赤外線放射による二酸化炭素分解方法およびその装置
【課題】 二酸化炭素分解に必要なエネルギーが従来より少なく、窒素酸化物やオゾンの生成を抑制した二酸化炭素分解方法およびその装置を提供すること。
【解決手段】
二酸化炭素分解装置1は、二酸化炭素と窒素と水とを収容する反応容器10と、反応容器10を加熱する加熱ヒータ20と、反応容器10内に赤外線を放射する赤外線LED40と、を備え、所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、二酸化炭素の分子に非対称振動を与え、炭素と酸素とに分解する。
【解決手段】
二酸化炭素分解装置1は、二酸化炭素と窒素と水とを収容する反応容器10と、反応容器10を加熱する加熱ヒータ20と、反応容器10内に赤外線を放射する赤外線LED40と、を備え、所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、二酸化炭素の分子に非対称振動を与え、炭素と酸素とに分解する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線放射による二酸化炭素分解方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、複合放電を用いた放電プラズマにより二酸化炭素を分解処理する方法およびその装置が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】佐賀大学理工学部 工学系研究科電気電子工学専攻「大気圧放電によるCO2処理」 馬場剛 吉田裕志 見市知昭 林信哉 猪原哲 山部長兵衛、2002年11月1日受理
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の二酸化炭素の分解処理では、放電プラズマによる高温下で二酸化炭素を分解するものである。図7のギブスの生成自由エネルギーから二酸化炭素の分解反応を計算すると少なくとも1227℃(1500K)以上の高温が必要である。この放電プラズマの発生には、高電圧の電源と多くのエネルギーが必要である。また、大気中で1227℃以上の高温にすると、窒素酸化物やオゾンが生成される問題がある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、従来より二酸化炭素分解に必要なエネルギーが少なく、窒素酸化物やオゾンの生成を抑制した二酸化炭素分解方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段は、所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、前記二酸化炭素の分子に非対称振動を与え、炭素と酸素とに分解する二酸化炭素分解方法である。
【0007】
また、本発明の第2の課題解決手段は、前記赤外線は、4.2μm〜4.3μmの波長を含む二酸化炭素分解方法である。
【0008】
また、本発明の第3の課題解決手段は、前記二酸化炭素は、所定の反応温度まで加熱手段で加熱される二酸化炭素分解方法である。
【0009】
また、本発明の第4の課題解決手段は、二酸化炭素と窒素と水とを収容する反応容器と、前記反応容器を加熱する加熱手段と、所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射する赤外線放射手段と、を備える二酸化炭素分解装置である。
【0010】
また、本発明の第5の課題解決手段は、前記赤外線放射手段は、非対称振動の波長4.2μm〜4.3μmの赤外線を含む、二酸化炭素分解装置である。
【0011】
また、本発明の第6の課題解決手段は、前記加熱手段は、前記反応容器の温度を少なくとも常温から500℃まで適宜変更可能である二酸化炭素分解装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の課題解決手段では、二酸化炭素分解方法では、所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、二酸化炭素分子に非対称振動を与え、二酸化炭素を酸素と炭素とに分解する。従来の放電プラズマで高温下で二酸化炭素を分解するのと比べて、分解に必要なエネルギーは少ない。更に、二酸化炭素は酸素と炭素とに分解するため、オゾンや窒素酸化物の生成を抑制できる。
【0013】
また、本発明の第2の課題解決手段では、二酸化炭素分子の分子間運動の振動である4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線を二酸化炭素に放射することで、二酸化炭素の非対称振動が増加して、酸素と炭素とへの分解が促進される。
【0014】
また、本発明の第3の課題解決手段では、所定の反応温度まで加熱された二酸化炭素分子に非対称振動を与えることで、炭素および二酸化炭素間における共有結合の解裂を惹起して、二酸化炭素の酸素と炭素とへの分解が促進される。
【0015】
また、本発明の第4の課題解決手段では、二酸化炭素分解装置は、赤外線放射手段で反応容器内の所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、二酸化炭素分子に非対称振動を与え、二酸化炭素を酸素と炭素とに分解する。従来の放電プラズマで高温下で二酸化炭素を分解するのと比べて、分解に必要なエネルギーは少ない。更に、二酸化炭素は酸素と炭素とに分解するため、オゾンや窒素酸化物の生成を抑制できる。
【0016】
また、本発明の第5の課題解決手段では、赤外線放射手段により二酸化炭素分子の分子間運動の振動である4.2μm〜4.3μmの波長を含む赤外線を二酸化炭素に放射することで、二酸化炭素の非対称振動が増加して、酸素と炭素とへの分解が促進される。
【0017】
また、本発明の第6の課題解決手段では、加熱手段は、反応容器の温度を少なくとも常温から500℃まで適宜変更可能であるため、加熱された二酸化炭素分子に非対称振動を与えることで、炭素および二酸化炭素間における共有結合の解裂を惹起して、二酸化炭素の酸素と炭素とへの分解が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の二酸化炭素分解装置である。
【図2】本発明の反応容器の(a)正面図、(b)側面図である。
【図3】本発明の赤外線LEDである。
【図4】本発明の赤外線LEDのスペクトルである。
【図5】本発明の反応容器各部位における温度計側結果である。
【図6】本発明の二酸化炭素分解装置での二酸化炭素と酸素の量を示すグラフである。
【図7】ギブスの自由エネルギーの計算結果である。
【図8】再現試験で反応容器に観察された黒色の粉末状態の析出物a、b(反応生成物)である。
【図9】析出物aを拡大した光学写真である。
【図10】析出物aのSEM写真である。
【図11】析出物aの表面全体のEDX分析結果である。
【図12】析出物aのエリアP1の内部のEDXスペクトルである。
【図13】析出物bを拡大した光学写真である。
【図14】析出物bのSEM写真である。
【図15】析出物bの表面全体のEDX分析結果である。
【図16】析出物bのエリアP2の内部のEDXスペクトルである。
【図17】析出物bのエリアP3の内部のEDXスペクトルである。
【図18】析出物bのエリアP4の内部のEDXスペクトルである。
【図19】析出物bのエリアP5の内部のEDXスペクトルである。
【図20】析出物bのエリアP6の内部のEDXスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の二酸化炭素分解装置1である。二酸化炭素分解装置1は、二酸化炭素と窒素と水を収容する反応容器10と、反応容器10を加熱する加熱ヒータ20(加熱手段)と、反応容器10のコック11を冷却する冷却チューブ30と、赤外線を放射する赤外線LED40(図3)(赤外線放射手段)と、を備える。
【0021】
反応容器10は、厚さ30μmの金属薄膜21が巻きつけられ、その上から加熱ヒータ20が巻き付く。反応容器10は、金属薄膜21により加熱ヒータ20の熱が均一に伝達され、さらにレンガ2で覆われて、温度保持される。
【0022】
加熱ヒータ20は、温度コントローラ22と接続する。温度コントローラ22は、反応容器10の加熱ヒータ20の温度を計測する熱電対23からの信号を受けて、加熱ヒータ20を室温から約500℃の間の所望の温度になるようにオンオフ制御する。
【0023】
反応容器10のコック11には、熱拡散を避けるために、冷却水が流れるシリコン製の冷却チューブ30が巻き付く。冷却チューブ30は、冷却用チラー31に接続し、冷却チューブ30を流れる冷却水は、冷却用チラー31により所定の水温に保たれる。
【0024】
図2は、反応容器10の(a)正面図、(b)側面図である。反応容器10は、内径25mm、長さ100mmの石英製の管12と、厚さ2mmの石英製の板13とを溶着した構成である。また、管12の側面には、ガラス製のコック11を設けた石英製のガス導入管14が2箇所溶着してある。ガス導管14には、ガラス上部温度を計測するための熱電対24と、ガラス下部温度を計測するための熱電対25とが取り付けられている。
【0025】
図3は、本発明の赤外線LED40である。赤外線LED40として、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線を放射可能な、Microsenser Technology社製のModel LED43−PR型(200mA、10μW)を使用した。また、反応容器10と赤外線LED40との間には、ふっ化カルシウム製の凸レンズ41(焦点距離50mm)を設けてある。
【0026】
図4は、本発明の赤外線LED40のスペクトルである。赤外線LED40は、4.2μm〜4.3μmの波長に強さのピークがある。
【0027】
本発明の二酸化炭素分解装置1での二酸化炭素分解の試験方法とその結果について詳述する。
【0028】
(試験方法)
反応容器10に予め窒素ガスを2分間流してパージ処理し、反応容器10内を窒素雰囲気とする。それから25mlの炭酸ガスをシリンジを用いて注入し、コック11を開き内部圧を1気圧とする。さらに、マイクロシリンジを用いて純水を20μl添加する。
【0029】
表1は、反応容器10内の反応物質の組成である。
【表1】
【0030】
この反応容器10を所定温度(図4)に加熱し、その後赤外線LED40で反応容器10に赤外線を放射する。
【0031】
図5は、反応容器10の各部位における温度計側結果である。加熱ヒータ20は、温度コントローラ22により、反応容器10を室温、300℃、500℃の3段階の温度に変更する。
【0032】
反応物質の分析は、まず赤外線放射直前に反応時間0分としてのサンプルをマイクロシリンジで採取する。そして放射後20分および45分に反応ガスをマイクロシリンジで採取し、これらをガスクロマトグラフ分析する。
【0033】
表2は、ガスクロマトグラフ分析条件である。
【表2】
【0034】
(1回目試験)
表3は、ガスクロマトグラフ分析結果である。
【表3】
【0035】
表3の分析結果から、反応容器10からは、水素、メタン、一酸化炭素の生成は認められない。また、反応容器10には、黒色の粉末状態の析出物が観察される。
【0036】
表4は、二酸化炭素の減少率である。
【表4】
【0037】
二酸化炭素の減少率は、各温度ともに反応時間20分では初期濃度に対して2.3〜3.0%の範囲で二酸化炭素濃度が減少する。500℃、反応時間45分では10.3〜17.7%の減少率である。
【0038】
表5は、酸素の生成率である。
【表5】
【0039】
酸素の生成率は、300℃、20分で8%、500℃、20分で267.5%、45分で577.5%と500℃における生成率が高くなる。
【0040】
表6は、二酸化炭素減少量および酸素生成量を絶対量で換算した結果である。
【表6】
【0041】
表6の結果から、500℃における減少した二酸化炭素量および生成した酸素量のオーダーは一致する。
【0042】
図6、本発明の二酸化炭素分解装置での二酸化炭素と酸素の量を示すグラフである。横軸は赤外線の放射時間、縦軸の左側は生成した酸素の量、縦軸の右側は減少した二酸化炭素量を示す。温度および時間の増加に従って二酸化炭素の分解は促進される。
【0043】
(追加試験)
表7は、二酸化炭素分解装置1での再現試験で、ガスクロマトグラフ分析結果である。
【表7】
【0044】
再現試験では、酸素の発生から、同一条件下(加熱温度500℃、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射)での二酸化炭素分解の再現性が確認できた。
【0045】
表8は、窒素寄与試験で、ガスクロマトグラフ分析結果である。窒素寄与試験では、窒素パージ後、二酸化炭素を添加し、反応容器10を500℃まで加熱し、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線を放射した。窒素寄与試験では、水を添加していない。
【表8】
【0046】
窒素寄与試験の結果から、0.88%から9.78%への酸素の増加が確認された。一方二酸化炭素は、26.47%から15.30%へと減少した。これは窒素による分解効果と考えられる。
【0047】
表9は、赤外放射寄与試験で、ガスクロマトグラフ分析結果である。赤外放射寄与試験では、加熱温度500℃のみで、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射は行わない。
【表9】
【0048】
赤外放射寄与試験の結果から、加熱温度500℃のみでは酸素の増加は確認できなかった。
【0049】
表10は、温度寄与試験で、ガスクロマトグラフ分析結果である。温度寄与試験では、温度は常温で、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射のみを行う。
【表10】
【0050】
温度寄与試験の結果から、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射のみでは、酸素の増加は確認できなかった。
【0051】
表11は、1回目試験と追加試験のまとめである。
【表11】
【0052】
表11の酸素の発生から、二酸化炭素の分解には所定の反応温度(反応容器10の加熱温度と同等)と、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射の2つの条件が必要であることがわかる。また、水は、二酸化炭素の分解に必須の要件ではない。
【0053】
(反応生成物のX線分析結果)
図8は、再現試験(表7)で反応容器10に観察された黒色の粉末状態の析出物a、b(反応生成物)である。析出物a、bの元素分析は、極低加速電圧走査電子顕微鏡(ULV-SEM)に搭載されたエネルギー分散型X線分光器(EDX)により行った。
【0054】
(1)析出物aの分析結果
図9は析出物aを拡大した光学写真、図10はSEM写真、図11は表面全体のEDX分析結果、図12は図10のエリアP1の内部のEDXスペクトルである。
【0055】
再現試験で反応容器10に観察された黒色の粉末状態の析出物aは、図11のEDX分析結果から、表面は炭素であることが確認できた。更に、EDXの加速電圧を15kVにして、析出物aのエリアP1内部を分析したところ、図12のEDXスペクトルから炭素の他に鉄、酸素が確認された。これは試験室内に浮遊する酸化鉄の塵の可能性が高い。反応器10内では、酸化鉄の塵を核として、析出物aの表面に炭素が析出したものと考えられる。
【0056】
(2)析出物bの分析結果
図13は析出物bを拡大した光学写真、図14はSEM写真、図15は表面全体のEDX分析結果、図16は図15のエリアP2の内部のEDXスペクトル、図17は図15のエリアP3の内部のEDXスペクトル、図18は図15のエリアP4の内部のEDXスペクトル、図19は図15のエリアP5の内部のEDXスペクトル、図20は図15のエリアP6の内部のEDXスペクトルである。
【0057】
再現試験で反応容器10に観察された黒色の粉末状態の析出物bは、図15のEDX分析結果から、表面は炭素であることが確認できた。更に、EDXの加速電圧を15kVにして、析出物bのエリアP2〜P6の内部を分析した。図16のEDXスペクトルから、エリアP2の内部は、主成分が炭素で、その他に酸素、アルミ、シリコンが確認された。これは、大気中の塵である酸化アルミニウム(Al2O3)と二酸化ケイ素(SiO2)を核として、炭素が表面に析出したものと考えられる。図17のEDXスペクトルから、エリアP3の内部は、主成分がシリコンで、その他に酸素、炭素が確認された。これは、石英製の反応容器10の粉砕時に、破片の一部が付着したものと考えられる。図18のEDXスペクトルから、エリアP4の内部は、主成分が炭素で、その他に酸素、アルミ、シリコンが確認された。これは、大気中の塵である酸化アルミニウム(Al2O3)と二酸化ケイ素(SiO2)を核として、炭素が表面に析出したものと考えられる。図19のEDXスペクトルから、エリアP5の内部は、主成分が炭素で、その他に酸素、鉄が確認された。表面は炭素が多く、内部は酸化鉄(FeO、Fe2O3)と炭素がほぼ同量である。これは、大気中の酸化鉄に炭素が析出したものと考えられる。図20のEDXスペクトルから、エリアP6の内部は、主成分が炭素で、その他に酸素が確認された。エリアP6は、析出物bの外部(周辺部)に位置しており、外部は炭素が主成分であることがわかる。
【0058】
1回目試験と追加試験の結果から、所定の反応温度(加熱温度300℃〜500℃と同等)で4.2μm〜4.3μmの赤外線を放射することで二酸化炭素の分解が起こる。すなわち、4.2μm〜4.3μmの波長が非対称振動を惹起させる。所定の反応温度に加熱した状態の分子に別途振動を与えることで、その分解(例えば炭素および二酸化炭素間における共有結合の解裂など)が促進されたものと考えられる。
【0059】
本発明の二酸化炭素分解装置1では、赤外線LED40で反応容器10内の二酸化炭素に赤外線を放射して、所定の反応温度の二酸化炭素分子に非対称振動を与え、非対称振動が増加することで二酸化炭素が酸素と炭素とに分解する。従来の放電プラズマで高温下で二酸化炭素を分解するのと比べて、分解に必要なエネルギーは少ない。更に、二酸化炭素は酸素と炭素とに分解するため、オゾンや窒素酸化物の生成を抑制できる。
【0060】
また、赤外線LED40により二酸化炭素分子の分子間運動の振動である4.2μm〜4.3μmの波長を含む赤外線を二酸化炭素に放射することで、二酸化炭素の非対称振動が増加して、酸素と炭素とへの分解が促進される。
【0061】
また、加熱ヒータ20は、反応容器10の温度を常温から500℃まで適宜変更可能であるため、所定の反応温度の二酸化炭素分子に非対称振動を与えることで、炭素および二酸化炭素間における共有結合の解裂を惹起して、二酸化炭素の酸素と炭素とへの分解を促進できる。
【0062】
本実施例では、赤外線の発生に赤外線LED40を使用したが、赤外フィラメントランプ、赤外線レーザ、熱輻射源、蛍光体等を用いてもよい。また、熱輻射源、赤外フィラメントランプ、蛍光体を用いる場合には、光学フィルター(多層膜)により波長を制御してもよい。また、表面プラズモン効果(微細構造)により波長を制御してもよい。これらの光源は、二酸化炭素の分解以外にも使用が可能である。
【0063】
本発明の赤外線による二酸化炭素の分解は、自動車の排ガスに含まれる二酸化炭素の分解にも適用できる。この場合、排ガス温度、圧力により二酸化炭素の分解が促進される。同様に、火力発電機の排気ガスの二酸化炭素の分解、製鉄所で利用される炭素封入による脱酸素工程で発生する二酸化炭素の分解等にも適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 二酸化炭素分解装置
10 反応容器
20 加熱ヒータ(加熱手段)
40 赤外線LED(赤外線放射手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線放射による二酸化炭素分解方法およびその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、複合放電を用いた放電プラズマにより二酸化炭素を分解処理する方法およびその装置が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】佐賀大学理工学部 工学系研究科電気電子工学専攻「大気圧放電によるCO2処理」 馬場剛 吉田裕志 見市知昭 林信哉 猪原哲 山部長兵衛、2002年11月1日受理
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の二酸化炭素の分解処理では、放電プラズマによる高温下で二酸化炭素を分解するものである。図7のギブスの生成自由エネルギーから二酸化炭素の分解反応を計算すると少なくとも1227℃(1500K)以上の高温が必要である。この放電プラズマの発生には、高電圧の電源と多くのエネルギーが必要である。また、大気中で1227℃以上の高温にすると、窒素酸化物やオゾンが生成される問題がある。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、従来より二酸化炭素分解に必要なエネルギーが少なく、窒素酸化物やオゾンの生成を抑制した二酸化炭素分解方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の課題解決手段は、所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、前記二酸化炭素の分子に非対称振動を与え、炭素と酸素とに分解する二酸化炭素分解方法である。
【0007】
また、本発明の第2の課題解決手段は、前記赤外線は、4.2μm〜4.3μmの波長を含む二酸化炭素分解方法である。
【0008】
また、本発明の第3の課題解決手段は、前記二酸化炭素は、所定の反応温度まで加熱手段で加熱される二酸化炭素分解方法である。
【0009】
また、本発明の第4の課題解決手段は、二酸化炭素と窒素と水とを収容する反応容器と、前記反応容器を加熱する加熱手段と、所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射する赤外線放射手段と、を備える二酸化炭素分解装置である。
【0010】
また、本発明の第5の課題解決手段は、前記赤外線放射手段は、非対称振動の波長4.2μm〜4.3μmの赤外線を含む、二酸化炭素分解装置である。
【0011】
また、本発明の第6の課題解決手段は、前記加熱手段は、前記反応容器の温度を少なくとも常温から500℃まで適宜変更可能である二酸化炭素分解装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の課題解決手段では、二酸化炭素分解方法では、所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、二酸化炭素分子に非対称振動を与え、二酸化炭素を酸素と炭素とに分解する。従来の放電プラズマで高温下で二酸化炭素を分解するのと比べて、分解に必要なエネルギーは少ない。更に、二酸化炭素は酸素と炭素とに分解するため、オゾンや窒素酸化物の生成を抑制できる。
【0013】
また、本発明の第2の課題解決手段では、二酸化炭素分子の分子間運動の振動である4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線を二酸化炭素に放射することで、二酸化炭素の非対称振動が増加して、酸素と炭素とへの分解が促進される。
【0014】
また、本発明の第3の課題解決手段では、所定の反応温度まで加熱された二酸化炭素分子に非対称振動を与えることで、炭素および二酸化炭素間における共有結合の解裂を惹起して、二酸化炭素の酸素と炭素とへの分解が促進される。
【0015】
また、本発明の第4の課題解決手段では、二酸化炭素分解装置は、赤外線放射手段で反応容器内の所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、二酸化炭素分子に非対称振動を与え、二酸化炭素を酸素と炭素とに分解する。従来の放電プラズマで高温下で二酸化炭素を分解するのと比べて、分解に必要なエネルギーは少ない。更に、二酸化炭素は酸素と炭素とに分解するため、オゾンや窒素酸化物の生成を抑制できる。
【0016】
また、本発明の第5の課題解決手段では、赤外線放射手段により二酸化炭素分子の分子間運動の振動である4.2μm〜4.3μmの波長を含む赤外線を二酸化炭素に放射することで、二酸化炭素の非対称振動が増加して、酸素と炭素とへの分解が促進される。
【0017】
また、本発明の第6の課題解決手段では、加熱手段は、反応容器の温度を少なくとも常温から500℃まで適宜変更可能であるため、加熱された二酸化炭素分子に非対称振動を与えることで、炭素および二酸化炭素間における共有結合の解裂を惹起して、二酸化炭素の酸素と炭素とへの分解が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の二酸化炭素分解装置である。
【図2】本発明の反応容器の(a)正面図、(b)側面図である。
【図3】本発明の赤外線LEDである。
【図4】本発明の赤外線LEDのスペクトルである。
【図5】本発明の反応容器各部位における温度計側結果である。
【図6】本発明の二酸化炭素分解装置での二酸化炭素と酸素の量を示すグラフである。
【図7】ギブスの自由エネルギーの計算結果である。
【図8】再現試験で反応容器に観察された黒色の粉末状態の析出物a、b(反応生成物)である。
【図9】析出物aを拡大した光学写真である。
【図10】析出物aのSEM写真である。
【図11】析出物aの表面全体のEDX分析結果である。
【図12】析出物aのエリアP1の内部のEDXスペクトルである。
【図13】析出物bを拡大した光学写真である。
【図14】析出物bのSEM写真である。
【図15】析出物bの表面全体のEDX分析結果である。
【図16】析出物bのエリアP2の内部のEDXスペクトルである。
【図17】析出物bのエリアP3の内部のEDXスペクトルである。
【図18】析出物bのエリアP4の内部のEDXスペクトルである。
【図19】析出物bのエリアP5の内部のEDXスペクトルである。
【図20】析出物bのエリアP6の内部のEDXスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の二酸化炭素分解装置1である。二酸化炭素分解装置1は、二酸化炭素と窒素と水を収容する反応容器10と、反応容器10を加熱する加熱ヒータ20(加熱手段)と、反応容器10のコック11を冷却する冷却チューブ30と、赤外線を放射する赤外線LED40(図3)(赤外線放射手段)と、を備える。
【0021】
反応容器10は、厚さ30μmの金属薄膜21が巻きつけられ、その上から加熱ヒータ20が巻き付く。反応容器10は、金属薄膜21により加熱ヒータ20の熱が均一に伝達され、さらにレンガ2で覆われて、温度保持される。
【0022】
加熱ヒータ20は、温度コントローラ22と接続する。温度コントローラ22は、反応容器10の加熱ヒータ20の温度を計測する熱電対23からの信号を受けて、加熱ヒータ20を室温から約500℃の間の所望の温度になるようにオンオフ制御する。
【0023】
反応容器10のコック11には、熱拡散を避けるために、冷却水が流れるシリコン製の冷却チューブ30が巻き付く。冷却チューブ30は、冷却用チラー31に接続し、冷却チューブ30を流れる冷却水は、冷却用チラー31により所定の水温に保たれる。
【0024】
図2は、反応容器10の(a)正面図、(b)側面図である。反応容器10は、内径25mm、長さ100mmの石英製の管12と、厚さ2mmの石英製の板13とを溶着した構成である。また、管12の側面には、ガラス製のコック11を設けた石英製のガス導入管14が2箇所溶着してある。ガス導管14には、ガラス上部温度を計測するための熱電対24と、ガラス下部温度を計測するための熱電対25とが取り付けられている。
【0025】
図3は、本発明の赤外線LED40である。赤外線LED40として、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線を放射可能な、Microsenser Technology社製のModel LED43−PR型(200mA、10μW)を使用した。また、反応容器10と赤外線LED40との間には、ふっ化カルシウム製の凸レンズ41(焦点距離50mm)を設けてある。
【0026】
図4は、本発明の赤外線LED40のスペクトルである。赤外線LED40は、4.2μm〜4.3μmの波長に強さのピークがある。
【0027】
本発明の二酸化炭素分解装置1での二酸化炭素分解の試験方法とその結果について詳述する。
【0028】
(試験方法)
反応容器10に予め窒素ガスを2分間流してパージ処理し、反応容器10内を窒素雰囲気とする。それから25mlの炭酸ガスをシリンジを用いて注入し、コック11を開き内部圧を1気圧とする。さらに、マイクロシリンジを用いて純水を20μl添加する。
【0029】
表1は、反応容器10内の反応物質の組成である。
【表1】
【0030】
この反応容器10を所定温度(図4)に加熱し、その後赤外線LED40で反応容器10に赤外線を放射する。
【0031】
図5は、反応容器10の各部位における温度計側結果である。加熱ヒータ20は、温度コントローラ22により、反応容器10を室温、300℃、500℃の3段階の温度に変更する。
【0032】
反応物質の分析は、まず赤外線放射直前に反応時間0分としてのサンプルをマイクロシリンジで採取する。そして放射後20分および45分に反応ガスをマイクロシリンジで採取し、これらをガスクロマトグラフ分析する。
【0033】
表2は、ガスクロマトグラフ分析条件である。
【表2】
【0034】
(1回目試験)
表3は、ガスクロマトグラフ分析結果である。
【表3】
【0035】
表3の分析結果から、反応容器10からは、水素、メタン、一酸化炭素の生成は認められない。また、反応容器10には、黒色の粉末状態の析出物が観察される。
【0036】
表4は、二酸化炭素の減少率である。
【表4】
【0037】
二酸化炭素の減少率は、各温度ともに反応時間20分では初期濃度に対して2.3〜3.0%の範囲で二酸化炭素濃度が減少する。500℃、反応時間45分では10.3〜17.7%の減少率である。
【0038】
表5は、酸素の生成率である。
【表5】
【0039】
酸素の生成率は、300℃、20分で8%、500℃、20分で267.5%、45分で577.5%と500℃における生成率が高くなる。
【0040】
表6は、二酸化炭素減少量および酸素生成量を絶対量で換算した結果である。
【表6】
【0041】
表6の結果から、500℃における減少した二酸化炭素量および生成した酸素量のオーダーは一致する。
【0042】
図6、本発明の二酸化炭素分解装置での二酸化炭素と酸素の量を示すグラフである。横軸は赤外線の放射時間、縦軸の左側は生成した酸素の量、縦軸の右側は減少した二酸化炭素量を示す。温度および時間の増加に従って二酸化炭素の分解は促進される。
【0043】
(追加試験)
表7は、二酸化炭素分解装置1での再現試験で、ガスクロマトグラフ分析結果である。
【表7】
【0044】
再現試験では、酸素の発生から、同一条件下(加熱温度500℃、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射)での二酸化炭素分解の再現性が確認できた。
【0045】
表8は、窒素寄与試験で、ガスクロマトグラフ分析結果である。窒素寄与試験では、窒素パージ後、二酸化炭素を添加し、反応容器10を500℃まで加熱し、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線を放射した。窒素寄与試験では、水を添加していない。
【表8】
【0046】
窒素寄与試験の結果から、0.88%から9.78%への酸素の増加が確認された。一方二酸化炭素は、26.47%から15.30%へと減少した。これは窒素による分解効果と考えられる。
【0047】
表9は、赤外放射寄与試験で、ガスクロマトグラフ分析結果である。赤外放射寄与試験では、加熱温度500℃のみで、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射は行わない。
【表9】
【0048】
赤外放射寄与試験の結果から、加熱温度500℃のみでは酸素の増加は確認できなかった。
【0049】
表10は、温度寄与試験で、ガスクロマトグラフ分析結果である。温度寄与試験では、温度は常温で、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射のみを行う。
【表10】
【0050】
温度寄与試験の結果から、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射のみでは、酸素の増加は確認できなかった。
【0051】
表11は、1回目試験と追加試験のまとめである。
【表11】
【0052】
表11の酸素の発生から、二酸化炭素の分解には所定の反応温度(反応容器10の加熱温度と同等)と、4.2μm〜4.3μmの波長の赤外線放射の2つの条件が必要であることがわかる。また、水は、二酸化炭素の分解に必須の要件ではない。
【0053】
(反応生成物のX線分析結果)
図8は、再現試験(表7)で反応容器10に観察された黒色の粉末状態の析出物a、b(反応生成物)である。析出物a、bの元素分析は、極低加速電圧走査電子顕微鏡(ULV-SEM)に搭載されたエネルギー分散型X線分光器(EDX)により行った。
【0054】
(1)析出物aの分析結果
図9は析出物aを拡大した光学写真、図10はSEM写真、図11は表面全体のEDX分析結果、図12は図10のエリアP1の内部のEDXスペクトルである。
【0055】
再現試験で反応容器10に観察された黒色の粉末状態の析出物aは、図11のEDX分析結果から、表面は炭素であることが確認できた。更に、EDXの加速電圧を15kVにして、析出物aのエリアP1内部を分析したところ、図12のEDXスペクトルから炭素の他に鉄、酸素が確認された。これは試験室内に浮遊する酸化鉄の塵の可能性が高い。反応器10内では、酸化鉄の塵を核として、析出物aの表面に炭素が析出したものと考えられる。
【0056】
(2)析出物bの分析結果
図13は析出物bを拡大した光学写真、図14はSEM写真、図15は表面全体のEDX分析結果、図16は図15のエリアP2の内部のEDXスペクトル、図17は図15のエリアP3の内部のEDXスペクトル、図18は図15のエリアP4の内部のEDXスペクトル、図19は図15のエリアP5の内部のEDXスペクトル、図20は図15のエリアP6の内部のEDXスペクトルである。
【0057】
再現試験で反応容器10に観察された黒色の粉末状態の析出物bは、図15のEDX分析結果から、表面は炭素であることが確認できた。更に、EDXの加速電圧を15kVにして、析出物bのエリアP2〜P6の内部を分析した。図16のEDXスペクトルから、エリアP2の内部は、主成分が炭素で、その他に酸素、アルミ、シリコンが確認された。これは、大気中の塵である酸化アルミニウム(Al2O3)と二酸化ケイ素(SiO2)を核として、炭素が表面に析出したものと考えられる。図17のEDXスペクトルから、エリアP3の内部は、主成分がシリコンで、その他に酸素、炭素が確認された。これは、石英製の反応容器10の粉砕時に、破片の一部が付着したものと考えられる。図18のEDXスペクトルから、エリアP4の内部は、主成分が炭素で、その他に酸素、アルミ、シリコンが確認された。これは、大気中の塵である酸化アルミニウム(Al2O3)と二酸化ケイ素(SiO2)を核として、炭素が表面に析出したものと考えられる。図19のEDXスペクトルから、エリアP5の内部は、主成分が炭素で、その他に酸素、鉄が確認された。表面は炭素が多く、内部は酸化鉄(FeO、Fe2O3)と炭素がほぼ同量である。これは、大気中の酸化鉄に炭素が析出したものと考えられる。図20のEDXスペクトルから、エリアP6の内部は、主成分が炭素で、その他に酸素が確認された。エリアP6は、析出物bの外部(周辺部)に位置しており、外部は炭素が主成分であることがわかる。
【0058】
1回目試験と追加試験の結果から、所定の反応温度(加熱温度300℃〜500℃と同等)で4.2μm〜4.3μmの赤外線を放射することで二酸化炭素の分解が起こる。すなわち、4.2μm〜4.3μmの波長が非対称振動を惹起させる。所定の反応温度に加熱した状態の分子に別途振動を与えることで、その分解(例えば炭素および二酸化炭素間における共有結合の解裂など)が促進されたものと考えられる。
【0059】
本発明の二酸化炭素分解装置1では、赤外線LED40で反応容器10内の二酸化炭素に赤外線を放射して、所定の反応温度の二酸化炭素分子に非対称振動を与え、非対称振動が増加することで二酸化炭素が酸素と炭素とに分解する。従来の放電プラズマで高温下で二酸化炭素を分解するのと比べて、分解に必要なエネルギーは少ない。更に、二酸化炭素は酸素と炭素とに分解するため、オゾンや窒素酸化物の生成を抑制できる。
【0060】
また、赤外線LED40により二酸化炭素分子の分子間運動の振動である4.2μm〜4.3μmの波長を含む赤外線を二酸化炭素に放射することで、二酸化炭素の非対称振動が増加して、酸素と炭素とへの分解が促進される。
【0061】
また、加熱ヒータ20は、反応容器10の温度を常温から500℃まで適宜変更可能であるため、所定の反応温度の二酸化炭素分子に非対称振動を与えることで、炭素および二酸化炭素間における共有結合の解裂を惹起して、二酸化炭素の酸素と炭素とへの分解を促進できる。
【0062】
本実施例では、赤外線の発生に赤外線LED40を使用したが、赤外フィラメントランプ、赤外線レーザ、熱輻射源、蛍光体等を用いてもよい。また、熱輻射源、赤外フィラメントランプ、蛍光体を用いる場合には、光学フィルター(多層膜)により波長を制御してもよい。また、表面プラズモン効果(微細構造)により波長を制御してもよい。これらの光源は、二酸化炭素の分解以外にも使用が可能である。
【0063】
本発明の赤外線による二酸化炭素の分解は、自動車の排ガスに含まれる二酸化炭素の分解にも適用できる。この場合、排ガス温度、圧力により二酸化炭素の分解が促進される。同様に、火力発電機の排気ガスの二酸化炭素の分解、製鉄所で利用される炭素封入による脱酸素工程で発生する二酸化炭素の分解等にも適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1 二酸化炭素分解装置
10 反応容器
20 加熱ヒータ(加熱手段)
40 赤外線LED(赤外線放射手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、前記二酸化炭素の分子に非対称振動を与え、炭素と酸素とに分解する二酸化炭素分解方法。
【請求項2】
前記赤外線は、4.2μm〜4.3μmの波長を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素分解方法。
【請求項3】
前記二酸化炭素は、所定の反応温度まで加熱手段で加熱される、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素分解方法。
【請求項4】
二酸化炭素と窒素と水とを収容する反応容器と、
前記反応容器を加熱する加熱手段と、
所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射する赤外線放射手段と、
を備える二酸化炭素分解装置。
【請求項5】
前記赤外線放射手段は、非対称振動の波長4.2μm〜4.3μmの赤外線を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素分解装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記反応容器の温度を少なくとも常温から500℃まで適宜変更可能である、ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の二酸化炭素分解装置。
【請求項1】
所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射して、前記二酸化炭素の分子に非対称振動を与え、炭素と酸素とに分解する二酸化炭素分解方法。
【請求項2】
前記赤外線は、4.2μm〜4.3μmの波長を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素分解方法。
【請求項3】
前記二酸化炭素は、所定の反応温度まで加熱手段で加熱される、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素分解方法。
【請求項4】
二酸化炭素と窒素と水とを収容する反応容器と、
前記反応容器を加熱する加熱手段と、
所定の反応温度の二酸化炭素に赤外線を放射する赤外線放射手段と、
を備える二酸化炭素分解装置。
【請求項5】
前記赤外線放射手段は、非対称振動の波長4.2μm〜4.3μmの赤外線を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素分解装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、前記反応容器の温度を少なくとも常温から500℃まで適宜変更可能である、ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の二酸化炭素分解装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−232286(P2012−232286A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236723(P2011−236723)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]