説明

貯湯式給湯機

【課題】ミスト発生装置から貯湯タンク内に湯水が逆流することのない貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンク1と、貯湯タンク1内の上方部の高温水を出湯するミスト給湯管12と、水を供給するミスト給水管14と、ミスト給湯管12から供給される高温水とミスト給水管14から供給される水とを混合するミスト混合手段21と、ミスト混合手段21にて混合された湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置9と、湯水の流れ方向を一方向に定める逆止手段24(25)とを備え、ミスト発生装置9へ至る湯水が流通する流路に前記逆止手段を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミスト発生装置に接続可能な貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のミスト発生装置は、給水管から給湯装置に水が供給され、給湯装置の湯と、給水源からの水とを混合することによって、浴室などにミストを提供している(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2005−342087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
浴室等で行うミスト運転は、使用者の好みによるところが大きく、使用してから、次に使用するまで長時間の間使用しない場合がある。しかしながら、ミスト発生装置に長時間湯水を供給しなければ、ミスト発生装置へ湯水を供給する配管内で菌が繁殖してしまい、例えば断水等が発生した場合には、通常水圧が掛かっていたものが、掛からなくなるため、貯湯タンク側にミスト発生装置へ湯水を供給する配管内の水が逆流してしまい、貯湯タンク内に繁殖した菌が進入してしまうという課題を有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、ミスト発生装置から貯湯タンク内に湯水が逆流することのない貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の上方部の高温水を出湯するミスト給湯管と、水を供給するミスト給水管と、前記ミスト給湯管から供給される高温水と前記ミスト給水管から供給される水とを混合するミスト混合手段と、前記ミスト混合手段にて混合された湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置と、湯水の流れ方向を一方向に定める逆止手段とを備え、前記ミスト発生装置へ至る湯水が流通する流路に前記逆止手段を配設したことを特徴とするものである。
【0006】
これによって、ミスト発生装置へ至る流路内に溜まっている湯水の逆流を防止することができ、衛生的な貯湯式給湯機を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の貯湯式給湯機は、ミスト発生装置から貯湯タンク内に湯水が逆流することのない貯湯式給湯機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の上方部の高温水を出湯するミスト給湯管と、水を供給するミスト給水管と、前記ミスト給湯管から供給される高温水と前記ミスト給水管から供給される水とを混合するミスト混合手段と、前記ミスト混合手段にて混合された湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置と、湯水の流れ方向を一方向に定める逆止手段とを備え、前記ミスト発生装置へ至る湯水が流通する流路に前記逆止手段を配設したことにより、ミスト発生装置から貯湯タンクへの逆流を防止することができ、衛生的な貯湯式給湯機を提供することができる。
【0009】
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、ミスト混合手段とミスト給湯
管およびミスト混合手段とミスト給水管との間に逆止手段を配設したことにより、貯湯タンクへの逆流だけでなく、給水源への逆流も防止し、より衛生的な貯湯式給湯機を提供することができる。
【0010】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、ミスト混合手段とミスト給湯管との間のみに逆止手段を配設したことにより、コストを抑制しつつ貯湯タンクへの汚水逆流を防止することができる。
【0011】
第4の発明の貯湯式給湯機は、特に第1〜第3の発明において、貯湯タンク内の上方部の高温水を浴槽へ供給する風呂給湯管を備え、ミスト給湯管は、前記風呂給湯管から分岐したことにより、ミスト給湯管を直接貯湯タンクに接続しないので、能力を変えることなく、簡単な構成で貯湯式給湯機を実現することができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図である。図1において、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンク1と、貯湯タンク1の下方部の低温水を高温水に沸き上げる水冷媒熱交換器2と、貯湯タンク1の下方部の低温水を水冷媒熱交換器2に送水する水ポンプ3とを備えており、図1に示すように、貯湯タンク1と水ポンプ3と水冷媒熱交換器2を順次環状に接続して、貯湯タンク1の下方部の低温水を、水冷媒熱交換器2にて高温水を生成し、その高温水を貯湯タンク1の上方から貯えている。また、水冷媒熱交換器2から貯湯タンク1に至る流路には、三方弁61を配設しており、圧縮機6の立ち上がり時など水冷媒熱交換器2で生成される湯の温度が高温になっていない場合には、三方弁61を駆動させ、水冷媒熱交換器2から出湯する湯を貯湯タンク1の下部に戻す構成としている。なお、貯湯タンク1の底部には、給水源からタンク給水管4が接続されている。
【0014】
また、本発明の貯湯式給湯機は、熱源としてヒートポンプを使用している。図1に示すように、冷媒を圧縮する圧縮機6と、大気から熱を吸熱する蒸発器7と、冷媒を下男津する減圧装置8とを有し、圧縮機6と水冷媒熱交換器2と減圧装置8と蒸発器7とを冷媒管によって順次環状に接続されており、冷媒管内を流通する冷媒には、二酸化炭素を使用している。つまり高圧側では臨界圧力を超えるので、水に熱を奪われても凝縮することがなく、高温の湯を得ることができる。
【0015】
また貯湯タンク1の天部には、蛇口やシャワーなどの給湯端末に出湯するための給湯管10および、浴槽に湯を出湯するための風呂給湯管11が接続されており、風呂給湯管11より分岐してミスト発生装置9に湯を供給するミスト給湯管12が設けられている。
【0016】
ミスト発生装置9は、浴室でミスト浴を楽しむことができる装置であり、使用者は、浴室に設けられているリモコン13で操作することによって、ミスト発生装置9から発生するミストの温度や運転時間を設定することができる。
【0017】
貯湯タンク1とミスト発生装置9との間には、給水源からミスト給水管14を経て供給される水と貯湯タンク1の高温水とを混合するミスト混合手段である電動式混合弁21が備えられており、貯湯タンク1と浴槽30および貯湯タンク1と給湯端末31との間にも、電動式混合弁22および電動式混合弁23が備えられており、給水源からの水と貯湯タンク1からの高温水とを適温に混合することができる。また、ミスト発生装置9へ湯を供給する電動式混合弁21より上流側には、逆止手段が設けられている。電動式混合弁21
と貯湯タンク1との間には、機械式逆止弁24が備えられ、電動式混合弁21と給水源との間には、機械式逆止弁25が備えられている。なお、本実施の形態においては逆止手段として機械式逆止弁を使用しているが、これに限定されることはなく、いかなる形態の逆止弁を使用しても問題はない。
【0018】
また、電動式混合弁21の下流側には、サーミスタ41が設けられており、サーミスタ41で検出する温度が、ミスト発生装置9から要求された温度となるように、電動式混合弁21を制御する。
【0019】
以上のように構成された貯湯式給湯機に関して、浴室でミスト浴を行うための動作および作用を説明する。
【0020】
まず、使用者は浴室内に設置されているリモコン13で、ミスト発生装置9に供給する湯の温度を設定する。そしてミスト開始ボタンを押下することによって、ミスト発生装置9からミスト状に湯水が噴出される。この時、リモコン13でミスト温度を設定し、制御手段であるマイクロコンピュータ51に送信する。通常、ミスト発生装置9内部には、湯水のミスト噴出を停止する停止手段が設けられており、ミスト運転開始に伴い、ミスト発生装置9内部の停止手段が開くことによって湯水のミスト噴出を開始するが、これに限定されることはなく、ミスト発生装置9と電動式混合弁21との間に湯水の遮断手段を設け、ミスト運転開始に伴い、その遮断手段を制御することによってミスト発生装置から湯水のミスト噴出を開始してもよい。
【0021】
次に、ミスト温度が送信されたマイクロコンピュータ51は、電動式混合弁21を駆動制御し、サーミスタ41で検出される温度が、リモコン13で設定した温度となるように、電動式混合弁21の混合比を決定する。給湯端末31に比べて、ミスト発生装置9から噴出する湯水の量は、比較的少量であるため、貯湯タンク1からミスト発生装置9へ送られる湯水の量は、0.2L/minから2L/min程度となる。
【0022】
また、本実施の形態では、電動式混合弁51と貯湯タンク1との間に機械式逆止弁24および、電動式混合弁51と給水源との間に機械式逆止弁25を介在させている。本実施の形態の機械式逆止弁を図2(a)、図2(b)に示す。
【0023】
図2(a)、図2(b)において、本実施の形態の機械式逆止弁は、弁本体71、弁部72、バネ部73で構成され、図2(a)の白抜きの矢印で示すように、通常、貯湯タンク1からミスト発生装置9へ湯水を供給する場合は、弁部72に湯水が衝突するものの、バネ部の弾性力で弁部72と弁体71との間には、常に空間が存在しており、湯水の流れを妨げることはない。また、例えば断水時などの異常時には、図2(b)の黒矢印で示すように、貯湯タンク側からの水圧が加わらなくなり、ミスト発生装置9側から貯湯タンク1側に流れてしまう可能性がある。しかし、弁部72に湯水が衝突し、図2(b)に示すように、弁部72が弁体71と接触することによってミスト発生装置9から貯湯タンク1への通路が遮断され、ミスト発生装置9から貯湯タンク1に湯水が流れ込むのを防止する。
【0024】
以上のように、ミスト運転は、使用者の好みによって長期間運転しない場合があるため、その場合には、ミスト発生装置9に至る配管内で繁殖した菌が貯湯タンク1に流れてしまう可能性があるが、逆止手段を設けることによって貯湯タンク1への菌の侵入を防止することができる。
【0025】
なお、本実施の形態1では、機械式逆止弁24と機械式逆止弁25の2つを設けたが、機械式逆止弁24だけを設けてもよい。なぜならば、機械式逆止弁を設ける理由としては
、電動式混合弁から出湯する湯水温度のハンチング防止も理由の一つに挙げられる(本発明におけるハンチングとは、電動式混合弁から出湯する湯の温度が上下に変動する現象をいう)。しかしながらミスト流量は給湯端末に比べて少量、かつ、ミスト運転時間は比較的長時間であるため、電動式混合弁21の駆動速度は、給湯端末などの電動式混合弁23に比べて比較的遅いので、電動式混合弁21からミスト発生装置9に湯を供給する際に発生するハンチング幅は、給湯端末などに出湯するハンチング幅よりも大きくない。そのため、ミスト発生装置9へ湯を供給する電動式混合弁21の水側の機械式逆止弁25を取り外したとしても、問題はなくコストを抑制することができる。
【0026】
また、本実施の形態における貯湯式給湯機は、前述したようにミスト発生装置9へ送る湯水の量が比較的少量であるため、貯湯タンク1から浴槽33へ供給する風呂給湯管11から分岐してミスト給湯管12を分岐している。そのため、貯湯タンク1の天部よりミスト専用の出湯管を設けることなく、簡単な構成でミスト発生装置9へ湯を送ることができる。また給湯管10から分岐してミスト専用の給湯管を設けるのではなく、風呂給湯管11から分岐してミスト専用の給湯管を設けることによって、最適な運転を可能にしている。
【0027】
ミスト発生装置9の運転は、通常入浴時に行われるため、使用者が入浴する際には既に浴槽31への湯張りが終わっており、貯湯タンク1からの出湯管を、ミスト給湯管12と風呂給湯管11とが兼用しても、所望の湯量を確保することができる。
【0028】
以上のように、前述したように逆止手段を設けることによって貯湯タンクへの汚水逆流を防ぐことができ、衛生的な貯湯式給湯機を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明にかかる貯湯式給湯機は、ミスト発生装置を接続することができる貯湯式給湯機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図
【図2】(a)本発明の実施の形態1における機械式逆止弁の構成図(b)本発明の実施の形態1における機械式逆止弁の構成図
【符号の説明】
【0031】
1 貯湯タンク
2 水冷媒熱交換器
3 水ポンプ
4 タンク給水管
6 圧縮機
7 蒸発器
8 減圧装置
9 ミスト発生装置
10 給湯管
11 風呂給湯管
12 ミスト給湯管
13 リモコン
21 電動式混合弁
22 電動式混合弁
23 電動式混合弁
24 逆止弁
25 逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の上方部の高温水を出湯するミスト給湯管と、水を供給するミスト給水管と、前記ミスト給湯管から供給される高温水と前記ミスト給水管から供給される水とを混合するミスト混合手段と、前記ミスト混合手段にて混合された湯水をミスト状に噴出するミスト発生装置と、湯水の流れ方向を一方向に定める逆止手段とを備え、前記ミスト発生装置へ至る湯水が流通する流路に前記逆止手段を配設したことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
ミスト混合手段とミスト給湯管およびミスト混合手段とミスト給水管との間に逆止手段を配設したことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
ミスト混合手段とミスト給湯管との間のみに逆止手段を配設したことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
貯湯タンク内の上方部の高温水を浴槽へ供給する風呂給湯管を備え、ミスト給湯管は、前記風呂給湯管から分岐したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−215696(P2008−215696A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52487(P2007−52487)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】