識別装置及び識別方法
【課題】占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム等の像を容易且つ確実に取得することを可能とし、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高い装置を実現する。
【解決手段】棒状で同じサイズとされており、光の出射角度が相異なる導光板12a,12bを備えた光照射部2a,2bを、搬送部1の搬送面1aに垂直に光軸を持つように配置された棒状の撮像光学系3の片側に隣接して平行に配設し、光照射部2a,2bから異なる照明方位よりホログラムフィルム10aに交互に光照射する。
【解決手段】棒状で同じサイズとされており、光の出射角度が相異なる導光板12a,12bを備えた光照射部2a,2bを、搬送部1の搬送面1aに垂直に光軸を持つように配置された棒状の撮像光学系3の片側に隣接して平行に配設し、光照射部2a,2bから異なる照明方位よりホログラムフィルム10aに交互に光照射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象を例えばそのホログラム像により真偽を判定する識別装置及び識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャシュカード又はクレジットカード等には、偽造防止のためにしばしばホログラムフィルムを添付するという対策が採られている。一般的には、人間が視認により異常の有無を確認しているが、カード取り扱い装置にセンサを組み込むことでカードに添付したホログラムフィルムを識別できるようにすれば、偽造カードの判別に有用である。
【0003】
カード等に添付されたホログラムフィルムは、光源又は観察の角度によって、どのような像が見えるかが決まり、角度により異なる数種類の像が現れるように造られている場合がある。このため、ホログラムの真偽を判別するには、複数の角度から観察することが必要である。例えば、見えるべきホログラム像が1種類であれば、ホログラム像が見える角度と、ホログラム像が見えない角度の2つの角度から観察することで、ホログラムの真偽を判別することができる。
【0004】
ホログラムを観察するには、特定の角度、例えばホログラムフィルムのフィルム面に垂直な角度から照明光を照射し、レンズと撮像素子(例えばCCDカメラ)を用いて、様々な角度からホログラムフィルムを観察すれば良い。主にフィルム面の法線(垂直軸)回りの方向によって、観察される像が違って見えるので、レンズと撮像素子からなる観察装置を、ホログラムフィルムに対して垂直な軸の周りに方向を変化させてゆくことで像を確認することができる。複数の角度からの観察像を同時に取得するためには、複数のレンズ及び撮像素子をセットで配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−69947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ホログラムの観察に、複数のレンズ及び撮像素子をセットで配置した場合、レンズが焦点を結ぶにはある程度の距離が必要なために光路長が比較的長くなる。更に、ホログラムフィルムに対するレンズの設置角度が異なるセットを複数装備するためには、大きなスペースが必要となる。そのため、当該セットをカード取り扱い装置の内部等の比較的狭いスペースに適宜収納することは困難である。
【0007】
特許文献1には、カード等の局所的な部分(ホログラム)に光源から光を照射し、特定の角度への反射光強度が閾値を越えるか否かをディテクタで読み取る装置が開示されている。この場合、レンズを使用せずに直接にディテクタで光を受けており、設置スペースは小さくなる。しかしながら、複数の照射スポットからの反射光が入り乱れて近隣のディテクタにも入射してしまうため、ホログラム像の観察には適さない。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム等の像を容易且つ確実に取得することを可能とし、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高い識別装置及び識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
識別装置の一態様は、観察対象に光を照射する複数の光照射部と、前記観察対象からの反射光を検出する光検出部とを含み、前記各光照射部は、光源と、前記光源の光を前記観察対象に対して所定の出射角度で出射する導光板とを備えており、前記光照射部ごとに前記導光板の前記出射角度が異なる。
【0010】
識別方法の一態様は、複数の光照射部を用い、各光照射部からそれぞれ異なる出射角度で交互に観察対象に光を照射し、前記観察対象からの反射光を検出して、前記各光照射部に対応するホログラム像を取得し、前記各ホログラム像を、前記観察対象について予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、前記観察対象の真偽を判定する。
【発明の効果】
【0011】
上記の各態様によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム等の像を容易且つ確実に取得することを可能とし、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高い識別装置及び識別方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態によるカード取り扱い装置を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図3】第1の実施形態によるカード取り扱い装置の構成要素である各光照射部を示す平面図である。
【図4】第1の実施形態における各光照射部の内部構成を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態における撮像光学系の構成を示す模式図である。
【図6】第1の実施形態において形成されるホログラム像の一例を示す模式図である。
【図7】第1の実施形態によるカード取り扱い方法をステップ順に示すフロー図である。
【図8】第2の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図9】第2の実施形態によるカード取り扱い装置の構成要素である各光照射部を示す平面図である。
【図10】第3の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図11】第4の実施形態によるカード取り扱い装置を示す模式図である。
【図12】第4の実施形態によるカード取り扱い方法をステップ順に示すフロー図である。
【図13】第5の実施形態に用いるプリズムシートを示す概略斜視図である。
【図14】プリズムシートの配置例を示す概略断面図である。
【図15】第5の実施形態に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図16】第5の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図17】第5の実施形態に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図18】θ−γの関係を示す特性図である。
【図19】第5の実施形態に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図20】θとγの関係を示す模式図である。
【図21】θ−γの関係を示す特性図である。
【図22】第5の実施形態の変形例1に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図23】θ−γの関係を示す特性図である。
【図24】プリズムシートからの出射光の光強度分布を示す特性図である。
【図25】第5の実施形態の変形例2に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図26】第5の実施形態の変形例2によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図27】第5の実施形態の変形例2によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、カード取り扱い装置及び取り扱い方法の具体的な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
キャッシュカード又はクレジットカード等に付されているホログラムフィルムは、視点を変えると立体的な像が見えるようなホログラムとは異なり、視点を変えると数種類のホログラム像のパターンが見えるような比較的単純な方式のものであることが多い。例えば、ホログラムフィルムのフィルム面に対して法線(垂直軸)方向から照明した場合に、垂直軸回りで異なる方向(以下、照明方位と言う。)から観察することにより、現れるホログラム像が決定されるタイプのホログラムがある。このホログラムでは、当該垂直軸からの角度(傾き)は観察されるホログラム像のパターンに影響を与えない。本実施形態では、上記のタイプのホログラムフィルムを観察対象とする。
【0014】
上記のホログラムでは、ホログラムフィルムに対してフィルム面の垂直軸方向から照明した場合に、垂直軸回りで観察方向を変えるとホログラム像が変化するが、照明位置と観察位置とを逆にしても同じホログラム像が得られる。即ち、フィルム面に対して垂直な位置に観察部材を配置し、照明部材の位置を垂直軸回りで変化させると、特定の照明方位でホログラム像が現れる。そこで、フィルム面の垂直軸回りの異なる位置に複数の照明部材を用意しておき、各照明部材を順に切り換えながら光照射してホログラム像を観察する構成を採ることを考える。この構成において、それぞれの照明方位で正しいホログラム像が観察されるか否かを調べることにより、観察対象であるホログラムの真偽を判断することができる。
【0015】
しかしながら、例えば観察部材としてライン状の撮像光学系を用いる場合、撮像光学系の観測領域であるライン状部分を異なる方位から均一に照明するには、観測領域と照明部材との間の距離を大きくして、複数の照明部材を異なる向きに配設しなければならない。この構成を実現するためには、カード取り扱い装置を収納するための大きな占有スペースが必要となる。
【0016】
本実施形態では、以下で詳述するように、例えばライン状(棒状)の撮像光学系と、例えばこれとほぼ同じ形状で各々光の出射方向が異なる複数の導光板を撮像光学系と平行に配置する。これにより、占有スペースを可及的に小さく抑えた装置構成で、異なる複数の照明方位によるホログラムフィルムの観測が可能となる。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態によるカード取り扱い装置を示す模式図である。図2は、第1の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。図3は、第1の実施形態によるカード取り扱い装置の構成要素である各光照射部を示す平面図である。
本実施形態では、観察対象として、例えばカード10に付されたホログラムフィルム10aを観察対象とする。なお、他の実施形態でも同様である。
【0018】
このカード取り扱い装置において、1は、観察対象を所定方向に搬送する搬送部である。2a,2bは、カード10のホログラムフィルム10aに光を照射するライン状(棒状)の各光照射部である。3は、光照射部2a,2bから交互に出射した光のホログラムフィルム10aにおける反射光を検出するライン状(棒状)の撮像光学系である。4は、撮像光学系3で検出された、前記各光照射部から順次出射された光のホログラムフィルム10aの反射光に基づいて、光照射部2a,2bごとに対応するホログラム像を取得するデータ処理部である。5は、各ホログラム像を、ホログラムフィルム10aについて予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、ホログラムフィルム10aの真偽を判定する画像判定部である。6は、搬送部1の駆動、光照射部2a,2bによる光照射、撮像光学系3による反射光の検出、データ処理部4によるホログラム像の取得、及び画像判定部5による真偽判定をそれぞれ制御する制御部である。
【0019】
このカード取り扱い装置では、図1及び図2(a),(b)に示すように、搬送部1の搬送面1aの上方で搬送面1aの垂直軸に平行に光軸(レンズと受光素子とを結ぶ軸)を持つ例えば棒状の撮像光学系3が設けられる。搬送面1aの上方で撮像光学系3の片側に例えば棒状で同一サイズの光照射部2a,2bが設けられる。光照射部2a,2bと撮像光学系3とは長手方向で平行に配設される。
【0020】
搬送部1は、観察対象である例えばカード10を載置する搬送面1aを有し、搬送面1aに載置されたカード10を例えば矢印Aの方向に搬送する。
ここで、固定された光照射部2a,2b及び撮像光学系3に対して搬送部1によりカード10を搬送する代わりに、固定されたカード10に対して光照射部2a,2b及び撮像光学系3を移動させる装置構成とすることも考えられる。
【0021】
光照射部2aは、図2(a),(b)及び図3(a)に示すように、光源11aと、光源11aの光をホログラムフィルム10aに対して所定の出射角度で出射する例えば棒状の導光板12aとを有している。光源11aは、導光板12aの例えば一方の端面近傍に配置される。
光照射部2bは、図2(a),(b)及び図3(b)に示すように、光源11bと、光源11bの光をホログラムフィルム10aに対して所定の出射角度で出射する例えば棒状の導光板12bとを有している。光源11bは、導光板12bの例えば一方の端面近傍に配置される。
【0022】
光源11a,11bは、例えばLEDを有している。
LEDとしては、白色LEDが好ましい。ホログラムの種類によって回折され易い光の波長が異なるため、広いスペクトル範囲を持つ光源の方が汎用性に優れている。従って、光源11a,11bに用いるLEDとしては、単色LEDよりも白色LEDの方が適している。
【0023】
導光板12aと導光板12bとでは、同一の形状及びサイズとされており、両者の光の出射角度が相異なる。導光板12aでは、図2(a),(b)及び図3(a)に示すように、光出射面12aAにおいて、例えば当該導光板12aの長手方向に直交する方向に光(矢印A1で示す。)が出射される。一方、導光板12bでは、図2(a),(b)及び図3(b)に示すように、光出射面12bAにおいて、例えば当該導光板12bの長手方向に直交する方向から角度θ1(例えばθ1=45°)傾斜した方向に光(矢印A2で示す。)が出射される。
【0024】
導光板12a,12bは、光源2の光を当該導光板12a,12bの内部で全反射させながら光を伝搬させて内部全体に広がるようにしている。そして、図4に示す裏面内側に設けられた複数の微細な突起構造13で拡散光又は反射光をその出射特性を調整して、光出射面12aA,12bAから光を出射する構造とされている。
【0025】
導光板12bを例に採り、その内部構造を説明する。
導光板12bでは、図4(a)に示すように、各突起構造13がその長手方向が当該導光板12bの長手方向に対して直交するように当該導光板12bの裏面内側に設けられている。各突起構造13は、プリズム又はミラー等の機構を有している。各突起構造13において、図4(a),(b)に示すように、光源11bの光(矢印B1で示す。)が突起構造13の反射面13aで反射する。突起構造13は、反射面13aの水平面との角度θ2が例えば30°に形成されており、反射面13aで反射した光(矢印B2で示す。)は光出射面12bAで屈折し、外部に出射される。光出射面12bAの屈折率が例えば1.5程度であれば、光出射面12bAからの光(矢印A2で示す。)は当該光出射面12bAの法線からの角度θ1が45°程度傾斜した方向に出射される。
なお、導光板12aでは、例えば上記した各突起構造13の反射面13aにおける反射角度が当該導光板12aの長手方向に直交する方向となるように、当該各突起構造13を有する構成とすれば良い。
【0026】
本実施形態では、上記のように、導光板12a,12bの裏面内側に複数の微細な突起構造13を設ける。これにより、コンパクトで例えば同一形状であり、光源11a,11bの光を突起構造13の反射面13aで規定された角度の一定方向に確実に反射することができ、比較的簡素な構成で特定の方向に揃った光を出射する光照射部2a,2bが実現する。
【0027】
導光板12aでは、その出射光の方向は光出射面12aAの法線に平行な方向となる。導光板12bでは、その出射光の方向は光出射面12bAの法線から当該導光板12bの長手方向に所定角度だけ傾斜した方向となる。導光板12a,12bによる出射光の方向はいずれも、図2(b)のように光出射面12aA,12bAの短辺である縦辺に対しては垂直方向となる。本実施形態では、図2(b)のように導光板12a,12bを長手方向で平行に隣接配置する。上記したように、観察部位の面の垂直軸からの角度(傾き)はホログラム像のパターンに影響を与えないことから、光照射部2a,2bを、搬送部1の搬送面1aの垂直軸からの角度が異なるように近接配置することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、導光板12b,12bの裏面の構造は、内側への突起でなく外側に向く突起である構成も考えられる。その場合も、突起の傾斜した面が、図4(b)の反射面13aと同じ役割を果たす。また、導光板12b,12bの裏面内側に突起構造13を設けることなく、当該裏面内側で光を拡散させて光出射面12aA,12bAに導き、光出射面12aA,12bAに光の方向を制御するプリズムシートや拡散シートを貼付する構成の光照射部も考えられる。
【0029】
撮像光学系3は、光照射部2a,2bの出射光のホログラムフィルム10aからの反射光をそれぞれ検出するものである。撮像光学系3は、図2(b)に示すように、複数の結像レンズからなるレンズアレイ3aと、レンズアレイ3aを通過した光を受光する受光素子3bとを備えている。受光素子3bは、図5に示すように、受光面にライン状に複数の画素15を有するフォトダイオード等を有している。
【0030】
本実施形態では、制御部6の制御により、搬送部1を駆動して搬送面1aに載置されたカード10を搬送させながら、光照射部2a,2bから交互に点滅するようにカード10のホログラムフィルム10aに光を照射する。即ち、光照射部2a,2bの一方が光照射しているときには他方は消光する。撮像光学系3は、光照射部2a,2bの出射光のホログラムフィルム10aからの反射光を交互に受光する。
【0031】
データ処理部4は、図6に示すように、搬送部1によるカード10の搬送により、撮像光学系3のライン状に並んだ複数の画素15から、ラインデータを次々に取得してゆく。光照射部2aに対応したラインデータを21a、光照射部2bに対応したラインデータを22aとする。このようにして、データ処理部4は、光照射部2aに対応した複数のラインデータ21aから図6(a)のようなホログラム像21を、光照射部2bに対応した複数のラインデータ22aから図6(b)のようなホログラム像22をそれぞれ構成する。
【0032】
画像判定部5は、データ処理部4と接続されており、得られたホログラム像を、予め登録されている正規のホログラム像と比較し、正規のホログラム像と一致又は類似すると判断した場合に、当該ホログラム像が正規のホログラム像に対応した画像であると判断する。
データ処理部4で得られたホログラム像の、正規のホログラム像との比較は、例えば各画素の光強度を閾値により二値化した後、パターンマッチングにより行われる。
画像判定部5及び制御部6の機能は、それぞれ、例えばROM又はハードディスク等の記憶媒体から読み出したプログラムをコンピュータのCPUで実行することにより実現される。
【0033】
上記のように構成されたカード取り扱い装置を用いた取り扱い方法について説明する。図7は、本実施形態によるカード取り扱い方法をステップ順に示すフロー図である。
先ず、搬送部1は、制御部6の制御に基づいて、搬送面1aに載置されたカード10を搬送する。この状態で、各光照射部2a,2bは、制御部6の制御に基づいて、カード10のホログラムフィルム10aに交互に光を照射する(ステップS1)。
【0034】
続いて、撮像光学系3は、光照射部2a,2bの出射光のホログラムフィルム10aからの反射光を交互に受光して検出する(ステップS2)。
続いて、データ処理部4は、制御部6の制御に基づいて、撮像光学系3のライン状に並んだ複数の画素15からラインデータを次々に取得し、これらのラインデータから、光照射部2a,2bに対応した各ホログラム像を形成する(ステップS3)。
【0035】
続いて、画像判定部5は、得られた各ホログラム像を、それぞれ予め登録されている正規のホログラム像と比較する(ステップS4)。ステップS4において、得られた各ホログラム像が正規のホログラム像と一致又は類似する場合には、当該ホログラム像が正規のホログラム像に対応した画像であり、ホログラムフィルム10a(カード10)は真正であると判断する(ステップS5)。一方、得られた各ホログラム像が正規のホログラム像とは異なる場合には、当該ホログラム像は正規のホログラム像に対応しない画像であり、ホログラムフィルム10a(カード10)は偽物であると判断する(ステップS6)。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することを可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0037】
本実施形態では、ホログラムフィルム10aへの光照射により光照射部2a,2bに対応した各ホログラム像を得て、画像判定部5により、夫々のホログラム像を予め登録されている正規のホログラム像と比較する構成を採る場合について説明した。この構成以外に、カード取り扱い装置の構成及び取り扱い方法をより簡略化した構成も考えられる。
【0038】
例えば、ホログラムフィルムへの光照射により、光照射部2a,2bの一方に対応したホログラム像を得る。光照射部2a,2bの他方については、当該方向の光照射ではホログラム像が現われないものとする。そして、画像判定部5において正規のホログラム像を1つだけ登録しておく。画像判定部5により、光照射部2a,2bの一方に対応した各ホログラム像が正規のホログラム像と一致し、光照射部2a,2bの他方に対応してホログラム像が現われないことが確認されれば、当該ホログラムフィルムは真正なものであると判断する。一方、光照射部2aに対応したホログラム像と、光照射部2bに対応したホログラム像との両方が登録されている正規のホログラム像と一致する場合には、当該ホログラムフィルムは偽物であると判断する。
【0039】
この構成によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、より簡易な判断手法で、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することが可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0040】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。図9は、第2の実施形態によるカード取り扱い装置の構成要素である各光照射部を示す平面図である。
本実施形態では、第1の実施形態の図1において、光照射部2a,2bの代わりに光照射部31a,31bを配置したカード取り扱い装置を開示する。
【0041】
光照射部31aは、図8(a),(b)に示すように、光照射部2aと同様の光源11aと、光源11aの光をホログラムフィルム10aに対して所定の出射角度で出射する例えば棒状の導光板12cとを有している。光源11aは、導光板12cの例えば一方の端面近傍に配置される。
光照射部31bは、図8(a),(b)に示すように、光照射部2aと同様の光源11bと、光源11bの光を図1のホログラムフィルム10aに対して所定の出射角度で出射する例えば棒状の導光板12dとを有している。光源11bは、導光板12dの例えば一方の端面近傍に配置される。
【0042】
導光板12cと導光板12dとでは、同一の形状及びサイズとされており、両者の光の出射角度が相異なる。導光板12cでは、図8(a),(b)に示すように、光出射面12cAにおいて、例えば当該導光板12cの長手方向に直交する方向に光(矢印C1で示す。)が出射される。一方、導光板12dでは、図8(a),(b)に示すように、光出射面12dAにおいて、例えば当該導光板12dの長手方向に直交する方向から所定角度(例えば45°)傾斜した方向に光(矢印C2で示す。)が出射される。
【0043】
導光板12c,12dは、光源2の光を当該導光板12a,12bの内部で全反射させながら光を伝搬させて内部全体に広がるようにしている。そして、図9に示す裏面内側に設けられた複数の微細な突起構造14で拡散光又は反射光をその出射特性を調整して、光出射面12cA,12dAから光を出射する構造とされている。
【0044】
導光板12dを例に採り、その内部構造を説明する。
導光板12dでは、図9(a)に示すように、各突起構造14がその長手方向が当該導光板12dの長手方向に対して所定角度で傾斜するように当該導光板12dの裏面内側に設けられている。各突起構造14は、突起構造13と同様に、プリズム又はミラー等の機構を有している。
【0045】
各突起構造14において、図9(a),(b)に示すように、光源11aの光(矢印D1で示す。)が突起構造14の反射面14aで反射する。突起構造14は、反射面14aの水平面との角度θ2が例えば30°に形成されており、反射面14aで反射した光(矢印D2で示す。)は光出射面12dAで屈折し、外部に出射される。光出射面12dAの屈折率が例えば1.5程度であれば、光出射面12dAからの出射光(矢印C2で示す。)は、図9(b)のように側面から見れば、当該光出射面12dAの法線から角度θ1、例えば45°程度傾斜した方向に出射される。ここで、光出射面12dAからの出射光(矢印C2で示す。)は、図9(a)のように平面視すれば、導光板12dでは各突起構造14が所定角度で傾斜しているため、当該導光板12dの長手方向及び短手方向の双方と非平行な方向となる。
なお、導光板12cでは、図9(b)と同様に側面から見れば、例えば上記した各突起構造14の反射面14aにおける反射角度が当該導光板12cの長手方向に直交する方向となるように、当該各突起構造14を有する構成とすれば良い。
【0046】
ここで、第1の実施形態の導光板12a,12bのように、当該導光板の光出射面の法線から長手方向に向かって傾斜する方向に光が出射される場合には、図1(b)のように導光板12a,12bを搬送部1の搬送面1aに対して傾けて配設する必要がある。一方、本実施形態の導光板12c,12dのように、当該導光板12c,12dの長手方向及び短手方向の双方と非平行な方向に光が出射される場合には、図8(b)のように導光板12c,12dをその光出射面12cA,12dAが共に搬送部1の搬送面1aと平行となるように配設することができる。これにより、装置の占有スペースを更に小さくすることができ、また、導光板12a,12bをより容易に設置することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することが可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0048】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。
本実施形態では、第1の実施形態によるカード取り扱い装置を示す図1において、光照射部2a,2bの配設位置を変えたカード取り扱い装置を開示する。
【0049】
光照射部2aは、第1の実施形態の光照射部2aと同様の位置に配設される。一方、光照射部2bは、撮像光学系3に対して光照射部2aと対称な位置に配設される。
キャッシュカード又はクレジットカード等のホログラム観察では、照明方位が180度回転しても同じホログラム像が観察される。そのため、本実施形態のように光照射部2a,2bを撮像光学系3を挟んだ両側に対称に配設することにより、第1の実施形態のように撮像光学系3に対して同じ側に光照射部2a,2bを隣接配置する場合と同等のホログラム像を得ることができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することが可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0051】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態によるカード取り扱い装置を示す模式図である。
本実施形態では、第1の実施形態の図1で示したカード取り扱い装置と同様に各構成部材が配設されるが、光照射部2a,2bの代わりに光照射部41a,41bを設けたカード取り扱い装置を開示する。
【0052】
光照射部41a,41bは、導光板は第1の実施形態の光照射部2a,2bにおける導光板12a,12bと同様に裏面内側に複数の微細突起13を有する構成とされており、光照射部2a,2bと例えば同じ位置に配設される。
光照射部41a,41bは、相異なる波長の光を出射するものとされている。例えば、光照射部41aは青色光、光照射部41bは赤色光を出射する。更に、第1の実施形態の図5で示した撮像光学系3の受光素子3bにはカラーフィルタが設けられており、例えば各画素15が2分され、一方が青色光に、他方が赤色光に対応した画素とされる。
【0053】
本実施形態によるカード取り扱い方法について説明する。図12は、第4の実施形態によるカード取り扱い方法をステップ順に示すフロー図である。
先ず、搬送部1は、制御部6の制御に基づいて、搬送面1aに載置されたカード10を搬送する。この状態で、各光照射部41a,41bは、制御部6の制御に基づいて、カード10のホログラムフィルム10aに同時に光を照射する(ステップS11)。
【0054】
続いて、撮像光学系3は、光照射部2a,2bの出射光のホログラムフィルム10aからの反射光を同時に受光し、各画素15の一方で光照射部41aに基づく青色光を、各画素15の他方で光照射部41bに基づく赤色光を検出する(ステップS12)。
続いて、データ処理部4は、制御部6の制御に基づいて、撮像光学系3のライン状に並んだ複数の画素15からラインデータを次々に取得する。そして、これらのラインデータから、光照射部41aの青色光及び照射部41bの赤色光に対応した各ホログラム像を形成する(ステップS13)。
【0055】
続いて、画像判定部5は、得られた各ホログラム像を、それぞれ予め登録されている正規のホログラム像と比較する(ステップS14)。ステップS14において、得られた各ホログラム像が正規のホログラム像と一致又は類似する場合には、当該ホログラム像が正規のホログラム像に対応した画像であり、ホログラムフィルム10a(カード10)は真正であると判断する(ステップS15)。一方、得られた各ホログラム像が正規のホログラム像とは異なる場合には、当該ホログラム像は正規のホログラム像に対応しない画像であり、ホログラムフィルム10a(カード10)は偽物であると判断する(ステップS16)。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することが可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0057】
(第5の実施形態)
図16は、第5の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
本実施形態では、第1の実施形態の図1において、光照射部2bの代わりに、光照射部2aをもう1つ設け、その導光板12aの光出射面のみにプリズムシート51を配置したカード取り扱い装置を開示する。
【0058】
先ず、プリズムシート51について説明する。図13は、第5の実施形態に用いるプリズムシートを示す概略斜視図である。
プリズムシート51は、可視光に透明な樹脂で形成されている。プリズムシート51の表面51aは、断面が三角形で奥行き方向にはそのまま同じ形状で延在するプリズムが一定のピッチで縞状に並列する形状とされている。
【0059】
図14に示すように、プリズムシート51は、そのプリズムの形成されていない裏面を導光板12aの光出射面と対向するように(図14(a))、又は表面51aを導光板12aの光出射面と対向するように(図14(b))、配置される。ここでは、後者の場合について、図15を用いて説明する。
【0060】
図15に示すように、棒状の導光板12aの長手方向と、表面51aにおけるプリズムのピッチ方向が一致するように、導光板12aとプリズムシート51とを組み合わせる。プリズムシート51の表面51aを導光板12aの光出射面と対向させ、光源11aによる導光板12aからの出射光(矢印A1で示す)が表面51aから入射してプリズムシート51を通過するようにする。ここで、プリズムシート51には出射光を、プリズムシート51の短手方向(プリズムの延在する方向)に所定角度(角度γ1)だけ傾けて入射させる。
【0061】
プリズムシート51を通過した光は、カードのホログラムの照明に用いられる。特に図15に示すように、プリズムシート51を通過した光のうち、プリズムシート51の短手方向に傾斜する角度γ2が入射時の角度γ1よりも大きくなった光(矢印E1で示す)を用いる。即ち、矢印E1で示す光が、図16の搬送部1の搬送面1aに載置されたカードのホログラムフィルムを照射するように、光照射部2a及びプリズムシート51を配置する。
【0062】
プリズムシート51を通過する光の屈折作用について考察する。
先ず、図17に示すように、光が表面51a側からプリズムシート51に対して法線方向に平行に入射した場合を考える。当該法線方向に平行に入射した光は、表面51aのプリズムの両側の傾斜面でそれぞれ屈折する。この光は、プリズムシート51を通過した後、左右に分かれて出射する。
【0063】
図17のように、プリズムシート51からの出射光が左右に分かれる照明であっても、垂直方向からの照明との比較ができるため、斜め照明としては有効である。しかしながら、プリズムシート51への入射角が0°の場合であって、表面51aのプリズムが頂角90°(±45°)で、屈折率1.5の材料として計算すると、矢印E1で示す出射光の角度はθ2=25°程度とそれほど大きくない。
【0064】
図18に、図17の出射光における光分布を示す。図18において、R1が図17において矢印E1で示す出射光の分布を、R2が図17において矢印E1'で示す出射光の分布を表す。分布R1,R2において、その光強度の大きい部位、即ち出射光の中心となる光線に対応する部位を丸印R1a,R2aで示す。
導光板11aの出射光は、垂直方向(θ=0°)成分が主となるように設計した場合でも、θ方向の周辺の角度まで分布が広がる。そのため、プリズムシート51を通過後の光も角度θに対して広がることになり、図18のように、分布R1でθ=25°よりも垂直に近い角度に光の成分が存在する。従って、優れた斜め照明にはならない。
【0065】
次に、図19に示すように、光が表面51a側からプリズムシート51に対して、プリズムシート51の短手方向に傾いた方向から入射した場合を考える。この光は、プリズムシート51の長手方向には垂直(θ=0°)を中心とする分布光であるとする。ここで、光の方向を表す角度として、図20に示すように、プリズムシート51の短手方向の傾き角度をγとし、このγだけ傾いた面内におけるプリズムシート51の長手方向に傾斜する角度をθと表すことにする。導光板11aとプリズムシート51とでは長手方向が一致するため、角度θは導光板11aの長手方向に傾斜する角度である。
【0066】
この場合、プリズムシート51の表面51aに対する光の角度は3次元的に求めねばならず、計算は複雑になるが、スネルの法則を適用して屈折角度を求めれば、プリズムシート51を通過した後の光の方向が判る。例えば、表面51aのプリズムが頂角90°(±45°)で屈折率1.5の材料からなる場合、入射光がγ1=30°、θ1=0°であれば、通過後はγ2=35°、θ2=30°及びθ2 =−30°と計算される。この計算結果と、実験結果とから、γ方向の角度幅が狭く、θ方向の角度幅が広い光が、プリズムシート51に対してγ方向に30°程度傾いて入射した場合に、プリズムシート51を通過した後には図21のような光分布を持つことが判る。図21では、R1が図19において矢印E1で示す出射光の分布を、R2が図19において矢印E1'で示す出射光の分布を表す。分布R1,R2において、その光強度の大きい部位、即ち出射光の中心となる光線に対応する部位を丸印R1a,R2aで示す。
【0067】
図21のように、横軸をθ、縦軸をγにして表すと、光分布R1,R2は斜めに伸びる帯状となる。図17のように入射光をプリズムシート51の短手方向に傾けていない場合には、プリズムシート51を通過した後の光分布は、図18のようになる。即ち、光分布R1,R2が横方向に伸びており、単純に入射光のθ方向の分布が、プリズムシート51の通過後もθ方向の分布になる。光をプリズムシート51の短手方向に傾斜して入射した場合には、図21のように、光分布R1,R2が斜めとなるように回転する。
【0068】
光をプリズムシート51の短手方向に傾けてプリズムシート51を通過させることにより、θ=0°で入射した光がプリズムシート51を通過した後の光は、プリズムシート51の長手方向に傾斜する角度θが大きくなる。更に、出射光の光分布が図21のように斜めの帯状となるため、γの値の大きい領域Rのみを利用すれば、出射光に、プリズムシート51の長手方向の角度|θ|の大きい光のみが含まれるようにすることができる。
【0069】
本実施形態では、図16に示すように、搬送部1の搬送面1aの上方で搬送面1aの垂直軸に平行に光軸(レンズと受光素子とを結ぶ軸)を持つ例えば棒状の撮像光学系3が設けられる。搬送面1aの上方で撮像光学系3の片側に例えば棒状で同一サイズの2つの光照射部2aが設けられる。2つの光照射部2aと撮像光学系3とは長手方向で平行に配設される。一方の光照射部2aの光出射面に対向するようにプリズムシート51が配される。図19のように、導光板11aから出射する光がプリズムシート51に対してその短手方向に傾斜して入射するように、光照射部2aとプリズムシート51との配置が規定されている。
【0070】
本実施形態のカード取り扱い装置では、撮像光学系3によりカードのライン部分を観察してラインデータを取得するものである。そのため、図16のように光照射部2aとプリズムシート51との配置を規定することにより、プリズムシート51の短手方向の角度γの特定部分の光のみを利用することは容易に実現される。従って、光照射部2aとプリズムシート51を組み合わせ、プリズムシート51に対して短手方向に傾けて光を通過させることで、良好な斜め照明を得ることができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、良好な斜め照明を容易に実現し、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することを可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0072】
−変形例−
以下、第5の実施形態の諸変形例について説明する。
【0073】
(変形例1)
本実施形態では、導光板から出射した光をプリズムシート51の短手方向に対して傾けて、長手方向には傾けない(θ=0°)で入射する場合を考えたが、本例では、長手方向にも傾けて入射する場合を考える。
一例として、第1の実施形態における図1の光照射部2a,2bに加えて、図22に示すように、光照射部2bの導光板12bの光出射面のみにプリズムシート51を配置したカード取り扱い装置を開示する。図22中で、プリズムシート51への入射光を矢印A2及び矢印A2'で表す。プリズムシート51を通過した後の出射光を矢印E2及び矢印E2'で表す。
【0074】
プリズムシート51への入射光は、例えばθ=20°に中心があり、その周りに幅を持って広がっているとする。この場合には、プリズムシート51を通過した後の光分布は、図23のようになる。図23の光分布は基本的には図21の光分布と同じであり、光分布R1,R2は斜めに伸びる帯状になる。しかしながら、光強度の大きい位置は、図中の丸印R1a,R2aで表すように、右側の光分布R1ではγと|θ|の大きい位置にずれ、左側の光分布R2ではγと|θ|が小さい位置にずれる。丸印R1a,R2aから離れると光は弱くなっていくので、図23の左側の光分布R2では、γの値の大きい所で光は非常に弱くなる。そのため、γの値の大きい領域Rのみを照明に利用するように、光照射部2b及びプリズムシート51を配置すれば、その照明の長手方向の角度分布は片側に大きく傾いた光のみを強くもつものとなる。
【0075】
導光板12bのみで(プリズムシート51を有さず)、長手方向に傾いている光を出射した場合に得られる光分布が、図24のAのようであるとする。図22のように、導光板12bから出射された光をプリズムシート51に通して、γの大きい部分だけを取れば、図24のBのような光分布が得られる。そのため、垂直方向(θ=0°)の周辺の光量を低下させ、光の強いピークの角度θを大きく確保することができる。従って、カード取り扱い装置のホログラムの照明に用いる斜め照明として極めて良好である。
【0076】
以上説明したように、本例によれば、極めて良好な斜め照明を容易に実現し、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することを可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0077】
(変形例2)
本例では、本実施形態と同様に、導光板から出射した光をプリズムシート51の短手方向に対して傾ける構成を開示する。本例のカード取り扱い装置では、プリズムシート51の短手方向に傾斜した光を出射する導光板を備えた光照射部を用い、導光板の光出射面に対向するようにプリズムシート51を配する。
【0078】
光照射部としては例えば、図25に示すように、第1の実施形態における図8の光照射部31aを用いる。図25において、プリズムシート51への入射光を矢印C1で、プリズムシート51を通過した後の出射光を矢印E3で表す。このように光照射部31a及びプリズムシート51を配置することで、導光板12cとプリズムシート51との間の距離を短くすることができ、小さなスペースに収まるという利点がある。
【0079】
本例のカード取り扱い装置では、撮像光学系3によりカードのライン部分を観察してラインデータを取得するものである。そのため、光照射部2aとプリズムシート51との配置を適宜規定することにより、プリズムシート51の短手方向の角度γの特定部分の光のみを利用することは容易に実現される。従って、光照射部2aとプリズムシート51を組み合わせ、プリズムシート51に対して短手方向に傾けて光を通過させることで、良好な斜め照明を得ることができる。
【0080】
図26、図27のように、光照射部2a,31aの配設位置を変えても良い。
光照射部31a及びプリズムシート51は、図中の右側の位置に配設される。一方、光照射部2aは、撮像光学系3に対して光照射部31a及びプリズムシート51aと対称な左側の位置に配設される。
図26では、プリズムシート51が搬送面1aとほぼ垂直に配される。図27では、プリズムシート51が搬送面1aとほぼ水平に配される。
【0081】
以上説明したように、本例によれば、極めて良好な斜め照明を容易に実現し、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することを可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0082】
なお、上記した第1〜第5の実施形態では、カード取り扱い装置において、観察対象であるホログラムフィルムが照明方位の異なる2つのホログラム像を含み、各ホログラム像に対応するように2つの光照射部を配設する場合を例示した。これに対して、観察対象であるホログラムフィルムが照明方位の異なる3つ以上の所定数のホログラム像を含むことも考えられる。この場合には、ホログラムフィルムの各ホログラム像に対応するように3つ以上の所定数の光照射部を配設すれば良い。
【0083】
また、上記した第1〜第5の実施形態のうちのいくつかを、適宜組み合わせたカード取り扱い装置及び取り扱い方法を実現することもできる。例えば、第4の実施形態の波長の異なる光を出射する各光照射部に、第2の実施形態のように突起構造14を有する導光板を備えた光照射部を適用しても良い。また、第4の実施形態の波長の異なる光を出射する各光照射部を、第3の実施形態のように撮像光学系3を挟んだ両側に配設しても好適である。
【0084】
以下、識別装置及び識別方法の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0085】
(付記1)観察対象に光を照射する複数の光照射部と、
前記観察対象からの反射光を検出する光検出部と
を含み、
前記各光照射部は、光源と、前記光源の光を前記観察対象に対して所定の出射角度で出射する導光板とを備えており、
前記光照射部ごとに前記導光板の前記出射角度が異なることを特徴とする識別装置。
【0086】
(付記2)前記各光照射部は、棒状で同一のサイズとされており、それぞれ長手方向に平行に配設されることを特徴とする付記1に記載の識別装置。
【0087】
(付記3)前記各光照射部は、前記導光板から出射する光の波長が前記光照射部ごとに異なることを特徴とする付記1又は2に記載の識別装置。
【0088】
(付記4)前記各導光板は、複数の突起構造を有しており、前記光源の光を前記突起構造で反射又は屈折させて出射することを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の識別装置。
【0089】
(付記5)前記各導光板は、前記突起構造がその長手方向が当該導光板の長手方向に対して傾斜するように形成されており、前記光源の光を前記突起構造で反射又は屈折させて、当該導光板の長手方向及び短手方向の双方と非平行な方向に出射することを特徴とする付記4に記載の識別装置。
【0090】
(付記6)前記各光照射部は、隣接して配置されることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の識別装置。
【0091】
(付記7)前記各光照射部は、前記光検出部を挟んで対向する位置に配置されることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の識別装置。
【0092】
(付記8)
少なくとも1つの前記光照射部について、前記導光板の光出射面と対向するようにプリズムシートが設けられており、
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向に傾けて前記プリズムシートに入射し、前記導光板の長手方向に傾いた光として前記プリズムシートから出射することを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の識別装置。
【0093】
(付記9)
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向及び長手方向の双方に傾けて前記プリズムシートに入射することを特徴とする付記8に記載の識別装置。
【0094】
(付記10)
前記プリズムシートを通過した光のうち、前記プリズムシートの短手方向に傾斜する角度が前記プリズムシートへの入射時の角度よりも大きい光のみを、前記観察対象の観察用の照明として用いることを特徴とする付記8又は9に記載の識別装置。
【0095】
(付記11)前記光検出部で検出された、前記各光照射部から出射された光の前記観察対象の反射光に基づいて、前記各光照射部に対応するホログラム像を取得するデータ処理部と、
前記各ホログラム像を、前記観察対象について予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、前記観察対象の真偽を判定する画像判定部と
を更に含むことを特徴とする付記1〜10のいずれか1項に記載の識別装置。
【0096】
(付記12)複数の光照射部を用い、前記各光照射部からそれぞれ異なる出射角度で観察対象に光を照射し、
前記観察対象からの反射光を検出して、前記各光照射部に対応するホログラム像を取得し、
前記各ホログラム像を、前記観察対象について予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、前記観察対象の真偽を判定することを特徴とする識別方法。
【0097】
(付記13)前記各光照射部は前記観察対象に交互に光を照射し、前記各光照射部から出射した前記反射光を交互に検出することを特徴とする付記12に記載の識別方法。
【0098】
(付記14)前記各光照射部は、前記導光板から出射する光の波長が前記光照射部ごとに異なるものであり、
前記各光照射部は前記観察対象に同時に光を照射し、前記各光照射部から出射した前記反射光を同時に検出することを特徴とする付記12に記載の識別方法。
【0099】
(付記15)
少なくとも1つの前記光照射部について、前記導光板の光出射面と対向するようにプリズムシートを設け、
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向に傾けて前記プリズムシートに入射し、前記導光板の長手方向に傾いた光として前記プリズムシートから出射することを特徴とする付記12〜14のいずれか1項に記載の識別方法。
【0100】
(付記16)
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向及び長手方向の双方に傾けて前記プリズムシートに入射することを特徴とする付記15に記載の識別方法。
【0101】
(付記17)
前記プリズムシートを通過した光のうち、前記プリズムシートの短手方向に傾斜する角度が前記プリズムシートへの入射時の角度よりも大きい光のみを、前記観察対象の観察用の照明として用いることを特徴とする付記15又は16に記載の識別装置。
【符号の説明】
【0102】
1 搬送部
1a 搬送面
2a,2b,31a,31b,41a,41b 光照射部
3 撮像光学系
3a レンズアレイ
3b 受光素子
4 データ処理部
5 画像判定部
6 制御部
10 カード
11a ホログラムフィルム
11a,11b 光源
12a,12b,12c,12d 導光板
13,14 突起構造
15 画素
21,22 ホログラム像
21a,22a ラインデータ
51 プリズムシート
51a 表面
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察対象を例えばそのホログラム像により真偽を判定する識別装置及び識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャシュカード又はクレジットカード等には、偽造防止のためにしばしばホログラムフィルムを添付するという対策が採られている。一般的には、人間が視認により異常の有無を確認しているが、カード取り扱い装置にセンサを組み込むことでカードに添付したホログラムフィルムを識別できるようにすれば、偽造カードの判別に有用である。
【0003】
カード等に添付されたホログラムフィルムは、光源又は観察の角度によって、どのような像が見えるかが決まり、角度により異なる数種類の像が現れるように造られている場合がある。このため、ホログラムの真偽を判別するには、複数の角度から観察することが必要である。例えば、見えるべきホログラム像が1種類であれば、ホログラム像が見える角度と、ホログラム像が見えない角度の2つの角度から観察することで、ホログラムの真偽を判別することができる。
【0004】
ホログラムを観察するには、特定の角度、例えばホログラムフィルムのフィルム面に垂直な角度から照明光を照射し、レンズと撮像素子(例えばCCDカメラ)を用いて、様々な角度からホログラムフィルムを観察すれば良い。主にフィルム面の法線(垂直軸)回りの方向によって、観察される像が違って見えるので、レンズと撮像素子からなる観察装置を、ホログラムフィルムに対して垂直な軸の周りに方向を変化させてゆくことで像を確認することができる。複数の角度からの観察像を同時に取得するためには、複数のレンズ及び撮像素子をセットで配置する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−69947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ホログラムの観察に、複数のレンズ及び撮像素子をセットで配置した場合、レンズが焦点を結ぶにはある程度の距離が必要なために光路長が比較的長くなる。更に、ホログラムフィルムに対するレンズの設置角度が異なるセットを複数装備するためには、大きなスペースが必要となる。そのため、当該セットをカード取り扱い装置の内部等の比較的狭いスペースに適宜収納することは困難である。
【0007】
特許文献1には、カード等の局所的な部分(ホログラム)に光源から光を照射し、特定の角度への反射光強度が閾値を越えるか否かをディテクタで読み取る装置が開示されている。この場合、レンズを使用せずに直接にディテクタで光を受けており、設置スペースは小さくなる。しかしながら、複数の照射スポットからの反射光が入り乱れて近隣のディテクタにも入射してしまうため、ホログラム像の観察には適さない。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム等の像を容易且つ確実に取得することを可能とし、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高い識別装置及び識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
識別装置の一態様は、観察対象に光を照射する複数の光照射部と、前記観察対象からの反射光を検出する光検出部とを含み、前記各光照射部は、光源と、前記光源の光を前記観察対象に対して所定の出射角度で出射する導光板とを備えており、前記光照射部ごとに前記導光板の前記出射角度が異なる。
【0010】
識別方法の一態様は、複数の光照射部を用い、各光照射部からそれぞれ異なる出射角度で交互に観察対象に光を照射し、前記観察対象からの反射光を検出して、前記各光照射部に対応するホログラム像を取得し、前記各ホログラム像を、前記観察対象について予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、前記観察対象の真偽を判定する。
【発明の効果】
【0011】
上記の各態様によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム等の像を容易且つ確実に取得することを可能とし、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高い識別装置及び識別方法が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態によるカード取り扱い装置を示す模式図である。
【図2】第1の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図3】第1の実施形態によるカード取り扱い装置の構成要素である各光照射部を示す平面図である。
【図4】第1の実施形態における各光照射部の内部構成を示す模式図である。
【図5】第1の実施形態における撮像光学系の構成を示す模式図である。
【図6】第1の実施形態において形成されるホログラム像の一例を示す模式図である。
【図7】第1の実施形態によるカード取り扱い方法をステップ順に示すフロー図である。
【図8】第2の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図9】第2の実施形態によるカード取り扱い装置の構成要素である各光照射部を示す平面図である。
【図10】第3の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図11】第4の実施形態によるカード取り扱い装置を示す模式図である。
【図12】第4の実施形態によるカード取り扱い方法をステップ順に示すフロー図である。
【図13】第5の実施形態に用いるプリズムシートを示す概略斜視図である。
【図14】プリズムシートの配置例を示す概略断面図である。
【図15】第5の実施形態に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図16】第5の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図17】第5の実施形態に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図18】θ−γの関係を示す特性図である。
【図19】第5の実施形態に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図20】θとγの関係を示す模式図である。
【図21】θ−γの関係を示す特性図である。
【図22】第5の実施形態の変形例1に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図23】θ−γの関係を示す特性図である。
【図24】プリズムシートからの出射光の光強度分布を示す特性図である。
【図25】第5の実施形態の変形例2に用いる光照射部及びプリズムシートを示す概略図である。
【図26】第5の実施形態の変形例2によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【図27】第5の実施形態の変形例2によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、カード取り扱い装置及び取り扱い方法の具体的な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
キャッシュカード又はクレジットカード等に付されているホログラムフィルムは、視点を変えると立体的な像が見えるようなホログラムとは異なり、視点を変えると数種類のホログラム像のパターンが見えるような比較的単純な方式のものであることが多い。例えば、ホログラムフィルムのフィルム面に対して法線(垂直軸)方向から照明した場合に、垂直軸回りで異なる方向(以下、照明方位と言う。)から観察することにより、現れるホログラム像が決定されるタイプのホログラムがある。このホログラムでは、当該垂直軸からの角度(傾き)は観察されるホログラム像のパターンに影響を与えない。本実施形態では、上記のタイプのホログラムフィルムを観察対象とする。
【0014】
上記のホログラムでは、ホログラムフィルムに対してフィルム面の垂直軸方向から照明した場合に、垂直軸回りで観察方向を変えるとホログラム像が変化するが、照明位置と観察位置とを逆にしても同じホログラム像が得られる。即ち、フィルム面に対して垂直な位置に観察部材を配置し、照明部材の位置を垂直軸回りで変化させると、特定の照明方位でホログラム像が現れる。そこで、フィルム面の垂直軸回りの異なる位置に複数の照明部材を用意しておき、各照明部材を順に切り換えながら光照射してホログラム像を観察する構成を採ることを考える。この構成において、それぞれの照明方位で正しいホログラム像が観察されるか否かを調べることにより、観察対象であるホログラムの真偽を判断することができる。
【0015】
しかしながら、例えば観察部材としてライン状の撮像光学系を用いる場合、撮像光学系の観測領域であるライン状部分を異なる方位から均一に照明するには、観測領域と照明部材との間の距離を大きくして、複数の照明部材を異なる向きに配設しなければならない。この構成を実現するためには、カード取り扱い装置を収納するための大きな占有スペースが必要となる。
【0016】
本実施形態では、以下で詳述するように、例えばライン状(棒状)の撮像光学系と、例えばこれとほぼ同じ形状で各々光の出射方向が異なる複数の導光板を撮像光学系と平行に配置する。これにより、占有スペースを可及的に小さく抑えた装置構成で、異なる複数の照明方位によるホログラムフィルムの観測が可能となる。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態によるカード取り扱い装置を示す模式図である。図2は、第1の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。図3は、第1の実施形態によるカード取り扱い装置の構成要素である各光照射部を示す平面図である。
本実施形態では、観察対象として、例えばカード10に付されたホログラムフィルム10aを観察対象とする。なお、他の実施形態でも同様である。
【0018】
このカード取り扱い装置において、1は、観察対象を所定方向に搬送する搬送部である。2a,2bは、カード10のホログラムフィルム10aに光を照射するライン状(棒状)の各光照射部である。3は、光照射部2a,2bから交互に出射した光のホログラムフィルム10aにおける反射光を検出するライン状(棒状)の撮像光学系である。4は、撮像光学系3で検出された、前記各光照射部から順次出射された光のホログラムフィルム10aの反射光に基づいて、光照射部2a,2bごとに対応するホログラム像を取得するデータ処理部である。5は、各ホログラム像を、ホログラムフィルム10aについて予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、ホログラムフィルム10aの真偽を判定する画像判定部である。6は、搬送部1の駆動、光照射部2a,2bによる光照射、撮像光学系3による反射光の検出、データ処理部4によるホログラム像の取得、及び画像判定部5による真偽判定をそれぞれ制御する制御部である。
【0019】
このカード取り扱い装置では、図1及び図2(a),(b)に示すように、搬送部1の搬送面1aの上方で搬送面1aの垂直軸に平行に光軸(レンズと受光素子とを結ぶ軸)を持つ例えば棒状の撮像光学系3が設けられる。搬送面1aの上方で撮像光学系3の片側に例えば棒状で同一サイズの光照射部2a,2bが設けられる。光照射部2a,2bと撮像光学系3とは長手方向で平行に配設される。
【0020】
搬送部1は、観察対象である例えばカード10を載置する搬送面1aを有し、搬送面1aに載置されたカード10を例えば矢印Aの方向に搬送する。
ここで、固定された光照射部2a,2b及び撮像光学系3に対して搬送部1によりカード10を搬送する代わりに、固定されたカード10に対して光照射部2a,2b及び撮像光学系3を移動させる装置構成とすることも考えられる。
【0021】
光照射部2aは、図2(a),(b)及び図3(a)に示すように、光源11aと、光源11aの光をホログラムフィルム10aに対して所定の出射角度で出射する例えば棒状の導光板12aとを有している。光源11aは、導光板12aの例えば一方の端面近傍に配置される。
光照射部2bは、図2(a),(b)及び図3(b)に示すように、光源11bと、光源11bの光をホログラムフィルム10aに対して所定の出射角度で出射する例えば棒状の導光板12bとを有している。光源11bは、導光板12bの例えば一方の端面近傍に配置される。
【0022】
光源11a,11bは、例えばLEDを有している。
LEDとしては、白色LEDが好ましい。ホログラムの種類によって回折され易い光の波長が異なるため、広いスペクトル範囲を持つ光源の方が汎用性に優れている。従って、光源11a,11bに用いるLEDとしては、単色LEDよりも白色LEDの方が適している。
【0023】
導光板12aと導光板12bとでは、同一の形状及びサイズとされており、両者の光の出射角度が相異なる。導光板12aでは、図2(a),(b)及び図3(a)に示すように、光出射面12aAにおいて、例えば当該導光板12aの長手方向に直交する方向に光(矢印A1で示す。)が出射される。一方、導光板12bでは、図2(a),(b)及び図3(b)に示すように、光出射面12bAにおいて、例えば当該導光板12bの長手方向に直交する方向から角度θ1(例えばθ1=45°)傾斜した方向に光(矢印A2で示す。)が出射される。
【0024】
導光板12a,12bは、光源2の光を当該導光板12a,12bの内部で全反射させながら光を伝搬させて内部全体に広がるようにしている。そして、図4に示す裏面内側に設けられた複数の微細な突起構造13で拡散光又は反射光をその出射特性を調整して、光出射面12aA,12bAから光を出射する構造とされている。
【0025】
導光板12bを例に採り、その内部構造を説明する。
導光板12bでは、図4(a)に示すように、各突起構造13がその長手方向が当該導光板12bの長手方向に対して直交するように当該導光板12bの裏面内側に設けられている。各突起構造13は、プリズム又はミラー等の機構を有している。各突起構造13において、図4(a),(b)に示すように、光源11bの光(矢印B1で示す。)が突起構造13の反射面13aで反射する。突起構造13は、反射面13aの水平面との角度θ2が例えば30°に形成されており、反射面13aで反射した光(矢印B2で示す。)は光出射面12bAで屈折し、外部に出射される。光出射面12bAの屈折率が例えば1.5程度であれば、光出射面12bAからの光(矢印A2で示す。)は当該光出射面12bAの法線からの角度θ1が45°程度傾斜した方向に出射される。
なお、導光板12aでは、例えば上記した各突起構造13の反射面13aにおける反射角度が当該導光板12aの長手方向に直交する方向となるように、当該各突起構造13を有する構成とすれば良い。
【0026】
本実施形態では、上記のように、導光板12a,12bの裏面内側に複数の微細な突起構造13を設ける。これにより、コンパクトで例えば同一形状であり、光源11a,11bの光を突起構造13の反射面13aで規定された角度の一定方向に確実に反射することができ、比較的簡素な構成で特定の方向に揃った光を出射する光照射部2a,2bが実現する。
【0027】
導光板12aでは、その出射光の方向は光出射面12aAの法線に平行な方向となる。導光板12bでは、その出射光の方向は光出射面12bAの法線から当該導光板12bの長手方向に所定角度だけ傾斜した方向となる。導光板12a,12bによる出射光の方向はいずれも、図2(b)のように光出射面12aA,12bAの短辺である縦辺に対しては垂直方向となる。本実施形態では、図2(b)のように導光板12a,12bを長手方向で平行に隣接配置する。上記したように、観察部位の面の垂直軸からの角度(傾き)はホログラム像のパターンに影響を与えないことから、光照射部2a,2bを、搬送部1の搬送面1aの垂直軸からの角度が異なるように近接配置することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、導光板12b,12bの裏面の構造は、内側への突起でなく外側に向く突起である構成も考えられる。その場合も、突起の傾斜した面が、図4(b)の反射面13aと同じ役割を果たす。また、導光板12b,12bの裏面内側に突起構造13を設けることなく、当該裏面内側で光を拡散させて光出射面12aA,12bAに導き、光出射面12aA,12bAに光の方向を制御するプリズムシートや拡散シートを貼付する構成の光照射部も考えられる。
【0029】
撮像光学系3は、光照射部2a,2bの出射光のホログラムフィルム10aからの反射光をそれぞれ検出するものである。撮像光学系3は、図2(b)に示すように、複数の結像レンズからなるレンズアレイ3aと、レンズアレイ3aを通過した光を受光する受光素子3bとを備えている。受光素子3bは、図5に示すように、受光面にライン状に複数の画素15を有するフォトダイオード等を有している。
【0030】
本実施形態では、制御部6の制御により、搬送部1を駆動して搬送面1aに載置されたカード10を搬送させながら、光照射部2a,2bから交互に点滅するようにカード10のホログラムフィルム10aに光を照射する。即ち、光照射部2a,2bの一方が光照射しているときには他方は消光する。撮像光学系3は、光照射部2a,2bの出射光のホログラムフィルム10aからの反射光を交互に受光する。
【0031】
データ処理部4は、図6に示すように、搬送部1によるカード10の搬送により、撮像光学系3のライン状に並んだ複数の画素15から、ラインデータを次々に取得してゆく。光照射部2aに対応したラインデータを21a、光照射部2bに対応したラインデータを22aとする。このようにして、データ処理部4は、光照射部2aに対応した複数のラインデータ21aから図6(a)のようなホログラム像21を、光照射部2bに対応した複数のラインデータ22aから図6(b)のようなホログラム像22をそれぞれ構成する。
【0032】
画像判定部5は、データ処理部4と接続されており、得られたホログラム像を、予め登録されている正規のホログラム像と比較し、正規のホログラム像と一致又は類似すると判断した場合に、当該ホログラム像が正規のホログラム像に対応した画像であると判断する。
データ処理部4で得られたホログラム像の、正規のホログラム像との比較は、例えば各画素の光強度を閾値により二値化した後、パターンマッチングにより行われる。
画像判定部5及び制御部6の機能は、それぞれ、例えばROM又はハードディスク等の記憶媒体から読み出したプログラムをコンピュータのCPUで実行することにより実現される。
【0033】
上記のように構成されたカード取り扱い装置を用いた取り扱い方法について説明する。図7は、本実施形態によるカード取り扱い方法をステップ順に示すフロー図である。
先ず、搬送部1は、制御部6の制御に基づいて、搬送面1aに載置されたカード10を搬送する。この状態で、各光照射部2a,2bは、制御部6の制御に基づいて、カード10のホログラムフィルム10aに交互に光を照射する(ステップS1)。
【0034】
続いて、撮像光学系3は、光照射部2a,2bの出射光のホログラムフィルム10aからの反射光を交互に受光して検出する(ステップS2)。
続いて、データ処理部4は、制御部6の制御に基づいて、撮像光学系3のライン状に並んだ複数の画素15からラインデータを次々に取得し、これらのラインデータから、光照射部2a,2bに対応した各ホログラム像を形成する(ステップS3)。
【0035】
続いて、画像判定部5は、得られた各ホログラム像を、それぞれ予め登録されている正規のホログラム像と比較する(ステップS4)。ステップS4において、得られた各ホログラム像が正規のホログラム像と一致又は類似する場合には、当該ホログラム像が正規のホログラム像に対応した画像であり、ホログラムフィルム10a(カード10)は真正であると判断する(ステップS5)。一方、得られた各ホログラム像が正規のホログラム像とは異なる場合には、当該ホログラム像は正規のホログラム像に対応しない画像であり、ホログラムフィルム10a(カード10)は偽物であると判断する(ステップS6)。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することを可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0037】
本実施形態では、ホログラムフィルム10aへの光照射により光照射部2a,2bに対応した各ホログラム像を得て、画像判定部5により、夫々のホログラム像を予め登録されている正規のホログラム像と比較する構成を採る場合について説明した。この構成以外に、カード取り扱い装置の構成及び取り扱い方法をより簡略化した構成も考えられる。
【0038】
例えば、ホログラムフィルムへの光照射により、光照射部2a,2bの一方に対応したホログラム像を得る。光照射部2a,2bの他方については、当該方向の光照射ではホログラム像が現われないものとする。そして、画像判定部5において正規のホログラム像を1つだけ登録しておく。画像判定部5により、光照射部2a,2bの一方に対応した各ホログラム像が正規のホログラム像と一致し、光照射部2a,2bの他方に対応してホログラム像が現われないことが確認されれば、当該ホログラムフィルムは真正なものであると判断する。一方、光照射部2aに対応したホログラム像と、光照射部2bに対応したホログラム像との両方が登録されている正規のホログラム像と一致する場合には、当該ホログラムフィルムは偽物であると判断する。
【0039】
この構成によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、より簡易な判断手法で、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することが可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0040】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。図9は、第2の実施形態によるカード取り扱い装置の構成要素である各光照射部を示す平面図である。
本実施形態では、第1の実施形態の図1において、光照射部2a,2bの代わりに光照射部31a,31bを配置したカード取り扱い装置を開示する。
【0041】
光照射部31aは、図8(a),(b)に示すように、光照射部2aと同様の光源11aと、光源11aの光をホログラムフィルム10aに対して所定の出射角度で出射する例えば棒状の導光板12cとを有している。光源11aは、導光板12cの例えば一方の端面近傍に配置される。
光照射部31bは、図8(a),(b)に示すように、光照射部2aと同様の光源11bと、光源11bの光を図1のホログラムフィルム10aに対して所定の出射角度で出射する例えば棒状の導光板12dとを有している。光源11bは、導光板12dの例えば一方の端面近傍に配置される。
【0042】
導光板12cと導光板12dとでは、同一の形状及びサイズとされており、両者の光の出射角度が相異なる。導光板12cでは、図8(a),(b)に示すように、光出射面12cAにおいて、例えば当該導光板12cの長手方向に直交する方向に光(矢印C1で示す。)が出射される。一方、導光板12dでは、図8(a),(b)に示すように、光出射面12dAにおいて、例えば当該導光板12dの長手方向に直交する方向から所定角度(例えば45°)傾斜した方向に光(矢印C2で示す。)が出射される。
【0043】
導光板12c,12dは、光源2の光を当該導光板12a,12bの内部で全反射させながら光を伝搬させて内部全体に広がるようにしている。そして、図9に示す裏面内側に設けられた複数の微細な突起構造14で拡散光又は反射光をその出射特性を調整して、光出射面12cA,12dAから光を出射する構造とされている。
【0044】
導光板12dを例に採り、その内部構造を説明する。
導光板12dでは、図9(a)に示すように、各突起構造14がその長手方向が当該導光板12dの長手方向に対して所定角度で傾斜するように当該導光板12dの裏面内側に設けられている。各突起構造14は、突起構造13と同様に、プリズム又はミラー等の機構を有している。
【0045】
各突起構造14において、図9(a),(b)に示すように、光源11aの光(矢印D1で示す。)が突起構造14の反射面14aで反射する。突起構造14は、反射面14aの水平面との角度θ2が例えば30°に形成されており、反射面14aで反射した光(矢印D2で示す。)は光出射面12dAで屈折し、外部に出射される。光出射面12dAの屈折率が例えば1.5程度であれば、光出射面12dAからの出射光(矢印C2で示す。)は、図9(b)のように側面から見れば、当該光出射面12dAの法線から角度θ1、例えば45°程度傾斜した方向に出射される。ここで、光出射面12dAからの出射光(矢印C2で示す。)は、図9(a)のように平面視すれば、導光板12dでは各突起構造14が所定角度で傾斜しているため、当該導光板12dの長手方向及び短手方向の双方と非平行な方向となる。
なお、導光板12cでは、図9(b)と同様に側面から見れば、例えば上記した各突起構造14の反射面14aにおける反射角度が当該導光板12cの長手方向に直交する方向となるように、当該各突起構造14を有する構成とすれば良い。
【0046】
ここで、第1の実施形態の導光板12a,12bのように、当該導光板の光出射面の法線から長手方向に向かって傾斜する方向に光が出射される場合には、図1(b)のように導光板12a,12bを搬送部1の搬送面1aに対して傾けて配設する必要がある。一方、本実施形態の導光板12c,12dのように、当該導光板12c,12dの長手方向及び短手方向の双方と非平行な方向に光が出射される場合には、図8(b)のように導光板12c,12dをその光出射面12cA,12dAが共に搬送部1の搬送面1aと平行となるように配設することができる。これにより、装置の占有スペースを更に小さくすることができ、また、導光板12a,12bをより容易に設置することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することが可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0048】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。
本実施形態では、第1の実施形態によるカード取り扱い装置を示す図1において、光照射部2a,2bの配設位置を変えたカード取り扱い装置を開示する。
【0049】
光照射部2aは、第1の実施形態の光照射部2aと同様の位置に配設される。一方、光照射部2bは、撮像光学系3に対して光照射部2aと対称な位置に配設される。
キャッシュカード又はクレジットカード等のホログラム観察では、照明方位が180度回転しても同じホログラム像が観察される。そのため、本実施形態のように光照射部2a,2bを撮像光学系3を挟んだ両側に対称に配設することにより、第1の実施形態のように撮像光学系3に対して同じ側に光照射部2a,2bを隣接配置する場合と同等のホログラム像を得ることができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することが可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0051】
(第4の実施形態)
図11は、第4の実施形態によるカード取り扱い装置を示す模式図である。
本実施形態では、第1の実施形態の図1で示したカード取り扱い装置と同様に各構成部材が配設されるが、光照射部2a,2bの代わりに光照射部41a,41bを設けたカード取り扱い装置を開示する。
【0052】
光照射部41a,41bは、導光板は第1の実施形態の光照射部2a,2bにおける導光板12a,12bと同様に裏面内側に複数の微細突起13を有する構成とされており、光照射部2a,2bと例えば同じ位置に配設される。
光照射部41a,41bは、相異なる波長の光を出射するものとされている。例えば、光照射部41aは青色光、光照射部41bは赤色光を出射する。更に、第1の実施形態の図5で示した撮像光学系3の受光素子3bにはカラーフィルタが設けられており、例えば各画素15が2分され、一方が青色光に、他方が赤色光に対応した画素とされる。
【0053】
本実施形態によるカード取り扱い方法について説明する。図12は、第4の実施形態によるカード取り扱い方法をステップ順に示すフロー図である。
先ず、搬送部1は、制御部6の制御に基づいて、搬送面1aに載置されたカード10を搬送する。この状態で、各光照射部41a,41bは、制御部6の制御に基づいて、カード10のホログラムフィルム10aに同時に光を照射する(ステップS11)。
【0054】
続いて、撮像光学系3は、光照射部2a,2bの出射光のホログラムフィルム10aからの反射光を同時に受光し、各画素15の一方で光照射部41aに基づく青色光を、各画素15の他方で光照射部41bに基づく赤色光を検出する(ステップS12)。
続いて、データ処理部4は、制御部6の制御に基づいて、撮像光学系3のライン状に並んだ複数の画素15からラインデータを次々に取得する。そして、これらのラインデータから、光照射部41aの青色光及び照射部41bの赤色光に対応した各ホログラム像を形成する(ステップS13)。
【0055】
続いて、画像判定部5は、得られた各ホログラム像を、それぞれ予め登録されている正規のホログラム像と比較する(ステップS14)。ステップS14において、得られた各ホログラム像が正規のホログラム像と一致又は類似する場合には、当該ホログラム像が正規のホログラム像に対応した画像であり、ホログラムフィルム10a(カード10)は真正であると判断する(ステップS15)。一方、得られた各ホログラム像が正規のホログラム像とは異なる場合には、当該ホログラム像は正規のホログラム像に対応しない画像であり、ホログラムフィルム10a(カード10)は偽物であると判断する(ステップS16)。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することが可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0057】
(第5の実施形態)
図16は、第5の実施形態によるカード取り扱い装置の搬送部、各光照射部及び撮像光学系のみを示す模式図である。
本実施形態では、第1の実施形態の図1において、光照射部2bの代わりに、光照射部2aをもう1つ設け、その導光板12aの光出射面のみにプリズムシート51を配置したカード取り扱い装置を開示する。
【0058】
先ず、プリズムシート51について説明する。図13は、第5の実施形態に用いるプリズムシートを示す概略斜視図である。
プリズムシート51は、可視光に透明な樹脂で形成されている。プリズムシート51の表面51aは、断面が三角形で奥行き方向にはそのまま同じ形状で延在するプリズムが一定のピッチで縞状に並列する形状とされている。
【0059】
図14に示すように、プリズムシート51は、そのプリズムの形成されていない裏面を導光板12aの光出射面と対向するように(図14(a))、又は表面51aを導光板12aの光出射面と対向するように(図14(b))、配置される。ここでは、後者の場合について、図15を用いて説明する。
【0060】
図15に示すように、棒状の導光板12aの長手方向と、表面51aにおけるプリズムのピッチ方向が一致するように、導光板12aとプリズムシート51とを組み合わせる。プリズムシート51の表面51aを導光板12aの光出射面と対向させ、光源11aによる導光板12aからの出射光(矢印A1で示す)が表面51aから入射してプリズムシート51を通過するようにする。ここで、プリズムシート51には出射光を、プリズムシート51の短手方向(プリズムの延在する方向)に所定角度(角度γ1)だけ傾けて入射させる。
【0061】
プリズムシート51を通過した光は、カードのホログラムの照明に用いられる。特に図15に示すように、プリズムシート51を通過した光のうち、プリズムシート51の短手方向に傾斜する角度γ2が入射時の角度γ1よりも大きくなった光(矢印E1で示す)を用いる。即ち、矢印E1で示す光が、図16の搬送部1の搬送面1aに載置されたカードのホログラムフィルムを照射するように、光照射部2a及びプリズムシート51を配置する。
【0062】
プリズムシート51を通過する光の屈折作用について考察する。
先ず、図17に示すように、光が表面51a側からプリズムシート51に対して法線方向に平行に入射した場合を考える。当該法線方向に平行に入射した光は、表面51aのプリズムの両側の傾斜面でそれぞれ屈折する。この光は、プリズムシート51を通過した後、左右に分かれて出射する。
【0063】
図17のように、プリズムシート51からの出射光が左右に分かれる照明であっても、垂直方向からの照明との比較ができるため、斜め照明としては有効である。しかしながら、プリズムシート51への入射角が0°の場合であって、表面51aのプリズムが頂角90°(±45°)で、屈折率1.5の材料として計算すると、矢印E1で示す出射光の角度はθ2=25°程度とそれほど大きくない。
【0064】
図18に、図17の出射光における光分布を示す。図18において、R1が図17において矢印E1で示す出射光の分布を、R2が図17において矢印E1'で示す出射光の分布を表す。分布R1,R2において、その光強度の大きい部位、即ち出射光の中心となる光線に対応する部位を丸印R1a,R2aで示す。
導光板11aの出射光は、垂直方向(θ=0°)成分が主となるように設計した場合でも、θ方向の周辺の角度まで分布が広がる。そのため、プリズムシート51を通過後の光も角度θに対して広がることになり、図18のように、分布R1でθ=25°よりも垂直に近い角度に光の成分が存在する。従って、優れた斜め照明にはならない。
【0065】
次に、図19に示すように、光が表面51a側からプリズムシート51に対して、プリズムシート51の短手方向に傾いた方向から入射した場合を考える。この光は、プリズムシート51の長手方向には垂直(θ=0°)を中心とする分布光であるとする。ここで、光の方向を表す角度として、図20に示すように、プリズムシート51の短手方向の傾き角度をγとし、このγだけ傾いた面内におけるプリズムシート51の長手方向に傾斜する角度をθと表すことにする。導光板11aとプリズムシート51とでは長手方向が一致するため、角度θは導光板11aの長手方向に傾斜する角度である。
【0066】
この場合、プリズムシート51の表面51aに対する光の角度は3次元的に求めねばならず、計算は複雑になるが、スネルの法則を適用して屈折角度を求めれば、プリズムシート51を通過した後の光の方向が判る。例えば、表面51aのプリズムが頂角90°(±45°)で屈折率1.5の材料からなる場合、入射光がγ1=30°、θ1=0°であれば、通過後はγ2=35°、θ2=30°及びθ2 =−30°と計算される。この計算結果と、実験結果とから、γ方向の角度幅が狭く、θ方向の角度幅が広い光が、プリズムシート51に対してγ方向に30°程度傾いて入射した場合に、プリズムシート51を通過した後には図21のような光分布を持つことが判る。図21では、R1が図19において矢印E1で示す出射光の分布を、R2が図19において矢印E1'で示す出射光の分布を表す。分布R1,R2において、その光強度の大きい部位、即ち出射光の中心となる光線に対応する部位を丸印R1a,R2aで示す。
【0067】
図21のように、横軸をθ、縦軸をγにして表すと、光分布R1,R2は斜めに伸びる帯状となる。図17のように入射光をプリズムシート51の短手方向に傾けていない場合には、プリズムシート51を通過した後の光分布は、図18のようになる。即ち、光分布R1,R2が横方向に伸びており、単純に入射光のθ方向の分布が、プリズムシート51の通過後もθ方向の分布になる。光をプリズムシート51の短手方向に傾斜して入射した場合には、図21のように、光分布R1,R2が斜めとなるように回転する。
【0068】
光をプリズムシート51の短手方向に傾けてプリズムシート51を通過させることにより、θ=0°で入射した光がプリズムシート51を通過した後の光は、プリズムシート51の長手方向に傾斜する角度θが大きくなる。更に、出射光の光分布が図21のように斜めの帯状となるため、γの値の大きい領域Rのみを利用すれば、出射光に、プリズムシート51の長手方向の角度|θ|の大きい光のみが含まれるようにすることができる。
【0069】
本実施形態では、図16に示すように、搬送部1の搬送面1aの上方で搬送面1aの垂直軸に平行に光軸(レンズと受光素子とを結ぶ軸)を持つ例えば棒状の撮像光学系3が設けられる。搬送面1aの上方で撮像光学系3の片側に例えば棒状で同一サイズの2つの光照射部2aが設けられる。2つの光照射部2aと撮像光学系3とは長手方向で平行に配設される。一方の光照射部2aの光出射面に対向するようにプリズムシート51が配される。図19のように、導光板11aから出射する光がプリズムシート51に対してその短手方向に傾斜して入射するように、光照射部2aとプリズムシート51との配置が規定されている。
【0070】
本実施形態のカード取り扱い装置では、撮像光学系3によりカードのライン部分を観察してラインデータを取得するものである。そのため、図16のように光照射部2aとプリズムシート51との配置を規定することにより、プリズムシート51の短手方向の角度γの特定部分の光のみを利用することは容易に実現される。従って、光照射部2aとプリズムシート51を組み合わせ、プリズムシート51に対して短手方向に傾けて光を通過させることで、良好な斜め照明を得ることができる。
【0071】
以上説明したように、本実施形態によれば、良好な斜め照明を容易に実現し、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することを可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0072】
−変形例−
以下、第5の実施形態の諸変形例について説明する。
【0073】
(変形例1)
本実施形態では、導光板から出射した光をプリズムシート51の短手方向に対して傾けて、長手方向には傾けない(θ=0°)で入射する場合を考えたが、本例では、長手方向にも傾けて入射する場合を考える。
一例として、第1の実施形態における図1の光照射部2a,2bに加えて、図22に示すように、光照射部2bの導光板12bの光出射面のみにプリズムシート51を配置したカード取り扱い装置を開示する。図22中で、プリズムシート51への入射光を矢印A2及び矢印A2'で表す。プリズムシート51を通過した後の出射光を矢印E2及び矢印E2'で表す。
【0074】
プリズムシート51への入射光は、例えばθ=20°に中心があり、その周りに幅を持って広がっているとする。この場合には、プリズムシート51を通過した後の光分布は、図23のようになる。図23の光分布は基本的には図21の光分布と同じであり、光分布R1,R2は斜めに伸びる帯状になる。しかしながら、光強度の大きい位置は、図中の丸印R1a,R2aで表すように、右側の光分布R1ではγと|θ|の大きい位置にずれ、左側の光分布R2ではγと|θ|が小さい位置にずれる。丸印R1a,R2aから離れると光は弱くなっていくので、図23の左側の光分布R2では、γの値の大きい所で光は非常に弱くなる。そのため、γの値の大きい領域Rのみを照明に利用するように、光照射部2b及びプリズムシート51を配置すれば、その照明の長手方向の角度分布は片側に大きく傾いた光のみを強くもつものとなる。
【0075】
導光板12bのみで(プリズムシート51を有さず)、長手方向に傾いている光を出射した場合に得られる光分布が、図24のAのようであるとする。図22のように、導光板12bから出射された光をプリズムシート51に通して、γの大きい部分だけを取れば、図24のBのような光分布が得られる。そのため、垂直方向(θ=0°)の周辺の光量を低下させ、光の強いピークの角度θを大きく確保することができる。従って、カード取り扱い装置のホログラムの照明に用いる斜め照明として極めて良好である。
【0076】
以上説明したように、本例によれば、極めて良好な斜め照明を容易に実現し、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することを可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0077】
(変形例2)
本例では、本実施形態と同様に、導光板から出射した光をプリズムシート51の短手方向に対して傾ける構成を開示する。本例のカード取り扱い装置では、プリズムシート51の短手方向に傾斜した光を出射する導光板を備えた光照射部を用い、導光板の光出射面に対向するようにプリズムシート51を配する。
【0078】
光照射部としては例えば、図25に示すように、第1の実施形態における図8の光照射部31aを用いる。図25において、プリズムシート51への入射光を矢印C1で、プリズムシート51を通過した後の出射光を矢印E3で表す。このように光照射部31a及びプリズムシート51を配置することで、導光板12cとプリズムシート51との間の距離を短くすることができ、小さなスペースに収まるという利点がある。
【0079】
本例のカード取り扱い装置では、撮像光学系3によりカードのライン部分を観察してラインデータを取得するものである。そのため、光照射部2aとプリズムシート51との配置を適宜規定することにより、プリズムシート51の短手方向の角度γの特定部分の光のみを利用することは容易に実現される。従って、光照射部2aとプリズムシート51を組み合わせ、プリズムシート51に対して短手方向に傾けて光を通過させることで、良好な斜め照明を得ることができる。
【0080】
図26、図27のように、光照射部2a,31aの配設位置を変えても良い。
光照射部31a及びプリズムシート51は、図中の右側の位置に配設される。一方、光照射部2aは、撮像光学系3に対して光照射部31a及びプリズムシート51aと対称な左側の位置に配設される。
図26では、プリズムシート51が搬送面1aとほぼ垂直に配される。図27では、プリズムシート51が搬送面1aとほぼ水平に配される。
【0081】
以上説明したように、本例によれば、極めて良好な斜め照明を容易に実現し、占有スペースが極めて小さな装置構成により、複数の角度から観察したホログラム像を容易且つ確実に取得することを可能となる。そのため、カード取り扱い装置等に組み込んで使用することができる信頼性の高いカード取り扱い装置及び取り扱い方法が実現する。
【0082】
なお、上記した第1〜第5の実施形態では、カード取り扱い装置において、観察対象であるホログラムフィルムが照明方位の異なる2つのホログラム像を含み、各ホログラム像に対応するように2つの光照射部を配設する場合を例示した。これに対して、観察対象であるホログラムフィルムが照明方位の異なる3つ以上の所定数のホログラム像を含むことも考えられる。この場合には、ホログラムフィルムの各ホログラム像に対応するように3つ以上の所定数の光照射部を配設すれば良い。
【0083】
また、上記した第1〜第5の実施形態のうちのいくつかを、適宜組み合わせたカード取り扱い装置及び取り扱い方法を実現することもできる。例えば、第4の実施形態の波長の異なる光を出射する各光照射部に、第2の実施形態のように突起構造14を有する導光板を備えた光照射部を適用しても良い。また、第4の実施形態の波長の異なる光を出射する各光照射部を、第3の実施形態のように撮像光学系3を挟んだ両側に配設しても好適である。
【0084】
以下、識別装置及び識別方法の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0085】
(付記1)観察対象に光を照射する複数の光照射部と、
前記観察対象からの反射光を検出する光検出部と
を含み、
前記各光照射部は、光源と、前記光源の光を前記観察対象に対して所定の出射角度で出射する導光板とを備えており、
前記光照射部ごとに前記導光板の前記出射角度が異なることを特徴とする識別装置。
【0086】
(付記2)前記各光照射部は、棒状で同一のサイズとされており、それぞれ長手方向に平行に配設されることを特徴とする付記1に記載の識別装置。
【0087】
(付記3)前記各光照射部は、前記導光板から出射する光の波長が前記光照射部ごとに異なることを特徴とする付記1又は2に記載の識別装置。
【0088】
(付記4)前記各導光板は、複数の突起構造を有しており、前記光源の光を前記突起構造で反射又は屈折させて出射することを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の識別装置。
【0089】
(付記5)前記各導光板は、前記突起構造がその長手方向が当該導光板の長手方向に対して傾斜するように形成されており、前記光源の光を前記突起構造で反射又は屈折させて、当該導光板の長手方向及び短手方向の双方と非平行な方向に出射することを特徴とする付記4に記載の識別装置。
【0090】
(付記6)前記各光照射部は、隣接して配置されることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の識別装置。
【0091】
(付記7)前記各光照射部は、前記光検出部を挟んで対向する位置に配置されることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の識別装置。
【0092】
(付記8)
少なくとも1つの前記光照射部について、前記導光板の光出射面と対向するようにプリズムシートが設けられており、
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向に傾けて前記プリズムシートに入射し、前記導光板の長手方向に傾いた光として前記プリズムシートから出射することを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の識別装置。
【0093】
(付記9)
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向及び長手方向の双方に傾けて前記プリズムシートに入射することを特徴とする付記8に記載の識別装置。
【0094】
(付記10)
前記プリズムシートを通過した光のうち、前記プリズムシートの短手方向に傾斜する角度が前記プリズムシートへの入射時の角度よりも大きい光のみを、前記観察対象の観察用の照明として用いることを特徴とする付記8又は9に記載の識別装置。
【0095】
(付記11)前記光検出部で検出された、前記各光照射部から出射された光の前記観察対象の反射光に基づいて、前記各光照射部に対応するホログラム像を取得するデータ処理部と、
前記各ホログラム像を、前記観察対象について予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、前記観察対象の真偽を判定する画像判定部と
を更に含むことを特徴とする付記1〜10のいずれか1項に記載の識別装置。
【0096】
(付記12)複数の光照射部を用い、前記各光照射部からそれぞれ異なる出射角度で観察対象に光を照射し、
前記観察対象からの反射光を検出して、前記各光照射部に対応するホログラム像を取得し、
前記各ホログラム像を、前記観察対象について予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、前記観察対象の真偽を判定することを特徴とする識別方法。
【0097】
(付記13)前記各光照射部は前記観察対象に交互に光を照射し、前記各光照射部から出射した前記反射光を交互に検出することを特徴とする付記12に記載の識別方法。
【0098】
(付記14)前記各光照射部は、前記導光板から出射する光の波長が前記光照射部ごとに異なるものであり、
前記各光照射部は前記観察対象に同時に光を照射し、前記各光照射部から出射した前記反射光を同時に検出することを特徴とする付記12に記載の識別方法。
【0099】
(付記15)
少なくとも1つの前記光照射部について、前記導光板の光出射面と対向するようにプリズムシートを設け、
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向に傾けて前記プリズムシートに入射し、前記導光板の長手方向に傾いた光として前記プリズムシートから出射することを特徴とする付記12〜14のいずれか1項に記載の識別方法。
【0100】
(付記16)
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向及び長手方向の双方に傾けて前記プリズムシートに入射することを特徴とする付記15に記載の識別方法。
【0101】
(付記17)
前記プリズムシートを通過した光のうち、前記プリズムシートの短手方向に傾斜する角度が前記プリズムシートへの入射時の角度よりも大きい光のみを、前記観察対象の観察用の照明として用いることを特徴とする付記15又は16に記載の識別装置。
【符号の説明】
【0102】
1 搬送部
1a 搬送面
2a,2b,31a,31b,41a,41b 光照射部
3 撮像光学系
3a レンズアレイ
3b 受光素子
4 データ処理部
5 画像判定部
6 制御部
10 カード
11a ホログラムフィルム
11a,11b 光源
12a,12b,12c,12d 導光板
13,14 突起構造
15 画素
21,22 ホログラム像
21a,22a ラインデータ
51 プリズムシート
51a 表面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象に光を照射する複数の光照射部と、
前記観察対象からの反射光を検出する光検出部と
を含み、
前記各光照射部は、光源と、前記光源の光を前記観察対象に対して所定の出射角度で出射する導光板とを備えており、
前記光照射部ごとに前記導光板の前記出射角度が異なることを特徴とする識別装置。
【請求項2】
前記各光照射部は、棒状で同一のサイズとされており、それぞれ長手方向に平行に配設されることを特徴とする請求項1に記載の識別装置。
【請求項3】
前記各導光板は、複数の突起構造を有しており、前記光源の光を前記突起構造で反射又は屈折させて出射することを特徴とする請求項1又は2に記載の識別装置。
【請求項4】
前記各導光板は、前記突起構造がその長手方向が当該導光板の長手方向に対して傾斜するように形成されており、前記光源の光を前記突起構造で反射又は屈折させて、当該導光板の長手方向及び短手方向の双方と非平行な方向に出射することを特徴とする請求項3に記載の識別装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記光照射部について、前記導光板の光出射面と対向するようにプリズムシートが設けられており、
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向に傾けて前記プリズムシートに入射し、前記導光板の長手方向に傾いた光として前記プリズムシートから出射することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の識別装置。
【請求項6】
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向及び長手方向の双方に傾けて前記プリズムシートに入射することを特徴とする請求項5に記載の識別装置。
【請求項7】
複数の光照射部を用い、前記各光照射部からそれぞれ異なる出射角度で観察対象に光を照射し、
前記観察対象からの反射光を検出して、前記各光照射部に対応するホログラム像を取得し、
前記各ホログラム像を、前記観察対象について予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、前記観察対象の真偽を判定することを特徴とする識別方法。
【請求項1】
観察対象に光を照射する複数の光照射部と、
前記観察対象からの反射光を検出する光検出部と
を含み、
前記各光照射部は、光源と、前記光源の光を前記観察対象に対して所定の出射角度で出射する導光板とを備えており、
前記光照射部ごとに前記導光板の前記出射角度が異なることを特徴とする識別装置。
【請求項2】
前記各光照射部は、棒状で同一のサイズとされており、それぞれ長手方向に平行に配設されることを特徴とする請求項1に記載の識別装置。
【請求項3】
前記各導光板は、複数の突起構造を有しており、前記光源の光を前記突起構造で反射又は屈折させて出射することを特徴とする請求項1又は2に記載の識別装置。
【請求項4】
前記各導光板は、前記突起構造がその長手方向が当該導光板の長手方向に対して傾斜するように形成されており、前記光源の光を前記突起構造で反射又は屈折させて、当該導光板の長手方向及び短手方向の双方と非平行な方向に出射することを特徴とする請求項3に記載の識別装置。
【請求項5】
少なくとも1つの前記光照射部について、前記導光板の光出射面と対向するようにプリズムシートが設けられており、
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向に傾けて前記プリズムシートに入射し、前記導光板の長手方向に傾いた光として前記プリズムシートから出射することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の識別装置。
【請求項6】
前記導光板の出射光を、前記プリズムシートの短手方向及び長手方向の双方に傾けて前記プリズムシートに入射することを特徴とする請求項5に記載の識別装置。
【請求項7】
複数の光照射部を用い、前記各光照射部からそれぞれ異なる出射角度で観察対象に光を照射し、
前記観察対象からの反射光を検出して、前記各光照射部に対応するホログラム像を取得し、
前記各ホログラム像を、前記観察対象について予め登録されている正規の各ホログラム像と比較し、前記観察対象の真偽を判定することを特徴とする識別方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−129083(P2011−129083A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79148(P2010−79148)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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