説明

赤外線反射用の粉体とその用途

【課題】 物理化学的に安定な赤外線防護用の材料を提供する。
【解決手段】 金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体からなる、赤外線反射用粉体を提供する。前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体においては、中空樹脂球状粉体の主成分がポリアクリロニトリルであることが好ましく、被覆に金属酸化物としては、二酸化チタンを用いることが好ましい。かかる粉体の好ましい粒径は、10〜30μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を反射し、赤外線からの防護材料に有用な粉体と、その用途に関する。
【背景技術】
【0002】
可視光よりも短波長側の可視光近傍の光線である、紫外線は、皮膚にとって悪影響を及ぼすことが既に遍く知られており、その対策も種々考案されている。可視光線近傍の光線であって、紫外線と対極に位置する赤外線は、別名熱線と称されており、物体に良く吸収され物体内部で熱エネルギーへと効率よく変換される。赤外線は太陽光の内の80%を占めている。赤外線は、紫外線や可視光線に比べて、大気中の微粒子で反射したり、散乱を起こすことが少なく、大気中の酸素や窒素などの分子に邪魔されずに空気中を良く透過し、地上へと到達する。赤外線を分類すると4000nmを境にして、短波長側を近赤外線と呼び、長波長側を遠赤外線と呼ぶ。近赤外線に比べて、遠赤外線の方が吸収作用が大きく、熱の運搬役として色々な役割を果たす。赤外線の皮膚に対する作用としては、前記の熱エネルギーへの変換により、温感を呈することが知られているが、近年に於いては、紫外線とともに、皮膚の老化、或いは、光による発ガンに関与していることが示唆されている。この様に、赤外線が皮膚に対して悪影響を及ぼす可能性が存することは、つい近年知られるようになったことであるので、その対策については僅かにしか知られていない。例えば、銀被覆粉体やステンレスなどの金属粉末、該金属粉末でタルクなどの粉体を被覆した粉体などが知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)しかしながら、金属粉末は、接触アレルギー、電解質との接触による部分電池の形成とそれによる金属イオンの溶出と言った問題が存し、安全性或いは安定性の面で使用しにくい場合が存した。即ち、金属そのままのように、種々の反応性を有する材料とは異なり、物理化学的に安定な赤外線防護用の材料の開発が望まれていたと言える。
【0003】
一方、金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体は既に化粧料用の原料として知られており、市販もされている。(例えば、特許文献5を参照)しかしながら、赤外線を効率よく反射する作用を有することは全く知られていなかったし、赤外線からの防護の目的でかかる粉体を利用することも、かかる粉体を含有した赤外線からの防護用の化粧料も全く知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2002−012851号公報
【特許文献2】特開昭63−27421号公報
【特許文献3】特開平2−34589号公報
【特許文献4】特開平1−208324号公報
【特許文献5】特開2003−313105号公報
【特許文献6】特公平6−11685号公報
【特許文献7】特公昭59−53290号公報
【特許文献8】特開平4−9319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、物理化学的に安定な赤外線防護用の材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、物理化学的に安定な赤外線防護用の材料を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体がその様な特性を有していることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体からなる、赤外線反射用粉体。
(2)前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、中空樹脂球状粉体の主成分がポリアクリロニトリルであることを特徴とする、(1)に記載の赤外線反射用粉体。
(3)前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、被覆に金属酸化物として、二酸化チタンを用いることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の赤外線反射用粉体。
(4)平均粒径が10〜30μmであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の赤外線反射用粉体。
(5)(1)〜(4)何れか1項に記載の赤外線反射用粉体を含有する化粧料。
(6)赤外線からの防護用であることを特徴とする、(6)に記載の化粧料。
(7)金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体を含有することを特徴とする、赤外線からの防護用の化粧料。
(8)前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、中空樹脂球状粉体の主成分がポリアクリロニトリルであることを特徴とする、(7)に記載の赤外線からの防護用の化粧料。
(9)前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、被覆に金属酸化物として、二酸化チタンを用いることを特徴とする、(7)又は(8)に記載の赤外線からの防護用の化粧料。
(10)平均粒径が10〜30μmであることを特徴とする、(7)〜(9)何れか1項に記載の赤外線からの防護用の化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明のよれば、物理化学的に安定な赤外線防護用の材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の赤外線反射用粉体
本発明の赤外線反射用粉体は、金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体からなることを特徴とする。かかる粉体の基体となる、中空樹脂球状粉体としては、例えば、塩化ビニル,酢酸ビニル,メチルビニルエーテル等のビニル系モノマー、アクリル酸,アクリル酸エステル,メタクリル酸,メタクリル酸エステル,アクリロニトリル,メタクリロニトリル等のアクリル系モノマー、スチレン、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等から選択される一種以上のモノマーを重合して得られるホモポリマー又はコポリマーが挙げられ、これらより一種又は二種以上用いることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそのエステル類、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メタクリロニトリル等から選ばれるモノマーの一種乃至は二種以上を重合してなるポリマー又はコポリマーであることが好ましい。更に、このような重合体は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリアクリルフォルマール等の架橋剤で架橋されていても良い。かかる基体中に中空を設ける方法としては、コアセルベーション法によるセル構造の構築を利用する方法(例えば、特許文献6を参照)や、例えば、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、イソブテン、イソペンタン、ネオペンタン、ネオヘキサン、アセチレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素、テトラアルキルシラン等の低沸点化合物等の揮発性を有する液体を発泡剤として、熱可塑性ポリマーに内包させて、加熱し、発泡剤を気化させて中空を構築する方法等既に知られている方法に準じて製造することが出来る。(例えば、特許文献7を参照)かくして製造された中空球状樹脂粉体に於ける、中空の形態は、製造条件により異なってくる場合が存するが、本発明の赤外線を反射する効果においては、かかる形態の影響は少ないので形態は限定されない。この様な形態としては、唯1個の中空のみ存在する形態、多数の小泡が多孔質状に存在する形態、これらの中間的形態などが例示できる。かくして得られた、中空球状の樹脂粉体は、所望により、金属酸化物などを被覆することが出来る。かかる金属酸化物としては、例えば、タルク、セリサイト、マイカ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ等が挙げられる。特に好ましいものはタルク、二酸化チタン、酸化セリウムであり、中でも二酸化チタンが特に好ましい。かかる金属酸化物による被覆は、常法に従って行えばよい。(例えば、特許文献8を参照)この様な被覆において、中空球状樹脂粉体と、無機酸化物の好ましい質量比は、5:95〜60:40であり、より好ましくは1:9〜1:1である。かくして得られた、金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体は、その平均粒径を10〜30μmに揃えることが好ましく、更に好ましくは15〜25μmに揃えることである。これは、平均粒径が小さすぎると赤外線を反射する作用が低下する場合が存し、大きすぎると、光学効果が著しくなりすぎて、化粧効果を損なう場合存するからである。この様な粉体には既に市販されているものが存し、かかる市販品を購入して使用することも出来る。好ましい市販品としては、例えば、エクスパンセル(KEMANORDPLAST AB社製)、マツモトマイクロスフェアFシリーズ、マツモトマイクロスフェアMFLシリーズ(いずれも松本油脂製薬社製)等が好適に例示でき、中でもマツモトマイクロスフェアMFLシリーズが好ましく、シリーズ中ではMFL80GTA(タルク被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm)、MFL50STI(シリカ・二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体平均粒径20μm)、MFL30STI(二酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空球状粉体;平均粒径20μm)が特に好ましく例示できる。本発明の赤外線反射用粉体は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有することも出来る。後記本発明の赤外線防護用の化粧料には、かかる粉体を、総量で、化粧料全量に対し、1〜50質量%含有させることが好ましく、2〜30質量%含有させることがより好ましい。
【0009】
(2)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体を、赤外線反射用の目的含有することを特徴とする。従って、本発明の化粧料の用途は赤外線防護用であることが好ましい。赤外線防護用の化粧料とは、赤外線を反射させて皮膚に至らなくさせ、これにより紫外線との組合せ作用による老化促進から肌を守る作用、赤外線が皮膚にいたり、熱エネルギーに変換し、該熱エネルギーにより、熱感を皮膚が感じ、発汗などが促進されるのを防ぐ作用などの、直接的或いは間接的に赤外線が皮膚の生理に与える影響から皮膚を防護する作用の総称を意味する。本発明の化粧料に於いては、前記の必須成分以外に、通常化粧料で使用されている任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましく例示できる。これらの中で、特に好ましい成分としては、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類が例示でき、中でもその表面を1〜10質量%のパーフルオロアルキルシリル化して処理したものが特に好ましい。かかるパーフルオロアルキルシリル化処理した粉体の好ましい含有量は、総量で、化粧料全量に対して、30〜70質量%であり、より好ましくは、40〜60質量%である。又、本発明の化粧料では、紫外線と赤外線の組合せ効果による、皮膚への悪影響を防止或いは抑制することを目的としているので、紫外線を吸収するような成分、例えば、表面処理をされていても良い、酸化チタン或いは酸化亜鉛等が好ましく例示できる。特に好ましいものは、金属石鹸処理酸化チタン、シリカ、アルミナ、ジルコニア処理酸化チタンなどである。かかる成分は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。かかる成分の好ましい含有量は、総量で、化粧料全量に対して、10〜85質量%であり、より好ましくは20〜80質量%である。これらの必須成分及び任意成分を常法に従って処理することにより、本発明の化粧料は製造することが出来る。かくして得られた本発明の化粧料は、赤外線からの防護作用に優れるため、紫外線防護剤とともに夏の、紫外線量、赤外線量ともに多い時期に用いる化粧料に適用し、赤外線と紫外線の組合せ効果による、肌ダメージの予防用に用いることが好ましい。
【0010】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0011】
本発明の赤外線反射用粉体の効果を調べた。即ち、下記の処方で擂壊機を用いてペーストを作成し、これをドクターブレードを用いて30ミルの厚さにガラス板上に延展させ、ガラス板上10cmのところに赤外線ランプを、ガラス板下5cmに温度計を設置し、赤外線ランプを10分間照射し、温度を測定した。結果を表1に示す。これより、本発明の赤外線反射用粉体は優れた赤外線遮蔽作用を有することが判る。
【0012】
(ペースト処方)
表1に記載の粉体 25質量%
ひまし油 75質量%
【0013】
【表1】

【実施例2】
【0014】
以下に示す処方に従って、本発明の化粧料であるパウダーファンデーションを作成した。即ち、処方成分をヘンシェルミキサーで混合し、しかる後、1mmヘリングボーンスクリーンを装着したパルベライザーで粉砕し、金型に詰め加圧成型してパウダーファンデーションを得た。
【0015】
【表2】

【実施例3】
【0016】
実施例2と同様に、下記の処方に従って、本発明のパウダーファンデーションを作成した。
【0017】
【表3】

【実施例4】
【0018】
実施例2と同様に、下記の処方に従って、本発明のパウダーファンデーションを作成した。
【0019】
【表4】

【実施例5】
【0020】
実施例2と同様に、下記の処方に従って、本発明のパウダーファンデーションを作成した。
【0021】
【表5】

【実施例6】
【0022】
実施例2〜5のパウダーファンデーションを用いて、赤外線反射効果を調べた。即ち、パネラー1名を用い、右半顔を検体でメークし、左半顔を素顔のままとし、赤外線ランプを用いて赤外線を照射し、顔からの赤外線の反射状況をサーモグラフィーを用いて計測した。サーモグラフィーの画像より、輻射熱に換算して、平均的な素顔との温度差を求めた。結果を表6に示す。尚、比較として、実施例1の「マツモトマイクロスフェアMFL30STI」を二酸化チタンに置換したものも、比較例1として同様に計測を行った。
【0023】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、赤外線からの防護用の化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体からなる、赤外線反射用粉体。
【請求項2】
前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、中空樹脂球状粉体の主成分がポリアクリロニトリルであることを特徴とする、請求項1に記載の赤外線反射用粉体。
【請求項3】
前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、被覆に金属酸化物として、二酸化チタンを用いることを特徴とする、請求項1又は2に記載の赤外線反射用粉体。
【請求項4】
平均粒径が10〜30μmであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の赤外線反射用粉体。
【請求項5】
請求項1〜4何れか1項に記載の赤外線反射用粉体を含有する化粧料。
【請求項6】
赤外線からの防護用であることを特徴とする、請求項6に記載の化粧料。
【請求項7】
金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体を含有することを特徴とする、赤外線からの防護用の化粧料。
【請求項8】
前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、中空樹脂球状粉体の主成分がポリアクリロニトリルであることを特徴とする、請求項7に記載の赤外線からの防護用の化粧料。
【請求項9】
前記金属酸化物で被覆されていても良い、中空樹脂球状粉体において、被覆に金属酸化物として、二酸化チタンを用いることを特徴とする、請求項7又は8に記載の赤外線からの防護用の化粧料。
【請求項10】
平均粒径が10〜30μmであることを特徴とする、請求項7〜9何れか1項に記載の赤外線からの防護用の化粧料。

【公開番号】特開2006−137704(P2006−137704A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328857(P2004−328857)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】