説明

走行装置

【課題】スケール部のブラケットやカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができる走行装置を提供すること。
【解決手段】磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けた走行装置において、走行レール2の側部に長手方向に凹溝5を形成し、凹溝5にスケール部1を収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気スケールを備えた走行装置に関し、特に、スケール部のブラケットやカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができる走行装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、走行装置の1つであるスタッカクレーンは、クリーンルームの自動倉庫内で保管や搬送を行うが、マストの下部に走行駆動装置を設置して走行レール上を移動するようにしている。
【0003】
スタッカクレーンが移動する際には、磁気スケールによりその位置情報を取得する。この位置情報は、全ての動きの基本となる情報であり重要である。
磁気スケールは、磁気目盛りが装着されたスケール部を走行レール側に設けるとともに、該スケール部の磁気目盛りを読み取るヘッド部を車両側に設け、スケール部に対するヘッド部の相対的変位量を検出するようにしている。
【0004】
ところで、従来の走行装置は、図4に示すように、走行レール2の枕木21上に走行方向に帯状のブラケット81を配設するとともに、このブラケット81を台座としてスケール部1を設置するようにしている。
また、ブラケット81の側方から断面L字型のカバー82を片持ち状に立ち上げ、開口側からヘッド部3の挿入を許容しながら、スケール部1の上を覆うようにしている。
【0005】
しかしながら、上記従来の走行装置では、ステンレス製のブラケット81及びカバー82の両方に約500m〜1000mの材料及び加工が必要となり、また、両者はそれぞれ枕木21にボルト83により固定されるため、取付工数が多大となり、いずれもコスト増大の要因となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の走行装置が有する問題点に鑑み、スケール部のブラケットやカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができる走行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部を走行レール側に設けるとともに、該スケール部の磁気目盛りを読み取るヘッド部を車両側に設けた走行装置において、走行レールの一部に長手方向に凹溝を形成し、該凹溝にスケール部を収容したことを特徴とする。
【0008】
この場合において、感圧性粘着テープ又は接着剤によりスケール部を凹溝に固定することができる。
【0009】
また、凹溝の入口にスケール部を保持する突部を形成し、該突部によりスケール部を凹溝に固定することができる。
【0010】
また、凹溝を被覆する平板状のカバーによりスケール部を凹溝に固定することができる。
【0011】
また、カバーの材質として非磁性材料を用いることができる。
【0012】
また、非磁性材料として合成樹脂を用いることができる。
【0013】
また、カバーに爪部を設けて走行レールに着脱可能に嵌着することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の走行装置によれば、磁気目盛りが装着されたスケール部を走行レール側に設けるとともに、該スケール部の磁気目盛りを読み取るヘッド部を車両側に設けた走行装置において、走行レールの一部に長手方向に凹溝を形成し、該凹溝にスケール部を収容することから、従来のブラケットを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができ、また、凹溝は、アルミ押出材からなる走行レールに容易に形成することができ、さらに真っ直ぐに安定した状態でスケール部を収容することができる。
【0015】
この場合、感圧性粘着テープ又は接着剤によりスケール部を凹溝に固定することにより、従来のカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができる。
【0016】
また、凹溝の入口にスケール部を保持する突部を形成し、該突部によりスケール部を凹溝に固定することにより、従来のカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができる。
【0017】
また、凹溝を被覆する平板状のカバーによりスケール部を凹溝に固定することにより、スケール部の検出面を確実に保護し、かつスケール部の浮き上がりを防止することができる。
【0018】
また、カバーの材質として非磁性材料を用いることにより、磁気情報の検出を阻害することなくスケールの情報を読み取ることができる。
【0019】
また、非磁性材料として合成樹脂を用いることにより、ヘッド部との距離が極小となって接触を生じた場合でも、ヘッド部の損傷程度を小さくすることができ、また、柔軟なカバーを使用することにより作業性が向上する。
【0020】
また、カバーに爪部を設けて走行レールに着脱可能に嵌着することにより、カバー取付の作業効率が向上し、かつ交換が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の走行装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1〜図3(a)に、本発明の走行装置の第1実施例を示す。
この走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けている。
そして、この走行装置は、走行レール2の側部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容している。
【0023】
磁気スケールは、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設け、スケール部1に対するヘッド部3の相対的変位量を検出することにより、車両4の位置を特定することができる。
【0024】
走行レール2は、床に1本あるいは2本設置されており、例えば、スタッカクレーン等の車両4がその上を車輪41により走行する。
一方の走行レール2の側部には、図3(a)に示すように、長手方向に浅い凹溝5が形成されており、該凹溝5には、スケール部1が両面粘着テープあるいは接着剤11により直接固定されている。
【0025】
ヘッド部3は、車両4からステー42を介してスケール部1と対向するように配設されており、車両4の走行により、スケール部上を移動する。
【0026】
かくして、本第1実施例の走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けた走行装置において、走行レール2の一部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容することから、従来のブラケットを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができ、また、凹溝5は、アルミ押出材からなる走行レール2に容易に形成することができ、さらに真っ直ぐに安定した状態でスケール部1を収容することができる。
【実施例2】
【0027】
図1〜図2及び図3(b)に、本発明の走行装置の第2実施例を示す。
この走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けている。
そして、この走行装置は、走行レール2の側部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容している。
【0028】
磁気スケールは、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設け、スケール部1に対するヘッド部3の相対的変位量を検出することにより、車両4の位置を特定することができる。
【0029】
走行レール2は、床に1本あるいは2本設置されており、例えば、スタッカクレーン等の車両4がその上を車輪41により走行する。
一方の走行レール2の側部には、長手方向に浅い凹溝5が形成されており、該凹溝5の入口には、スケール部1を保持する爪状の突部51が形成され、スケール部1の脱落を防いでいる。
【0030】
ヘッド部3は、車両4からステー42を介してスケール部1と対向するように配設されており、車両4の走行により、スケール部上を移動する。
【0031】
かくして、本第2実施例の走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けた走行装置において、走行レール2の一部にスケール部の脱落防止用の突起を有する凹溝5を長手方向に形成し、該凹溝5にスケール部1を収容することから、従来のブラケットを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができ、また、凹溝5及び脱落防止用の突起は、アルミ押出材からなる走行レール2に容易に形成することができ、さらに真っ直ぐに安定した状態でスケール部1を収容することができる。
【実施例3】
【0032】
図1〜図2及び図3(c)に、本発明の走行装置の第3実施例を示す。
この走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けている。
そして、この走行装置は、走行レール2の側部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容するとともに、平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に設置している。
【0033】
磁気スケールは、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設け、スケール部1に対するヘッド部3の相対的変位量を検出することにより、車両4の位置を特定することができる。
【0034】
走行レール2は、床に1本あるいは2本設置されており、例えば、スタッカクレーン等の車両4がその上を車輪41により走行する。
一方の走行レール2の側部には、長手方向に浅い凹溝5が形成されている。
【0035】
カバー6は、凹溝5より幅広の薄い平板状をなし、ビス、接着あるいは嵌合等により、走行レール2の側部に固定される。
カバー6は、スケール部1に近接して走行レール2に取り付けられており、これにより、スケール部1の浮き上がりを防止するとともに、検出面の傷つきを防止している。
【0036】
ヘッド部3は、車両4からステー42を介してスケール部1と対向するように配設されており、車両4の走行により、スケール部上を移動する。
【0037】
かくして、本第3実施例の走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けた走行装置において、走行レール2の一部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容することから、従来のブラケットを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができ、また、凹溝5は、アルミ押出材からなる走行レール2に容易に形成することができ、さらに真っ直ぐに安定した状態でスケール部1を収容することができる。
【0038】
この場合、平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に設置することにより、従来のカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減するとともに、スケール部1の検出面を保護し、かつスケール部1の浮き上がりを防止することができる。
【実施例4】
【0039】
図1〜図2及び図3(c)に、本発明の走行装置の第4実施例を示す。
この走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けている。
そして、この走行装置は、走行レール2の側部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容するとともに、非磁性材料からなる平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に設置している。
【0040】
磁気スケールは、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設け、スケール部1に対するヘッド部3の相対的変位量を検出することにより、車両4の位置を特定することができる。
【0041】
走行レール2は、床に1本あるいは2本設置されており、例えば、スタッカクレーン等の車両4がその上を車輪41により走行する。
一方の走行レール2の側部には、長手方向に浅い凹溝5が形成されている。
【0042】
カバー6は、凹溝5より幅広の薄い平板状をなし、ビス、接着あるいは嵌合等により、走行レール2の側部に固定される。
カバー6は、スケール部1に近接して走行レール2に取り付けられており、これにより、スケール部1の浮き上がりを防止するとともに、検出面の傷つきを防止している。
【0043】
ヘッド部3は、車両4からステー42を介してスケール部1と対向するように配設されており、車両4の走行により、スケール部上を移動する。
ヘッド部3とスケール部1の間にはカバー6が存在するが、カバー6は非磁性材料からなるため、スケール部1の磁気目盛りの読み取りに支障はない。
【0044】
かくして、本第4実施例の走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けた走行装置において、走行レール2の一部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容することから、従来のブラケットを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができ、また、凹溝5は、アルミ押出材からなる走行レール2に容易に形成することができ、さらに真っ直ぐに安定した状態でスケール部1を収容することができる。
【0045】
この場合、非磁性材料からなる平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に設置することにより、従来のカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減するとともに、スケール部1の検出面を保護し、かつスケール部1の浮き上がりを防止することができる。
【実施例5】
【0046】
図1〜図2及び図3(c)に、本発明の走行装置の第5実施例を示す。
この走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けている。
そして、この走行装置は、走行レール2の側部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容するとともに、合成樹脂からなる平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に設置している。
【0047】
磁気スケールは、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設け、スケール部1に対するヘッド部3の相対的変位量を検出することにより、車両4の位置を特定することができる。
【0048】
走行レール2は、床に1本あるいは2本設置されており、例えば、スタッカクレーン等の車両4がその上を車輪41により走行する。
一方の走行レール2の側部には、長手方向に浅い凹溝5が形成されている。
【0049】
カバー6は、凹溝5より幅広の薄い平板状をなし、ビス、接着あるいは嵌合等により、走行レール2の側部に固定される。
カバー6は、合成樹脂の金型成形で製造することができ、標準化することにより量産効果が大きく、また、嵌合による着脱式であるため、取付工数も大幅な低減となる。
カバー6は、スケール部1に近接して走行レール2に取り付けられており、これにより、スケール部1の浮き上がりを防止するとともに、検出面の傷つきを防止している。
【0050】
ヘッド部3は、車両4からステー42を介してスケール部1と対向するように配設されており、車両4の走行により、スケール部上を移動する。
ヘッド部3とスケール部1の間にはカバー6が存在するが、カバー6は合成樹脂からなるため、スケール部1の磁気目盛りの読み取りに支障はない。
【0051】
かくして、本第5実施例の走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けた走行装置において、走行レール2の一部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容することから、従来のブラケットを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができ、また、凹溝5は、アルミ押出材からなる走行レール2に容易に形成することができ、さらに真っ直ぐに安定した状態でスケール部1を収容することができる。
【0052】
この場合、合成樹脂からなる平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に設置することにより、量産効果のある合成樹脂製カバーにより従来のカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減するとともに、スケール部1の検出面を保護し、かつスケール部1の浮き上がりを防止することができる。
【実施例6】
【0053】
図1〜図2及び図3(c)に、本発明の走行装置の第6実施例を示す。
この走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けている。
そして、この走行装置は、走行レール2の側部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容するとともに、平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に着脱可能に嵌着している。
【0054】
磁気スケールは、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設け、スケール部1に対するヘッド部3の相対的変位量を検出することにより、車両4の位置を特定することができる。
【0055】
走行レール2は、床に1本あるいは2本設置されており、例えば、スタッカクレーン等の車両4がその上を車輪41により走行する。
一方の走行レール2の側部には、長手方向に浅い凹溝5が形成されている。
また、凹溝5の両側には、チャネル状のカバー取付溝7が形成されており、該カバー取付溝7には、カバー6の裏面から突出する2条の爪部61が嵌合により着脱可能に固定されている。
【0056】
カバー6は、凹溝5より幅広の薄い平板状をなし、裏面の両側に2条の爪部61をそれぞれ備えている。この爪部61は、カバー6の長手方向に連続して形成してもよく、また断続的に形成することもできる。
カバー6は、スケール部1に近接して走行レール2に取り付けられており、これにより、スケール部1の浮き上がりを防止するとともに、検出面の傷つきを防止している。
【0057】
ヘッド部3は、車両4からステー42を介してスケール部1と対向するように配設されており、車両4の走行により、スケール部上を移動する。
ヘッド部3とスケール部1の間にはカバー6が存在するが、カバー6は合成樹脂からなるため、スケール部1の磁気目盛りの読み取りに支障はない。
【0058】
かくして、本第6実施例の走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けた走行装置において、走行レール2の一部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容することから、従来のブラケットを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができ、また、凹溝5は、アルミ押出材からなる走行レール2に容易に形成することができ、さらに真っ直ぐに安定した状態でスケール部1を収容することができる。
【0059】
この場合、平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に着脱可能に嵌着することにより、従来のカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減するとともに、スケール部1の検出面を保護し、かつスケール部1の浮き上がりを防止することができる。
【実施例7】
【0060】
図1〜図2及び図3(c)に、本発明の走行装置の第7実施例を示す。
この走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けている。
そして、この走行装置は、走行レール2の側部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容するとともに、平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に設置している。
【0061】
磁気スケールは、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設け、スケール部1に対するヘッド部3の相対的変位量を検出することにより、車両4の位置を特定することができる。
【0062】
走行レール2は、床に1本あるいは2本設置されており、例えば、スタッカクレーン等の車両4がその上を車輪41により走行する。
一方の走行レール2の側部には、長手方向に浅い凹溝5が形成されており、該凹溝5には、スケール部1が両面粘着テープあるいは接着剤(図示省略)により直接固定されている。
【0063】
カバー6は、凹溝5より幅広の薄い平板状をなし、ビス、接着あるいは嵌合等により、走行レール2の側部に固定される。
カバー6は、合成樹脂の金型成形で製造することができ、標準化することにより量産効果が大きく、また、嵌合による着脱式であるため、取付工数も大幅な低減となる。
カバー6は、スケール部1に近接して走行レール2に取り付けられており、これにより、スケール部1の浮き上がりを防止するとともに、検出面の傷つきを防止している。
【0064】
ヘッド部3は、車両4からステー42を介してスケール部1と対向するように配設されており、車両4の走行により、スケール部上を移動する。
ヘッド部3とスケール部1の間にはカバー6が存在するが、カバー6は合成樹脂からなるため、スケール部1の磁気目盛りの読み取りに支障はない。
【0065】
かくして、本第7実施例の走行装置は、磁気目盛りが装着されたスケール部1を走行レール2側に設けるとともに、該スケール部1の磁気目盛りを読み取るヘッド部3を車両4側に設けた走行装置において、走行レール2の一部に長手方向に凹溝5を形成し、該凹溝5にスケール部1を収容することから、従来のブラケットを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減することができ、また、凹溝5は、アルミ押出材からなる走行レール2に容易に形成することができ、さらに真っ直ぐに安定した状態でスケール部1を収容することができる。
【0066】
この場合、合成樹脂からなる平板状のカバー6を、凹溝5を被覆するように走行レール2に設置することにより、従来のカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減するとともに、スケール部1の検出面を保護し、かつスケール部1の浮き上がりを防止することができる。
【0067】
以上、本発明の走行装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、実施例に記載した構成を適宜組み合わせるなど、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の走行装置は、スケール部のブラケットやカバーを省略して、その材料費や加工費、取付工数に要したコストを削減するという特性を有していることから、スタッカクレーンの用途に好適に用いることができるほか、例えば、有軌道の無人搬送装置の用途にも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の走行装置の概要を示す要部拡大断面図である。
【図2】同走行装置を示し、(a)は(b)のA−A線断面図、(b)は走行装置の平面図、(c)は同側面図である。
【図3】同走行装置を示し、(a)は第1実施例の要部拡大断面図、(b)は第2実施例の要部拡大断面図、(c)は第3〜第7実施例を示す要部拡大断面図である。
【図4】従来の走行装置を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 スケール部
11 両面粘着テープ又は接着剤
2 走行レール
3 ヘッド部
4 車両
41 車輪
42 ステー
5 凹溝
51 突部
6 カバー
61 爪部
7 カバー取付溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気目盛りが装着されたスケール部を走行レール側に設けるとともに、該スケール部の磁気目盛りを読み取るヘッド部を車両側に設けた走行装置において、走行レールの一部に長手方向に凹溝を形成し、該凹溝にスケール部を収容したことを特徴とする走行装置。
【請求項2】
感圧性粘着テープ又は接着剤によりスケール部を凹溝に固定したことを特徴とする請求項1記載の走行装置。
【請求項3】
凹溝の入口にスケール部を保持する突部を形成し、該突部によりスケール部を凹溝に固定したことを特徴とする請求項1又は2記載の走行装置。
【請求項4】
凹溝を被覆する平板状のカバーによりスケール部を凹溝に固定したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の走行装置。
【請求項5】
カバーの材質として非磁性材料を用いたことを特徴とする請求項4記載の走行装置。
【請求項6】
非磁性材料として合成樹脂を用いたことを特徴とする請求項5記載の走行装置。
【請求項7】
カバーに爪部を設けて走行レールに着脱可能に嵌着したことを特徴とする請求項4、5又は6記載の走行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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