説明

貯湯式給湯装置

【課題】緊急時に作動して安全を確保する給水遮断弁の動作チェックが簡単に行われる
貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】前記給湯管7に備えられ給湯の有無を検出する給湯検知手段10と、前記湯張り管13に備えられ該湯張り管13の開閉を行う風呂電磁弁17と、湯張りの有無を検知する湯張り検知手段16と、前記給水管3に備えられ水漏れ等の緊急時に給水を遮断する給水遮断弁18とを備えたので、前記給湯検知手段10による給湯停止検知を条件とし、給水遮断弁18を閉じた後に風呂電磁弁17を開成してから、再び給水遮断弁18を開成した時に湯張り検知手段16が湯張り検知するかどうかで給水遮断弁18の動作チェックを行うので、既存の風呂の湯張り管を利用して簡単にチェック出来、緊急時には給水遮断弁が動作するように備えることが出来て、長期に渡って安心して使用することが出来るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯タンクの給水管に設けられ水漏れ等の緊急時に給水管を遮断する給水遮断弁を、常に良好な状態に維持することが出来るようにした貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、流れ検出手段で給湯使用をチェックし、給湯が使用されていないことが確認された後、遮断弁を開閉して弁固着防止動作を行うことで、使用勝手の悪化やクレームの発生を防止しながら弁固着の不具合を阻止するものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2003−329304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、遮断弁を開閉しているつもりでも、確かに遮断弁がその通りに動作しているかのチェックは行われていないので、遮断弁が開成状態で固着している場合には、いざと言う緊急時に役立たず、定期的な遮断弁の開閉動作自体意味がないものになるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為、特にその構成を、加熱手段で加熱された温水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンクに給水を補給する給水管と、貯湯タンク上部に連通し高温水を出湯する出湯管と、該出湯管からの高温水と給水管から分岐した給湯用給水バイパス管からの給水とを給湯用混合弁で混合して給湯する給湯管と、更に出湯管からの高温水と給水管から分岐した風呂用給水バイパス管からの給水とを風呂用混合弁で混合して浴槽に供給する湯張り管と、前記給湯管に備えられ給湯の有無を検出する給湯検知手段と、前記湯張り管に備えられ該湯張り管の開閉を行う風呂電磁弁と、湯張りの有無を検知する湯張り検知手段と、前記給水管に備えられ水漏れ等の緊急時に給水を遮断する給水遮断弁とを備えたものに於いて、前記給湯検知手段による給湯停止検知を条件とし、給水遮断弁を閉じた後に風呂電磁弁を開成してから、再び給水遮断弁を開成した時に湯張り検知手段が湯張り検知するかどうかで給水遮断弁の動作チェックを行うようにしたものである。
【0005】
又請求項2では、給水遮断弁の動作チェックは、給湯停止状態では湯張り開始前に常に行われるようにしたものである。
又請求項3では、給水遮断弁の動作チェックの結果は、リモコンの表示部に表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、給水遮断弁の動作チェックが給湯に支障を来すことなく容易に行われるものであり、しかも給水遮断弁が確実に動作したかを、特別な装置やセンサを使用することなく、既存の風呂の湯張り管を利用して簡単にチェック出来、緊急時には給水遮断弁が動作するように備えることが出来て、長期に渡って安心して使用することが出来るものである。
【0007】
更に給湯停止状態では浴槽への湯張り毎に給水遮断弁の動作チェックが行われることとなり、煩わしい操作の必要もなく、極めて簡単に且つ自動的に給水遮断弁の正常、異常をチェック出来るものである。
又給水遮断弁の正常、異常がリモコンの表示部に表示されて、使用者が確認することが出来るので、異常時には修理依頼する等の対応をして、常に給水遮断弁が正常に作動するように維持して、緊急時に対処する準備をしておくことが出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次にこの発明の一実施形態を図示した貯湯式給湯装置に基づいて説明する。
1は円筒状の貯湯タンクで、二酸化炭素冷媒を用いたヒーポンユニットから成る加熱手段2を利用し、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に湯水を沸き上げて貯湯するものであり、底部には給水を補給する給水管3が接続し、上部には貯湯した高温水を出湯する出湯管4が接続されている。
【0009】
5は一方に出湯管4を、他方には給水管3から分岐した給湯用給水バイパス管6を、中央には給湯管7が接続した電動三方弁から成る給湯用混合弁で、出湯管4からの高温水と給湯用給水バイパス管6からの給水とを混合して、台所リモコン8で設定された給湯設定温度となるようにして供給するものであり、給湯管7に備えた給湯サーミスタ9による給湯温度と給水温度と給湯設定温度から、出湯管4の湯側開度と給湯用給水バイパス管6の水側開度をフィードフォワード制御で調整するものであり、この給湯サーミスタ9より下流側の給湯管7には給湯の開始、停止を検知して給湯用混合弁5を作動させる給湯検知手段を構成する給湯フローセンサ10が設けられているものである。
【0010】
11は前記給湯用混合弁5と同じく一方には出湯管4を、他方には給湯用給水バイパス管6から分岐した風呂用給水バイパス管12を、中央を浴槽(図示せず)に連通する湯張り管13が接続した電動三方弁から成る風呂用混合弁で、出湯管4からの高温水と風呂用給水バイパス管12からの給水とを混合して、浴室リモコン14で設定された風呂設定温度となるようにして湯張りするものであり、湯張り管13に備えた風呂サーミスタ15による湯張り温度と給水温度と風呂設定温度から、出湯管4の湯側開度と風呂用給水バイパス管12の水側開度をフィードフォワード制御で調整するものであり、この風呂サーミスタ15より下流側の湯張り管13には湯張り量を検知する湯張り検知手段を構成する湯張りフローセンサ16を備え、湯張り湯量が所定量に達することで風呂混合弁11と風呂サーミスタ15との間の湯張り管13に備えた風呂電磁弁17を閉成して浴槽(図示せず)への湯張りを終了するものである。
【0011】
18は給水管3の減圧弁19より上流側に備えられた給水遮断弁で、貯湯タンク1や各配管からの漏水等の緊急時にマイコンから成る給湯制御部20からの出力を受けて、常開状態から給水を遮断するように閉弁して被害を最小限に抑えるようにするものであり、更にこの給水遮断弁18は、台所リモコン8の風呂自動スイッチ21が押圧されることで、浴槽への湯張り運転が開始される前に動作チェックモードに入り、前記給湯制御部20が給湯フローセンサ10からの給湯停止状態の信号を受けることにより、給水遮断弁18を閉弁させると共に風呂電磁弁17を開弁させて、湯張りフローセンサ16による流水検知があれば、給水遮断弁18が開弁状態で固着していると判断して異常報知するものであり、逆に流水がなければ給水遮断弁18を開弁させて再び湯張りフローセンサ16による流水検知が給水遮断弁18は正常と判断して、本来の湯張り運転を開始するものである。
【0012】
22は台所リモコン8及び浴室リモコン14に設けられた表示部で、運転状態や貯湯タンク1の残湯量、給湯設定温度や風呂設定温度等を液晶表示するものであり、又上記した給水遮断弁18の異常時には給湯制御部20からの信号で「給水遮断弁異常」の文字表示を点滅表示して異常状態を使用者にエラー報知して、施工業者による修理の必要性を知らせるものである。
【0013】
23は貯湯タンク1と加熱手段2とを湯水が循環可能に接続する往き管24と戻り管25と循環ポンプ26とで構成された加熱循環回路である。
27、28、29、30は貯湯タンク1外周面の上下に備えられた貯湯温度センサであり貯湯温度や残湯量を検知する。
31は給水管3途中に設けられた給水サーミスタであり、32は出湯管4に備えられた圧力逃がし弁であり、33は給水管3に設けられた貯湯タンク1側からの逆流を阻止する逆止部である。
【0014】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
今契約電力の深夜時間帯では、加熱循環回路23によって貯湯タンク1下部の低温水を加熱手段2で沸き上げて、高温水を貯湯タンク1上部に戻し、順次この循環を繰り返して翌朝7時迄に貯湯タンク1内全体に高温水を貯湯するようにするものである。
【0015】
そして、この貯湯タンク1内の高温水を、給湯用混合弁5で出湯管4からの高温水と給湯用給水バイパス管6からの給水とを混合して、給湯設定温度の温水として給湯に利用するものであり、又風呂用混合弁11でも出湯管4からの貯湯タンク1内の高温水と、風呂用給水バイパス管12の給水とを混合して、風呂設定温度の温水として風呂に利用されるものである。
【0016】
次に給水遮断弁18の動作チェックモードについて、図3のフローチャートで説明すれば、風呂を沸き上げるために、台所リモコン8の風呂自動スイッチ21を押圧すれば(ステップ34)、浴槽への湯張り運転が開始される前に動作チェックモードに入り、ステップ35で給湯フローセンサ10が流水を検知していないかを見て、即ち給湯が使用されていないことを確認する。
【0017】
そして、YESでステップ36に進み給水遮断弁18を閉弁して給水を停止させた後、ステップ37に進んで風呂電磁弁17を開弁させて、風呂用混合弁11と出湯管4を介して貯湯タンク1内と湯張り管13とを連通状態とし、この状態にしてステップ38に進み湯張り管13の湯張りフローセンサ16による流水検知がないことを確認し、YESではステップ39に進んで今度は給水遮断弁18を開弁させて給水圧を貯湯タンク1に負荷するものであり、又ステップ38で流水がある場合には、NOでステップ40に進み給水遮断弁18が開弁状態で固着し閉弁出来ない異常状態と判断し、ステップ41で台所リモコン8及び浴室リモコン14に設けられた表示部22に、「給水遮断弁異常」の文字表示を点滅表示して異常状態を使用者にエラー報知するものである。
【0018】
更にステップ39で給水遮断弁18を開弁した後は、ステップ42に進んで再び湯張りフローセンサ16による流水検知があるかを判断し、YESでステップ43に進み給水遮断弁18が確かに開弁したことで、貯湯タンク1内に給水圧が作用して流水が発生したことを意味し、給水遮断弁18が正常状態であると判断してステップ44に進み湯張りを開始するものであり、又前記ステップ42で流水が検知されないNOの場合には、給水遮断弁18が閉弁状態で固着していることで、流水がないことを意味するので、前記したステップ40に進み給水遮断弁18の異常と判断し、ステップ41で表示部22に「給水遮断弁異常」の文字表示を点滅表示して異常状態を使用者にエラー報知するものである。
【0019】
又最初のステップ35で給湯フローセンサ10が流水を検知している時は、給湯中であるので給水遮断弁18の動作チェックモードには入らず、NOでステップ44に進んでいきなり湯張りを開始するものである。
【0020】
このように、湯張りが運転が行われる度に給水遮断弁18の動作チェックが行われるので、常にチェックされていることとなり特別な操作も不用であり安心して使用出来るものであり、しかも給湯中は給湯に支障来さないように動作チェックは行わずに湯張り運転に移行して、通常の使用を優先する使用勝手が良いものであり、更に特別な装置やセンサを使用することなく、既存の風呂の湯張り管を利用して簡単にチェック出来、緊急時には給水遮断弁が動作するように備えることが出来て、長期に渡って安心して使用することが出来るものである。
【0021】
又給水遮断弁の正常、異常がリモコンの表示部に表示されて、使用者が確認することが出来るので、異常時には修理依頼する等の対応をして、常に給水遮断弁が正常に作動するように維持して、緊急時に対処する準備をしておくことが出来るものである。
【0022】
尚、この一実施形態では給湯フローセンサ10を利用して給湯中を検知しているが、給湯サーミスタ9で検知するようにしても良いものであり、又給水遮断弁18の正常、異常を湯張りフローセンサ16による流水検知でおこなっていたが、風呂サーミスタ15を利用して流水を検知するようにしても良く、センサは限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態を示す貯湯式給湯装置の概略説明図。
【図2】同電気回路の要部ブロック図。
【図3】同要部のフローチャート。
【符号の説明】
【0024】
1 貯湯タンク
2 加熱手段
3 給水管
4 出湯管
7 給湯管
10 給湯検知手段(給湯フローセンサ)
13 湯張り管
16 湯張り検知手段(湯張りフローセンサ)
17 風呂電磁弁
18 給水遮断弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段で加熱された温水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンクに給水を補給する給水管と、貯湯タンク上部に連通し高温水を出湯する出湯管と、該出湯管からの高温水と給水管から分岐した給湯用給水バイパス管からの給水とを給湯用混合弁で混合して給湯する給湯管と、更に出湯管からの高温水と給水管から分岐した風呂用給水バイパス管からの給水とを風呂用混合弁で混合して浴槽に供給する湯張り管と、前記給湯管に備えられ給湯の有無を検出する給湯検知手段と、前記湯張り管に備えられ該湯張り管の開閉を行う風呂電磁弁と、湯張りの有無を検知する湯張り検知手段と、前記給水管に備えられ水漏れ等の緊急時に給水を遮断する給水遮断弁とを備えたものに於いて、前記給湯検知手段による給湯停止検知を条件とし、給水遮断弁を閉じた後に風呂電磁弁を開成してから、再び給水遮断弁を開成した時に湯張り検知手段が湯張り検知するかどうかで給水遮断弁の動作チェックを行う事を特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記給水遮断弁の動作チェックは、給湯停止状態では湯張り開始前に常に行われるようにした事を特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記給水遮断弁の動作チェックの結果は、リモコンの表示部に表示するようにした事を特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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