説明

負荷の異常検出装置

【課題】負荷の短絡等を電気的に迅速かつ確実に検出可能な負荷の異常検出装置を得る。
【解決手段】インバータ2によって駆動される容量性のオゾン発生器5の異常を、オゾン発生器5の電気特性を模擬する模擬回路として並列コンデンサ11をオゾン発生器5に並列に接続し、並列コンデンサ11に流れる電流を並列回路CT12にて検出する。検出制御回路17は、並列コンデンサ11に流れる電流が所定値を超えたとき、オゾン発生器5に短絡や断線等の異常が発生したとしてインバータ2を停止し、警報する。オゾン発生器5に異常が発生してインピーダンスが変化すると並列コンデンサ11に流れる電流が急変するので、負荷であるオゾン発生器5の異常を迅速かつ確実に検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷の、特にオゾナイザなど容量性の負荷の例えば部分短絡や断線などの異常を電気的に検出する負荷の異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無声放電とは、電極と電極の間に誘電体を介して交流放電させるものであり、その構造上の特徴から容量性負荷、より厳密にはコンデンサのような純粋なキャパシタンスに加えて、放電の抵抗特性が非線形に表れるような負荷と考えることができる。こういった負荷を駆動するためには、つまり負荷の両端に放電に必要な電圧を印加し放電に必要な電流を流すためには、高周波の交流電力を生成する必要があるため、一般にはインバータ回路が用いられる。加えて、放電現象の場合は高い電圧が必要になる場合や、あるいは容量性負荷への無効電流を補償するために大電流を流す必要がある場合が多く、インバータに対して、負荷に直列あるいは並列にリアクトルを設けた共振回路が用いられることが多い。
【0003】
オゾナイザつまりオゾン発生器は、無声放電によって空気又は酸素からオゾンを生成させる装置であり、多数の発生管を並列に接続した構成が一般的である。発生管は無声放電の構造上電極と誘電体から構成されるが、その誘電体としては例えばガラス管が用いられている。このとき、多数の発生管のどれかひとつが何らかの原因(機械的原因、あるいは絶縁破壊のような電気的原因、腐食のような化学的原因等)で壊れた場合、例えばガラス管が損傷した場合を考える。すると、壊れた箇所から電極間にアーク電流が流れ、当該発生管が一時的に短絡状態になる。
【0004】
以下、負荷として特にオゾナイザを念頭に説明を行うが、オゾナイザに限らず容量性の負荷一般に適用することが可能である。ここで、容量性の負荷とは、無声放電負荷をはじめとして、負荷が容量成分を持つ、いい換えれば負荷両端の電圧に対して負荷電流が進み位相となるような負荷を意味する。
【0005】
負荷の短絡検出としては、一般的には負荷の電圧を検出することが考えられる。負荷の電圧(端子電圧)が異常となった場合とは、負荷のインピーダンスが異常となった場合ということである。しかしながら、並列に接続された多数の負荷において個々の負荷の短絡によってインピーダンスの変化が発生したとしても、全体としてのインピーダンスの変化が小さく、電圧の検出だけでは短絡が検出できない場合がある。まず、オゾナイザの発生管の短絡現象の場合、短絡の状況によって短絡後のインピーダンスは広い範囲でばらつく。また、負荷のオゾン発生器が大容量化すると、等価的なインピーダンスは小さくなりさらに検出が困難になる。そもそも、容量性負荷の場合、有効電流と同時に負荷の容量に充放電する無効電流の割合が非常に大きく、有効電流になんらかの変化が生じても、無効電流に隠れて検出できないという問題がある。
【0006】
こういった問題を解決するための一つの手段として、電圧だけでなく電流も検出し、電圧と電流の検出結果から負荷の力率を求めることにより、負荷のインピーダンスの変化を正確に検出する方法がある。例えば、モータなどの誘導性負荷において、負荷の電流と電圧を検出して、それらの値から負荷の力率を求め、異常検出に用いる方法がある(例えば、特許文献1参照)。なお、このような方法は、モータなどの誘導性負荷に限らず、本発明のような容量性負荷についても同様の考え方が適用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−103496号公報(段落番号0010及び図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、負荷の電圧実効値の変化あるいは力率の変化を検出するには、少なくとも一周期の波形、正確に検出しようとする場合は数周期以上の波形を検出する必要がある。さらに演算にも時間を要する。このため、力率を測定する方法は迅速な検出が必要とされる場合には適切でない。
この発明は上記のような問題点を解決するためになされたものであり、負荷の短絡を電気的に迅速かつ確実に検出することができる負荷の異常検出装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る負荷の異常検出装置においては、
交流電圧によって駆動される容量性の負荷の異常検出装置であって、模擬回路装置と異常検出手段とを備え、
模擬回路装置は、第1と第2の模擬回路の少なくとも一方を有するものであって、第1の模擬回路は負荷に並列に接続され負荷の電気的特性を模擬するものであり、第2の模擬回路は負荷に直列に接続され負荷の電気的特性を模擬するものであり、
異常検出手段は、第1の模擬回路に流れる電流及び第2の模擬回路に発生する電圧の少なくとも一方に基づき負荷の異常を検出するものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、交流電圧によって駆動される容量性の負荷の異常検出装置であって、模擬回路装置と異常検出手段とを備え、
模擬回路装置は、第1と第2の模擬回路の少なくとも一方を有するものであって、第1の模擬回路は負荷に並列に接続され負荷の電気的特性を模擬するものであり、第2の模擬回路は負荷に直列に接続され負荷の電気的特性を模擬するものであり、
異常検出手段は、第1の模擬回路に流れる電流及び第2の模擬回路に発生する電圧の少なくとも一方に基づき負荷の異常を検出するものであるので、
負荷の短絡等の異常を電気的に迅速かつ確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図2】動作を説明するための波形図である。
【図3】この発明の実施の形態2である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態5である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態6である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態7である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態8である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態8である負荷の異常検出装置の構成の変形例を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態9である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態10である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態11である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図14】この発明の実施の形態12である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図15】この発明の実施の形態13である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【図16】この発明の実施の形態13である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1及び図2は、この発明を実施するための実施の形態1を示すものであり、図1は負荷の異常検出装置の構成を示す構成図、図2は動作を説明するための波形図である。図1において、直流電源1の直流電力をインバータ2により高周波の交流電力に変換する。インバータ2から出力される交流電力はリアクトル3を介して容量性の負荷としてのオゾン発生器5に印加される。インバータ2によりオゾン発生器5に適した周波数及び電圧の交流を生成し、リアクトル3によって共振、昇圧されてオゾン発生器5に印加される。オゾン発生器5は、インバータ2から印加される電圧による無声放電によって空気又は酸素からオゾンを生成するものであり、図示していないが多数の発生管が並列に接続されて構成されている。無声放電の構造上電極と誘電体から構成されるが、その誘電体としては例えばガラス管が用いられ、電気的には容量性の負荷である。
【0013】
容量性素子としての並列コンデンサ11に並列回路CT(変流器)12が直列に接続されて第1の検出回路13が構成されている。並列回路CT12は並列コンデンサ11を流れる電流を検出する。オゾン発生器5と並列に第1の検出回路13が接続されている。検出制御回路17は並列回路CT12により検出される電流を監視し、異常があればインバータ2を停止するとともにその旨報知及び警報する。並列コンデンサ11は、インバータ2の負荷としてのオゾン発生器5と電気的にほぼ相似な特性を示す模擬回路の一例であり、この実施の形態においては、オゾン発生器5の容量の1/k(kは1よりも大きい所定の定数)の容量を有するコンデンサを用いている。なお、並列コンデンサ11がこの発明における第1の模擬回路であり、並列回路CT12及び検出制御回路17がこの発明における異常検出手段である。
【0014】
オゾン発生器5の電気的特性すなわちインピーダンス特性を模擬する第1の模擬回路については以下の各実施の形態においていくつかの具体例を説明するが、負荷(オゾン発生器5)が容量性であるということは、通常は模擬回路あるいは等価回路として、コンデンサを含む回路と考えられる。図1において、オゾン発生器5と並列コンデンサ11には、ほぼ同じ電圧が印加される。並列コンデンサ11がオゾン発生器5の電流の1/kの電流を流すように、電気的に相似に設計されているので、正常動作時は常にオゾン発生器5の1/kの電流が並列回路CT12に流れることになる。そしてオゾン発生器5に異常が発生した場合は、これから外れる電流が観測されるはずである。これを検出することによってオゾン発生器5の異常検出を行うことが、本発明の基本的な概念である。
【0015】
今、オゾン発生器5に短絡などの異常が発生したとする。すると、オゾン発生器5と並列コンデンサ11のインピーダンスの割合が、定常状態から変動するため、並列コンデンサ11からオゾン発生器5へパルス的な電流が流れる。これを検出することでオゾン発生器5の異常の検出を行うことができる。このような検出の方法は実は、オゾン発生器5の電圧の微分値を検出していることに等しい。オゾン発生器5を構成する発生管が短絡した場合、まわりの静電容量から短絡した発生管へ電流が流れ込むため、オゾン発生器5の両端の電圧が変化する。オゾン発生器5の短絡を迅速に検出するためには、電圧値ではなく、電圧の微分値の変化を検出するほうがよい。
【0016】
しかし、例えばオゾン発生器5の電圧を分圧抵抗などを用いて検出し、この電圧の微分値をアナログ回路で求めたりあるいはデジタル処理により数値的に演算した場合、微分後の信号のS/N比が悪く、検出が非常に困難になる。このため、オゾン発生器5に並列に並列コンデンサ11を設け、並列コンデンサ11に流れる電流を並列回路CT12により測定する。一般的にコンデンサは理想的な容量成分と考えてよく、その電流値はコンデンサの電圧の微分値に比例する。従って、検出用の並列コンデンサ11の電流を測定することにより、等価的にオゾン発生器5の両端の電圧の微分値を測定することが可能になる。
【0017】
並列コンデンサ11に流す電流は交流でかつ小信号であるので、測定にはCT(カレントトランス)を用いても、検出用のシャント抵抗を用いてもよい。また、検出用のコンデンサである並列コンデンサ11の容量が大きいとインバータ2の電流がそれだけ大きくなってしまうため、オゾン発生器5の等価的な静電容量と比較して十分に小さい値に選定する。但し、あまり小さすぎると検出電流に十分なS/N比が得られなくなる。
【0018】
図2は検出の様子を示す波形図である。図2(a)において、オゾン発生器5の両端には高電圧のほぼ正弦波の端子電圧(負荷電圧)Vfが発生している。時間t1において短絡が発生すると、端子電圧Vfは急激に低下し、同時に図2(b)に示すように時間t1において並列回路CT12にて検出される検出信号S1が急変する。なかでも、端子電圧Vfの尖頭値付近で短絡が発生した場合に最も強い検出信号が得られる。検出制御回路17は、並列回路CT12による検出信号S1が所定の値を超えると、オゾン発生器5の短絡や断線など故障であると判断し、インバータ2を停止するともに警報を発する。このようにして、負荷であるオゾン発生器5の短絡等の異常を極めて迅速かつ確実に検出することができる。
【0019】
実施の形態2.
図3は、実施の形態2である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。実施の形態1で示した並列コンデンサ11を用いる方法は、オゾン発生器5の短絡時にオゾン発生器5のインピーダンスが大きく変化する、つまりオゾン発生器5のインピーダンスが十分小さい場合には、十分なS/N比で、非常に迅速な検出が可能になる。しかしながら、短絡後のインピーダンスがかなり大きい場合には、オゾン発生器5の端子電圧が急激に変化せず、この方法では検出の精度が低下する可能性がある。このような場合を補完するために、通常の電圧低下による検出、つまりオゾン発生器5の端子電圧(電圧実効値)の低下を検出する方法を併用する。以下、具体的に説明する。
【0020】
図3において、図1の構成に加えて、オゾン発生器5の電流を検出する負荷電流検出手段としての主回路CT21、オゾン発生器5の両端の電圧(端子電圧)を検出する負荷電圧検出手段としての端子電圧検出器22、主回路CT21と端子電圧検出器22の検出結果に基づいてオゾン発生器5の力率を求める力率算出手段24を設けている。オゾン発生器5の電流検出についてはCT(変流器)を用いる方法や電流検出用のシャント抵抗を用いる方法があるが、一般に電流値も非常に大きいため、CTを用いるほうが適していることが多い。また、一般にオゾン発生器5には高電圧が印加されるため、電圧検出は例えば抵抗分圧による方法やトランスによって電圧を下げる方法があるが、この実施の形態においては端子電圧検出器22として分圧抵抗を用いている。
【0021】
力率算出手段24は、主回路CT21及び端子電圧検出器22で得られた電流波形、電圧波形を演算して力率を計算する。検出制御回路27は並列回路CT12により検出される電流及び力率算出手段24から出力される力率を監視し、検出される電流が所定値よりも大きい場合や力率が予め設定した値よりも大きい場合、異常(短絡事故)であるとしてインバータ2を停止するとともにその旨報知及び警報する。その他の構成については、図1に示した実施の形態1と同様のものであるので、相当するものに同じ符号を付して説明を省略する。なお、この実施の形態における並列回路CT12、主回路CT21、端子電圧検出器22、力率算出手段24及び検出制御回路27が、この発明の異常検出手段である。
【0022】
この方法は、オゾン発生器5全体の力率、つまりインピーダンスを求めるので、オゾン発生器5のインピーダンスが大きく、オゾン発生器5の端子電圧の変化があまり発生しなかった場合でも、インピーダンスの変化として検出することができ、実施の形態1においては感度良く検出できない時間域における検出が可能であり、並列コンデンサ11による検出を補完することができる。
【0023】
なお、図3ではオゾン発生器5単独の電流を主回路CT21にて検出しているが、主回路CT21を並列コンデンサ11とオゾン発生器5との接続点よりもインバータ2側に設けて、並列コンデンサ11を流れる電流を含めて検出するようにしてもよい。なお、力率算出手段24による力率の求め方としては、アナログ的に計算する方法もあるし、あるいは電圧波形及び電流波形をAD変換して、デジタル的に計算する方法もある。
【0024】
実施の形態3.
図4は、実施の形態3である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。実施の形態1の図1において、オゾン発生器5の電気的特性が十分にコンデンサの特性に近いと考え、検出用の並列コンデンサ11とオゾン発生器5とに電流が分流している、という点に着目すると、同じような構成で別の観点から検出を行うことが可能になる。図4において、負荷の異常検出装置は、主回路CT21で検出した電流をkで除算して除算値を求める除算手段としての除算器31、並列回路CT12で検出した電流と除算器31から出力される除算値(電流)との差δ1を求める減算器36、検出制御回路37を有する。検出制御回路37は減算器36からの信号を監視し、異常があればインバータ2を停止するとともにその旨報知及び警報する。その他の構成については、図1に示した実施の形態1と同様のものであるので、相当するものに同じ符号を付して説明を省略する。なお、この実施の形態における並列コンデンサ11と直列抵抗41との直列回路がこの発明における第1の模擬回路であり、並列回路CT12、主回路CT21、除算器31、減算器36、検出制御回路37が、この発明の異常検出手段である。
【0025】
ここで、並列コンデンサ11の容量が、オゾン発生器5の等価的な容量の1/k(kは1より大きい定数)であるとする。このとき、まず、除算器31にてオゾン発生器5の電流の測定波形を1/k倍し、減算器36にてその値と並列コンデンサ11の電流波形との差を求める。つまり、並列コンデンサ11の電流波形からオゾン発生器5への無効電流分の波形を差し引くような演算を行う。オゾン発生器5が理想的なコンデンサであった場合は、検出電流波形つまり
((並列コンデンサ11の電流)−(オゾン発生器5の電流)/k)
は、全ての位相においてゼロになるはずである。この状態でオゾン発生器5になんらかの異常が発生した場合、例えば一部の容量が短絡した場合、その短絡によって発生した電流のみを検出することが可能になる。つまり、正常動作時には十分小さな信号しか発生せず、異常発生時は十分に高いS/N比で検出が可能になる。並列コンデンサ11への電流波形から、オゾン発生器5の無効電流分を差し引くことによって、有効電流分だけを検出する、といい換えることもできる。
【0026】
このような状況はもちろん、オゾン発生器5が十分に理想コンデンサに近い場合に可能となる。実際にはオゾン発生器5が電力を消費するものである以上、オゾン発生器5が純粋なコンデンサであるとはいえない。従って、純粋なコンデンサ特性との違いが、検出信号のS/N比に影響することになる。さて、上記定数kを与えるためには、オゾン発生器5の静電容量を明確にしなければならない。並列コンデンサ11の静電容量を決定するに当たっては、オゾン発生器5の動作中の代表的な静電容量値を用いる。オゾナイザの場合であれば、例えば特開2001−35693号広報の段落番号0007,0008に示された式(3)のC3、すなわち
C3=(C1×C2)/(C1+C2)
ここに、C1:オゾン発生器5の電極間に介在する誘電体の静電容量値、
C2:オゾン発生器5のガス領域の静電容量、
を用いることが考えられる。
【0027】
この考え方では、オゾン発生器5をひとつのコンデンサであるとして近似するため、場合によっては実際にオゾン発生器5に流れる電流波形と近似した並列コンデンサ11を流れる電流波形との間に位相差が生じる可能性がある。この場合は、第1の検出回路13に位相を補正する位相補正手段を設けることで、S/N比を向上させることができる。
【0028】
以上では、オゾン発生器5の電流を(1/k)倍して、並列コンデンサ11の電流との差を求めたが、並列コンデンサ11の電流をk倍してオゾン発生器5の電流との差を求めてもよいことはいうまでもない。また、オゾン発生器5の電流を測定する位置すなわち主回路CT21を第1の検出回路13よりもリアクトル3に近い位置に設けると、第1の検出回路13への電流を含めて測定することになるが、並列コンデンサ11を流れる電流は小さいので殆ど影響はない。しかし、厳密にいえば検出された電流を1/(1+k)とする必要がある。
【0029】
実施の形態4.
図5は、実施の形態4である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。図5において、負荷の異常検出装置は、電流検出用抵抗としての直列抵抗41、除算手段としての除算器44、減算器46、検出制御回路47を有する。その他の構成については、図4に示した実施の形態3と同様のものであるので、相当するものに同じ符号を付して説明を省略する。並列コンデンサ11と直列に直列抵抗41を設け、直列抵抗41の端子電圧を検出信号Vsrとして除算器44に供給する。除算器44にて、当該検出信号VsrをRc(Rcは、直列抵抗41の抵抗)で除算して、減算器46へ出力する。減算器46は除算器44の出力と除算器31の出力(オゾン発生器5の電流/k)との差δ1を求め、検出制御回路47へ出力する。検出制御回路47は差δ1の値を監視し、その値が所定の値を超えたとき、オゾン発生器5に短絡や断線等の異常が発生したとして、インバータ2の停止及び故障警報を発する。なお、主回路CT21、除算器31、直列抵抗41、除算器44、減算器46及び検出制御回路47がこの発明における異常検出手段である。
【0030】
オゾン発生器5の電流は、産業用のオゾン発生器5の場合は非常に大電流になることが多い。従って、抵抗によって測定することは困難であり、CTによる測定が適している。並列コンデンサ11の電流の測定は、CTによってもよいが、電流が小さいためこの実施の形態のように並列コンデンサ11に直列に直列抵抗41を設けて、その端子電圧から電流を求める並列コンデンサ11ことができる。抵抗を用いる場合のメリットは、位相のずれが生じないことである。CTの場合は励磁インダクタンスによって位相がずれるため、位相を補償するなど何らかの対策を講じなければ精度の良い検出ができなくなる。
【0031】
実施の形態5.
図6は、実施の形態5である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。図6において、負荷の異常検出装置は、負荷電流検出手段としての主回路CT51、二次側抵抗52、電圧検出器54、検出制御回路57を有する。主回路CT51は一種のトランスであるので、1次側と2次側の巻数比を1:n(nは整数)とする。並列コンデンサ11と直列抵抗41の一方の端子との接続点は主回路CT51の二次側の一方の端子に接続されている。主回路CT51の二次側の端子間に二次側抵抗52が接続され、主回路CT21を流れる電流に比例した電圧を発生する。
【0032】
また、主回路CT51の二次側の他方の端子とオゾン発生器5の他方の端子との間に電圧検出器54が接続され、直列抵抗41の電圧と二次側抵抗52の電圧との差を検出するように構成されている。電圧検出器54の検出信号は検出制御回路57に出力され、検出信号の値が所定の値を超えたとき、検出制御回路57はオゾン発生器5に短絡や断線等の異常が発生したとして、インバータ2の停止及び故障警報を発する。なお、直列抵抗41、主回路CT51、二次側抵抗52、電圧検出器54及び検出制御回路57がこの発明の異常検出手段である。
【0033】
ここで、オゾン発生器5に流れる電流をJとすると、主回路CT51の2次側にはJ/nの電流が流れ、二次側に検出用に設けられている二次側抵抗52の抵抗をRsとすると、その両端にはRs×J/nの電圧が発生する。一方、並列コンデンサ11にはI/kの電流が流れるため、これに直列な抵抗Rcの両端には、Rc×J/kの電圧が発生する。このとき、Rs及びRcを、電圧の向きが逆になるように図6のように接続すると、電圧検出器54には両者の差の電圧が発生する。このとき、理想的にこれらの電圧が打ち消しあうためには、Rc=Rs×k/n、の関係が成り立てばよい。例えばRcを可変抵抗器で実装しておき、実際に装置を動かしてみてから検出信号が最も小さくなるように調整すれば、kやRsの誤差によらず、検出のS/N比を向上させることができる。
【0034】
実施の形態6.
図7は、実施の形態6である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。図7において、負荷の異常検出装置は、図5の構成に加えて、位相補正用の二次側コンデンサ61を有する。二次側コンデンサ61は、主回路CT51の二次側に二次側抵抗52と並列に接続されている。なお、直列抵抗41、主回路CT51、二次側抵抗52、電圧検出器54、二次側コンデンサ61及び検出制御回路57がこの発明の異常検出手段である。これまでも述べたが、CTを電流検出に用いる場合、これが基本的にはトランスであることから、1次側の電流と2次側の電流との間に僅かながら位相差が生じる。これはCTの一次側の励磁インダクタンスの影響である。これを補正するための一つの方法として、図7に示したように、主回路CT51の2次側に位相補正用の二次側コンデンサ61を設けたものである。二次側コンデンサ61の容量は主回路CT51の励磁インダクタンスと、インバータ2の周波数から、適切な値を求めることができる。
【0035】
実施の形態7.
図8は、実施の形態7である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。図8(a)において、負荷の異常検出装置は、並列コンデンサ71、第2抵抗72、電流検出用抵抗としての直列抵抗73を有する。直列に接続された第2抵抗72と直列抵抗73との直列回路が並列コンデンサ71と直列に接続されている。第2抵抗72の一方の端子は並列コンデンサ71に接続され他方の端子は直列抵抗73の一方の端子に接続され、直列抵抗73の他方の端子はオゾン発生器5の他方の端子に接続されている。また、第2抵抗72と直列抵抗73との接続点は主回路CT51の一方の端子に接続されている。なお、並列コンデンサ71、第2抵抗72及び直列抵抗73がこの発明における第1の模擬回路であり、主回路CT51、二次側抵抗52、電圧検出器54、検出制御回路57及び直列抵抗73cがこの発明における異常検出手段である。
【0036】
さて、これまでの議論は、容量性負荷であるオゾン発生器5が理想的なコンデンサの特性に十分に近いことを前提としていた。しかし、オゾン発生器5が電力を消費する以上、純粋なコンデンサの特性とのずれがあり、これが検出制御回路に入力される信号のS/N比に影響する。S/N比を向上させるためには、例えば図1における並列コンデンサ11を含む第1の検出回路13の特性を、オゾン発生器5の特性に近づければよい。例えば、オゾン発生器5は、図8(b)に示すように、オゾン発生器の模擬回路として、コンデンサCLと、抵抗RLの直列回路で表されるとする。そして、図8(a)のように、並列コンデンサ71の容量をCL/kとし、この並列コンデンサ71と第2抵抗72とを直列に接続し、第1の模擬回路としている。
【0037】
第2抵抗72と直列抵抗73との抵抗の和は、オゾン発生器5の抵抗RLを模擬するものでその値をRL×kし、第2抵抗72の抵抗は(RL×k−Rc)とし、直列抵抗73は電流検出用であり抵抗をRcとしている。これにより、オゾン発生器5の電流に1/kを乗じた正確な電流が直列抵抗73に流れることになり、直列抵抗73と主回路CT51との検出信号の差を求めることにより、両者を極めて正確に相殺することができ、S/N比の良い検出を行うことが可能になる。
【0038】
なお、並列コンデンサ11に直列な抵抗(第2抵抗72の抵抗+直列抵抗73の抵抗)は、オゾン発生器5を模擬する抵抗であり、厳密には上述のようにRL/kであり、この中に電流検出用の抵抗Rcが含まれている。すなわち、電流検出用の抵抗Rcと、抵抗成分(RL×k−Rc)とに分かれることになる。しかし、実際にはRL×kに比較してRcは十分に小さいので、調整時にRcを多少増減させても大きな影響はない。このような、コンデンサCLと抵抗RLという第1の模擬回路で表される容量性のオゾン発生器5には、例えば無声放電励起の炭酸ガスレーザなど、さまざまなアプリケーションが存在する。
【0039】
実施の形態8.
図9、図10は、実施の形態8を示すものであり、図9は負荷の異常検出装置の構成を示す構成図、図10は変形例を示す構成図である。図9(a)において、負荷の異常検出装置は、容量性素子よしての並列コンデンサ81及び第2コンデンサ82、電圧制限手段としてのツェナーダイオード83、電流検出用抵抗としての直列抵抗84を有する。第2コンデンサ82とツェナーダイオード83との並列回路は並列コンデンサ81と直列に接続され、電流検出用抵抗としての直列抵抗84がこれら並列コンデンサ81と第2コンデンサ82との直列回路に直列に接続されて、オゾン発生器5を模擬する第1の模擬回路が構成され、全体が主回路CT51を介してオゾン発生器5と並列接続されている。オゾナイザなどの無声放電は、容量性のオゾン発生器5で行われるが、オゾン発生器5はより厳密にはコンデンサとツェナーダイオードとを組み合わせた模擬回路で表されることが知られている(例えば、特開2001−35693号公報、段落番号0017及び図1参照)。
【0040】
つまり、図9(b)に示すように、オゾン発生器5は、誘電体の静電容量Cd、ギャップの静電容量Cgを直列に接続し、静電容量Cgに並列に2個のツェナーダイオード素子のカソード同士が接続され逆極性に直列接続された直列接続回路が接続されたものであり、このツェナーダイオード素子の降伏電圧は放電維持電圧V*であるとして表される。従って、この発明におけるオゾン発生器5の電気的特性を模擬する第1の模擬回路は、並列コンデンサ81、第2コンデンサ82、第2のコンデンサ83に並列に接続されたツェナーダイオード83にて構成することができる。ツェナーダイオード83はカソード同士が接続されて逆極性に直列接続された2個のツェナーダイオード素子で構成されている。また、主回路CT51、二次側抵抗52、電圧検出器54、検出制御回路57、二次側コンデンサ61、直列抵抗84がこの発明における異常検出手段である。
【0041】
この実施の形態においては、本体のオゾン発生器5と電気的に相似な動作を行う上記のような第1の模擬回路を設けることがポイントである。オゾナイザの場合は上記のような非線形な第1の模擬回路として表現できるので、オゾン発生器5の模擬回路として組み込むことも可能である。具体的には、容量Cd/kの並列コンデンサ81と容量Cg/kの第2コンデンサ82とを直列に接続し、第2コンデンサ82と並列に、ツェナー降伏電圧がV*であるような2個のツェナーダイオード素子を逆向きにカソード同士を対向させて逆極性に直列に接続したツェナーダイオード83を接続する。そして、電流検出のために、並列コンデンサ81と第2コンデンサ82との直列回路に例えば検出用の抵抗Rcの直列抵抗84を直列に挿入し、第1の模擬回路を構成する。ここで、Rc=Rs×k/nであり、Rcは十分に小さくする。これにより、オゾン発生器5の電流を正確に1/k倍した電流が直列抵抗84に流れることになり、直列抵抗84と主回路CT51との検出信号の差を求めることにより、両者を極めて正確に相殺することができ、精度の良い検出を行うことが可能になる。
【0042】
このような構成であれば、直列抵抗84の抵抗Rcを十分に小さくできるので、並列コンデンサ81、第2コンデンサ82、ツェナーダイオード83にて構成される第1の模擬回路、あるいはこの第1の模擬回路と直列抵抗84との直列回路が、オゾン発生器5の電気的な特性とほぼ同じ特性を示し、正確に1/kの電流波形が検出できるため、十分にS/N比の高い検出が可能になる。
【0043】
図10は、図9に示した負荷の異常検出装置の変形例である。図10(a)において、負荷の異常検出装置は、容量性素子としての並列コンデンサ91及び第2コンデンサ92、ツェナーダイオード93、電流検出用抵抗としての直列抵抗94を有する。第2コンデンサ92とツェナーダイオード93との並列回路は並列コンデンサ91と直列に接続され、電流検出用の直列抵抗94がこれら並列コンデンサ91と第2コンデンサ92との直列回路に直列に接続されている。ツェナーダイオード93は、ツェナー降伏電圧がV*であるような2個のツェナーダイオード素子をカソード同士を接続して逆極性に直列接続したツェナーダイオード素子直列回路である。並列コンデンサ91と第2コンデンサ92とツェナーダイオード93と直列抵抗94が、この発明におけるオゾン発生器5の特性を模擬する第1の模擬回路を構成し、この第1の模擬回路が主回路CT51を介することなく直接オゾン発生器5に並列接続されている。なお、主回路CT51、二次側抵抗52、電圧検出器54、検出制御回路57、二次側コンデンサ61、直列抵抗94がこの発明における異常検出手段である。
【0044】
上記図9においては、オゾン発生器5の電流検出用の主回路CT51を並列コンデンサ81とオゾン発生器5との接続点に内側に設けてオゾン発生器5単独の電流を検出しているが、図10(a)に示すように、並列コンデンサ91とオゾン発生器5との接続点よりもインバータ2側に設けて並列コンデンサ91の電流を含めて検出するものであっても、同様の効果を奏する。この場合、主回路CT51にて検出される電流検出用抵抗Rcは、Rc=Rs×(k+1)/nとなる。ただ、検出のための並列コンデンサ91の電流とオゾン発生器5の電流との比kは通常非常に大きいので、図9に示した負荷の異常検出装置との違いはあまり問題にならない。また、直列抵抗94の抵抗を十分に小さくできるので、第1の模擬回路、あるいはこの第1の模擬回路と直列抵抗94との直列回路が、オゾン発生器5の電気的な特性とほぼ同じ特性を示し、正確に1/kの電流波形が検出できるため、十分にS/N比の高い検出が可能になる。
【0045】
実施の形態9.
図11は、実施の形態9である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。図11(a)において、負荷の異常検出装置は、容量性素子としての並列コンデンサ101及び第2コンデンサ102、単相全波整流回路103、直流定電圧電源104、電流検出用抵抗としての直列抵抗105を有する。並列コンデンサ101と第2のコンデンサ102と直列抵抗105とが直列に接続され、単相全波整流回路103の直流出力側が第2コンデンサ102と並列に接続され、単相全波整流回路103の交流入力側に各アームの導通方向と逆極性に直流定電圧電源104が接続されてこの発明におけるオゾン発生器5の電気的特性(インピーダンス特性)を模擬する第1の模擬回路が構成されている。そして、この第1の模擬回路が主回路CT51を介することなく直接オゾン発生器5と並列接続されている。なお、主回路CT51、二次側抵抗52、電圧検出器54、検出制御回路57、二次側コンデンサ61、直列抵抗104がこの発明における異常検出手段である。
【0046】
オゾナイザなどの無声放電の第1の模擬回路として、実施の形態8(図9、図10参照)ではツェナーダイオードを用いるものを示したが、同様の効果を得る方法として、4つのダイオードと直流定電圧電源を用いる方法がある。この方法によって模擬回路を構成したものが図11(a)である。直流定電圧電源104の電圧がV*に対応し、ソースではなくシンクとして動作する。理想的には回路的にツェナーダイオード素子を2個逆極性に直列接続した場合と同等である。模擬回路として構成する場合にどちらが構成しやすいかの問題がある。図9や図10のように模擬回路にツェナーダイオードを用いると、模擬回路に流れる電流はツェナーダイオードで消費されるため、ツェナーダイオードの容量に充分に留意する必要がある。一方、図11の場合では直流定電圧電源104が必要となり構成が複雑になるが、模擬回路を流れる電流は直流定電圧電源104で消費されるため、電力損失を軽減できる。なお、直列抵抗104の抵抗を十分に小さくできるので、第1の模擬回路が、オゾン発生器5の電気的な特性とほぼ同じ特性を示し、正確に1/kの電流波形が検出できるため、十分に精度及びS/N比の高い検出が可能になる。
【0047】
実施の形態10.
図12は、実施の形態10である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。図12(a)において、負荷の異常検出装置は、絶縁アンプ114を有する。電圧検出器54にて検出された検出信号は絶縁アンプ114を介して検出制御回路57に供給される。これにより、電圧検出器54から検出制御回路57へ、絶縁された状態で検出信号が伝達される。その他の構成については、図10に示した負荷の異常検出装置と同様のものである。模擬回路である電圧検出器54から得られた検出信号は、その後検出制御回路57で制御に用いられることになるが、その際の問題の一つはノイズである。
【0048】
オゾン発生器5の容量が非常に大きい場合、例えば図10のような構成で第1の模擬回路内部に直列抵抗94やツェナーダイオード93などが設けられている場合、その損失を軽減するためには、オゾン発生器5と第1の模擬回路の容量比である係数kを十分に大きくしなければならない。その場合検出電圧が小さくなり、ノイズの影響を受けやすくなる。そこで、第1の模擬回路部分と検出制御回路57との間のどこかに、例えば絶縁アンプを設けることが考えられる。図12(a)はそのような負荷の異常検出装置を示すものである。絶縁手段としての絶縁アンプはこの位置ではなく、例えば直列抵抗94と主回路CT51の二次巻線との間などでも構わない。あるいは絶縁アンプだけではなく、フェライトコイルを併用するなど、一般的なノイズ除去手段を適用すると効果が期待できることはいうまでもない。なお、主回路CT51、二次側抵抗52、電圧検出器54、検出制御回路57、二次側コンデンサ61、直列抵抗94,絶縁アンプ114がこの発明における異常検出手段である。
【0049】
実施の形態11.
図13は、実施の形態11である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。以上の実施の形態1〜10では、オゾン発生器5に並列に第1の模擬回路である並列コンデンサ11等を設ける構成を示したが、オゾン発生器5に直列に配することも可能である。図13はこのような負荷の異常検出装置に示すものである。図13において、容量性素子及び負荷直列コンデンサとしての直列コンデンサ131に直列コンデンサ131の電圧を検出するための電流検出用抵抗としての並列抵抗132が並列に接続され、第2の検出回路133が構成されている。第2の模擬回路としての直列コンデンサ131は、オゾン発生器5の電気特性すなわちインピーダンス特性を模擬するためのものであり、この実施の形態ではオゾン発生器5の容量のm倍の容量を有するコンデンサが用いられている。なお、直列コンデンサ131が、この発明における第2の模擬回路及び負荷直列コンデンサ、コンデンサ素子である。また、並列抵抗132及び検出制御回路57がこの発明における異常検出手段である。
【0050】
そして、第2の検出回路133はオゾン発生器5と直列に接続されている。第2の検出回路133をオゾン発生器5と直列に接続した場合は、直列コンデンサ131にはオゾン発生器5とほぼ同じ電流が流れる。従って、直列コンデンサ131をオゾン発生器5の端子電圧の1/m倍の電位差を生じるように、電気的に相似に設計しておけば、正常動作時には常に、オゾン発生器5の両端の電位差の1/mの電圧が直列コンデンサ131の両端に生じることになる。検出制御回路137は、並列抵抗132にて検出された電圧が異常であるとき、オゾン発生器5に短絡や断線等の異常が発生したとして、インバータ2を停止するとともに、警報を発する。
【0051】
ところで、実施の形態1における図1のようにオゾン発生器5に並列に第1の検出回路13を設ける場合は、オゾン発生器5と第1の検出回路13とは印加される電圧が共通である。また、この実施の形態における図13のようにオゾン発生器5に第2の検出回路133を直列に設ける場合は、オゾン発生器5と電流が共通になる。並列コンデンサ11あるいは直列コンデンサ131は、通常はオゾン発生器5に比し消費電力が十分に小さくなるように設計される。従って、オゾン発生器5に印加される電力が高電圧、大電流である場合、図1の場合は並列コンデンサ11は高電圧で微小な電流が流れ並列回路CT12が当該電流を検出することになる。図13の場合は、直列コンデンサ131には大電流が流れ、並列抵抗132が微小な電位差を検出することになる。どちらのほうが回路的にメリットがあるかを検討して構成を選択する。
【0052】
例えば負荷がオゾン発生器5であった場合、まさに高電圧、大電流であるが、模擬回路として一般には、大電流で低耐圧の回路よりは、高耐圧で小電流の回路のほうが構成しやすい。従って、負荷がオゾン発生器5である場合は、実施の形態1〜10で説明したようなオゾン発生器5に並列に検出用の並列コンデンサ11等の模擬回路を設ける方が一般的といえる。
【0053】
実施の形態12.
図14及び図15は、実施の形態12を示すものであり、図14は負荷の異常検出装置の構成を示す構成図、図15は動作を説明するための波形図である。図1に示したようなオゾン発生器5に並列に並列コンデンサ11を設ける場合は電圧変動を感度よく検出できるのに対して、実施の形態11(図13)のようにオゾン発生器5に直列に直列コンデンサ131を設けてその電圧を検出する場合は、直列コンデンサ131は電流の偏りを検出することになる。
【0054】
従って、実施の形態1の並列コンデンサ11による検出を補完するような効果も得ることができる。すなわち、実施の形態1で述べたオゾン発生器5に並列に並列コンデンサ11(第1の検出回路13)を接続する方法では、オゾン発生器5の端子電圧Vf(図2(a)参照)の尖頭値付近で短絡が発生した場合には十分なS/N比の信号が得られるが、オゾン発生器5の端子電圧が低いとき(このときはオゾン発生器5の電流が大きい)に短絡が発生した場合には、端子電圧が殆ど低下しないので、検出が困難である。短絡の発生原因は電気的な絶縁破壊が主であり、電圧が高い場合に生じやすいため、このような検出でもある程度の目的は達成できるが、できるならばこれを補完するような検出方法が望まれる。
【0055】
図14の負荷の異常検出装置はこのような要請に応えるものである。図14において、オゾン発生器5に並列に第1の検出回路13を設けて第2の模擬回路としての並列コンデンサ11の電流を検出すると同時に、オゾン発生器5に直列に第2の検出回路133を設けて第2の模擬回路及び負荷直列コンデンサとしての直列コンデンサ131の両端の電圧を並列抵抗132により検出し、検出制御回路147により監視する。なお、並列回路CT12、並列抵抗132及び検出制御回路147がこの発明における異常検出手段である。検出制御回路147は、並列回路CT12にて検出した電流及び並列抵抗132にて検出された電圧のうちの少なくとも一方が所定の値を超えたとき、オゾン発生器5に短絡や断線等の異常が発生したとして、インバータ2を停止するとともに、警報を発する。
【0056】
この場合、直列コンデンサ131への電流の積分値、つまり電流の偏り(直流成分)を測定していることと等価になる。ここで、この直列コンデンサ131の容量はオゾン発生器5の等価的な静電容量よりも十分に大きな容量である必要がある。十分に大きくないと直列の直列コンデンサ131の両端に大きな電圧が印加されてしまい、回路として発生させる電圧が高くなる。一方、あまりに大きな容量の直列コンデンサ131を用いると、直列コンデンサ131の端子電圧が小さくなり、S/N比が悪くなる。
【0057】
図15はこの第2の検出回路133の動作を示したものである。この図15では図2とは異なり、図15(a)における、オゾン発生器5の端子電圧Vfがゼロに近い時間である、時間t1において短絡が発生した場合を考える。この場合、図15(b)の並列コンデンサ電流Jpcに示すようにオゾン発生器5に並列な並列コンデンサ11への電流を検出する並列回路CT12には検出信号は得られない。一方、図15(c)の直列コンデンサ電圧Vsc(直列コンデンサ131の電圧)は、短絡発生(時間t1)後に値が大きくなり、検出が可能である。このように、オゾン発生器5に直列な直列コンデンサ131を設けてその電圧を測定することにより、オゾン発生器5に並列な並列コンデンサ11の電流による検出を補完することができ、どのような位相で短絡が発生しても迅速かつ確実に感度良く検出が可能になる。
【0058】
実施の形態13.
図16は、実施の形態13である負荷の異常検出装置の構成を示す構成図である。図16において、負荷の異常検出装置は、負荷電圧検出用抵抗としての主回路電圧検出器161、乗算手段としての乗算器162、減算器163、検出制御回路167を有する。図16ではオゾン発生器5の第2の模擬回路としてオゾン発生器5の容量のm(mは1よりも大きい所定の定数)倍の容量を有する直列コンデンサ131をオゾン発生器5と直列に接続し、オゾン発生器5の端子電圧を主回路電圧検出器161にて検出し、直列コンデンサ131の端子電圧を並列抵抗132で検出し、並列抵抗132で検出した電圧信号を乗算器162にてmで除算して減算器163に入力する。減算器163では、主回路電圧検出器161の出力信号と乗算器162の出力信号の差δ3を求め、検出制御回路167へ出力する。検出制御回路167は、減算器163からの差信号が所定の範囲から逸脱したとき、オゾン発生器5に短絡や断線等の異常が発生したとして、インバータ2を停止するとともに、警報を発する。なお、並列抵抗132、主回路電圧検出器161、乗算器162、減算器163、検出制御回路167がこの発明における異常検出手段である。
【0059】
以上のように、オゾン発生器5に並列に第1の模擬回路を設けるものを実施の形態1〜11に示した。また、オゾン発生器5に直列に第2の模擬回路を設けるものについて、実施の形態11〜13に示した。これらの組み合わせを適宜行うことにより、より多様な負荷に適用して、確実かつ迅速な故障の検出が可能である。最初にも述べたように、本発明の適用先として、オゾン発生器(オゾナイザ)が考えられる。オゾン発生器は多数の放電管(発生管)を並列に接続した構成をしており、その一部が破損した場合は何らかの方法で検出しなければならない。またオゾン発生器の駆動は、大電流、高電圧、高周波であり、通常は異常の検出が難しく、本発明を適用することで、正確で迅速なオゾン発生器5の異常検出が可能となる。なお、負荷として、オゾン発生器5に限らず、無声放電を行う機器のほか、さまざまな負荷に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 直流電源、2 インバータ、5 オゾン発生器、11 並列コンデンサ、
12 直列抵抗、13 第1の検出回路、17 検出制御回路、22 端子電圧検出器、
24 力率算出手段、27 検出制御回路、31 除算器、36 減算器、
37 検出制御回路、41 直列抵抗、44 除算器、46 減算器、
47 検出制御回路、51 主回路CT、52 二次側抵抗、54 電圧検出器、
57 検出制御回路、61 二次側コンデンサ、71 並列コンデンサ、
72 第2抵抗、73 直列抵抗、81 並列コンデンサ、82 第2コンデンサ、
83 ツェナーダイオード、84 直列抵抗、91 並列コンデンサ、
92 第2コンデンサ、93 ツェナーダイオード、94 直列抵抗、
101 並列コンデンサ、102 第2コンデンサ、103 単相全波整流回路、
104 直流定電圧源、105 直列抵抗、131 直列コンデンサ、
132 並列抵抗、133 第2の検出回路、137 検出制御回路、
147 検出制御回路、161 主回路電圧検出器、162 乗算器、
163 減算器、167 検出制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧によって駆動される容量性の負荷の異常検出装置であって、模擬回路装置と異常検出手段とを備え、
上記模擬回路装置は、第1と第2の模擬回路の少なくとも一方を有するものであって、上記第1の模擬回路は上記負荷に並列に接続され上記負荷の電気的特性を模擬するものであり、上記第2の模擬回路は上記負荷に直列に接続され上記負荷の電気的特性を模擬するものであり、
上記異常検出手段は、上記第1の模擬回路に流れる電流及び上記第2の模擬回路に発生する電圧の少なくとも一方に基づき負荷の異常を検出するものである
負荷の異常検出装置。
【請求項2】
上記模擬回路装置は、第1の模擬回路を有するものであり、
上記異常検出手段は、上記負荷の電流を検出する負荷電流検出手段と、上記負荷の電圧を検出する負荷電圧検出手段と、上記負荷の電流及び電圧に基づき上記負荷の力率を求める力率算出手段とを有するものであって、上記第1の模擬回路に流れる電流及び上記力率に基づき上記負荷の異常を検出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項3】
上記模擬回路装置は、第1の模擬回路を有するものであり、
上記第1の模擬回路は、上記負荷に並列に接続されるコンデンサを有するものであり、
上記異常検出手段は、上記コンデンサに流れる電流に基づき上記負荷の異常を検出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項4】
上記模擬回路装置は、第1の模擬回路を有するものであり、
上記第1の模擬回路は、コンデンサと電流検出用抵抗とが直列に接続された直列回路を有し、上記直列回路が上記負荷に並列に接続されるものであり、
上記異常検出手段は、上記電流検出用抵抗の電圧に基づき上記負荷の異常を検出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項5】
上記模擬回路装置は、第1の模擬回路を有するものであり、
上記第1の模擬回路は、上記コンデンサの静電容量が上記負荷の静電容量の1/k(kは1より大きい定数)であり、
上記異常検出手段は、上記負荷の電流を検出する負荷電流検出手段と、上記負荷の電流を上記定数kで除算して除算値を求める除算手段とを有するものであって、上記コンデンサを流れる電流と上記除算値との差に基づいて上記負荷の異常を検出するものである
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項6】
上記模擬回路装置は、第1の模擬回路を有するものであり、
上記第1の模擬回路は、第1及び第2のコンデンサが直列に接続されたコンデンサ回路と、上記コンデンサ回路に直列に接続された電流検出用抵抗と、上記第2のコンデンサに並列に接続された電圧制限手段とを有し、上記コンデンサ回路が上記電流検出用抵抗を介して上記負荷に並列に接続されるものであり、
上記異常検出手段は、上記電流検出用抵抗の電圧に基づき上記負荷の異常を検出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項7】
上記模擬回路装置は、第1の模擬回路を有するものであり、
上記第1の模擬回路は、第1及び第2のコンデンサが直列に接続されたコンデンサ回路と、上記コンデンサ回路に直列に接続された電流検出用抵抗と、上記第2のコンデンサに並列に接続された単相全波整流回路とを有し、上記コンデンサ回路が上記電流検出用抵抗を介して上記負荷に並列に接続されるものであり、
上記異常検出手段は、上記電流検出用抵抗の電圧に基づき上記負荷の異常を検出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項8】
上記異常検出手段は、上記負荷の電流を検出するためのものであって一次側巻線と二次側巻線との巻数比が1:n(nは整数)である変流器と、上記二次側巻線に並列に接続され上記二次側巻線に流れる電流に応じた電圧を発生する抵抗値がRsである二次側抵抗とを有するものであって、上記第1の模擬回路の上記電流検出用抵抗は上記二次側抵抗の抵抗値Rsに対して所定の倍数の抵抗値を有するようにされたものであって、上記電流検出用抵抗の電圧及び上記二次側抵抗の電圧に基づき上記負荷の異常を検出するものである
ことを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項9】
上記異常検出手段は、上記二次側抵抗と並列に接続された二次側コンデンサを有するものである
ことを特徴とする請求項8に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項10】
上記模擬回路装置は、第2の模擬回路を有するものであり、
上記第2の模擬回路は、上記負荷に直列に接続される負荷直列コンデンサを有するものであり、
上記異常検出手段は、上記負荷直列コンデンサに発生する電圧に基づき上記負荷の異常を検出するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項11】
上記第2の模擬回路は、上記負荷直列コンデンサの静電容量が上記負荷の静電容量のm倍(mは1より大きい定数)であり、
上記異常検出手段は、上記負荷の電圧を検出する負荷電圧検出手段と、上記負荷の電圧を上記定数mで乗じて乗算値を求める乗算手段とを有するものであって、上記負荷直列コンデンサの電圧と上記除算値との差に基づいて上記負荷の異常を検出するものである
ことを特徴とする請求項10に記載の負荷の異常検出装置。
【請求項12】
上記負荷がオゾン発生器である
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の負荷の異常検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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