説明

走行散布機

【課題】車速に連動して、しかも安定した状態で繰出ロールから粒状物(肥料)を散布することができる走行散布機を提供する。
【解決手段】粉粒体散布装置の肥料を繰り出す繰出ロールを駆動モータで駆動させて圃場に肥料を散布するとき、繰出ロールの回転数を車速に連動させ、かつ繰出ロールの駆動モータの回転数が設定上限値を超えた場合、自動的に車速を減速し、駆動モータの制御可能な回転数の範囲内に入るように制御する制御装置を備えた走行散布機であるので設定した通りに均一に肥料散布できる。また、繰出ロールの駆動モータの回転数が設定上限値を超えた場合、自動的に車速を減速し、駆動モータの制御可能な回転数の範囲内に入るので、オペレータはすぐに駆動モータの制御可能な回転数の領域外の作業速にあったことを認識できるので、すばやく対処できるメリットがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タンクに収容された粒状肥料や除草剤等の粉粒物を繰出装置で繰り出しながら、噴管によって圃場に散布する走行散布機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機体の前部に散布ブームを左右ローリング自在に支持して設け、この散布ブームから散布する粒状物の散布方向を車幅方向に対して前側又は後側に傾斜させることができる走行散布機が知られている。
【0003】
特許文献1記載の発明は、機体の走行車速に応じて粒状物を複数の繰出ロールを使い分けて散布する走行散布機において、散布中の粒状物の設定量が変わっても制限範囲内にあるときは同じ繰出ロールを使用するというものである。
【0004】
また特許文献2には、機体の走行と粒状物繰出ロールの駆動モータの回転駆動を連携させると共に、機体停止時に前記モータの回転駆動のみを行うことができるようにしておき、機体の走行開始と同時に適正な薬剤散布を行うことができるという走行散布機が開示されている。
【0005】
特許文献3記載の発明は、機体の車速が低高速基準を逸脱するときに、散布を停止するか最低基準散布圧力又は最大基準散布圧力を保持しながら散布を継続する走行散布機の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−220183号公報
【特許文献2】特許第3438194号公報
【特許文献3】特開2002−35662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1〜3記載の発明では、車速に連動して繰出ロールの回転数を制御している。例えば繰出ロールの回転数を下限回転10rpm(モータ回転数200rpm)〜上限回転80rpm(モータ回転数1600rpm)の範囲で設定しているが、算出繰出ロール回転数が、この下限回転数以下(例えば8rpm)であったり、上限回転数以上(例えば85rpm)となると、上・下限の設定回転数で作業を行い、繰出ロール回転が不安定にならない範囲で肥料などの粒状物を繰出す作業を行う構成としている。また同時にインジケータには警報出力とともに車速を上げ、又は下げを促す表示をすることが記載されている。
【0008】
そこで本発明の課題は、車速に連動して、しかも安定した状態で繰出ロールから粒状物を散布することができる車速に連動して粒状物を散布する走行散布機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記本発明の課題を解決するために次のような解決手段を採用する。
すなわち、請求項1記載の発明は、回転することで粉粒体を繰り出す繰出ロール(20)と該繰出ロール(20)を駆動する駆動モータ(25)と繰出ロール(20)から繰り出された粉粒体を散布する機体左右方向に伸びた粉粒体噴管(14)とを有する粉粒体散布装置(1)と、機体の走行速度を検出する車速センサ(37)とを備えた走行散布機において、繰出ロール(20)の回転数を(粉粒体繰出量を)車速センサ(37)で測定される車速に連動させ、かつ繰出ロール(20)の駆動モータ(25)の回転数が設定上限値を超えた場合、自動的に車速を減速し、駆動モータ(25)の制御可能な回転数の範囲内に入るように制御する制御装置(15,19)を備えた走行散布機である。
【0010】
請求項2記載の発明は、静油圧式無段変速装置(64)と、該静油圧式無段変速装置(64)のトラニオン軸(76)を作動する変速操作具(68)と、トラニオン軸(76)を減速側に作動させるトラニオンモータ(66)を設け、制御装置(15,19)の指令によりトラニオンモータ(66)がトラニオン軸(76)を減速側へ作動させたときには変速操作具(68)の操作位置を変えず、また制御装置(15,19)の指令によりトラニオンモータ(66)がトラニオン軸(76)を減速側への作動を停止したときは変速操作具(68)の操作位置にトラニオン軸(76)を作動させる変速連動機構(R)を設けた請求項1記載の走行散布機である。
【0011】
請求項3記載の発明は、粉粒体散布装置(1)からの粉粒体散布作業開始直後は粉粒体が粉粒体噴管(14)から散布開始されるまでは、規定の低速の走行速度で機体を走行させる走行制御を行う制御装置(15,19)を備えた請求項1記載に走行散布機である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、設定した通りに均一に粉粒体を散布できる。また、繰出ロール20の駆動モータ25の回転数が設定上限値を超えた場合、自動的に車速を減速し、駆動モータ25の制御可能な回転数の範囲内に入るので、オペレータはすぐに駆動モータ25の制御可能な回転数の領域外の作業速にあったことを認識でき、すばやく対処できるメリットがある。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、粉粒体を散布する作業時の走行散布機の走行速度が早すぎて規定値を超えたとき、自動的にHST64を減速側へ作動させるように変速操作具68の操作位置を変えずにトラニオンモータ66によりトラニオン軸35を減速側に作動させることができ、トラニオンモータ66がトラニオン軸35の減速側への作動を停止したときには変速操作具68の操作位置にトラニオン軸35を作動させることができ、異常に気づくタイミングが遅れて粉粒体の散布ムラを防ぐことができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、粉粒体散布装置1からの粉粒体散布作業開始直後は粉粒体が粉粒体噴管14から散布開始されるまでは、走行散布機は、規定の低速の走行速度で走行させることで、走行中であるのに粉粒体の無散布領域が生じるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態による散布装置を備えた走行散布機の平面図である。
【図2】図1の散布装置を備えた走行散布機の側面図である。
【図3】図1の走行散布機の散布装置の左右一対のタンクの背面図(図3(イ))と平面図(一部繰出部断面視図)(図3(ロ))と斜視図(図3(ハ))である。
【図4】図1の散布装置を備えた走行散布機の背面図である。
【図5】本発明の肥料散布装置の制御ブロック図である。
【図6】図1の走行散布機のGPS受信機と本機コントローラの制御ブロック図である。
【図7】図1の走行散布機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図8】図1の走行散布機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図9】図1の走行散布機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図10】図1の走行散布機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図11】図1の走行散布機の肥料散布制御のフローチャートである。
【図12】図1の走行散布機のHSTの変速連動機構を示す機体の一部側面図である。
【図13】図1の走行散布機のHSTの変速連動機構を示す機体の一部背面図である。
【図14】図1の走行散布機の一部を破断した車速減速アームの操作連動機構を示す平面図である。
【図15】図1の走行散布機の変速連動機構の分解斜視図である。
【図16】図1の走行散布機の作業速が早すぎたて規定値を超えたとき、自動的にHSTを減速側へ作動させるよう制御するフローチャートである。
【図17】図1の走行散布機が規定の作業速で作業開始しても作業開始直後は、いったん所定車速まで減速するようにした構成のフローチャートである。
【図18】図1の走行散布機の粒状体繰出装置の要部を示し、図18(a)は一部が縦断面である繰出装置の側面図、図18(b)は図18(a)の矢印A方向から見た図、図18(c)は第1ロールケースの上面図である。
【図19】図1の走行散布機の一部が縦断面である繰出装置の側面図(図19(a))、第2ロールケースの上面図(図19(b))、仕切板の斜視図(図19(c))である。
【図20】図19(a)のB−B線(繰出ロールを内蔵した場合)の一部が縦断面である繰出装置の側面図である。
【図21】図19の繰出装置の第2ロールケースと駆動モータを分解して示した側面図である。
【図22】図19のB−B線の断面図(繰出ロールを内蔵した場合))の一部が縦断面である繰出装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいてこの発明の実施態様について説明する。
まず、図1の平面図と図2の側面図に示すように、粒状物散布装置1(以下、粒状物として肥料を例に説明するので肥料散布装置ということがある)は、走行散布機2の後部に装着される。前部にエンジン3を搭載し、エンジン回転を適宜に変速して前後車輪4,5を伝動する走行散布機2の機体の後部には、左右一対の肥料タンク10,10を装着する。上記粒状物散布装置1は、該肥料タンク10、繰出装置11、送風装置12、第1噴管13、第2噴管(ブーム)14、制御部15(図5)等からなる。但し図2には第2噴管14の図示を省略している。
【0017】
図3に左右一対の肥料タンク10,10の背面図(図3(イ))と平面図(一部繰出部断面視図)(図3(ロ))と斜視図(図3(ハ))を示す。また、図4には粒状施肥装置を装着した走行散布機2の背面図を示す。前記一対の肥料タンク10,10のそれぞれに該肥料タンク10から所定量の散布粒剤を繰出す繰出装置11が設けられる。繰出装置11は複数形態のロール20をロール駆動軸21に構成する公知の構成であり、繰出凹部を同じ容量として周方向に複数形成している。第1ロール20a及び第2ロール20bは軸長が長く、第3ロール20c及び第4ロール20dは軸長が短い構成としている。
【0018】
そして、ロール駆動軸21が正転駆動するときは、ワンウェイクラッチ22,22の連動作用をもって第1,第4ロール20a,20dが駆動されるため、第1〜第4ロール20a〜20dの全部が駆動される構成である。逆にロール駆動軸21が逆転駆動するときは、第1,第4ロール20a,20dは停止し、第2ロール20b,又は第3ロール20cが駆動される。
【0019】
一方、前記肥料タンク10内は平面視コ型の仕切壁10aを備え、繰出装置11の第1ロール20a及び第2ロール20bに対応する区画A(図3(ハ))と第3ロール20c及び第4ロール20dに対応する区画B(図3(ハ))とに前記仕切壁10aで区分される構成となっている。区画Aは一般的な施肥粒剤用として、区画Bは少量散布が要求される除草剤用として使用されるよう設けられている。従って、ロール駆動軸21が正転するときは、第1ロール20a及び第2ロール20bが回転連動し区画Aの粒剤が多量繰出状態とされ、逆転するときは区画Aの第2ロール20bのみの繰出し状態となる。なお、区画Bに除草剤を投入するときは、この正逆で繰出量が異なり特に逆転連動によって第3ロール20cのみの少量散布がなされる。
左右一対のロール駆動軸21,21はそれぞれに設けられたロール駆動モータ2525L,25Rにて独立して駆動回転される構成であり、これらモータ25L,25Rは正・逆転切り替え連動する構成である。
【0020】
前記一対の繰出装置11,11の下方には機体進行方向に対して後側が互いに斜め内向きに延長された通気筒30,30をのぞませ、該通気筒30,30の連設部は送風装置12を備えた送風筒31(図2)に連通されている。そして各通気筒30,30の下流側他端、即ち機体前方側は第1噴管13に連通接続される構成である。
【0021】
上記送風装置12は、走行散布機2のPTO軸32に電磁クラッチ12bを介して連動する送風ファン12aによって構成され、その噴風は前記送風筒31を経由して通気筒30に入り繰出肥料を気流に乗せて移送し第1噴管13,13に至る構成である。
【0022】
前記左右各第1噴管13は、前記肥料タンク10と走行散布機2機体の上部に設ける搭乗者用シート33との間の空間部に、筒状の軸芯が平面視において機体進行方向に対し外向きに傾斜するよう前記通気筒30に接続されており、左右それぞれの第1噴管13には蛇腹管40を介して屈曲自在に第2噴管14を接続する。
【0023】
即ち、蛇腹管40の先端に筒体42を設け、該筒体42はアーム体43を介して縦支軸44周りに回動自在に構成され、該アーム体43と機枠側から横に張り出して設ける支持ブラケット34との間に電動式の伸縮シリンダ45を介在し、電動モータ46の正転による短縮によって第2噴管14を作業姿勢となるよう横向きに拡げ、逆転による伸び出しによって第2噴管14を機体に沿う状態に収納する構成である。電動式伸縮シリンダ45による縦支軸44回りの回動支点を支持するブラケット35が機体に設けられている。
【0024】
電動モータ46の逆転に伴い、第2噴管(ブーム)14を機体に沿う状態に収納したとき、縦支軸44回りの回動支点が機体側に接近する位置に配置することによって、収納状態の第2噴管14を機体側に接近させることができるので、平面視において、機体側に設ける昇降ステップ36の内側に収納することができ、収納時の機体への昇降が容易である。
【0025】
なお、電動式伸縮シリンダ45や電動モータ46は後輪5と肥料タンク10との間に配設されている。走行中泥土が跳ね上げられるが、後輪5の内側に位置するため跳ね上げ箇所から回避でき電動式伸縮シリンダ45や電動モータ46への泥土付着による弊害を生じ難い。
【0026】
上記筒体42には横支軸47を設け、第2噴管(ブーム)14はこの横支軸47を介して連結されていて、上記収納姿勢への動きのほか、該横支軸47周りに回動させることによって上下に回動し得る構成である。即ち、左右それぞれの第1噴管13,13に立設するマスト部18,18(図4)と第2噴管14L,14Rとの間に、電動式伸縮シリンダ48L,48Rを設け、該伸縮シリンダ48の伸縮に基づき第2噴管14が本機に対して該横支軸47の回りに上下回動できローリング作動しうる構成である。
【0027】
また、手元の図外の操作レバーの操作に基づき左側又は右側の第2噴管14L,14Rを垂直姿勢(非作業姿勢)又は水平姿勢(作業姿勢)に切り替えることができる。前記第2噴管14には所定間隔毎に所定口径の噴口50,50…を形成している。
【0028】
次に上記構成の肥料散布装置1の施肥用制御部15について説明する。
図5の制御ブロック図に示すように、施肥用制御部15(本機コントローラ19に接続されている。)は、ロール駆動モータ25L,25Rのそれぞれに散布スイッチ51(機能は後述する。)の操作情報、ファンスイッチ52による送風ファン12aの駆動情報、前記肥料タンク10に設ける残量センサ54の検出信号等を入力する一方、ロール駆動モータ25L,25Rのそれぞれへモータ回転出力パルス信号、モータ回転方向切替信号等を出力する。
【0029】
なお、散布スイッチ51がONすると、車速の有無に関係なく、左右のモータ25L,25Rの回転出力パルスを予め設定した最低回転数で駆動し、しばらく経って正規に車速が入力されるようになるとモータ回転は車速に連動するよう回転制御される。従って、作業開始時に停止状態であっても少量の散布が行えて無散布区間をなくすことができる。上記施肥用制御部15は走行散布機2の本機コントローラ19(図6)に接続され、後述のGPS速度データや車速センサ37からの速度データを受信できる構成としている。
【0030】
また、施肥用制御部15は、操作パネル26に配設するスイッチ類の情報を入力する。図5の制御ブロックで示すが、操作パネルにおける液晶表示部56の近傍には、可変スイッチ57、施肥設定スイッチ58、増・減スイッチ59U,59D、累計リセットスイッチ60を配設し、これらの操作スイッチ信号は施肥用制御部15に入力される構成である。なお、液晶表示部56の表示内容は、施肥剤(又は除草剤)の散布に関する施肥量設定値、比重値、メモリー値、累計値をそれぞれ表示でき、表示切換スイッチ61のオン操作で順次切換表示すべく出力される。
【0031】
施肥用制御部15への入力により自動(制御)モードが作動する。即ち、キースイッチ62(図5)をオンすると共に前記散布スイッチ51をオンすると自動モードに入る。この自動モードは、単位面積当たりの施肥量が一定になるよう、施肥量設定値および車速に対応して繰出装置11のロール20を駆動する前記ロール駆動モータ25L,25Rそれぞれにモータ回転出力パルス(ロール駆動モータ25の回転信号)を出力する構成である。
【0032】
作業開始前に施肥設定スイッチ58をオンして現在設定の施肥量(反当り施肥量(kg))を表示させ、これからの作業に見合う施肥量であるか否か確認し、相違するときは増スイッチ59U又は減スイッチ59Dによって1kg単位で変更し、再度施肥設定スイッチ58を所定時間以上(例えば2秒以上)オンするとその値A(kg)が記憶される。
【0033】
次いで比重設定を行なう。表示切換スイッチ61をオンして「比重」を選択すると、現在の設定値が表示される。これからの作業に見合う比重値であるか否か確認し、相違するときは増スイッチ59U又は減スイッチ59Dによって0.01単位で変更し、再度施肥設定スイッチ58を所定時間以上(例えば2秒以上)オンするとその値D(g/cm3)が記憶される。
その後施肥用制御部15は、車速データを取り込みながら設定施肥量を散布するに必要な繰出装置11の繰出量制御を行う構成である。繰出量の増減制御は肥料散布量算出手段17により繰出ロール20の回転数を制御して行う。
【0034】
左ブーム散布レバー53Lと右ブーム散布レバー53Rにより、それぞれ左右の第2噴管14L,14Rが肥料又は除草剤の散布を行うために各第2噴管14L,14Rを肥料(又は除草剤)の散布すべき位置に移動させる。
【0035】
前記図3の繰出装置11は、第1、第2の大ロール20a,20b、及び第3、第4の小ロール20c,20dからなり、通気筒30内における粉粒状物の繰出性の向上を図った改良構成を示すものである。すなわち、大ロール20a,20bと小ロール20c,20dによる散布を同時に行うことが可能であるが、このとき、肥料タンク10内の仕切壁10a内に少量散布の除草剤を充填し、肥料タンク10には大量散布の肥料を充填する。除草剤は比重が大で重く、大量散布の肥料は比較的比重の軽い成分からなっているため、通気筒30内における送風搬送の先側に除草剤を繰出させ、後側に肥料を繰出すように構成している。このように構成することにより詰りを少なくさせることができる。
【0036】
図6に示すように、走行散布機2の前記本機コントローラ19にはGPS受信機67が接続される。該GPS受信機67は、複数のGPS衛星からの信号を受信し、走行散布機2の現在位置データとして記憶すると共に、時計回路で計測する所定時間毎に現在位置データを更新しながら移動距離を算出し、該時計回路による所定時間おきに速度、即ち車速を本機コントローラ19にある車速算出手段16により算出する構成としている。
【0037】
走行散布機2に搭載して車速に連動して肥料を散布する肥料散布装置1において、設定施肥量と車速、散布剤の比重、散布幅設定、繰り出し用のロール20の単位吐出量等によりロール20の回転数を計算し、該ロール20a〜20dを左右に2セット設け、それぞれのロール20a〜20dを個別にモータ25L,Rで駆動して回転数制御を行うとき、走行散布機2には、GPS受信機67と車速センサ37を搭載し、施肥装置の施肥制御部15と前記本機コントローラ19とを接続することによって、GPS受信機67から得られる速度情報を車速算出手段16により車速としてロール回転数の計算に使用し、走行開始時にGPSからの速度情報が得られるまでは車速センサ37からの信号により車速を計算して使用する構成とする。
【0038】
なお、前記GPS受信機67はGPSからの車両速度情報と位置情報を得ることができる。このとき、第2噴管(ブーム)14を左右に広げて肥料などの散布を行うが、肥料などを搬送する送風ファン12aの動力は走行散布機2のPTO軸32からとり、施肥量設定値に基づき、走行散布機2の車速に応じて肥料繰り出し用のモータ25の回転速度(回転数)を変更する。
【0039】
前記肥料散布中にGPS受信機67からの車速データが得られないときは、車体のミッションケース内の走行伝動軸に組み込むギヤの歯数カウントにより車速パルスを出力する車速センサ37の該パルス出力を読み込んで車速計算を行い、その車速をロール回転数計算に使用する。
【0040】
また、GPS位置情報から速度計算ができるようになると、車速センサ37で得られる車速を補正し、該補正値(VS’)を次式から求め、前記GPSからの速度情報で得られた車速として用いる。
VS’=N×K×(1−VS/VG)
ここで、N:車輪の回転数、K:係数、VS:車速センサ37での車速測定値(平均値)、VG:GPSで得られる車速である。
なお、ここで(1−VS/VG)は車輪が回っているが肥料散布装置1が前に進まないスリップ状態を表し、(1−VS/VG)×100をスリップ率とする。
【0041】
図7に以上の場合の車速制御時の肥料の繰り出しモータ25の回転出力制御のためのフローチャートを示す。また、図7等のフローチャートで「ロール判定」とあるのは設定した施肥量に応じて肥料の繰出量を変化させるために、図3のロール20a〜20dのうちのどれを使用するかを予め決めているので、それを識別するステップである。
【0042】
こうして、肥料などの散布途中でGPSからの車速データが得られなくなっても、GPS受信機67が捉えてGPS位置情報から速度計算ができるまでの間は、肥料散布スイッチ51がオンとなると、すぐに車速センサ37の測定値に基づき肥料の散布作業を行うことができる。
また、前記GPS受信機67からの車速データから得られる平均値と車速センサ37から得られる車速データの平均値を比較して補正係数(スリップ率)を求めて、その補正係数に基づいて補正車速を計算し、その車速でロール回転数を精度高く制御できる。
【0043】
なお、一定時間が経過してもGPSから車速情報が得られない時はブザー63で異常警報を出力する構成とする。
また、肥料の散布中にGPSからの車速情報が得られなくなった場合は、制御装置15のメモリに記憶している前回までの車速データを読み出し、該車速データに基づき繰り出しロール20の回転数を計算することで、肥料散布途中にGPSからの速度情報が得られなくなった場合でも作業を継続することが可能になる。
なお、前記前回までの車速データとは、肥料散布中にGPS受信機67からの速度情報から車速を計算したときの車速をメモリ内に保存しておいた車速データである。
【0044】
また、GPSからの車速情報を前記メモリに記憶しておき、GPSからの速度情報が得られないときの車速センサ37からの計算車速を補正する構成としても良い。この場合も、肥料散布途中にGPSからの速度情報が得られなくなっても肥料の散布作業を継続することが可能になり、かつ記憶しているGPS速度情報で車速パルスからの計算速度を補正することで速度の精度が向上する。
【0045】
なお、GPSからの速度情報が得られるようになると、当然、このGPSからの車速データを加味して補正した車速を求める。図8にこの場合の車速制御時の肥料の繰り出しモータ25の回転出力制御のためのフローチャートを示す。
【0046】
前記のように、(1−VS/VG)×100で得られるスリップ率を基に車速計算を行い、車速センサ37による車速計算時に、そのスリップ率を使用して車速計算を行う構成とすると、高精度の車速を算出できる。
【0047】
なお、スリップ率は、一定時間毎にGPSからの速度情報の平均値(VGA)と車速パルスからの車速測定値(VS)から算出し、その値で車速センサ37からの計算速度を補正することでより精度の高い車速が得られる。図9にスリップ率を求めた後に肥料繰り出し用のロール20のモータ回転出力を算出するフローチャートを示す。
【0048】
このように、GPS速度情報からの速度をそのまま使用しないため、廉価なGPS受信機67で構成可能になり、またGPS速度情報が検出できないときや誤差変動の影響を少なくすることができる。
【0049】
また、前記スリップ率が一定値(例えば20%)以上になった時は、該一定値に置き換えて車速計算を行う。これは、スリップ率が大きく、速度変化(車速遅くなる)してしまうので、車速に比例する肥料の散布量が適正でなくなる。そのため、スリップ率に制限をかけることにより、大きな速度変化を抑えて、ロール回転数の大きな変動を抑えることができる。
【0050】
また、前記スリップ率を考慮して肥料散布をしている途中でGPSからの車速情報が得られなくなったときはブザー63で警報を発して予め決めているスリップ率で車速を求め、該車速に基づき施肥量を決める。図10に、この場合の車速制御時の肥料繰出用のモータ25の回転出力制御のためのフローチャートを示す。
【0051】
また、肥料散布をしている途中でもGPSからの車速情報は得られるが、一定時間以上車速センサ37からの信号が得られなくなったときは車速センサ37が異常である旨の警報を発してオペレータにブザー63で異常を知らせ、該GPSから得られた車速に基づき施肥量を決める。図11にこの場合の車速制御時の肥料の繰り出しモータ25の回転出力制御のためのフローチャートを示す。図11のフローに示すように、車速センサ37に故障があると、それ以後はスリップ率を計算しないで車速を求める。
【0052】
前記図10,図11に示すフローではブザー63で警報を発することで、オペレータは異常を知ることができるので、それ以降の肥料散布作業状態を知り、その対策を講ずることができる。
【0053】
従来からこの種の走行散布機2では、車速に連動して繰出ロール20の回転数を制御している。例えば下限回転10rpm(モータ回転数200rpm)〜上限回転80rpm(モータ回転数1600rpm)の範囲で繰出ロール20の回転数を設定しているが、算出した繰出ロール回転数が、この下限回転数以下(例えば8rpm)であったり、上限回転数以上(例えば85rpm)になると、前記下限回転数または前記上限回転数で作業を行うことで繰出ロール20の回転が不安定にならないようにしている。また同時にインジケータには警報出力とともに車速を上げ、又は下げを促す表示をしている。
【0054】
そこで、本実施例では繰出ロール20を駆動するロール駆動モータ25の制御可能な設定回転数の上限値を超えた場合には自動的に車速を減速し、該ロール駆動モータ25の制御可能な回転数の範囲内に入るように車速を減速制御する構成として適正な肥料などの散布を継続して行うことができるようにする。
【0055】
本実施例の走行散布機2は静油圧式無段変速装置(HST)64と該HST64のトラニオンアーム65を操作する変速レバー68と、変速レバー68とは別個にトラニオンアーム65を操作することができるトラニオンモータ66を備えている。
【0056】
静油圧式無段変速装置64の変速連動機構Rを示す機体側面図を図12に示し、機体背面図を図13に示し、一部を破断した車速減速アーム96の操作連動機構を示す平面図を図14に示し、変速連動機構Rを示す分解斜視図を図15に示す。
【0057】
図13に示す変速レバー68を操作することで左右フレーム6L,6Rの間に設けられた静油圧式無段変速装置(HST)64の走行切換と変速を行う。変速レバー68は、ステアリングハンドル7のポスト8の左右の機枠に支架された水平の操作連動軸71の左側端に支持ピン72を介して連結され、前後の回動操作によって操作連動軸71を軸芯まわりに回転連動すべく設けられる。なお、支持ピン72を介在させることによって、左右方向に偏位させて変速レバー68を回動操作でき、図外レバーガイドの前進操作側と後進操作側とを左右に変位させることができる。また、変速レバー68は、制動板74を伴い、固定機枠側との間でブレーキ機構を構成して変速レバー68を前後操作位置で任意に保持できる構成としている。
【0058】
ブレーキ機構について詳述する。変速レバー68に一体で連動する制動板74には円弧状の長孔74aが形成され、この長孔74aにはプレート状の固定機枠側から突出した制動バネ軸75が貫通されている。制動バネ軸75は制動板74を受ける固定の鍔体を有し、制動板74を挟んで対向する側に移動可能な鍔体をバネ75aで押圧状態に設けており、制動板74は両鍔体にバネ75aで付勢された状態で保持されて、固定機枠側に対し当該制動板74を変速レバー68操作位置で保持する構成となっている。従って、ブレーキ機構は、長孔74aを有する制動板74、固定機枠から突出させた制動バネ軸75、固定鍔体、移動鍔体、バネ75a等からなる。
【0059】
HST64を構成する油圧ポンプ(図示せず)の作動油の流れを制御する斜板を操作するためのトラニオン軸76に変速レバー68の操作力が伝達できるように接続した構成となっている。
【0060】
図13に示すように、横方向に軸装した操作連動軸71の他方の端には、取付アーム79を介して下方に延長した連動ロッド78の上端部を連結し、その連動ロッド78の下端部から回動アーム85a、中間連動軸84、回動アーム85b、プレート88a、88b、連動ロッド91、スプリング93(図15)等の部材により変速レバー68の操作がトラニオンアーム65の作動に連携するように構成されている。これら操作連動軸71を初めとする部材を変速連動機構Rということにする。
【0061】
そして変速連動機構Rを介して作動するトラニオンアーム65は、図13と図14に示すように、その端部をトラニオン軸76に接続しているので、前記変速レバー68の操作力が、最終のHST油圧ポンプ(図示せず)のトラニオン軸76に伝達できる構成としている。
【0062】
即ち、図15の変速連動機構Rの分解図に示すように、上記変速連動機構Rには、トラニオン軸76の近傍において、HST64のハウジング等に水平方向に軸装された中間連動軸84を設け、この中間連動軸84の一端と上記連動ロッド78の下端とを回動アーム85aで連結する。中間連動軸84の他端には回動アーム85bが固定され、該アーム85bにはピン94が設けられ、該ピン94により回動アーム85bにプレート88aを枢着し、該プレート88aに長孔89a及び89bを形成すると共に長孔89a及び89bにそれぞれプレート88bの係止ピン90及び92を介して係合して所定の方向に作用される構成である。一方、上記トラニオン軸76を一体に連動する前記トラニオンアーム65には連動ロッド91を枢着して、この連動ロッド91の一端に接続したプレート88bに設けた係止ピン92と上記プレート88aに設けたピン90とがスプリング93を介して連携される構成である。したがって、中間連動軸84が所定に回動されると、中間連動軸84と一体のは回動アーム85bに取り付けたピン94を介して係合したプレート88aを押し引きし、上記長孔89a,89bの範囲ではスプリング93の作用で押し引きして、連動ロッド91を介してトラニオンアーム65およびトラニオン軸76を回動させる構成である。
【0063】
なお、連動ロッド91は、プレート88aに溶接によって一体化した雌螺子体91a、トラニオンアーム65に枢着された第2の雌螺子体91c及びこれらに螺合する雄螺子体91bとからなり、各雌螺子体91a、91cは互いに左右異なる方向の螺子加工が施されて一定方向回転で各雌螺子体91a、91cの距離は離れ、他方への回転で各雌螺子体91a、91cの距離は近づく関係に設けられ、トラニオンアーム65の中立位置設定の微調整を行なうことができる。
【0064】
このように連結した変速レバー68は、ニュートラルゾーンを基準にして、一方側に操作すれば正転(前進)回転が出力され、レバー操作によって順次高速出力となり、前記ニュートラルゾーンから他方側に操作すれば逆転(後進)回転が出力されてレバー操作にともなって順次高速出力に変速される従来公知の走行切換と増減速操作ができる構成となっている。そして、本実施例の場合、図12に示すように、トラニオン軸76は、トラニオンアーム65がトラニオン軸76に対して上下の方向に垂直状態の位置Nがニュートラル位置であって、その位置を基準にして左回転Fが正転(前進側)で右回転Rが逆転(後進側)になり、上述の通り、ニュートラル位置Nからトラニオンアーム65が回動して離れるほど高速回転になる。
【0065】
そして、変速レバー68は図13に示すように、ステアリングハンドル7の左側にあって、副変速レバー95と同じ側に設け、その副変速レバー95より上方に高く伸ばして構成している。そして、変速レバー68は、グリップ68aをハンドル7のすぐ左付近に位置するように設け、更に、前述したように基部の取付支点がハンドルポスト8の左側近辺に設けた構成としている。
【0066】
したがって、変速レバー68は、運転者が握って操作するグリップ68aがハンドル7の左側で、副変速レバー95より高くハンドル7と同程度の高さ位置にあるから、変速操作がやり易く、しかも、副変速レバー95と間違えて操作することはなく、安全に操作ができる利点がある。更に、変速レバー68は、基部の取り付け位置が運転者の膝周りから前側の上方位置に離れているから、余裕があり、変速レバー68と膝とが干渉したりせず、楽な姿勢で作業ができる特徴がある。
【0067】
次に、図12のHST64の変速連動機構Rを示す機体の一部側面図に示すように、変速レバー68により車速を減速操作すると、変速レバー68が矢印A方向に移動し、変速レバー68の基部側にある三角形のプレートである制動板74や制動バネ軸75に組み込んだバネ付勢手段75a等からなるブレーキ機構によって制動板74を位置保持するとともに、該制動板74と一体に連動ロッド78の上端の取付アーム79を矢印B方向に回動させ(図13参照)、該連動ロッド78の下端が矢印C方向に動く。連動ロッド78の下端が矢印C方向に動くと(図15に示す連動ロッド78の動きを同じく矢印C方向で示す)、図15に示すようにプレート88aを矢印D方向に押して、プレート88bと連動ロッド91を介してトラニオンアーム65およびトラニオンアーム65に固着したトラニオン軸76を減速側(矢印E方向)に回動させる構成である。
【0068】
即ち、変速連動機構Rは、トラニオン軸76の近傍において、HST64のハウジング等に水平方向に軸装された中間連動軸84を有し、この中間連動軸84の一端と上記連動ロッド78の下端とを回動アーム85aで連結する。中間連動軸84の他端には回動アーム85bが固定され、該アーム85bには係止ピン94が設けられ、該係止ピン94を介してプレート88aを枢着している。また図15に示すようにプレート88aには長孔89a、89bが設けられ、プレート88aと並列配置されたプレート88bに設けられた係止ピン90、92を介してプレート88aとプレート88bは係合し、プレート88aとプレート88bは互いに面同士を接触させながら摺動自在に所定の方向に移動可能になっている。
【0069】
なお、図15に示すように連動ロッド91はプレート88bの一端に溶接によって一体化した雌螺子体91aとトラニオンアーム65に枢着された第2の雌螺子体91cとこれら雌螺子体91a,91cに両端部が螺合した雄螺子体91bとからなり、各雌螺子体91a,91cは互いに螺子の向きが異なる方向に螺子加工が施されているので、所定方向の回転で各雌螺子体91a,91cの距離は離れ、前記所定方向の反対方向への回転で各雌螺子体91a,91cの距離は近づくようになっており、トラニオンアーム65の中立位置設定の微調整を行なうことができる。
【0070】
一方、トラニオン軸76を一体的に連動するトラニオンアーム65には連動ロッド91の雌螺子体91cの一端を枢着している。この連動ロッド91の他端に一端が固着されたプレート88bは係止ピン92を備えており、上記プレート88aの端部に固着された係止ピン97と前記係止ピン92の間はスプリング93で係合しているので、プレート88aと連動ロッド91が弾性的に連携される。またアーム85bの孔とプレート88aの孔との間で係止ピン94によりアーム85bとプレート88aが着脱可能に連結されている。
【0071】
したがって、変速レバー68の操作で連動ロッド78を介して中間連動軸84が所定角度回動されると、プレート88aがプレート88bを押し引きし、上記長孔89a,89bの大きさの範囲内でスプリング93が伸縮することでプレート88bに固着した連動ロッド91を作動させて、該連動ロッド91に回動自在に連結したトラニオンアーム65および該トラニオンアーム65に連結したトラニオン軸76を回動させる構成である。
以上のように構成した変速レバー68では、ニュートラル位置Nを基準にして、左右内側へ操作した後に前方に回動操作すると、正回転(前進出力)が順次高速出力となり、ニュートラル位置Nを基準として左右外側へ操作した後に後方へ回動操作されると、逆回転(後進出力)が出力され、前後走行切換と増減速操作ができる構成となっている。
【0072】
一方、図12に示すように、トラニオン軸76はトラニオンアーム65がトラニオン軸76に対して鉛直方向下方にあると、HST64はニュートラル位置Nであり、該ニュートラル位置Nを基準にして左回転Fが正転(前進側)であり、右回転Rが逆転(後進側)になり、ニュートラル位置Nからトラニオンアーム65が回動して離れるほどHST64は高速回転になる。
【0073】
上記図15に示す連動機構Rの構成により変速レバー68を操作しないで、トラニオン軸76を減速側に作動させるトラニオンモータ66(図15)を設けることもできる。該トラニオンモータ66を所定量回転させるだけで、トラニオンアーム65がトラニオン軸76は減速側に移動出来る。
【0074】
図15に示すように、トラニオンモータ66が正逆転連動可能に設けられ、矢印F方向に正転するときは、該モータ66の回転軸66aの先端に取り付けられたカム状の車速減速アーム96及びカム96と一体のロッド96aが回動してロッド96aがトラニオンアーム65の側面に当たり、トラニオンアーム65を矢印E方向に回動させるとトラニオン軸76を前進減速状態に維持する。
【0075】
また、変速レバー68の操作により図15の変速連動機構Rが変速トラニオン軸76を連動操作して車速を減速操作すると、この減速作動において、変速レバー68側の連動構成では、連動ロッド78の下端部と回動アーム85aの下端部をピン94で連結し、該回動アーム85aの上端部に中間連動軸84の一端が固着しており、中間連動軸84の他端が回動アーム85bに接続され、該回動アーム85bがピン94を介して長孔89a,89bを有するプレート88にスプリング93を介して連結されているので、トラニオンアーム65を減速側に作動させる連動ロッド91は、プレート88a、88bが所定量移動しないと変速レバー68によるトラニオンアーム65の減速側作動が上記長孔89a,89bで吸収され、この減速側作動を中間連動軸84より連動上手に伝達しないため、変速レバー68側の連動機構は所期の車速設定を維持できる。
【0076】
従って、前記トラニオンモータ66による減速側制御が停止するとトラニオンアーム65は当初設定した変速位置に(前記ブレーキ機構で保持された変速レバー68位置、およびこの変速レバー68位置に見合うプレート88a位置にスプリング93にてプレート88bを引き寄せる)復帰し、走行速度も変速レバー68で設定された速度に戻る構成である。
【0077】
なお、前記トラニオンモータ66による操作は、トラニオンアーム65の前進側の範囲内において減速操作できる構成となっており、中立位置あるいは後進側の範囲に及ばない構成となっている。即ち、トラニオンモータ66に連動してトラニオンアーム65を回動させるが、その作動量は、最もトラニオンアーム65を変位させる状態においても中立位置あるいは後進範囲に達しない長さに設定されているために、機体の急停車あるいは逆転側作動を引き起こさず、安全な走行を確保できるものとなる。
【0078】
走行散布機2による肥料散布作業中において、HST主変速レバー68の位置はそのままで、作業速が早すぎで規定値を超えたとき、自動的にHST64のトラニオンアーム65をトラニオンモータ66により減速側へ作動させるよう制御できる図16に示すフローチャートで示すソフトウエア構成を本機コントローラ19に組み込んでいる。
【0079】
従来は、肥料散布作業中に作業機2の作業速が早すぎて規定値(ロール駆動モータ25の制御可能な最大回転数、この値は繰出ロール20の制御可能な最大回転数に比例する)を超えたときには警告音や警告インジケータでオペレータへ異常通報する手段を採用していたが、作業時はエンジン音や送風機の回転音で聞こえないときや認識できない場合があり、異常に気づくタイミングが遅れ、肥料の散布ムラが発生することがあった。
【0080】
そこで、本実施例では次式(1)に基づき算出される繰出ロール回転数Rが規定値、例えば80rpmであれば、80rpmを超えないようにトラニオンモータ66を減速側に駆動させて作業機の作業速度Sを自動的に小さくする制御する。
【0081】
また、繰出ロール回転数Rが規定値以下であれば繰出ロール回転数Rを下限回転数、例えば10rpmまで上げる。このとき作業機の走行速度は操作しない。これはトラニオンモータ66を作動させても、図15に示すように変速レバー68は動かないので作業機の走行速度は変わらないためである。
【0082】
R=AWS×30/CD (1)
(A:施肥量、W:散布幅(m)、S:作業速度、C:ロール容積、D:肥料の比重)
なお、本実施例ではHST64とトラニオンモータ66を使用しているが、本発明ではHST64とトラニオンモータ66に限らず、1段〜4段のそれぞれの変速段に対応した油圧クラッチを備え、該各油圧クラッチをオンオフ制御して切り替えて変速する変速装置を用いて図16に示す制御を行う構成でも良い。
【0083】
図16のフローチャートにおいて、「トラニオンモータ減速側出力」が発生するときの具体的な減速処理について、以下補足説明する。
予め設定施肥量に基づき、適正車速を制御部に算出記憶させておき、上記「トラニオンモータ減速側出力」要求のあったときは、この適正車速を呼び出し、トラニオンモータ66の減速範囲を決定する。
【0084】
また、上記「トラニオンモータ減速側出力」要求のあった時点のロール回転数計算値と、予め算出されたロール回転上限値との差を算出し、この差からトラニオン軸の減速側回転量を演算してトラニオンモータを減速制御出力する場合もある。
【0085】
トラニオンモータ66への1減速出力当りのトラニオン減速量を所定の単位として設定し、ロール回転上限値を超えたら、1減速出力当りでロール回転上限値と比較し、該ロール回転上限値以下所定値に低下するまで上記の単位毎の減速制御及び検出を繰り返す。
【0086】
なお、上記のトラニオンモータ66への減速出力後、一定時間経過した後車速計算およびロール回転数を算出してロール回転上限値と比較するように構成すると、該一定時間経過することで、車速が安定し、車速変更後のロール回転数計算を確実に行なうことができる。
【0087】
また、図17のフローチャートに示すように、HST64等の無段変速装置を有する自走式の肥料散布機において、規定の作業速で作業開始しても作業開始直後は、いったん所定車速まで減速するよう構成した。
【0088】
これは、従来技術に次のような問題点があるからである。すなわち、繰出ロール20の回転数を制御可能な範囲の作業速で作業開始した場合、例えば0.7m/秒の速度で発進すると肥料散布開始直後は第2噴管14までに散布剤が到達するには最短でも2秒ほど時間がかかるので、長さ15mのブーム仕様の肥料散布機1では1.4m×15mの面積で無散布区域が発生してしまう。
【0089】
そこで、図17のフローチャートに示すように、規定の作業速で作業開始しても作業開始直後は、いったん所定車速まで減速するようすると、規定速度でゆっくり発進させる作業開始直後には無散布区域を従来より小さくできるメリットがある。
【0090】
この場合も、図15に示す構成を用いてHST主変速レバー68はそのままで、トラニオンモータ66によりトラニオンアーム65のみを減速側へ回転させる。
【0091】
前記のように、変速レバー68を操作するとブレーキ機構により操作位置で保持される。また、変速レバー68の操作位置にかかわりなく独立的にトラニオンアーム65がトラニオンモータ66をもって減速制御が可能で、かつモータ制御を解除すると元の速度状態に復帰可能な構成になっている。
【0092】
このため、肥料散布作業開始直後の低速で作業後(所定時間経過後)には、運転者が設定した作業速に自動的に切り替わるよう車速制御できる構成とした。前記運転者が設定した作業速とは、主変速レバー68の操作位置にトラニオンアーム65が自動的に切り替わる、すなわち、上記のように、変速レバー68を操作するとブレーキ機構により操作位置で保持され、変速レバー68の操作位置にかかわりなく独立的にトラニオンアーム65がトラニオンモータ66をもって減速制御が可能で、かつモータ制御を解除すると元の速度状態に復帰可能な構成になっている。
【0093】
こうして、すみやかに自動で設定速度になる車速制御で、無散布区の発生を小さくできるメリットと都度車速変更を行わなくて良いメリットがある。こうして作業開始後のHST主変速レバー68位置の変更操作が不要となる。
【0094】
次に走行粒状体散布機に搭載する第2実施例の粒状体(肥料)繰出装置11の構造について説明する。
従来の繰出ロールの構成は、大タンクの内部に小タンクを設けた2重タンク構造で、小タンク専用の繰出ロールを設け、また独立して回転する複数の繰出ロールを配置した構成であるので、ロールケース内にメインタンクからの肥料とサブタンクからの肥料を区分する仕切り壁を設ける必要があるため、ロールケースひとつの構成では繰出ロール全体を一方向へ抜けない構成をとっていた。そのため繰出ロールのメンテナンス性が極端に劣ってしまうデメリットがあった。
【0095】
そこで、本発明の実施例の粒状体繰出装置の要部を図18に示す。図18(a)は一部が縦断面である繰出装置の側面図、図18(b)は図18(a)の矢印A方向から見た図、図18(c)は第1ロールケース81の上面図を示す。
【0096】
すり鉢状の粒状物(肥料を粒状物の具体例として、以下説明する)タンク80(メインタンク80aとサブタンク80bに分かれている)の底部開口部を第1ロールケース81の天井部にある肥料充填口に合致させて配置する。第1ロールケース81の容積と同一外形を有する第2ロールケース82を第1ロールケース81内に装着する。第2ロールケース82の天井部にも前記第1ロールケース81の肥料充填口と同一形状の肥料充填口が設けられているので、2つのロールケース81,82の肥料充填口を合致するように配置する。また第1ロールケース81と第2ロールケース82の底部には同じ形状の開口部を設け、これらの開口部同士も合致させて、通気筒30の上面に設けた開口部に合わせて接続する。
【0097】
肥料タンク80の内部を縦方向にメインタンク80aとサブタンク80bに分ける仕切板80cを設けており、メインタンク80aとサブタンク80bの2つの底部開口部に合致する肥料充填口81a,81bを第1ロールケース81に設けている。第2ロールケース82にも同様には肥料充填口82a,82b(図19(b))を設けている。
【0098】
第2ロールケース82内には水平方向に向いた回転軸83を有する繰出ロール20が設けられており、第2ロールケース82内の繰出ロール回転軸83の端部に繰出ロール回転用の駆動モータ25をモータ取付フランジ82eにボルト87aで取り付け、肥料タンク80の底部充填口より所定の回転数で回転する繰出ロール20に肥料が充填され、繰出ロール直下の通気筒30内に吐出され、通気筒30内に供給された肥料は第1噴管13の方向へ送られる風によって搬送されて第2噴管14の噴口50(図1)より圃場に散布さする。
回転軸83には、設定繰出量に応じて予め設定した繰出ロール20を繰出作用に供するために複数の繰出ロール20が並列配置されている。
【0099】
第1ロールケース81の駆動モータ25側に側面に設けたフランジ82eには、駆動モータ取付ボルト87aと肥料タンク80と通気筒30とをそれぞれ固定するためのボルト87bを本実施例の場合は4本設けている。ボルト取付部とは反対側の第2ロールケース82は第1ロールケース81に嵌め込む構成としているので、ボルト等の取付部材は不要となる。
【0100】
上記構成から成る粒状物(肥料)繰出装置11によれば、繰出ロール20の回転用の駆動モータ25を外し、次いで複数の繰出ロール20を回転軸83と共に第2ロールケース82から取り外し、次いで第1ロールケース81と肥料タンク80と通気筒30を取り外すことが容易に可能であるので肥料散布作業終了後の繰出ロール20に付着した散布剤(肥料)の脱着作業などメンテナンス性に極めて優れる。
【0101】
また走行散布機2の肥料散布装置1から粒状物(肥料)繰出装置11を一体化構成のまま4本のボルト87bを外すことで、本体外部でメンテ作業を行えるようにしたので作業が安全で楽にできる。
【0102】
上記繰出装置11を一体的に機体後方側へスライドさせて該繰出装置11を本体から抜き取れる構成としたので、駆動モータ25を含めると30cm程度の長さになる繰り出し装置は、重量もあるので、機体後方側に抜き出すことで作業性が良くなる。
【0103】
上記構成によれば第1ロールケース81と第2ロールケース82は容易にスライド分割可能であり、第2ロールケース82の外周部に接して設けた第1ロールケース81は、スライド分割時に肥料タンク80と通気筒30の間に残して第2ロールケース82を引き出せるので、第2ロールケース82の着脱時間が大幅に短縮できる。
【0104】
第1ロールケース81に内包される第2ロールケース82の外周形状は、円形状としたので第1ロールケース81の内部加工が容易で安価に作製できることと、第1ロールケース81を小さくコンパクトに設計できる省スペース構造を可能にする長所がある。
【0105】
従来、第2ロールケース82の回転軸83に完全に固定した繰出ロール20と回転軸83上にワンウェイクラッチ89を設けた繰出ロール20を隣接して設ける場合は、ワンウェイクラッチ89を有する繰出ロール20が静止する方向に回転軸83が回転する場合、通常は前記2つの繰出ロール20は接した状態にあるので、回転軸83に完全固定した繰出ロール20の回転にワンウェイクラッチ89を有する繰出ロール20が連れ回って回り、設定量より肥料散布量が多くなる欠点が発生することがある。
【0106】
そこで、図19(図19(a)は一部が縦断面である繰出装置の側面図、図19(b)は第2ロールケース82の上面図、図19(c)は仕切板の斜視図)に示すように駆動モータ25と一体的に容易に第1ロールケース81に着脱可能な構成とした第2ロールケース82のロール配列構造において、複数のロール20を直列化して正逆転可能なように、一部の繰出ロール20は回転軸83上にワンウェイクラッチ89を介して設けた構成とし、その他の繰出ロール20は回転軸83上に固定している。そして駆動モータ25は正逆転可能としているので、多量の肥料を散布する場合は全部の繰出ロール20をワンウェイクラッチ89を介して設けた繰出ロール20の回転する方向に回転軸83を回転させ、少量の肥料を散布する場合には、回転軸83上に固定している繰出ロール20のみが回転する方向に回転軸83を回転させる。この回転軸83に完全固定した繰出ロール20が回転するときワンウェイクラッチ89を有する繰出ロール20が連れ回りしないようにするために、ワンウェイクラッチ89を介して設けた繰出ロール20と回転軸83上に固定した繰出ロール20の繰り出し空間を仕切る仕切板98を第2ロールケース82の内側に取り付ける。なお図19(b)に示すように第2ロールケース82の上方にはメインの開口部82aとサブ開口部82bがある。
【0107】
また、仕切板98は第2ロールケース82の内周部に溝82cを設けておき、該溝82cに仕切板98の突出部98aを挿入し、同時に突起部98aのない仕切板98を第2ロールケース82の両側面の内側にフリー回転可能に設ける。仕切板98の素材は、弾力性のある硬質ゴムが望ましい。仕切板98は繰出ロール20と共に一体的に回転するため、仕切板98は摩耗するが、第2ロールケース82の両側面は摩耗しない。比較的安い仕切板98は第2ロールケース82に比べて安いので、仕切板98だけを容易に取り換えることができる。
こうして、肥料の散布量に応じて複数のロール20の全てを回転させるか、隣接するロール20、20同士の連れ回りを防止して一部の繰出ロール20を回転させるか選択することができる。
【0108】
また、図19(a)に示すように第1ロールケース81の側面の開口部81dを設け、第2ロールケース82に軸受けを兼ねた凸部(突起部)82dを設け、第1ロールケース81と第2ロールケース82とで位相を固定した。なお、第1ロールケース81と第2ロールケース82の通気筒30側の側面には通風用の開口部がある。図19(a)には第1ロールケース81に設けた開口部81e、81fを示す。
【0109】
図20に図19(a)のB−B線(繰出ロール20を内蔵した場合)の一部が縦断面である繰出装置の側面図を示すように、第1ロールケース81の対向する一対の内側面に水平方向に伸びる溝部を設け、第2ロールケース82の前記溝に対応する箇所に突起部82eを設けて両者を接合すると、両ロールケース81,82を一体として固定支持でき、しかも両ロールケース81,82のタンク80側と通気筒30側の開口部を互いに一致させることができ、開口面積が不変で散布剤(肥料)の繰出ロール20への充填量が安定し、散布設定どおりの散布できるメリットがある。
【0110】
また、第1ロールケース81と第2ロールケース82の上面には肥料タンク80底部の開口部と同一面積の開口部があるが、第1ロールケース81と第2ロールケース82の境界面内部に肥料の粉が侵入し、第2ロールケース82のスライドして着脱させる構成部分が固くなり、着脱できない場合がある。そこで第1ロールケース81と第2ロールケース82の境界面にOリング99を設けても良い。
【0111】
従来は第1ロールケース81と第2ロールケース82の境界面内部に肥料の粒子が侵入すると、それがスライドして抜き取る場合の抵抗となり、メンテナンス性を著しく悪くしてしまうことがあった。
【0112】
図21の側面図に示すように第2ロールケース82は、ロール20、フランジ82e及び駆動モータ25の領域に3分割構造として第2ロールケース82のメンテナンスのため、第1ロールケース81より抜き取った(引き出した)第2ロールケース82は容易に3分割できる構造とした。
上記したように繰出ロール20を第2ロールケース82内部より、短時間で容易に取り出すことを目的としており、長時間繰出ロール20を使用すると、ロール20はやはり亀裂が入ったり、摩耗したりする。その際の交換時間を短縮する。
【0113】
図22(図19のB−B線の断面図(繰出ロール20を内蔵した場合))の一部が縦断面である繰出装置の側面図に示すように第1ロールケース81(第2ロールケースと一体として図示)の内側の下方の開口部の繰出ロール20のインペラと当接しする箇所で、矢印D方向に回転する繰出しロール20のインペラによる肥料の繰り出しが終了して第2ロールケース82内部に肥料が存在しない側に、ロール内径より突出させた抵抗板98を配置する。この抵抗板98の配置位置は少量の肥料の肥料タンク80側への持ち帰りを防止するのに、もっとも適した位置であり、インペラなどに付着した肥料を自動的に取り除くことができるので、肥料を常に規定量圃場に向けて吐出できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、粒状物散布装置1を備えた肥料などを散布する走行散布機2に限らず、他の肥料などを散布する作業車にも利用可能性がある。
【符号の説明】
【0115】
1 粒状物散布装置 2 走行散布機
3 エンジン 4 前輪
5 後輪 6L,6R フレーム
7 ハンドル 8 ハンドルポスト
10 肥料タンク 10a 仕切壁
11 繰出装置 12 送風装置
12a 送風ファン 12b 電磁クラッチ
13 第1噴管 14 第2噴管(ブーム)
15 施肥用制御部 16 車速算出手段
17 肥料散布量算出手段 18 マスト部
19 本機コントローラ 20 ロール
21 ロール駆動軸 22 ワンウェイクラッチ
25 ロール駆動モータ 30 通気筒
31 送風筒 32 PTO軸
33 搭乗者用シート 34 支持ブラケット
35 ブラケット 36 昇降ステップ
37 車速センサ 40 蛇腹管
42 筒体 43 アーム体
44 縦支軸 45 伸縮シリンダ
46 電動モータ 47 横支軸
48 電動式伸縮シリンダ 49 傾斜センサ
50 噴口 51 散布スイッチ
52 ファンスイッチ 53 ブーム散布レバー
54 タンク残量センサ 56 液晶表示部
57 可変スイッチ 58 施肥設定スイッチ
59U,59D 増・減スイッチ
60 累計リセットスイッチ
61 表示切換スイッチ 62 キースイッチ
63 ブザー 64 HST
65 トラニオンアーム 66 トラニオンモータ
67 GPS受信機 68 変速レバー
71 操作連動軸 72 支持ピン
74 制動板 74a 長孔
75 制動バネ軸 75a バネ
76 トラニオン軸 78 連動ロッド
79 取付アーム 80 肥料タンク
80a メインタンク 80b サブタンク
80c 仕切板 81 第1ロールケース
81a,81b 肥料充填口
81d 開口部 81e、81f 開口部
82 第2ロールケース 82a メイン開口部
82b サブ開口部 82c 溝
82d 凸部(突起部) 82e モータ取付フランジ
82f 突起部 83 回転軸
84 中間連動軸 85a、85b 回動アーム
25 駆動モータ 87a,87b ボルト
88a、88b プレート 89 ワンウェイクラッチ
89a,89b 長孔 90,92 係止ピン
91 連動ロッド 91a 雌螺子体
91c 第2の雌螺子体 91b 雄螺子体
92,94,97 ピン 93 スプリング
94 ピン 95 副変速レバー
96 カム 96a ロッド
98 抵抗板 98a 突出部
98 仕切板 99 O−リング
R 変速連動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転することで粉粒体を繰り出す繰出ロール(20)と該繰出ロール(20)を駆動する駆動モータ(25)と繰出ロール(20)から繰り出された粉粒体を散布する機体左右方向に伸びた粉粒体噴管(14)とを有する粉粒体散布装置(1)と、機体の走行速度を検出する車速センサ(37)とを備えた走行散布機において、
繰出ロール(20)の回転数を(粉粒体繰出量を)車速センサ(37)で測定される車速に連動させ、かつ繰出ロール(20)の駆動モータ(25)の回転数が設定上限値を超えた場合、自動的に車速を減速し、駆動モータ(25)の制御可能な回転数の範囲内に入るように制御する制御装置(15,19)
を備えたことを特徴とする走行散布機。
【請求項2】
静油圧式無段変速装置(64)と、該静油圧式無段変速装置(64)のトラニオン軸(76)を作動する変速操作具(68)と、トラニオン軸(76)を減速側に作動させるトラニオンモータ(66)を設け、制御装置(15,19)の指令によりトラニオンモータ(66)がトラニオン軸(76)を減速側へ作動させたときには変速操作具(68)の操作位置を変えず、また制御装置(15,19)の指令によりトラニオンモータ(66)がトラニオン軸(76)を減速側への作動を停止したときは変速操作具(68)の操作位置にトラニオン軸(76)を作動させる変速連動機構(R)を設けたことを特徴とする請求項1記載の走行散布機。
【請求項3】
粉粒体散布装置(1)からの粉粒体散布作業開始直後は粉粒体が粉粒体噴管(14)から散布開始されるまでは、規定の低速の走行速度で機体を走行させる走行制御を行う制御装置(15,19)を備えたことを特徴とする請求項1記載に走行散布機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−273542(P2010−273542A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−126088(P2009−126088)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】