説明

警報器連動装置

【課題】既設の警報器に対して後付けが容易であるとともに、誤動作を少なくすることのできる警報器連動装置を提供すること。
【解決手段】
本発明の警報器連動装置は、警報器の振動を検出する検出手段2と、前記検出手段2の出力信号から警報器の動作を判定する判定手段8と、前記判定手段8の判定結果に基づき他の警報器連動装置に連動信号を送信する送信手段9と、他の警報器連動装置からの連動信号を受信する受信手段10と、前記判定手段8の判定結果または前記受信手段10で受信した連動信号に基づいて動作する警報部5,6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器一般、例えば火災警報器、ガス漏れ警報器が既に設置されている場合において、複数の警報器が連動して動作するのと同様の機能を提供する連動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災警報器は、近年の消防法の改正で設置が義務づけられたこともあり(消防法施行令第5条の6,7,8,9)、一般家庭への普及が急速に進んでいる。また消防法が委任する市町村条例により、設置場所が定められることになっている。一例として、階段、廊下、居室、寝室、台所などが挙げられている。
現在、一般住宅用の火災警報器は、大きく3種類に分類される。
(1)乾電池式連動なし住宅用火災警報器
(2)乾電池式無線連動型住宅用火災警報器
(3)AC100V式信号線連動型住宅用火災警報器
かつては、(3)のAC100V式信号線連動型住宅用火災警報器が普及していた。しかし、通信線や電灯線の配線を要するので電気工事が必要であり、容易に設置できるとは言い難い状況であった。そして、近年、マイコン回路の省電力化やリチウム電池などの乾電池の長寿命化が進んだこともあり、(1)や(2)の乾電池式の火災警報器の普及が進んでいる(特許文献1)。ただ、(2)の無線連動型は価格が高いことから普及率は低く、火災警報器を設置している住宅は、(1)の警報器の連動がないタイプの住宅用火災警報器を取り付けていることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−33428号公報
【特許文献2】特開2009−129434号公報
【特許文献3】特開2009−169887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、(2)の乾電池式無線連動型住宅用火災警報器であれば、火災発生源の警報器が警報を発すれば連動信号が無線送信されて、他の部屋の警報器も一斉に動作し警報を発するので、いち早く火災の発生に対応できる。
しかし、(1)の乾電池式連動なし住宅用火災警報器を設置している場合、それぞれの火災警報器は独立しているため、火災発生時には火災を感知した警報器のみが警報を発し、その他の場所に設置した警報器は警報を発しない。その結果、人が不在の部屋で火災が発生した場合に火災発生に気づかず、気づいたときには火災の規模が大きくなっており、煙にまかれて逃げ遅れるという事故が多く報告されている。よって、既設の(1)の乾電池式連動なし住宅用火災警報器に後付けで付加することにより、(2)の乾電池式無線連動型住宅用火災警報器と同様の機能を発揮する機器が望まれている。
【0005】
そこで、従来の技術の適用の可能性について検討する。特許文献2には、火災警報器の信号出力を取り出し、この信号により作動する電波送信機と、この電波を受信して警報を発する報知器本体が記載されている。しかし、火災警報器の信号出力の取り出しには火災警報器を分解するとともに配線を引き出すためにカバーの一部を切り欠いて配線を引き出すなどの細かい作業が必要になるため、天井という作業の困難な場所にすでに取り付けられた火災警報器にこれらの作業を加えることは極めて困難である。
また、特許文献3には、火災警報器の警報音を集音し、集音動作に応じて出力信号を生成し、有線または無線回線を介して出力信号を送信する警報通信装置が記載されている。しかし、集音により出力信号を生成しているので、他の音に反応し誤動作を起こす可能性がある。例えば、台所では、家事に付随して比較的大きな音が発生することが多い。また、最近のIH式加熱器など、電子調理家電にも過加熱に対する警報を備えるなど、台所には複数の警報機能を有した機器が設置されていることも多く、これらの警報を誤って拾う危険性もある。あるいは、一階の天井に設置した警報通信装置が2階で走り回る子供の足音に反応することもある。加えて、子供部屋に警報通信装置を設置した場合も、子供の大声を拾う可能性もあり、また子供が警報通信装置に向かってボールなどを投げるなどして、衝撃音を拾う可能性もある。警報通信装置の誤動作は、近隣住民などにも迷惑がかかるとともに、誤動作が繰り返されることにより、居住者や近隣住民の警報音に対する緊急感を鈍らせ、肝心の火事の際に警報を軽視して居住者が逃げ遅れたり、近隣住民の協力を得がたくなったりという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、既設の警報器に対して後付けが容易であるとともに、誤動作を少なくすることのできる警報器連動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明の警報器連動装置は、警報器の振動を検出する検出手段と、前記検出手段の出力信号から警報器の動作を判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づき他の警報器連動装置に連動信号を送信する送信手段と、他の警報器連動装置からの連動信号を受信する受信手段と、前記判定手段の判定結果または前記受信手段で受信した連動信号に基づいて動作する警報部とからなるものである。
請求項2記載の本発明の警報器連動装置は、請求項1記載の警報器連動装置において、前記検出手段は、圧電素子を含むことを特徴とするものである。
請求項3記載の本発明の警報器連動装置は、請求項2記載の警報器連動装置において、 前記検出手段は、前記圧電素子の振動板の面が鉛直方向となるように警報器に配置されたことを特徴とするものである。
請求項4記載の本発明の警報器連動装置は、請求項2記載の警報器連動装置において、 前記検出手段は、前記圧電素子の振動板におもりを設けたことを特徴とするものである。
請求項5記載の本発明の警報器連動装置は、請求項2記載の警報器連動装置において、 前記検出手段は、圧電素子と、前記圧電素子を収容するケースとからなり、前記圧電素子の振動板と前記ケースとの間に隙間を設けたことを特徴とするものである。
請求項6記載の本発明の警報器連動装置は、請求項1記載の警報器連動装置において、 前記判定手段は、前記検出手段が検出した警報器の振動数および振幅に基づき警報器の動作を判定することを特徴とするものである。
請求項7記載の本発明の警報器連動装置は、請求項1記載の警報器連動装置において、 前記送信手段は、前記受信手段で受信した連動信号を送信することを特徴とするものである。
請求項8記載の本発明の消火器設置装置は、請求項1記載の警報器連動装置の送信手段から送信された連動信号を受信する受信手段と、前記連動信号に基づいて動作する警報部とを備えたものである。
請求項9記載の本発明の警報器連動装置は、警報器連動装置の設置場所を設定する設置場所設定手段を有することを特徴とするものである。
請求項10記載の本発明の警報器連動装置は、請求項1記載の警報器連動装置において、前記送信手段から送信される連動信号には、設置場所に関する設置場所情報が含まれていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、警報器の振動を検出する検出手段を備えているので、警報器の発する音を集音する場合に比べ、警報器以外の要因に左右されにくく、誤動作の少ない警報器連動装置を実現することが可能である。また、警報器を分解することなく、警報器の外側表面に検出手段を配置するだけで警報器の振動を検出できるので、天井面という工事が比較的困難な場所に既に設置された警報器に対しても、容易に後付けすることができる。
請求項2記載の発明によれば、圧電素子で警報器の振動を検出しているので、振動を電気信号に変換することができる結果、警報器の動作を判定するに際し、判定基準をフレキシブルに設定することができ、より誤動作の少ない設定を容易に実現できる。
請求項3記載の発明によれば、検出手段の振動板の面が鉛直方向となるように警報器に対して配置しているので、天井に設置した警報器に警報器連動装置を設置した場合、通常居住者の行為により発生する音声は下方から振動板に届くので、音声波の振動方向と振動板の振動方向は一致しない。したがって音声による影響を受けにくく、誤動作の発生を低く抑えることができる。
請求項4記載の発明によれば、圧電素子の振動板とケースとの間に間隙を設けているので、振動板の振動をケースが阻害することがない。したがって、警報器の振動を正確に検出することが可能である。
請求項5記載の発明によれば、振動板におもりを設けているので、振動板の固有振動数を検出対象である警報器の固有振動数に近づけることができる。よって、警報器が動作している場合以外の外的影響による振動を拾って本装置が誤動作することを防止することができる。
請求項6記載の発明によれば、判定手段は検出手段が検出した警報器の振動数及び振幅に基づいて警報器の動作を検出するため、警報器が動作している際の振動数及び振幅のみを拾うように予め設定しておけば、それ以外の外的影響による警報器の振動と区別でき、誤動作の少ない警報器連動装置を実現できる。
請求項7記載の発明によれば、受信手段で受信した連動信号を送信手段により再度送信するので、例えば火災発生源に設置した警報器連動装置からの無線信号が届かない場所に設置された警報器連動装置に対しても、その間に存在する警報器連動装置が電波を中継することができ、確実に全ての警報器連動装置の警報部を動作させ、警報を発することができる。
請求項8記載の発明によれば、消火器設置装置にも連動信号を受信する受信部、および警報部を設けることにより、消火器近傍から消火器の位置を報知する警報音やフラッシュを発生させることができ、夜間や煙が充満した部屋の中でも消火器の位置を確認することができる。
請求項9記載の発明によれば、設置場所設定手段が設けられているので、どの場所で火災が発生したかの認識が装置側で可能となり、居住者に火災発生源を報知することができるものである。
請求項10記載の発明によれば、連動信号に設置場所情報が含まれるので、火災発生源の警報器連動装置だけでなく、ここから送信された連動信号を受信した警報器連動装置からも、火災発生源がどこかという情報を瞬時に提供することができる。例えば警報部から火災発生源がどこであるかの情報を音声でもって発信することが可能となり、居住者に音声で火災発生源を報知することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施例の警報器連動装置の外観構成図
【図2】本発明の第1の実施例の警報器連動装置の構成を示すブロック図
【図3】本発明の第1の実施例の警報器連動装置の検出手段の断面図
【図4】本発明の第1の実施例の警報器連動装置の検出手段の断面図
【図5】本発明の第1の実施例の警報器連動装置の検出手段の断面図
【図6】本発明の第1の実施例の警報器連動装置の判定手段の動作を示す説明図
【図7】本発明の第1の実施例の警報器連動装置の判定手段の動作を示す説明図
【図8】本発明の第1の実施例の警報器連動装置の動作を示す説明図
【図9】本発明の第2の実施例の警報器連動装置の動作を示す説明図
【図10】本発明の第3の実施例の消火器設置装置の構成を示すブロック図
【図11】本発明の第3の実施例の警報器連動装置および消火器設置装置の動作を示す説明図
【図12】本発明の第4の実施例の警報器連動装置の外観構成図
【図13】本発明の第4の実施例の警報器連動装置の動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施例1)
まず、本発明の警報器連動装置の第1の実施例の構成を、図1,2,3,4,5を用いて説明する。
図1は、警報器連動装置の外観構成図である。警報器連動装置1は、警報器の振動を検出する検出手段2、検出手段2と警報器連動装置本体を接続するリード線3,本体ケース4、本体ケース4に設けられたスピーカー5,ストロボライト6、アンテナ7とからなる。また、本体ケースの中には、図2で示すとおり、CPU8、送信手段9,受信手段10、および記憶手段11が配置されている。
【0011】
検出手段2は、警報器の振動を検出する検出手段を構成するものである。検出手段2は、図3に示すとおり、圧電素子ケース12,両面接着テープ13,圧電素子14,振動板15からなる。圧電素子ケース12は、圧電素子14およびその付属部品を収容するとともに、両面接着テープ13を介して警報器の側面に密着される。そして、警報器が動作し、警報器から警報音が出力されると、警報器自身が振動するが、圧電素子ケース12が警報器に密着しているので、警報器の振動は多少の減衰はあるものの直接圧電素子ケース12に伝達される。圧電素子14は、圧電素子ケース12を介して伝わった警報器の振動を振動板15で検出し、振動を電気信号に変換し、出力信号としてリード線3に出力するものである。このように、本発明では、検出手段2が警報器の音声ではなく警報器の振動を検出するよう構成されているので、警報器以外の音声を拾い誤動作の危険がある従来の装置に比べ、誤動作の危険性を確実に減らすことが可能である。
なお、検出手段2は、図4に示すとおり、圧電素子14の振動板15の下部におもり16を設け、振動板15の固有振動数を調整するようにしても良い。このような構成にすることにより、振動板の固有振動数を検出対象である警報器の固有振動数に近づけることができるので、警報器が作動して振動している時に振動板15の振幅が最大になるようにすることができる。この結果、警報器が動作している場合以外の外的影響による振動を拾って誤動作することを確実に防止することができる。
さらに、図5に示すとおり、圧電素子ケース12の内壁と振動板15に間隙を設けるようにしてもよい。本実施例の場合、圧電素子ケースの内面に振動板15の厚みよりも厚い溝を切って、この中に振動板15をはめ込む形になっている。また、振動板15の内径は圧電素子ケース12の溝部分の内径よりも小さい。この結果、圧電素子ケース12の内壁が振動板15に干渉して振動板15の振動が妨げられるのを防ぐことができる。その結果、警報器の振動の正確な検出が可能となり、後述の判定手段での誤判を防止することができる。
ここで、検出手段2は、警報器の任意の面に設置することが可能である。例えば、警報器の下面に設けることも可能である。ただし、本実施例では、図1に示すとおり、検出手段2を警報器の側面に設置するようにしているが、このように設置することにより、警報器のスピーカーから発せられた警報が直接検出手段2の圧電素子14に届いて圧電素子14に影響を与えることを防止することができる。また、このように設置することで、圧電素子14の振動板15の面が鉛直方向を向くこととなるが、特に天井に設置した警報器の場合、居住者の行動により発生する音声や雑音は警報器から見て下方より振動板15に届くので、音声や雑音の波の振動方向と振動板15の振動方向は一致しない。よって、居住者が発する音声や雑音による振動板15の振動を最小限に抑えることができ、音声による影響を受けにくく誤動作の発生が低い警報器連動装置を実現することが可能である。
また、本実施例では、検出手段に圧電素子を用いているがこれに限らず、警報器の振動を検出できる素子であれば検出手段として用いることが可能である。
【0012】
CPU8は、判定手段として動作する。図1、2の通り,検出手段2の出力信号はリード線3を経由し、必要に応じて図示しない増幅器で増幅され、さらに必要に応じてコンパレーターを経由して、CPU8に入力される。CPU8は、出力信号に基づき、以下の方法で警報器が動作しているか否かを判定する。
図6は、判定方法の一例を示した説明図である。検出手段2の出力信号は、オペアンプ回路に入力され、反転増幅される。そして、この信号は、CPU8により構成されるタイマー回路およびカウンター回路に入力される。そして、所定時間内に所定の電圧以上の信号が所定回数以上検出された場合は、警報器が火災等を検知し動作したと判定する。本実施例の場合、オペアンプ回路により100倍に増幅された出力信号について、3秒間に3V以上の信号が5回以上検出したときに警報器が火災等を検知し動作したとして設定されている。この値は、警報器の形状や重さ等に依存する値である。そして、図6、図2のとおり、この判定結果に基づき送信手段9は他の警報器連動装置に連動信号を送信する。また、この判定結果に基づき、警報部たるストロボライト6およびスピーカー7が動作する。すなわち、ストロボライト7が点滅すると共に、あらかめ記憶手段11に記憶された合成音声が読み出され、警報としてスピーカーから出力される。
図7は、判定方法の他の例を示した説明図である。検出手段2の出力信号は、図示しないオペアンプ回路に入力され、さらに図示しないコンパレーターの一端に入力される。そして、所定以上の電圧が入力された場合にゲートを所定時間の間オープンにする。本実施例の場合、0.4V以上の電圧が入力された場合、200msの間、ゲートがオープンされる。この間、検出手段2からの出力信号は、CPU8により構成されるタイマー回路およびカウンター回路に入力される。そして、所定時間内に所定の電圧以上の信号が所定回数以上検出された場合は、警報器が火災等を検知し動作したと判定する。本実施例の場合、200msの間に0.2V以上の信号が10回以上検出されたときに警報器が火災等を検知し動作したとして設定されている。この値は、警報器の形状や重さ等に依存する値である。
これら、図6や図7で示される判定方法のように、判定手段たるCPU8は、検出手段2の検出した警報器の振動数及び振幅に基づき警報器の動作を判定している。このような方法を用いれば、警報器に特有の振動特性を予め設定しておき、これに基づき警報器の動作の有無を判定することができるので、より誤動作の少ない警報器連動装置を実現することができる。また、密着させる警報器に合わせて、自動的に振動数及び振幅を調整するようにしてもよい。例えば試験モードを準備しておき、警報器連動装置の設置時に、警報器を作動させて警報器の振動特性を計測し、それをプリセットで書き込むようにしてもよい。
【0013】
図1,2において、送信手段9は、CPU8が出力する判定結果に基づき、アンテナ7を介して他の警報器連動装置に連動信号を送信するものである。送信手段9の送信する連動信号は、微弱無線または特定小電力無線を用いることが可能である。また連動信号とは、ある警報器連動装置が警報器の動作を検出した場合、他の警報器連動装置からも警報を発するよう、これらの警報器連動装置に向けて指示を送るための信号である。
受信手段10は、アンテナ7を介して他の警報器連動装置からの連動信号を受信するものである。
スピーカー5およびストロボライト6は警報部を構成する。警報部は、居住者などに、火災発生などの非常事態を知らせるための警報を発信するものである。スピーカー5は、CPU8の判定結果に基づき、あるいは他の警報器連動装置からの連動信号に基づき、予め記憶手段11に格納された合成音声などを出力するものである。ストロボライト6も、CPU8の判定結果に基づき、あるいは他の警報器連動装置からの連動信号に基づき、ストロボを点滅させるものである。このように、スピーカー5やストロボライト6を用いて居住者に聴覚及び視覚双方に訴えかけるような警報を発することにより、聴覚又は視覚が不自由な人に対しても効果的に警報が発せられていることを伝えることができる。また、昼間や煙が充満した部屋など、視覚による報知が困難な状況でも、聴覚による報知が期待でき、反対に騒音が激しい場所など、聴覚による報知が困難な状況でも、視覚による報知が期待できる。
なお、警報部は、これ以外に、嗅覚に訴えかけるもの、たとえば、CPU8の判定結果に基づき、焦げた臭いなどの刺激臭を持つ物質を空気中に発散させるような手段を備えてもよい。
また、図1,2で示されたこれらの構成要素は必ずしも一体である必要はない。例えば、送信部と受信部とに分けて、送信部側に検出手段や送信手段を、受信部側に受信手段や警報部を設けてもよい。もちろん、送信部と受信部とを連携させる通信手段は別途必要となる。このように構成することにより、機器の配置の自由度が増大する。例えば、受信部は警報を発する役割を担うので必ずしも天井に設置する必要はない。このような構成であっても、送信部と受信部とをあわせて、本発明の警報器連動装置を構成することは当然である。
【0014】
以上のように構成された警報器連動装置の動作を、図8および図2に基づき説明する。なお、個々の警報器連動装置の構成要素については、機能が同じである限り、図1、2で用いた番号を用いる。
部屋1で火災が発生した場合、部屋1の警報器101が熱や煙を感知し、サイレン等の警報音および「火事です」との合成音声を出力することにより警報を発する。警報器101の側面に検出手段2が設置された警報器連動装置102は、検出手段2が警報器101の振動を検出し、出力信号を判定手段たるCPU8に出力する。CPU8は、警報器101が動作していると判定すれば、スピーカー5に対し、サイレン等の警報音および記憶手段11に格納された「火事です」との合成音声を出力するよう命令を送るとともに、ストロボライト6に対し、ストロボライトを点滅させるよう命令を送る。命令を受けたスピーカー5およびストロボライト6は、それぞれ命令に沿った動作を行う。さらに、CPU8は送信手段9に対し、他の警報器連動装置に連動信号を送るよう、命令を送る。これを受けて送信手段9は、他の部屋2、部屋3,部屋4に設置された警報器連動装置104,106,108に向けて連動信号を送信する。
警報器連動装置102からの連動信号を受信した各部屋の警報器連動装置104,106,108のそれぞれの受信手段10は、連動信号をCPU8に出力する。CPU8は、受け取った連動信号に基づき、スピーカー5に対し、サイレン等の警報音および記憶手段11に格納された「火事です」との合成音声を出力するよう命令を送るとともに、ストロボライト6に対し、ストロボライトを点滅させるよう命令を送る。命令を受けたスピーカー5およびストロボライト6は、それぞれ命令に沿った動作を行う。
このような動作を行わせることにより、部屋1で火事が発生した事実を、部屋2、部屋3、部屋4にいる居住者に対しても報知することができるので、逃げ遅れなどの事故を防止することができるものである。
また、警報器連動装置は乾電池などで駆動されるが、本実施例の場合、部屋1の警報器連動装置から部屋2,3,4の警報器連動装置に対して連動信号を送信するのみなので、後述の第2の実施例のような中継機能を持たせる場合に比べ、消費電力を最小限に抑えることが可能である。なお、部屋1では警報器101と警報器連動装置102の双方が警報を発しているが、両者は近接しているので、警報器連動装置102については、警報部を動作させないようにしてもよい。このようにすれば、消費電力をより少なくすることが可能である。
【0015】
(実施例2)
次に、本発明の警報器連動装置の第2の実施例について説明する。
第2の実施例の警報器連動装置は、図1、図2に示す第1の実施例の警報器連動装置と同様の構成を有する。しかし、第2の実施例は第1の実施例と異なり、それぞれの警報器連動装置が中継機能を有する点で異なる。以下に、その動作を図9を用いて説明する。なお、個々の警報器連動装置の構成要素については、機能が同じである限り、図1、2で用いた番号を用いる。
部屋1で火災が発生した場合、部屋1の警報器連動装置202の送信手段9が、他の部屋2、部屋3,部屋4に設置された警報器連動装置204,206,208に向けて連動信号を送信するところは同じである。
また、警報器連動装置202からの連動信号を受信した各部屋の警報器連動装置204,206,208のCPU8が、スピーカー5およびストロボライト6に対し動作命令を送ることも同じである。
しかし、各部屋の警報器連動装置204,206,208のCPU8はこれに加え、送信手段9に対し、他の警報器連動装置に連動信号を送るよう、命令を送る。これを受けて送信手段9は、他の部屋に設置された警報器連動装置に向けて連動信号を送信する。具体的には、部屋2の警報器連動装置は、部屋1,3,4の警報器連動装置に対し、部屋3の警報器連動装置は、部屋1,2,4の警報器連動装置に対し、部屋4の警報器連動装置は、部屋1,2,3の警報器連動装置に対し、それぞれ連動信号を送信する。ここで、連動信号とは、実施例1と同様、ある警報器連動装置が警報器の動作を検出した場合、他の警報器連動装置からも警報を発するよう、これらの警報器連動装置に向けて指示を送るための信号である。すなわち、実施例2のように、連動信号を受けた警報器連動装置が、さらに別の警報器連動装置に向けて指示を送るための信号もまた、連動信号である。
このような動作を行わせることにより、各部屋の警報器連動装置202,204,206,208は、それぞれが中継器の役割を果たすことになる。したがって、例えば、部屋1と部屋4の警報器連動装置202、208が1階と2階に設置されている場合や間に障害物がある場合のように、お互い直接通信できないような位置に設置されていたとしても、部屋2と部屋3の警報器連動装置204、206が中継器の役割を果たすことにより、部屋1の警報器連動装置202から送信された連動信号を部屋4の警報器連動装置208に到達させることが可能となる。これにより、無線電波が火災発生箇所から直接届かない部屋にいる人にも、確実に警報を報知することが可能となり、逃げ遅れなどの事故を確実に防止することができるものである。なお、実施例1に比べ消費電力は大きくなるが、例えば火災発生現場である部屋1の警報器連動装置202には中継機能は不要であるので、警報器連動装置202へは他の警報器連動装置から連動信号を送らないようにするなどして、消費電力を抑えることも可能である。
【0016】
(実施例3)
さらに、本発明の警報器連動装置の第3の実施例について説明する。
第3の実施例の警報器連動装置は、第1の実施例ないし第2の実施例と同様の構成を有し、動作を行う。第3の実施例は、これに加え、警報器連動装置から送信された連動信号を受信し、警報を発する消火器設置装置を有することを特徴とする。かかる構成および動作について図10、11を用いて説明する。なお、実施例1,2と同じ機能を有するものには、同じ番号を付与している。
本実施例の消火器設置装置は、消火器を置く台に、連動信号を受信する受信手段と、連動信号に基づいて動作する警報部を設けたものである。すなわち、図10に示すとおり、本実施例の消火器設置装置は、アンテナ7を介して警報器連動装置から送信された連動信号を受信する受信手段10と、連動信号を解析するCPU8と、音声信号を格納する記憶手段11と、警報部たるスピーカー5とを有する。
【0017】
かかる消火器設置装置について、図11を用いてその動作を説明する。
部屋1で火災が発生した場合、第1及び第2の実施例と同様、部屋1の警報器連動装置302の送信手段9が、他の部屋2、部屋3,部屋4に設置された消火器設置装置307,警報器連動装置304,306に向けて連動信号を送信する。
警報器連動装置302からの連動信号を受信した部屋2の消火器設置装置307の受信手段10は、連動信号をCPU8に出力する。CPU8は、受け取った連動信号に基づき、スピーカー5に対し、サイレン等の警報音および記憶手段11に格納された「火事です」との合成音声を出力するよう命令を送る。命令を受けたスピーカー5は、命令に沿った動作を行う。
なお、記憶手段11に、「火事です」との合成音声に加え、「消火器はここです」との合成音声も格納し、出力するようにすることも可能である。このように構成すれば、消火器近傍から消火器の位置を報知する警報を出力させることができ、夜間や煙が充満した部屋の中でも消火器の位置を確認することができる。もちろん、実施例1,2のように、警報部にストロボライト6を含ませてもよい。その際、消火器設置台であることが分かるように、他のストロボライト6と発光色を変えておけば、光によっても消火器の位置を認識すすることが可能である。
【0018】
(実施例4)
最後に、本発明の警報器連動装置の第4の実施例について説明する。
第4の実施例の警報器連動装置は、第1の実施例ないし第2の実施例の構成に加え、各警報器連動装置が設置されている場所を設定する設置場所設定手段を設けたものである。本実施例の構成を、図12を用いて説明する。なお、実施例1,2と同じ機能を有するものには、同じ番号を付与している。
本実施例の警報器連動装置は、本体ケース4の側面に、警報器連動装置が設置されている場所を設定する設置場所設定手段17を設けている。本実施例では、設置場所設定手段17は、1から5のディップスイッチで構成される。そして、設置場所設定手段17を切り替えることにより、設置場所を設定することができる。例えば、図12に示すとおり、ディップスイッチ1をON側(下側)に、それ以外のスイッチをOFF側(上側)にした場合、キッチンに設置されたことが設定される。同様に、ディップスイッチ2をONにしたときは廊下、ディップスイッチ3をONにしたときは階段、ディップスイッチ4をONにしたときは寝室、ディップスイッチ5をONにしたときはその他の設置場所に設置されたことが設定される。
また、第4の実施例の警報器連動装置の記憶手段11には、設置場所に応じた警報を音声信号として出力できるように、信号データが格納されている。例えば、図12に示すとおり、信号データ1は、「キッチンが火事です」、信号データ2は、「廊下が火事です」、信号データ3は、「階段が火事です」、信号データ4は、「寝室が火事です」、信号データ5は、「火事です」との合成音声が、音声信号として格納されている。ここで、それぞれの信号データそのもの、ないし、それぞれの信号データの番号は、設置場所情報18を構成する。また、それぞれのデータは、ディップスイッチと連動しており、例えばキッチンに設置するため、ディップスイッチ1をONした警報器連動装置においては、検出手段2が警報器の動作を検出した場合、これに対応する信号データ1を読み出して、「キッチンが火事です」との音声が出力されることになる。もっとも、他の警報器連動装置から連動信号を受け取ったときは、この連動信号に従って記憶手段11から対応する信号データを読み出す。
なお、設置場所設定手段17はディップスイッチである必要はなく、警報器連動装置に備えられた無線通信機能を用いて、外部のパーソナルコンピューターからソフト的に書き換えを行い保存するように構成してもよい。
【0019】
かかる第4の実施例の警報器連動装置の動作を、図2、図13を参照しながら説明する。
まず、警報器連動装置を設置する際、設置場所設定手段17で設置場所を設定する。図13においては、寝室に設置した警報器連動装置402は、ディップスイッチ4をONに、階段に設置した警報器連動装置404は、ディップスイッチ2をONに、キッチンに設置した警報器連動装置406は、ディップスイッチ1をONにすることにより設置場所を設定している。
次に、寝室で火災が発生した場合、寝室の警報器401が熱や煙を感知し、サイレンなどの警報音および「火事です」との合成音声を出力することにより警報を発する。警報器401の側面に検出手段2が設置された警報器連動装置402は、検出手段2が警報器401の振動を検出し、出力信号を判定手段たるCPU8に出力する。CPU8は、警報器401が動作していると判定すれば、記憶手段11に格納された、ディップスイッチ4に対応した信号データ4を読み出し、スピーカー5に対し、サイレンなどの警報音および記憶手段11に格納されディップスイッチ4に対応した「寝室が火事です」との合成音声を出力するよう命令を送るとともに、ストロボライト6に対し、ストロボライトを点滅させるよう命令を送る。命令を受けたスピーカー5およびストロボライト6は、それぞれ命令に沿った動作を行う。さらに、CPU8は送信手段9に対し、他の警報器連動装置に連動信号を送るよう、命令を送る。連動信号には、設置場所情報18が含まれており、本実施例では信号データ番号4がそれにあたる。これを受けて送信手段9は、階段、キッチンに設置された警報器連動装置404,406に向けて連動信号を送信する。
寝室に設置された警報器連動装置402からの連動信号を受信した警報器連動装置404,406の受信手段10は、連動信号をCPU8に出力する。CPU8は、受け取った連動信号に含まれる信号データ番号に基づき、記憶手段から対応する信号データを読み出し、スピーカー5に対し、サイレン等の警報音および読み出した信号データに対応する合成音声を出力するよう命令を送るとともに、ストロボライト6に対し、ストロボライトを点滅させるよう命令を送る。命令を受けたスピーカー5およびストロボライト6は、それぞれ命令に沿った動作を行う。このようにして、本実施例では、信号データ番号4に対応する合成音声である「寝室が火事です」という警報が、階段およびキッチンにも流れることになるので、どこで火事が起こっているかの情報が居住者に対して報知されることになり、居住者は瞬時にしていずれの場所で火災が起こっているかを知ることができ、迅速な消火活動、あるいは避難活動ができる。
本実施例では、それぞれの警報器連動装置にはそれぞれ記憶手段11が設けられており、1から5のすべての信号データが格納されているので、設置場所情報18として信号データの番号のみを送っている。これにより、送信データ量が少なくて済む。もちろん、信号テータそのものを設置場所情報18として送ってもよい。
また実施例2のように中継機能を持たせる場合も、受信した連動信号(設置場所情報18を含む)を再度送信するようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、火災警報器の他、ガスもれ警報器、セキュリティー装置など、各種警報器に対しても適用できるものである。また、本明細書には無線で連動させた例を示しているが、有線で連動させることも当然可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 警報器連動装置
2 検出手段
3 リード線
4 本体ケース
5 スピーカー
6 ストロボライト
7 アンテナ
8 CPU
9 送信手段
10 受信手段
11 記憶手段
12 圧電素子ケース
13 両面接着テープ
14 圧電素子
15 振動板
16 おもり
17 設置場所設定手段
18 設置場所情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警報器の振動を検出する検出手段と、
前記検出手段の出力信号から警報器の動作を判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づき他の警報器連動装置に連動信号を送信する送信手段と、
他の警報器連動装置からの連動信号を受信する受信手段と、
前記判定手段の判定結果または前記受信手段で受信した連動信号に基づいて動作する警報部、
とを備えた警報器連動装置。
【請求項2】
前記検出手段は、圧電素子を含むことを特徴とする請求項1記載の警報器連動装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記圧電素子の振動板の面が鉛直方向となるように警報器に配置されたことを特徴とする請求項2記載の警報器連動装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記圧電素子の振動板におもりを設けたことを特徴とする請求項2記載の警報器連動装置。
【請求項5】
前記検出手段は、圧電素子と、前記圧電素子を収容するケースとからなり、前記圧電素子の振動板と前記ケースとの間に隙間を設けたことを特徴とする請求項2記載の警報器連動装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記検出手段が検出した警報器の振動数および振幅に基づき警報器の動作を判定することを特徴とする請求項1記載の警報器連動装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記受信手段で受信した連動信号を送信することを特徴とする請求項1記載の警報器連動装置。
【請求項8】
請求項1記載の警報器連動装置の送信手段から送信された連動信号を受信する受信手段と、
前記連動信号に基づいて動作する警報部、
とを備えた消火器設置装置。
【請求項9】
警報器連動装置の設置場所を設定する設置場所設定手段を有することを特徴とする請求項1記載の警報器連動装置。
【請求項10】
前記送信手段から送信される連動信号には、設置場所に関する設置場所情報が含まれていることを特徴とする請求項1記載の警報器連動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−76199(P2011−76199A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224486(P2009−224486)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000161437)宮田工業株式会社 (36)
【Fターム(参考)】