説明

警報器用補助装置

【課題】 既設の警報器に対して後付けが容易であるとともに、簡便安価な警報器用補助装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の警報器用補助装置10は、火災警報器からの警報信号を検知する検知部14と、検知部14で検知された警報信号に基づき外部への通信の可否を判断する制御部16と、制御部16の制御に基づき外部への通信を行う通信部18とが、装置本体12に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災警報器に代表される住宅用防災警報器(以下、住警器とする。)やガス漏れ警報器、盗難警報器、その他の各種警報器が既に設置されている場合において、これらの警報器の警報信号を外部へ通報することを可能とする警報器用補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火災警報器は、近年の消防法の改正で設置が義務づけられたこともあり(消防法施行令第五条の六、七、八、九)、一般家庭への普及が急速に進んでいる。また消防法が委任する市町村条例により、設置場所が定められることになっている。一例として、階段、廊下、居室、寝室、台所などが挙げられている。
【0003】
現在、一般住宅用の火災警報器として、例えば特許文献1に開示のAC100V式信号線住宅用火災警報器が使用されてきた。この特許文献1に開示の火災警報器では室外への通報を可能ではあるが、通信用配線や電源用配線等の工事が必要であり、容易に設置できるとは言い難い状況であった。
【0004】
また、集積回路のワンチップ化に伴う省電力化やリチウム電池などの小型電池の長寿命化により、特許文献2に開示の電池式無線連動型住宅用火災警報器等の火災警報器が使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2009−129434号公報
【特許文献2】 特開2008−33428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示の電池式無線連動型住宅用火災警報器は、火災発生源の警報器が警報を発すれば連動信号が無線送信されて、他の部屋の警報器も一斉に動作し警報を発するので、いち早く火災の発生に対応できるものの、室外へ通報するために別途の機器が必要であり、また、当該火災警報器自身が高価であるばかりでなく、室外へ通報するために別途の機器も含めると、非常に高価となる難点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、この発明の主たる目的は、通信用配線や電源用配線等の工事が不要で容易に設置できる、外部通報可能な警報器用補助装置を提供することである。
【0008】
また、この発明の他の目的は、既設の火災報知機・ガス漏れ警報器・盗難警報器・その他の各種警報器に後付けで付加することができる、外部通報可能な警報器用補助装置を提供することである。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わる警報器用補助装置は、請求項1の記載によれば、各種警報器からの警報信号を検知する検知部と、前記検知部で検知された前記警報信号に基づき外部への通信の可否を判断する制御部と、前記制御部の制御に基づき外部への通信を行う通信部と、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、この発明に係わる警報器用補助装置は、請求項2の記載によれば、前記検知部は特定小電力無線信号を検知する無線受信部であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明に係わる警報器用補助装置は、請求項3の記載によれば、前記通信部は加入電話回線用の変調装置であり、前記制御部に予め記憶された通報先と通報内容に基づき、前記加入電話回線を利用して外部への通信としての通報を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、特別な配線工事を必要とせずに外部通報可能な警報器用補助装置を提供することが可能となる。
【0013】
また、この発明によれば、既設の火災報知機・ガス漏れ警報器・盗難警報器・その他の各種警報器に後付けすることで外部通報可能な警報器用補助装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 第1の実施例の警報器用補助装置の構成図
【図2】 第1の実施例の警報器用補助装置の機能ブロック図
【図3】 第1の実施例の警報器用補助装置の別の構成図
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0015】
<第1の実施例>
以下に図面を用いて本発明の第1の実施例を説明する。なお、この実施例において、本発明の警報器用補助装置は、既設の火災報知器に後付けすることで外部通報可能な装置としているが、これに限定されるものではなく、既設のガス漏れ警報器・盗難警報器・その他の各種警報器にも適用可能である。
【0016】
最初に図1乃至図3を用いて、本発明の第1の実施例の警報器用補助装置10の構成と機能を説明する。図1は、本発明の警報器用補助装置10の構成図である。図2は、警報器用補助装置10の機能ブロック図である。図3は、第1の実施例の警報器用補助装置の別の構成図である。
【0017】
図1及び図2によれば、第1の実施例の警報器用補助装置10は、火災警報器からの警報信号を検知する検知部14と、検知部14で検知された警報信号に基づき外部への通信の可否を判断する制御部16と、制御部16の制御に基づき外部への通信を行う通信部18とが、装置本体12に設けられている。
【0018】
この第1の実施例の警報器用補助装置10は、例えば特許文献3に開示の複数を連動させて警報を出力させる火災警報器と共に使用することで外部通報を行うための装置である。特許文献2に開示の火災警報器に限らず、複数の部屋に各々警報器を設け、当該火災警報器同士を無線通信させることで連動させ、一斉に警報を鳴動させて火災の発生を住戸全体に知らせる火災警報器が用いられている。
【0019】
このような警報器同士の通信では、一般に特定小電力無線信号が用いられている。また、この特定小電力無線信号の周波数は、警報器のメーカや型式毎に公表されている。
【0020】
図1乃至図3に示す火災警報器50は、上記のような特定小電力無線信号52で通信を行う火災警報器である。また、第1の実施例の警報器用補助装置10における検知部14は、特定小電力無線信号52を検知する無線受信部14aとなっている。
【0021】
制御部16は、無線受信部14aが受信した特定小電力無線信号52が火災警報器50同士が通信するための信号であるかを判別し、外部への通信の可否を判断する。
【0022】
制御部16は、外部への通信を行うとを判断した場合には、通信部18に対して通信許可信号を送る。当該通信許可信号を受け取った通信部18は、外部への通信を行う。
【0023】
この第1の実施例の警報器用補助装置10における通信部18は、加入電話回線用の変調装置、所謂モデムであり、電話線19を介して加入電話回線網20に接続されている。
【0024】
また、制御部16には、通報を行いたい複数の相手先電話番号と電話接続後の音声案内内容等の通報内容、また、電話接続不可の場合の接続方法等が予め記憶されており、加入電話回線網20を介して外部に通報可能な構成となっている。
【0025】
なお、図1、図3においては、装置本体12は、第1の実施例の警報器用補助装置10を動作させるための外部電源として家庭用AC100V交流電源30に接続されているので、内蔵電源としての電池等の寿命を心配する必要がない。なお、外部電源の代わりに内蔵電池電源を用いても良い。
【0026】
また、図3の第1の実施例の警報器用補助装置10の別の構成においては、非常ベル30が装置本体12の制御部16に接続されている。このため、制御部16による外部への通報と同時に非常ベル40を鳴動させることでよりベル音42により確実に警報を報知することが可能である。
【0027】
このような構成を有する第1の実施例の警報器用補助装置10では、住戸内のみの警報を目的とした既存の無線連動式警報器を利用して、外部への通報ができるので、住戸から外出している場合でも固定電話機や携帯電話機等へ火災やガス漏れまたは盗難等の通報が可能である。
【0028】
また、この警報器用補助装置10は、既存の無線連動式警報器の特定小電力無線信号を利用することで、その無線信号が到達する範囲において設置場所の限定を受けることがなく、家庭用AC100V交流電源や電話線接続部(モジュラージャック)がある場所に目立たずに、かつ、特別な配線工事を必要とせずに設置することが可能である。
【0029】
また、この警報器用補助装置10は、既存の無線連動式警報器の特定小電力無線信号を受信するのみであるため、住宅用防災警報器及び住宅用防災報知設備の補助警報装置には該当しないばかりでなく、住宅用防災警報器の機能に有害な影響を及ぼすおそれのある附属装置にも該当しないので、住警器等規格省令に適合させる必要がないため、簡便安価に製造可能となっている。
【符号の説明】
【0030】
10・・警報器用補助装置、12・・装置本体12、14・・検知部、14a・・無線受信部、16・・制御部、18・・通信部、19・・電話線、20・・加入電話回線網、30・・家庭用AC100V交流電源、40・・非常ベル、42・・ベル音、50・・火災警報器、52・・特定小電力無線信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種警報器からの警報信号を検知する検知部と、
前記検知部で検知された前記警報信号に基づき外部への通信の可否を判断する制御部と、
前記制御部の制御に基づき外部への通信を行う通信部と、
を具備する警報器用補助装置。
【請求項2】
前記検知部は特定小電力無線信号を検知する無線受信部であることを特徴とする請求項1に記載の警報器用補助装置。
【請求項3】
前記通信部は加入電話回線用の変調装置であり、前記制御部に予め記憶された通報先と通報内容に基づき、前記加入電話回線を利用して外部への通信としての通報を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の警報器用補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−238291(P2012−238291A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117394(P2011−117394)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(501359412)株式会社リンテック21 (38)
【Fターム(参考)】