赤外線センサ装置
【課題】構成の複雑化を抑制しつつパッケージ内の真空度を検出できる赤外線センサ装置を提供する。
【解決手段】周囲の真空度に依存する電気的特性を有し、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するダイオード31を備える。ダイオード31を収容するパッケージを備える。ダイオード31の少なくとも一部の電気的特性を検出することでパッケージ内の真空度を検出可能な検出回路36を備える。真空度を検出するための構成を別途設けるなど構成を複雑化することなく、パッケージ内の真空度を検出できる。
【解決手段】周囲の真空度に依存する電気的特性を有し、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するダイオード31を備える。ダイオード31を収容するパッケージを備える。ダイオード31の少なくとも一部の電気的特性を検出することでパッケージ内の真空度を検出可能な検出回路36を備える。真空度を検出するための構成を別途設けるなど構成を複雑化することなく、パッケージ内の真空度を検出できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子を備えた赤外線センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば人体検知装置などの赤外線センサ装置に人感センサとして用いられる赤外線センサは、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子を備えている。このセンサ素子は、空気を通して放出する熱エネルギを抑制して高感度化を図るために、外囲器すなわちパッケージ内に減圧状態で気密封止されている。
【0003】
しかしながら、このような赤外線センサは、パッケージの封止部分でリークが発生したり、内部でガスが発生したりすることで、内部の圧力、すなわち真空度が変化するおそれがある。このような真空度の変化が生じると感度が低下する一方で、このような変化は、外部から目視などにより検出することが容易でない。
【0004】
そこで、パッケージの内部に、通電により発熱する発熱体を別途配置し、この発熱体の通電に伴う温度変化分に応じた温度差信号を検出することで、パッケージ内の真空度の変化を検出する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−137940号公報(第3−4頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の赤外線センサ装置では、パッケージの内部に、センサ素子だけでなく、発熱体を別途配置しているため、構成が複雑化するという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、構成の複雑化を抑制しつつ外囲器内の真空度を検出できる赤外線センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の赤外線センサ装置は、周囲の真空度に依存する電気的特性を有し、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子と;センサ素子を収容する外囲器と;センサ素子の少なくとも一部の電気的特性を検出することで外囲器内の真空度を検出可能な検出手段と;を具備しているものである。
【0008】
周囲の真空度に依存する電気的特性とは、例えば電流値、電圧値あるいは電力値などである。
【0009】
センサ素子としては、例えばダイオードなどが好適に用いられる。
【0010】
外囲器には、例えば開口部が形成され、この開口部に遠赤外の輻射エネルギを透過させるフィルタが接合されている。
【0011】
検出手段は、電圧、電流あるいは電力を用いて電気的特性を検出したり、温度により電気的特性を検出したりすることが可能である。
【0012】
請求項2記載の赤外線センサ装置は、請求項1記載の赤外線センサ装置において、検出手段により検出した外囲器内の真空度に応じてセンサ素子からの出力を調整可能な出力処理手段を具備しているものである。
【0013】
出力処理手段は、例えば、センサ素子からの出力を増幅する増幅手段、および、この増幅手段による増幅度を設定する増幅度設定手段などを備えている。
【0014】
請求項3記載の赤外線センサ装置は、請求項2記載の赤外線センサ装置において、出力処理手段と検出手段とのいずれか一方を選択的にセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させる切替手段を具備しているものである。
【0015】
切替手段としては、例えば機械的スイッチ、あるいは電気的スイッチなどが好適に用いられる。
【0016】
請求項4記載の赤外線センサ装置は、請求項3記載の赤外線センサ装置において、切替手段は、所定周期で交互に出力処理手段と検出手段とをセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させ、出力処理手段は、センサ素子の少なくとも一部の出力側に対して接続される直前にこの出力側に接続された検出手段によって検出した外囲器内の真空度に応じてセンサ素子からの出力を調整するものである。
【0017】
請求項5記載の赤外線センサ装置は、請求項3記載の赤外線センサ装置において、切替手段は、出力処理手段を介したセンサ素子からの出力に基づいて動作する電気機器からの所定信号により、検出手段を所定期間のみセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させるように動作するものである。
【0018】
電気機器は、例えばセンサ素子を介して熱源が検出されたときに動作し、センサ素子を介して熱源が検出されないときには動作しない機器などであり、任意のタイミングで所定信号を切替手段に出力することで、検出手段によりセンサ素子の少なくとも一部を介して外囲器内の真空度を検出するように構成する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の赤外線センサ装置によれば、検出手段によりセンサ素子の少なくとも一部の電気的特性を検出することで外囲器内の真空度を検出するため、この真空度を検出するための構成を別途設けるなど構成を複雑化することなく、外囲器内の真空度を検出できる。
【0020】
請求項2記載の赤外線センサ装置によれば、請求項1記載の赤外線センサ装置の効果に加えて、検出手段により検出した外囲器内の真空度に応じて出力処理手段がセンサ素子からの出力を調整することで、外囲器内の真空度に拘らずセンサ素子の感度を一定に保つことができる。
【0021】
請求項3記載の赤外線センサ装置によれば、請求項2記載の赤外線センサ装置の効果に加えて、出力処理手段と検出手段とのいずれか一方を選択的にセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させる切替手段を備えることで、この切替手段の切り替えによって、センサ素子を遠赤外の輻射エネルギを検出するセンサとして機能させる場合と、外囲器内の真空度を検出するために機能させる場合とを、容易に切り替えできる。
【0022】
請求項4記載の赤外線センサ装置によれば、請求項3記載の赤外線センサ装置の効果に加えて、切替手段を出力処理手段側と検出手段側とに所定周期で交互に切り替え、直前に検出した外囲器内の真空度に応じて出力処理手段によってセンサ素子からの出力を調整することにより、外囲器内の真空度の変動に対応して、速やかに出力処理手段の出力調整に反映させることができ、遠赤外の輻射エネルギの検出精度を向上できる。
【0023】
請求項5記載の赤外線センサ装置によれば、請求項3記載の赤外線センサ装置の効果に加えて、切替手段が、出力処理手段を介したセンサ素子からの出力に基づいて動作する電気機器からの所定信号により、検出手段を所定期間のみセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させるように動作するので、電気機器の動作に応じて必要なときにのみ外囲器内の真空度を検出するように構成でき、制御が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1ないし図4に第1の実施の形態を示し、図1は赤外線センサ装置の要部の回路図、図2は赤外線センサ装置を有する負荷制御装置のブロック図、図3は赤外線センサ装置を示す分解斜視図、図4は赤外線センサ装置の異なる周囲の真空度に対応するセンサ素子の電圧と電流との関係を示すグラフである。
【0026】
図2に示すように、負荷制御システムである照明システム11は、赤外線センサ装置12と負荷であるランプ13を点灯制御する電気機器としての負荷駆動装置である点灯回路14とを備え、赤外線センサ装置12と点灯回路14とにより、負荷制御装置としてのランプ点灯装置15が構成されている。
【0027】
赤外線センサ装置12は、複数の赤外線センサ部21をアレイ状に備えており、例えば対象物の一例である人の存否を検出する熱線式人感センサ(ポイントセンサ)として動作するもの、あるいは所定領域の画像を所定の時間間隔(フレーム時間)で撮像する画像式人感センサ(イメージセンサ)として動作するものである。そして、この赤外線センサ装置12は、図3に示すように、赤外線センサ部21を、素子台座としての台座部22上に載置した状態で、ステム23およびキャップ24により構成される外囲器であるパッケージ25の内部に収容してこのパッケージ25の内部を所定の減圧状態として構成されており、キャップ24に、遠赤外の輻射エネルギを透過させるフィルタである窓材26が取り付けられた開口部27が赤外線センサ部21に臨んで形成されている。
【0028】
赤外線センサ部21は、図1に示すように、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子としてのPN接合ダイオード31(以下、単にダイオード31という)のアノード側に、駆動手段としての直流電源である駆動電源32のプラス側が電気的に接続され、ダイオード31のカソード側に切替手段としての2極型のスイッチ33が電気的に接続され、このスイッチ33の一方の出力端子aに出力処理手段としての増幅部であるアンプ部34が電気的に接続され、かつ、スイッチ33の他方の出力端子bに電圧検出手段としての検出素子である抵抗器R1がグランド電位との間に電気的に接続されている。さらに、抵抗器R1とスイッチ33との接続点、および、駆動電源32とダイオード31のアノード側との接続点には、検出制御回路35が電気的に接続され、この検出制御回路35と抵抗器R1とにより検出手段としての検出回路36が構成されている。また、赤外線センサ部21は、例えばダイオード31での検出値との差分により熱源を検出するための背景温度を定期的に取得するように制御されている。
【0029】
スイッチ33は、ダイオード31の出力側であるカソードに対してアンプ部34と検出回路36とを選択的に電気的に接続するように構成されている。なお、このスイッチ33は、機械的なスイッチ、あるいは電気的なスイッチのいずれでもよい。
【0030】
アンプ部34は、増幅手段である演算増幅器すなわちオペアンプ41の反転入力端子と出力端子との間に、コンデンサCとアンプ部34での増幅度を可変設定可能な増幅度設定手段である可変抵抗器R2との並列回路が電気的に接続され、かつ、オペアンプ41の非反転入力端子に参照電圧を設定する直流電源42が電気的に接続されて構成されている。さらに、オペアンプ41の出力端子は、点灯回路14(図1)に電気的に接続されている。
【0031】
検出制御回路35は、例えばアナログ回路、あるいは記憶手段であるメモリなどを備えたマイコンなどを有するディジタル回路などであり、駆動電源32の出力電圧と、抵抗器R1による電圧降下とをそれぞれ検出する電気的特性検出手段の機能と、この検出した電気的特性に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度を可変させてダイオード31からの出力を一定に制御する処理を行う出力制御手段の機能とを有するフィードバック制御回路である。なお、この検出制御回路35は、パッケージ25内とパッケージ25外とのいずれに配置されていてもよい。
【0032】
ここで、ダイオード31は、赤外線入射に伴う温度上昇を電気信号に変換する場合に、パッケージ25外と熱平衡状態にあると、電気信号に対する変換効率が減少する。このため、ダイオード31の順方向電圧とダイオード31を流れる電流値との電気的特性は、図4のグラフに示すように、パッケージ25の圧力(真空度)に応じて可変する。パッケージ25内を減圧するほど、ダイオード31からパッケージ25内の周囲への放熱が小さくなる、すなわち熱コンダクタンスが小さくなることで、電圧に対する電流変化が大きくなるとともに、ダイオード31の自己発熱によってのみダイオード31の温度が規定される(ダイオード31が自己発熱による温度に保たれる)。したがって、検出回路36は、このように抵抗器R1を介して検出制御回路35によりダイオード31の電気的特性を検出することでパッケージ25内の真空度を検出できる。
【0033】
図3に示すように、パッケージ25は、赤外線センサ部21のダイオード31の特性に応じた気体および圧力条件によって封止されている。上記のとおり、パッケージ25は、内部の圧力が低いほど、ダイオード31に赤外線が吸収され、熱エネルギが電気的エネルギに変換される効率が高くなり、赤外線センサ部21の感度が向上するだけでなく、水や二酸化炭素などの電気双極子能率を有する分子がパッケージ25内にあると赤外線を吸収する効果があることから、これら気体の分子量を低減しダイオード31への入射赤外線量を増やす観点からも、内部を減圧することが好ましい。
【0034】
図2に示すように、ランプ13は、例えば放電ランプ、あるいはLEDなどである。
【0035】
点灯回路14は、商用交流電源eとランプ13とが接続される主回路51と、この主回路51を動作させる駆動手段としてのパワー回路52と、このパワー回路52を制御する制御手段としての制御回路53と、赤外線センサ装置12からの出力を受信する受信手段としてのセンサ検出信号受信回路54(以下、単に受信回路54という)とを備えている。そして、制御回路53は、受信回路54により受信した赤外線センサ装置12からの出力に応じて、パワー回路52の動作を制御することで、主回路51を制御し、ランプ13の点灯状態を制御可能となっている。
【0036】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0037】
赤外線センサ装置12では、赤外線センサ部21を、センサとして動作させる場合と、パッケージ25の内部の圧力を検出するように動作させる場合とがある。
【0038】
赤外線センサ部21をセンサとして動作させる場合には、スイッチ33を一方の出力端子a側に導通させることで、駆動電源32がダイオード31のアノードに接続され、ダイオード31のカソードがアンプ部34のオペアンプ41の反転入力端子に接続される。このオペアンプ41の反転入力端子には、直流電源42から参照電圧が印加されており、したがって、ダイオード31が、駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動される。この状態で、遠赤外の輻射エネルギをダイオード31が検出すると、このダイオード31の温度が上昇し、流れる電流値が増加する。
【0039】
また、赤外線センサ部21によりパッケージ25の内部の圧力を検出する場合には、スイッチ33を他方の出力端子b側に導通させることで、駆動電源32がダイオード31のアノードに接続され、ダイオード31のカソードが検出制御回路35、および、グランド電位に接続された抵抗器R1に接続されることで、駆動電源32、ダイオード31、スイッチ33、抵抗器R1およびグランド電位の閉回路が形成される。このときの駆動電源32の電圧と、抵抗器R1での電圧降下とにより、ダイオード31の両端電圧と、このダイオード31に流れる電流値とを検出制御回路35が検出する。
【0040】
ここで、ダイオード31に流れる電流値の増加度合いは、パッケージ25の内部の圧力により変化するので、抵抗器R1を介して検出制御回路35が検出したダイオード31の電気的特性により、検出回路36がパッケージ25の内部の真空度を検出できる。
【0041】
そして、検出制御回路35が、検出したパッケージ25の内部の真空度に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度(ゲイン)を赤外線センサ部21での感度を一定とするために必要な増幅度となるように設定する。例えば、パッケージ25の内部の圧力が相対的に低いとき(ダイオード31の感度が相対的に高いとき)には、可変抵抗器R2の抵抗値(アンプ部34での増幅度)を相対的に小さくし、パッケージ25の内部の圧力が相対的に高いとき(ダイオード31の感度が相対的に低いとき)には、可変抵抗器R2の抵抗値(アンプ部34での増幅度)を相対的に大きくする。このとき、検出制御回路35では、例えば演算により可変抵抗器R2の抵抗値を設定してもよいし、メモリに記憶した真空度と可変抵抗器R2の抵抗値(アンプ部34での増幅度)との対応を示すテーブルなどを参照して可変抵抗器R2の抵抗値を設定してもよい。
【0042】
そして、点灯回路14は、赤外線センサ装置12からアンプ部34を経て出力された信号に応じて、例えば赤外線センサ装置12が熱源を検出した場合にはランプ13を点灯させるように制御し、熱源を検出しない場合にはランプ13を消灯させるように制御する。
【0043】
以上のように、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子として機能するダイオード31の電気的特性を検出回路36により検出することでパッケージ25内の真空度を検出するため、この真空度を検出するための例えば発熱体などの構成を別途設けるなど構成を複雑化することなく、パッケージ25内の真空度を検出できる。
【0044】
そして、検出回路36により検出したパッケージ25内の真空度に応じてこの検出回路36の検出制御回路35が可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることでダイオード31からの出力が一定となるようにアンプ部34の増幅度を調整するので、パッケージ25内の真空度に拘らず赤外線センサ部21のダイオード31の感度を一定に保つことができる。
【0045】
すなわち、パッケージ25内の真空度は、製造工程によってばらついたり、パッケージ25の封止部分でスローリークが発生して経時的に劣化したりする可能性があるため、パッケージ25内に赤外線センサ部21を封入した後に、上記のようにパッケージ25内の真空度を把握し、この真空度に応じて検出回路36によりアンプ部34での出力をフィードバック制御してダイオード31の感度を一定に保ち、ダイオード31の感度を保障することができる。
【0046】
そして、簡易な方法でパッケージ25の内部の真空度を評価できるので、例えば赤外線センサ装置12の量産工程における感度確認方法としても利用できる。
【0047】
しかも、構成を簡略化できることにより、赤外線センサ装置12をより小型化することが可能になる。
【0048】
また、アンプ部34と検出回路36とのいずれか一方を選択的にダイオード31の出力側に接続させるスイッチ33を備えることにより、このスイッチ33の切り替えによって、赤外線センサ部21のダイオード31を遠赤外の輻射エネルギを検出するセンサとして機能させる場合と、パッケージ25内の真空度を検出するために機能させる場合とを、容易に切り替えできる。
【0049】
次に、図5に第2の実施の形態を示し、図5は赤外線センサ装置の要部の回路図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態のスイッチ33を所定周期毎に出力端子a,bに交互に切り替える切替制御手段としてのスイッチ切替回路58を備えるものである。
【0051】
スイッチ切替回路58は、例えば外部信号、あるいは外部操作などによりスイッチ33を切り替えることが可能となっている。
【0052】
そして、スイッチ切替回路58がスイッチ33を他方の出力端子b側に導通させたときには、駆動電源32がダイオード31のアノードに接続され、ダイオード31のカソードが検出制御回路35、および、グランド電位に接続された抵抗器R1に接続されることで、駆動電源32、ダイオード31、スイッチ33、抵抗器R1およびグランド電位の閉回路が形成され、駆動電源32の電圧と、抵抗器R1での電圧降下とにより、ダイオード31の両端電圧と、このダイオード31に流れる電流値とを検出制御回路35が検出し、この検出したダイオード31の電気的特性により、検出回路36がパッケージ25の内部の真空度を検出して、この真空度に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度を赤外線センサ部21での感度を一定とするために必要な増幅度となるように設定する。
【0053】
続いて、スイッチ切替回路58がスイッチ33を一方の出力端子a側に導通させることで、駆動電源32がダイオード31のアノードに接続され、ダイオード31のカソードがアンプ部34のオペアンプ41の反転入力端子に接続され、ダイオード31が、駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動され、このダイオード31からの出力がアンプ部34により、直前に検出したパッケージ25内の真空度に応じて設定された可変抵抗器R2の抵抗値によって決定される増幅度で増幅されて点灯回路14へと出力される。
【0054】
このように、スイッチ切替回路58がスイッチ33をアンプ部34側と検出回路36側とに所定周期で交互に切り替え、直前に検出したパッケージ25内の真空度に応じてアンプ部34での増幅度を調整することにより、パッケージ25内の真空度の変動に対応して、速やかにアンプ部34の増幅度に反映させることができ(応答性が良好になり)、赤外線センサ装置12での遠赤外の輻射エネルギの検出精度をより向上できる。
【0055】
次に、図6および図7に第3の実施の形態を示し、図6は赤外線センサ装置の要部の回路図、図7は赤外線センサ装置を有する負荷制御装置のブロック図である。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、スイッチ33が、点灯回路14から出力された信号により切り替えられるものである。
【0057】
図6および図7に示すように、点灯回路14は、信号出力手段としての圧力測定指示信号出力回路61(以下、単に出力回路61という)を備え、この出力回路61は、制御回路53に接続されている。
【0058】
出力回路61は、所定信号を出力することで、スイッチ33を、所定期間のみダイオード31の出力側が検出回路36に接続されるように動作させることが可能となっている。
【0059】
そして、例えば1日に1回、あるいは1か月に1回などの所定時間毎、あるいは、ランプ点灯装置15の起動時、停止直前などの点灯回路14の動作開始や動作停止に応じたタイミングなどで、出力回路61から所定信号を出力することにより、スイッチ33を他方の出力端子b側に所定期間導通させ、駆動電源32の電圧と、抵抗器R1での電圧降下とにより、ダイオード31の両端電圧と、このダイオード31に流れる電流値とを検出制御回路35が検出し、この検出したダイオード31の電気的特性により、検出回路36がパッケージ25の内部の真空度を検出して、この真空度に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度を赤外線センサ部21での感度を一定とするために必要な増幅度となるように設定する。所定期間が経過すると、スイッチ33が一方の出力端子a側に導通することにより、ダイオード31を駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動させ、熱源を検出するセンサとして機能させる。
【0060】
この結果、点灯回路14の動作に応じて必要なときにのみパッケージ25内の真空度を検出するように構成でき、赤外線センサ装置12の制御が容易になる。
【0061】
なお、上記各実施の形態において、スイッチ33の切り替えのタイミングは、例えばダイオード31により背景温度を検出するタイミング、あるいは、赤外線センサ装置12により熱源を検出していないタイミングなどとしてもよい。
【0062】
次に、図8ないし図10に第4の実施の形態を示し、図8は赤外線センサ装置の要部の回路図、図9は赤外線センサ装置を示す分解斜視図、図10は赤外線センサ装置の異なる周囲の真空度に対応する投入電力とセンサ素子の温度変化との関係を示すグラフである。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
この第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態の検出回路36の抵抗器R1に代えて、図8に示すように、ダイオード31の温度を検出する温度測定手段としての検出素子である温度検出素子64を設けるとともに、ダイオード31のカソード側をオペアンプ41の反転入力端子に対して直接的に接続したものである。
【0064】
この温度検出素子64は、例えばPTCサーミスタなどであり、ダイオード31に対して略接触した状態で図9に示すようにパッケージ25の内部に封入されている。なお、ダイオード31に対して略接触するとは、熱コンダクタンスを充分低い状態を保つように、ダイオード31に直接的に接触している状態、あるいは、ダイオード31に直接的に接触してはいないものの近接して配設されている状態などをいうものとする。また、この温度検出素子64は、検出制御回路35に接続されており、この検出制御回路35において、温度検出素子64を介して検出したダイオード31の温度により、検出回路36がパッケージ25内の真空度を検出可能となっている。
【0065】
すなわち、パッケージ25内のダイオード31の温度は、このダイオード31の自己発熱分と周囲の真空度に応じた熱コンダクタンスとによって決定されるため、図10のグラフに示すように、ダイオード31は投入電力が大きいほど温度が上昇し、投入電力が同一の場合、温度変化が周囲の真空度の変化を表すこととなる。したがって、検出回路36は、温度検出素子64を介して測定したダイオード31の温度により、このダイオード31の周囲の真空度を検出することができる。
【0066】
そして、赤外線センサ装置12では、赤外線センサ部21を、センサとして動作させていることにより、パッケージ25の内部の圧力を検出することが可能となっている。
【0067】
すなわち、ダイオード31は、駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動され、遠赤外の輻射エネルギをダイオード31が検出すると、このダイオード31の温度が上昇し、流れる電流値が増加する。
【0068】
この温度変化の度合いを、温度検出素子64を介して検出制御回路35が検出することにより、検出回路36がパッケージ25内の真空度を検出する。
【0069】
そして、検出制御回路35が、検出したパッケージ25の内部の真空度に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度(ゲイン)を赤外線センサ部21での感度を一定とするために必要な増幅度となるように設定する。
【0070】
このように、検出回路36が、温度検出素子64および検出制御回路35を介してダイオード31の温度を検出することによりパッケージ25内の真空度を検出するので、ダイオード31では遠赤外の輻射エネルギ強度を検出しながら、同時にパッケージ25内の真空度を検出回路36で検出できる。
【0071】
また、このようにダイオード31は遠赤外の輻射エネルギ強度を検出しながら同時にパッケージ25内の真空度を検出できるので、この真空度の検出に対して遅れを生じることなくアンプ部34での増幅度を調整でき、応答性が良好になり、赤外線センサ装置12での遠赤外の輻射エネルギの検出精度をより向上できる。
【0072】
さらに、ダイオード31の動作を切り替えることなくパッケージ25内の真空度を検出できるので、ダイオード31の動作を切り替えるための切替手段などを設ける必要がなく、構成をより簡略化することができ、赤外線センサ装置12をより小型化することも可能になる。
【0073】
次に、図11に第5の実施の形態を示し、図11は赤外線センサ装置の要部の回路図である。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0074】
この第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態において、検出回路36および可変抵抗器R2に代えて、温度変化に対応して抵抗値が変化する検出手段としてのNTCサーミスタ66を設けたものである。
【0075】
すなわち、NTCサーミスタ66は、ダイオード31に対して略接触した状態でパッケージ25内に封入されているとともに、コンデンサCとの並列回路がオペアンプ41の反転入力端子と出力端子との間に接続されている。そして、NTCサーミスタ66は、温度が高くなるほど抵抗値が小さくなるため、パッケージ25内の真空度が相対的に高い状態(低圧状態)である場合には、ダイオード31の温度がより高くなることで、NTCサーミスタ66の抵抗値が相対的に低くなり、アンプ部34の増幅度が相対的に低く設定され、パッケージ25内の真空度が相対的に低い状態(高圧状態)である場合には、ダイオード31の温度が相対的に低くなることで、NTCサーミスタ66の抵抗値が相対的に高くなり、アンプ部34の増幅度が相対的に高く設定されるように構成されている。したがって、NTCサーミスタ66は、ダイオード31の温度に応じて抵抗値が可変することにより、パッケージ25内の真空度を検出する検出手段の機能と、この検出した真空度に応じてアンプ部34での増幅度を調整する増幅度設定手段の機能とを備えている。
【0076】
そして、赤外線センサ装置12では、赤外線センサ部21を、センサとして動作させていることにより、パッケージ25の内部の圧力を検出することが可能となっている。
【0077】
すなわち、ダイオード31は、駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動され、遠赤外の輻射エネルギをダイオード31が検出すると、このダイオード31の温度が上昇し、流れる電流値が増加する。
【0078】
この温度変化に応じて、NTCサーミスタ66の抵抗値が可変する。具体的に、パッケージ25の内部の真空度が高く、ダイオード31の温度が高くなるとNTCサーミスタ66の抵抗値が低下してアンプ部34での増幅度が相対的に減少し、パッケージ25の内部の真空度が低く、ダイオード31の温度があまり高くならないとNTCサーミスタ66の抵抗値が相対的に増加してアンプ部34での増幅度が増加することで、アンプ部34での増幅度(ゲイン)が赤外線センサ部21での感度を一定とする増幅度に自動的に設定される。
【0079】
このように、ダイオード31の温度を検出することでパッケージ25内の真空度を検出するためのNTCサーミスタ66をアンプ部34の増幅度の設定用として共用することで、1つのNTCサーミスタ66で真空度の検出とアンプ部34の増幅度の設定とが可能になり、パッケージ25内の真空度に応じてアンプ部34の増幅度を可変設定するための別途構成などが不要となるので、構成および制御をより簡略化でき、赤外線センサ装置12をより小型化することが可能になる。
【0080】
なお、上記各実施の形態において、切替手段および検出手段は、複数のダイオード31のうち、一部のダイオード31に対してのみ設けるように構成してもよい。すなわち、赤外線センサ部21のダイオード31は、その一部のみをセンサ用とパッケージ25内の真空度の検出用とに共用してもよい。なお、パッケージ25内の真空度を検出する際には、少なくとも1つのダイオード31を動作させれば充分であるが、複数動作させることで、より精度よく検出できる。
【0081】
また、図4のグラフに示したような関係は、ダイオード31の半導体のPN接合に由来する特性であるため、センサ素子として、ダイオード31の他に、トランジスタ、あるいはサイリスタなど、半導体をPN接合する素子を用いても、同様の作用効果を奏することができる。
【0082】
さらに、赤外線センサ装置12は、ランプ13を点灯させる点灯回路14に用いたが、他の任意の電気機器に対して用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部の回路図である
【図2】同上赤外線センサ装置を有する負荷制御装置のブロック図である。
【図3】同上赤外線センサ装置を示す分解斜視図である。
【図4】同上赤外線センサ装置の異なる周囲の真空度に対応するセンサ素子の電圧と電流との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部を示す回路図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部を示す回路図である。
【図7】同上赤外線センサ装置を有する負荷制御装置のブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部の回路図である。
【図9】同上赤外線センサ装置を示す分解斜視図である。
【図10】同上赤外線センサ装置の異なる周囲の真空度に対応する投入電力とセンサ素子の温度変化との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第5の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部の回路図である。
【符号の説明】
【0084】
12 赤外線センサ装置
14 電気機器としての点灯回路
25 外囲器であるパッケージ
31 センサ素子としてのPN接合ダイオード
33 切替手段としてのスイッチ
34 出力処理手段としてのアンプ部
36 検出手段としての検出回路
66 検出手段としてのNTCサーミスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子を備えた赤外線センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば人体検知装置などの赤外線センサ装置に人感センサとして用いられる赤外線センサは、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子を備えている。このセンサ素子は、空気を通して放出する熱エネルギを抑制して高感度化を図るために、外囲器すなわちパッケージ内に減圧状態で気密封止されている。
【0003】
しかしながら、このような赤外線センサは、パッケージの封止部分でリークが発生したり、内部でガスが発生したりすることで、内部の圧力、すなわち真空度が変化するおそれがある。このような真空度の変化が生じると感度が低下する一方で、このような変化は、外部から目視などにより検出することが容易でない。
【0004】
そこで、パッケージの内部に、通電により発熱する発熱体を別途配置し、この発熱体の通電に伴う温度変化分に応じた温度差信号を検出することで、パッケージ内の真空度の変化を検出する構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−137940号公報(第3−4頁、図1−4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の赤外線センサ装置では、パッケージの内部に、センサ素子だけでなく、発熱体を別途配置しているため、構成が複雑化するという問題点を有している。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、構成の複雑化を抑制しつつ外囲器内の真空度を検出できる赤外線センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の赤外線センサ装置は、周囲の真空度に依存する電気的特性を有し、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子と;センサ素子を収容する外囲器と;センサ素子の少なくとも一部の電気的特性を検出することで外囲器内の真空度を検出可能な検出手段と;を具備しているものである。
【0008】
周囲の真空度に依存する電気的特性とは、例えば電流値、電圧値あるいは電力値などである。
【0009】
センサ素子としては、例えばダイオードなどが好適に用いられる。
【0010】
外囲器には、例えば開口部が形成され、この開口部に遠赤外の輻射エネルギを透過させるフィルタが接合されている。
【0011】
検出手段は、電圧、電流あるいは電力を用いて電気的特性を検出したり、温度により電気的特性を検出したりすることが可能である。
【0012】
請求項2記載の赤外線センサ装置は、請求項1記載の赤外線センサ装置において、検出手段により検出した外囲器内の真空度に応じてセンサ素子からの出力を調整可能な出力処理手段を具備しているものである。
【0013】
出力処理手段は、例えば、センサ素子からの出力を増幅する増幅手段、および、この増幅手段による増幅度を設定する増幅度設定手段などを備えている。
【0014】
請求項3記載の赤外線センサ装置は、請求項2記載の赤外線センサ装置において、出力処理手段と検出手段とのいずれか一方を選択的にセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させる切替手段を具備しているものである。
【0015】
切替手段としては、例えば機械的スイッチ、あるいは電気的スイッチなどが好適に用いられる。
【0016】
請求項4記載の赤外線センサ装置は、請求項3記載の赤外線センサ装置において、切替手段は、所定周期で交互に出力処理手段と検出手段とをセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させ、出力処理手段は、センサ素子の少なくとも一部の出力側に対して接続される直前にこの出力側に接続された検出手段によって検出した外囲器内の真空度に応じてセンサ素子からの出力を調整するものである。
【0017】
請求項5記載の赤外線センサ装置は、請求項3記載の赤外線センサ装置において、切替手段は、出力処理手段を介したセンサ素子からの出力に基づいて動作する電気機器からの所定信号により、検出手段を所定期間のみセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させるように動作するものである。
【0018】
電気機器は、例えばセンサ素子を介して熱源が検出されたときに動作し、センサ素子を介して熱源が検出されないときには動作しない機器などであり、任意のタイミングで所定信号を切替手段に出力することで、検出手段によりセンサ素子の少なくとも一部を介して外囲器内の真空度を検出するように構成する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の赤外線センサ装置によれば、検出手段によりセンサ素子の少なくとも一部の電気的特性を検出することで外囲器内の真空度を検出するため、この真空度を検出するための構成を別途設けるなど構成を複雑化することなく、外囲器内の真空度を検出できる。
【0020】
請求項2記載の赤外線センサ装置によれば、請求項1記載の赤外線センサ装置の効果に加えて、検出手段により検出した外囲器内の真空度に応じて出力処理手段がセンサ素子からの出力を調整することで、外囲器内の真空度に拘らずセンサ素子の感度を一定に保つことができる。
【0021】
請求項3記載の赤外線センサ装置によれば、請求項2記載の赤外線センサ装置の効果に加えて、出力処理手段と検出手段とのいずれか一方を選択的にセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させる切替手段を備えることで、この切替手段の切り替えによって、センサ素子を遠赤外の輻射エネルギを検出するセンサとして機能させる場合と、外囲器内の真空度を検出するために機能させる場合とを、容易に切り替えできる。
【0022】
請求項4記載の赤外線センサ装置によれば、請求項3記載の赤外線センサ装置の効果に加えて、切替手段を出力処理手段側と検出手段側とに所定周期で交互に切り替え、直前に検出した外囲器内の真空度に応じて出力処理手段によってセンサ素子からの出力を調整することにより、外囲器内の真空度の変動に対応して、速やかに出力処理手段の出力調整に反映させることができ、遠赤外の輻射エネルギの検出精度を向上できる。
【0023】
請求項5記載の赤外線センサ装置によれば、請求項3記載の赤外線センサ装置の効果に加えて、切替手段が、出力処理手段を介したセンサ素子からの出力に基づいて動作する電気機器からの所定信号により、検出手段を所定期間のみセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させるように動作するので、電気機器の動作に応じて必要なときにのみ外囲器内の真空度を検出するように構成でき、制御が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1ないし図4に第1の実施の形態を示し、図1は赤外線センサ装置の要部の回路図、図2は赤外線センサ装置を有する負荷制御装置のブロック図、図3は赤外線センサ装置を示す分解斜視図、図4は赤外線センサ装置の異なる周囲の真空度に対応するセンサ素子の電圧と電流との関係を示すグラフである。
【0026】
図2に示すように、負荷制御システムである照明システム11は、赤外線センサ装置12と負荷であるランプ13を点灯制御する電気機器としての負荷駆動装置である点灯回路14とを備え、赤外線センサ装置12と点灯回路14とにより、負荷制御装置としてのランプ点灯装置15が構成されている。
【0027】
赤外線センサ装置12は、複数の赤外線センサ部21をアレイ状に備えており、例えば対象物の一例である人の存否を検出する熱線式人感センサ(ポイントセンサ)として動作するもの、あるいは所定領域の画像を所定の時間間隔(フレーム時間)で撮像する画像式人感センサ(イメージセンサ)として動作するものである。そして、この赤外線センサ装置12は、図3に示すように、赤外線センサ部21を、素子台座としての台座部22上に載置した状態で、ステム23およびキャップ24により構成される外囲器であるパッケージ25の内部に収容してこのパッケージ25の内部を所定の減圧状態として構成されており、キャップ24に、遠赤外の輻射エネルギを透過させるフィルタである窓材26が取り付けられた開口部27が赤外線センサ部21に臨んで形成されている。
【0028】
赤外線センサ部21は、図1に示すように、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子としてのPN接合ダイオード31(以下、単にダイオード31という)のアノード側に、駆動手段としての直流電源である駆動電源32のプラス側が電気的に接続され、ダイオード31のカソード側に切替手段としての2極型のスイッチ33が電気的に接続され、このスイッチ33の一方の出力端子aに出力処理手段としての増幅部であるアンプ部34が電気的に接続され、かつ、スイッチ33の他方の出力端子bに電圧検出手段としての検出素子である抵抗器R1がグランド電位との間に電気的に接続されている。さらに、抵抗器R1とスイッチ33との接続点、および、駆動電源32とダイオード31のアノード側との接続点には、検出制御回路35が電気的に接続され、この検出制御回路35と抵抗器R1とにより検出手段としての検出回路36が構成されている。また、赤外線センサ部21は、例えばダイオード31での検出値との差分により熱源を検出するための背景温度を定期的に取得するように制御されている。
【0029】
スイッチ33は、ダイオード31の出力側であるカソードに対してアンプ部34と検出回路36とを選択的に電気的に接続するように構成されている。なお、このスイッチ33は、機械的なスイッチ、あるいは電気的なスイッチのいずれでもよい。
【0030】
アンプ部34は、増幅手段である演算増幅器すなわちオペアンプ41の反転入力端子と出力端子との間に、コンデンサCとアンプ部34での増幅度を可変設定可能な増幅度設定手段である可変抵抗器R2との並列回路が電気的に接続され、かつ、オペアンプ41の非反転入力端子に参照電圧を設定する直流電源42が電気的に接続されて構成されている。さらに、オペアンプ41の出力端子は、点灯回路14(図1)に電気的に接続されている。
【0031】
検出制御回路35は、例えばアナログ回路、あるいは記憶手段であるメモリなどを備えたマイコンなどを有するディジタル回路などであり、駆動電源32の出力電圧と、抵抗器R1による電圧降下とをそれぞれ検出する電気的特性検出手段の機能と、この検出した電気的特性に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度を可変させてダイオード31からの出力を一定に制御する処理を行う出力制御手段の機能とを有するフィードバック制御回路である。なお、この検出制御回路35は、パッケージ25内とパッケージ25外とのいずれに配置されていてもよい。
【0032】
ここで、ダイオード31は、赤外線入射に伴う温度上昇を電気信号に変換する場合に、パッケージ25外と熱平衡状態にあると、電気信号に対する変換効率が減少する。このため、ダイオード31の順方向電圧とダイオード31を流れる電流値との電気的特性は、図4のグラフに示すように、パッケージ25の圧力(真空度)に応じて可変する。パッケージ25内を減圧するほど、ダイオード31からパッケージ25内の周囲への放熱が小さくなる、すなわち熱コンダクタンスが小さくなることで、電圧に対する電流変化が大きくなるとともに、ダイオード31の自己発熱によってのみダイオード31の温度が規定される(ダイオード31が自己発熱による温度に保たれる)。したがって、検出回路36は、このように抵抗器R1を介して検出制御回路35によりダイオード31の電気的特性を検出することでパッケージ25内の真空度を検出できる。
【0033】
図3に示すように、パッケージ25は、赤外線センサ部21のダイオード31の特性に応じた気体および圧力条件によって封止されている。上記のとおり、パッケージ25は、内部の圧力が低いほど、ダイオード31に赤外線が吸収され、熱エネルギが電気的エネルギに変換される効率が高くなり、赤外線センサ部21の感度が向上するだけでなく、水や二酸化炭素などの電気双極子能率を有する分子がパッケージ25内にあると赤外線を吸収する効果があることから、これら気体の分子量を低減しダイオード31への入射赤外線量を増やす観点からも、内部を減圧することが好ましい。
【0034】
図2に示すように、ランプ13は、例えば放電ランプ、あるいはLEDなどである。
【0035】
点灯回路14は、商用交流電源eとランプ13とが接続される主回路51と、この主回路51を動作させる駆動手段としてのパワー回路52と、このパワー回路52を制御する制御手段としての制御回路53と、赤外線センサ装置12からの出力を受信する受信手段としてのセンサ検出信号受信回路54(以下、単に受信回路54という)とを備えている。そして、制御回路53は、受信回路54により受信した赤外線センサ装置12からの出力に応じて、パワー回路52の動作を制御することで、主回路51を制御し、ランプ13の点灯状態を制御可能となっている。
【0036】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0037】
赤外線センサ装置12では、赤外線センサ部21を、センサとして動作させる場合と、パッケージ25の内部の圧力を検出するように動作させる場合とがある。
【0038】
赤外線センサ部21をセンサとして動作させる場合には、スイッチ33を一方の出力端子a側に導通させることで、駆動電源32がダイオード31のアノードに接続され、ダイオード31のカソードがアンプ部34のオペアンプ41の反転入力端子に接続される。このオペアンプ41の反転入力端子には、直流電源42から参照電圧が印加されており、したがって、ダイオード31が、駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動される。この状態で、遠赤外の輻射エネルギをダイオード31が検出すると、このダイオード31の温度が上昇し、流れる電流値が増加する。
【0039】
また、赤外線センサ部21によりパッケージ25の内部の圧力を検出する場合には、スイッチ33を他方の出力端子b側に導通させることで、駆動電源32がダイオード31のアノードに接続され、ダイオード31のカソードが検出制御回路35、および、グランド電位に接続された抵抗器R1に接続されることで、駆動電源32、ダイオード31、スイッチ33、抵抗器R1およびグランド電位の閉回路が形成される。このときの駆動電源32の電圧と、抵抗器R1での電圧降下とにより、ダイオード31の両端電圧と、このダイオード31に流れる電流値とを検出制御回路35が検出する。
【0040】
ここで、ダイオード31に流れる電流値の増加度合いは、パッケージ25の内部の圧力により変化するので、抵抗器R1を介して検出制御回路35が検出したダイオード31の電気的特性により、検出回路36がパッケージ25の内部の真空度を検出できる。
【0041】
そして、検出制御回路35が、検出したパッケージ25の内部の真空度に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度(ゲイン)を赤外線センサ部21での感度を一定とするために必要な増幅度となるように設定する。例えば、パッケージ25の内部の圧力が相対的に低いとき(ダイオード31の感度が相対的に高いとき)には、可変抵抗器R2の抵抗値(アンプ部34での増幅度)を相対的に小さくし、パッケージ25の内部の圧力が相対的に高いとき(ダイオード31の感度が相対的に低いとき)には、可変抵抗器R2の抵抗値(アンプ部34での増幅度)を相対的に大きくする。このとき、検出制御回路35では、例えば演算により可変抵抗器R2の抵抗値を設定してもよいし、メモリに記憶した真空度と可変抵抗器R2の抵抗値(アンプ部34での増幅度)との対応を示すテーブルなどを参照して可変抵抗器R2の抵抗値を設定してもよい。
【0042】
そして、点灯回路14は、赤外線センサ装置12からアンプ部34を経て出力された信号に応じて、例えば赤外線センサ装置12が熱源を検出した場合にはランプ13を点灯させるように制御し、熱源を検出しない場合にはランプ13を消灯させるように制御する。
【0043】
以上のように、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子として機能するダイオード31の電気的特性を検出回路36により検出することでパッケージ25内の真空度を検出するため、この真空度を検出するための例えば発熱体などの構成を別途設けるなど構成を複雑化することなく、パッケージ25内の真空度を検出できる。
【0044】
そして、検出回路36により検出したパッケージ25内の真空度に応じてこの検出回路36の検出制御回路35が可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることでダイオード31からの出力が一定となるようにアンプ部34の増幅度を調整するので、パッケージ25内の真空度に拘らず赤外線センサ部21のダイオード31の感度を一定に保つことができる。
【0045】
すなわち、パッケージ25内の真空度は、製造工程によってばらついたり、パッケージ25の封止部分でスローリークが発生して経時的に劣化したりする可能性があるため、パッケージ25内に赤外線センサ部21を封入した後に、上記のようにパッケージ25内の真空度を把握し、この真空度に応じて検出回路36によりアンプ部34での出力をフィードバック制御してダイオード31の感度を一定に保ち、ダイオード31の感度を保障することができる。
【0046】
そして、簡易な方法でパッケージ25の内部の真空度を評価できるので、例えば赤外線センサ装置12の量産工程における感度確認方法としても利用できる。
【0047】
しかも、構成を簡略化できることにより、赤外線センサ装置12をより小型化することが可能になる。
【0048】
また、アンプ部34と検出回路36とのいずれか一方を選択的にダイオード31の出力側に接続させるスイッチ33を備えることにより、このスイッチ33の切り替えによって、赤外線センサ部21のダイオード31を遠赤外の輻射エネルギを検出するセンサとして機能させる場合と、パッケージ25内の真空度を検出するために機能させる場合とを、容易に切り替えできる。
【0049】
次に、図5に第2の実施の形態を示し、図5は赤外線センサ装置の要部の回路図である。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態のスイッチ33を所定周期毎に出力端子a,bに交互に切り替える切替制御手段としてのスイッチ切替回路58を備えるものである。
【0051】
スイッチ切替回路58は、例えば外部信号、あるいは外部操作などによりスイッチ33を切り替えることが可能となっている。
【0052】
そして、スイッチ切替回路58がスイッチ33を他方の出力端子b側に導通させたときには、駆動電源32がダイオード31のアノードに接続され、ダイオード31のカソードが検出制御回路35、および、グランド電位に接続された抵抗器R1に接続されることで、駆動電源32、ダイオード31、スイッチ33、抵抗器R1およびグランド電位の閉回路が形成され、駆動電源32の電圧と、抵抗器R1での電圧降下とにより、ダイオード31の両端電圧と、このダイオード31に流れる電流値とを検出制御回路35が検出し、この検出したダイオード31の電気的特性により、検出回路36がパッケージ25の内部の真空度を検出して、この真空度に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度を赤外線センサ部21での感度を一定とするために必要な増幅度となるように設定する。
【0053】
続いて、スイッチ切替回路58がスイッチ33を一方の出力端子a側に導通させることで、駆動電源32がダイオード31のアノードに接続され、ダイオード31のカソードがアンプ部34のオペアンプ41の反転入力端子に接続され、ダイオード31が、駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動され、このダイオード31からの出力がアンプ部34により、直前に検出したパッケージ25内の真空度に応じて設定された可変抵抗器R2の抵抗値によって決定される増幅度で増幅されて点灯回路14へと出力される。
【0054】
このように、スイッチ切替回路58がスイッチ33をアンプ部34側と検出回路36側とに所定周期で交互に切り替え、直前に検出したパッケージ25内の真空度に応じてアンプ部34での増幅度を調整することにより、パッケージ25内の真空度の変動に対応して、速やかにアンプ部34の増幅度に反映させることができ(応答性が良好になり)、赤外線センサ装置12での遠赤外の輻射エネルギの検出精度をより向上できる。
【0055】
次に、図6および図7に第3の実施の形態を示し、図6は赤外線センサ装置の要部の回路図、図7は赤外線センサ装置を有する負荷制御装置のブロック図である。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0056】
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、スイッチ33が、点灯回路14から出力された信号により切り替えられるものである。
【0057】
図6および図7に示すように、点灯回路14は、信号出力手段としての圧力測定指示信号出力回路61(以下、単に出力回路61という)を備え、この出力回路61は、制御回路53に接続されている。
【0058】
出力回路61は、所定信号を出力することで、スイッチ33を、所定期間のみダイオード31の出力側が検出回路36に接続されるように動作させることが可能となっている。
【0059】
そして、例えば1日に1回、あるいは1か月に1回などの所定時間毎、あるいは、ランプ点灯装置15の起動時、停止直前などの点灯回路14の動作開始や動作停止に応じたタイミングなどで、出力回路61から所定信号を出力することにより、スイッチ33を他方の出力端子b側に所定期間導通させ、駆動電源32の電圧と、抵抗器R1での電圧降下とにより、ダイオード31の両端電圧と、このダイオード31に流れる電流値とを検出制御回路35が検出し、この検出したダイオード31の電気的特性により、検出回路36がパッケージ25の内部の真空度を検出して、この真空度に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度を赤外線センサ部21での感度を一定とするために必要な増幅度となるように設定する。所定期間が経過すると、スイッチ33が一方の出力端子a側に導通することにより、ダイオード31を駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動させ、熱源を検出するセンサとして機能させる。
【0060】
この結果、点灯回路14の動作に応じて必要なときにのみパッケージ25内の真空度を検出するように構成でき、赤外線センサ装置12の制御が容易になる。
【0061】
なお、上記各実施の形態において、スイッチ33の切り替えのタイミングは、例えばダイオード31により背景温度を検出するタイミング、あるいは、赤外線センサ装置12により熱源を検出していないタイミングなどとしてもよい。
【0062】
次に、図8ないし図10に第4の実施の形態を示し、図8は赤外線センサ装置の要部の回路図、図9は赤外線センサ装置を示す分解斜視図、図10は赤外線センサ装置の異なる周囲の真空度に対応する投入電力とセンサ素子の温度変化との関係を示すグラフである。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0063】
この第4の実施の形態は、上記第1の実施の形態の検出回路36の抵抗器R1に代えて、図8に示すように、ダイオード31の温度を検出する温度測定手段としての検出素子である温度検出素子64を設けるとともに、ダイオード31のカソード側をオペアンプ41の反転入力端子に対して直接的に接続したものである。
【0064】
この温度検出素子64は、例えばPTCサーミスタなどであり、ダイオード31に対して略接触した状態で図9に示すようにパッケージ25の内部に封入されている。なお、ダイオード31に対して略接触するとは、熱コンダクタンスを充分低い状態を保つように、ダイオード31に直接的に接触している状態、あるいは、ダイオード31に直接的に接触してはいないものの近接して配設されている状態などをいうものとする。また、この温度検出素子64は、検出制御回路35に接続されており、この検出制御回路35において、温度検出素子64を介して検出したダイオード31の温度により、検出回路36がパッケージ25内の真空度を検出可能となっている。
【0065】
すなわち、パッケージ25内のダイオード31の温度は、このダイオード31の自己発熱分と周囲の真空度に応じた熱コンダクタンスとによって決定されるため、図10のグラフに示すように、ダイオード31は投入電力が大きいほど温度が上昇し、投入電力が同一の場合、温度変化が周囲の真空度の変化を表すこととなる。したがって、検出回路36は、温度検出素子64を介して測定したダイオード31の温度により、このダイオード31の周囲の真空度を検出することができる。
【0066】
そして、赤外線センサ装置12では、赤外線センサ部21を、センサとして動作させていることにより、パッケージ25の内部の圧力を検出することが可能となっている。
【0067】
すなわち、ダイオード31は、駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動され、遠赤外の輻射エネルギをダイオード31が検出すると、このダイオード31の温度が上昇し、流れる電流値が増加する。
【0068】
この温度変化の度合いを、温度検出素子64を介して検出制御回路35が検出することにより、検出回路36がパッケージ25内の真空度を検出する。
【0069】
そして、検出制御回路35が、検出したパッケージ25の内部の真空度に応じて可変抵抗器R2の抵抗値を可変させることにより、アンプ部34での増幅度(ゲイン)を赤外線センサ部21での感度を一定とするために必要な増幅度となるように設定する。
【0070】
このように、検出回路36が、温度検出素子64および検出制御回路35を介してダイオード31の温度を検出することによりパッケージ25内の真空度を検出するので、ダイオード31では遠赤外の輻射エネルギ強度を検出しながら、同時にパッケージ25内の真空度を検出回路36で検出できる。
【0071】
また、このようにダイオード31は遠赤外の輻射エネルギ強度を検出しながら同時にパッケージ25内の真空度を検出できるので、この真空度の検出に対して遅れを生じることなくアンプ部34での増幅度を調整でき、応答性が良好になり、赤外線センサ装置12での遠赤外の輻射エネルギの検出精度をより向上できる。
【0072】
さらに、ダイオード31の動作を切り替えることなくパッケージ25内の真空度を検出できるので、ダイオード31の動作を切り替えるための切替手段などを設ける必要がなく、構成をより簡略化することができ、赤外線センサ装置12をより小型化することも可能になる。
【0073】
次に、図11に第5の実施の形態を示し、図11は赤外線センサ装置の要部の回路図である。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0074】
この第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態において、検出回路36および可変抵抗器R2に代えて、温度変化に対応して抵抗値が変化する検出手段としてのNTCサーミスタ66を設けたものである。
【0075】
すなわち、NTCサーミスタ66は、ダイオード31に対して略接触した状態でパッケージ25内に封入されているとともに、コンデンサCとの並列回路がオペアンプ41の反転入力端子と出力端子との間に接続されている。そして、NTCサーミスタ66は、温度が高くなるほど抵抗値が小さくなるため、パッケージ25内の真空度が相対的に高い状態(低圧状態)である場合には、ダイオード31の温度がより高くなることで、NTCサーミスタ66の抵抗値が相対的に低くなり、アンプ部34の増幅度が相対的に低く設定され、パッケージ25内の真空度が相対的に低い状態(高圧状態)である場合には、ダイオード31の温度が相対的に低くなることで、NTCサーミスタ66の抵抗値が相対的に高くなり、アンプ部34の増幅度が相対的に高く設定されるように構成されている。したがって、NTCサーミスタ66は、ダイオード31の温度に応じて抵抗値が可変することにより、パッケージ25内の真空度を検出する検出手段の機能と、この検出した真空度に応じてアンプ部34での増幅度を調整する増幅度設定手段の機能とを備えている。
【0076】
そして、赤外線センサ装置12では、赤外線センサ部21を、センサとして動作させていることにより、パッケージ25の内部の圧力を検出することが可能となっている。
【0077】
すなわち、ダイオード31は、駆動電源32の電圧と直流電源42からの参照電圧との差分電圧で駆動され、遠赤外の輻射エネルギをダイオード31が検出すると、このダイオード31の温度が上昇し、流れる電流値が増加する。
【0078】
この温度変化に応じて、NTCサーミスタ66の抵抗値が可変する。具体的に、パッケージ25の内部の真空度が高く、ダイオード31の温度が高くなるとNTCサーミスタ66の抵抗値が低下してアンプ部34での増幅度が相対的に減少し、パッケージ25の内部の真空度が低く、ダイオード31の温度があまり高くならないとNTCサーミスタ66の抵抗値が相対的に増加してアンプ部34での増幅度が増加することで、アンプ部34での増幅度(ゲイン)が赤外線センサ部21での感度を一定とする増幅度に自動的に設定される。
【0079】
このように、ダイオード31の温度を検出することでパッケージ25内の真空度を検出するためのNTCサーミスタ66をアンプ部34の増幅度の設定用として共用することで、1つのNTCサーミスタ66で真空度の検出とアンプ部34の増幅度の設定とが可能になり、パッケージ25内の真空度に応じてアンプ部34の増幅度を可変設定するための別途構成などが不要となるので、構成および制御をより簡略化でき、赤外線センサ装置12をより小型化することが可能になる。
【0080】
なお、上記各実施の形態において、切替手段および検出手段は、複数のダイオード31のうち、一部のダイオード31に対してのみ設けるように構成してもよい。すなわち、赤外線センサ部21のダイオード31は、その一部のみをセンサ用とパッケージ25内の真空度の検出用とに共用してもよい。なお、パッケージ25内の真空度を検出する際には、少なくとも1つのダイオード31を動作させれば充分であるが、複数動作させることで、より精度よく検出できる。
【0081】
また、図4のグラフに示したような関係は、ダイオード31の半導体のPN接合に由来する特性であるため、センサ素子として、ダイオード31の他に、トランジスタ、あるいはサイリスタなど、半導体をPN接合する素子を用いても、同様の作用効果を奏することができる。
【0082】
さらに、赤外線センサ装置12は、ランプ13を点灯させる点灯回路14に用いたが、他の任意の電気機器に対して用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部の回路図である
【図2】同上赤外線センサ装置を有する負荷制御装置のブロック図である。
【図3】同上赤外線センサ装置を示す分解斜視図である。
【図4】同上赤外線センサ装置の異なる周囲の真空度に対応するセンサ素子の電圧と電流との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部を示す回路図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部を示す回路図である。
【図7】同上赤外線センサ装置を有する負荷制御装置のブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部の回路図である。
【図9】同上赤外線センサ装置を示す分解斜視図である。
【図10】同上赤外線センサ装置の異なる周囲の真空度に対応する投入電力とセンサ素子の温度変化との関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第5の実施の形態を示す赤外線センサ装置の要部の回路図である。
【符号の説明】
【0084】
12 赤外線センサ装置
14 電気機器としての点灯回路
25 外囲器であるパッケージ
31 センサ素子としてのPN接合ダイオード
33 切替手段としてのスイッチ
34 出力処理手段としてのアンプ部
36 検出手段としての検出回路
66 検出手段としてのNTCサーミスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の真空度に依存する電気的特性を有し、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子と;
センサ素子を収容する外囲器と;
センサ素子の少なくとも一部の電気的特性を検出することで外囲器内の真空度を検出可能な検出手段と;
を具備していることを特徴とする赤外線センサ装置。
【請求項2】
検出手段により検出した外囲器内の真空度に応じてセンサ素子からの出力を調整可能な出力処理手段
を具備していることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ装置。
【請求項3】
出力処理手段と検出手段とのいずれか一方を選択的にセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させる切替手段
を具備していることを特徴とする請求項2記載の赤外線センサ装置。
【請求項4】
切替手段は、所定周期で交互に出力処理手段と検出手段とをセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させ、
出力処理手段は、センサ素子の少なくとも一部の出力側に対して接続される直前にこの出力側に接続された検出手段によって検出した外囲器内の真空度に応じてセンサ素子からの出力を調整する
ことを特徴とする請求項3記載の赤外線センサ装置。
【請求項5】
切替手段は、出力処理手段を介したセンサ素子からの出力に基づいて動作する電気機器からの所定信号により、検出手段を所定期間のみセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させるように動作する
ことを特徴とする請求項3記載の赤外線センサ装置。
【請求項1】
周囲の真空度に依存する電気的特性を有し、遠赤外の輻射エネルギ強度を検出するセンサ素子と;
センサ素子を収容する外囲器と;
センサ素子の少なくとも一部の電気的特性を検出することで外囲器内の真空度を検出可能な検出手段と;
を具備していることを特徴とする赤外線センサ装置。
【請求項2】
検出手段により検出した外囲器内の真空度に応じてセンサ素子からの出力を調整可能な出力処理手段
を具備していることを特徴とする請求項1記載の赤外線センサ装置。
【請求項3】
出力処理手段と検出手段とのいずれか一方を選択的にセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させる切替手段
を具備していることを特徴とする請求項2記載の赤外線センサ装置。
【請求項4】
切替手段は、所定周期で交互に出力処理手段と検出手段とをセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させ、
出力処理手段は、センサ素子の少なくとも一部の出力側に対して接続される直前にこの出力側に接続された検出手段によって検出した外囲器内の真空度に応じてセンサ素子からの出力を調整する
ことを特徴とする請求項3記載の赤外線センサ装置。
【請求項5】
切替手段は、出力処理手段を介したセンサ素子からの出力に基づいて動作する電気機器からの所定信号により、検出手段を所定期間のみセンサ素子の少なくとも一部の出力側に接続させるように動作する
ことを特徴とする請求項3記載の赤外線センサ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−54486(P2010−54486A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222848(P2008−222848)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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