説明

質量流量コントローラのコントローラ利得スケジューリング

フィードバック制御利得を有する質量流量コントローラは、コントローラを通過する流体の流れを検知するように構成されているセンサと、コントローラを通過する流体の流れを調節するように配置されている弁と、センサが検知する流体の流れの関数として、弁を制御するように構成されているプロセッサとを備えている。センサおよび弁は、フィードバック系内に配置され、プロセッサは、少なくとも1つの較正気体パラメータの少なくとも1つの動作気体パラメータに対する比に基づいて、フィードバック・コントローラ利得をリアル・タイムで更新し、較正状態とは異なる動作状態において一定の制御挙動を有するように、フィードバック系の閉ループ伝達関数が、動作状態には関係なく、実質的に一定となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する実施形態は、一般的には、流体流の測定および制御に関し、更に特定すれば、質量流量コントローラのモデルに基づくコントローラ利得のスケジューリングに関する。
【従来技術】
【0002】
質量流量コントローラ(MFC)は、気体または蒸気のような、当該デバイスを通過する流体の流速(rate)および流量を設定し、測定し、制御するデバイスである。これらのデバイスは、気体流を既定範囲の流速以内で高い正確度で制御するように設計され、較正されている。
【0003】
半導体製造のような製造プロセスの中には、プロセス・チェンバまたはツールに送り出す気体および蒸気の流速および流量(質量)の正確な制御を必要とすることがある。多くの場合、正確な流体流速および流量(流体の総質量)は、最適な結果を確保するためには欠くことができない。応用範囲には、後に作業片に堆積するためにプロセス・チェンバに流入する気体および蒸気の正確な量の測定、半導体および製薬業界などにおいて用いられるイオンおよびプラズマ・ビーム等が含まれる。質量流量コントローラは、特に、これらおよびその他の業務には適している。
【0004】
図1を参照すると、質量流量コントローラ・システム10は、通例、質量流量コントローラ12を流動チャネル14と結合する。選択流体が正確に制御されて、入口16を通ってチャネルに入り、コントローラ12を通過し、出口18を通ってコントローラから流出する。流体流路20は、コントローラ12の内部をバイパス路とセンサ路とに分割する。具体的には、第1分岐接合部22において、流体の一部が主流路20から分岐し、バイパス管26の主バイパス路と、センサ40のキャピラリ・センサ管24のセンサ路とに分割される。センサ管24およびバイパス管26は、第1接合部22から下流に位置する、第2分岐接合部28において再び結合する。この第2接合部28は、センサ管24およびバイパス管26の経路を通過した流体を再度合体させる。次いで、合体した流体30は制御弁50を通過する。制御弁50は、36に示すように、流体が出口18を通ってコントローラ12から出ていくときの流体流を制御する。通常、第1および第2接合部22および28の間においてバイパス管26の中に、層流または流分割エレメント32が配置され、2つの接合部間にあるバイパス管26を通過する際に層流を形成する。層流のバイパス管通過、およびキャピラリ管の内部キャピラリ寸法の結果、キャピラリ管およびバイパス管を通過する質量流量は、予め設計した計器の流速範囲全域において、正確なバイパス比を保持する。
【0005】
センサ40は、センサ管24を通過する流体の流速を表す信号を供給するように設計されている。バイパス比は、予め設計した計器の流速範囲全域において固定のままであるので、センサ40が供給する信号は、バイパス管24およびセンサ管26双方を流れる合体流(即ち、質量流量制御システム10を通過する合体流)を表す。センサ40の信号出力は、プロセッサ60に印加される。
【0006】
温度測定値に基づいて流れを測定するセンサが知られているが、圧力測定値に基づいて流れを測定する他のセンサも知られている。典型的な熱系センサは、2つのセンサ・コイル44、46を有し、上流側コイルはキャピラリ管を通過する気体または蒸気に熱を注入し、他方の下流側は2つのコイル間における温度損失を測定する。この温度差は、流速を表す。1つおよび3つのコイルを採用したセンサを含む、他の熱式センサ構成も知られている。
【0007】
また、コントローラ12は、プロセッサ60からの信号に対する流体流応答を制御するために用いられる制御弁50も含む。後者は、センサ40によって検知した実際の流れを、通常ユーザおよび/または制御対象プロセスによって決定される設定点(SP)値と比較して、信号を弁50に供給して弁50を正しい位置に設定し、SP値によって確定した所望の流れを生成するように構成および配置されている。つまり、プロセッサ60が、センサ40から、流体の流れが速すぎることを検出すると、プロセッサ60は流体の流速を低下させるための信号を制御弁50に送る、またはその逆となる。
【0008】
プロセッサ60は、少なくとも2つの弁設計の弁を制御するように構成することができる。一方の弁設計は常時開放弁を含み、この場合電気信号が制御弁に送られるまで弁は開いたままである。他方の設計は常時閉鎖弁設計であり、この場合電気信号が制御弁に送られるまで弁は閉じている。
【0009】
また、質量流量コントローラは、当該コントローラから上流側の圧力変動に対して不感応となるように設計されている。圧力不感応質量流量コントローラ(πMFCまたはPiMFC)の一例が、Ali Shajii, et al.に発行され本譲受人に譲渡された米国特許第6,712,084号に記載されている。特許を受けたπMFCも熱系流量センサを含み、図1と関連付けてこれまでに説明したMFCと同様であり、更に、弁50から上流の流体の圧力を測定するために結合された圧力センサ70(図1において点線で示す)を含む。圧力センサ70は、当該デバイスを通過する流体の測定圧力を表す信号をプロセッサ60に供給する。特許を受けたπMFCでは、センサ40、プロセッサ60、および制御弁50間における動作の調和によって、更に、圧力センサ70によって行った圧力測定を用いて、圧力不感応制御を達成している。特許を受けたπMFCの目標は、出力流36が上流または下流の圧力混乱に対して不感応となることである。センサ入力および上流圧力測定値に基づいて制御弁50を制御するアルゴリズムが用いられている。πMFCは、更に、温度センサ80も含み、コントローラに流入する流体の温度を測定するために流管体(flow body)に取り付けられている。
【0010】
動作において、MFCは、流速Qが流設定点SPに追従するように、フィードバック制御ループによって弁の開度を制御する。MFCのコントローラ利得は、通常、既知の較正条件において、例えば、室温における入力気体窒素ガスが40psiである場合において、流設定点が変化したときに正しい制御挙動が得られるように決定する。異なる気体の種類、異なる入力気体の圧力、または異なる入力気体温度のような、較正条件とは異なる条件においてMFCを動作させると、2つの共通した制御挙動の問題が起こることが多い。第1の共通制御挙動問題は、図2に示すように設定点が変化するオーバーシュートである。この問題は、入力気体を窒素からヘリウムのような軽量気体に切り換えたとき、または入力気体圧力が高圧から低圧に変化したときの低コントローラ利得設定に関する。第2の共通制御挙動問題は、図2Bに示すように設定点が変化するときの発振である。この問題は、入力気体を窒素からSF6のような重量気体に切り換えたとき、または入力気体圧力が低圧から高圧に変化したときの高コントローラ利得設定に関する。これらの共通問題は、注意深く、非常に正確な流体流速の時間制御を必要とする半導体製造プロセスでは、非常に問題となる。
【0011】
MFCを通過する気体の圧力および種類に応じて応答が異なるというこの問題を克服する1つの手法が、Lullに発行された米国特許第6,962,142号に開示されている。Lullは、複数の所定の流速における(熱系MFCにおいて用いられる弁の)弁変位の対応する変化で除算した流体流変化に基づいて弁利得項を経験的に決定することによって、この制御問題を克服しようとした。言い換えると、流体流を弁変位と相関付けることによって、利得設定値を動作従属関数として定義した。所定の流速を用いて、Lullは所与の条件(即ち、弁変位)に対して適切な流速を推論し、しかるべく計器の利得を調節する。異なる所定の流速からのデータを用いることにより、弁利得項が一層精度高くなると考えられる。しかしながら、この手法は不必要に複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,712,084号
【特許文献2】米国特許第6,962,142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、MFCの技術では、信頼性を高めた流体流の制御を行うことができ、オーバーシュートや発振制御応答のいずれも発生せずに、設定点への静定が一層円滑に行われるMFCが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
フィードバック制御利得を有する質量流量コントローラは、コントローラを通過する流体の流れを検知するように構成されているセンサと、コントローラを通過する流体の流れを調節するように配置されている弁と、センサが検知する流体の流れの関数として、弁を制御するように構成されているプロセッサとを備えている。センサおよび弁は、フィードバック系内に配置され、プロセッサは、少なくとも1つの較正気体パラメータの少なくとも1つの動作気体パラメータに対する比に基づいて、フィードバック・コントローラ利得をリアル・タイムで更新し、較正状態とは異なる動作状態において一定の制御挙動を有するように、フィードバック系の閉ループ伝達関数が、動作状態には関係なく、実質的に一定となるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、熱系MFCのブロック図である。
【図2】図2は、較正条件とは異なる動作条件における先行技術のMFCの望ましくない制御応答を示すグラフである。
【図3】図3は、MFCのコントローラ利得スケジューリング方法のブロック図である。
【図4】図4は、較正条件とは異なる動作条件においてコントローラ利得スケジューリング方法を用いた場合の、著しい制御挙動改善を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図3に示す実施形態を参照すると、MFC制御システムのブロック図は、負フィードバック制御ループを含む。フィードバック制御システムは、一般に入力および出力を含み、更に出力を入力に結合する関係を含む。このフィードバック制御ループでは、Qsp102(所望の設定点流速)が入力である。その結果生ずる、116に示す実際の流速Qが出力となる。以下の説明では、Q(t)およびQsp(t)のような全ての時間領域変数をラプラス領域に変換してQ(s)およびQsp(s)とする。これは、制御分野で用いられている極く普通の慣例である。
【0017】
制御システム100の実体モデルは、104で示すコントローラK(s)と、110で示す弁V(s)とを含む。フィードバック・コントローラK(s)は、108で示す制御コマンド電流I(s)を発生し、弁の出力、即ち、実流速Q(s)が所望の設定点流速Qsp(s)102に追従するように、弁の開度を調節する。ここで、流量センサは、弁の動力学と比較して、流量センサの動力学を無視することができるように、高速で高精度の測定値を供給すると仮定する。流量センサの動力学を無視することができると、流量センサの動力学を弁の動力学と組み合わせて、弁動力学モデルV(s)とすることができる。
【0018】
弁110は、次のような弁伝達関数によって記述することができる。
【数1】

ここで、k(M,γ,T,P)は、弁利得関数であり、入力気体Mの分子量、入力気体γの熱容量比、入力気体圧力P、および入力気体温度Tのような動作条件に依存する。F(s)は、弁動的伝達関数であり、これらの動作条件に依存する。
【0019】
一般に、フィードバック・コントローラK(s)104は、次のように定義することができる。
(2) K(s) = k・G(s)
ここで、kはコントローラ利得であり、G(s)は動作条件とは独立である、コントローラ動的伝達関数である。
【0020】
フィードバック・システムの閉ループ伝達関数CL(s)は、次のようになる。
【数2】

閉ループ伝達関数CL(s)は、フィードバック制御システムの制御挙動を決定する。閉ループ伝達関数が一定であると、動作条件が変化しても、フィードバック制御システムの制御挙動は同一のままで変化しない。異なる動作条件において一定の閉ループ伝達関数CL(s)を有するためには、コントローラK(s)は、動作条件に基づいてそれ自体を調節して、CL(s)に対する正味の効果が一定となるようにしなければならない。したがって、異なる動作条件において一定の制御挙動を有するためには、MFCのコントローラ利得スケジューリング方法が必要となる。
【0021】
本開示によれば、コントローラ利得kの利得スケジューリングは、較正気体パラメータの動作気体パラメータに対する比率によって、次のように決定する。
【数3】

【0022】
ここで、kcalは、較正条件において決定した最良のコントローラ利得である。較正気体パラメータは、較正気体の分子量Mcal、較正気体の容量比γcal、較正気体温度Tcal、較正気体圧力Pcalである。動作気体パラメータは、入力気体の分子量M、入力気体の熱容量比γ、入力気体温度T、および入力気体圧力Pである。
【0023】
式(4)のコントローラ利得スケジューリング方法に対して、閉ループ伝達関数CL(s)は、異なる条件(例えば、異なるM、γ、T、P)においても一定のままであり、これは以下のように証明することができる。
【数4】

【0024】
上の式から分かるように、閉ループ伝達関数CL(s)は、実際に、入力動作気体Mの分子量M、入力動作気体の熱容量比γ、入力動作気体の温度T、および入力動作気体の圧力Pというような動作条件には独立である。何故なら、先に論じた用に、F(s)およびG(s)双方共これらの動作条件には独立であるからである。
【0025】
入力気体の分子量Mおよび入力気体の熱容量比γに関する情報は、質量流量コントローラの一部をなすプロセッサのメモリに格納されている。質量流量コントローラが動作状態にあるとき、入力気体の情報が読み出され、温度センサによって入力気体温度が測定され、入力気体圧力が、質量流量コントローラ内部にある圧力変換器によって測定される。次いで、質量流用コントローラは、式(4)のコントローラ利得スケジューリング方法にしたがって、コントローラ利得kをリアル・タイムで更新する。このように、閉ループ伝達関数CL(s)は、式(5)で証明したように、一定のままとなる。したがって、動作状態における制御挙動は、較正状態における制御挙動と同一であるが、これら2つの状態は殆どの場合異なる。
【0026】
動作状態における入力気体温度が較正状態からあまり変動しない場合、または質量流量コントローラに温度センサが欠けているために入力気体温度が入手できない場合、以下のように、コントローラ利得スケジューリングにおいて気体温度効果を除外することができる。
【数5】

【0027】
同様に、動作状態における入力気体圧力が較正状態からあまり変動しない場合、または質量流量コントローラに圧力変換器が欠けているために入力気体圧力が入手できない場合、以下のように、コントローラ利得スケジューリングにおいて気体圧力効果を除外することができる。
【数6】

【0028】
動作状態における入力気体温度および入力気体圧力双方が、較正状態からあまり変動しない場合、または質量流量コントローラに測定センサが欠けているためにこれらが入手できない場合、以下のように、コントローラ利得スケジューリングにおいてそれらの効果を除外することができる。
【数7】

【0029】
また、式(7)において気体種類効果、即ち、Mおよびγが入手できない場合、または動作状態における気体が較正状態における気体と同一である場合、これらも除外することができる。
【0030】
尚、異常の分析は、制御弁が常時閉鎖弁であろうと常時開放弁であろうと、有効であることを注記しておく。更に、図1は熱系MFCに関して説明したが、コントローラ利得スケジューリング手法は、圧力系MFCのような他の種類のMFCでも有効である。最後に、コントローラは、フィードバック・システムの閉ループ伝達関数が、動作状態には関係なく、実質的に一定のままであり、較正状態から異なる動作状態において一定の制御挙動を有するように、較正気体パラメータの以下の内1つ以上の動作気体パラメータ、即ち、入力気体の分子量、入力気体の熱容量比、入力気体温度、入力気体圧力に対する比率に基づいて、フィードバック・コントローラ利得をリアル・タイムで更新することは明白なはずである。
【0031】
コントローラ利得スケジューリングを用いる制御挙動は、異なる動作状態に対して所定の流速の集合を構築し、これらの流速を弁変位測定値と相関付け、その所定の集合から内挿補間する必要がないという意味で、動作状態とは独立である。動作状態に基づいて、異なる利得数式/方程式に交換しない。この手法は、一連の線形データ補間に基づかないので、一層精度高くコントローラ利得が得られる。代わりに、コントローラ利得は、所定の動作状態ではなく、直接、流体パラメータに基づいて計算されるので、異なる動作状態における制御挙動を大幅に改善する。
【0032】
図4は、図2における引用との比較として、πMFCのコントローラ利得スケジューリングを用いた制御挙動の例を示す。図4の双方のグラフでは、X軸上に秒単位で時間を表している。流体出力(Q)、および設定点(SP、目標値)に対して、標準的な分当たりの立方センチメートル(sccm)の単位で表す流速を示すために、第1Y軸を用いる。流体圧力(P)について、絶対平方インチ(psia)当たりのポンドの単位で圧力を示すために第2Y軸を用いる。図2におけるように、πMFC動作では、πMFCは流体流出力を設定点に一致させようとする。πMFCを通過する軽量気体(流体)の図4Aおよび重量気体(流体)の図4Bから分かるように、コントローラ利得スケジューリグは、実質的にあらゆるオーバーシュートおよび発振の問題も解消している。
【0033】
以上本発明の実施形態について詳細に説明したが、当業者には種々の変更や改良が容易に想起されよう。このような変更および改良は、本発明の範囲に該当することを意図している。したがって、以上の説明は一例に過ぎず、限定を意図するのではない。本発明は、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって規定されるようにしか限定されないこととする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィードバック制御利得を有する質量流量コントローラであって、
コントローラを通過する流体の流れを検知するように構成されているセンサと、
前記コントローラを通過する流体の流れを調節するように配置されている弁と、
前記センサが検知する流体の流れの関数として、前記弁を制御するように構成されているプロセッサと、
を備えており、
前記センサおよび弁はフィードバック系内に配置され、前記プロセッサは、少なくとも1つの較正気体パラメータの少なくとも1つの動作気体パラメータに対する比に基づいて、前記フィードバック・コントローラ利得をリアル・タイムで更新し、
較正状態とは異なる動作状態において一定の制御挙動を有するように、前記フィードバック系の閉ループ伝達関数が、動作状態には関係なく、実質的に一定となるようにする、質量流量コントローラ。
【請求項2】
請求項1記載の質量流量コントローラにおいて、前記少なくとも1つの較正気体パラメータおよび前記少なくとも1つの動作気体パラメータは、以下の
入力気体の分子量M、
入力気体の熱容量比γ、
入力気体の温度T、および
入力気体の圧力P
の1つ以上から選択する、質量流量コントローラ。
【請求項3】
請求項2記載の質量流量コントローラであって、更に、前記入力気体温度Tを検知する温度センサと、前記入力気体圧力Pを検知する圧力センサとを含み、前記コントローラは、以下の式の関数として、前記コントローラ利得kをリアル・タイムで更新し、
【数1】

ここで、kcalは較正条件において決定した最良のコントローラ利得、Mcalは較正気体の分子量、γcalは較正気体の容量比、Tcalは較正気体温度、Pcalは較正気体圧力、k()は弁利得関数であり、k()は、入力気体の分子量M、入力気体の熱容量比γ、入力気体温度T、および入力気体圧力Pのような動作状態に依存する、質量流量コントローラ。
【請求項4】
請求項2記載の質量流量コントローラであって、更に、入力気体圧力Pを検知する圧力センサを含み、前記入力温度Tが、前記較正状態から大きく変動しないと仮定する場合、および/または入手できない場合、前記コントローラは以下の式の関数として、
【数2】

前記コントローラ利得kをリアル・タイムで更新する、質量流量コントローラ。
【請求項5】
請求項2記載の質量流量コントローラであって、更に、入力気体温度Tを検知する温度センサを含み、前記入力圧力Pが、前記較正状態から大きく変動しないと仮定する場合、および/または入手できない場合、前記コントローラは以下の式の関数として、
【数3】

前記コントローラ利得kをリアル・タイムで更新する、質量流量コントローラ。
【請求項6】
請求項2記載の質量流量コントローラにおいて、前記入力温度Tおよび前記入力圧力Pが前記較正状態から大きく変動しないと仮定する場合、および/または入手できない場合、前記コントローラは以下の式の関数として、
【数4】

前記コントローラ利得kをリアル・タイムで更新する、質量流量コントローラ。
【請求項7】
請求項2記載の質量流量コントローラにおいて、前記弁は常時閉鎖型である、質量流量コントローラ。
【請求項8】
請求項2記載の質量流量コントローラにおいて、前記弁は常時開放型である、質量流量コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−512571(P2010−512571A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540339(P2009−540339)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/073328
【国際公開番号】WO2008/070213
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】