説明

賃貸住宅管理システム

【課題】賃貸マンションや賃貸アパート等の賃貸共同住宅において、ロックアウト機能を要求される場合にはロックアウトが極めて簡単且つ確実に行える賃貸住宅用鍵システムを提供する。
【解決手段】賃貸住宅の各室に配置され、玄関扉に設けられた錠を制御する室内端末10と、この室内端末10が接続された賃貸住宅の管理装置50とからなり、管理装置50は、各室の家賃が振り込まれる口座が設けられている銀行端末80と接続されており、銀行端末80から家賃の滞納情報を取得したときには、滞納している室の室内端末10にロックアウト指令信号を送信し、室内端末10はこのロックアウト指令信号を受けて玄関扉に設けられた錠をロックアウトする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、賃貸住宅(以下においては、賃貸物件ともいう。)の各室に配置され、玄関扉に設けられた錠を制御する室内端末と、この室内端末が接続された賃貸住宅の管理装置とからなる賃貸住宅管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
賃貸マンションや賃貸アパートあるいは賃貸一戸建て住宅等の賃貸物件の家主は、一般に、不動産仲介業者に仲介を依頼して入居希望者を斡旋してもらう。一方、入居希望者は不動産仲介業者の店舗又は賃貸物件の情報誌やインターネット等に掲載された多数の物件情報から自己の希望条件に見合うものを収集し、その中に実際に内覧したい物件があったときは、その物件を管理している不動産仲介業者を訪れて営業マンに同行してもらい営業マンと一緒に物件を内覧する。内覧の結果、入居希望者がその物件を気に入り、家主と入居希望者との間で賃貸条件について合意をみれば賃貸契約に至り、不動産仲介業者は両者から仲介・斡旋料を受け取る。このような賃貸物件に係る一連の流れは、賃貸物件において退居により空室が生じるたびに繰り返されている。図11は、これを図式化したものである。
【0003】
ところで、上記した賃貸物件に係る一連の流れにおいては、各賃貸物件の玄関扉の鍵の管理が、退居後の原状復旧作業や内覧の円滑化といった点、また入居後のセキュリティの確保といった点等から重要なものとなっている。
【0004】
ここでは、特にマンションやアパート等のいわゆる賃貸共同住宅における鍵の管理について、従来から最も一般的に行われているシステムについて説明する。
【0005】
まず、鍵と対になる錠それ自体についてであるが、賃貸共同住宅においては、退去者が居住当時に勝手に作成し不動産仲介業者が関知することのできない合鍵が退去後もみだりに使用されてしまう虞がないよう、退去がある都度、錠(その多くはシリンダ錠である。)の交換が実施されている。具体的には、予め共同住宅の棟ごとに2,3個の予備のシリンダ錠とそれらシリンダ錠にそれぞれ対応する鍵が用意されており、退居があればその退居があった部屋のシリンダ錠を予備のシリンダ錠と交換して、退居があった部屋から取り外したシリンダ錠を新たな予備のシリンダ錠として保管し、以後このような交換作業を退去の都度繰り返すといった、いわゆるシリンダ錠のロ−テ−ションを行っている。また、不動産仲介業者は、賃貸物件ごとにその全室のシリンダ錠に対応するマスターキーと、空室のシリンダ錠に対応する鍵と、上記した予備のシリンダ錠に対応する鍵とを保管している。
【0006】
次に、鍵の管理運用について、図11を参照して説明する。なお、ここでは、賃貸物件において退居があったときから次の退去時までを一サイクルとし、この一サイクルに沿って時系列に詳述する。
【0007】
まず、ある部屋で退去があると、不動産仲介業者は退去者から先の賃貸契約時に渡した鍵を回収するとともに、その退去があった部屋の玄関扉のシリンダ錠を、別途保管していた予備のシリンダ錠と交換する。
【0008】
次に、不動産仲介業者は、退去によって空室となった部屋の畳の交換や壁紙の張り替えといった原状復旧工事を直接工事業者に依頼するか、あるいは家主にその原状復旧工事の発注を依頼する。
【0009】
原状復旧工事を請け負った工事業者は、工事現場に向かう前に、不動産仲介業者の店舗に立ち寄り、工事現場である部屋の鍵(マスターキー)を借り受け、この鍵を使って室内に入り工事を行う。その日の工事を終了すると、工事業者はその鍵で施錠を行い、再び不動産仲介業者の店舗に立ち寄って鍵を返却する。原状復旧工事が2日以上に亘る場合は、2日目以降も上記したような工事業者による鍵の借り受け、返却が工事の都度繰り返される。
【0010】
次に、上記の原状復旧工事が完了したならば、その部屋は新たな入居希望者からの賃貸契約の申し込みを待つこととなる。入居希望者が現れ、その者が物件の内覧を希望したときは、不動産仲介業者の営業マンは、店舗に保管している鍵の中から当該物件の鍵(マスターキー)を取り出し、その鍵を持って入居希望者と共に現場に向かう。現場では、営業マンが所有する鍵でその部屋の錠を解錠し、入居希望者に内覧させる。ここで、入居希望者が複数の物件について内覧を希望したときは、営業マンはその物件個々の鍵を持って、入居希望者と共に順次物件を回ることとなる。このようにして内覧が終われば、営業マンは所持していた鍵を元の保管場所に戻す。
【0011】
内覧の末、入居希望者が気に入る物件があり、家主と入居希望者との間で賃貸条件について合意をみれば賃貸契約に至る。不動産仲介業者は、賃貸契約締結後、当該物件の鍵(本キー)を入居希望者に引き渡す。以後、その鍵は、当然のことながら、その入居希望者のみによって保管される。そして、将来、その者が退去することとなったときは、再び上記した退去時に戻り、以後上記のサイクルが繰り返される。
【0012】
ところで、賃貸契約はそのすべてが完全に履行されている訳ではなく、なかには家賃滞納や夜逃げ等、入居者側の一方的な債務不履行があるため、不動産仲介業者及び家主としてはそのような債務不履行に対して賃貸契約に基づき何らかの措置を迫られることになる。例えば、入居者が入居を続けたまま家賃を滞納し続けた場合、家主は不動産仲介業者にロックアウトを依頼することがある。このロックアウトとは、滞納家賃の支払いが完了しない限り入居者が部屋を使用できなくするため、入居者が外出している隙に玄関扉の錠周りに特殊な器具を取り付けて錠を封鎖することをいう。このロックアウトが行われると、入居者は鍵を鍵穴に差し込むことが一切できなくなるため、部屋に入れないことになる。このような措置を受けた入居者は、引き続き入居を希望する限りは、速やかに滞納家賃を支払うほかなく、そうでなければ家主側から賃貸契約を解除され、強制的に退去させられることになる。
【0013】
上記したロックアウトのための器具は、通常、たやすくは破壊されないよう堅牢な金属製のものであり、複数個が不動産仲介業者により常備されている。そして、家主からの依頼があれば、業者は担当者にその器具を持たせ、上記したロックアウトを実行させる。
【0014】
また、滞納家賃が支払われなかったことにより賃貸契約が解除された場合に、入居者自らが室内の家具等の所有物をすべて運び出して部屋の明け渡しをすればよいが、夜逃げなど入居者が自己の所有物を室内に放置したまま行方を晦ましたりした場合は、不動産仲介業者及び家主は合法的に所有物を室外に排出し、その部屋を次の新たな賃貸契約のために空室としなければならない。このような場合、通常、その部屋の鍵は行方を晦ました入居者が所持したままであることから、不動産仲介業者は、前記したマスターキーを用いて解錠し部屋に入ることとなる。尚、マスターキーを使用する場面は、上述の場合に限らず、事件、事故等の緊急時にもマスターキーが使用される。例えば、ある部屋が刑事事件に関連する現場となっており、入居者が不在時に警察又は検察から捜査や現場検証等の目的でその部屋の解錠を要請された場合、また、ある部屋で入居者が不在時にガス漏れ事故や水漏れ事故等が発生し、消防や家主から事故対応の目的でその部屋の解錠を要請された場合、あるいは急病等で動けなくなった入居者を救出する場合等にも、不動産仲介業者の担当者がマスターキーを持って警察、検察又は消防の係官あるいは入居者の親族等の立ち入りに立ち会い、マスターキーで解錠を行うことがある。
【0015】
以上述べた従来の賃貸住宅の鍵の管理運用においては、次に詳述するような多くの問題点があった。
【0016】
まず、セキュリティの面では、前述したように、退去の都度シリンダ錠の交換を行っているが、所詮シリンダ錠の使い回しにすぎないため、管理外の合鍵が存在した場合、その合鍵を悪用される虞があった。すなわち、シリンダ錠の総個数は賃貸物件の棟ごとにその棟内の全戸数に相当する個数と予備のシリンダ錠の個数との和であるが、予備のシリンダ錠の個数は多くてもせいぜい2、3個であるうえに、入退去が1、2年毎に繰り返されると、シリンダ錠の総個数の多少に拘らず、棟内のいずれかの部屋にはその部屋とは異なる他の部屋で数年前に使用されていたシリンダ錠が再び使用されることになる。このような状況において、その再び使用されているシリンダ錠に対応する鍵の合鍵が依然として存在していたとすると、その合鍵を所持した悪意を有する者に不当に解錠されてしまう虞があるといった問題があった。
【0017】
また、マスターキーが不動産仲介業者で保管されていることから、そこに勤務する又は過去に勤務していた従業員の中で悪意を有する者がマスターキーの合鍵を勝手に作製し、この合鍵を使って部屋に不法侵入する事件が繰り返し発生しているといった問題があった。
【0018】
上記したような合鍵の存在は、入居者にとって、見ず知らずの第三者にいつ何どき不法侵入されるかわからないといった不安を与え続けることになり、特に独り暮らしの若い女性にとっては深刻な問題であった。このため、性犯罪が増加傾向にある近年では、合鍵の不安の度合いが、独り暮らしの若い女性にとって賃貸物件を選択する際の重要な要因となってきており、不動産仲介業者は否応なくその対応に迫られているのが現状である。
【0019】
次に、鍵そのものの管理の面では、不動産仲介業者が取り扱う物件の数は、通常、数百から数千に及ぶため、不動産仲介業者にとっては、部屋ごとの鍵の管理はかなりの負担となっている。具体的には、上述したように退去後の原状復旧工事が行われている期間中は工事業者への鍵の貸し出しを管理する必要があり、また、内覧受付期間中は入居希望者と一緒に現場へ赴く営業マンへの鍵の貸し出しを管理する必要があり、このような管理業務は取り扱う物件数が多いほどより煩瑣なものであった。
【0020】
さらに、不動産仲介業者は、内覧の都度、営業マンを案内係として入居希望者に同行させなければならないため、例えば3月、9月、12月等の移動期の週末など、内覧を希望する入居希望者が多い繁忙時には、物件を案内する担当者の数が不足して適時対応できなくなる場合があるだけでなく、営業経費が嵩む原因にもなるといった問題があった。
【0021】
また、内覧を希望する入居希望者にとっては、常に不動産仲介業者の担当者が内覧に付き添っているため、自己のペースで気軽にゆっくりと内覧することができないといった問題もあった。
【0022】
さらに、近年不況の煽りを受けて家賃滞納者が増加傾向にあり、これに伴い前述したロックアウトの要請が増えているため、不動産仲介業者の担当者がロックアウト用の器具を持って該当物件に出向く回数が増えつつあり、このことも営業経費が嵩む原因になるばかりでなく、内覧の繁忙時にロックアウトの要請があったときはその対応に苦慮するといった問題があった。
【0023】
また、ロックアウト用の器具は、一般に前述した如く堅牢な金属製であることから、大きくてしかも重く、このような嵩張る重量物を持って現場に赴くことは不動産仲介業者の担当者にとってかなりの重労働となっていた。加えて、不動産仲介業者は各店舗に複数個のロックアウト用の器具を常備しているが、それらが嵩張るため、狭い店舗では保管場所に困るといった問題もあった。
【0024】
そこで、前述したセキュリティ及び鍵の管理の面での問題を解決するものとして、カードを利用した鍵の管理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0025】
この管理システムは、カ−ド錠本体内にセットされるコ−ドカ−ドと該錠本体に差し込まれるキ−カ−ドにより施錠,解錠を操作するようにしたカ−ドキ−式錠を共同住宅等に使用し、カ−ド錠本体を扉の室外側に設け、コ−ドカ−ドを錠本体にセットするための挿入口を開閉蓋で閉鎖し、カ−ド錠本体にコ−ドカ−ドに対応するキ−カ−ドが差し込まれたとき、開閉蓋を開放可能とし、室外側から上記コ−ドカ−ドを交換可能としたものである。
【0026】
また、内覧に伴う不動産仲介業者の負担を軽減するとともに、入居希望者が自己のペースで気軽にゆっくりと内覧することができるよう、コンピュータやインターネットを利用した各種の不動産仲介業務支援システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0027】
特許文献2に記載の発明は、内覧の際に、不動産仲介業者が入居希望者に見学用品を貸与して、希望物件の所在地まで顧客のみで行くようにした自己見学システムに係り、貸与される見学用品として、物件所在地までの地図を画面表示する携帯型ナビゲーターと、当該物件の入口を開ける合鍵とが含まれ、合鍵には、複製防止手段が施されていることを特徴とするものである。
【0028】
さらに、暗証番号によって解錠できるようにした錠装置であって、入居者用の暗証番号と内覧者用の暗証番号を区別し、不正な侵入や盗難を防止し、防犯効果の向上を図った暗証番号入力式錠装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0029】
特許文献3に記載の発明は、入居者用の第1暗証番号が設定されている場合には、内覧用の第2並びに工事業者用の第3暗証番号は無効化され、第2及び第3暗証番号の入力により解錠することができないようにする一方、第1暗証番号がクリアされて設定されていない場合には、第2及び第3暗証番号は有効化され、第2又は第3暗証番号の入力により解錠することが可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開平11−315656号公報
【特許文献2】特開2002−183277号公報
【特許文献3】特開2004−218293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
しかしながら、上記いずれの従来技術によっても、前述した問題は完全に解決されではいない。
【0032】
すなわち、特許文献1に記載の発明にあっては、基本的にカードを利用したものであるから、依然として不動産仲介業者は管理者用キーカードとコードカードとを管理する必要がある。したがって、鍵がカードに代わったに過ぎず実質的に鍵の管理負担が皆無とはなっていない。また、その管理者用キーカードを使用すれば、入居者以外の者にも解錠でいきることから、不動産仲介業者の従業員や元従業員の中で悪意の者がいた場合には、その者に悪用される虞がある。したがってセキュリティ面の問題が完全に解消されてもいない。
【0033】
また、特許文献2に記載の発明にあっては、基本的に鍵を利用したものであるから、依然として不動産仲介業者はその鍵を管理する必要がある。したがって特許文献1に記載の発明と同様鍵の管理負担が皆無とはなっていない。しかも、この発明における合鍵は複製防止手段が施されてはいるが、複製が完全に不可能ではないと発明者自らが認めているところであるから、依然としてセキュリティ面の問題が完全に解消されてもいない。
【0034】
さらに、特許文献3に記載の発明にあっては、暗証番号だけを使用するものであるから、特許文献1や2に記載の発明における上述した問題はないものの、不動産仲介業者や家主が管理する暗証番号は随時入力可能であるため、入居者にとっては、不動産仲介業者の社員又は退職者のうち悪意のある社員によりいつ侵入されるかわからないといった不安を払拭することができない。したがって、この発明によっても依然としてセキュリティ面の問題が解消されていない。
【0035】
さらに、上記特許文献1〜3に記載の発明にあっては、上記ロックアウトの要請についてまでは全く考慮されていない。
【0036】
要するに、賃貸住宅の鍵に関わる前述したような多種多様な問題を悉く解決しうる発明はこれまで提案されていないに等しい。
【0037】
そこで、本発明は、特に賃貸マンションや賃貸アパート等の賃貸共同住宅において、入居者には満足のいく極めて高度なセキュリティを提供し得ることに加え、ロックアウト機能を要求される場合にはロックアウトが極めて簡単且つ確実に行える賃貸住宅用鍵システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
上記目的を達成するため、本発明の賃貸住宅管理システムは、賃貸住宅の各室に配置され、玄関扉に設けられた錠を制御する室内端末と、この室内端末が接続された賃貸住宅の管理装置とからなる賃貸住宅管理システムであって、前記管理装置は、各室の家賃が振り込まれる口座が設けられている銀行端末と接続されており、前記銀行端末から家賃の滞納情報を取得したときには、滞納している室の室内端末にロックアウト指令信号を送信し、室内端末はこのロックアウト指令信号を受けて玄関扉に設けられた錠をロックアウトすることを特徴とするものである。前記錠は、閉扉すると自動的に施錠される一方、室内側からは自由に解錠可能な構成とする。また、前記室内端末は、前記玄関扉の室外側に設けられ、解錠用暗証コードの入力を受け付ける暗証コード入力手段と、解錠用暗証コードの設定及び変更を受け付ける暗証コード設定手段と、この暗証コード設定手段が起動されたとき、それまで保持していた記憶内容を消去したのち一定時間内に前記暗証コード入力手段が受け付けた一つ又は複数の解錠用暗証コードを新たに記憶する解錠用暗証コード記憶手段と、前記暗証コード入力手段が受け付けたコードと前記解錠用暗証コード記憶手段に記憶された解錠用暗証コードとを比較し、両コードが一致したと判断したとき、認証信号を出力する暗証コード比較手段と、この比較手段から出力される認証信号を受けて前記錠を解錠する解錠手段とを備え、前記ロックアウト指令信号を受けたとき、前記解錠手段の機能を停止させる構成となっている。
【0039】
以下、本発明に係るシステムの運用について説明し、これにより本発明の作用を明らかにする。なお、ここでも、従来の鍵の管理運用について説明した場合と同様、図10を参照しつつ、賃貸物件において退居があったときから次の退去時までを一サイクルとしこの一サイクルに沿って時系列に詳述する。
【0040】
まず、ある部屋で退去があると、不動産仲介業者は、退居のあった部屋に赴き、退去者から退居の際に知らされた解錠用暗証コードを室内端末の暗証コード入力手段から入力する。これを受けて、暗証コード比較手段は、暗証コード入力手段が受け付けたコードと、退居者によって以前に解錠用暗証コード記憶手段に記憶された解錠用暗証コードとを比較し、両コードが一致したと判断すれば認証信号を出力する。これにより解錠手段は錠を解錠するので、不動産仲介業者はその部屋への入室ができるようになる。なお、玄関扉の錠は、不動産仲介業者が一旦室外に出て玄関扉が閉まると自動的に施錠される。
【0041】
ところで、退居者から解錠用暗証コードを知らされていなかった場合は、不動産仲介業者は退居のあった部屋に出向く際、店舗に保管している強制解錠具を携行する。解錠にあたっては、強制解錠具を解錠具受付手段に受け付けさせたのち、強制解錠用暗証コードを暗証コード入力手段から入力する。これを受けて、暗証コード比較手段は、暗証コード入力手段が受け付けたコードと、強制解錠用暗証コード記憶手段に記憶されている強制解錠用暗証コードとを比較し、両コードが一致したと判断すれば認証信号を出力する。これにより解錠手段は錠を解錠するので、不動産仲介業者はその部屋への入室ができるようになる。
【0042】
次に、不動産仲介業者は、上記のようにして退去後の部屋に入室後、室内端末に設けられている暗証コード設定手段を操作して、解錠用暗証コード記憶手段から退居者が記憶させていた解錠用暗証コードを消去する。この後、不動産仲介業者は、管理装置の管理者に電話等で暗証コードを消去したことを連絡する。この連絡を受けた管理者は、管理装置から当該室内端末に対して工事業者専用の解錠用暗証コードを送信する。これにより、工事業者専用の解錠用暗証コードが解錠用暗証コード記憶手段に新たに記憶される。なお、不動産仲介業者が入室するに際して上記の強制解錠具を使用した場合は、工事業者専用の解錠用暗証コードが設定される前に、強制解錠手段の効力を失効させておく。
【0043】
以上のようにして工事業者専用の解錠用暗証コードの設定が完了したならば、不動産仲介業者は、退去によって空室となった部屋の畳の交換や壁紙の張り替えといった原状復旧工事を直接工事業者に依頼するか、あるいは家主にその原状復旧工事の発注を依頼するとともに、工事業者専用の解錠用暗証コードを工事業者又は家主に連絡する。
【0044】
この連絡を不動産仲介業者から直接又は家主を通じて受け取った工事業者は、不動産仲介業者の店舗に立ち寄ることなく工事現場に向かい、入室に際し工事業者専用の解錠用暗証コードを暗証コード入力手段から入力する。これを受けて、暗証コード比較手段は、暗証コード入力手段が受け付けたコードと、不動産仲介業者により解錠用暗証コード記憶手段に記憶された工事業者専用の解錠用暗証コードとを比較し、両コードが一致したと判断すれば認証信号を出力し、これにより解錠手段は錠を解錠する。以後その部屋への入室は工事業者専用の解錠用暗証コードを暗証コード入力手段から入力することで自由にできるようになる。このため、工事業者は、工事に向かう都度不動産仲介業者の店舗に立ち寄ることなく工事現場に直行すればよい。
【0045】
次に、原状復旧工事が完了したならば、不動産仲介業者は工事の仕上がり具合を点検しに部屋に出向き、内覧専用の解錠用暗証コードを使って入室し、室内を点検する。この点検が完了したならば、その部屋は新たな入居者からの賃貸契約の申し込みを待つこととなるので、不動産仲介業者は、電話等により管理装置の管理者に現状復旧工事が完了したことを連絡する。この連絡を受けた管理者は、管理装置から当該室内端末に対して内覧専用の解錠用暗証コードを送信する。これにより、工事業者専用の解錠用暗証コードが消去され、内覧専用の解錠用暗証コードが解錠用暗証コード記憶手段に新たに記憶される。従って、工事業者専用の解錠用暗証コードがこれ以降無効となるので、以後は内覧専用の解錠用暗証コードを知っている不動産仲介業者だけが入室でき、工事業者にみだりに入室されることはない。
【0046】
その後、入室希望者が現れ、その者が物件の内覧を希望したときは、不動産仲介業者は、その入居希望者に、内覧を希望する物件の所在地とアクセス方法及び上記の通りに設定した内覧専用の解錠用暗証コードを案内する。ここで、入居希望者が内覧を希望する物件が複数の場合は、不動産仲介業者はそのすべてについて同様の案内を一括して行う。尚、その際、内覧専用の解錠用暗証コードがその入居希望者によって後日悪用されることがないよう、その者の身元を確認しておく。
【0047】
不動産仲介業者から物件の所在地とアクセス方法及び内覧専用の解錠用暗証コード並びに暗証コード入力手段の操作方法の案内を受けた入居希望者は、その案内に従って希望する物件に向かい、入室に際し内覧専用の解錠用暗証コードを暗証コード入力手段から入力する。これを受けて、暗証コード比較手段は、暗証コード入力手段が受け付けたコードと、不動産仲介業者により解錠用暗証コード記憶手段に記憶された内覧専用の解錠用暗証コードとを比較し、両コードが一致したと判断すれば認証信号を出力し、これにより解錠手段は錠を解錠する。その後、入居希望者はその物件の室内に入り内覧するが、不動産仲介業者の案内担当者は同行していないので、心置きなく納得のいくまで内覧することができる。その一方、不動産仲介業者は、入居希望者に同行する必要がない分店舗での営業業務に専念することができ、新たな他の入居希望者の対応に務めることができる。内覧が終わったならば、錠は室内側からは自由に解錠可能であることから、入居希望者は難なく玄関扉を開けて室外に出ることができる。また、入居希望者が一旦室外に出て玄関扉が閉まると、玄関扉の錠は自動的に施錠され、以後、内覧専用の解錠用暗証コードを知っている入居希望者と不動産仲介業者以外の出入りは阻止される。入居希望者は、その後、不動産仲介業者に連絡することなく帰るかもしくは次の物件に向かう。
【0048】
内覧の末、入居希望者に気に入る物件が見つかり、家主と入居希望者との間で賃貸条件について合意をみれば賃貸契約に至る。不動産仲介業者は、賃貸契約後、正式に入居することとなった入居者に鍵システムの使用方法を案内する。
【0049】
入居当日、既に鍵システムの案内を受けた入居者は、その案内に従い、入居者専用の解錠用暗証コードの設定作業を次の通り行う。
【0050】
まず、入居者は先の内覧専用の解錠用暗証コードを使って室内に入り、暗証コード設定手段を操作してから、一定時間内に暗証コード入力手段より自己専用の解錠用暗証コードを入力する。この一連の操作により、解錠用暗証コード記憶手段は、それまで保持していた記憶内容、つまり内覧専用の解錠用暗証コードを消去したのち、暗証コード入力手段が受け付けた入居者専用の解錠用暗証コードを新たに記憶する。これにより、内覧専用の解錠用暗証コードは無効となり、以後は入居者だけが入室でき、不動産仲介業者も含めて入居者以外の第三者にみだりに入室されることはない。
【0051】
また、室内端末は、暗証コード設定手段の操作によって解錠用暗証コードが設定されたことを確認すると、この時点で解錠用暗証コード記憶手段に記憶されている解錠用暗証コードが他の解錠用暗証コードによって不測に上書き消去されないように、記憶内容を保護する。これにより、室内端末は、管理装置から解錠用暗証コードが送信されてきてもこれを無効として扱う(すなわち、受け付けを禁止する)ので、解錠用暗証コード記憶手段に記憶されている解錠用暗証コードが管理装置によって不測に変更されてしまうことがない。これにより、以後は入居者だけが入室でき、不動産仲介業者も含めて入居者以外の第三者にみだりに入室されることはない。
【0052】
ここで、入居者は自己専用の解錠用暗証コードだけを設定するにとどまらず、入居者が自由な出入りを認めうる、例えば、入居者と同居していない配偶者、子、親兄弟、又は恋人や愛人、あるいは家政婦や介護ヘルパー等といった自己以外の者専用の暗証コードも、自己専用の暗証コードを設定するときに同時に設定してもよい。なお、後日、自己以外の者専用の暗証コードを追加設定する場合は、上記と同様の操作を行うが、このとき、暗証コード設定手段を操作した時点で、それまで解錠用暗証コード記憶手段に記憶されていた解錠用暗証コードは、入居者のものも含めて全てが消去されるため、消去される解錠用暗証コードも含めたすべての解錠用暗証コードを設定し直す必要がある。
【0053】
このように、本発明にあっては、暗証コード設定手段を操作することで、解錠用暗証コード記憶手段は、それまで保持していた記憶内容を消去したのち、一定時間内に暗証コード入力手段が受け付けた解錠用暗証コードを新たに記憶するように構成されているから、以前の入居者が設定した解錠用暗証コードや、工事業者専用及び内覧専用の解錠用暗証コードがシステム内に残存するようなことがない。従って、入居者は、自ら設定した解錠用暗証コードを他人に漏洩しない限り、未知なる第三者によって解錠されてしまうかもしれない、といった不安から完全に開放される。
【0054】
以上のようにして鍵システムの設定作業が完了した後は、入居者は、日常、暗証コード入力手段から解錠用暗証コードを入力することで玄関扉の錠を解錠し入室する。また、入居者から入室を許可され、解錠用暗証コードを割り振られている者は、入居者が留守のときでも、自己に割り振られた解錠用暗証コードを暗証コード入力手段から入力することで錠の解錠を行い、入室することができる。ここで、玄関扉の錠は、入居者が独自に設定した解錠用暗証コードの入力がなされない限り解錠されないため、その物件を管理する不動産仲介業者であっても、また家主であっても、錠の解錠は行えず、また、前の入居者も原状回復工事を行った工事業者も内覧したことのある他人も同様に錠の解錠は行えない。
【0055】
このような日常生活において、入居者は、月々の家賃を家主指定の銀行口座に振り込むことになる。家賃が振り込まれると、その振込情報が銀行端末から管理装置に通知される。管理装置は、この振込情報を確認することで、入居者の家賃支払い状況を管理する。
【0056】
ここで、入居者の家賃未納が発生した場合、銀行端末から管理装置に家賃の滞納情報が通知される。管理装置は、この滞納情報に従って、滞納している室の室内端末にロックアウト指令信号を送信し、室内端末は、このロックアウト指令信号を受けて解錠手段の機能を停止させ、玄関扉に設けられた錠をロックアウトする。この場合、錠をロックアウトした後であっても、室内側からは玄関扉の開閉を可能とする。これにより、錠をロックアウトしたとき、室内に入居者が居た場合でも、その後入居者が外出した時点でロックアウトが有効に機能する。すなわち、その後に解錠用暗証コードが入力されても、錠は解錠されなくなるため、入居者は一切入室できなくなる。
【0057】
また、本発明によれば、前記管理装置は、前記銀行端末から家賃の滞納情報を取得したときには、前記ロックアウト指令信号を送信する前に、前記室内端末に対して家賃納付の催促メッセージを送信し、前記室内端末は、表示部に前記催促メッセージを表示するように構成してもよい。このように催促メッセージを表示することで、家賃未納を入居者に認識させ、ロックアウト前に家賃を振り込む機会を与えることができる。
【0058】
さらに、本発明によれば、前記管理装置は、前記催促メッセージを送信後、前記銀行端末から振込情報が通知されないまま一定期間が経過したとき、又は前記銀行端末から毎月の家賃の滞納情報を予め設定された複数回連続して取得したときには、前記室内端末に対して家賃納付の警告メッセージを送信し、前記室内端末は、表示部に前記警告メッセージを表示するように構成し、この警告メッセージを送信後、所定期間経過後に前記ロックアウト指令信号を送信するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、入居者が入居を続けたまま家賃を滞納し続けた場合に、不動産仲介業者や家主に負担をかけることなくロックアウトを確実に実施することができる。そのため、ロックアウト作業における不動産仲介業者の担当者の負担を完全に無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態に係る賃貸住宅管理システムのシステム構成図である。
【図2】入居者データベースのデータ構成例を示す説明図である。
【図3】室内端末の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】室内のリビング等の壁に配置固定される室内端末の外観図である。
【図5】玄関扉に設けられた錠の外観図である。
【図6】玄関扉に設けられた錠の外観図である。
【図7】玄関扉に設けられた錠の外観図である。
【図8】入居者による解錠用暗証コードの設定の流れを示すフローチャートである。
【図9】管理装置のロックアウト処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る鍵システムにおける退去から次の退去までの流れを説明する図である。
【図11】従来例における退去から次の退去までの流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0062】
図1は、本実施の形態に係る賃貸住宅管理システムのシステム構成図である。
【0063】
この賃貸住宅管理システムは、賃貸マンション等の各室に配置され、玄関扉に設けられた錠を制御する室内端末10と、この室内端末10が通信回線Nを介して接続された1又は複数の賃貸マンション等を管理する管理装置50とからなり、管理装置50は、各賃貸マンションの各室の家賃が振り込まれる口座を開設した銀行のネットサービス用端末(以下、銀行端末という。)80と通信回線Nを介して接続された構成となっている。
【0064】
管理装置50は、入居者を管理するための入居者データベース52を備えている。図2は、入居者データベース52のデータ構成例を示している。この入居者データベース52は、賃貸マンション名、室番号、入居者氏名、電話番号、・・・、入金記録、滞納情報、対応、ロックアウトの有無、等の各項目からなっている。入金記録の項目には、例えば各月の何日に入金(振り込み)があったかなどの情報が入居時から履歴として記録されている。また、滞納情報の項目には、滞納があった場合の連続滞納回数が記録されるようになっており、対応の項目には、滞納があった場合にどのような対応策をとったのかが記録されるようになっており、ロックアウトの有無の項目には、対応策の一つとしてロックアウトを行っているのか否かが記録されるようになっている。なお、これらの処理については後述する。
【0065】
管理装置50と各室内端末10とはモデム51,61を介して接続されており、賃貸マンション等に設置されたモデム61と各室内端末10とが回線切替器60を介して接続されている。回線切替器60と各室内端末10とは例えばRS422AやRS232C等のシリアルインターフェースによって接続されている。回線切替器60は、管理装置50から送信されてくるデータを解読し、各室ごとに振り分けて各室の室内端末10に送信する一方、各室の室内端末10から送信されてきたデータを解読して管理装置50に送信する。室内端末10は、管理装置50から送信されてきたデータに基づいて各部の処理を行う。なお、図示は省略しているが、回線切替器60や各室内端末10は無停電電源により保護されており、停電時にも動作するようになっている。
【0066】
図4は、室内の例えばリビング等の壁に配置固定される室内端末10の外観図であり、端末本体10aの下部には、解錠用暗証コードの設定及び変更を受け付ける暗証コード設定手段としての端末本体側テンキー/設定ボタン7aが配置されており、その上部に液晶表示部15が配置されている。また、液晶表示部15の横には、各種センサ群16によって検知された信号による動作状態を点灯又は点滅表示するためのLEDランプ17が設けられている。端末本体側テンキー/設定ボタン7aには、0〜9の数字が付された少なくとも10個のボタンからなる端末本体側テンキー71に加え、後述する設定ボタン72と解除ボタン73とが配置されている。なお、暗証コード入力手段としてはこのようなテンキーに限るものではなく、アルファベット等の文字キーからなる入力操作盤であってもよい。
【0067】
図5乃至図7は、玄関扉に設けられた錠14の外観図である。
【0068】
本実施の形態の錠14は、図5に示すように、玄関扉1の側端面に設けられており、この玄関扉1を挟んで室外側ケース2と室内側ケース3とが背向配置されている。
【0069】
室外側ケース2の上部には、図6に示すように、暗証コード入力手段としての室外側テンキー4が設けられる一方、下部には室外側開閉レバー5が設けられるとともに、このレバー5と室外側テンキー4との間には強制解錠手段を構成する解錠具受付手段としてのピン挿入孔6が設けられている。
【0070】
上記の室外側テンキー4には0〜9の数字が付された少なくとも10個のボタンが配されている。この室外側テンキー4は、キー部分が本実施の形態のように露出したままのもの、あるいはカバーによって覆われるもののいずれであってもよい。また、暗証コード入力手段としてはこのようなテンキーに限るものではなく、アルファベット等の文字キーからなる入力操作盤であってもよい。
【0071】
一方、室内側ケース3の上部には、解錠用暗証コードの設定及び変更を受け付ける暗証コード設定手段としての室内側テンキー/設定ボタン7bが設けられるとともに、下部には室内側開閉レバー8が設けられている。ただし、端末本体10aに端末本体側テンキー/設定ボタン7aが配置されていることから、同様の機能を有する室内側テンキー/設定ボタン7bを室内側ケース3に必ずしも設ける必要はない。
【0072】
上記両ケース2,3の間の玄関扉1には、図示しない従来周知の施錠体としてのラッチボルトを有する錠が設けられており、この錠のラッチボルトが玄関扉1から突出しドア枠の受け孔と係合することにより錠が施錠状態になる一方、室外側開閉レバー5及び室内側開閉レバー8を回動させることにより、ラッチボルトが錠内に没入移動して玄関扉1の開閉が可能となるようになっている。このようになる錠は、玄関扉1が閉まると自動的に施錠、つまりラッチボルトがロックされる一方、室内側からは自由に解錠、つまり室内側開閉レバー8を回動させるだけで解錠できるものである。なお、この錠は、図示はしないが、サムターンを室内側ケース3に室内側開閉レバー8と並設するとともにこのサムターンによって操作されるデッドボルトを設けることにより室内側から完全にロックできるようにしたものであってもよい。
【0073】
図3は、室内端末10の電気的構成を示すブロック図である。
【0074】
室内端末10は、制御部9と、これに双方向又は単方向通信可能に接続された、端末本体側テンキー/設定ボタン7a、室外側テンキー4、室内側テンキー/設定ボタン7b、解錠用暗証コード記憶部11a、強制解錠用暗証コード記憶部11ba、解錠部12、液晶表示部15、各種センサ群16、各種LEDランプ17、及び解錠具受付部18から構成されている。
【0075】
制御部9は、ワンチップマイクロコンピュータなどのICやLSIで構成され、本発明における暗証コード比較手段として機能する他、上記各部の制御を行う。
【0076】
端末本体側テンキー/設定ボタン7a、室外側テンキー4及び室内側テンキー/設定ボタン7bは、操作者によって入力された解錠用暗証コードを制御部9に送出する。
【0077】
解錠具受付部18は、室外側ケース2に設けられたピン挿入孔6で構成され、このピン挿入孔6には強制解錠具13であるピンが挿入されるようになっている。
【0078】
解錠用暗証コード記憶部11aは、解錠用暗証コード記憶手段を構成し、一つ又は複数の解錠用暗証コードを記憶し得るメモリからなるものである。
【0079】
強制解錠用暗証コード記憶部11baは、強制解錠用暗証コード記憶手段を構成し、一つの強制解錠用暗証コードを記憶し得るメモリからなるものである。
【0080】
解錠部12は、解錠手段を構成し、制御部9から出力される認証信号を受けて、これに接続された錠14を解錠するものである。錠14が電気錠であれば、解錠部12はその錠14に対して所定の解錠信号を送出するものとし、機械錠であれば、解錠部12は錠14のラッチボルトのロックを機械的に解除するものとすればよく、錠の種類に応じて適宜選択される。
【0081】
各種センサ群16は、例えばガス検知センサ、火災検知センサ、赤外線センサ、人体検知センサ、玄関や窓の開閉検知センサ等の、各種セキュリティに関するセンサが含まれる。各種LEDランプ17は、これらセンサ群16の中の任意のセンサが検知すると、対応するLEDランプが点灯または点滅等するようになっている。
【0082】
次に、上記構成の賃貸住宅管理システムによる鍵の運用管理について、賃貸物件において退去があったときから次の入居者が入居するまでを時系列的に説明し、その後、本発明の特徴であるロックアウト処理について説明する。
【0083】
まず、ある部屋で退去があると、不動産仲介業者は、退居のあった部屋に赴き、退去者から退居の際に知らされた解錠用暗証コードを室外側テンキー4から入力する。これを受けて、制御部9は、室外側テンキー4が受け付けたコードと、退居者によって以前に解錠用暗証コード記憶部11aに記憶された解錠用暗証コードとを比較し、両コードが一致したと判断すれば認証信号を解錠部12へ出力する。これにより解錠部12は錠14を解錠する。なお、錠14は玄関扉が閉まると自動的に施錠される。
【0084】
ところで、退居者から解錠用暗証コードを知らされていなかった場合は、不動産仲介業者は退居のあった部屋に出向く際、店舗に保管している強制解錠具を携行し、この強制解錠具を用いて解錠を行う。なお、この強制解錠については本発明の要部ではないのでここでは詳細な説明を省略する。
【0085】
次に、不動産仲介業者は、上記のようにして退去後の部屋に入室後、室内端末10に設けられている設定ボタン72を押下操作してから、一定時間内に解除ボタン73を操作して、解錠用暗証コード記憶部11aから解錠用暗証コードを消去する。この後、不動産仲介業者は、管理装置50の管理者に電話等で暗証コードを消去したことを連絡する。この連絡を受けた管理者は、管理装置50から当該室内端末10に対して工事業者専用の解錠用暗証コードを送信する。これにより、制御部9は、管理装置50から送信されてきた工事業者専用の解錠用暗証コードを解錠用暗証コード記憶部11aに新たに記憶する。
【0086】
以上のようにして工事業者専用の解錠用暗証コードの設定が完了したならば、不動産仲介業者は、退去によって空室となった部屋の畳の交換や壁紙の張り替えといった原状復旧工事を直接工事業者に依頼するか、あるいは家主にその原状復旧工事の発注を依頼するとともに、工事業者専用の解錠用暗証コードを工事業者又は家主に連絡する。
【0087】
この連絡を不動産仲介業者から直接又は家主を通じて受け取った工事業者は、不動産仲介業者の店舗に立ち寄ることなく工事現場に向かい、入室に際し工事業者専用の解錠用暗証コードを室外側テンキー4から入力する。これを受けて、制御部9は、室外側テンキー4が受け付けたコードと、不動産仲介業者により解錠用暗証コード記憶部11aに記憶された工事業者専用の解錠用暗証コードとを比較し、両コードが一致したと判断すれば認証信号を出力し、これにより解錠部12は錠14を解錠する。以後その部屋への入室は工事業者専用の解錠用暗証コードを室外側テンキー4から入力することで自由にできるようになる。このため、工事業者は、工事に向かう都度不動産仲介業者の店舗に立ち寄ることなく工事現場に直行すればよい。
【0088】
次に、原状復旧工事が完了したならば、不動産仲介業者は工事の仕上がり具合を点検しに部屋に出向き、工事業者専用の解錠用暗証コードを使って入室し、室内を点検する。この点検が完了したならば、その部屋は新たな入居者からの賃貸契約の申し込みを待つこととなるので、不動産仲介業者は、電話等により管理装置50の管理者に現状復旧工事が完了したことを連絡する。この連絡を受けた管理者は、管理装置50から当該室内端末10に対して内覧専用の解錠用暗証コードを送信する。制御部9は、管理装置50から新たな解錠用暗証コードが送信されてくると、解錠用暗証コード記憶部11aに記憶されている工事業者専用の解錠用暗証コードを消去し、送信されてきた内覧専用の解錠用暗証コードを解錠用暗証コード記憶部11aに新たに記憶する。これにより、工事業者専用の解錠用暗証コードがこれ以降無効となるので、以後は内覧専用の解錠用暗証コードを知っている不動産仲介業者だけが入室でき、工事業者にみだりに入室されることはない。
【0089】
その後、入室希望者が現れ、その者が物件の内覧を希望したときは、不動産仲介業者は、その入居希望者に、内覧を希望する物件の所在地とアクセス方法及び上記の通りに設定した内覧専用の解錠用暗証コードを案内する。ここで、入居希望者が内覧を希望する物件が複数の場合は、不動産仲介業者はそのすべてについて同様の案内を一括して行う。尚、その際、内覧専用の解錠用暗証コードがその入居希望者によって後日悪用されることがないよう、その者の身元を確認しておく。
【0090】
不動産仲介業者から物件の所在地とアクセス方法及び内覧専用の解錠用暗証コード並びに室外側テンキー4の操作方法の案内を受けた入居希望者は、その案内に従って希望する物件に向かい、入室に際し内覧専用の解錠用暗証コードを室外側テンキー4から入力する。これを受けて、制御部9は、室外側テンキー4が受け付けたコードと、不動産仲介業者により解錠用暗証コード記憶部11aに記憶された内覧専用の解錠用暗証コードとを比較し、両コードが一致したと判断すれば認証信号を出力し、これにより解錠部12は錠14を解錠する。その後、入居希望者はその物件の室内に入り内覧するが、不動産仲介業者の案内担当者は同行していないので、心置きなく納得のいくまで内覧することができる。その一方、不動産仲介業者は、入居希望者に同行する必要がない分店舗での営業業務に専念することができ、新たな他の入居希望者の対応に務めることができる。内覧が終わったならば、錠は室内側からは自由に解錠可能であることから、入居希望者は難なく玄関扉を開けて室外に出ることができる。また、入居希望者が一旦室外に出て玄関扉が閉まると、玄関扉の錠は自動的に施錠され、以後、内覧専用の解錠用暗証コードを知っている入居希望者と不動産仲介業者以外の出入りは阻止される。入居希望者は、その後、不動産仲介業者に連絡することなく帰るかもしくは次の物件に向かう。
【0091】
内覧の末、入居希望者に気に入る物件が見つかり、家主と入居希望者との間で賃貸条件について合意をみれば賃貸契約に至る。不動産仲介業者は、賃貸契約後、正式に入居することとなった入居者に鍵システムの使用方法を案内する。
【0092】
入居当日、既に鍵システムの案内を受けた入居者は、その案内に従い、入居者専用の解錠用暗証コードの設定作業を次の通り行う。図8は入居者による解錠用暗証コードの設定の流れを示すフローチャートである。以下、図8に示すフローチャートを参照して設定の流れを説明する。
【0093】
まず、入居者は先の内覧専用の解錠用暗証コードを使って室内に入り、端末本体側テンキー/設定ボタン7a(又は、室内側テンキー/設定ボタン7b)の中の設定ボタン72を押下する(ステップS1)。これにより、制御部9の図示しない内部タイマーカウンターが経過時間のカウントアップを開始する(ステップS2)。制御部9は、タイマーカウントにより計測される経過時間が一定時間に達していないか否かを常に監視し(ステップS3)、一定時間が経過したと判断したとき解錠用暗証コードの設定作業を終了させる(ステップS4)。
【0094】
一方、一定時間が経過していない間は、端末本体側テンキー71が操作されたか否かが制御部9によって監視され(ステップS5)、一定時間内に端末本体側テンキー71が操作されず解錠用暗証コードの入力がされなかったときは再び上記ステップS3に戻り、一定時間内に端末本体側テンキー71が操作されたときは次のステップに進み、解錠用暗証コード記憶部11aに端末本体側テンキー71から入力された解錠用暗証コードが記憶される(ステップS7)。このとき、制御部9は、解錠用暗証コードの記憶が行われる直前に、以前の解錠用暗証コードを解錠用暗証コード記憶部から消去する。このようにして解錠用暗証コードの記憶が完了したならばタイマーカウンターがリセットされ(ステップS8)、再びステップS2に戻る。
【0095】
ここで、解錠用暗証コードの設定をやり直したい場合は引き続きステップS3から順次ステップS5へと進めればよく、設定やり直しの必要がなければ何ら操作を行うことなく放置し一定時間を経過させて解錠用暗証コードの設定を確定させればよい。なお、上記の一定時間としては、例えば10乃至数十秒の時間が設定される。
【0096】
なお、制御部9は、このようにして端末本体側テンキー71(又は、室内側テンキー)の操作により解錠用暗証コードが設定されたことを確認すると、この時点で解錠用暗証コード記憶部11aに記憶されている解錠用暗証コードが他の解錠用暗証コードによって不測に上書き消去されないように、記憶内容を保護する。これにより、内覧専用の解錠用暗証コードは無効となり、さらに、管理装置50から解錠用暗証コードが送信されてきてもこれを無効として扱う(すなわち、受け付けを禁止する)ので、以後は入居者だけが入室でき、不動産仲介業者も含めて入居者以外の第三者にみだりに入室されることはない。
【0097】
ここで、入居者は自己専用の解錠用暗証コードだけを設定するにとどまらず、入居者が自由な出入りを認めうる、例えば、入居者と同居していない配偶者、子、親兄弟、又は恋人や愛人、あるいは家政婦や介護ヘルパー等といった自己以外の者専用の暗証コードも、自己専用の暗証コードを設定するときに同時に設定してもよい。なお、後日、自己以外の者専用の暗証コードを追加設定する場合は、上記と同様の操作を行うが、このとき、暗証コード設定手段を操作した時点で、それまで解錠用暗証コード記憶部11aに記憶されていた解錠用暗証コードは、入居者のものも含めて全てが消去されるため、消去される解錠用暗証コードも含めたすべての解錠用暗証コードを設定し直す必要がある。
【0098】
以上のようにして鍵システムの設定作業が完了した後は、入居者は、日常、室外側テンキー4から解錠用暗証コードを入力することで玄関扉1の錠14を解錠し入室する。また、入居者から入室を許可され、解錠用暗証コードを割り振られている者は、入居者が留守のときでも、自己に割り振られた解錠用暗証コードを室外側テンキー4から入力することで錠の解錠を行い、入室することができる。ここで、玄関扉1の錠14は、入居者が独自に設定した解錠用暗証コードの入力がなされない限り解錠されないため、その物件を管理する不動産仲介業者であっても、また家主であっても、錠の解錠は行えず、また、前の入居者も原状回復工事を行った工事業者も内覧したことのある他人も同様に錠の解錠は行えない。
【0099】
このように、本実施の形態の賃貸住宅管理システムでは、鍵の運用管理に関し、入居者が決定するまでの間は、室内端末10の解錠用暗証コードの設定及び変更を管理装置50側で管理することができるため、不動産仲介業者や家主はそれまで苦労してきた鍵やカードの管理から開放され、管理業務の大幅な省力化及び合理化を図ることが可能となる。また、入居者が決定した後は、管理装置50による室内端末10の解錠用暗証コードの設定及び変更が禁止されるため、不動産仲介業者も含めて入居者以外の第三者にみだりに入室されることはない。
【0100】
以上が、本実施の形態の賃貸住宅管理システムによる鍵の運用管理の説明である。
【0101】
次に、本発明の特徴であるロックアウト処理について説明する。
【0102】
家主と入居希望者との間で結ばれた賃貸契約では、家賃の支払い方法として家主の銀行口座への振り込みが条件となっている。従って、入居者は、その契約内容に従って月々の家賃を指定の銀行口座に指定された期日までに振り込むことになる。
【0103】
本実施の形態の賃貸住宅管理システムでは、管理装置50が銀行端末80に接続されており、指定の口座に家賃が振り込まれると、その振込情報が銀行端末80から管理装置50に通知(送信)される。一方、入居者が指定された期日までに家賃を振り込まなかった場合には、家賃の滞納情報が銀行端末80から管理装置50に通知(送信)されるようになっている。管理装置50は、この振込情報や滞納情報を確認することで、入居者の家賃支払い状況を管理するとともに、家賃滞納時にはロックアウト処理等の各種の処理を実行することになる。
【0104】
以下、本実施の形態の賃貸住宅管理システムによる管理装置50のロックアウト処理について、図9に示すフローチャートを参照して説明する。
【0105】
管理装置50は、銀行端末80から通知される滞納情報を常に監視している(ステップS11)。そして、任意の室の滞納情報を取得すると、図示しないカウンタにより当該室の滞納回数をカウント(+1)し(ステップS12)、そのカウント回数を入居者データベース52の該当する室の滞納情報の項目に記録する。そして、その記録したカウント回数が1回であるか否かを確認する(ステップS13)。その結果、滞納回数が1回である場合(ステップS13でYesと判断された場合)には、当該室に設置されている室内端末10に催促メッセージを送信する(ステップS14)。例えば、図2に示す入居者データベース52の例では、Bマンションの101号室の滞納情報の項目に「1」が記入され、対応の項目に「催促メッセージ送信」と記入されている。これを受信した室内端末10の制御部9は、その催促メッセージを液晶表示部15に表示する(ステップS15)。これにより、家賃が未納であることを入居者に認識させ、入居者にロックアウト前に家賃を振り込む機会を与えることができる。
【0106】
この後、管理装置50は、当該室の振込情報が銀行端末80から送信されてきたか否かを監視し(ステップS16)、銀行端末80から当該室の家賃の振込情報が送信されてきた場合(ステップS16でYesと判断された場合)には、入居者データベース52の該当する室の入金記録の項目に、家賃の振込日等を記録する。この場合、その月に関しては家賃の振込遅延があったことを合わせて記録しておいてもよい。また、管理装置50は、入居者データベース52の当該室の滞納情報の項目の滞納回数をクリアするとともに、催促メッセージの消去指令信号を当該室の室内端末10に対して送信する(ステップS17)。これにより、当該室の室内端末10は、液晶表示部15に表示されている催促メッセージを消去する。
【0107】
また、管理装置50は、銀行端末80から任意の室の滞納情報を取得すると(ステップS11でYesと判断されると)、カウンタにより当該室の滞納回数をカウント(+1)し(ステップS12)、そのカウント回数を入居者データベース52の該当する室の滞納情報の項目に記録する。そして、その記録したカウント回数が1回であるか否かを確認する(ステップS13)。その結果、滞納回数が1回でない場合(すなわち、2回以上である場合)には、ステップS13からステップS18へと進み、連続滞納回数が所定回数(例えば、2回等)以上であるか否かを確認する。その結果、連続滞納回数が所定回数以上である場合(ステップS18でYesと判断された場合)には、管理装置50は、当該室に設置されている室内端末10に警告メッセージを送信する(ステップS19)。例えば、図2に示す入居者データベース52の例では、Aマンションの102号室と103号室の滞納情報の項目に「2」が記入され、対応の項目に「警告メッセージ送信」と記入されている。これを受信した室内端末10の制御部9は、その警告メッセージを液晶表示部15に表示する(ステップS20)。これにより、家賃が未納であることを入居者に認識させ、入居者にロックアウト前の最後の家賃振り込み機会を与えることができる。
【0108】
この後、管理装置50は、警告メッセージの送信後、所定期間(例えば、1日等)が経過したか否かを確認し(ステップS21)、その所定期間の間に、当該室の振込情報が銀行端末80から送信されてきたか否かを監視する(ステップS22)。その結果、銀行端末80から当該室の滞納分の家賃の振込情報が送信されてきた場合(ステップS22でYesと判断された場合)には、入居者データベース52の該当する室の入金記録の項目に、家賃の振込日等を記録する。この場合、複数月に関して家賃の振込遅延があったことを合わせて記録しておいてもよい。また、管理装置50は、入居者データベース52の当該室の滞納情報の項目の滞納回数をクリアするとともに、対応の項目もクリアし、警告メッセージの消去指令信号を当該室の室内端末10に対して送信する(ステップS23)。これにより、当該室の室内端末10は、液晶表示部15に表示されている警告メッセージを消去する。
【0109】
一方、所定期間の間に、当該室の振込情報が銀行端末80から送信されてこなかった場合(ステップS21でYesと判断された場合)、管理装置50は、滞納している室の室内端末10に対してロックアウト指令信号を送信する(ステップS24)。このロックアウト指令信号を受けた室内端末10の制御部9は、解錠部12の機能を停止させ、玄関扉1に設けられた錠14をロックアウトする(ステップS25)。図2に示す入居者データベース52の例では、Aマンションの103号室のロックアウトの有無の項目に「有」が記入されている。この場合、錠14をロックアウトした後であっても、室内側からは玄関扉1の開閉を可能とする。これにより、錠14をロックアウトしたとき、室内に入居者が居た場合でも、その後入居者が外出した時点でロックアウトが有効に機能する。すなわち、その後に解錠用暗証コードが入力されても、錠14は解錠されなくなるため、入居者は一切入室できなくなる。
【0110】
このロックアウトの状況を解除するためには、入居者が滞納している家賃を指定の口座に振り込めばよい。これにより、銀行端末80から管理装置50に振込情報が送信される。ロックアウト後、管理装置50は、当該室の家賃の振込情報が銀行端末80から送信されてくるか否かを監視している(ステップS26)。そして、銀行端末80から滞納分の家賃の振込情報を取得すると、滞納していた室の室内端末10に対してロックアウト解除指令信号を送信する(ステップS27)。このロックアウト解除指令信号を受けた室内端末10の制御部9は、解錠部12の機能を有効となるように復帰させることで、錠14のロックアウトを解除する(ステップS28)。
【0111】
また、管理装置50は、入居者データベース52の当該室の滞納情報の項目の滞納回数をクリアするとともに、対応の項目とロックアウトの有無の項目とを共にクリアし、警告メッセージの消去指令信号を当該室の室内端末10に対して送信する(ステップS28)。これにより、当該室の室内端末10は、液晶表示部15に表示している警告メッセージを消去する。
【0112】
なお、本実施の形態では、ロックアウト処理として、最初に催促メッセージを送信し、その次に警告メッセージを送信し、それでも家賃が振り込まれない場合にロックアウト処理を行う構成としているが、このようなメッセージは1度だけ送信する構成としてもよい。また、このようなメッセージの送信無しに、家賃未納と判断してから一定期間(例えば、1週間等)経過したときに直ちにロックアウト処理を実施する構成としてもよい。
【0113】
以上が本実施の形態によるロックアウト処理の説明である。
【0114】
本実施の形態の賃貸住宅管理システムでは、室内端末10に各種センサ群16を備えているので、これらのセンサ群16を利用して各種のセキュリティ管理を行うことができる。
【0115】
例えば、各種センサ群16が異常を検知した場合には、対応するLEDランプ17を点灯又は点滅させるとともに、端末本体10aから警報音を発報することで、室内にいる入居者に火災の発生やガス漏れ等を報知することができる。これにより、火災やガス漏れの拡大を事前に防止することができる。
【0116】
また、各種センサ群16が異常を検知した場合には、その検知信号を賃貸マンション名及び室番号とともに管理装置50に送信し、管理装置50は、送信されてきた検知信号に基づいて予め設定された処理動作を実行するようにしてもよい。
【0117】
例えば、これら検知信号に基づく警報を、予め登録されている電話番号(例えば、入居者の携帯電話の電話番号や近所の知人の電話番号等)に送信するように構成してもよい。これにより、入居者が外出中である場合には、その外出先にて自宅の非常事態を察知することができるし、近所の知人に警報が送信された場合には、その知人に自宅を確認してもらうことができる。
【0118】
また、火災検知センサが作動した場合、管理装置50は、この火災検知センサの検知信号に基づいて、該当マンションの該当室の火災連絡を最寄りの消防署に通報するように構成してもよい。同様に、ガス検知センサが作動した場合、管理装置50は、このガス検知センサの検知信号に基づいて、該当マンションの該当室のガス漏れ連絡をガス会社に通報するように構成してもよい。同様に、玄関や窓の開閉検知センサが作動した場合、管理装置50は、不審者の侵入を最寄りの警察や予め契約している警備会社に通報するように構成してもよい。さらに、赤外線センサや人体検知センサによって自宅内で人が倒れていることを検知した場合、管理装置50は、救急病院や予め契約している介護サービス会社等に通報するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 玄関扉
2 室外側ケース
3 室内側ケース
4 室外側テンキー
5 室外側開閉レバー
6 ピン挿入孔(解錠具受付部)
7a 端末本体側テンキー/設定ボタン
7b 室内側テンキー/設定ボタン
8 室内側開閉レバー
9 制御部
10 室内端末
10a 端末本体
11a 解錠用暗証コード記憶部
11b 強制解錠用暗証コード記憶部
12 解錠部
13 強制解錠具
14 錠
15 表示部(液晶表示部)
16 各種センサ群
17 各種LEDランプ
18 解錠具受付部
50 管理装置
51 モデム
60 回線切替器
61 モデム
71 端末本体側テンキー
72 設定ボタン
73 解除ボタン
80 銀行端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
賃貸住宅の各室に配置され、玄関扉に設けられた錠を制御する室内端末と、この室内端末が接続された賃貸住宅の管理装置とからなる賃貸住宅管理システムであって、
前記管理装置は、各室の家賃が振り込まれる口座が設けられている銀行端末と接続されており、前記銀行端末から家賃の滞納情報を取得したときには、滞納している室の室内端末にロックアウト指令信号を送信し、室内端末はこのロックアウト指令信号を受けて玄関扉に設けられた錠をロックアウトすることを特徴とする賃貸住宅管理システム。
【請求項2】
前記錠は、閉扉すると自動的に施錠される一方、室内側からは自由に解錠可能であり、
前記室内端末は、
端末本体及び前記玄関扉の室外側の両方に設けられ、解錠用暗証コードの入力を受け付ける暗証コード入力手段と、
解錠用暗証コードの設定及び変更を受け付ける暗証コード設定手段と、
この暗証コード設定手段が起動されたとき、それまで保持していた記憶内容を消去したのち一定時間内に前記暗証コード入力手段が受け付けた一つ又は複数の解錠用暗証コードを新たに記憶する解錠用暗証コード記憶手段と、
前記暗証コード入力手段が受け付けたコードと前記解錠用暗証コード記憶手段に記憶された解錠用暗証コードとを比較し、両コードが一致したと判断したとき、認証信号を出力する暗証コード比較手段と、
この比較手段から出力される認証信号を受けて前記錠を解錠する解錠手段とを備え、
前記ロックアウト指令信号を受けたとき、前記解錠手段の機能を停止させることを特徴とする請求項1に記載の賃貸住宅管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記銀行端末から家賃の滞納情報を取得したときには、前記ロックアウト指令信号を送信する前に、前記室内端末に対して家賃納付の催促メッセージを送信し、前記室内端末は、表示部に前記催促メッセージを表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の賃貸住宅管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記催促メッセージを送信後、前記銀行端末から振込情報が通知されないまま一定期間が経過したとき、前記室内端末に対して家賃納付の警告メッセージを送信し、前記室内端末は、表示部に前記警告メッセージを表示することを特徴とする請求項3に記載の賃貸住宅管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記銀行端末から毎月の家賃の滞納情報を予め設定された複数回連続して取得したときには、前記室内端末に対して家賃納付の警告メッセージを送信し、前記室内端末は、表示部に前記警告メッセージを表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の賃貸住宅管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記警告メッセージを送信後、所定期間経過後に前記ロックアウト指令信号を送信することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の賃貸住宅管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−117362(P2012−117362A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−288887(P2011−288887)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【分割の表示】特願2006−282276(P2006−282276)の分割
【原出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(305030722)
【Fターム(参考)】