説明

走査光学装置及び画像形成装置

【課題】本発明は、連続記録等によるレーザ光束の感光ドラムへの照射位置のズレを抑制できる走査光学装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る走査光学装置の代表的な構成は、レーザ光束を発する半導体レーザ101a、101bと、半導体レーザ101a、101bから発せられたレーザ光束を偏向する偏向器と、偏向器で偏向されたレーザ光束を感光ドラム1上に走査する少なくとも一枚以上の走査レンズ103a、103b、105a、105bと、を備えた走査光学装置であって、感光ドラム1に最も近い走査レンズ105a、105bの位置を調整することによって、装置の使用によって生じるレーザ光束の感光ドラム1への照射位置のズレを補正する位置に、照射位置を調整することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームプリンタやデジタル複写機等の電子写真方式を用いた画像形成装置および該画像形成装置に用いられる走査光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、レーザビームプリンタ(LBP)やデジタル複写機等に用いられる査光学装置においては、画像信号に応じて光源手段から光変調されて出射した向させ、fθ特性を有する走査光学素子(結像素子)によって感光性を有する記録媒体(感光ドラム)面上にスポット状に集束させ、その記録媒体面上を光走査して画像記録を行っている。
【0003】
図13は特許文献1(特開2003−140071)にて開示されるこの種の従来の走査光学装置の主要部概略図である。図13に示す走査光学装置において、光源手段91から出射した発散光束はコリメータレンズ92により略平行光束とされる。そして、絞り93によって該光束(光量)を制限して、副走査方向にのみ所定の屈折力を有するシリンダレンズ(シリンドリカルレンズ)94に入射する。
【0004】
シリンダレンズ94に入射した略平行光束は、主走査断面内においてはそのまま略平行光束の状態で出射し、副走査断面内においては集束して、回転多面鏡(ポリゴンミラー)から成る偏向器95の偏向面(反射面)95aにほぼ線像として結像する。
【0005】
偏向器95の偏向面95aで偏向反射された光束は、fθ特性を有する走査光学素子(fθレンズ)96を介して、被走査面としての感光ドラム面98上に導光し、偏向器95を矢印A方向に回転させることによって感光ドラム面98上を矢印B方向に光走査する。これによって、感光ドラム面98上に画像記録を行っている。
【0006】
また、最近は、複数(例えば4個)の走査光学装置を有するカラー画像形成装置が提案されている(特許文献2、3参照)。また、一つの走査光学装置で各色に対応した複数のレーザ光束を出射する走査光学装置を備えた画像形成装置等が提案されている(特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2003−140071号公報
【特許文献2】特開平6−183056号公報
【特許文献3】特開平10−186254号公報
【特許文献4】特開2003−140070号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のカラー画像形成装置における走査光学装置は、筐体の内部に配置された偏向器を駆動すると、回転部(コイル)と駆動回路(駆動IC)がそれぞれ発熱し、筐体や光学素子に熱が伝達してしまう。また、半導体レーザの駆動によっても、同じくレーザの発熱や駆動回路の発熱が筐体やレーザホルダー、光学素子等に熱が伝達してしまう。その結果、筐体や光学素子の熱膨張が発生し、レーザ光束の感光ドラムへの照射位置のズレを起こしてしまう。
【0009】
また、走査光学装置を画像形成装置に組み付ける際には、板金やモールドによって構成された画像形成装置内のフレームに、ビスを用いて固定されるのが一般的である。しかし、そのビスの種類や位置、点数および締め付けトルクによって、走査光学装置の筐体を変形させ、レーザ光束の像担持体ドラムへの照射位置のズレを起こしてしまう。
そこで本発明は、連続記録等によるレーザ光束の感光ドラムへの照射位置のズレを抑制できる走査光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る走査光学装置の代表的な構成は、レーザ光束を発するレーザ光源と、該レーザ光源から発せられたレーザ光束を偏向する偏向器と、該偏向器で偏向されたレーザ光束を像担持体上に走査する少なくとも一枚以上の走査レンズと、を備えた走査光学装置であって、前記像担持体に最も近い前記走査レンズの位置を調整することによって、装置の使用によって生じるレーザ光束の前記像担持体への照射位置のズレを補正する位置に、前記照射位置を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本出願に係る発明によれば、走査光学装置におけるレーザ光束の像担持体に対する位置(照射位置)をあらかじめ測定して分かっている変動量に基づいて調整しておくことによって、駆動中の照射位置の変動をなるべく小さく抑えることができる。特にカラー画像形成装置のように複数の色を重ね合わせて画像を形成する装置においては、その色ズレを抑えることができ、高精度な走査線の重ね合わせが可能になる。その結果、極めて簡易な方法で画像の品質劣化を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る走査光学装置及び画像形成装置の実施形態について、図を用いて説明する。
【0013】
(画像形成装置)
図1は本実施形態に係るカラー画像形成装置の構成図である。図1に示すように、画像形成装置上部に、走査光学装置51、52が配置されている。走査光学装置51、52の下方には、像担持体としての感光ドラム1C、1M、1Y、1BKが設けられている。
【0014】
画像情報に基づいて各々光変調されたレーザ光束(レーザビーム)LC、LM、LY、LBKが走査光学装置51、52から出射し、各々対応する像担持体としての感光ドラム1C、1M、1Y、1BK面上を照射して潜像を形成する。
【0015】
この潜像は、1次帯電器2C、2M、2Y、2BKによって各々一様に帯電している感光ドラム1C、1M、1Y、1BK面上に形成される。そして、画像形成手段である現像器4C、4M、4Y、4BKによって各々、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの画像に可視像化される。
【0016】
一方、給送トレイ21上に積載された転写材Pは、給送ローラ22によって1枚ずつ順に給送され、レジストローラ23によって画像の書き出しタイミングに同期をとって転写ベルト7上に送り出される。駆動ローラ24は、回転ムラの小さな駆動モータ(図示しない)と接続しており、転写ベルト7の送りを精度よく行っている。
【0017】
感光ドラム1C、1M、1Y、1BK面上に可視像化されたシアンの画像、マゼンダの画像、イエローの画像、ブラックの画像が、転写ベルト7上を搬送されてくる転写材Pに転写ローラ5C、5M、5Y、5BKによって順に静電転写されることによってカラー画像が形成される。
【0018】
この後、感光ドラム1C、1M、1Y、1BK面上に残っている残留トナーは、クリーナ6C、6M、6Y、6BKによって除去されて、次のカラー画像を形成するために再度1次帯電器2C、2M、2Y、2BKによって一様に帯電される。
【0019】
その後、転写材Pは、転写材P上に形成されたカラー画像が定着器25によって熱定着された後、排出ローラ26などによって搬送されて装置外に出力される。
【0020】
(走査光学装置)
図2は走査光学装置の構成図である。図2に示すように、走査光学装置51、52は同一の構成であるので、走査光学装置51を例にとり説明する。走査光学装置51は、レーザ光束を発するレーザ光源である半導体レーザ101a、101bと、半導体レーザ101a、101bから発せられたレーザ光束を偏向する偏向器と、該偏向器で偏向されたレーザ光束を感光ドラム1上に走査する少なくとも一枚以上の走査レンズ103a、103b、105a、105bと、を備えている。
【0021】
走査光学装置51では、半導体レーザ101a、101bから出射されたレーザ光束は、回転多面鏡であるポリゴンミラー102を備えた偏向器によってそれぞれ異なる方向に偏向、走査される。ポリゴンミラー102によって偏向、走査されたレーザ光束B1、B2は、それぞれ1枚目の走査レンズ103a、103bを透過し、折り返しミラー104a、104bによって方向を変えられて、2枚目の走査レンズ105a、105bを透過し、感光ドラム1上に結像する。このような走査光学系は光学箱106に内包されている。
【0022】
そして、このような走査光学装置51、52を2個並列に並べることで、4つの感光ドラム1C〜1BK上に走査光を導いている。
【0023】
図3は2枚目の走査レンズ105a、105bをレーザ光束B1、B2の出射される側から見た図である。図3に示すように、感光ドラム1に最も近い走査レンズ105a、105bの位置を調整することによって、感光ドラム1に対するレーザ光束の位置を、特定の方向に特定の値だけずらした位置に調整する。
【0024】
すなわち、感光ドラム1に最も近い走査レンズ105a、105bの位置を調整することによって、装置の使用によって生じるレーザ光束の感光ドラム1への照射位置のズレを補正する位置に、照射位置を調整する。
【0025】
具体的には、最も感光ドラム1に近い側の走査レンズ105a、105bは、レーザ光束を走査する方向である主走査方向(矢印X方向)、主走査方向と直交する副走査方向(矢印Y方向)、X−Y平面内における回転方向(矢印θ方向)に調整される。
【0026】
これにより、走査光学装置51、52の各レーザ光束B1、B2の4本の走査線を重ね合わせたときの位置ズレを補正することが可能である。2枚目の走査レンズ105a、105bは、調整後、光学箱106に固定される。
【0027】
このように、走査レンズ105a、105bは、光学箱106に設けられた取り付け基準面内で、移動可能かつ接着固定可能である。このため、カラー画像形成装置において、高精度な走査線の重ね合わせができる。
【0028】
ここで、2枚目の走査レンズ105a、105bをX、Y、θ方向に調整する方法について説明する。図4(a)、図4(b)に示すように、2枚目の走査レンズ105a、105bを副走査方向(矢印Y方向)に移動することで、感光ドラム1上の走査線L1の位置(副走査方向における照射位置)を調整することができる。
【0029】
また、図5(a)、図5(b)に示すように、2枚目の走査レンズ105a、105bを主走査方向(矢印X方向)に移動することで、感光ドラム1上の走査線L1の片倍率差(主走査方向における照射位置)を調整することができる。
【0030】
さらに、図6(a)、図6(b)に示すように、2枚目の走査レンズ105a、105bをX−Y平面内における回転方向(矢印θ方向)に移動(回転)することで、感光ドラム1上の走査線L1の傾きを調整することができる。
【0031】
以上、図4〜図6に示すような調整を行い、感光ドラム1C〜1BK上の4つの走査線の相対差を少なくすることができ、カラー画像の品位を向上させることができる。
【0032】
(調整値)
ここで、走査レンズ105a、105bの調整値について、図7〜図10を用いて説明する。まず、筐体(光学箱106)の内部に配置された偏向器の駆動によって、ポリゴンミラー102を回転させる回転部(コイル)と駆動回路(駆動IC)がそれぞれ発熱し、筐体や光学素子に熱が伝達してしまう。また半導体レーザ101a、101bの駆動によっても同じくレーザの発熱や駆動回路の発熱が筐体やレーザホルダー、光学素子等に熱が伝達してしまう。その結果、筐体や光学素子の熱膨張が発生し、レーザ光束の副走査方向(矢印Y方向)、主走査方向(矢印X方向)、レーザ光束の光軸に対し垂直な面内での回転方向(X−Y平面内における回転方向(矢印θ方向))に照射位置ズレが発生してしまうことがある。
【0033】
そこで、走査光学装置51の駆動時間に対して照射位置が変化する方向と逆方向に、その変化量の漸近値の略半分だけ、照射位置をずらした位置に調整する。以下その調整値について具体的に説明する。
【0034】
(Y方向の位置調整)
まず、走査レンズ105a、105bの位置を副走査方向(矢印Y方向)に調整し、レーザ光束(走査線L1)を、図7(a)のような初期設定位置(画像の副走査方向位置が設計値にくる位置)に調整し、連続駆動(記録)する。この場合、上述のごとく、レーザ光束の副走査方向(矢印Y方向)の照射位置ズレが発生してしまう。
【0035】
従って、図8(a)に示すように、走査レンズ105a側において、記録開始直後の画像におけるレジストは良いが、連続記録するに従って、画像の副走査方向の位置がずれていく。そして、最終的には、漸近値Ra=60μmまで、照射位置が副走査方向に変動してしまう。同様に、走査レンズ105b側においては、最終的には漸近値Rb=−50μmまで、照射位置が副走査方向に変動してしまう。
【0036】
そこで、本実施形態においては、図7(b)、図7(c)に示すように、あらかじめ漸近値Raの半分の正負逆である−30μmの位置にレーザ光束がくるように、走査レンズ105aを、調整しておく。これによって、図8(c)に示すように、記録開始から連続記録終盤にかけて、照射位置の副走査方向の変動を絶対値で30μm以下に抑えることができる。
【0037】
また、同様に漸近値Rbの半分の正負逆である25μmの位置にレーザ光束がくるように走査レンズ105bを調整しておく。これによって、図8(b)に示すように、記録開始から連続記録終盤にかけて、照射位置の副走査方向の変動を絶対値で25μm以下の変動に抑えることができる。
【0038】
その結果、走査レンズ105a、105b側で相対差が110μmあった走査線L1の副走査方向の位置ズレが55μm以内におさまることになる。これにより、各色に対応したレジ位置および、画像を重ね合わせた時の副走査方向の色ズレを、連続記録した場合でも、半分に抑えるこができる。
【0039】
(X方向の位置調整)
次に、走査レンズ105a、105bの位置を主走査方向(矢印X方向)の位置を調整し、レーザ光束(走査線L1)を、図9(a)のような初期設定位置(画像の副走査方向位置が設計値にくる位置)に調整し、連続駆動(記録)する。この場合、上述のごとく、レーザ光束の主走査方向(矢印X方向)の照射位置ズレ(片倍率のズレ)が発生してしまう。
【0040】
従って、図10(a)に示すように、走査レンズ105a側において、記録開始直後の画像における片倍率は良いが、連続記録するに従って、画像の主走査方向の片倍率がずれていく。そして、最終的には、漸近値Ja=20μmまで、照射位置が主走査方向に変動してしまう。同様に、走査レンズ105b側も、最終的には漸近値Jb=20μmまで、照射位置が主走査方向に変動してしまう。
【0041】
そこで、本実施形態においては、図9(b)に示すように、あらかじめ漸近値Jaの半分の正負逆である片倍率−10μmの位置にレーザ光束がくるように、走査レンズ105aを調整しておく。これによって、図10(b)に示すように、記録開始から連続記録終盤にかけて、照射位置の主走査方向の変動量を最大で±10μm、相対差を最大で20μmに抑えることができる。
【0042】
また同様に、漸近値Jbの半分の正負逆である−10μmの位置にレーザ光束がくるように走査レンズ105bを調整しておく。これによって、図10(b)に示すように、記録開始から連続記録終盤にかけて、照射位置の主走査方向の変動量を最大で±10μm、相対差を最大で20μmに抑えることができる。
【0043】
その結果、主走査方向の画像のズレを、連続記録した場合でも、半分に抑えることができる。
【0044】
(θ方向の位置調整)
次に、走査レンズ105a、105bの位置をX−Y平面内における回転方向(矢印θ方向)の位置を調整し、レーザ光束(走査線L1)を、図11(a)のような初期設定位置(画像の副走査方向位置が設計値にくる位置)に調整し、連続駆動(記録)する。この場合、上述のごとく、矢印θ方向に照射位置ズレが発生する。すなわち、走査線L1の主走査方向両端が副走査方向にずれ、照射位置の左右ズレ(傾きのズレ)が発生してしまう。
【0045】
従って、図12(a)に示すように、走査レンズ105a側において、記録開始直後の画像における傾きは良いが、連続記録するに従って、画像の傾きが大きくなり、最終的には、傾き(照射位置の主走査方向両端の副走査方向のズレ)が漸近値Ka=−20μmとなるまで傾いてしまう。同様に、走査レンズ105b側においても、最終的には漸近値Kb=20μmまで、照射位置が変動してしまう。
【0046】
そこで、本実施形態においては、図11(b)、図11(c)に示すように、あらかじめ漸近値Kaの半分の正負逆である傾き10μmの位置にレーザ光束(走査線L1)がくるように走査レンズ105aを調整しておく。これによって、図12(b)に示すように、記録開始から連続記録終盤にかけて、照射位置の傾きの変動量が最大で±10μm、相対差を最大で20μmに抑えることができる。
【0047】
また同様に、漸近値Kbの半分の正負逆である−10μmの位置にレーザ光束がくるように走査レンズ105bを調整しておく。これによって、図12(b)に示すように、記録開始から連続記録終盤にかけて、照射位置の傾きの変動量が最大で±10μm、相対差を最大で20μmに抑えることができる。
【0048】
その結果、主走査方向両端における副走査方向の照射位置の左右差を抑えるとともに、カラー画像の場合の、θ方向の色ズレを抑制することができる。
【0049】
このように、感光ドラム1に最も近い走査レンズ105a、105bを、X、Y、θ方向に調整した後に接着等の手段によって光学箱106に対して固定する。
【0050】
また、本実施形態では、X、Y、θ方向に調整する構成について説明したが、本発明は、かかる構成に限定されるものではなく、いずれか1つの方向、いずれか2つの方向等、全ての方向に調整しない構成にも適用できる。
【0051】
尚、図1に示す走査光学装置51、52は、画像形成装置内において、板金によって形成されたフレーム部材にビスによって組みつけられている(不図示)。このフレーム部材は、一般的に各固定点によって形成される平面の精度が0.1〜0.5mm程度である。従って、走査光学装置51、52単独で調整しても、画像形成装置内においては、組付け時に走査光学装置51、52の変形が起こり、レーザ光束の感光ドラム1Bk、1M、1Y、1Cへの照射位置のズレを起こしてしまう。
【0052】
そこで、ビスの種類や取り付け位置、取り付け点数および締め付けトルクの設定に応じて決まるレーザ光束の感光ドラム1への照射位置の変化量分だけ、あらかじめ逆符号に調整しておくことによって、画像形成装置への取り付け時の照射ズレを防止することができる。
【0053】
そして、上記連続駆動等の熱による照射位置の変動や、取り付けによる照射位置の変動を考慮して、走査レンズ105a、105bをX、Y、θ方向に調整することもできる。
【0054】
尚、本実施形態では、1つのポリゴンミラー102によって2系統の走査線を得ることのできる走査光学装置51、52について記載したが、1つのポリゴンミラーで1つの走査線を得ることができる走査光学装置や1つのポリゴンミラーによって1つの走査線を得る走査光学装置を4対並列させてカラー画像を得る装置においても同様の方法を用いることができる。
【0055】
以上説明したように、本出願に係る発明によれば、走査光学装置におけるレーザ光束の像担持体に対する位置(照射位置)をあらかじめ測定して分かっている変動量に基づいて調整しておくことによって、駆動中の照射位置の変動をなるべく小さく抑えることができる。特にカラー画像形成装置のように複数の色を重ね合わせて画像を形成する装置においては、その色ズレを抑えることができ、高精度な走査線の重ね合わせが可能になる。その結果、極めて簡易な方法で画像の品質劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態に係る走査光学装置を備えた画像形装置の構成図である。
【図2】(a)走査光学装置の上視図である。(b)走査光学装置の側断面図である。
【図3】走査線の調整を説明する図である。
【図4】Y方向における走査線の調整を説明する図である。
【図5】X方向における走査線の調整を説明する図である。
【図6】θ方向における走査線の調整を説明する図である。
【図7】Y方向における走査線の調整を説明する図である。
【図8】Y方向における照射位置の変動を示す図である。
【図9】X方向における走査線の調整を説明する図である。
【図10】X方向における照射位置の変動を示す図である。
【図11】θ方向における走査線の調整を説明する図である。
【図12】θ方向における照射位置の変動を示す図である。
【図13】従来例における走査光学装置の構成図である。
【符号の説明】
【0057】
B1、B2、L…レーザ光束、L1…走査線、P…転写材、1…感光ドラム(像担持体に対応)、2…1次帯電器、4…現像器(画像形成手段に対応)、7…転写ベルト、21…給送トレイ、22…給送ローラ、23…レジストローラ、24…駆動ローラ、25…定着器、26…排出ローラ、51、52…走査光学装置、101a、101b…半導体レーザ(レーザ光源に対応)、102…ポリゴンミラー、103a、103b…走査レンズ、104a、104b…折り返しミラー、105a、105b…走査レンズ、106…光学箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光束を発するレーザ光源と、該レーザ光源から発せられたレーザ光束を偏向する偏向器と、該偏向器で偏向されたレーザ光束を像担持体上に走査する少なくとも一枚以上の走査レンズと、を備えた走査光学装置であって、
前記像担持体に最も近い前記走査レンズの位置を調整することによって、装置の使用によって生じるレーザ光束の前記像担持体への照射位置のズレを補正する位置に、前記照射位置を調整することを特徴とする走査光学装置。
【請求項2】
前記走査光学装置の駆動時間に対して前記照射位置が変化する方向と逆方向に、その変化量の漸近値の略半分だけ、前記照射位置をずらした位置に調整することを特徴とする請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項3】
前記走査光学装置の駆動時間に対して前記照射位置が変化する方向が、前記レーザ光束の副走査方向であることを特徴とする請求項2に記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記走査光学装置の駆動時間に対して前記照射位置が変化する方向が、前記レーザ光束の主走査方向であることを特徴とする請求項2に記載の走査光学装置。
【請求項5】
前記走査光学装置の駆動時間に対して前記照射位置が変化する方向が、前記レーザ光束の光軸に対し垂直な面内での回転方向であることを特徴とする請求項2に記載の走査光学装置。
【請求項6】
請求項3〜請求項5に記載の調整のうち、少なくとも2つ以上を同時に行うことを特徴とする請求項2に記載の走査光学装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の走査光学装置と、該走査光学装置から出射されたレーザ光束を、導光して走査する各々対応する像担持体と、該像担持体上形成された潜像を現像してカラー画像を形成する画像形成手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−178281(P2006−178281A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373063(P2004−373063)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】