説明

警報器

【課題】煙の流れ方向がどのような方向であっても、応答性の良い薄型の警報器を提供する。
【解決手段】正面形状がフラット形状であり、外周部からの煙の流入を許容するケースCと、ケースCの内部に配設されると共に複数の煙導入口63を有し、ケースCの内部に流入した煙を、煙導入口63から内部に導入して感知する光電式の煙センサ6と、を備え、煙導入口63を起端として外周部の側に向けて延び、ケースCの内部に流入した煙を煙導入口63まで案内する煙案内部21,22を複数備え、ケースCの外周部の近傍において煙センサ6と外周部との間に設けられ、ケースCの内部に流入した煙が流通できない閉じられた領域24,25,26,27を一以上備え、領域のうちの少なくとも一つ24,25について、その領域24,25の両隣のうちの少なくとも何れか一方側に、終端が外周部に達しない煙案内部22を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正面形状がフラット形状であり、外周部からの煙の流入を許容するケースと、ケースの内部に配設されると共に複数の煙導入口を外周部に有し、ケースの内部に流入した煙を内部に導入して感知する光電式の煙センサと、を備え、煙導入口を起端としてケースの外周部の側に向けて延び、ケースの内部に流入した煙を煙導入口まで案内する煙案内部を複数備えた警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような警報器として、従来から、特許文献1に記載の警報器があった。特許文献1に記載の警報器では、煙センサ(文献では、「煙検知部」)をケース(文献では、「筐体」)の前方に突出させるのではなく、ケースの内部に引退させると共にケースの外周部からの煙の流入を可能にして、薄型の警報器としてある。そして、煙センサをケースの内部に引退させたので、煙導入口を起端としつつ終端がケースの外周部に達する煙案内部(文献では、「誘導壁」)を好適に配設して、煙がケースの外周部から煙センサにまで適切に案内される構成としてある。
【0003】
そして、特許文献1に記載の警報器では、ケースの外周部の近傍において煙センサの外周部とケースの外周部との間に、ケースの内部に流入した煙が流通できない閉じられた領域(文献では、「構造物」)を一以上備えた場合は、煙誘導部の配置を適宜変更して、煙の流通性に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−230647号公報(段落[0080]〜[0111],図8〜13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の警報器であると、閉じられた領域の両側の空間には適切に煙が流入できても、煙の流れ方向によっては、煙案内部を挟んで閉じられた領域とは反対側の領域へ煙が入り難いことがある。煙センサは、何れの方向(周囲八方向)からの煙も、ある程度の応答速度で感知可能でなければならないので、このような場合には、煙の流入が偏り、応答速度の低下を招来することが有り得る。
【0006】
上記実情を鑑み、本発明は、煙の流れ方向がどのような方向であっても、応答性の良い薄型の警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る警報器の第一特徴構成は、正面形状がフラット形状であり、外周部からの煙の流入を許容するケースと、前記ケースの内部に配設されると共に複数の煙導入口を有し、前記ケースの内部に流入した煙を、前記煙導入口から内部に導入して感知する光電式の煙センサと、を備え、前記煙導入口を起端として前記外周部の側に向けて延び、前記ケースの内部に流入した煙を前記煙導入口まで案内する煙案内部を複数備え、前記外周部の近傍において前記煙センサと前記外周部との間に設けられ、前記ケースの内部に流入した煙が流通できない閉じられた領域を一以上備え、前記領域のうちの少なくとも一つについて、その領域の両隣のうちの少なくとも何れか一方側に、終端が前記外周部に達しない前記煙案内部を備えた点にある。
【0008】
本構成によると、閉じられた領域の隣の煙案内壁は、その終端がケースの外周部に達していないので、どのような方向から煙が流れて来ようとも、その煙案内部を挟んで閉じられた領域とは反対側の空間にも煙が流入しやすい。したがって、本特徴構成であれば、煙の流入に偏りが生じず、応答速度の低下は招来しない。
【0009】
なお、本特徴構成に係る「正面形状がフラット」という表現は、煙センサがケースから突出した形状でなく、ケースの内部に引退していることを示すものであり、ケースの正面が多少凹凸しているものを排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る警報器の斜視図である。
【図2】本発明に係る警報器の正面図である。
【図3】本発明に係る警報器の一側面図(上面図)である。
【図4】図3におけるIV−IV方向の断面図(背面視)である。
【図5】図2におけるV−V方向の断面図である。
【図6】本発明に係る警報器の正面側からの分解斜視図である。
【図7】COセンサの側からの煙の流入の様子を示す模式図であって、(a)〜(c)は煙の流入方向を変化させたものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る警報器の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
〔全体構成について〕
図1,2,4,5に示すごとく、警報器は、被検知ガスの流入を許容すると共に、外周部からの煙の流入を許容するケースCと、ケースCの内部に流入した被検知ガスを検知可能なガスセンサと、ケースCの内部に流入した煙を感知する光電式の煙センサ6と、電池Bを収容する電池収容部42と、壁面W(図5参照)又は天井面に固定され、ケースCを取り外し可能な取付部5と、を備えている。つまり、本発明に係る警報器は、被検知ガスの検知と、煙の感知とが可能な複合型の警報器である。なお、本実施形態においては、「ガスセンサ」はCOセンサ7であり、CO(一酸化炭素)ガスを検知するものである。
【0013】
煙センサ6及びCOセンサ7は、図5に示すごとく、基板9の正面側に取り付けられて、後述する流通空間S1に位置する。煙センサ6が煙を感知し、煙の濃度が予め設定した閾値を越えた場合に、または、COセンサ7がCOガスを検知し、COガスの濃度が予め設定した閾値を越えた場合に、ケースCに内蔵されたスピーカー8から警報音が発せられる。ケースCの表面に配設されたスイッチ11を押せば、警報音は停止する。
【0014】
以下、警報器を壁面W(図5参照)に設置することを前提として、壁面Wとは反対側を正面側または前側とし、壁面Wの側を背面側または後側とする。したがって、「正面視」とは正面側から警報器を観ることを示し、「背面視」とは背面側から警報器を観ることを示す。上下方向については、図1,2,4,5,7の紙面上方向が警報器の「上」であり、同下方向が「下」であるとして説明を行う。図3においては、紙面手前方向が「上」であり、図6においては、紙面左方向が「上」である。また、「厚さ」とは前後方向の厚さを指し、「厚み方向」とは警報器の前後方向のことを指すこととする。
【0015】
〔ケースCについて〕
ケースCは、図1,3,5,6に示すごとく、フロントケース1と、リアケース2と、中間ケース3と、リアケースカバー4とを備えており、正面視で円形形状であり、前後方向に突起部分がないフラットな形状である。フロントケース1とリアケース2とリアケースカバー4と中間ケース3とは、樹脂製であって、射出成形によって製作してある。図5,6に示すごとく、フロントケース1、リアケース2、リアケースカバー4、及び、中間ケース3の正面視での外形は、全て略同径の円形状である。
【0016】
フロントケース1は、正面側の化粧カバーとなるものであって、その表面は、図1,3,に示すごとく、全体としては略フラットであるが、細かく言えば、中心部分の厚さが最も厚く、外周部分に向って僅かに傾斜し、外周部分の方が中心部分よりもやや厚さが薄い。図2に示すごとく、フロントケース1の正面側のうち、中心よりも上部分にスピーカー8用の音響口13を開口し、中心よりも右上部分にCOガスが流通可能なガス流通口14を開口してある。また、フロントケース1の正面側の中心部分には、リング形状のランプカバー12を配設してある。ランプカバー12は、ケースCの内部に配設された不図示のランプ(電球や発光ダイオード等)を覆っている。ランプは、点灯または点滅により、警報音と共に警報を報知し、また、警報とは別の情報(電池切れや故障等)を報知する。
【0017】
リアケース2は、図6に示すごとく、有底の概ね円筒形状であって、底のある側がフロントケース1の側になるように配設され、後側に大きく開口している。図1,3〜6に示すごとく、リアケース2の外周部を横格子状に形成し、流入口23を設けてある。煙やCOガスは流入口23からケースCの内部に対して流出入可能である。リアケース2の背面側には、図4に示すごとく、後述する「煙案内部」としてのリブ21,22を背面方向向けに立設してある。一部のリブ21によって、COセンサ7を収容するCOセンサ収容部24や、後述する閉領域25,26,27等の閉じられた領域を構成してある。
【0018】
COセンサ収容部24は、図2に示すごとく、正面視で警報器の中心部分の右側において、ケースCの円形状の径方向に直交する方向向き(上下向き)の姿勢となるように配設されている。図4に示すごとく、COセンサ収容部24のうち、外周側の面の上側部分には、COガスが流通可能なガス導入口28を複数設けてある。なお、上述したガス流通口14は、図2に示すごとく、COセンサ収容部24のうちの上部分に連通している。
【0019】
また、リアケース2の正面側には、スピーカー8を収容する凹部(符号なし)や、フロントケース1のガス流通口14とCOセンサ収容部24とを連通する開口部(符号なし)を設けてある。
【0020】
リアケースカバー4は、図5に示すごとく、リアケース2の背面側を覆って、ケースCの裏面を構成する。図2,6に示すごとく、リアケースカバー4のうち正面視で中心よりも左上側の部分を、正面側に向けて凹入し、電池収容部42を形成してある。つまり、電池Bは、ケースCを分解することなく、ケースCの裏側から簡単に取り外しできる。電池収容部42は、図2に示すごとく、正面視で、ケースCの円形状の径方向に直交する方向向きの姿勢となるように配設されている。
【0021】
このように、フロントケース1がケースCの正面を構成し、リアケース2がケースCの外周面を構成し、リアケースカバー4がケースCの背面を構成している。図5に示すごとく、中間ケース3によって、フロントケース1とリアケース2とリアケースカバー4とで囲まれる空間を、前後方向に二つに仕切って、中間ケース3よりも前側の流通空間S1と、中間ケース3よりも後側の基板空間S2とを構成してある。そして、COセンサ7及び煙センサ6は流通空間S1に配設し、基板9は基板空間S2に配設してある。
【0022】
基板空間S2の前後方向の大きさ(厚さ)は、基板9が配設可能な厚さがあれば十分であるので、中間ケース3に、図5,6に示すごとく、電池収容部42の形状に対応する開口(符号なし)を設け、電池収容部42の一部を流通空間S1に突出させてある。これにより、基板空間S2が薄くて済み、ケースCの厚さが不要に厚くならない。また、基板9の正面側に取り付けられたCOセンサ7及び煙センサ6(図5参照)が、COセンサ7及び煙センサ6を流通空間S1に位置するように、図6に示すごとく、中間ケース3に、COセンサ7及び煙センサ6の夫々の形状に対応する開口(符号なし)を設けてある。
【0023】
〔取付部について〕
取付部5は、ケースCに先行して壁面W(図5参照)に固定するものである。取付部5は樹脂製であり、射出成形により製作してある。特に図示はしないが、取付部5には、例えば、石膏ボードピン等の固定具を挿通可能な孔が形成してある。また、固定具はビス等の締結具であっても良く、取付部5に、石膏ボードピン用の孔以外にビス穴を併設してあっても良い。壁面Wに取り付けた取付部5に、係合等によりケースCを取り付ける。
【0024】
〔煙センサについて〕
煙センサ6は、図4,6に示すごとく、円筒形状であって、外周部に万遍なく備えられて煙を導入可能な複数の煙導入口63と、外部からの光を遮断するように間隙を介して並置された複数のラビリンス状の壁部(符号なし)と、煙センサ6の内部に光を照射する発光部61と、煙センサ6の内部に流入した煙によって散乱された発光部61からの光を感知する受光部62と、を備えている。
【0025】
煙導入口63を煙センサ6の外周部に万遍なく設けてあるので、ケースCの内部に360度どの方向から煙が流入しても煙センサ6は煙を感知が可能である。発光部61と受光部62とは、夫々煙センサ6の中心方向向けの状態で、中心角約90度の間隔を開けて、夫々煙センサ6の外周部沿いに設けてある。煙センサ6の外周部のうち、発光部61と受光部62との背面となる部分は、遮光のために壁で塞いである。また、発光部61としては、例えば、発行ダイオードを使用し、受光部62としては、例えば、フォトダイオードを使用する。特に図示はしないが、煙導入口63の外周側には防虫網を設けてある。煙センサ6は公知の構成であるので、その他の煙センサ6の構成については特に説明をしない。
【0026】
〔COセンサについて〕
COセンサ7は、図2,4に示すごとく、COセンサ収容部24に収容されている。COセンサ7は、例えば、電気化学式のセンサであって、ガス流通口14やガス導入口28からCOセンサ収容部24に流入した不完全燃焼排気ガス中のCOガスを検知する。このように、煙センサ6だけでなく、COセンサ7を備えて、不完全燃焼による一酸化炭素を検知することで、火災の早期発見及びCO中毒の防止が可能となる。
【0027】
〔ケースの組付けについて〕
ケースCの組付けについて、図5,6に基づいて詳しく説明する。フロントケース1の背面側とリアケース2の正面側(底部分)とを背中合わせにセットする。フロントケース1とリアケース2との間の空間には、スピーカー8やランプを配設する。
【0028】
別途、煙センサ6及びCOセンサ7の側が正面側になるように基板9をリアケースカバー4の正面側にセットし、さらに、基板9に覆い被せるように、正面側から中間ケース3をリアケースカバー4にセットする。この際、煙センサ6とCOセンサ7と電池収容部42とは、中間ケース3を貫通し、正面側に露出する。
【0029】
最後に、リアケース2に対してリカアケースカバーをセットする。この際、リアケースカバー4の背面側から、リアケースカバー4とフロントケース1とをネジ固定する。これにより、リアケース2と中間ケース3とは、フロントケース1とリアケースカバー4とによって挟持されて固定される。
【0030】
〔各部のレイアウトについて〕
ケースCの内部における各部のレイアウトについて説明する。まず、煙センサ6とCOセンサ7と電池収容部42との位置関係を説明する。まず、煙センサ6は、図4に示すごとく、背面視で、発光部61が左上側に位置するように、かつ、受光部62が右上側に位置するように、ケースCの中心よりも右下寄りに配設してある。
【0031】
COセンサ7は、図4に示すごとく、背面視で、煙センサ6に対して左方向やや上寄りに配設されている。つまり、COセンサ7は、煙センサ6の中心を基準として、発光部61の背後側に位置するように配設してある。また、COセンサ7は、上述したように、ケースCの円形状の径方向に直交する方向向きの姿勢であるが、煙センサ6の円形状の径方向に対しては直交するのではなく、やや傾けた姿勢としてある。
【0032】
電池収容部42は、図4に示すごとく、背面視で、煙センサ6に対して略上方向に配設されている。つまり、電池収容部42は、煙センサ6の中心を基準として、受光部62の背後側に位置するように配設してある。また、電池収容部42も、上述したように、ケースCの円形状の径方向に直交する方向向きの姿勢であるが、煙センサ6の円形状の径方向に対しては直交するのではなく、やや傾けた姿勢としてある。
【0033】
即ち、COセンサ7及び電池収容部42は、ケースCの円形状の径方向に直交する姿勢であるので、ケースCに対しては最もコンパクトに収容されている。また、COセンサ7及び電池収容部42は、煙センサ6の円形状の径方向に対しては直交していないので、煙センサ6を基準とするCOセンサ7及び電池収容部42の見付幅が狭くなり、煙センサ6に対する煙の流通が阻害され難い。さらに、COセンサ7及び電池収容部42は、煙センサ6の中心を基準として、壁で塞がれている発光部61の背後側及び受光部62の背後側の夫々に位置するので、煙の流通に対して与えられる影響が少ない。
【0034】
また、ケースCの厚み方向においては、図5に示すごとく、煙センサ6、COセンサ7、及び、電池収容部42は、夫々の占有範囲の一部が互いに重複するように、ケースCの内部に配設されている。つまり、これらを、ケースCの厚み方向において出来るだけ集約してケースCにコンパクトに収容することにより、薄型の警報器としてある。
【0035】
なお、電池収容部42は、図4に示すごとく、煙センサ6の略上方向において、煙センサ6の幅方向(紙面左右方向)の全域に亘る姿勢で配設されている。また、図5に示すごとく、電池収容部42とリアケース2の背面部との間に隙間Gを設けてある。よって、警報器を壁に取り付けて使用する場合、警報器の上方から埃等がケースCの内部に侵入しても、電池収容部42が笠となって、その埃が煙センサ6にまで至ることを防止できる。また、上方からの煙の流入があったとしても、隙間Gを設けてあるので、その隙間Gからある程度の煙が煙センサ6に導入され、応答速度の低下を抑えられる。
【0036】
〔リブについて〕
流入口23から流入した煙は、リブ21,22(図4参照)に案内されて、煙導入口63に至る。リブ21,22は、上述したように、リアケース2の背面側から背面方向向けに立設され、その先端は、中間ケース3に当接している。つまり、図5に示すごとく、リブ21,22は、流通空間S1を複数の流路に仕切っている。
【0037】
リブ21は、図4に示すごとく、煙導入口63を起端としてケースCの外周部の側に向けて延びて、終端はケースCの外周部に達している。一方、リブ22は、同様に、煙導入口63を起端としてケースCの外周部の側に向けて延びてはいるが、終端はケースCの外周部に達していない。何れのリブ(21,22)にせよ、このように、リブ21,22を備えることにより、何れの方向から煙が流入しても、流入した煙は煙導入口63まで円滑に案内される。なお、リブ22の終端をケースCの外周部にまで達しさせていない理由については後述する。
【0038】
また、図4に示すごとく、リブ21によってCOセンサ7と煙センサ6との間の空間を塞ぎ込み、閉じられた閉領域25を形成している。閉領域25は、COセンサ収容部24と一体となって、ケースCの外周部と煙センサ6の外周部との間の全範囲に亘って形成された領域である。上述したように、警報器を薄型に構成するために、厚み方向に、煙センサ6とCOセンサ7と電池収容部42とを集約したので、流通空間S1においてCOセンサ7が占有する割合は高い。また、流通空間S1においてCOセンサ収容部24がリアケース2の背面側と中間ケース3の正面側とに亘っているため、COセンサ7と煙センサ6との間に隙間があると、COセンサ7の両側方の流通路A1,A2を通過してケースC内に流入する煙は、COセンサ7をかわした直後に、その隙間に巻き込まれて対流等して乱れ、円滑に煙導入口63から煙センサ6内部に導入されない。このため、煙感知の応答速度が低下する虞がある。
【0039】
しかし、隙間をリブ21で塞いで閉領域25としてあるので、煙が円滑に煙導入口63から煙導入口63に案内されて、上述のような流れに乱れが生じない。同様に、リアケースカバー4の正面側の外周部から立設した外周壁41や、フロントケース1とリアケースカバー4とを組付けるネジ用のボス部等、煙の流れの乱れを生じさせ得る箇所を、リブ21で囲い込んで、閉領域26,27を形成してある。
【0040】
〔特定の方向からの煙の流入について〕
図4,7に基づいて、終端がケースCの外周部に達していないリブ22について説明する。本実施形態においては、図4に示すごとく、COセンサ7の長手方向(上下方向)の長さは、ケースCの直径の1/2を越えている。したがって、COセンサ7の長手方向に直交する方向(図7(b)参照)、または、それに近い方向(図7(a),(c)参照)から煙が流れてきた場合、流入口23からケースC内部に流入する煙の量は少なくなりがちである。この場合、その方向に対応する煙導入口63に導入される煙は少なくなり、その方向からの煙に対する応答速度が低下する虞がある。そこで、COセンサ収容部24の両隣の流通路A1及び流通路A2が、ケースCの外周部に近付くに従ってラッパ状に拡大するように、リブ21,22を途中で屈曲して、対応する流入口23の間口を広げ、少しでも多くの煙が流入できるようにしてある。
【0041】
ところで、リブ22を挟んでCOセンサ収容部24の反対側には、閉領域26が存在する。この閉領域26は、COセンサ収容部24及び閉領域25による閉じられた領域とは異なり、ケースCの外周部と煙センサ6の外周部との間の全範囲には亘らないようにしてあり、流通路A3を形成してある。閉領域26と煙センサ6の外周部との間まで閉じた領域としてしまうと、COセンサ収容部24付近からの煙の流入量が相当減ってしまうからである。閉領域26は、周方向の幅が比較的狭いで領域であり、かつ、閉領域26と煙センサ6の外周部との間の領域の一方側をリブ21で仕切ってあるので、流入した煙の乱れはさほど生じない。
【0042】
ただし、仮にリブ22の終端がケースCの外周部に達していると、図7(b),(c)のような方向から煙が流れてきた際に、流通路A1及び流通路A2には適切に煙が流入するが、流通路A3については、リブ22の終端部分に阻害されて煙がほとんど流入せず、結局、それらの方向からの煙に対する応答速度が低下する。
【0043】
そこで、本実施形態においては、リブ22をケースCの外周部に達しないようにしてある。これにより、図7(a),(b),(c)に示すごとく、COセンサ7の長手方向に直交する方向(図7(b)参照)、または、それに近い方向(図7(a),(c)参照)から煙が流れてきた場合に、煙導入口63のうちCOセンサ7側の煙導入口63に円滑かつ万遍なく煙が導入される、この結果、COセンサ収容部24を設けたことによって応答速度が低下するのが好適に防止される。
【0044】
なお、電池収容部42もCOセンサ収容部24と同様に広範囲に亘る領域ではあるが、上述したように、リアケース2の背面と電池収容部42との間には隙間Gがあるので(図5参照)、電池収容部42の方向からの煙に対しての流入量は確保できる。
【0045】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態においては、ケースCの正面視形状を円形状としたが、この形状に限定されるものではない。ケースCの正面視の形状は、円形状以外の形状、例えば、三角形状、四角形状等の多角形状や、楕円形状等であっても良い。
【0046】
(2)上述の実施形態においては、電池収容部42とリアケース2の背面部との間に隙間Gを設けてある例を示したが、その隙間Gを設けていない構成であっても良い。この場合は、電池収容部42の方向からの煙の流入量を確保すべく、適宜、電池収容部42と煙センサ6の外周部との隙間をリブ21で塞ぎ込んで閉領域25のような領域を形成したり、リブ22をその周辺に設けたりすれば良い。
【0047】
(3)上述の実施形態においては、リブ22を挟んでCOセンサ収容部24とは反対側が閉領域26である例を示したが、例えば、ケースCの外周部に達する単独のリブ21であっても良い。この場合も、リブ22は上述と同様の作用効果を奏する。
【0048】
(4)上述の実施形態においては、センサ収容部24の両隣のうち片側のみにリブ22を設けた例を示したが、必要に応じて、センサ収容部24の両隣の両方側にリブ22を設けてあっても良い。また、閉じられた領域はセンサ収容部24に限られるものではなく、別の閉じられた領域(閉領域26,27等)であっても良い。そして、別の閉じられた領域の両隣の片側あるいは両側にリブ22を設けてあっても良い。なお、閉じられた領域が隣り合っており、その間に一つしかリブがないときは、リブ22を共有してあっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、COセンサと煙センサとを備えた警報器に限らず、その他のガスセンサと煙センサとを備えた警報器にも適用可能であり、また、煙センサのみを備えた警報器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
6 煙センサ
21 リブ(煙案内部)
22 リブ
24 COセンサ収容部(閉じられた領域)
25 閉領域(閉じられた領域)
26 閉領域(閉じられた領域)
27 閉領域(閉じられた領域)
63 煙導入口
C ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面形状がフラット形状であり、外周部からの煙の流入を許容するケースと、
前記ケースの内部に配設されると共に複数の煙導入口を有し、前記ケースの内部に流入した煙を、前記煙導入口から内部に導入して感知する光電式の煙センサと、を備え、
前記煙導入口を起端として前記外周部の側に向けて延び、前記ケースの内部に流入した煙を前記煙導入口まで案内する煙案内部を複数備え、
前記外周部の近傍において前記煙センサと前記外周部との間に設けられ、前記ケースの内部に流入した煙が流通できない閉じられた領域を一以上備え、
前記領域のうちの少なくとも一つについて、その領域の両隣のうちの少なくとも何れか一方側に、終端が前記外周部に達しない前記煙案内部を備えた警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−226657(P2012−226657A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95145(P2011−95145)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000190301)新コスモス電機株式会社 (112)
【Fターム(参考)】