強度パラメータを導出するパラメータ導出ステップと、
前記識別対象物体について前記等距離エッジ点強度パラメータを予め導出したテンプレートデータをテンプレート記憶手段に記憶するステップと、
前記パラメータ導出ステップにより導出された前記等距離エッジ点強度パラメータを前記テンプレート記憶手段に記憶された前記テンプレートデータと照合し、識別対象物体を識別する識別ステップと
を含む請求項11記載の識別方法。
【請求項13】
前記画像入力ステップにより入力された画像を二値化する二値化処理ステップをさらに含み、
前記直線検出ステップは、前記二値化処理ステップによる二値化後の画像から前記複数の直線を検出するものである
請求項8から12のいずれかに記載の識別方法。
【請求項14】
前記識別対象物体が、医療器材または医療機器構成部品である請求項8から13のいずれかに記載の識別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−248758(P2011−248758A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123243(P2010−123243)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業「知的クラスター創成事業(第II期)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【出願人】(391043332)財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 (53)
【出願人】(000132666)株式会社セントラルユニ (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成21年度、文部科学省、地域科学技術振興事業委託事業「知的クラスター創成事業(第II期)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【出願人】(391043332)財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 (53)
【出願人】(000132666)株式会社セントラルユニ (10)
【Fターム(参考)】
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