説明

貯留部を有する液体投薬先端部

【課題】一部の商業的に利用可能な試験片のサンプル量の要件はサブマイクロリットルのレベルにまで達しているので、超過量の対照溶液が現行の先細の分注先端部によって送達される恐れがあり、使用者に不都合および厄介を生じてしまうことを回避する。
【解決手段】本発明は溶液を保存および分注する装置を含む。本発明の装置は、量の調節を容易にし、その適用を増加させ、その一方で、漏出または注射器の先端部の上側への流体の移動を最小限にする。さらに本装置は十分なサンプル量を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を保存および分注する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医療および実験用途において、例えば薬物、試薬など、単回の、または正確に測定された量の液状剤を提供または投与することが必要である。正確な量の試薬の流体が必要とされるそのような用途のうちの1つは、患者が利用できる、生理液中の身体の検体を測定するためのシステムにおいてである。そのようなシステムは通常、生理学的サンプルが用いられる試薬物質を含む試験片を含む。計器類はそのような試験片を受け取り、サンプルの被分析物濃度を決定するように構成される。そのような計器類および試験片を使用する前に、それらは通常、しばしば対照溶液と呼ばれる監視用の薬剤を用いて試験片の精度および効果を試験する方法によって調べられる。
【0003】
対照溶液はしばしばプラスチック製容器またはガラス製の容器に詰められている。それらの容器は、比較的不正確な対照溶液の液滴がボトルを圧搾することによって分注されるテーパの端部における小さな開口部を有して構成される分注先端部を有する。一般に、そのような容器から分注される対照溶液の量を正確に調節することは困難である。被検体物濃度を測定するためのシステムおよび装置の発展における進歩が益々なされてはいるが、対照溶液の保存に関する分野およびそれらの高度なシステムおよび装置を用いての分注においての進歩は限られている状態である。商業的に利用可能である対照溶液の容器は通常、診断用の試験片上に確実に実行する先細の分注用の先端部を有し、ここでは、例えば、5〜20μリットルの多量の対照溶液が必要とされる。しかしながら、そのような容器では、1μリットル未満を使用する今日のより高度な試験片に必要とされるより少量を分注するにはその正確さにおいて不十分である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一部の商業的に利用可能な試験片のサンプル量の要件はサブマイクロリットルのレベルにまで達しているので、超過量の対照溶液が現行の先細の分注先端部によって送達される恐れがあり、使用者に不都合および厄介を生じてしまう。圧力のかかる状態で対照溶液のボトルを保持しつつ、大きな液滴を試験片の反応域に正確に狙いを定めることは困難であることが多い。このことは特に、高齢の患者または取り扱いさに問題のある患者に当てはまる。なぜならば、試験片は分注された超過分の対照溶液を吸収することができず、その超過分は漏出する。これは特に問題であり、というのも、対照溶液は通常、赤色をしており、現実問題として血液に非常によく似ているからである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の記載において、本発明は被検体物濃度測定の用途、特に、血液中のグルコース濃度に関連して記載する。しかしながら、それらに限定する意図はなく、主題となる装置、システム、および方法が、試薬の使用と共に、例えば(限定を付さず)血中コレステロールレベルなどの他の物理的および化学的特性、または、例えば(限定を付さず)尿、唾液などの他の生物学的物質の測定に有用であることを当業者は理解する。同様に、本発明は正確な服用量を便利に供給することが必要とされる他の液状物質に関しても利用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(本発明の詳細な記載および好ましい実施形態)
図1は、本体4および取り外し可能なキャップ6を含む市販の流体−分注容器2の簡略図である。キャップ6は、使用しない間、必要に応じて本体4に取り付けて締めてもよく、(図1に図示しないが)分注先端部を清潔に保つ。キャップ6はまた、保存または輸送の際に容器から流体の漏出または流出の防止に役立つ。容器2は液体の対照溶液を保持し、通常は約3mlから約5mlの範囲で、およそ100回からおよそ200回の分注を提供し、通常は、約3ヶ月間存続する。
【0007】
容器4は変形可能なプラスチックでできていてもよい。しかしながら、例えば、ガラスなどの他の適切な容器の材料もまた、容器本体4に対して想到可能であり、それゆえ、本明細書に含まれることが意図される。用語「容器」を本明細書で一貫して使用するが、例えばボトルまたはバイアルなどの他の用語もまた互換的に用いてもよく、それゆえ、それらの用語は、本出願において、用語「容器」によって包括されることが意図される。当業者に明らかなように、そのような容器は、対照溶液を分注するための使用が本明細書において主に記載されるが、対照溶液以外の液体を分注するために用いてもよい。
【0008】
図2は図1の容器2の拡大図であり、ここで、キャップ6は容器本体4から取り除かれ、キャップ6を受けるように設計されたネジ山12を必要に応じて有する突起状のネック部10と、ノズル型の分注先端部8の先端に配置された小さな分注出口部14を含むノズル型の分注先端部8を露出させる。図3は、図2の従来技術の容器2の線A−A’の拡大断面図であり、分注される流体を収容する内部キャビティ16、必要に応じてネジ山12を有するネック部10、および保存キャビティ16と外部環境との間において直接に流体を連絡する小さな出口部14と繋がる漸次的に狭くなる流路20を形成する、内部の裁頭円錐形構造体(frusto−conical structure)18を呈する分注先端部8を含む、容器本体4を示す。
【0009】
図4は、図1から図3の容器2のさらなる斜視図であり、容器2から対照溶液の液体の液滴を分注するために通常使用する際に典型的な、反転した位置において示される。図4は、図2および図3に関連して既に記載した同一の特徴の多くを含み、ノズル型の分注先端部8において出口部14から出る液滴22をさらに含む。サンプル受取り領域26を有する簡略化された例における試験片24もまた図4に示す。
【0010】
図1から図4を参照し、患者が対照溶液を使用とした場合に、キャップ6が、通常、ねじ回す動作、または例えば、押−引の動作などの代替の動作を用いて、まず容器本体4から取り外される。容器本体4は次いで傾けられて、分注先端部8は、図4に示す配置として、新たな試験片24のサンプル受取り領域26から数ミリメートルの位置に保持される。使用者は次いで僅かな絞り圧力を容器本体4に加え、外部環境と流体連絡する出口部14を介して、容器2から対照溶液の液滴22を分注する。液滴22はまず出口部14から現われ、そこで蓄積され、次いで、分注先端部8の外表面の領域からぶら下がり、その液滴の表面に対する内部からの毛細管引力のために、即座に出口部14を囲む。このぶら下がった、または吊り下げられた液滴は問題含みとなる場合がある。というのは、そのような単回の液滴は、比較的量の多い液体であり、量の多い液体は、少量の液体を分注することが所望される場合には、それ自体が問題となるからである。
【0011】
対照溶液の試験を実行するために、使用者は次いで試験片24のサンプル受取り領域26のほうへ液滴26を近づけるように移動させる。接触時に、その流体は毛管作用により試験片24の反応チャンバのほうへ移行する。
【0012】
容器2および容器2から対照溶液などの流体を分注する工程は不利な点もある。第1に、容器は長時間の試用期間に亘って繰り返し開かれるため、空気中の汚染物質または表面上の汚染物質、例えば汚染物質を運ぶ可能性のある使用者の指などに対照溶液を露出する。というのも、対照溶液の使用者はしばしば器用さに欠けることがあり、使用者はキャップ6を掴み損なったり、および/または落下させてしまう恐れがあり、潜在的には、容器に保存された対照溶液をさらに汚染し、誤りのある試験結果を生じさせる。対照溶液が汚染されていると判断された場合、対照溶液を保存する容器全体を破棄し、新たな容器を開封しなければならず、使用者にさらなる費用を掛けさせてしまう。
【0013】
さらに、そのような従来技術の対照溶液の容器2は、比較的量の多い対照溶液が提供されると、その対照溶液の大部分が使用されるかなり前に、その対照溶液の有効性が期限切れとなってしまうため、患者の治療に対してさらなる費用を掛けてしまう。元々の封入物で密閉された対照溶液の保存期間は通常約1年から約2年であるが、使用者がいったん容器2を開封すると、その保存期間は上述した汚染の問題のために数ヶ月というように、即座に短くなってしまう。さらに、使用者が使用後にキャップ6を容器本体4に付け戻さない場合もある。意図的に、またはうっかりキャップ6を容器本体4に付け戻すことを忘れてしまうと、分注ノズルを周囲の空気に露出させたままにしてしまい、対照溶液が蒸発し、それにより有効成分に付随する濃度が変化してしまい、その結果、誤りのある値を生じる恐れがある。
【0014】
また、そのような従来技術の容器2内の対照溶液をそこから必要とされる量だけ正確におよび的確に分注することは困難である。使用者は、容器を絞って圧力をかけすぎてしまうことによって過度の対照溶液を適用してしまうか、または十分に絞らずに圧力をかけるために対照溶液を十分に適用しない恐れがあるため、分注される量は極めて使用者に依存することになる。対照溶液の流体は、試験片の充填を促進するために少量の界面活性剤を含んでもよく、さらには対照溶液が分注先端部8の側面に徐々に増える傾向を示す界面張力を低減し得る。これにより、使用者にとっては試験片24の受取り領域26に対照溶液の狙いを正確に定めることがさらに困難となる可能性がある。
【0015】
図5は本発明の一実施形態に係る例示的な流体分注容器100の側面図である。図5の流体分注容器は、容器本体102、ネジ山106を必要に応じて有するネック部104、ノズル型分注先端部108、袖部110を含む。図5の線B−B’は図6に示す断面の視野の線を示す。図示しないが、容器100は図1に示すキャップ6と類似するキャップを含んでもよく、必要に応じて、ネジ山106によって、容器本体102のネック部104に捩じって嵌め込んでもよい。しかしながら、キャップの取り付けの代替的な手段、例えば、押して嵌め込む手段などもまた当業者には明らかである。
【0016】
図6は図5の線B−B’の断面図を示し、ここで、容器本体102、必要に応じてネジ山106を有するネック部104、ノズル型または先細の分注先端部108、袖部110、キャビティ領域112、狭く先細となった裁頭円錐形の内部流路114、ならびに小さな出口部116およびその出口部116を囲む貯留部118を含む、容器100の内部構造の例示的実施形態を示す。貯留部118は袖部110の境界付近に形成される。
【0017】
図7は図6の断面図と類似しており、対照溶液の液滴を分注するために、容器100を通常使用する際に典型的な、反転した位置において示される。図7は図5および図6に関連して前述した同一の要素を多く含み、容器本体102のキャビティ112内の液体120の存在を示す。
【0018】
図5、図6、および図7を参照すると、その目的は、流出することなく試験片を満たすのに必要な、十分な量の流体を提供することにある。従来の容器から対照溶液を分注することにおける使用者制御の改良は、例えば小さな円筒状の管などの袖部110を分注先端部108に取り付けることによって達成し得る。袖部110を取り付けることによって、固定された、所定の量を有する貯留部118を提供することができ、対照溶液を必要とされる量だけ分注することを容易にする。さらに、袖部110により、図4を参照して検討したように、液滴を吊り下げる必要性が取り除かれるので、使用者が対照溶液の適用をさらに容易に行うことができる。
【0019】
実際には、使用者は袖部110によって包括された出口部116の周囲の貯留部118を満たすように容器を徐々に絞る必要があるのみである。容器本体102を徐々に絞ることのみが、対照溶液を、流路114を介して出口部116を経由して流れ出るために必要とされるので、使用者は、容器100を直立の位置において保持すると同時にこの必要を達成することができる。略直立の位置で使用することで、使用者は、対照溶液が移動して貯留部118を満たすのをはっきりと見ることができる。あるいは、使用者は、流体120を狭い先細の流路114を介して出口部116を通過して外へ分注するために、図7に示すように、ほぼ反転した位置まで容器100を傾かせてもよく、それにより流体を貯留部118に至らせることができる。次いで、対照溶液の流体120の必要とされる量は、毛管作用により袖部110の境界内に保持される。貯留部118の量と試験片に必要とされる量とを一致させることによって、本発明は無駄な対照溶液を除去する。
【0020】
袖部110は広がった領域、すなわち貯留領域を設けており、使用者が袖部110の端部を試験片24の受取り部26に接触させるまで、そこで対照溶液120が満たされ、毛管作用によって保持される。試験片24のサンプル受取り部26と貯留部領域118の端部との間において接触がなされる場合、対照溶液は毛管作用により試験片24に移行する。貯留領域118は試験片を満たすのに必要とされる対照溶液の量のみを保持するサイズに合わされる。試験片がいったん対照溶液と流体連絡すると、サンプルを満たすことは毛管作用によって完了し、流出する可能性のある対照溶液の量を減少させる。
【0021】
分注先端部108に取り付けられた単一の袖部110内に、広がった領域、すなわち「貯留」領域118を設けることにより、必要とされる対照溶液の量を一時的に保存することができる。これにより、使用者に対する適用の手順を簡略化し、必要とされる扱い難さを最小限にする。
【0022】
図8は本発明のさらなる実施形態に係る容器200の拡大断面図であり、該容器200は、容器本体202、必要に応じてネジ山206を有するネック部204、単一で構成される分注先端部208、出口部216へと導かれる狭い先細の流路214、および広がった貯留領域218を含む。図8は、本発明のさらなる例示的実施形態に係る容器200を提供し、対照溶液などの液体の分注に使用するのに適している。本実施形態によれば、分注先端部208は単一の構成として製造してもよく、それにより、図5から図7に関連して記載された追加の袖部材または別個の袖部材を取り除くことができる。例えば、複雑性、時間、および費用などの低減など、単一の構成として製造することには多くの利点が存在し得る。分注先端部208は、例えば射出形成法などの適切な技術を用いて製造してもよい。そのような技術はまた、大量生産性といった利点を提供する。
【0023】
図8の分注先端部208は、出口部216によって外部環境と流体連絡する狭い先細の内部流路214(図6および図7の流路114と類似する)を組み込んでいる。本実施形態において、流路214は環状で、流体出口部216の軸に対して同心円状に配置されてもよい。使用者が容器本体202の外側表面に圧力を加えると、流体は出口部216を介して現われ、広がった貯留領域218を満たす。その広がった開口部218のおおよその寸法は、狭い内部流路214の寸法よりも5倍から20倍程度大きくてもよい。本発明によれば、広がった貯留領域218は、対照溶液試験を使用者が試験するために、試験片の受取り部を満たすのに必要な対照溶液の量を収容できるように設計される。
【0024】
図8は方形の広がった貯留領域218を示し、さらなる詳細な情報を図9および図10に関連して提供する。図11は類似の部材を示すが、円形または半円形状の広がった貯留領域318を示す。図8および図11に提供する例示的な実施形態は本発明の実施形態の例示を純粋に意図し、任意のサイズおよび形状の広がった貯留領域、例えば円筒状、円錐状、または半球形状の貯留部などが想到可能であり、それゆえそれらは本発明において含まれることが意図されることは当業者に明らかである。
【0025】
図9は図8の分注先端部208の拡大断面図であり、該分注先端部208は、流体出口部216、および、直径d1および高さh1を有する、広がった貯留領域218を含む。図10は図8の分注先端部208の拡大断面図であり、該分注先端部208は、出口部216、および、直径d2および高さh2を有する、広がった貯留領域218を含む。
【0026】
図9および図10は、本発明に係る図8の分注先端部208の2つの例示的実施形態を提供し、その差異は、広がった貯留領域218の相対的な直径(d)および高さ(h)である。図9は、約1mmから約4mm、より典型的にはほぼ2mmの直径d1、および約1mmから約2mm、より典型的にはほぼ1.6mmの高さh1を有し得る、広がった貯留領域218を示す。そのような寸法は約5μリットルの容積容量を提供し、より大きい容量またはより小さい容量に適宜サイズ合わせしてもよい。
【0027】
図10に示す貯留領域218の第2の実施形態は、約1mmから約5mm、より典型的にはほぼ3mmの直径d2、および約0.5mmから約1.5mm、より典型的にはほぼ0.7mmの高さh2を有する。この第2の実施形態の寸法はまた、約5μリットルの対照溶液を保持するように特に設計されている。
【0028】
図9および図10に示す分注先端部の実施形態はそれぞれ、使用者が試験を開始し、新たな試験片のサンプル受取り部に対して貯留領域218の端部を接触させるまで、一時的に十分な量の対照溶液を保持し、流体を毛管作用により試験片の反応チャンバに移行させる。貯留領域218が一時的に流体を保持することで、使用者は直立の位置において試験片を容器に接触させることができるか、または代替として、使用者は、試験片に対照溶液を分注するのに最も快適な角度に容器を反転させてもよい。本発明のさらなる利点が直立した容器を用いて対照溶液を分注可能であることも明らかである。
【0029】
対照溶液または他の液状剤が用いられる用途に依存して、本発明の、広がった貯留領域の大きさを特定的に設計でき、約100ナノリットルから200μリットルの範囲であってよい。例えば血糖などの被検体の検出および測定のための、試験片のセンサに用いられる対照溶液に関しては、貯留部の大きさは、典型的には約1μリットルから20μリットルの範囲である。広がった貯留領域の直径はそれゆえ典型的には約1mmから約10mmの範囲内であってよく、さらに典型的には、約2mmから約4mmの範囲であってよい。同様に、広がった貯留領域の深さ(または、図9および図10においてh1およびh2として示す「高さ」)は、典型的には約0.5mmから約5mmであってよく、さらに典型的には約1mmから約2mmの範囲であってよい。値の範囲が提供された場合、その範囲の上限および下限と、その範囲内の他の任意の値または中間の値との間のあらゆる中間値は本発明に包括されることは理解されよう。
【0030】
図11は本発明のさらなる実施形態に係る容器300の断面図であり、該容器300は、容器本体302、(必要に応じて)ネジ山306を有するネック部304、分注先端部308、小さな流体出口部316へと導かれる、狭い先細の内部流路314、および広がった貯留領域318を含む。図11の容器300は図8の容器200と類似するが、一部の違いが存在する。第1の違いは流体−分注出口部を囲む、個々の広がった貯留領域の形状である。図11における広がった貯留領域318の実施形態は湾曲しているか、または半球形状で示されているが、図8、図9、および図10の例示的実施形態における広がった貯留領域218の形状は主に正方形または長方形で示されている。貯留領域の両方の形状、および当業者が想到可能な他の形状もまた、使用者が試験片のサンプル受取り領域に対照溶液の液滴を加えて、検体試験システムの精度および効果を調べるまで、少なくとも一時的に、毛管作用によって、必要とされる量の対照溶液を保持することができる。
【0031】
図9、図10、および図11に示す分注先端部の形状は、大きさおよび断面領域に関して適切な形状の例示であると理解されるべきであるが、任意の適切な三次元形状をその大きさ(例えば、球体形状、楕円形状、放物形状、円筒形状、円錐形状など)のために用いてもよく、任意の適切な二次元形状をその断面領域(例えば、長方形、三角形、楕円、平行四辺形などの四角形、五角形などの多角形など)のために用いてもよいことは当業者には明らかである。
【0032】
図11の容器300と図8の容器200との第2の主な違いは、任意的ではあるが、それらの製造工程にある。容器200の分注先端部208は別個で成形可能な部材として示され、必要に応じて容器本体202およびネック部204から別個に製造されるが、これに対して容器300の分注先端部308の領域は単一の部材として成形してもよく、すなわち、例えば容器本体302およびネック部304と組み合わせてもよい。単一の部品に容器300を成形することで、容器の複雑性を低下させ、製造および組立工程を簡素にすることができる。本発明を組み込む容器の製造手順における違いは想到可能であり、本明細書に含まれることが意図されることは当業者には明らかである。
【0033】
図12は本発明の流体分注先端部402の実施形態と共働するように特に設計されたキャップ408の例示的実施形態の拡大断面図400であり、流体出口部404、直径d3および高さh3を有する、広がった貯留領域406、および対応する深さp3を有するキャップの内部突出部410を含む。
【0034】
図13は、本発明の流体分注先端部502の実施形態と共働するように特に設計されたキャップ508のさらなる例示的実施形態の拡大断面図500であり、流体出口部504、底部の直径d4および高さh4を有する錐体の形状である、広がった貯留領域506、および対応する深さp4を有するキャップの内部突出部510を含む。
【0035】
図12および図13は本発明に係る分注先端部の設計の例示的実施形態を示し、先端の開口部を密封するように特に設計された容器キャップ(個々に、部品410および510)に追加の特性を盛り込んでおり、容器の輸送時の流体密封を確保し、信頼性のある保存を提供する。一実施形態において、キャップの突出部410および510は、信頼性のある密封を提供するために、それぞれ分注先端部402および502と、雄−雌の構造による共働関係を有してもよい。
【0036】
図12および図13において理解できるように、内部の突出部410および510は、共働する分注先端部の受取り部および広がった貯留領域406および506のそれぞれと連結するように特に設計される。その広がった貯留領域406および506はサイズ合わせされ、それに従って形状を合わされて突出部410および510を受け入れる。図12は、使用者が対照溶液を試験センサに加える準備をするまで、広がった領域406のサイズおよび形状が適切な量の対照溶液を保持するように特に設計されているだけでなく、その広がった貯留領域406のサイズおよび形状が内部の突出部410と共働して信頼性の高い信用できる密封を確保する手段を提供し、それにより、使用時以外において、容器から対照溶液が漏出する可能性を実質的に取り除くことを示す。内部の突出部410の深さp3は、広がった貯留領域406の高さh3と連携し、貯留領域406の直径d3はまた、内部の突出部410の対応する直径と連携する。それゆえ、対照溶液の容器が使用されていない場合、キャップ408は容器本体上に固定でき、その容器本体の分注先端部402と主に接触する。内部突出部410は貯留領域406内に密着して嵌合し、それによって流体出口部404上に信頼性の高い密封を形成する。
【0037】
同様に、図13は貯留領域506の高さh4に対応する錐体形状の内部突出部510の深さp4を示す。それゆえ、使用者がキャップ508を対照溶液の容器に、分注先端部502のところで取り付ける場合、突出部510は貯留領域506によって受け取られ、流体出口部504に渡って信頼性の高い密封を形成する。図12および図13は密封の特性用の設計を組み込んだ容器のキャップの例示的実施形態を示す。
【0038】
本発明は溶液を保存および分注する装置を含む。溶液は任意の種類の薬剤、試薬、または対照溶液であってもよい。多様な用途および設定に用いられる多様な種類の溶液が存在するので、本発明のシステムに用いることができる全ての可能な液体を挙げることは本開示の範囲を超える。しかしながら、主題となるシステムは、頻繁または不定期の使用での液体の単回分注を必要とする任意の用途において使用してもよい。以下で手段となる方法を記載するために、液体は、生理液のサンプル中の被検体濃度を測定するためのシステムの性能評価のための対照溶液である。そのような対照溶液の例は、米国特許第5,187,100号明細書および米国特許第5,605,837号明細書に開示されており、それらの開示については、その全体を本明細書において援用する。
【0039】
本発明により、サンプル量の制御がさらに容易となり、それにより対照溶液の試験手順関して使用者にさらなる信頼性を提供することを含む多くの利点が存在する。また、必要量に近い対照溶液の量を提供することによって、サンプルの漏出または分注先端部の上側への流体の移動を最小限にすることが本発明の分注先端部の狙いである。さらに、流体の量は、対照溶液の試験が実行される度に、十分なサンプル量を確保するのを補助する分注先端部の広がった領域において、少なくとも一時的に局部に留まり、保持される。
【0040】
本明細書に記載された流体分注先端部の例示的実施形態により、使用者がサンプルを、試験センサのサンプル受け領域に狙いを定めるのを容易にする。改良されたサンプルの適用により、不慮の流出を除去する必要性を実質的に取り除く。本発明の流体−分注先端部はまた、使用者の使用における取り扱いさの要求を最小化し、試験手順を容易にする。さらに、共働のキャップの設計は、容器が使用時以外、ならびに輸送時および保存時にも流体密封を維持することを確保する。
【0041】
本発明の分注先端部を組み込む対照溶液の容器はまた、未使用の対照溶液の汚染の危険性を低減し得るものであり、それにより、さらなる信頼性の高い測定システムを提供し、且つ保存期間を最大化することによって使用者に対してさらに費用効率を高め得る。汚染された対照溶液は不正確な結果を生じる恐れがあり、廃棄されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】対照溶液を保存および分注するために用いられる従来技術の注射器の例を示す。
【図2】キャップが取り除かれた状態における、図1の容器の拡大透視図である。
【図3】図2の容器の線A−A’の拡大断面図である。
【図4】反転された位置に置かれた、図1から図3の容器の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る例示的な流体分注容器の側面図である。
【図6】図5の線B−B’から見た断面図であり、本発明に係る容器の内部構造の例示的な実施形態を示す。
【図7】図6の類似する断面図であり、貯留部中に対照溶液を有し、反転された位置において容器を示す。
【図8】本発明のさらなる実施形態に係る容器の断面図である。
【図9】本発明に係る、図8の分注先端部8の第1の実施形態の拡大断面図である。
【図10】本発明に係る、図8の分注先端部8の第2の実施形態の拡大断面図である。
【図11】本発明のさらなる実施形態に係る容器の断面図である。
【図12】本発明の流体分注先端部の一実施形態と共働するように設計されたキャップの例示的な実施形態の拡大断面図である。
【図13】本発明の流体分注先端部の一実施形態と共働するように設計されたキャップのさらなる例示的な実施形態の拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体分注用の容器であって、
分注先端部および前記分注先端部から分注される液体を含む空洞内部を有する変形可能な容器本体と、
出口部へと導かれる先細の内部流路であって、前記出口部に液滴を通過させる、内部流路と、
前記出口部を囲む貯留部であって、液体の所定の量を保持するようにサイズを合わされた、貯留部と
を備える、容器。
【請求項2】
前記貯留部の領域は、約1.0mmから約10.0mmの範囲の直径、および約0.1mから約5.0mmの範囲の深さを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記貯留部の領域は、約2.0mmから約4.0mmの範囲の直径、および約1.0mから約2.0mmの範囲の深さを有する、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記液体の所定の量は、約100ナノリットルから約200μリットルの範囲である、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記液体の所定の量は、約1μリットルから約20μリットルの範囲である、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記貯留部は前記容器本体から取り外し可能である、請求項1に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−102070(P2009−102070A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−267605(P2008−267605)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(502328710)ライフスキャン・スコットランド・リミテッド (70)
【住所又は居所原語表記】Beechwood Park North,Inverness IV2 3ED
【Fターム(参考)】