説明

負荷駆動装置および洗濯機

【課題】制御回路を確実にリセット状態にし、電源の再投入を確実に行なう。
【解決手段】本実施形態は、電源入りスイッチが閉成により交流電源が供給されて駆動直流電源を生成する直流電源回路と、駆動直流電源から制御直流電源を生成する制御電源回路と、前記駆動直流電源を基に負荷を駆動する駆動回路と、前記制御直流電源が供給され、動作状態になると前記駆動回路を介して負荷の駆動を制御する制御回路と、前記電源入りスイッチに並列に接続され、該制御回路が動作状態になると閉成動作され、電源切りスイッチが操作されると開放復帰される常開形のスイッチ手段と、前記電源入りスイッチに直列に接続され、前記スイッチ手段の閉成動作と同時に若しくはこれより遅れて開放動作し、前記制御回路が制御直流電源の喪失によりリセット状態になった後に閉成復帰する常閉形のスイッチ手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、負荷駆動装置およびこの負荷駆動装置を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機例えば全自動洗濯機においては、外箱内に水受槽が弾性支持され、この水受槽内に洗濯物が投入される洗濯槽兼脱水槽の回転槽が配設され、この回転槽内に撹拌体が配設されている。更に、水受槽の底部外面側には、負荷としての洗濯機モータを有する駆動機構部が配設され、洗濯機モータの駆動に基づき、洗濯運転の洗い、すすぎ運転時には、撹拌体を低速度で回転させ、洗濯運転の脱水運転時には、回転槽を高速度で回転させるようになっている。
【0003】
そして、全自動洗濯機においては、洗濯機モータを洗濯運転時に駆動制御するために、負荷駆動装置が設けられている。この負荷駆動装置は、電源入りスイッチが閉成されることにより交流電源が供給されて駆動直流電源を生成する整流回路および平滑コンデンサを有する直流電源回路と、この直流電源回路の駆動直流電源が供給されて制御直流電源を生成する制御電源回路と、前記直流電源回路の駆動直流電源を基に洗濯機モータを駆動する駆動回路と、前記制御電源回路の制御直流電源が供給され、動作状態なると前記駆動回路を介して前記洗濯機モータの駆動を制御するマイクロコンピュータを主体とする制御回路と、前記電源入りスイッチに並列に接続される常開形のリレースイッチを有し、前記制御回路により制御されて、該制御回路が動作状態になると動作して前記リレースイッチを閉成させ、電源切りスイッチが操作されると復帰して前記リレースイッチを開放させるリレーとを備えた構成されている。
【0004】
すなわち、負荷制御装置は、電源入りスイッチが閉成操作されて直流電源回路の駆動直流電源が立ち上がり、これに応じて制御電源回路の制御直流電源が立ち上がって制御回路が動作状態になると、リレーを操作させてリレースイッチを閉成させることによりその後に電源入りスイッチが開放されても直流電源回路への交流電源の供給を継続させるようにし、以て、電源の投入が完了する。その後、電源切りスイッチが操作されると、制御回路は、リレーを復帰させてリレースイッチを開放させることにより、直流電源回路への交流電源の供給を断つようになる。この結果、直流電源回路の平滑用コンデンサが放電して駆動直流電源が喪失し、これにともなって制御電源回路の制御直流電源が喪失して制御回路のリセット電圧以下になると、制御回路がリセット状態になって、次の電源入りスイッチの閉成操作による電源の再投入が可能になる。
【0005】
ところが、上記構成では、電源切りスイッチが操作されても、直流電源回路の平滑用コンデンサが放電して制御電源回路の制御直流電源が喪失して制御回路がリセット状態になるまでには若干の時間がかかるので、この間に使用者が電源入りスイッチを閉成操作すると、直流電源回路に交流電源が供給されて該直流電源回路の平滑用コンデンサに充電が行われるようになり、制御回路がリセットされず、電源の再投入ができなくなる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−23479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、制御回路を確実にリセット状態にすることができて、電源の再投入を確実に行なうことができる負荷駆動装置およびこの負荷駆動装置を備えた洗濯機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の負荷駆動装置は、操作されている間中閉成する電源入りスイッチと、電源切りスイッチと、前記電源入りスイッチが閉成されることにより交流電源が供給されて駆動直流電源を生成する整流回路および平滑コンデンサを有する直流電源回路と、この直流電源回路の駆動直流電源が供給されて制御直流電源を生成する制御電源回路と、前記直流電源回路の駆動直流電源を基に負荷を駆動する駆動回路と、前記制御電源回路の制御直流電源が供給され、動作状態になると前記駆動回路を介して前記負荷の駆動を制御する制御回路と、前記電源入りスイッチに並列に接続され、前記制御回路により制御されて、該制御回路が動作状態になると閉成動作され、前記電源切りスイッチが操作されると開放復帰される常開形のスイッチ手段と、前記電源入りスイッチに直列に接続され、前記スイッチ手段の閉成動作と同時に若しくはこれより遅れて開放動作し、前記制御回路が制御直流電源の喪失によりリセット状態になった後に閉成復帰する常閉形のスイッチ手段とを具備してなる。
本実施形態の洗濯機は、上述した負荷駆動装置を備え、負荷は洗濯機モータなどの洗濯機負荷であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態を示す負荷駆動装置の電気的構成図
【図2】全自動洗濯機全体の概略構造を示す縦断側面図
【図3】電源入りスイッチの操作時の作用説明図
【図4】電源切りスイッチの操作時の作用説明図
【図5】第2の実施形態を示す図1相当図
【図6】第3の実施形態を示す作用説明図
【図7】第4の実施形態を示す図6相当図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、全自動洗濯機に適用した複数の実施形態について図面を参照して説明するに、各実施形態において、同一部分には同一符号を付して示す。
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態につき、図1ないし図4を参照して説明する。
まず、全自動洗濯機全体の概略構成を示す図2において、外郭を形成する中空箱状の筐体1内には、後述する回転槽4および水受槽5を備えている。筐体1は、外箱2と、この外箱2の上面を覆うように被着されたトップカバー3とから構成されている。
【0011】
前記トップカバー3には、中央部に洗濯物出入口6が形成されていて、該洗濯物出入口6を開閉する例えば二つ折りの洗濯蓋7が回動可能に取り付けられている。このトップカバー3の前方外面には操作パネル8が設けられ、その下面部には制御回路9が設けられている。制御回路9は、図示しないCPU、ROM、RAM、駆動回路および周辺回路など備えたマイクロコンピュータを主体として構成されており、洗濯運転全般を制御する機能を有する。
【0012】
これに対し、トップカバー3の後方部には、大きく隆起した空間をなす機構室3aが形成されていて、その内部に図示しない水道の蛇口に接続される洗濯機負荷としての給水弁10、図示しないが柔軟仕上剤等を供給すべくセット可能な給水ケース11、および給水パイプ12を有する構成にされ、該給水パイプ12の先端部は前記水受槽5内に連通接続されている。
【0013】
一方、外箱2内には、前記水受槽5が吊り棒機構13を介して弾性的に支持されている。すなわち、外箱2は四角箱状をなし、その四隅部の上部から夫々吊り棒13aが揺動可能に垂下されるとともに、各吊り棒13aの下端部に弾性部材としてコイルばね13bが装着され、該コイルばね13bを介して水受槽5が吊持される。
【0014】
水受槽5は、上面を開放した有底円筒状をなし、この底部の外面側には、負荷すなわち洗濯機負荷としての洗濯機モータ14(図1参照)を主体とする駆動機構部15が取り付けられるとともに、水受槽5から排水するための洗濯機負荷としても排水弁16および排水ホース17が配設されている。
【0015】
また、水受槽5の上端部には、その上面を覆うように円盤状をなす水受槽カバー18が嵌合するように被着されている。この水受槽カバー18は、後部に内外を連通した給水パイプ接続口19を有していて、該接続口19には前記給水パイプ12が接続されている。この給水パイプ接続口19の裏面側には、これと対向する位置に給水ガイド部材20が一体的に設けられ、例えば給水をシャワー状に槽内方側に指向して供給可能としている。また、水受槽カバー18の中央側には、洗濯物出し入れ用の開口18aを有し、この開口18aを開閉する内蓋21が回動可能に設けられている。
【0016】
洗濯槽兼脱水槽の回転槽4は、前記水受槽5の内部に回転可能に設けられており、水受槽5と同様に有底円筒状をなし、周壁に多数の透孔4aや凸部4bが設けられており、上端開口部には液体バランサ22が取り付け固定されている。回転槽4の底部中央には、前記駆動機構部15から延出されて水受槽5の底部を貫通して突出した中空筒状の脱水軸23が連結されている。この脱水軸23の中空部分には、洗濯軸24が挿通され、その上端部に回転槽4の内底部に配置した撹拌体25が連結固定されている。
【0017】
ところで、駆動機構部15には、洗い、すすぎ運転と脱水運転における回転伝達を切り換えるクラッチ機構(図示せず)を具備しており、制御回路9は、後述するインバータ回路38を介して洗濯機モータ14を、洗い、すすぎ運転時には低速度で正逆回転させ、脱水運転時には高速度で一方向に回転させるようになっている。クラッチ機構は、洗濯機モータ14の回転を、洗い、すすぎ運転時に洗濯軸24に伝達して撹拌体25を低速度で正逆回転させ、脱水運転時には脱水軸23に伝達して回転槽4を高速度で一方向に回転させる。
【0018】
そして、前記トップカバー3の機構室3aに設けられた安全レバー装置26は、詳細な説明は省略するが、外箱2内に垂下する安全レバー27を具備している。この安全レバー27は、水受槽5の外側面と上下方向にラップする位置まで垂下され、且つ、径方向に所定の間隙を介して対峙するとともに揺動可能に設けられている。したがって、水受槽5が振動により所定の間隙よりも外方への揺れが大きくなったとき、水受槽5の外側面が安全レバー27に当接するように、該安全レバー27の所定位置が定められている。なお、当接した場合には、安全レバー27の動作変位を受けて安全レバー装置26が具備するスイッチ機能(図示しない)が応答し、つまり振動検知手段として機能するもので、この検知結果は前記制御回路9に入力されるようにしている。制御回路9は、このときには脱水運転を停止させる。
【0019】
次に、洗濯機モータ14を駆動制御する負荷駆動装置について、図1を参照して説明する。
直流電源回路28は、整流回路としての4個のダイオードをブリッジ接続してなる全波整流回路29と、この全波整流回路29の直流出力端子に接続された直流電源線30、31と、これらの直流電源線30、31間に直列に接続された平滑用コンデンサ32、33とを備えている。なお、直流電源線31は、グランド(GND)に接続されている。そして、全波整流回路29において、一方の交流入力端子は、差込プラグ34の一方の端子に接続され、他方の交流入力端子は、前記平滑用コンデンサ32、33の共通接続点に接続されているとともに、第1のリレー35の常開形のスイッチ手段たる常開形のリレースイッチ35aを介して差込プラグ34の他方の端子に接続されている。
【0020】
更に、リレースイッチ35aに並列に、電源入りスイッチ36と第2のリレー37の常閉形のスイッチ手段たる常閉形のリレースイッチ37bとの直列回路が接続されている。したがって、第1のリレー35の常開形のリレースイッチ35aは、電源入りスイッチ36に並列に接続され、第2のリレー37の常閉形のリレースイッチ37bは、電源入りスイッチ36に直列に接続された形態になる。この場合、前記電源入りスイッチ36は、押釦スイッチから構成され、操作されている間中閉成されるようになっている。前記リレー35、37は、励磁コイル35C、37Cを有するものであるが、これらの励磁コイル35C、37Cについては後述する。
【0021】
前記差込プラグ34は、交流電源たる100V(ボルト)の商用電源が供給された図示しないコンセントに差し込み接続されるようになっている。したがって、後述するようして直流電源回路28に100Vの商用電源が供給されると、直流電源回路28は、倍電圧整流回路として作用してEaV(例えば282V)の駆動直流電源を生成して直流電源線30、31間に発生させる。
【0022】
駆動回路としてのインバータ回路38は、図示はしないが6個の半導体スイッチング素子たるIGBTを3相ブリッジ接続して構成されたもので、その直流入力端子は、直流電源線30、31に接続され、3相の交流出力端子は、前記洗濯機モータ14の入力端子に接続されている。洗濯機モータ14は、アウタロータ形の3相のブラシレスモータから構成されている。
【0023】
制御電源回路39おいて、直流入力端子は、前記直流電源線30、31に接続され、3つの直流出力端子は、制御電源線40、41、42に接続されている。制御電源回路39は、直流入力端子に与えられるEaVの駆動直流電源を降圧して、EbV(例えば15V)の制御直流電源を生成して制御電源線40、42間に発生させるとともに、EcV(例えば3.3V)の制御直流電源を生成して制御電源線41、42間に発生させる。なお、制御電源線42は、グランド(GND)に接続されている。
【0024】
前記制御回路9の電源入力端子は、制御電源線40、41、42に接続されている。この場合、制御回路9において、制御電源線41、42間のEcVの制御直流電源は、マイクロコンピュータに与えられ、制御電源線40、42間のEbVの制御直流電源は、その他の周辺回路に与えられる。なお、制御回路9の入力端子には、電源切りスイッチ43が接続されている。この電源切りスイッチ43は、押釦スイッチから構成されており、操作されている間中閉成する。また、制御回路9は、その出力端子が洗濯機負荷としての給水弁10および排水弁16に接続されていて、これらを制御するようになっている。
【0025】
また、制御回路9において、1つの制御端子は、第1のリレー35の励磁コイル35Cの一方の端子に接続され、他の制御端子は、第2のリレー37の励磁コイル37Cの一方の端子に接続されており、励磁コイル35C、37Cの他方の端子はグランド(GND)に接続されている。制御回路9は、制御スイッチ44を備えており、この制御スイッチ44は、放電用抵抗器45を直列に介して直流電源線30、31間に接続されている。
【0026】
そして、制御回路9は、制御電源線41、42間の制御直流電源が与えられて動作状態になって初期化されると、制御電源線40、41間の制御直流電源による第1のリレー35の励磁コイル35Cの通電回路を形成して第1のリレー35を動作させ(常開形のリレースイッチ35aが閉成する。)、これより若干遅れて制御電源線40、41間の制御直流電源による第2のリレー37の励磁コイル37Cの通電回路を形成して第2のリレー37を動作させる(常閉形のリレースイッチ37bが開放する。)。この場合、第2のリレー37は、制御電源線40、41間の制御直流電源による自己保持回路を形成する。なお、第2のリレー37の動作は、第1のリレー35の動作と同時点であってもよい。
【0027】
また、制御回路9は、電源切りスイッチ43が操作されると、第1のリレー35の励磁コイル35Cの通電回路を切って第1のリレー35を復帰させ(常開形のリレースイッチ35aが開放する。)、制御スイッチ44を閉成させる。その後、制御電源線40、41間の制御直流電源の喪失により制御回路9がリセット状態になると、制御スイッチ44は自動的に開放するようになる。但し、制御電源線40、41間の制御直流電源による自己保持回路が形成される第2のリレー37は、制御回路9がリセット状態になってから若干遅れて復帰するようにその復帰電圧が設定されている。したがって、第2のリレー37は、制御回路9がリセット状態になってから若干遅れて復帰する(常閉形のリレースイッチ37bが開放する。)。この第2のリレー37の復帰電圧の設定が、復帰遅れの遅延手段に相当する。
【0028】
第1の実施形態の作用につき、図3および図4をも参照して説明する。
負荷駆動装置に電源が投入されていない洗濯運転停止状態のときには、図1に示すように、電源入りスイッチ36、電源切りスイッチ43は開放しており、第1のリレー35は復帰していて常開形のリレースイッチ35aを開放し、第2のリレー37が復帰していて常閉形のリレースイッチ37bを閉成している。
【0029】
今、図3(a)に示すように、使用者が電源入りスイッチ36を操作して閉成させると、電源入りスイッチ36およびリレースイッチ37bを介して直流電源回路28に100Vの商用電源が供給され、これが全波整流回路29により全波整流され且つ平滑用コンデンサ32、33により平滑されてEaV(例えば282V)の駆動直流電源が生成されて直流電源線30、31間に発生する。制御電源回路39は、この駆動直流電源を基に、制御電源線40、42間にEbV(例えば15V)の制御直流電源を発生させるとともに、制御電源線41、42間にEcV(例えば3.3V)の制御直流電源源を発生させる。
【0030】
制御電源線41、42間の制御直流電源の電圧が制御回路9の動作電圧になると、該制御回路9が動作状態になって初期化される。これにより、制御回路9は、第1のリレー35の制御電源線40、42間の制御直流電源による励磁コイル35Cの通電回路を形成して第1のリレー35を動作させるようになり、図3(b)に示すように、リレースイッチ35aを閉成させる。したがって、その後に電源入りスイッチ36が開放されても、このリレースイッチ35aにより直流電源回路28への商用電源の供給が続行されるようになり、電源の投入が完了する。
【0031】
制御回路9は、第1のリレー35を動作させた後若干遅れて第2のリレー37の制御電源線40、42間の制御直流電源による励磁コイル37Cの通電回路を形成して第2のリレー37動作させ、図3(c)に示すように、リレースイッチ37bを開放させる。この場合、第2のリレー37は制御電源線40、41間の制御直流電源による自己保持回路を形成する。したがって、第2のリレー37は、制御電源線40、41間の制御直流電源の電圧が復帰電圧に下がるまで動作を継続する。
【0032】
なお、制御回路9は、操作パネル8に設けられたスタートスイッチが操作されると、ROMに記憶された制御プログラムに基づいて、洗い運転、すすぎ運転および脱水運転からなる洗濯運転を実行するが、詳細な説明は省略する。
【0033】
図4(a)(図3(c)と同じ)に示すように、第1のリレー35のリレースイッチ35aにより直流電源回路28に商用電源が供給されている状態において、使用者により電源切りスイッチ43が操作されて閉成されたときには、制御回路9は、第1のリレー35の励磁コイル35Cの通電回路を切って第1のリレー35を復帰させ、図4(b)に示すように、リレースイッチ35aを開放させ、同時に制御スイッチ44を閉成させる。このリレースイッチ35aの開放により、直流電源回路28に対する商用電源の供給が断たれ、制御スイッチ44の閉成により直流電源回路28の平滑用コンデンサ32、33の放電用抵抗器45を通る放電回路が形成され、平滑用コンデンサ32、33が強制的に放電される。
【0034】
平滑用コンデンサ32、33の放電により直流電源線30、31間の駆動直流電源の電圧が下降するが、この駆動直流電源から生成される制御電源線40、42間および41、42間の制御直流電源の電圧も下降する。制御電源線41、42間の制御直流電源の電圧が制御回路9のリセット電圧まで下降すると、該制御回路9はリセット状態になり、制御スイッチ44が開放復帰する。その後、制御電源線40、42間の制御直流電源の電圧が第2のリレー37の復帰電圧まで下降すると、第2のリレー37が復帰し、図4(c)に示すように、リレースイッチ37bを閉成復帰させる。
【0035】
したがって、直流電源回路28に対する商用電源の供給が断たれても、制御回路9がリセット状態になっていない図4(b)の状態では、第2のリレー37のリレースイッチ37bが開放しているので、使用者が電源入りスイッチ36を操作して閉成させても商用電電が直流電源回路28に供給されることはなく、直流電源回路28の平滑用コンデンサ32、33が充電されることがなくて、制御回路9を確実にリセット状態にすることができる。
【0036】
以上のように、第1の実施形態によれば、直流電源回路28に商用電源を供給するための電源入りスイッチ36に並列に、制御回路9が動作状態になったときに動作され電源切りスイッチ43が操作されたときに復帰される第1のリレー35の常開形のリレースイッチ35aを接続するとともに、電源入りスイッチ36に直列に、第1のリレー35の動作より若干遅れて動作され制御回路9がリセット状態になってから若干遅れて復帰する第2のリレー37の常閉形のリレースイッチ37bを接続するようにしたので、制御回路9が制御直流電源の喪失によりリセット状態になる前に電源入りスイッチ36が操作閉成されても、直流電源回路28に商用電源が供給されることはなく、制御回路9を確実にリセット状態にすることができ、したがって、直流電源回路28に商用電源を確実に再投入することができる。
また、制御回路9により第1のリレー35の動作、復帰および第2のリレー37の動作を制御するようにしたので、リレースイッチ35aの閉成、開放およびリレースイッチ37bの開放のタイミングを正確にすることができて、確実な制御を行なうことができる。
【0037】
更に、第1のリレー35のリレースイッチ35aの開放により直流電源回路28への商用電源の供給を断ったときには、制御スイッチ44の閉成により平滑用コンデンサ32、33の放電回路を形成するようにしたので、制御直流電源を速やかに喪失させて制御回路9を迅速にリセット状態にすることができる。また、第2のリレー37が制御回路9のリセット状態から若干遅れて復帰するための遅延手段として第2のリレー37の復帰電圧の設定を行なうようにしたので、その分だけ、制御回路9の負担を軽くすることができる。
【0038】
(第2の実施形態)
図5は第2の実施形態を示す。
この第2の実施形態において第1の実施形態と異なるところは、第2のリレー37の代わりに第2のリレー46が用いられている。この第2のリレー46は、リレースイッチ37bの代わりに常閉形のスイッチ手段としての常閉形のリレースイッチ46bを有し、このリレースイッチ46bは、電源入りスイッチ36に直列に接続されている。第2のリレー46は、励磁コイル37Cの代わりに励磁コイル46Cを有する。この励磁コイル46Cにおいて、一方の端子は、逆流阻止用ダイオード47を介して制御電源線40に接続され、他方の端子は、グランド(GND)に接続されている。そして、励磁コイル46Cに並列に遅延手段としてのバックアップコンデンサ48が接続されている。
【0039】
しかして、電源入りスイッチ36の閉成により直流電源回路28に商用電源が供給されて直流電源線30、31間にEaVの駆動直流電源が発生し、これに応じて制御電源線40、42間にEbVの制御直流電源および制御電源線41、42間にEcVの制御直流電源が発生する。この場合、制御回路9が動作状態になって第1のリレー35を動作させても、第2のリレー46の励磁コイル46Cに対する印加電圧は、バックアップコンデンサ48が充電を完了するまで動作電圧まで上昇しない。その後、励磁コイル46Cに対する印加電圧が動作電圧になると、第2のリレー46が動作して常閉形のリレースイッチ46bを開放させる。
【0040】
第1のリレー35が復帰されてリレースイッチ35aが開放されて、直流電源回路28に対する商用電源の供給が断たれたときには、制御電源線41、42間の制御直流電源の喪失により制御回路9がリセット状態になってもバックアップコンデンサ48の放電が進行するまで第2のリレー46は動作を継続する。その後、バックアップコンデンサ48の放電が進行して励磁コイル46Cの印加電圧が復帰電圧になると、第2のリレー46が復帰してリレースイッチ46bを閉成させる。
このような、第2の実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果が得られ、特に、第2のリレー46は制御回路9の制御を全く受けないので、それだけ制御回路9の負担を軽減することができる。
【0041】
(第3の実施形態)
図6は第3の実施形態を示す。
この第3の実施形態では、電源入りスイッチ36とリレースイッチ37bとの直列回路に直列に抵抗器49が接続されている。したがって、リレースイッチ35aは、電源入りスイッチ36、リレースイッチ37bおよび抵抗器49の直列回路に並列に接続された形態になっている。
【0042】
この第3の実施形態によれば、電源入りスイッチ36の閉成時の突入電流を抑制することができる。
なお、リレースイッチ37bの代わりにリレースイッチ46bを接続するようにしてもよい。
【0043】
(第4の実施形態)
図7は第4の実施形態を示す。
この第4の実施形態では、第1のリレー35の代わりに常開形のスイッチ手段として半導体スイッチング素子例えば双方向性3端子サイリスタ(トライアック)50が用いられ、この双方向性3端子サイリスタ50が電源入りスイッチ36とリレースイッチ37bとの直列回路に並列接続されている。そして、双方向性3端子サイリスタ50のゲートには、制御回路9(図1参照)から第1のリレー35の動作タイミングでゲート信号が与えられ、第1のリレー35の復帰タイミングでゲート信号が与えられなくなる。
【0044】
この第4の実施形態によれば、リレースイッチ35aのようなチャタリングを防止できて動作信頼性の向上を図ることができる。
なお、リレースイッチ37bの代わりにリレースイッチ46bを接続するようにしてもよい。
【0045】
(その他の実施形態)
第2の実施形態においては、第2のリレー46を用いるようにしたが、代わりに、第2のリレーとして限時動作限時復帰形のリレーを用い、その常閉形のリレースイッチを電源入りスイッチ36に直列に接続するようにしてもよい。この場合、逆流阻止用ダイオード47およびバックアップコンデンサ48は不要であり、リレーの限時復帰特性が遅延手段に相当する。
上記実施形態は、全自動洗濯機に適用した場合であるが、これに限らず、ドラム式洗濯乾燥機など洗濯機全般に適用することができ、更には、洗濯機に限らず、電気機器全般の負荷駆動装置に適用することができる。
【0046】
以上のように本実施形態によれば、操作されている間中閉成する電源入りスイッチと、電源切りスイッチと、前記電源入りスイッチが閉成されることにより交流電源が供給されて駆動直流電源を生成する整流回路および平滑コンデンサを有する直流電源回路と、この直流電源回路の駆動直流電源が供給されて制御直流電源を生成する制御電源回路と、前記直流電源回路の駆動直流電源を基に負荷を駆動する駆動回路と、前記制御電源回路の制御直流電源が供給され、動作状態になると前記駆動回路を介して前記負荷の駆動を制御する制御回路と、前記電源入りスイッチに並列に接続され、前記制御回路により制御されて、該制御回路が動作状態になると閉成動作され、前記電源切りスイッチが操作されると開放復帰される常開形のスイッチ手段と、前記電源入りスイッチに直列に接続され、前記スイッチ手段の閉成動作と同時に若しくはこれより遅れて開放動作し、前記制御回路が制御直流電源の喪失によりリセット状態になった後に閉成復帰する常閉形のスイッチ手段とを具備する構成に特徴を有する。このような構成により、制御回路を確実にリセット状態にすることができて、電源の再投入を確実に行なうことができる。
【0047】
以上、いくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は筐体、4は回転槽、5は水受槽、9は制御回路、14は洗濯機モータ(負荷、洗濯機負荷)、15は駆動機構部、28は直流電源回路、29は全波整流回路(整流回路、)、32および33は平滑用コンデンサ、35は第1のリレー、35aは常開形のリレースイッチ(常開形のスイッチ手段)、36は電源入りスイッチ、37は第2のリレー、37bは常閉形のリレースイッチ(常閉形のスイッチ手段)、38はインバータ回路(駆動回路)、39は制御電源回路、43は電源切りスイッチ、44は制御スイッチ、45は放電用抵抗器、46は第2のリレー、46bは常閉形のリレースイッチ(常閉形のスイッチ手段)、48はバックアップコンデンサ、50は双方向性3端子サイリスタ(常開形のスイッチ手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作されている間中閉成する電源入りスイッチと、
電源切りスイッチと、
前記電源入りスイッチが閉成されることにより交流電源が供給されて駆動直流電源を生成する整流回路および平滑コンデンサを有する直流電源回路と、
この直流電源回路の駆動直流電源が供給されて制御直流電源を生成する制御電源回路と、
前記直流電源回路の駆動直流電源を基に負荷を駆動する駆動回路と、
前記制御電源回路の制御直流電源が供給され、動作状態になると前記駆動回路を介して前記負荷の駆動を制御する制御回路と、
前記電源入りスイッチに並列に接続され、前記制御回路により制御されて、該制御回路が動作状態になると閉成動作され、前記電源切りスイッチが操作されると開放復帰される常開形のスイッチ手段と、
前記電源入りスイッチに直列に接続され、前記スイッチ手段の閉成動作と同時に若しくはこれより遅れて開放動作し、前記制御回路が制御直流電源の喪失によりリセット状態になった後に閉成復帰する常閉形のスイッチ手段とを具備してなる負荷駆動装置。
【請求項2】
常閉形のスイッチ手段は、制御回路の制御により開放動作されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の負荷駆動装置。
【請求項3】
常閉形のスイッチ手段が、制御回路がリセット状態になった後に閉成復帰するように、遅延手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の負荷駆動装置。
【請求項4】
遅延手段は、常閉形のスイッチ手段に与えられる制御直流電源のバックアップコンデンサであることを特徴とする請求項3記載の負荷駆動装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の負荷駆動装置を備え、負荷は洗濯機モータなどの洗濯機負荷であることを特徴とする洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−59485(P2013−59485A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199446(P2011−199446)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】