説明

赤血球指数の超音波測定のための方法及び装置

血液サンプルを保持するサンプルチャンバ、前記サンプルチャンバ内の血液に超音波パルスを発するための超音波パルスジェネレータ、前記血液サンプルから1以上の反射超音波信号を送受信するための少なくとも1つのトランスデューサ、超音波特性を測定するための受信機、測定した物理的パラメータに基づいて、HCT、HGB、MCV、RBC、MCH、MCHC及びTPCからなる群からの血液の1以上の臨床パラメータを算出するプロセッサを含む血液の臨床パラメータの測定装置。これにより、血液のヘマトクリット(HCT)及びヘモグロビン濃度(HGB)ならびに平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、総タンパク濃度(TPC)及び赤血球数(RBC)を、超音波法を用いて正確に測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液試料採取に関し、より詳細には、分離した血液試料のヘマトクリット及び/又はヘモグロビン濃度ならびに平均赤血球容積、赤血球数、平均細胞ヘモグロビン、平均細胞ヘモグロビン濃度及び総タンパク濃度等、他の特性の超音波測定に関する。
【背景技術】
【0002】
医師は、日常的に、診断プロセスの一部として血液パラメータを試験する。全血球算定(CBC)はそれらの試験の最も一般的なものである。医師は、血液細胞成分の量及び状態を評価するためにその結果を使用する。サンプル中の赤血球の大きさ及び数を示すために、全血球算定の3要素が用いられる。ヘマトクリット、平均赤血球容積及び赤血球数である。さらに、4つのさらなる血液特性は、赤血球の酸素運搬能を示す。ヘモグロビン濃度、総タンパク濃度、平均赤血球ヘモグロビン及び平均赤血球ヘモグロビン濃度である。以下の略語をこの明細書にわたって用いる。
【0003】
HCT− ヘマトクリット(一般的な単位:%又は単位のない比)
HGB−ヘモグロビン濃度(一般的な単位:g/dl)
MCV−平均赤血球容積(一般的な単位:fl)
RBC−赤血球数(一般的な単位:個/μl)
MCHC−平均赤血球ヘモグロビン濃度(一般的な単位:g/dl)
MCH−平均赤血球ヘモグロビン(一般的な単位:pg)
TPC−総タンパク濃度(一般的な単位:g/dl)
【0004】
ヘマトクリット(HCT)は、CBCによって算定される最も重要な血液パラメータの一つである。HCTは、赤血球によって占められる血液の総容積の一部分として定義されている。この容積フラクションは、デシマル(例えば、リットル/リットル)として又はパーセント(例えば、リットル/リットル×100%)として表現することができる。通常の生理学的条件下では血液中の総タンパクのほとんど全てがヘモグロビンであり、それは赤血球中に含有されているため、HCT測定は、一般的に、ヘモグロビン濃度(HGB)又は総タンパク濃度(TPC)−血液の酸素運搬能−と同じ情報を医師に与える。
【0005】
平均赤血球容積(MCV)は赤血球容積の平均値である。赤血球数(RBC)は赤血球数/単位血液容積、一般的には個/μlで表現されている。平均赤血球ヘモグロビン(MCH)は、各赤血球で認められるヘモグロビンの平均質量である。一方、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)は、赤血球中のヘモグロビンの平均濃度(質量の代わりに)である。
【0006】
これらの血液特性、特にHCT又はHGBは、貧血、急性失血、脱水症及び他の症状の根拠の診断に用いることができる。また、HCT又はHGBは、血液の酸素運搬能を評価するために用いることができる。医師は、HCT及びHGBの双方を急性的及び慢性的にモニターするが、測定値の2%ほどの変化にしか影響を及ぼさないかもしれない。
【0007】
これらの7種の血液計量は、本質的に関連し、かつ依存する。例えば、上述した特性のうちの1つの関係は以下のようである。血液細胞中のヘモグロビンの濃度は、単純に、ヘモグロビンの質量割るそれが占める容積であり、MCHCを意味するMCHC=MCH/MCVは、独立して測定する代わりに他の2種から算出することができる。全血球算出で特徴付けられる血液の他の成分に、白血球及び血小板が含まれる。全血は、赤血球、白血球、血小板及び血液の通常の全成分を含む血液として定義される。
【0008】
病院環境においては、血液検査室は、日常的に、全血球算定を行っている。血液サンプルは、バイアルに採取され、試験を自動システムで行っている中央血液検査室に運ばれる。結果は、相対的に正確であるが、迅速に入手できない(一般に10分間から1時間を要する)。あるいは、いずれかの手動の血液パラメータ装置は、ポイント・オブ・ケアでのHCT又はHGBの測定値を提供するが、これらの装置は、本来比較的不正確であるために、それらの診断値には限界がある。
【0009】
救急医療環境においては、目下、自動血液検査システムと同程度の範囲で正確にHCTを測定する方法はない。上述した手動の装置は使用するのが困難であるか、十分に正確でない。トラウマ又は災害を被ったような、ヘマトクリット測定が必要な患者は、この情報が正確に測定される前に、血液検査室にて、病院又はクリニックへの搬送を待たなければならない。もし正確な結果がこの範囲において入手できたなら、患者を仕分ける医療人事の能力を改善し、患者が病院に到着した際、適切な医療的な治療の交付を促進するであろう。
【0010】
この分野において、負傷した患者が内臓出血を有している程度を評価することは困難であることがある。患者のHCTは失血に伴って減少する。従って、継続的なHCT測定は、失血の程度の有用な指標を与える。救急医療人事が、負傷者の数によって手におえない場合、医療の必要なそれらのHCTを迅速かつ正確に測定する装置によって、重篤なケースに彼らの注意を向けるための緊急医療人事の能力が大いに改善されるであろう。よって、公的な救急医療産業及び軍は、迅速、正確かつポイント・オブ・ケアで、HCTを測定することができる装置及び方法を非常に必要としている。
【0011】
HCTの正確な測定値を必要とする個人の診療所の医師は、目下、請負の血液検査室に血液サンプルを送付するか、スパン・ヘマトクリット又は顕微鏡観察のような人的誤りに付される遅く、不正確な手動の技術を行うことに制限されている。
【0012】
現在、HCTを測定するために4つの方法が有用である。
・遠心分離、
・血球計数
・光学特性及び
・電気的特性である。
【0013】
遠心分離法は、最も基礎的な測定技術である。これらの遠心分離機は持ち運びすることはできない。HCTを測定するために、血液サンプルが採取され、一定期間(一般にプロトコールによって5分から30分間)、遠心分離機(例えば、READACRIT(登録商標))で回転させる。回転によって血液サンプルが3層に分離する。上層は主に水及び溶解した固体からなるプラズマである。次の層は白血球、プラズマタンパク及び血小板からなる薄い白血球層である。下層は密に圧縮された赤血球を含む。専門技術者は、重量計を用いて直接容量分画を読み取る。スパン・ヘマトクリットは、重量計の読み取り、赤血球カラムに閉じ込められたプラズマ及び赤血球サイズのひずみにおけるユーザーの誤りに確実に影響され得る。一般に、プロトコールで行われたスパン・ヘマトクリットの得られた精度は、測定値の2から5%である。この精度は、この報告における他の全ての精度のように、平均付近の95%信頼区間として報告される。
【0014】
血球計数は、最も直接的な測定技術である。血液サンプルを既知の割合に希釈し、ここの細胞を手動で又は自動的に計数する。手動の血球計数技術は、単調で退屈であり、サンプルの適切な調製は操作する者の熟練度に依存する。自動血球計数器(例えば、COULTER@ GEN S(商標)システム)は、一般に1分間サンプル所要時間を要し、測定値の2.0から3.5%の精度であり、退屈な時間及び操作する者への依存を減少させる。実用での問題として、ポイント・オブ・ケアでの所要時間は、一般に30分間から12時間である。血液サンプルを、患者から中央に位置する研究所へ輸送し、処理しなければならず、結果をポイント・オブ・ケアに再び報告しなければならないからである。さらに、自動システムは、一般に高額であり、持ち運びができない。
【0015】
光学的測定技術は、比較的新しい。この技術に用いられる装置は、流れる血液を透過した光の量、流れる血液から反射した光の量を測定する。これらの装置(例えば、3M(商標)CDI(商標)システム500)は、心臓外科の間で用いるために設計され、血液循環が要求され、持ち運びができない。
【0016】
HemoCue(登録商標)は、血液ヘモグロビン濃度を光度計で測定する携帯用の装置の例である。そのような持ち運びが可能な光度装置は1分間のサイクルタイムを有しているが、精度は一般に3%程度である。医師は読み取りの1から2%の小さな変化に基づいて診断するため、より高精度で持ち運び可能な装置が有用であろう。
【0017】
電気導電度は、現在、ヘマトクリットを含む種々の血液パラメータを測定するために用いられている。例えば、i-STAT(登録商標)システムは、血液サンプルの導電度を測定し、イオン濃度を補正し、正常な白血球及びタンパクレベルを推測し、次いでヘマトクリットを算出し、報告する。電気導電度を用いる装置は持ち運びが可能であるが、代表的な導電度ベースのヘマトクリットの読み取り精度は±6%であり、それは、実質的に臨床上の価値を低減させる。
【0018】
血液超音波の分野では、ドップラー効果を用いた血液流速を測定する装置において、超音波後方散乱の分析におけるさらなる研究に集中している。これらの研究は、超音波と血液との間の相互作用を理解するために有用である。また、多くの研究者は、いかにこれらの特性を使用可能にするか又は画像化及び超音波検査装置で干渉するかをよく理解する目的のために血液の超音波特性を探求している。
【0019】
Schneditzら(米国特許第5,830,365号)は、音速センサを確立し、総タンパク濃度を測定する方法としてそれを評価した。その装置は、血液透析機で行うように、患者の血液における体液移動を追跡することを意図する。これらの体液移動は、総タンパク濃度における変化として、それら自体を表わすであろう。Schneditzは、それらの体液移動を検出するために、総タンパク濃度と音速との間の相関関係を調査した。彼は、単一の直通経路にそってフライト・オブ・タイムを測定することによって音速の測定を実行した。Schneditzの装置の欠点は、プラズマから血液細胞が沈降するのを避けるために連続的に流れているところで、患者から患者に戻る連続的に循環する血液でしか動作しないことであり(例えば、インライン式の血液透析装置でのように)、それは、不正確な読み取りをもたらすだろう。他の欠点は、サーモスタットで調温された500mlの浴から管を通して循環する血液が大量(60ml)に必要であり、音速が正確に知られている基準流体で較正することを必要とすることである。
【0020】
Schneditzの装置は、人工的に白血球(白血球層中のいずれかのほかの成分とともに)が除去された豚の血液で実行されている。白血球がなく、豚の血液とヒトの血液との物理的な差異は、血液の超音波応答にかなりの変化を与えるかもしれず、よって、Schneditzらの相関関係及び方法は、全血又はヒトの血液に適用することができない。
【0021】
サーモスタット制御浴を含む、温度を測定する従来の方法は、扱いにくく、実用的でない。血液と温度針とを直接接触させる他の方法は、清浄及び不純物の複雑な要因をもたらす。
【0022】
以下の各文献の全内容をここに参照として組み込む。
【0023】
Edwin L. Carstensen, Kam Li, and Herman P. Schwan, "Determination of the Acoustic Properties of Blood and its Components," The Journal of the Acoustical Society of America Volume 23, Number 2, Pages 286-289 (1953).
Edwin L. Carstensen and Herman P. Schwan, "Absorption of Sound Arising from the Presence of Intact Cells in Blood," The Journal of the Acoustical Society of America Volume 31, Number 2, Pages 185-189 (1959).
Rubens A. Sigelmann and John M. Reid, "Analysis and Measurement of Ultrasound Backscattering from an Ensemble of Scatterers Excited by Sine-Wave Bursts," The Journal of the Acoustical Society of America Volume 53, Number 5, Pages 1351-1355 (1973).
【0024】
KoPing K. Shung, Rubens A. Sigelmann, and John M. Reid, "Scattering of Ultrasound by Blood," IEEE Transactions on Biomedical Engineering Volume BME-23, No. 6, Pages 460-467 (1976).
Stephen E. Borders, Arnost Fronek, W.Scott Kemper and Dean Franklin, "Ultrasonic Energy Backscattered from Blood," Annals of Biomedical Engineering, Volume 6, pages 83-92 (1978).
【0025】
S. Xu and H. Ermert, "Models for Describing the Scattering of Ultrasound in Blood," Biomed. Technik, Volume 42 (5), Pages 123-131 (1997).
S.A. Gross, R.L. Johnston, and F. Dunn, "Comprehensive Compilation of Empirical Ultrasonic Properties of Mammalian Tissues," J. Acoust. Soc. Amer., Vol. 64, Pages 423-457, 1987.
Larry Y. L. Mo and Richard S. C. Cobbold, "A Stochastic Model of the Backscattered Doppler Ultrasound from Blood," IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Volume BME-33, No. 1, Pages 20-27 (1986).
I.Y. Kuo and K.K. Shung, "High Frequency Ultrasonic Backscatter from Erythrocyte Suspension," IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Volume 41, No. 1, Pages 29-33 (1994).
【0026】
Daniel Schneditz, Thomas Kenner, Helmut Heimel, and Hans Stabinger, "A sound-speed sensor for the measurement of total protein concentration in disposable, blood-perfused tubes," J. Acoust. Soc. Am., Vol. 86, No. 6, Pages 2073-2080 (1989).
K. Kirk Shung, Guy Cloutier, and Chee C. Lim, "The Effects of Hermatocrit, Shear Rate, and Turbulence on Ultrasonic Doppler," IEEE Transactions on Biomedical Engineering, Volume 39, No. 5, Pages 462-489 (1992).
米国特許第5,767,407号。
【0027】
上述した装置又は方法は、ヘマトクリット又はヘモグロビン濃度の測定における速度、精度及び持ち運び性の問題をなんら解決していない。本発明のみが3つの目標の全てを同時になし得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0028】
発明の要旨
従って、本発明の1つの目的は、血液のヘマトクリットを測定するための方法及び装置を提供することである。
本発明の他の目的は、血液のヘモグロビン濃度を測定するための方法及び装置を提供することである。
本発明の他の目的は、血液の平均赤血球容積、赤血球数、平均赤血球ヘモグロビン、平均赤血球ヘモグロビン濃度及び総タンパク濃度のような他の血液成分及び特性を測定するための方法及び装置を提供することである。
【0029】
本発明の他の目的は、ヘマトクリット及びヘモグロビン濃度ならびに平均赤血球容積、赤血球数、平均赤血球ヘモグロビン、平均赤血球ヘモグロビン濃度及び/又は総タンパク濃度の簡便、正確かつ迅速な測定を可能にする方法及び装置を提供することである。
本発明の他の目的は、ヘマトクリット及びヘモグロビンを、95%信頼区分にて+/−2%(読み取りの)以内の精度で測定を行うことができる方法及び装置を提供することである。
【0030】
本発明の他の目的は、30秒以内に測定値を提供することができる方法及び装置を提供することである。
本発明の他の目的は、1mlより少ない採血に適し、好ましくは静脈血とは対照的に毛細管血の微量を用いる方法及び装置を提供することである。
本発明の他の目的は、電池で操作し、携帯できるほど十分に小さく、持ち運びできる方法及び装置を提供することがでる。
【0031】
本発明の他の目的は、非観血的なインビボの測定に使用することができる方法及び装置を提供することである。
本発明の発明者は、血液のヘマトクリット(HCT)及びヘモグロビン濃度(HGB)ならびに平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、総タンパク濃度(TPC)及び赤血球数(RBC)を、超音波法を用いて正確に測定することができることを見出した。従って、本発明の一つの実施形態では、超音波を用いて血液特性を測定するための手段を提供する。
【0032】
本発明の他の実施形態では、超音波を用いて血液特性を測定するための装置を提供する。
本発明の他の実施形態では、超音波を用いて血液特性を測定する方法を提供する。
【0033】
本発明のより完全で正当な評価及びそれらの付随する利点は、添付の図面に基づいて考慮した際、以下の詳細な説明を参照することによってより理解することができるのと同様に、容易に得られるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明における種々の他の目的、特徴及び付随する利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細からより理解されると同時に、より十分に正しく理解することができるであろう。
【0035】
概要
図1は、本発明のヘマトクリット測定法を概略するシステム−レベルブロック図である。この方法は、通常、ステップ10で1以上の電気的パルスを発生させる工程を含む。ステップ20では、1以上のトランスデューサが、電気的パルスを超音波パルスに変換し、その超音波に全血サンプルを付し、かつそれらからの透過/反射を検出するために使用される。ステップ30では、超音波特性を、(a)血液サンプルからの後方散乱、(b)血液サンプルを通過した超音波パルスの減衰又は(c)血液サンプルを通過した音速を含む透過/反射から測定する。ステップ40では、特性(a)、(b)又は(c)を、関連臨床パラメータであるHCT、HGB、MCV、RBC、MCH、MCHC、TPCの1以上を測定するために、単独又は組み合わせて用いることができる。
【0036】
本発明の超音波ヘマトクリットの測定方法及び装置は、少なくとも±7%の及び国際標準品で検証されている±1%程度の正確さ及び精度で、ヘマトクリット及びヘモグロビン濃度、ならびに平均赤血球容積、赤血球数、総タンパク濃度、平均赤血球ヘモグロビン、平均赤血球ヘモグロビン濃度の測定値を提供することができる。
【0037】
本発明による超音波を用いた血液特性の測定のための一般的な方法は、好ましくは、音速測定技術(血液サンプルを通過する音速を測定する)に基づくが、あるいは、
・後方散乱−血液サンプルの成分から反射したエネルギーを測定する、
・減衰係数−血液サンプルを通過した単位長あたりのエネルギー減衰を測定する、及び
・周波数分析−1より大の周波数で超音波に対する血液シャンバの応答を測定する、
を含む他の方法(これらに限定されないが)のいくつかのうちの1つを用いてもよい。
【0038】
操作において、一般的な測定技術は、本発明のよれば以下のように実行される。
【0039】
・血液サンプルに1以上の超音波信号を送出する、
・反響音を検知し、分析する、
・後方散乱係数、音速及び/又は目的周波数の減衰係数を算出する、
・音速、減衰係数、周波数及び/又は後方散乱係数と血液特性の関連を示す相関関係を用いて、HCT、MCV、HGB、TPCの1以上を決定する。これらの結果から、好ましくは、RBC、MCH及びMCHCの値を、定義RBC=HCT/MCV、MCH=HGB/RBC及びMCHC=MCH/MCVを用いて算出する。
【0040】
本発明の1つの利点は、血液特性を測定する他の装置と比較して、本発明は、持ち運び可能なパッケージで実行することができ、他の持ち運び可能な装置及び自動血球計数器よりも、臨床的にかなり精度を改善することができることである。さらに、本発明は、ポイント・オブ・ケアで迅速に結果を提供する。最後に、本発明は、最小限の観血的な測定に適しており(測定チャンバにおいて非常に少量の血液サンプルを収納するためのサンプル収集装置を用いる)、非観血的で、インビボ測定に使用することができる(皮膚の外側から体に超音波を送る)。
【0041】
装備は、好ましくは、電子機器のサブシステム及びハードウェアサブシステムを含む。電子機器は信号バーストを発生し、得られた反響を記録し、分析する。ハードウェアは、サンプルを含み、種々の構成部品のアライメントを維持する。より詳細には、本発明の装置は、別個の血液サンプルを収集するためのサンプル収集メカニズム、血液サンプルを保持するサンプルチャンバ、サンプルチャンバ内の血液に超音波パルスを照射するためのパルスジェネレータ及びトランスディーサ、血液サンプルからの1以上の反射超音波信号を受信するための少なくとも1つのトランスディーサならびに(a)血液サンプルからの後方散乱、(b)血液サンプルを通った超音波パルスの減衰又は(c)血液サンプルを通った音速を含む群のなかからの物理的パラメータを測定するための受信機を含む。さらに、測定された物理的パラメータに基づいて、HCT、HGB、MCV、RBC、MCH、MCHC及びTPCを含む群のなかからの血液の1以上の臨床パラメータを算出するためのプロセッサを含む。
【0042】
操作原理
ヘマトクリットは、血液サンプル中の赤血球の容量分画として定義されている。血液中の音速は、ヘマトクリット(HCT)の直接関数であり、血液中のヘモグロビン量(HGB)の直接関数である。この関係は、赤血球とヘモグロビンとは、周りのプラズマとは異なる物質組成を有し、従って、音速が異なるために生じる。全血の音速は、ほぼ、その成分のバルク平均音速となる。いいかえると、赤血球濃度が高くなれば、血液の音速は、プラズマに代えて赤血球のそれにより近づくであろう。赤血球は血液容積のほぼ50%を占めるため、HCT及びHGBは、音速の格段に強力なドライバーとなる。ほかの血液成分の変形物(白血球、血小板、細胞外タンパク)は、わずかに音速を変化させるかもしれず、本発明の精度を制約するかもしれないが、それらの影響は、現在に至るまで実験において著しく顕著ではないほど十分に小さい。
【0043】
ヘモグロビンの大部分は、正常な生理的条件下で赤血球中に存在するため、HGB及びHCTの結果は、一般に、医師に同等の情報を与える。それらの双方は、血液の酸素輸送能を示す。以下の一般化した関数は、HCT及び温度における音速の物理的依存を示す。
【0044】
Cf = g(HCT, T)
Cf = f(HGB, T)
(式中、Cfは血液中の音速、HGBはヘモグロビン濃度、HCTはヘマトクリット、Tは温度、f及びgは経験的に決定すべき関数である)
音速は、HGB及びHCTの関数であるため、あるものは音速を測定することができ、計算値を逆数にすることによりHGB及び/又はHCTを表わすものとしてそれを適用することができる。
【0045】
同様に、超音波は、血液中の減衰係数は、血液のHGB及びHCTの直接関数であり、これは、純粋なヘモグロビン又はプラズマ中でそうであるよりも赤血球中で異なる程度で減衰するからである。この減衰は、全血を構成する種々の物質中で粘性を失うことによってある程度もたらされる。また、減衰は、赤血球の細胞壁のような物質の境界から超音波散乱によってある程度もたらされる。この理由のために、その関係は、ある場合には無視されるかもしれないほど非常に弱いが、減衰は、また、血液のMCVの関数となる。
【0046】
α=f(HCT,MCV,T,F)〜f(HCT,T,F)
(式中、αは減衰係数、HCTはヘマトクリット、MCVは平均赤血球容積、Tは温度、Fは周波数及びfは経験的に決定すべき関数である)
過度の精度を犠牲にすることなく、減衰係数とMCVとの間の関係は無視することができる実施形態では、重複する測定を行うことができる。減衰係数及び音速の双方は、ヘマトクリット及びヘモグロビン濃度を別々に算出するために使用することができる。よって、その2つの計算値は、誤り検出のために比較することができ、及び/又は精度を改善するために平均化することができる。あるいは、2つの測定値は、血液中の音の伝わり距離又は温度のような他の共通のばらつきをなくすために一緒に用いることができる。
【0047】
後方散乱は、サンプルを通過する際の血液成分から反射する音波エネルギーである。この反射は、ほとんど全て赤血球からの散乱から生じるため、後方散乱されたエネルギーは、血液サンプルのMCV及びHCTの複合関数となる。しかし、その関数は、専ら単調であり、15%より下のHCTレベルに対して良好にふるまう。好ましくは、サンプルのMCV及びHCTを正確に測定するために後方散乱エネルギーを用いるため、血液サンプルは、まず、15%より下の直線領域にHCTを導くために希釈しなければならず、次いで、装置は、その算出における希釈を補償することが好ましい。
【0048】
Bks=f(HCT, MCV, T, F)
(式中、Bksは後方散乱エネルギー、HCTはヘマトクリット、MCVは平均赤血球容積、Tは温度、Fは周波数及びfは経験的に決定すべき関数である)
超音波後方散乱係数を測定し、HCTに対する相関関係を用いることによって、あるものは、希釈サンプルのHCTを測定することができ、よって、オリジナルサンプルのヘマトクリットを測定することができる。また、その関係は単調でないためにより複雑であるが、後方散乱法は、非希釈サンプルで用いることもできる。非希釈サンプルでの後方散乱の測定の動機づけは、体への超音波の送受信によって非観血的に血液パラメータを測定することである。
【0049】
本発明の後方散乱技術及び減衰係数技術は、HCT結果との良好な相関関係を与える。音速技術は、より好ましく、より正確であることが証明されており、より容易に実行され、MCV又はRBCの別個の測定を必要としない。対照的に、後方散乱技術の実行は、MCV又はRBCの二次的な、別個の測定を必要とするかもしれない。
【0050】
音速の測定
音速を算出する好ましい方法は、既知の距離での短い超音波パルスのタイム・オブ・フライトを測定することである。
【0051】
Cf=d/t
(式中、Cfは音速、dはサンプルを通過した音の距離、tはその距離を移動するための音の要した測定時間である)
電子機器における遅延、超音波が容器の壁のような研究されていない物質を通過するための遅延を含むために、超音波送受信の間の時間は、通常、サンプルを通過する通過時間よりも非常に長い。サンプルを通過する通過時間は直接的に測定せず、その代わりに、ほかの2つの測定値の間の差として測定することが好ましい。総通過時間(血液中の時間及び望ましくない遅延の双方を含む)−望ましくない遅延のみによる通過時間
blood=ttotal−tdelays
(式中、tbloodは超音波がサンプルを通過するのにかかった通過時間、ttotalは、望ましくない遅延を含む送受信の測定時間、tdelaysはサンプルを通過する時間を除いた全遅延の測定時間である。)
この時間の差異を測定するある好ましい方法は、フライト軸に沿った既知の距離によって分離された2以上の反射物からの往復のフライト・オブ・タイムを測定することである(図3参照)。
【0052】
図3は、好ましいサンプルチャンバの実施形態を示しており、それは、1以上のトランスディーサT1・・・Tnを含む。少なくとも1つのトランスディーサT1は、サンプルチャンバ12の他端での二段反射物14から反射するのに十分なビーム幅を発射することが要求される。あるいは、2つの構成部品であるトランスディーサT1、T2が、血液サンプルを通過する2つの細いビームを発射し、反射物14の段差からそれぞれ反射が戻ってくる。
【0053】
超音波Uは、1つのビームを送信する。超音波U2の一部はより近い反射物から反響すると同時に、ビームU1の残りは第2の反射物から反響するために移動し続ける。これらの往復時間の間の差異は、反射物間の距離の二倍で除算され、サンプル中の音速となる。
本発明の他の好ましい実施形態では、トランスディーサがピッチ−キャッチ・モードでパルスを送る正確に既知のサイズのチャンバを用いる(図8参照)。チャンバの縁E1、E2からのパルス−エコー測定を用いることによって、本発明では、音が血液を通るのに費やす時間を除く全時間遅延を差し引くことができる。
【0054】
本発明の他の好ましい実施形態では、血液は可撓性チャンバ中に存在し、フライト・オブ・タイム測定を、既知の又は測定可能な距離によるチャンバの変形前後の双方で行う。
本発明のある実施形態では、血液は、2つの正確に配置された壁の間に空間を有する可撓性の容器内に存在する。容器材料は、その時間遅延は既知であり差し引くことができるようによく制御されている。好ましくは、この可撓性の壁を通る音速は、血液を通過する音速におおよそ合致しており、そのため、その壁の厚さの見積もりの不正確さによって引き起こされる誤りは、通過時間にごくわずかにしか影響しないであろう。
【0055】
温度は音速、減衰係数及び後方散乱に影響し、そのため、結果は、温度を考慮するために調整することが好ましい。さらに、本発明で選択された材料によって、温度がその構成部材のサイズ及び形状に影響することを考慮することが必要かもしれない。
【0056】
減衰係数の測定
血液中の減衰係数を測定するために用いられる技術は、音速を測定するために用いる技術と同様である。反射のRMS振幅を測定する。異なる長さの血液を通る2つの経路からの振幅の比をデシベルで表し、経路長の差で除算する。
【0057】
A=20Log(V2/V1)/(D2−D1)
(式中、Aは減衰係数(dB/in)、V2及びV1は2つの受信信号の振幅、D2及びD1はサンプルを通過して移動した2つの信号の距離である。)
音速データ及び減衰係数データは、一般に各サンプルで同時に採取される。さらに、計算は、血液の温度及び信号の周波数を補償しなければならない。
【0058】
後方散乱の測定
後方散乱の測定を、希釈血液サンプルからの超音波エコーを分析し、戻り信号内の特定された時間窓のRMS電圧を測定することによって行う。トランスディーサT1は、呼び掛けトランスディーサの搬送周波数の100サイクルを含むバーストを発生させることが好ましい。エネルギーは、血液−チャンバの界面から後方反射し、その後直ちに血液サンプルの成分によってエネルギーが後方散乱する。時間ごとに、サンプルのみによって散乱したエネルギーを測定するためにRMS測定をゲーティングし、50以上のサンプリングされた信号を平均化し、平均後方散乱ワーを測定する。
【0059】
他の超音波の測定
この発明は、また、連続的な波動でチャンバを励起することによって、臨床上のパラメータ(HCT、HGB、MCV、RBC、MCHC、MCH又はTPC)を測定することができる。この連続波動の周波数を、各周波数で血液の応答を分析するためにゆっくり変化させる。共鳴振動数で、波長がチャンバの大きさに直接関係することを示す定常波に設定する。共鳴振動数の測定は、波長を算出し、ヘマトクリットにそれを相互に関連させることを可能にする。さらに、共鳴周波数ピークのバンド幅(つまり、半値全幅)は、有効な他の減衰の検出となる(例えば、米国特許第5,767,407参照、全内容をここに参照として組み込む)。周波数ピークが広くなるにしたがって、減衰係数が高くなる。同様の情報を提供する他の関連する超音波測定は、相シフト又は信号の振幅を含む。
【0060】
また、ヘモグロビン及び他の血液組成の音波インピーダンスは、純粋なプラズマの音波インピーダンスよりも高いために、音波インピーダンスはヘマトクリット及び/又はヘモグロビンの指標となる。従って、ヘモグロビン及び赤血球の濃度が高くなると、純粋なプラズマのそれから、全物質の音波インピーダンスを増大させるであろう。音波インピーダンスは、どの程度超音波が界面から反射するかを測定することによって算出することができる。血液の音波インピーダンスが容器の壁の音波インピーダンスと整合する場合、超音波エネルギーは界面から反射しないであろう。音波インピーダンスの不整合が大きくなると、エネルギーは界面からより多く反射するであろう。この発明は、ヘモグロビン及び他の血液組成が、血液を通過して及び音波インピーダンスを測定するために用いられる物質の界面に沿って、均等に分配されることを確実にするためにこの方法を実行する前に、赤血球を溶解させることが好ましい。
【0061】
生理学的なパラメータを示す最後の超音波測定は、屈折角である。物質界面での超音波の屈折角は、スネルの法則によって示されたように音速の指標となる。従って、屈折角は、生理学的ヘマトクリット及び/又はヘモグロビンによって直接影響されるであろう。屈折測定を行う好ましい方法は、「プリズム」として作用する三角形の血液容器を通して超音波を送ることである。その超音波は、容器表面に対して垂直に、血液に入る。しかし、容器の三角形状のために、超音波は、既知の入射角でチャンバの遠い壁に衝突する。スネルの法則に従って、波動は、次いで、血液中の音速に依存する角度で容器の壁を通って移動するであろう。本発明において角度(好ましくは操縦されたアレイトランスディーサを用いて)によって血液中の音速を逆算することができる測定は、ヘマトクリット及び/又はヘモグロビンを算出するために経験的な相関関係を使用する。
【0062】
スネルの法則は、
Sin((1)/C1=Sin((2)/C2
(式中、(1は傾斜角、C1は材料1中の音速、(2は反射角、C2は材料2 中の音速である)
【0063】
電子機器
電子機器は、図1に示した4つの機能に対応する。ステップ10で正確に制御された電気的な信号を発生させ、ステップ20で超音波の送受信をし、ステップ30で受信した波動を分析し、ステップ40で臨床的関連性のある結果を演算処理する。このように、電子機器は、一般に、信号発生、信号取り込み及び分析の手段を含む。これらの種々の手段は、別個の装置で存在し、あるいは単一の部品として一緒に集積することができる。
【0064】
図4は電子機器のブロック図を示す。送信ステージは、プログラム可能な信号発生器、信号調節部(増幅し、フィルターし及び/又は雑音を低減する)及び出力増幅器からなる信号発生回路30を含むことが好ましい。信号発生回路30は、1以上の音波信号を発生させるために機能する。信号は、ゲート・シヌソイド、方形パルス、指数遅延又は他の機能を伴うスパイクとすることができる。信号は、通常、サンプルに伝達されるエネルギー量を最大化する使用において、トランスディーサの搬送周波数に整合した搬送周波数を有するであろう。周波数掃引のために、周波数範囲は、トランスディーサT1の有用なバンド幅内に位置するように選択されることが好ましい。信号発生回路30は、ピッチ−キャッチ又はパルス−エコーモードでトランスディーサを操作するための電子パルスを発生させることが好ましい。信号の周波数は、行われる測定のタイプ及びサンプルチャンバの大きさに依存して、1から50MHz、好ましくは少なくとも6MHzとすることができ、10MHzが現在最も適している。音響が、時間解像(time resolution)を増加するため又は赤血球の大きさに最も近い長さの波長を達成するために、血液を通って短い距離を進行するのみであれば、高い周波数が選択されるべきである。減衰を最小化する長い経路のためには、低い周波数が選択されるべきである。バースト長は、50から200サイクルに設定することがより好ましく、後方散乱測定のためには100サイクルが好ましく、音速及び減衰係数測定のためには0から5サイクル(好ましくは0.5サイクル)である。信号発生器30の振幅は、高い信号対ノイズ比を与えるために十分な設定で維持されることが好ましい。
【0065】
入力ステージからの信号は、トランスディーサT1、T2・・・Tnを通過する。トランスディーサは、効率が高く、単一構成のトランスディーサであることが好ましい。種々の市販されたトランスディーサが、本発明の使用に適している。各トランスディーサT1、T2・・・Tnは、搬送周波数、バンド幅、集束、感度及びビームパターンによって、チャンバの外形に整合するように選択することができる。後方散乱測定のため、周波数の範囲は、レイリー散乱用に15MHz閾値の上下双方の値を含むように選択される。呼び掛け周波数は、6.5、10、20、30及び40MHzを含むことが好ましい。一般に、時間解像を増加し及び音響ビームを細くするために、血液を通って短い距離を進行するのみであれば、高い周波数が好ましい。減衰を最小化する長い経路のためには、低い周波数が好ましい。
【0066】
全ての構成及び測定のために、トランスディーサ構成要素の直径は、ビーム角度がチャンバの形状に適することを確実にするために選択することが好ましい。ビーム幅は、測定に伴う、望まない音響経路の干渉の機会を最小限にするために十分狭くするべきである。さらに、その構成要素の直径は、距離に影響を及ぼし、トランスディーサは、サンプルからでなければならない(ファー・フィールド・ディスタンス)。焦点が合わせられた又は細いビーム幅のトランスディーサは、ビーム幅及びファー・フィールド・ディスタンスを減少させるのに役立つかもしれない。好ましいトランスディーサの直径は、3mm、6mm及び12mmを含む。トランスディーサT1・・・Tnは、それらがチャンバに対して相対的にどのように配置されるかによって、パルス・エコー・モード及び/又はピッチ・キャッチ・モードで使用することができる。経路間又はこれら2つの操作モード間の時差を測定することは、電子機器又はサンプル・ホルダー中の遅延のような未知数をなくすことができる。
【0067】
サンプルから戻った信号によって、トランスディーサに、受信ステージを通過する電気的信号を発生させる。受信ステージは、信号処理及び増幅器40、デジタイザー(A/Dコンバータ)50及びマイクロプロセッサ60又はマイクロコントローラーのようなデータを収集し分析する手段及びRAM、磁気記憶装置又はCDを含むことが好ましい。この構成において、通過時間及び振幅を含む信号測定及び計算は、マイクロプロセッサによるデジタル化された信号に基づいて算出される。
【0068】
他の好ましい受信ステージ構成は、信号処理、増幅器、アナログピーク検出回路及びタイミング回路を含む。ピーク検出回路は、信号ピーク振幅を測定するために用いられ、タイミング回路は、信号の伝達から受信までの時間を測定するために用いられる。
増幅器は、デジタイザーによって容易に取り込まれ及び/又はアナログ電子機器によって分析することことができるレベルまで、信号増幅に導くことを要する。従って、増幅器は、必要とされる利得を有するように選択されるべきである。また、増幅器は、計画した測定のための適切なバンド幅を有するように選択されるべきである。また、増幅器は、1以上のビルトイン・フィルターを含むことができる。フィルターは、測定される周波数バンドの外側に配置するノイズをなくすために用いられる。適当なフィルターは、能動及び受動フィルター、RCフィルターを含む。
【0069】
また、本発明は、適当なデバイスコントロール、信号プロセッシング及び検出ロジックを含む。デバイスコントロールは、オンボード・プロセッサ、プログラム可能ロジック・コントローラーによってでもよいし、別個のロジック・ブロックによってでもよい。信号プロセッシング・アルゴリズムは、以下の1以上を含むことが好ましい。アナログ及びデジタル・ノイズ・フィルタリング、平均化、ゲーティング及び自動利得コントロールである。検出ロジックは、ゼロ−クロッシング検出(それは、信号の通過時間を算出するために、信号がゼロを交差する正確な時間を自動的に測定する)及び振幅又はパワー測定を含むことが好ましい。
【0070】
ハードウェア
ハードウェアは、サンプルチャンバ(図1及び8に示したように)及びトランスディーサT1・・・Tnを含む。サンプルチャンバ又はホルダは、血液サンプルを含むように設計されており、サンプルの攪拌を可能にし(後方散乱測定の場合に)、アライメントならびにトランスディーサとサンプルとの間の距離を維持する。好ましい実施形態では、サンプルチャンバは、採取手段によってそこに個々の血液サンプルを含有するために壁で囲まれている。しかし、他の実施形態では、血液を連続的に流す(エクスビボ)管のセグメントを含んでいてもよい。他の実施形態では、チャンバは、ゴムのような可撓性材料で形成されており、そのため血液サンプルのサイズ及び形状を制御又は調節することができる。あるいは、血液チャンバは、インビボ又は非観血的測定の場合には、患者の体自体であってもよい。
【0071】
採取手段は、生きた血液を得るための手当てを含む。採取方法は、規格品の注射器、規格品のランセット又は、採取装置及びサンプルチャンバが組み合わせとして機能する特別注文の装置であってもよい。さらに、チャンバは、血液が流れる管であってもよい。
【0072】
サンプルチャンバは、使い捨てで小型であることが好ましい。好ましいサンプルチャンバ材料は、ガラス、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポカーボネート、シリコーン、ポリプロピレン、ラテックス又はポリエチレンを含む。音響の経路長が+/−0.2%、より好ましくは+/−0.05%と、好ましく知られているように、チャンバ及び/又は追加の反射物(もし使用するならば)は、正確に既知の大きさで形成することが好ましい。フライト・オブ・タイムの測定から音速を正確に算出するために、正確に既知の経路長が好ましい。チャンバが正確に形成されていない場合、経路長を、本発明自体又は別の装置のいずれかで測定することが好ましい。その別の装置からの結果は、バーコードのような手段によって自動的に本発明に導入されることが好ましい。
【0073】
血液及び/又はサンプルチャンバとの音波の接触におけるサンプルチャンバ及び/又は装置の一部は、血液中の音速と整合する音速、1000m/sから2500m/sを有していることがこのましい。好ましい材料は、プラスチック、ゴム、鉛及びそれらの組み合わせを含む。
サンプルチャンバは、概して0.05から10mlで十分であるが、1ml未満の血液サンプルを含むために一定の大きさに作製されていることが好ましい。
【0074】
サンプルの温度は、直接又は間接的に測定することができる。間接的な手段は、サンプルがその周辺と平衡に達するまで待機し、血液温度の代わりに周囲又は容器温度を測定する。血液の温度が迅速に変化する場合(例えば、それが新たに得られたため)、本発明では、反復超音波測定によって、最終的な読み取りが、サンプルがその環境に熱的平衡に達したことの傾向又は予測を可能にする。いずれかの装置又は容器中での音速は、温度によって変化するため、容器の壁の温度を、壁を通る音速を測定することによって推論することができる。また、温度変化が測定に影響を与えないように、温度を制御してもよい。
【0075】
また、サンプルチャンバ及び採取手段は、単一部品で組み合わせることができ、そこでは、血液サンプルを採取手段中で採取し、次いで、それが超音波法を用いるサンプルチャンバとして機能する。さらに、血液が静脈穿刺針又は他の針装置を用いて患者から採取されるように、採取手段及びサンプルチャンバは、管の配列を含んでいてもよく、そこでは管長を通って血液が流れる。管長はサンプルチャンバとして機能することができ、特に管長を通って流れるサンプルで、減衰係数及び音速測定法を行うことができる。後方散乱に基づく方法では、管を通って赤血球が移動するために流れるサンプルを用いることは好ましくない。いずれにしても、個々に測定されたヘマトクリットのサンプルを用いて較正することができ、サンプルチャンバを通って流れている場合においても、サンプルのHCT、MCV及び/又はRBCの測定が可能である。
【0076】
装置は、静脈血の滴量を用いて機能させることを意図するが、毛細管血で適用するために最適化されることがより好ましい。毛細管血は、静脈又は動脈血とはわずかに異なった成分の混合物を有している傾向がある。例えば、サンプリングされた毛細管血のHCT及びHGBは、一般に、静脈から採取されたサンプルよりも2から5%高く、医師に異なる決定をさせるかもしれない顕著な差異がある。また、静脈血は、一般に、試験管に直接組み入れらたEDTAのような抗凝血剤で処理されていることに注意すべきであり、一方、毛細管血はユーザーのために採取プロセスを単純化するために抗凝血剤なしに試験されることが好ましい。従って、超音波信号及び相関関係の説明は、採取のタイプに対して調整することが好ましい。毛細管血の利点は、患者の指から迅速かつ安全に採取することができることであり、一方、静脈穿刺はより多くの処置を含み、患者を非常に不快にさせ、合併症の危険がより大きくなる。よって、毛細管血の滴量は、ランセットを用いてチクリと刺し、採取手段に血液サンプルを採取することによって指から採取することが好ましい(腕の大きな静脈から試験管全体に充填することによって直接採取する静脈血に対して)。説明されるであろうように、本発明の装置は、ビーム角を低減させ、測定の時間解像を増加させるような技術を用いることによって、指の穿刺から得られた少量の血液で動作させるために最適化されている。
【0077】
サンプルチャンバの材料及び表面仕上げの選択は、凝血開始を延長させるために選択することが好ましい。これは、未処理の毛細管血を用いる場合に特に好ましい。凝血の生化学的プロセスによって、時間がたつにつれて音速を変化することが証明されている。凝血を最小限にとどめる好ましい材料は、ステンレス鋼、真鍮又はポリスチレンのようなポリマーが含まれる。表面仕上げは、表面積を最小限にとどめ、洗浄を簡素化するために平滑であることが好ましい。2分以内に試験時間を短縮することは、凝血の影響を低減させる。粉末状のヘパリン抗凝血剤は、赤血球を破壊することなく凝血を遅らせるために、サンプルチャンバ又は採取手段に組み込むことができ、EDTA及び他の抗凝血剤もまた使用可能である。また、サンプルチャンバの表面に適用することができる種々の生体適合性表面処置があり、それぞれの場合において、装置は、これらの表面からのコヒーレント・ノイズ又は位相遅延の結果としての信号の変化を補正することが必要かもしれない。
【0078】
ある好ましいサンプルチャンバの実施形態は、血液サンプルを通るビームを発射する単一又は2つの構成要素からなるトランスディーサを含み、サンプルチャンバの一端における段状の反射物からの反射を戻す(図3参照)。これらの段差からの往復時間の差を試験サンプルにおける音速を算出するために用いることができる。
【0079】
段状の反射物14の設計は、それが移動部材を有さず、トランスディーサ伝達媒質遅延のように、サンプルチャンバ以外での時間遅延の変動をもたらさないことが好ましい。
他の好ましいサンプルチャンバは、固定した平行壁E1、E2を有し、血液の1又は2滴がチャンバを充填することができるような深さを有する小さなチャンバを含む。音波は、図8のように、壁E1、E2に垂直な経路に沿ってチャンバを通って伝達される。
【0080】
他の好ましいサンプルチャンバは、ゴム製のブラダーからなる。これは、電子機器ユニット内に載置され、血液が充填された場合、それが、電子機器ユニット内で、一つの固定されたトランスディーサと反射物との間又は2つの固定されたトランスディーサの間の空間を塞ぐために膨張するように形成される。
【0081】
他の好ましいサンプルチャンバは、毛管現象によって血液サンプルを採取するのに十分に近接した壁、サンプルカード及び集積使い捨てトランスディーサを備えたものを有するチャンバを含む。毛管サンプルチャンバは、一端がキャップで覆われた管であってもよい。このタイプの管は、当該分野で公知のマイクロ−ヘマトクリット試験の一部として医療現場で用いられているのと同様又は同一のものである。サンプルカードは、平坦で幅広のサンプルチャンバ内で血液の滴量を採取する。サンプルカードは、任意に、ユーザーの指をのせる場を提供するために、親指のつまみを含んでいてもよい。
【0082】
反射物は、チャンバの内側又は外側に配置することができる。チャンバの形状自体が、製造の容易さのために、反射物として機能することが最もこのましい。反射物の材料は、特に限定されない。経路長の差異も同様に特に限定されないが、1mmから10cmの範囲であることが好ましい。長い経路は測定の精度を改善するが、短い経路であれば血液量が少なくてすむ。反射物は移動してもよい。全ての構成において、ビーム中で赤血球濃度が一定のままである限り、垂直方向又は水平方向の超音波経路を用いることができる。さもなければ、細胞をビーム内又は外に優先的に置くことになり、誤った読み取りをもたらすことになる。あるいは、ビームの異なる部分は細胞の異なった濃度を通って通過することになり、ひずんだ結果をもたらす。同様に、チャンバ設計は、暖かい又は冷たい領域を通る選択的な測定に代えて、超音波が血液の温度層の全てを通って進行するために、温度成層化発生の機会を最小限にするか、又は温度成層を全体にわたって均一にすることを確実にすべきである。
【0083】
トランスディーサは、固体の血液容器に、音響の接触媒質として液体又は気体を用いてもよく、サンプル容器に直接連結されていてもよく(ドライ連結)、固体の代わりに液体又はガスに直接音波を伝達してもよい。トランスディーサは、確実なサンプルへの音響連結を確保するために固定具に取り付けてもよい。ある好ましい実施形態では、トランスディーサは、使い捨てであり、サンプルチャンバ内に組み込まれている。使い捨てトランスディーサが使い捨てチャンバに一体化される場合、チャンバは、音響的の代わりに電気的に試験装置に連結することが好ましい。
【0084】
トランスディーサは、サンプルチャンバの外形によって、迷反射によりもたらされるコヒーレント・ノイズを避けるために、焦点をあわせるか、ビーム幅を細めることが好ましい。好ましくは、トランスディーサは、約1MHzから50MHzの搬送周波数を有しており、より好ましくは5から20MHzを用いることができるが、20MHzのトランスディーサが最も好ましい。より高い周波数のトランスディーサは、より短い経路長及びより正確なタイミングに対応する。一対のトランスディーサT1、T2が最も好ましく用いられ、図8のように、採取サンプルの各側にある。
【0085】
ハードウェアは、ユーザーインターフェース及び装置梱包手段を含んでいてもよい。トランスディーサ及びサンプルチャンバの外形は、持ち運び可能に、電池電源で、自己完結型の装置に一体化されていてもよい。本発明の他の実施形態は、他の試験又は機能を実行する装置中のサブシステムとして本発明を一体化して含んでいてもよい。好ましいハードウェアのサブアセンブリは、
・ケース、
・ディスプレイ、
・トランスディーサ、
・サンプル・ホルダ、
・チャンバ、
・ユーザーボタン、
・電源システム及び
・回路基板を含む。
【0086】
本発明は、小型又は持ち運び可能な適用のために特に適しているが、また、テーブルトップ又は恒久的な設置においての使用にも適している。
【0087】
本発明の装置の特に好ましい実施形態を以下に示す。
【0088】
好ましい実施形態A:
ある好ましい実施形態(A)は、一滴の血液を用いるのに適し、1以上の常設のトランスディーサT1・・・Tnを用いる小型の装置を含む。この実施形態では、以下に示すように、ユーザーは、指又はかかとの穿刺によって患者から一滴の血液を取り、小型採取手段(例えば、管、サンプルカード)にそれを集める。そのサンプル(採取手段による)を装置に載置し、その装置は、ヘマトクリット、ヘモグロビン含量、赤血球数、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン、平均赤血球ヘモグロビン濃度及び/又は総タンパク濃度を表示するであろう。この実施形態では、好ましくは小型で、電池電源で、持ち運びが可能である。サンプルチャンバは、好ましくは使い捨てである。
【0089】
試験チャンバ
3種類の試験チャンバがこのデバイスにとって好ましく、それらは全て、一滴又は数滴の血液を用いる。それらは2、3滴の血液を用いるという事実から、それに応じてチャンバの大きさが制約される。第1に、毛細管作用によって、例えば、一端がキャップで覆われた毛細管によって、血液サンプルを採取するのに十分に近接した壁を有するチャンバである。このタイプの管は、当該分野で公知のマイクロ−ヘマトクリット試験の部品として医療現場で現在用いられているものと同様又は同一である。第2に、好ましい実施形態は、サンプルカードであり、それは、それによって超音波測定ができる小さな矩形の孔に一滴の血液を採取する。サンプルカードは、任意に、ユーザーの指をのせるための場を提供するために、親指のつまみを含んでいてもよい。このタイプのサンプルカードもまた、当該分野で公知であり、特に限定されない。第3の好ましい実施形態は、サンプルカードであり、それは、メーター内で2つの正確に配置された壁の間の空間を塞ぐ可撓性薄壁チャンバ中に一滴の血液を採取する。
【0090】
トランスディーサ
この好ましい実施形態におけるトランスディーサは、6から100MHzの範囲(少なくとも6MHz)であることが好ましく、最も好ましくは10MHzである。測定は1つのみのトランスディーサを用いて行うことができるが、一対T1、T2を採取されたサンプルの両側で用いることが最も好ましい。この形式の一対の配置は、図8に示したように、ピッチ−キャッチ及びパルス−エコー信号の双方を測定することができる。これらのトランスディーサは、固定具に取り付けることによって、サンプルチャンバとトランスディーサとの間の確実な音波連結を保障することが好ましい。
【0091】
信号ジェネレータ
信号ジェネレータは、トランスディーサを操作させるために十分な持続時間及び振幅で、単一の電気的信号を発生させる。信号の周波数は、選択されたトランスディーサに適したものとし、0.25から3サイクル長であることが好ましい。信号の振幅は、トランスディーサの定格を超えずに可能な限り高くすべきである。他の増幅回路が、信号対ノイズ比を最大限にするために必要かもしれない。適当な電子機器(上述した)とともに、このハードウェアは、各周波数でどの程度共振するかを測定するために、チャンバの周波数応答を測定するような他の測定を用いて、関連臨床パラメータを測定することができる。
【0092】
装置制御、信号処理、検出ロジック
装置制御は、オンボード・プロセッサ60又はプログラム可能ロジック・コントローラによって行うことができる。信号処理アルゴリズムは、好ましくは、以下の1以上を含む。ノイズ・フィルタ、平均化及び自動利得制御であり、これらは、超音波又は電気工学の分野の当業者に理解されているものであり、特に限定されない。検出ロジックは、ゼロ−クロッシング検出を含むことが好ましい。ゼロ−クロッシング検出は、波動バーストのような信号が到着した際の時間を正確に測定する方法である。この方法では、波動は、信号がゼロを交差する時を正確に検出することによってタイミングを計る。最も代表的なバーストが数サイクル持続し、したがって多数回ゼロを交差するため、一つの交差を、この方法の与えられた適用において常に用いることが好ましい。例えば、一実施形態では、不変のタイミングポイントとして、全てのバーストの第2(又は第3、第5)のゼロ交差を用いる。
【0093】
ケース及びディスプレイ
ケースは、サンプルチャンバ、トランスディーサ、ディスプレイ及びサポートする電子機器に合わせることが好ましいであろう。
【0094】
コミニュケーション
1以上のインターフェースを、他の医療装備、病院の装置ネットワーク又は双方と連絡するために含んでもよい。
【0095】
好ましい実施形態B:
他の好ましい実施形態(B)は、一滴の血液を用いるのに適した小型の装置を提供し、1以上の持ち運び可能なトランスディーサT1・・・Tnを用いる。実施形態(A)のように、この実施形態では、以下に示すように、小型の装置を含み、ヘマトクリット、ヘモグロビン含量及び/又は赤血球指数を測定する。しかし、実施形態(A)とは異なり、実施形態(B)では、使い捨てのトランスディーサを含むことが好ましく、それは、サンプルチャンバに一体化されていることが好ましい。
【0096】
試験チャンバ
この実施形態の試験チャンバは、実施形態(B)における試験チャンバが、好ましくは試験チャンバの中に形成された1又は2つの使い捨てトランスディーサであることを除いて実施形態(A)で記載された形式のいずれかとすることができる。このチャンバは、音響連結のかわりに試験装置に電気的に連結されて用いられる。これらの使い捨てトランスディーサは、コストを最小限にとどめるために、マイクロマシン化された容量素子(MEMS)を用いて製造することが好ましい。
【0097】
使い捨てトランスディーサ
使い捨てトランスディーサは、好ましくは6から100MHzの範囲(少なくとも6MHz)、最も好ましくは10MHzである。一対のこれらトランスディーサが用いられることが好ましく、採取サンプルの両側にある。これら使い捨てのトランスディーサは採取した血液サンプルに接触していても、していなくてもよい。
【0098】
他の構成要素
他の構成要素は、実施形態(A)で記載したものと同様である。
【0099】
好ましい実施形態C:
他の好ましい実施形態(C)は、以下に記載するように、血液管とともに使用するために適した小型の装置を提供し、恒久的なトランスディーサを用いる。この実施形態は、大量の血液を用いるという点で、(A)及び(B)と異なる。この実施形態では、ユーザーは、静脈穿刺を通して患者から血液管を引き出す。サンプルを、装置に載置し、装置はヘマトクリット、ヘモグロビン含量及び/又は平均赤血球容積を表示する。その装置は、好ましくは小型で、電池電源で、持ち運びが可能である。サンプルチャンバは、好ましくは使い捨てである。
【0100】
試験チャンバ
試験チャンバは、標準的な医療用の管である。その管は、発明品に挿入され、トランスディーサはその外表面に直接連結される。2つのモードの信号伝達が好ましい。第1に、信号は、管軸に対して垂直に伝達され、ピッチ−キャッチ測定のために管を通して伝達され、図8に示したように、パルス−エコー測定のために壁から反射する。第2のモードは、信号は、管軸にそって又は垂直に進行するが、図3に示したように、予め管に挿入された、使い捨ての、既知の大きさの2段反射物から反射する。
【0101】
他の構成要素
他の構成要素は実施の形態(A)で記載されたものと同様である。
【0102】
好ましい実施形態D:
この好ましい実施形態においては、本発明は、上述したように機能し、他の血液試験を行う装置に一体化されている。この場合、サンプルチャンバ及びトランスディーサの構成の詳細は、上述した実施形態に類似しているが、行われる他の血液試験が働くように選択しなければならない。
【0103】
好ましい実施形態E:
この最後の好ましい実施形態では、測定は、患者からのいかなる血液採取も行うことなく、インビボでなされる。その装置は、患者の皮膚に対して支持され、患者に超音波が送られる。後方散乱、音速、減衰及び他の超音波測定が受信した信号から算出され、血液特性を推測するために用いられる。
【0104】
試験チャンバ
この実施形態において、試験チャンバは患者の体である。
【0105】
トランスディーサ
装置が動的に音響ビームを操ることができ、大きな動脈又は静脈を探るために焦点長を変更することができるように、アレイトランスディーサが好ましい。
【0106】
信号ジェネレータ
アレイトランスディーサが選択された場合、適切な信号ジェネレータは、アレイを制御するように選択しなければならず、ビーム−ステアリングを可能にする。この実施形態の他の構成要素は、好ましくは、先に述べた実施形態と同様である。
【0107】
他の変形は、当業者にとって設計選択の明らかな事項であることが考慮され、本発明の範囲及び意図の範囲内であることが考慮される。
【実施例】
【0108】
実施例
説明のみの目的でここに示された特定の実施例を参照することによって、一般的に説明されたこの発明を知り、さらに理解を得ることができ、特に断りのない限り限定されることはない。
【0109】
実験的な装置
図2は、超音波を用いた血液特性を測定する可能性を試験するための実験的な装置として用いられた本発明の実施形態を示し、それは、端部プレートのためのガイドとして機能する2本のレールを有したサンプル取付具、トランスディーサ・キャリア、反射物及びサンプルチャンバを含む。浸漬されたトランスディーサ及びサンプル配列を用いた。この構成は、水浴、浸漬されたトランスディーサT1、調節可能(スライド式)反射物及びサンプルを含んでいた。そのサンプルは、血液チャンバに含まれ、それは、血液を含むため及びサンプルの壁から超音波反射を低減させるために伸長ラテックス「窓」を有して設計された。浴中の水は、効果的で安価な導波管及び接触媒質として作用した。他の接触媒質手段及びサンプルチャンバ手段も適当である。
【0110】
試験のほとんどは、実施が容易であったので、生理的ヘマトクリット範囲での音速-HCT及び減衰係数-HCT相関関係に焦点が当てられた。また、相関関係は、HGB及び潜在的干渉因子に対しても生じた。図6は、得られた音速データのグラフである(サンプル・サイズ65)。音速とヘマトクリットとの間の線形の相関関係が予想された。このデータの集合での線形相関係数は0.990であり、顕著な相関関係を支持している。
【0111】
図7は、得られた減衰係数データのグラフである(サンプル・サイズ65)。これらのデータ・ポイントもまた、RBC保存型の補正がなされている。減衰係数とヘマトクリットとの間には、ほぼ直線的な相関関係があることが予想された。このデータの集合での線形相関係数は、0.975である。また、散乱のいくつかは、おそらく、サンプルのMCVにおける変化によって引き起こされるが、サンプル・サイズ中の制限及びデータ中の散乱は、MCVとの統計的に顕著な相関関係を確立することを妨げる。
【0112】
後方散乱の結果を図5(サンプル・サイズ10)に示す。示されたポイントは、HCT0%から15%まである。この領域では、データは線形である。線形相関係数は0.932である。これは、後方散乱とHCTとの間で良好な相関関係が認められたことを示唆するが、音速又は減衰とは強力でない。
【0113】
温度と保存性のための修正の後、その結果を、逆線形回帰を用いて分析した。この線形回帰を用いて、音速及び減衰係数が与えられた予測HCT、ヘモグロビン濃度(HGB)及び赤血球数(RBC)の精度を、90%の信頼区間で計算した。その結果(表1に示す)は、音速をHCT及びHGBへ関連づける厳密な相関関係ならびに減衰係数及び後方散乱をHCT及びHGBに関連づける相関関係が生じたことを示した。実質的に減少させることができる実験エラーの出所が確認され、その結果、顕著な精度の改善をもたらした。
【0114】
【表1】

*−予想されたRBCの精度は、音速と減衰との双方を同時に測定し、HCT及びMCVを計算するために使用されることを前提とする。それが使用するMCVは仮定値に代えて計算値であるので、RBCは、この状況でより正確に計算することができる。
【0115】
相関関係の正確さに影響する既知のエラーの重大な出所は、次のものを含む。
A:基準血球計数の不正確さ(+/−2%に値する)
B:試験固定具の大きさ精度
C:血液サンプルでの実際の量又は保存剤のタイプのばらつき
D:温度補正の正確さ
E:有効期限がきれた血液サンプルの経時変化。
【0116】
基準血球計数が、血液パラメータに対する比較の唯一の出所であったため、及びそれが2%よりよくない再現性に値するために、これが超音波測定と基準血液パラメータとの間のばらつきの動力源のうちの1つとなった。自動計数のエラーが、本発明のエラーと関連しないとすると、2つの装置間で確認された3%のエラーは、本発明が絶対的な標準試料に関連して2%の精度を現実に達成していることを示す。この仮定は、自動計数でエラーの剰余が導入されることを示唆し、それは本発明よりよくない作動に値する。上述されたエラーの他の出所はすべてエラーのもっともらしいドライバーである。保存剤なして新鮮な血液を試験し、多数の参照(国際的な標準試料を含む)に対して比較された、改良された装置(寸法精度及び温度測定における高い精度)は、おそらく、表1に示されたように、読み取りの+/−1%の精度を示すであろう。
【0117】
実験結果
良好な相関関係が、HCTと音速及び減衰係数とを関連付けて、ならびにHGBと音速及び減衰係数とを関連付けて構築された。正確で、持ち運び可能で、頑丈な装置に適するHCT及びHGBの測定方法を構築する目標を、完全な成功をもって満足させる。
【0118】
本発明の方法は、音速(自動細胞カウンターに関連性のある)によってヘマトクリットの判定のための±3.0%の精度を有している。基準測定のエラーの低減及び新鮮な血液サンプルの使用は、保存剤及びサンプル寿命を含むエラーの多くの著しい出所を除去するであろう。最終的な装置の正確さは、標準試料によって測定される値の1%以内であると予想される。同様の精度が、減衰係数相関関係に基づいて達成することができる。本発明の装置は、他の持ち運び可能なHCTメーターよりかなり正確である。
【0119】
本発明によって、正確なヘマトクリット及びヘモグロビン濃度を測定することが、ちょうど1分間の所要時間で提供することができ、サンプルから結果まで、90%以上短縮される。このように、簡便で正確なHCT及びHGBの測定は、待ち時間なしで利用することができる。本発明は、民間人及び軍事の緊急医療環境の双方において有用である。本発明は、それが緊急の現場へ容易に運ばれるように、小型で、軽量で、自己完結型及び恒久的な装置として実現することができる。本発明は、劣悪な条件下での使用に対して迅速で、簡便である。最も重要なことは、正確さであり、そのため、医療関係者が確信をもって実行することができ、患者が緊急処置室へ移されると同時に、有用な情報を提供することができる。
【0120】
また、本発明は、個人の開業内科医の要求を満たす。その装置は、高い精度で、直ちに結果が必要な場合に、血液分析研究所と契約する代案を提供する。その装置の速度及び正確さは、1回の訪問の間に彼らが使用することができる情報を医師に提供し、その後の訪問及び電話での問い合わせの時間を節約することができる。
【0121】
以下の表2では、本発明と市販のヘマトクリット及びヘモグロビン装置との利点を比較する。
【0122】
【表2】

本発明は、以下の各領域において、従来の装置よりも顕著に改善されている。
【0123】
持ち運び性−装置中のコンポーネントは小型で、恒久的で、軽量である。目標重量は10ポンド未満である。それは自動細胞カウンターの重量の3分の1未満である。
【0124】
速度−単一の超音波パルス及び測定サイクルを直ちに取得し、ファームウェア信号分析はほとんど瞬時に結果を出すことを可能にする。目標サイクル時間は60秒未満であり、それは、血液研究所によって処理するために必要な最小10分間に対して90%の改善を示す。
【0125】
精度−既存の持ち運び可能な装置の2倍よりもよい。目標精度は±2%よりよい。
【0126】
本発明は、従来の超音波システムに対して、他に多数の優越性及び改良点がある。本発明は、TPCに適用することはできないが、HCT、HGB、RBC、MCV、MCHC及びMCVに適用可能である。これらの多数の測定を実行するために、本発明は、単なる音速ではなく、フライト・オブ・タイム、減衰、後方散乱、持続波応答、周波数応答及び屈折を含む種々の超音波測定が、好んで利用される。Schneditzらは、単一の直接的な経路(反射なし)に沿ったフライト・オブ・タイムを測定することによって音速の測定を実行したが、多数の音響及び経路を、本発明での組み合わせで分析することができる。本発明の1つの実施形態は、距離又は温度のような自由変数を除去するために多数の特性(音速及び減衰のような)を、望ましくは、組み合わせて利用する。
【0127】
本発明の別の利点は、皮膚を通して超音波を伝達することにより、インビボ又は非観血性の測定に適用することができるとことである。この適用のための本発明の特に適切な実施形態は、限定されることはないが、後方散乱法、あるいは、皮膚、脂質又は血管壁を通して進行するため、遅延を除去する多数のエコー又は信号パスのフライト・オブ・タイムを減じる方法を含む。有利なことに、本発明は、患者からの及びその患者への血液を連続的に循環させることのみに限定されるものではなく、また、本発明は、静止している血液を使用するのに適している。
【0128】
適切なことに、本発明は、多くの血液を必要としない。0.05ml以下(1滴)を用いる使用に適しており、一方、例えば、Schneditzらの装置は、500ml浴からの管を通して循環する推定血液60mlを用いる。これは、規模の大飛躍である(100〜1000倍容量)。本発明の他の実施形態は、サーモスタット制御浴(それは煩雑で非実用的である)及び温度計と血液との直接的な接触(それは洗浄及び汚染問題を導く)のような、温度測定の従来方法に関する問題を好ましく避ける。適切なことに、本発明は、例えば、容器の超音波測定、結果の漸近傾向に基づいた温度の評価、あるいは血液環境の温度測定、及び熱平衡に迅速に接近するための装置の設計を用いた温度の自動測定を可能にする。十分に説明された本発明をもって、ここに述べられるような発明の意図又は範囲からはずれることなく、種々の変更及び修正を行なうことができることは、当業者に明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0129】
内科医は、慣例的に診断のプロセスの一部として血液パラメータを試験する。全血球算定(CBC)は、これらの試験の最も一般的なものである。内科医は、血液の細胞成分の量及び状態を評価するために結果を用いる。全血球算定の要素のうちの3つを、サンプル中の赤血球のサイズ及び数について示すために使用する。ヘマトクリット、平均赤血球容積及び赤血球数である。さらに、4つの血液特性が、赤血球の酸素運搬能を示す。ヘモグロビン濃度及び総タンパク濃度、平均血球ヘモグロビン及び平均血球ヘモグロビン濃度である。現在、ヘマトクリット又はヘモグロビン濃度測定において、速度、精度及び持ち運び性を解決する装置及び方法はない。本発明は、超音波を用いて血液特性を測定する装置及び方法を提供する。本発明は、特に、血液のHCT、HGB、MCV、RBC、MCHC、MCH、又はTPCを測定するのに適しており、速度、精度及び持ち運び性の全てを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の電子機器のステージ機能を概略するシステム−レベルブロック図である。
【図2】超音波を用いた血液特性の測定の実行可能性を試験するための実験装置として使用された本発明の実施形態を示し、それは端部プレートのガイドとして機能する2本のレールを有するサンプル取り付具、トランスデューサ・キャリー、反射物及びサンプルチャンバを含む。
【図3】好ましいサンプルチャンバの実施形態を示し、それは、サンプルチャンバの他端の2段反射物に反射するほど十分に広いビームを発射するトランスディーサを含む。あるいは、2つの構成部品からなるトランスディーサが血液サンプルを通って2つの細いビームを発射してもよく、反射物14の段差からそれぞれ反射が戻ってくる。
【図4】電子機器のブロック図を示す。
【図5】予備的な後方散乱結果のグラフである。
【図6】予備的な音速結果のグラフである。
【図7】予備的な減衰結果のグラフである。
【図8】2つのトランスデューサが血液の対向する側に装備された血液容器の好ましい実施形態を示す。超音波による多くの経路の2、3の例を概略的に示す。受信した超音波は、医療的な結果を算出するために1又は複数の経路から分析することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプルを保持するサンプルチャンバ、
前記サンプルチャンバ内の血液に超音波パルスを発するための超音波パルスジェネレータ、
前記血液サンプルから1以上の反射超音波信号を送受信するための少なくとも1つのトランスデューサ、
超音波特性を測定するための受信機、
測定した物理的パラメータに基づいて、HCT、HGB、MCV、RBC、MCH、MCHC及びTPCからなる群からの血液の1以上の臨床パラメータを算出するプロセッサ
を含む血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項2】
受信機が、95%の信頼区間で読取値+/−7%より良好にHCT及び/又はHGBを測定する請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項3】
超音波特性が、さらに、(a)血液サンプルからの後方散乱、(b)血液サンプルを通る超音波パルスの減衰及び(c)血液サンプルを通る音速を含む群からの物理的パラメータを含む請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項4】
サンプルチャンバは血液サンプル1ml未満を含む大きさである請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項5】
超音波パルスジェネレータは、サンプルチャンバ内の血液に少なくとも6MHzの周波数の超音波信号を発する請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項6】
超音波パルスジェネレータはサンプルチャンバ内の血液に約10MHzの周波数の超音波信号を発する請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項7】
少なくとも1つのトランスディーサは、複数のエコー又は複数の信号パスをセンスし、受信機は、移行遅延又は他の遅延をなくすために、前記複数のエコー又は複数の信号のタイム・オブ・フライトを測定する請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項8】
さらに温度センサを含む請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項9】
温度センサが血液に直接接触しないものである請求項8の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項10】
プロセッサは、間接的な温度測定を補償し、該補償された温度測定に従って臨床パラメータを調節する請求項9の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項11】
サンプルチャンバが少なくとも1つの可撓性の壁を有する請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項12】
サンプルチャンバが血液サンプルを採取する採取手段を含む請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項13】
採取手段が毛細管血のサンプルを採取する請求項12の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項14】
サンプルチャンバ及び/又は採取手段が、毛管現象によって血液サンプルを採取する請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項15】
トランスディーサが、サンプルチャンバの壁に、直接的に音響結合されている請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項16】
トランスディーサがサンプルチャンバの壁に取り付けられてなる請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項17】
トランスディーサが、迷反射によって生じるコヒーレント・ノイズを回避する収束された又は細いビーム幅トランスディーサである請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。

【請求項18】
細いビーム幅トランスディーサが、超音波ジェネレータのそれに対応する搬送周波数を有してなる請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項19】
少なくとも1つのトランスディーサが一対のトランスディーサを含む請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項20】
受信機は、トランスディーサの励起から前記受信機で受信した信号の検出時間までの時間を直接測定することによって、血液サンプルを通った音速を測定する請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項21】
プロセッサは、フーリエ又は他のスペクトル変換を適用することによって血液の臨床パラメータを算出する請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項22】
持ち運び可能で、携帯用のバッテリーをさらに含む請求項1の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項23】
1ml未満の血液サンプルを含む大きさのサンプルチャンバ、
前記サンプルチャンバ内の血液に所定の周波数の超音波パルスを発するための超音波パルスジェネレータ、
前記血液サンプルに及び血液サンプルから、1以上の超音波信号及び反射信号それぞれを送受信するための少なくとも1つのトランスデューサ、
1以上の反射信号から物理的パラメータを測定するための受信機、及び
測定した物理的パラメータに基づいて、HCT、HGB、MCV、RBC、MCH、MCHC及びTPCからなる群からの血液の1以上の臨床パラメータを算出するプロセッサ
を含む血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項24】
超音波パルスジェネレータは、サンプルチャンバ内の血液に少なくとも6MHzの周波数の超音波信号を発する請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項25】
物理的パラメータが、(a)血液サンプルからの後方散乱、(b)血液サンプルを通る超音波パルスの減衰及び(c)血液サンプルを通る音速からなる群からのいずれか1つからなる1以上の反射信号から受信機よって測定される請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項26】
超音波パルスジェネレータはサンプルチャンバ内の血液に約10MHzの周波数の超音波信号を発する請求項25の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項27】
少なくとも1つのトランスディーサは、複数のエコー又は複数の信号パスをセンスし、受信機は、移行遅延又は他の遅延をなくすために、前記複数のエコー又は複数の信号のタイム・オブ・フライトを測定する請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項28】
さらに温度センサを含む請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項29】
温度センサが血液に直接接触しないものである請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項30】
プロセッサは、間接的な温度測定を補償し、該補償された温度測定に従って臨床パラメータを調節する請求項29の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項31】
サンプルチャンバが少なくとも1つの可撓性の壁を有する請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項32】
受信機が、95%の信頼区間で読取値+/−7%より良好にHCT及び/又はHGBを測定する請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項33】
サンプルチャンバ及び/又は採取手段が、毛管現象によって血液サンプルを採取する請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項34】
トランスディーサが、サンプルチャンバの壁に、直接的に音響結合されている請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項35】
トランスディーサが、迷反射によって生じるコヒーレント・ノイズを回避する収束された又は細いビーム幅トランスディーサである請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項36】
細いビーム幅トランスディーサが、超音波ジェネレータのそれに対応する搬送周波数を有してなる請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項36】
少なくとも1つのトランスディーサが一対のトランスディーサを含む請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項37】
受信機は、トランスディーサの励起から前記受信機で受信した信号の検出時間までの時間を直接測定することによって、血液サンプルを通った音速を測定する請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項38】
プロセッサは、フーリエ又は他のスペクトル変換を適用することによって血液の臨床パラメータを算出する請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項39】
持ち運び可能で、携帯用のバッテリーをさらに含む請求項23の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項40】
血液サンプルを保持するサンプルチャンバ、
前記サンプルチャンバ内の血液に超音波パルスを発するための超音波パルスジェネレータ、
前記血液サンプルから1以上の反射超音波信号を送信し、かつ血液サンプルから1以上の反射超音波信号を受信するための少なくとも1つの超音波トランスデューサ、
超音波信号から、物理的パラメータを測定するための受信機、及び
測定した物理的パラメータから血液サンプル中のヘモグロビン濃度を算出するプロセッサ
を含む血液のヘモグロビン濃度の測定装置。
【請求項41】
受信機が、(a)血液サンプルからの後方散乱、(b)血液サンプルを通る超音波パルスの減衰及び(c)血液サンプルを通る音速を含む群からのいずれか1つを測定する請求項40のヘモグロビン濃度の測定装置。
【請求項42】
受信機がサンプルチャンバ中の血液サンプルを通る音速を測定する請求項40のヘモグロビン濃度の測定装置。
【請求項43】
受信機が、95%の信頼区間で読取値+/−7%より良好にHCT及び/又はHGBを測定する請求項1のヘモグロビン濃度の測定装置。
【請求項44】
サンプルチャンバは血液サンプル1ml未満を含む大きさである請求項40のヘモグロビン濃度の測定装置。
【請求項45】
超音波パルスジェネレータは、サンプルチャンバ内の血液に少なくとも6MHzの周波数の超音波信号を発する請求項40のヘモグロビン濃度の測定装置。
【請求項46】
超音波パルスジェネレータはサンプルチャンバ内の血液に約10MHzの周波数の超音波信号を発する請求項40のヘモグロビン濃度の測定装置。
【請求項47】
少なくとも1つのトランスディーサは、複数のエコー又は複数の信号パスをセンスし、受信機は、移行遅延又は他の遅延をなくすために、前記複数のエコー又は複数の信号のタイム・オブ・フライトを測定する請求項40のヘモグロビン濃度の測定装置。
【請求項48】
さらに温度センサを含む請求項40の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項49】
温度センサが血液に直接接触しないものである請求項40の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項50】
プロセッサは、間接的な温度測定を補償し、該補償された温度測定に従って臨床パラメータを調節する請求項49の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項51】
サンプルチャンバが少なくとも1つの可撓性の壁を有する請求項40の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項52】
トランスディーサが、サンプルチャンバの壁に、直接的に音響結合されている請求項40の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項53】
細いビーム幅トランスディーサが、超音波ジェネレータのそれに対応する搬送周波数を有してなる請求項40の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項54】
少なくとも1つのトランスディーサが一対のトランスディーサを含む請求項40の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項55】
受信機は、トランスディーサの励起から前記受信機で受信した信号の検出時間までの時間を直接測定することによって、血液サンプルを通った音速を測定する請求項40の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項56】
プロセッサは、フーリエ又は他のスペクトル変換を適用することによって血液の臨床パラメータを算出する請求項40の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項57】
持ち運び可能で、携帯用のバッテリーをさらに含む請求項40の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項58】
血液サンプルを保持するサンプルチャンバ、
前記サンプルチャンバ内の血液に超音波パルスを発するための超音波パルスジェネレータ、
前記血液サンプルから1以上の反射超音波信号を送受信するための少なくとも1つのトランスデューサ、
超音波信号から物理的パラメータを測定するための受信機、
測定した物理的パラメータから血液サンプル中のヘマトクリットを算出するプロセッサ
を含む血液のヘマトクリットの測定装置。
【請求項59】
受信機が、(a)血液サンプルからの後方散乱、(b)血液サンプルを通る超音波パルスの減衰及び(c)血液サンプルを通る音速を含む群からのいずれか1つを測定する請求項58の血液のヘマトクリットの測定装置。
【請求項60】
受信機が、サンプルチャンバ中の血液サンプルを通して音速を測定する請求項58の血液のヘマトクリットの測定装置。
【請求項61】
受信機が、95%の信頼区間で読取値+/−7%より良好にHCT及び/又はHGBを測定する請求項58の血液のヘマトクリットの測定装置。
【請求項62】
サンプルチャンバは血液サンプル1ml未満を含む大きさである請求項58の血液のヘマトクリットの測定装置。
【請求項63】
超音波パルスジェネレータは、サンプルチャンバ内の血液に少なくとも6MHzの周波数の超音波信号を発する請求項58の血液のヘマトクリットの測定装置。
【請求項64】
超音波パルスジェネレータはサンプルチャンバ内の血液に約10MHzの周波数の超音波信号を発する請求項58の血液のヘマトクリットの測定装置。
【請求項65】
少なくとも1つのトランスディーサは、複数のエコー又は複数の信号パスをセンスし、受信機は、移行遅延又は他の遅延をなくすために、前記複数のエコー又は複数の信号のタイム・オブ・フライトを測定する請求項58の血液のヘマトクリットの測定装置。
【請求項66】
さらに温度センサを含む請求項58の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項67】
温度センサが血液に直接接触しないものである請求項65の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項68】
プロセッサは、間接的な温度測定を補償し、該補償された温度測定に従って臨床パラメータを調節する請求項65の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項69】
サンプルチャンバが少なくとも1つの可撓性の壁を有する請求項58の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項70】
トランスディーサが、サンプルチャンバの壁に、直接的に音響結合されている請求項57の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項71】
細いビーム幅トランスディーサが、超音波ジェネレータのそれに対応する搬送周波数を有してなる請求項58の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項72】
少なくとも1つのトランスディーサが一対のトランスディーサを含む請求項58の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項73】
受信機は、トランスディーサの励起から前記受信機で受信した信号の検出時間までの時間を直接測定することによって、血液サンプルを通った音速を測定する請求項58の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項74】
プロセッサは、フーリエ又は他のスペクトル変換を適用することによって血液の臨床パラメータを算出する請求項58の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項75】
持ち運び可能で、携帯用のバッテリーをさらに含む請求項58の血液の臨床パラメータの測定装置。
【請求項76】
さらに、毛細管血のサンプルを採取する採取手段を含む請求項58の血液の臨床パラメータの測定装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−506607(P2006−506607A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−531591(P2004−531591)
【出願日】平成15年8月27日(2003.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2003/026889
【国際公開番号】WO2004/020112
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(305038935)セパレーション テクノロジー,インコーポレーティッド (1)
【出願人】(305038946)
【出願人】(305038957)
【出願人】(305038968)
【Fターム(参考)】