説明

貨幣処理システム

【課題】貨幣処理機で受け付けることができない媒体の管理を容易且つ十分に行う。
【解決手段】投函袋40にはICタグ45が設けられ、ポスト31内にはポスト31内に投函された投函袋40のICタグ45に記憶されたICタグ情報としての個別識別番号を読み取る内部ICタグリーダ50が設けられており、一の取引に関連して投函袋40がポスト31内に投函されると、内部ICタグリーダ50によって投函袋40に設けられたICタグ45の個別識別番号を読み取って、該個別識別番号を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶手段に記憶する関連付制御手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
主に銀行等の金融機関で使用される出納機においては、紙幣や硬貨の入金や出金等の処理時にこれら貨幣の貨幣処理機による自動計数を行うことになるが、貨幣処理機による自動計数ができない小切手や手形等の機械受付不可な媒体については、別途手入力にて金額データ等の必要データの入力操作を行い、媒体を、出納機に付属されたポストへ投入して管理することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−150793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ポストに単に収納するのみでは、貨幣処理機で受け付けることができない媒体の管理が十分とは言えなかった。
【0005】
したがって、本発明は、貨幣処理機で受け付けることができない媒体の管理を容易且つ十分に行うことができる貨幣処理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、貨幣を受け付ける貨幣処理機と、該貨幣処理機に設けられて操作入力が行われる操作入力手段と、前記貨幣処理機で受け付けできない媒体を収納する投函袋と、前記貨幣処理機に設けられて投函された前記投函袋を収納するポストと、前記操作入力手段への操作入力に基づく一の取引に関連して前記貨幣処理機で受け付けた貨幣の取引情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶する記憶手段とを備えた貨幣処理システムであって、前記投函袋にはICタグが設けられ、前記ポスト内には該ポスト内に投函された前記投函袋の前記ICタグに記憶されたICタグ情報としての個別識別番号を読み取る内部ICタグリーダが設けられており、一の取引に関連して前記投函袋が前記ポスト内に投函されると、前記内部ICタグリーダによって前記投函袋に設けられた前記ICタグの個別識別番号を読み取って、該個別識別番号を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて前記記憶手段に記憶する関連付制御手段を有することを特徴としている。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記内部ICタグリーダで前記ポスト内に投函されているすべての前記投函袋の前記ICタグの個別識別番号を読み取って、該個別識別番号と、前記記憶手段に記憶済みの個別識別番号とが一致するか不一致であるかを判定するポスト内確認処理を行うポスト内確認手段を有することを特徴としている。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記内部ICタグリーダとして、前記ポスト内に一の投函袋が投函されると該一の投函袋の前記ICタグの個別識別番号を読み取る個別読取用内部ICタグリーダと、前記ポスト内に投函されているすべての前記投函袋の前記ICタグの個別識別番号を読み取る全体読取用内部ICタグリーダとが別々に設けられていることを特徴としている。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る発明において、前記ポスト内確認手段が、前記ポスト内確認処理で不一致であると判定すると、警告を行う警告手段を有することを特徴としている。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記貨幣処理機から遠隔位置に設けられて、前記媒体の媒体情報の操作入力が行われる媒体情報入力手段と、前記貨幣処理機から遠隔位置に設けられて、前記媒体情報入力手段への入力に基づき前記媒体の媒体情報を前記投函袋の前記ICタグに書き込むICタグライタとを備え、前記内部ICタグリーダは、前記投函袋の前記ICタグから、ICタグ情報としての媒体情報を、個別識別番号に加えて読み取り可能であり、前記関連付制御手段は、一の取引に関連して前記投函袋が前記ポスト内に投函されると、前記内部ICタグリーダによって前記投函袋に設けられた前記ICタグの個別識別番号および媒体情報を読み取って、これら個別識別番号および媒体情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて前記記憶手段に記憶することを特徴としている。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明において、前記貨幣処理機に設けられて、前記操作入力手段への操作入力に基づいて前記投函袋の前記ICタグに記憶された前記媒体の媒体情報を書き換えるICタグライタを有することを特徴としている。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項5または6に係る発明において、前記媒体情報は、少なくとも、前記媒体の種別を表す種別情報と、前記媒体の金額を特定するための金額特定情報とを含むことを特徴としている。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項1乃至7のいずれか一項に係る発明において、前記ポスト外には該ポスト外で前記投函袋の前記ICタグに記憶されたICタグ情報を読み取る外部ICタグリーダが設けられており、前記外部ICタグリーダで前記ポストに投函前の前記投函袋の前記ICタグから読み取ったICタグ情報に異常を検出すると、取引の規制を行う取引規制手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1乃至8のいずれか一項に係る発明において、前記操作入力手段に全回収操作が入力されると、前記内部ICタグリーダで、すべての前記ICタグが検出不可な状態になったか否かを確認する全回収確認手段を有することを特徴としている。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至9のいずれか一項に係る発明において、前記操作入力手段に取引識別番号または個別識別番号を指定した個別回収操作が入力されると、前記内部ICタグリーダで、指定された取引識別番号に対応する個別識別番号または指定された個別識別番号が記憶された前記投函袋の前記ICタグのみが検出不可な状態になったか否かを確認する個別回収確認手段を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、操作入力手段への操作入力に基づく一の取引に関連して貨幣処理機で受け付けた貨幣の取引情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶手段に記憶することになるが、貨幣処理機で受け付けできない媒体については、投函袋に収納されてポストに投函されることになる。このように、当該一の取引に関連して投函袋がポスト内に投函されると、関連付制御手段が、内部ICタグリーダによって投函袋に設けられたICタグの個別識別番号を読み取って、この個別識別番号を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶手段に記憶することになる。これにより、一の取引の取引識別番号に対し貨幣処理機で受け付けた貨幣の取引情報と投函袋のICタグの個別識別番号とが関連付けされて記憶されることになる。よって、ポスト内の媒体がどの取引に対してのものであるかが明確になる。したがって、貨幣処理機で受け付けることができない媒体の管理を容易且つ良好に行うことができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、ポスト内確認手段が、内部ICタグリーダでポスト内に投函されているすべての投函袋のICタグの個別識別番号を読み取って、この個別識別番号と、記憶手段に記憶済みの個別識別番号とが一致するか不一致であるかを判定するポスト内確認処理を行うため、ポスト内の投函袋について、ポストへの投函時のみでなく、常時の監視が可能になる。よって、ポスト内の投函袋の管理がさらに良好になる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、個別読取用内部ICタグリーダによって、ポスト内に一の投函袋が投函されると該一の投函袋のICタグの個別識別番号を読み取ることになり、これとは別の全体読取用内部ICタグリーダによって、ポスト内に投函されているすべての投函袋のICタグの個別識別番号を読み取ることになるため、それぞれの読み取り精度を向上することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、ポスト内確認処理が不一致であるとポスト内確認手段で判定すると、警告手段が警告を行うことになるため、不正等が生じた場合に、これを報知することができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、貨幣処理機から遠隔位置に設けられた媒体情報入力手段への媒体情報の入力に基づいて貨幣処理機から遠隔位置に設けられたICタグライタが媒体情報を投函袋のICタグに書き込むことになり、これにより、操作者が例えば自席でICタグに媒体情報を記憶させることができる。そして、このICタグが設けられた投函袋に貨幣処理機で受け付けることができない媒体が収納されることになる。次に、操作入力手段への操作入力に基づく一の取引に関連して貨幣処理機で受け付けた貨幣の取引情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶手段に記憶することになるが、貨幣処理機で受け付けできない媒体については、上記のように投函袋に収納されてポストに投函されることになる。そして、当該一の取引に関連して投函袋がポスト内に投函されると、関連付制御手段が、内部ICタグリーダによって投函袋に設けられたICタグの個別識別番号および媒体情報を読み取って、これらの個別識別番号および媒体情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶手段に記憶することになる。これにより、一の取引の取引識別番号に対し貨幣処理機で受け付けた貨幣の取引情報と投函袋のICタグの個別識別番号と投函袋内の媒体の媒体情報とが関連付けされて記憶されることになる。よって、ポスト内の媒体がどの取引に対してのものであり、どのような媒体情報を有しているのかが明確になる。したがって、貨幣処理機で受け付けることができない媒体の管理を容易且つさらに良好に行うことができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、貨幣処理機に設けられたICタグライタによって、操作入力手段への操作入力に基づいて投函袋のICタグに記憶された媒体情報を書き換えることができる。したがって、例えば貨幣処理機で受け付けられない汚損貨幣等の媒体が新たに生じる等、媒体に変更があった場合に対応できる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、媒体情報が、少なくとも、媒体の種別を表す種別情報と、媒体の金額を特定するための金額特定情報とを含むため、管理上有効な情報を得ることができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、取引規制手段が、ポスト外の外部ICタグリーダでポストに投函前の投函袋のICタグから読み取ったICタグ情報に異常を検出すると、取引の規制を行うことになるため、例えばICタグ情報に媒体情報が含まれていない場合やICタグの個別識別番号に異常があり正常に読み取れない場合等に、そのまま以後の取引が行われてしまうことを防止できる。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、操作入力手段に全回収操作が入力されると、全回収確認手段が、内部ICタグリーダで、ポスト内のすべてのICタグが検出不可な状態になったか否かを確認するため、例えばポスト内に取り忘れの投函袋が残ってしまうこと等を防止できる。
【0025】
請求項10に係る発明によれば、操作入力手段に取引識別番号または個別識別番号を指定した個別回収操作が入力されると、個別回収確認手段が、内部ICタグリーダで、指定された取引識別番号に対応する個別識別番号または指定された個別識別番号が記憶された投函袋のICタグのみがポスト内で検出不可な状態になったか否かを確認するため、間違った投函袋が取り出されてしまうこと等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムのブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムのパーソナルコンピュータの制御内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの投函袋のICタグのICタグ情報の例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの貨幣処理機の制御内容の一部を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの貨幣処理機の制御内容の一部を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの貨幣処理機の制御内容の一部を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムの貨幣処理機の記憶部の記憶情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態に係る貨幣処理システムを図面を参照して以下に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る貨幣処理システム1を示すものである。この貨幣処理システム1は、銀行等の金融機関の店舗に設置されるもので、貨幣についての入出金処理等の種々の処理が可能な出納機である貨幣処理機2と、この貨幣処理機2に対して離れた遠隔位置である担当者の机上等に設けられるパーソナルコンピュータ3とで構成されている。
【0029】
貨幣を受け付ける貨幣処理機2は、紙幣についての処理を行う紙幣処理機構部11と、硬貨についての処理を行う硬貨処理機構部12とが左右に並設されている。紙幣処理機構部11は、バラ紙幣の入金処理、バラ紙幣の出金処理および小束紙幣の出金処理等の紙幣に関する種々の処理が可能となっており、硬貨処理機構部12は、バラ硬貨の入金処理およびバラ硬貨の出金処理等の硬貨に関する種々の処理が可能となっている。
【0030】
貨幣処理機2には、その紙幣処理機構部11側に、担当者によって操作入力がなされるとともに担当者に対して表示を行う操作表示部15と、入金処理時に担当者に対してバラ紙幣のやり取りを行う紙幣入出部16と、出金処理時に担当者に対して小束紙幣を出金する小束紙幣出金部17と、記憶データを印字するプリンタ18とが設けられている。紙幣入出部16は、担当者によるバラ紙幣の入金を受け付けるとともに入金されたバラ紙幣の中から偽券あるいは汚損券等と判別されたリジェクト紙幣を担当者に取出可能にリジェクトし、出金処理時にバラ紙幣を担当者に取出可能に出金するものである。
【0031】
また、貨幣処理機2には、その硬貨処理機構部12側に、入金処理時に担当者によるバラ硬貨の入金を受け付ける硬貨入金部21と、入金されたバラ硬貨の中から偽硬貨あるいは汚損硬貨等と判別されたリジェクト硬貨を担当者に取出可能にリジェクトする硬貨リジェクト部22と、バラ硬貨の出金処理時にバラ硬貨を担当者に取出可能に出金する硬貨出金部23とが設けられている。
【0032】
操作表示部15は、担当者に対して操作ガイダンス等の情報を表示する表示部(警告手段)26と、担当者のIDカードを走査するカードリーダ(操作入力手段)27と、担当者により操作される操作キーボード(操作入力手段)28と、音声発生部(警告手段)29等とを有している。
【0033】
そして、本実施形態に係る貨幣処理機2には、その硬貨処理機構部12の上面にポスト31が搭載されている。貨幣処理機2に設けられたこのポスト31は、中間位置から下側の下部分割体32と、中間位置から上側にあって下部分割体32に対し揺動開閉可能に設けられた上部分割体33とからなる箱状をなしている。上部分割体33には、正面に、内外を連通させる横長の投函口34とこの投函口34を揺動開閉するシャッタ35と、シャッタ35を閉状態でロックする電磁ロック36と、上部分割体33と下部分割体32とを別体のキー37で閉塞固定および固定解除するキーシリンダ38とが設けられている。
【0034】
ここで、ポスト31には、貨幣処理機2で受け付けできない小切手や手形等の貨幣以外の金銭的価値のある支払い手段および貨幣処理機2で受け付けできない汚損貨幣等の機械受付不可媒体(媒体)が、投函袋40に収納された状態で投函口34から投函されるようになっている。
【0035】
投函袋40は、一縁部に開閉可能なファスナ部42が設けられ開状態のファスナ部42を介して機械受付不可媒体が出し入れされる透明材料からなる袋本体43と、この袋本体43に貼り付けられた表示ラベル44と、表示ラベル44に埋設されたICタグ45とを有しており、ICタグ45には、ICタグ情報が記憶可能となっている。ここで、ICタグ情報は、ICタグ45を他のICタグ45と区別するための個別識別番号と、投函袋40に収納された機械受付不可媒体についての少なくとも種別を表す種別情報および金額を特定するための金額特定情報(枚数または金額)を含む媒体情報等とである。表示ラベル44には、ICタグ45に記憶された個別識別番号を目視可能に表示する番号表記部46が設けられている。
【0036】
ポスト31内には、ポスト31内に投函口34から一の投函袋40が投函されるとこの一の投函袋40のICタグ45に記憶されたICタグ情報を読み取る個別読取用内部ICタグリーダ(内部ICタグリーダ)50と、ポスト31内に投函されているすべての投函袋40のICタグ45のICタグ情報を読み取る全体読取用内部ICタグリーダ(内部ICタグリーダ)51とが別々に設けられている。ここで、ポスト31は、電波を遮蔽する遮蔽材料で形成されており、内部に設けられた複数の内部ICタグリーダ50,51は、ポスト31内のICタグ45のみに通信可能となっている。
【0037】
また、ポスト31上には、ポスト31外で投函袋40のICタグ45に記憶されたICタグ情報を読み取る外部ICタグリーダライタ(外部ICタグリーダ,ICタグライタ)55が設けられている。この外部ICタグリーダ55は、操作キーボード28への操作入力に基づいて、投函袋40のICタグ45に媒体情報を書き込んだり、投函袋40のICタグ45に記憶された媒体情報を書き換えたりすることも可能となっている。この外部ICタグリーダ55も、ポスト31が遮蔽材料で形成されていることから、ポスト31内にあるICタグ45に対しては読み書き不可となっている。
【0038】
貨幣処理機2の上記した各部は、図2に示すように、内蔵された制御部58によって制御されることになり、貨幣処理機2の各種の処理のデータは、貨幣処理機2に内蔵された記憶部(記憶手段)59に記憶されることになる。
【0039】
貨幣処理機2から遠隔位置に設けられるパーソナルコンピュータ3には、図1に示すように、担当者によって操作入力がなされる操作部(媒体情報入力手段)61と、担当者に対して表示を行う表示部62と、操作部61への入力に基づき投函袋40のICタグ45にICタグ情報を書き込むICタグライタ63と、これらを制御する制御部64を有するPC本体65とで構成されている。
【0040】
次に、上記した貨幣処理機2、パーソナルコンピュータ3および複数の投函袋40により構成される貨幣処理システム1の制御内容について説明する。
【0041】
担当者が現金と小切手等の機械受付不可媒体とを入金するにあたって、例えば自席のパーソナルコンピュータ3によって、入金する小切手等の機械受付不可媒体の媒体情報を投函袋40のICタグ45に予め記憶させる。その際の、制御部64の制御は図3に示すフローチャートにしたがって行われる。
【0042】
つまり、担当者がログインしたパーソナルコンピュータ3によって媒体情報記憶用ソフトを立ち上げると、パーソナルコンピュータ3の制御部64が、媒体情報として媒体の種別(小切手、手形等)を表す種別情報とその金額を特定するための金額特定情報(枚数または金額)とを、すべての種類の機械受付不可媒体について順次操作部61を介して入力するように、表示部62により案内表示を行う。この案内表示にしたがって担当者は一の種類の機械受付不可媒体について媒体情報である種別情報(例えば小切手であることを示す種別情報)と金額特定情報とを関連付けて操作部61に入力し、次の一の種類の機械受付不可媒体について種別情報(例えば1万円券の汚損券であることを示す種別情報)と金額特定情報とを関連付けて操作部61に入力し、次の一の種類の機械受付不可媒体について種別情報(例えば500円硬貨の変形硬貨であることを示す種別情報)と金額特定情報とを関連付けて操作部61に入力するという操作を適宜繰り返す。つまり、制御部64は、媒体情報である種別情報および金額特定情報の入力を受け付ける入力受付処理を行う(ステップSA1)。
【0043】
そして、種別情報および金額特定情報を確定する操作が操作部61に入力されると、制御部64は、入力受付処理を終了し、投函袋40の表示ラベル44をICタグライタ63に近づけるように表示部62で案内し、これを見て担当者は、投函袋40の表示ラベル44をICタグライタ63に近づけることになる。そして、ICタグライタ63が、表示ラベル44に埋設されたICタグ45を検出すると(ステップSA2:YES)、制御部64は、このICタグ45に、ICタグライタ63によって、図4に示すように、上記のようにして入力が確定されたそれぞれの種別情報および金額特定情報を、ログイン情報から割り出される記憶担当者識別番号およびその時点の日時情報であるICタグ記憶日時情報とともに媒体情報として記憶する(ステップSA3)。このようにして、ICタグ45に、ICタグ情報として、書き換え不可な個別識別番号とともに媒体情報が記憶された投函袋40に対して、担当者が、ファスナ部42を開いて情報登録した機械受付不可媒体を収納し、ファスナ部42を閉じる。
【0044】
その後、担当者が、現金と、小切手等の機械受付不可媒体を収納した投函袋40とを持って貨幣処理機2に行き、貨幣処理機2によって入金を行う。その際の、貨幣処理機2の制御部58の制御は、図5〜図7に示すフローチャートにしたがって行われる。
【0045】
つまり、担当者は、貨幣処理機2の操作表示部15のカードリーダ27にIDカードを走査させることになり、これを受けて、制御部58が、IDカードから読み出した担当者の取引担当者識別番号を確認する。そして、制御部58は、取引担当者識別番号が適正でなければ(ステップSB1:NO)、その旨の警告表示を表示部26に表示させるとともに警告音声を音声発生部29で発生させる(ステップSB2)。担当者が、操作キーボード28に警告解除操作を入力すると(ステップSB3:YES)、制御部58は、一旦制御を終了する。
【0046】
取引担当者識別番号が適正であれば(ステップSB1:YES)、一の取引を開始すると判定して(ステップSB4)、操作ガイドを表示部26に表示することになる。この操作ガイドの中の入金処理が選択されると(ステップSB5:YES)、制御部58は、現金についての入金処理である現金入金処理を実行するか否かの選択操作を促す表示を表示部26に表示させることになり、現金入金処理の実行が選択されると(ステップSB6:YES)、現金入金処理を実行する(ステップSB7)。
【0047】
つまり、現金入金処理の開始にあたって、紙幣入出部16および硬貨入金部21を開くとともに、紙幣処理機構部11への紙幣の投入および硬貨処理機構部12への硬貨の投入を促す。これを見て担当者は、現金のうちの紙幣を紙幣入出部16に投入し、現金のうちの硬貨を硬貨入金部21に投入して、操作キーボード28にスタート操作を入力する。すると、制御部58は、紙幣入出部16および硬貨入金部21を閉じるとともに、紙幣処理機構部11で紙幣の識別計数を行い、硬貨処理機構部12で硬貨の識別計数を行う。その際に、紙幣処理機構部11は、識別不可な汚損紙幣等を紙幣入出部16に戻すことになり、硬貨処理機構部12は、識別不可な汚損紙幣等を硬貨リジェクト部22に放出することになる。
【0048】
投入されたすべての紙幣および硬貨の識別計数が終了すると、制御部58は、この一の取引の計数結果を表示部26に表示することになり、これを見て担当者が承認操作を操作キーボード28に入力すると、制御部58は、現金入金処理を終了し、この現金入金処理の取引の計数結果を含む貨幣処理機2で受け付けた貨幣の取引情報を、この一の取引に対し割り当てられた取引識別番号、取引担当者識別番号および取引開始時点の日時情報である取引日時情報と関連付けて記憶部59に記憶することになる(ステップSB8)。言い換えれば、記憶部59は、カードリーダ27へのIDカードの走査および操作キーボード28への操作入力に基づく一の取引に関連して貨幣処理機1で受け付けた貨幣の取引情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶することになる。
【0049】
ステップSB8での取引情報の記憶後、およびステップSB6で現金入金処理の実行が選択されなかった場合(ステップSB6:NO)、制御部58は、表示部26に、貨幣処理機2で受け付けできない、小切手等の現金以外の貨幣的価値を有する交換媒体および汚損貨幣等の機械受付不可媒体の入金を行うか否かの判断入力を促す表示を行う。これに対し、操作キーボード28に機械受付不可媒体の入金を行わない旨の入力がなされると(ステップSB9:NO)、制御部58は、この一の取引を終了と判定することになる(ステップSB10)。
【0050】
他方、操作キーボード28に機械受付不可媒体の入金を行う旨の入力がされると(ステップSB9:YES)、制御部58は、予め機械受付不可媒体の媒体情報が投函袋40のICタグ45に記憶されているか否かの判断入力を促す表示を行う。これに対し、操作キーボード28に媒体情報が記憶されている旨の入力がなされると(ステップSB11:YES)、制御部58は、投函袋40の表示ラベル44を外部ICタグリーダライタ55に近づけるように表示部26で案内し、これを見て担当者は、投函袋40の表示ラベル44を外部ICタグリーダライタ55に近づけることになる。
【0051】
そして、外部ICタグリーダライタ55が、ICタグ45を検出する、つまり、このICタグ45からICタグ情報を読み取ることができると(ステップSB12:YES)、このICタグ情報から、制御部58は、ICタグ情報に媒体情報が含まれているか、つまり媒体情報がICタグ45に記憶されているか否かを判定する(ステップSB13)。媒体情報がICタグ45に記憶されていれば(ステップSB13:YES)、制御部58は、媒体情報の修正がないかあるか判断入力を促す表示を行う。これに対し、操作キーボード28に、媒体情報の修正がない旨の入力がなされると(ステップSB14:YES)、ポスト31の電磁ロック36によるシャッタ35のロックを解除し(ステップSB15)、投函袋40のポスト31への投函を許容するとともに、投函袋40のポスト31への投函を促す表示を表示部26に表示させる。
【0052】
これにより、担当者が、機械受付不可媒体を収納した投函袋40をロックが解除されたシャッタ35を開いてポスト31へ投函する。個別読取用内部ICタグリーダ50が投函袋40のICタグ45を検出しそのICタグ情報を読み取ることができると(ステップSB16:YES)、制御部58は、その関連付制御手段58Aが、図8に示すように、このICタグ情報に含まれる種別情報、金額特定情報、記憶担当者識別番号およびICタグ記憶日時情報を含む媒体情報と、個別識別番号とを、この一の取引に対し割り当てられた取引識別番号、取引担当者識別番号および取引日時情報と関連付けて記憶部59のポスト情報記憶エリアに記憶して(ステップSB17)、この一の取引を終了と判定することになる(ステップSB10)。つまり、制御部58の関連付制御手段58Aは、一の取引に関連して投函袋40がポスト31内に投函されると、個別読取用内部ICタグリーダ50によって投函袋40に設けられたICタグ45の個別識別番号を読み取って、該個別識別番号を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶部59に記憶する。さらに言えば、関連付制御手段58Aは、一の取引に関連して投函袋40がポスト31内に投函されると、個別読取用内部ICタグリーダ50によって投函袋40に設けられたICタグ45の個別識別番号および媒体情報を読み取って、これら個別識別番号および媒体情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶部59に記憶する。
【0053】
また、上記ステップSB14において、操作キーボード28に媒体情報の修正を行う旨の入力がなされると(ステップSB14:NO)、操作キーボード28を介しての修正の入力を受け付ける修正受付処理を行う(ステップSB18)。例えば、機械受付不可媒体として新たに汚損貨幣が生じた場合等に、この修正受付処理において、担当者は、その種別情報および金額特定情報を追加で入力することになる。
【0054】
そして、追加修正を確定する操作が操作キーボード28に入力されると、制御部58は、修正受付処理を終了し、投函袋40の表示ラベル44を外部ICタグリーダライタ55に近づけるように表示部26で案内し、これを見て担当者は、投函袋40のICタグ45を外部ICタグリーダライタ55に近づけることになる。
【0055】
そして、外部ICタグリーダライタ55で、ICタグ45を検出しそのICタグ情報を読み取ることができると(ステップSB19:YES)、制御部58は、外部ICタグリーダライタ55によって、このICタグ45に、ステップSB18の修正受付処理で追加修正された種別情報および金額特定情報を記憶担当者識別番号(この場合、取引担当者識別番号と同じとなる)およびその時点の日時情報であるICタグ記憶日時情報とともに媒体情報として、それまで記憶されていた媒体情報に追加して記憶する(ステップSB20)。つまり、貨幣処理機2に設けられた外部ICタグリーダライタ55は、操作キーボード28への操作入力に基づいて投函袋40のICタグ45に記憶された媒体情報を書き換える。
【0056】
以降、上記と同様に、制御部58は、ポスト31の電磁ロック36によるシャッタ35のロックを解除し(ステップSB15)、個別読取用内部ICタグリーダ50が投函袋40のICタグ45を検出しそのICタグ情報を読み取ると(ステップSB16:YES)、その関連付制御手段58Aが、このICタグ情報に含まれる種別情報、金額特定情報、記憶担当者識別番号およびICタグ記憶日時情報を含む媒体情報と、個別識別番号とを、この一の取引に対し割り当てられた取引識別番号、取引担当者識別番号および取引日時情報と関連付けて記憶部59のポスト情報記憶エリアに記憶して(ステップSB17)、この一の取引を終了と判定することになる(ステップSB10)。
【0057】
また、上記ステップSB13において、外部ICタグリーダライタ55によるICタグ45からのICタグ情報の読み取り結果から、媒体情報がICタグ45に記憶されていなければ(ステップSB13:NO)、制御部58は、その取引規制手段58Cが、ICタグ45のICタグ情報に異常があったと判定し、その後の取引の規制を行う。つまり、制御部58の取引規制手段58Cは、ポスト31の電磁ロック36によるシャッタ35のロック解除を規制し、投函袋40のポスト31への投函を規制するとともに、投函袋40のICタグ45への媒体情報の記憶を促す表示を含む警告を表示部26および音声発生部29で発生させる(ステップSB21)。
【0058】
これを受けて、担当者が、操作キーボード28に警告解除操作を入力すると(ステップSB22:YES)、制御部58は、音声発生部29の警告音声を停止させるとともに、表示部26の表示を、警告表示から媒体情報の入力メニューに切り替える。媒体情報として種別を表す種別情報とその金額を特定するための金額特定情報(枚数または金額)とを、すべての種類の媒体について順次操作キーボード28を介して入力するように、表示部26により案内表示を行う。この案内表示にしたがって担当者は、上記と同様に、一の種類の媒体について媒体情報である種別情報と金額特定情報とを関連付けて操作キーボード28で入力し、次の一の種類の媒体について種別情報と金額特定情報とを関連付けて操作キーボード28で入力するという操作を適宜繰り返し、最後に入力を確定する操作を操作キーボード28で行う。つまり、制御部58は、媒体情報である種別情報および金額特定情報の操作キーボード28を介しての入力を受け付ける入力受付処理を行う(ステップSB23)。このとき、担当者は、機械受付不可媒体としての新たに生じた汚損貨幣がある場合には、その種別情報および金額特定情報をも入力することになる。
【0059】
そして、種別情報および金額特定情報を確定する操作が操作キーボード28に入力されると、制御部58は、入力受付処理を終了し、再び、投函袋40の表示ラベル44を外部ICタグリーダライタ55に近づけるように表示部26で案内し、これを見て担当者は、投函袋40のICタグ45を外部ICタグリーダライタ55に近づけることになる。
【0060】
外部ICタグリーダライタ55で、ICタグ45を検出しICタグ情報を読み取ることができると(ステップSB24:YES)、制御部58は、このICタグ45に、外部ICタグリーダライタ55によって、上記のステップSB23にて入力されたそれぞれの種別情報および金額特定情報を、記憶担当者識別番号(この場合、取引担当者識別番号と同じとなる)およびその時点の日時情報であるICタグ記憶日時情報とともに媒体情報として記憶する(ステップSB25)。
【0061】
そして、制御部58は、以降、上記と同様に、ポスト31の電磁ロック36によるシャッタ35のロックを解除し(ステップSB15)、個別読取用内部ICタグリーダ50が投函袋40のICタグ45を検出しそのICタグ情報を読み取ると(ステップSB16:YES)、その関連付制御手段58Aが、このICタグ情報に含まれる種別情報、金額特定情報、記憶担当者識別番号およびICタグ記憶日時情報を含む媒体情報と、個別識別番号とを、この一の取引に対し割り当てられた取引識別番号、取引担当者識別番号および取引日時情報と関連付けて記憶部59のポスト情報記憶エリアに記憶して(ステップSB17)、この一の取引を終了と判定することになる(ステップSB10)。
【0062】
また、上記ステップSB11において、操作キーボード28に媒体情報が記憶されていない旨の入力がなされると(ステップSB11:NO)、制御部58は、表示部26の表示を、媒体情報の入力メニューに切り替える。つまり、媒体情報として種別を表す種別情報とその金額を特定するための金額特定情報(枚数または金額)とを、すべての種類の媒体について順次操作キーボード28を介して入力するように、表示部26により案内表示を行う。この案内表示にしたがって担当者は、一の種類の媒体について媒体情報である種別情報と金額特定情報とを関連付けて操作キーボード28で入力し、次の一の種類の媒体について種別情報と金額特定情報とを関連付けて操作キーボード28で入力するという操作を適宜繰り返し、最後に入力を確定する操作を操作キーボード28で行う。つまり、制御部58は、上記と同様にして、媒体情報である種別情報および金額特定情報の操作キーボード28を介しての入力を受け付ける入力受付処理を行う(ステップSB23)。このとき、機械受付不可媒体としての新たに生じた汚損貨幣がある場合に、担当者は、その種別情報および金額特定情報をも入力することになる。
【0063】
そして、種別情報および金額特定情報を確定する操作が操作キーボード28に入力されると、制御部58は、入力受付処理を終了し、再び、投函袋40の表示ラベル44を外部ICタグリーダライタ55に近づけるように表示部26で案内し、これを見て担当者は、投函袋40のICタグ45を外部ICタグリーダライタ55に近づけることになる。
【0064】
外部ICタグリーダライタ55で、ICタグ45を検出しそのICタグ情報を読み取ると(ステップSB24:YES)、制御部58の関連付制御手段58Aは、以降、上記と同様に、このICタグ45に、外部ICタグリーダライタ55によって、上記ステップSB23で入力されたそれぞれの種別情報および金額特定情報を、記憶担当者識別番号(この場合、取引担当者識別番号と同じとなる)およびその時点の日時情報であるICタグ記憶日時情報とともに媒体情報として記憶する(ステップSB25)。
【0065】
そして、制御部58は、以降、上記と同様に、ポスト31の電磁ロック36によるシャッタ35のロックを解除し(ステップSB15)、個別読取用内部ICタグリーダ50が投函袋40のICタグ45を検出しそのICタグ情報を読み取ると(ステップSB16:YES)、その関連付制御手段58Aが、このICタグ情報に含まれる種別情報、金額特定情報、記憶担当者識別番号およびICタグ情報記憶日時情報を含む媒体情報と、個別識別番号とを、この一の取引に対し割り当てられた取引識別番号、取引担当者識別番号および取引日時情報と関連付けて記憶部59のポスト情報記憶エリアに記憶して(ステップSB17)、この一の取引を終了と判定することになる(ステップSB10)。
【0066】
一の取引を開始すると判定し(ステップSB4)、その後、上記した操作ガイドの中の入金処理が選択されず(ステップSB5:NO)、操作キーボード28を介して投函袋回収処理が選択されると(ステップSB26:YES)、制御部58は、ポスト31内のすべての投函袋40を回収する全回収を選択するか否かの選択入力を促す表示を表示部26に表示させることになり、全回収の選択操作が入力されると(ステップSB27:YES)、制御部58は、その全回収確認手段58Dが、所定時間内に全体読取用内部ICタグリーダ51ですべてのICタグ45が検出不可な状態になったか、そうではなく、所定時間経過しても一つでもICタグ45が検出されているかを確認する(ステップSB28)。
【0067】
そして、所定時間内に全体読取用内部ICタグリーダ51ですべてのICタグ45が検出不可な状態になると(ステップSB28:NO)、制御部58は、この一の全回収取引で回収されたICタグ45の個別識別番号を、その全関連情報とともに記憶部59のポスト情報記憶エリアから、この一の全回収取引に対し割り当てられた取引識別番号に関連付けて記憶部59の全回収情報記憶エリアに移動記憶させて(ステップSB29)、この一の取引を終了と判定することになる(ステップSB10)。これにより、記憶部59の記憶上、ポスト31内のICタグ45はない状態となる。
【0068】
他方、所定時間経過しても、全体読取用内部ICタグリーダ51で少なくとも一つのICタグ45が検出されていると(ステップSB28:YES)、制御部58は、表示部26に警告表示を行うとともに音声発生部29に警告音声を発生させる(ステップSB30)。担当者が、操作キーボード28に警告解除操作を入力すると(ステップSB31:YES)、制御部58は、一旦、この一の取引を終了と判定することになる(ステップSB10)。
【0069】
また、ステップSB27で全回収の選択操作ではなく個別回収の選択操作が入力されると(ステップSB27:NO)、制御部58は、回収すべき投函袋40の投函が行われた取引の取引識別番号または回収すべき投函袋40の個別識別番号の入力を促す表示を表示部26に表示させる。これを見て、担当者が取引識別番号または個別識別番号を操作キーボード28で指定入力すると、制御部58は、その個別回収確認手段58Eが、これを受け付けることになり(ステップSB32)、全体読取用内部ICタグリーダ51で、指定された取引識別番号に対応する個別識別番号または指定された個別識別番号が記憶された取り出し対象の投函袋40のICタグ45の個別識別番号のみが検出不可な適正回収状態に所定時間内になったか否かを確認する(ステップSB33)。
【0070】
そして、所定時間内に取り出し対象の投函袋40のICタグ45の個別識別番号のみが検出不可な適正回収状態になると(ステップSB33:YES)、この一の取引で回収されたICタグ45の個別識別番号を、その全関連情報とともに記憶部59のポスト情報記憶エリアから、この一の個別回収取引に対し割り当てられた取引識別番号に関連付けて記憶部59の個別回収情報記憶エリアに移動記憶させて(ステップSB34)、この一の取引を終了と判定することになる(ステップSB10)。これにより、記憶部59の記憶上、ポスト31内にこの個別識別番号のICタグ45はない状態となる。
【0071】
他方、所定時間内に取り出し対象の投函袋40のICタグ45の個別識別番号が検出不可とならない場合および所定時間内に取り出し対象の投函袋40のICタグ45以外の個別識別番号が検出不可となった場合のいずれか一方の場合、適正回収状態になっていないことになるため(ステップSB33:NO)、制御部58は、表示部26に警告表示を行うとともに音声発生部29に警告音声を発生させる(ステップSB35)。担当者が、操作キーボード28に警告解除操作を入力すると(ステップSB36:YES)、制御部58は、一旦、この一の取引を終了と判定することになる(ステップSB10)。
【0072】
なお、制御部58は、そのポスト内確認手段58Fが、例えば取引時以外に所定の時間間隔で、全体読取用内部ICタグリーダ51でポスト31内に投函されているすべての投函袋40のICタグ45の個別識別番号を読み取って、ポスト31内のすべてのICタグ45の個別識別番号が、記憶部59のポスト情報記憶エリアに記憶済みの個別識別番号と一致するか、不一致であるかを判定するポスト内確認処理を行う。つまり、記憶部59への記憶上ポスト31内に収納されているべきすべての投函袋40のICタグ45の個別識別番号を、全体読取用内部ICタグリーダ51で検出できるか否かを確認するのである。
【0073】
そして、このポスト内確認処理で、ポスト31内のICタグ45のすべての個別識別番号と、記憶部59のポスト情報記憶エリアに記憶済みのすべての個別識別番号とが不一致であると判定すると、制御部58は、表示部26に警告表示を行うとともに音声発生部29に警告音声を発生させる。つまり、ポスト31内のICタグ45の個別識別番号のいずれか一つに、記憶部59に記憶済みの個別識別番号の中に一致するものがない場合と、記憶部59に記憶済みの個別識別番号のいずれか一つに、ポスト31内のICタグ45の個別識別番号の中に一致するものがない場合とについては、不一致であると判定して、警告を行う。
【0074】
なお、上記した操作ガイドの中の入金処理および投函袋回収処理以外の処理が選択された場合(ステップSB5:NO,ステップSB26:NO)、図示は略すが、制御部58は、出金処理等の他の選択された処理を実行する。
【0075】
また、上記投函袋40のICタグ45を適宜ICタグリーダで読み取ることで、ICタグ情報として記憶されている種別情報、金額特定情報、記憶担当者識別番号およびICタグ情報記憶日時情報を含む媒体情報がいつでもわかることになる。
【0076】
以上に述べた本実施形態に係る貨幣処理システム1によれば、カードリーダ27へのIDカードの操作および操作キーボード28への操作入力に基づく一の取引に関連して貨幣処理機2で受け付けた貨幣の取引情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶部59に記憶することになるが、貨幣処理機2で受け付けできない機械受付不可媒体については、投函袋40に収納されてポスト31に投函されることになる。このように、当該一の取引に関連して投函袋40がポスト31内に投函されると、制御部58の関連付制御手段58Aが、個別読取用内部ICタグリーダ50によって投函袋40に設けられたICタグ45の個別識別番号を読み取って、この個別識別番号を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶部59に記憶することになる。これにより、一の取引の取引識別番号に対し貨幣処理機2で受け付けた貨幣の取引情報と投函袋40のICタグ45の個別識別番号とが関連付けされて記憶されることになる。よって、ポスト31内の機械受付不可媒体がどの取引に対してのものであるかが明確になる。したがって、貨幣処理機2で受け付けることができない機械受付不可媒体の管理を容易且つ良好に行うことができる。
【0077】
また、制御部58のポスト内確認手段58Fが、全体読取用内部ICタグリーダ51でポスト31内に投函されているすべての投函袋40のICタグ45の個別識別番号を読み取って、すべての個別識別番号と、記憶部59のポスト情報記憶エリアに記憶済みのすべての個別識別番号とが完全に一致するか、不一致であるかを判定するポスト内確認処理を行うため、ポスト31内の投函袋40について、ポスト31への投函時のみでなく、常時の監視が可能になる。ポスト31内の投函袋40の管理がさらに良好になる。
【0078】
また、ポスト内確認処理が不一致であると、制御部58のポスト内確認手段58Fが判定すると、表示部26および音声発生部29が警告を行うことになるため、不正等が生じた場合に、これを報知することができる。
【0079】
また、個別読取用内部ICタグリーダ50によって、ポスト31内に一の投函袋40が投函されると該一の投函袋40のICタグ45の個別識別番号を読み取ることになり、これとは別の全体読取用内部ICタグリーダ51によって、ポスト31内に投函されているすべての投函袋40のICタグ45の個別識別番号を読み取ることになるため、それぞれの読み取り精度を向上することができる。
【0080】
また、貨幣処理機2から遠隔位置に設けられたパーソナルコンピュータ3の操作部61への媒体情報の入力に基づいて同じパーソナルコンピュータ3のICタグライタ63が媒体情報を投函袋40のICタグ45に書き込むことになり、これにより、操作者が例えば自席でICタグ45に媒体情報を記憶させることができる。そして、このICタグ45が設けられた投函袋40に貨幣処理機2で受け付けることができない機械受付不可媒体が収納されることになる。次に、操作キーボード28への操作入力に基づく一の取引に関連して貨幣処理機2で受け付けた貨幣の取引情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶部59に記憶することになるが、貨幣処理機2で受け付けできない機械受付不可媒体については、上記のように投函袋40に収納されてポスト31に投函されることになる。そして、当該一の取引に関連して投函袋40がポスト31内に投函されると、制御部58の関連付制御手段58Aが、個別読取用内部ICタグリーダ50によって投函袋40に設けられたICタグ45の個別識別番号および媒体情報を読み取って、これらの個別識別番号および媒体情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶部59に記憶することになる。これにより、一の取引の取引識別番号に対し貨幣処理機2で受け付けた貨幣の取引情報と投函袋40のICタグ45の個別識別番号と投函袋40内の機械受付不可媒体の媒体情報とが関連付けされて記憶されることになる。よって、ポスト31内の機械受付不可媒体がどの取引に対してのものであり、どのような媒体情報を有しているのかが明確になる。したがって、貨幣処理機2で受け付けることができない機械受付不可媒体の管理を容易且つさらに良好に行うことができる。
【0081】
また、貨幣処理機2に設けられた外部ICタグリーダライタ55によって、操作キーボード28への操作入力に基づいて投函袋40のICタグ45に記憶された媒体情報を書き換えることができる。したがって、貨幣処理機2で受け付けられない汚損貨幣等の機械受付不可媒体が新たに生じる等、機械受付不可媒体に変更があった場合に対応できる。
【0082】
また、媒体情報が、少なくとも、機械受付不可媒体の種別を表す種別情報と、機械受付不可媒体の金額を特定するための金額特定情報とを含むため、管理上有効な情報を得ることができる。
【0083】
また、制御部58の取引規制手段58Cが、ポスト31外の外部ICタグリーダライタ55でポスト31に投函前の投函袋40のICタグ45から読み取ったICタグ情報に異常を検出すると、取引の規制を行うことになるため、ICタグ情報に媒体情報が含まれていない場合やICタグ45の個別識別番号に異常があり正常に読み取れない場合等に、そのまま以後の取引が行われてしまうことを防止できる。
【0084】
また、操作キーボード28に全回収操作が入力されると、制御部58の全回収確認手段58Dが、全体読取用内部ICタグリーダ51で、ポスト31内のすべてのICタグ45が検出不可な状態になったか否かを確認するため、例えばポスト31内に取り忘れの投函袋40が残ってしまうこと等を防止できる。
【0085】
また、操作キーボード28に取引識別番号または個別識別番号を指定した個別回収操作が入力されると、制御部58の個別回収確認手段58Eが、全体読取用内部ICタグリーダ51で、指定された取引識別番号に対応する個別識別番号または指定された個別識別番号が記憶された投函袋のICタグ45のみがポスト31内で検出不可な状態になったか否かを確認するため、ポスト31から間違った投函袋40が取り出されてしまうこと等を防止できる。
【符号の説明】
【0086】
1 貨幣処理システム
2 貨幣処理機
26 表示部(警告手段)
27 カードリーダ(操作入力手段)
28 操作キーボード(操作入力手段)
29 音声発生部(警告手段)
31 ポスト
40 投函袋
45 ICタグ
50 個別読取用内部ICタグリーダ(内部ICタグリーダ)
51 全体読取用内部ICタグリーダ(内部ICタグリーダ)
55 外部ICタグリーダライタ(外部ICタグリーダ,ICタグライタ)
58 制御部
58A 関連付制御手段
58B 投函確認手段
58C 取引規制手段
58D 全回収確認手段
58E 個別回収確認手段
58F ポスト内確認手段
59 記憶部(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を受け付ける貨幣処理機と、
該貨幣処理機に設けられて操作入力が行われる操作入力手段と、
前記貨幣処理機で受け付けできない媒体を収納する投函袋と、
前記貨幣処理機に設けられて投函された前記投函袋を収納するポストと、
前記操作入力手段への操作入力に基づく一の取引に関連して前記貨幣処理機で受け付けた貨幣の取引情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて記憶する記憶手段とを備えた貨幣処理システムであって、
前記投函袋にはICタグが設けられ、
前記ポスト内には該ポスト内に投函された前記投函袋の前記ICタグに記憶されたICタグ情報としての個別識別番号を読み取る内部ICタグリーダが設けられており、
一の取引に関連して前記投函袋が前記ポスト内に投函されると、前記内部ICタグリーダによって前記投函袋に設けられた前記ICタグの個別識別番号を読み取って、該個別識別番号を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて前記記憶手段に記憶する関連付制御手段を有することを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記内部ICタグリーダで前記ポスト内に投函されているすべての前記投函袋の前記ICタグの個別識別番号を読み取って、該個別識別番号と、前記記憶手段に記憶済みの個別識別番号とが一致するか不一致であるかを判定するポスト内確認処理を行うポスト内確認手段を有することを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記内部ICタグリーダとして、前記ポスト内に一の投函袋が投函されると該一の投函袋の前記ICタグの個別識別番号を読み取る個別読取用内部ICタグリーダと、前記ポスト内に投函されているすべての前記投函袋の前記ICタグの個別識別番号を読み取る全体読取用内部ICタグリーダとが別々に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記ポスト内確認手段が、前記ポスト内確認処理で不一致であると判定すると、警告を行う警告手段を有することを特徴とする請求項2または3に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記貨幣処理機から遠隔位置に設けられて、前記媒体の媒体情報の操作入力が行われる媒体情報入力手段と、
前記貨幣処理機から遠隔位置に設けられて、前記媒体情報入力手段への入力に基づき前記媒体の媒体情報を前記投函袋の前記ICタグに書き込むICタグライタとを備え、
前記内部ICタグリーダは、前記投函袋の前記ICタグから、ICタグ情報としての媒体情報を、個別識別番号に加えて読み取り可能であり、
前記関連付制御手段は、一の取引に関連して前記投函袋が前記ポスト内に投函されると、前記内部ICタグリーダによって前記投函袋に設けられた前記ICタグの個別識別番号および媒体情報を読み取って、これら個別識別番号および媒体情報を当該一の取引に対し割り当てられた取引識別番号と関連付けて前記記憶手段に記憶することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記貨幣処理機に設けられて、前記操作入力手段への操作入力に基づいて前記投函袋の前記ICタグに記憶された前記媒体の媒体情報を書き換えるICタグライタを有することを特徴とする請求項5に記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記媒体情報は、少なくとも、前記媒体の種別を表す種別情報と、前記媒体の金額を特定するための金額特定情報とを含むことを特徴とする請求項5または6に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記ポスト外には該ポスト外で前記投函袋の前記ICタグに記憶されたICタグ情報を読み取る外部ICタグリーダが設けられており、
前記外部ICタグリーダで前記ポストに投函前の前記投函袋の前記ICタグから読み取ったICタグ情報に異常を検出すると、取引の規制を行う取引規制手段を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記操作入力手段に全回収操作が入力されると、前記内部ICタグリーダで、すべての前記ICタグが検出不可な状態になったか否かを確認する全回収確認手段を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
前記操作入力手段に取引識別番号または個別識別番号を指定した個別回収操作が入力されると、前記内部ICタグリーダで、指定された取引識別番号に対応する個別識別番号または指定された個別識別番号が記憶された前記投函袋の前記ICタグのみが検出不可な状態になったか否かを確認する個別回収確認手段を有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の貨幣処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−198449(P2010−198449A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43964(P2009−43964)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】