説明

走行軌跡生成装置

【課題】 車両の走行軌跡を求める際に反復計算の途中で計算が頓挫して走行軌跡が求められなくなるという事態を防止することができる走行軌跡生成方法および走行軌跡生成装置を提供する。
【解決手段】 走行軌跡生成部12は、走行パターン記憶部14において、直進路、カーブ路のそれぞれに応じた走行パターンをあらかじめ記憶している。直進路走行軌跡生成部15では、直進路走行パターンおよび各センサ21〜25から送信される各種信号に基づいて、直進路における走行軌跡である直進路走行軌跡を生成する。カーブ路走行軌跡生成部16では、走行パターン記憶部14から読み出したカーブ路走行パターンおよび各センサ21〜25から送信される各種信号に基づいて、カーブ路における走行軌跡であるカーブ路走行軌跡を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両などの移動体が走行する際の好適な軌跡を生成する走行軌跡生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体、たとえば車両がコーナーを走行する際、そのコーナーを最短時間で走行する通過する軌跡を生成する手法の最適化手法として、最短時間コーナリング法が提案されている(たとえば、非特許文献1)。この最短時間コーナリング法は、タイヤの摩擦係数やエンジン出力などのモデルおよび自動車が走行するコーナーをそれぞれ定式化する。モデルやコーナーの定式化に当たっては、不等式による拘束条件(以下「不等式状態量拘束条件」という)を設定する。そして、不等式状態量拘束条件から最適解を求めて走行軌跡を生成するというものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】藤岡健彦、江守大昌:自動車技術会論文集 Vol.24,No.3,July 1993,p106−111 ”最短時間コーナリング法に関する理論的研究”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、不等式状態量拘束条件を用いた最適化手法から走行ラインを生成する場合、走行軌跡を求める際に軌跡を離散化したすべてのメッシュ点に対して道路にはみ出ないための不等式状態量拘束条件を設定している。不等式状態量拘束条件を用いた最適化手法では、車両が道路の端をかすめるラインが解である場合、反復計算の途中で等式が成立した場合には計算が途中で頓挫して解が求められない、いわゆる0割が発生することとなる。最適解の軌跡が何カ所でかすめるかをあらかじめ把握していないと、0割が発生したきに反復計算の中で行列の条件数が悪化し、逆行列が求められなくなることから、最適解に辿り着くことができないことがある。
【0005】
しかし、上記非特許文献1に開示された最短時間コーナリング法においても、不等式状態量拘束条件を用いて最適解を求めている。このため、車両が道路の端をかすめるラインが最適解であり、かつ端をかすめる箇所の数が予め十分に判っていないような場合においては、0割が発生して反復計算の途中で計算が頓挫して最適解に辿り着くことができないことがあるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、車両の走行軌跡を求める際に反復計算の途中で計算が頓挫して走行軌跡が求められなくなるという事態を防止することができる走行軌跡生成方法および走行軌跡生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明に係る走行軌跡生成方法は、所定の走路を走行する際の走行軌跡を生成する走行軌跡生成方法であって、走路に対する所定の走行条件および所定の走行条件を満たす際の走行パターンをあらかじめ設定しておき、所定の走路が所定の走行条件を満たす際に、走行パターンに基づいて、所定の走路を走行する際の走行軌跡を生成することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る走行軌跡生成方法においては、走路に対する所定の走行条件および所定の走行条件を満たす際の走行パターンをあらかじめ設定しておき、所定の走路が所定の走行条件を満たす際に、走行パターンに基づいて、所定の走路を走行する際の走行軌跡を生成している。このため、あらかじめ設定された走行パターンを利用して走行軌跡を生成することができるので、車両が道路の端をかすめるラインが走行ラインとなることを少なくすることができる。したがって、車両の走行軌跡を求める際に反復計算の途中で計算が頓挫して走行軌跡が求められなくなるという事態を防止することができる。
【0009】
ここで、所定の走行条件がカーブ路であり、走行パターンがカーブ路に進入する際の進入ライン、カーブ路から抜け出す際の脱出ラインを走行し、カーブ路における通過点を所定の進行方向に走行するパターンである態様とすることができる。
【0010】
このように、走行条件がカーブ路である場合には、走行パターンを進入ライン、脱出ラインを走行し、カーブ路における通過点を所定の進行方向に走行するパターンとすることにより、カーブ路を走行する際の走行軌跡を精度よく生成することができる。
【0011】
また、所定の走行条件が直進路であり、走行パターンが直進路に進入する際の進入点と、直進路から抜け出す際の脱出点とを、通過して走行するパターンである態様とすることができる。
【0012】
このように、走行条件が進路である場合には、走行パターンを進入点と脱出点とを通過する走行パターンとすることにより、直進路を走行する際の走行軌跡を精度よく生成することができる。
【0013】
他方、上記課題を解決した本発明に係る走行軌跡生成装置は、所定の走路を走行する際の走行軌跡を生成する走行軌跡生成装置であって、走路に対する所定の走行条件および所定の走行条件を満たす際の走行パターンを記憶する走行パターン記憶部と、所定の走路が所定の走行条件を満たす際に、走行パターンに基づいて、所定の走路を走行する際の走行軌跡を生成する走行軌跡生成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る走行軌跡生成方法および走行軌跡生成装置によれば車両の走行軌跡を求める際に反復計算の途中で計算が頓挫して走行軌跡が求められなくなるという事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る走行軌跡生成装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る走行軌跡生成装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】(a)は、直進路の例を示す図、(b)は、直進路における走行軌跡の生成に利用する条件および走行軌跡の例を示す図である。
【図4】(a)は、カーブ路の例を示す図、(b)は、カーブ路における走行軌跡の生成に利用する条件を示す図である。
【図5】カーブ路における走行軌跡の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0017】
本実施の形態に係る走行軌跡生成装置は、最適化処理によって最適な走行軌跡を生成する。また、走行軌跡生成装置は、生成した走行軌跡に沿って走行するように加減速制御および操舵制御を行う。生成される走行軌跡は、位置(x座標,y座標)、車速パターン(vx,vy)、加速度パターン(ax,ay)、ヨー角、ヨーレートなどの車両の走行に必要な多数のパラメータから構成される。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る走行軌跡生成装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る走行軌跡生成となる走行軌跡生成ECU1は、道路形状取得部11、走行軌跡生成部12、および走行制御部13を備えている。また、走行軌跡生成部12には、走行パターン記憶部14、直進路走行軌跡生成部15およびカーブ路走行軌跡生成部16が設けられている。
【0019】
また、走行軌跡生成ECU1には、ヨーレートセンサ21、Gセンサ22、車輪速センサ23、GPS[Global Positioning System]センサ24、白線検知センサ25、およびナビゲーションシステム26が接続されている。また、走行軌跡生成ECU1には、操舵アクチュエータ31、スロットルアクチュエータ32、およびブレーキアクチュエータ33が接続されている。
【0020】
走行軌跡生成ECU1は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などからなり、走行軌跡生成装置を統括制御する電子制御ユニットである。走行軌跡生成ECU1では、一定時間毎に、各センサ21〜25およびナビゲーションシステム26からの各信号を受信する。走行軌跡生成ECU1は、走行軌跡最適化処理などを行って最適な走行軌跡を生成する。さらに、走行軌跡生成ECU1は、生成した最適な走行軌跡に基づいて車両制御処理を行い、操舵アクチュエータ31、スロットルアクチュエータ32、およびブレーキアクチュエータ33を制御する。
【0021】
ヨーレートセンサ21は、自車両で発生しているヨーレートを検出するセンサである。ヨーレートセンサ21は、検出したヨーレートをヨーレート信号として走行軌跡生成ECU1に送信する。Gセンサ22は、自車両に作用している横加速度や前後加速度を検出するセンサである。Gセンサ22は、検出した加速度をG信号として走行軌跡生成ECU1に送信する。
【0022】
車輪速センサ23は、車両の4輪にそれぞれ設けられ、車輪の回転速度(車輪の回転に応じたパルス数)を検出するセンサである。車輪速センサ23では、所定時間毎の車輪の回転パルス数を検出し、その検出した車輪回転パルス数を車輪速信号として走行軌跡生成ECU1に送信する。走行軌跡生成ECU1は、各車輪の回転速度から車輪速をそれぞれ演算し、各輪の車輪速から車体速(車速)を演算して取得する。
【0023】
GPSセンサ24は、GPSアンテナや処理装置などを備えており、自車両の位置などを推定するセンサである。GPSセンサ24では、GPSアンテナでGPS衛星からのGPS信号を受信する。GPSセンサ24では、処理装置でそのGPS信号を復調し、その復調された各GPS衛星の位置データに基づいて自車両の位置などを演算する。そして、GPSセンサ24では、自車両の位置などを示すGPS情報信号を走行軌跡生成ECU1に送信する。ちなみに、現在位置を演算するためには3つ以上のGPS衛星の位置データが必要となるで、GPSセンサ24では、異なる3つ以上のGPS衛星からのGPS信号をそれぞれ受信している。
【0024】
白線検知センサ25は、カメラや画像処理装置を備えており、一対の白線(車線)を検知するセンサである。白線検知センサ25では、カメラで自車両の前方の道路を撮像する。白線検知センサ25では、画像処理装置で撮像画像から車両が走行している車線を示す白線を認識し、認識した白線から自車両が走行する道路の道路形状を取得する。ここでの道路形状としては、車線幅、車線の中心線、カーブの中心、カーブ半径Rなどが含まれる。さらに、白線検知センサ25は、自車両のヨー角、および道路に対するオフセット位置などを車両状態として演算によって取得する。白線検知センサ25は、取得した道路形状、および車両状態を白線検知信号として走行軌跡生成ECU1に送信する。
【0025】
ナビゲーションシステム26は、自車両の現在位置の検出および目的地までの経路案内などを行うシステムである。特に、ナビゲーションシステム26では、地図データベースから現在走行中の道路の道路形状情報を読み出し、その道路形状情報をナビ信号として走行軌跡生成ECU1に送信する。なお、ナビゲーションシステムを備えない車両の場合、少なくとも道路形状情報を少なくとも格納した地図データベースを備える構成としてもよいし、あるいは、路車間通信などを利用して道路形状情報を取得する構成としてもよい。
【0026】
走行軌跡生成ECU1における道路形状取得部11は、白線検知センサ25から送信される白線検知信号およびナビゲーションシステム26から送信されるナビ信号に基づいて、自車両が走行する道路の道路形状を取得する。道路形状取得部11は、取得した道路形状を走行軌跡生成部12に出力する。
【0027】
走行軌跡生成部12における走行パターン記憶部14は、道路形状に応じた走行パターンをあらかじめ記憶している。ここでの走行パターンとしては、走行条件として、直進路を走行する場合の走行パターンとカーブ路を走行する場合との走行パターンをテンプレートとしてそれぞれ記憶している。走行パターン記憶部14は、直進路走行軌跡生成部15およびカーブ路走行軌跡生成部16の読み出しに応じて、記憶している走行パターンを直進路走行軌跡生成部15およびカーブ路走行軌跡生成部16に出力する。
【0028】
直進路走行軌跡生成部15は、道路形状生成部12から出力された道路形状が直進路である場合に、走行パターン記憶部14から直進路に応じた走行パターンである直進路走行パターンを読み出す。直進路走行軌跡生成部15では、走行パターン記憶部14から読み出した直進路走行パターンおよび各センサ21〜25から送信される各種信号に基づいて、直進路における走行軌跡である直進路走行軌跡を生成する。直進路走行軌跡生成部15は、生成した直進路走行軌跡を走行制御部13に出力する。
【0029】
カーブ路走行軌跡生成部16は、道路形状生成部12から出力された道路形状がカーブ路である場合に、走行パターン記憶部14からカーブ路に応じた走行パターンであるカーブ路走行パターンを読み出す。カーブ路走行軌跡生成部16では、走行パターン記憶部14から読み出したカーブ路走行パターンおよび各センサ21〜25から送信される各種信号に基づいて、カーブ路における走行軌跡であるカーブ路走行軌跡を生成する。カーブ路走行軌跡生成部16は、生成したカーブ路走行軌跡を走行制御部13に出力する。
【0030】
走行制御部13は、直進路走行軌跡生成部15およびカーブ路走行軌跡生成部16から出力される直進路走行軌跡およびカーブ路走行軌跡に基づいて、各アクチュエータ31〜33の制御量を算出する。走行制御部13は、算出した制御量を操舵制御信号、エンジン制御信号、およびブレーキ制御信号として各アクチュエータ31〜33に対してそれぞれ送信する。
【0031】
操舵アクチュエータ31は、減速機構を介してモータによる回転駆動力をステアリング機構(ラック、ピニオン、コラムなど)に伝達し、ステアリング機構に操舵トルクを付与するためのアクチュエータである。操舵アクチュエータ31では、走行軌跡生成ECU1から操舵制御信号を受信すると、操舵制御信号に応じてモータが回転駆動して操舵トルクを発生させる。
【0032】
スロットルアクチュエータ32は、駆動源の一つであるエンジンのスロットルバルブの開度を調整するアクチュエータである。スロットルアクチュエータ32では、走行軌跡生成ECU1からのエンジン制御信号を受信すると、エンジン制御信号に応じて作動し、スロットルバルブの開度を調整する。
【0033】
ブレーキアクチュエータ33は、各車輪のホイールシリンダのブレーキ油圧を調整するアクチュエータである。ブレーキアクチュエータ33では、走行軌跡生成ECU1からのブレーキ制御信号を受信すると、ブレーキ制御信号に応じて作動し、ホイールシリンダのブレーキ油圧を調整する。
【0034】
次に、本実施形態に係る走行軌跡生成装置における処理手順について説明する。図2は、本実施形態に係る走行軌跡生成装置の処理手順を示すフローチャートである。図2に示すように、本実施形態に係る走行軌跡生成装置においては、まず、各センサ21〜25から送信される各種信号を受信する(S1)。
【0035】
次に、道路形状取得部11において、白線検知信号およびナビ信号に基づいて、自車両が走行する道路の道路形状を取得する(S2)。ここでは、道路形状が直進路であるかカーブ路であるかを判断し、直進路である場合には、直線の幅、距離、座標などの情報を道路形状として取得する。また、カーブ路である場合には、カーブ前後の直線、カーブの中心点、カーブ半径Rを道路形状として取得する。
【0036】
続いて、取得した道路形状が直進路であるかカーブ路であるかを判断する(S3)。その結果、取得した道路形状が直進路である場合には、直進路走行軌跡生成部15において、直進路走行軌跡を生成する(S4)。直進路走行軌跡を生成する際には、直進路走行軌跡生成部15は、走行パターン記憶部14から直進路走行パターンを読み出す。
【0037】
直進路走行パターンは、直進路の入口側境界線上における任意の点および直進路の出口側境界線上における任意の点を通過するパターンである。図3(a)に示すように、X−Y座標上において、道路形状が道路幅W、道路長さWLの直進路SRである場合には、図3(b)に示すように、直進路SRにおける入口側境界線IB上の任意の点である入口側設定点P1および出口側境界線OB上の任意の点である出口側設定点P2を設定する。図3(a)では、車両の進行方向DはX軸に沿った方向とされている。
【0038】
それから、設定した入口側設定点P1および出口側設定点P2の座標、入口側設定点P1と出口側設定点P2とを結んだ方位角などを軌跡生成の入力条件に設定する。そして、直進路走行軌跡生成部15は、これらの入力条件を用いることによって、直進路走行軌跡SLを生成する。
【0039】
直進路走行軌跡を生成する際には、走行軌跡最適化処理を用いることができる。この最適化処理のための手法としては、どのような手法を用いてよく、たとえば、非特許文献1で開示されているSCGRA[Sequential ConjugateGradient Restoration Algorithm]を用いることができる。SCGRAでは、拘束条件を満たすまで最急降下法に基づいて収束演算し、評価関数の評価値が最小となるまで共役勾配法に基づいて収束演算する。拘束条件は、車両の走行において絶対に守らなければならない条件である。評価関数は、車両の走行において重視する条件を評価するための関数である。
【0040】
また、取得した道路形状がカーブ路であると判断した場合には、カーブ路走行軌跡生成部16において、カーブ路走行軌跡を生成する(S5)。カーブ路走行軌跡を生成する際には、カーブ路走行軌跡生成部16は、走行パターン記憶部14からカーブ路走行パターンを読み出す。
【0041】
カーブ路走行パターンは、カーブ路への進入ラインおよびカーブ路からの脱出ライン、カーブ路の入口と出口との中間点近傍における通過点を通過するパターンである。たとえば、図4(a)に示すように、X−Y座標上において、道路形状が、カーブ中心点Oに対して外径OR、内径IR、道路幅Wのカーブ路CRである場合には、図4(b)に示すように、カーブ路CRにおける進入ラインL1および脱出ラインL2を設定する。さらには、カーブ路における入口および出口の中間点とのなす角度θが±10deg程度の範囲内に通過点P3を設定する。
【0042】
さらには、通過点P3における進行方向を設定する。通過点P3における進行方向は、通過点P3とカーブ中心点Oとを結んだ線に直交する方向に設定する。この通過点P3を通過し、進行方向を示す基準ラインBLに接する円弧状の軌跡の半径をカーブ内径と外形の範囲内で設定する。
【0043】
それから、入口側境界線IBと進入ラインL1との交点、出口側境界線OBと脱出ラインL2との交点、および通過点の各座標、さらには方位角などの軌跡生成のための入力条件を設定する。この際、さらに入口側境界線IBから通過点CP3までのハンドルの操作性を、切り増しと保舵のみにより構成されるように設定したり、通過点CP3から出口側境界線OBまでのハンドル操作性を、切り戻しと保舵のみにより構成されるように設定したりすると、より好ましい。そして、カーブ路走行軌跡生成部16は、これらの入力条件を用いることによって、カーブ路走行軌跡を生成する。こうしてカーブ路走行軌跡を生成することにより、カーブ路の枠内に収まるカーブ路走行軌跡を得ることができる。カーブ路走行軌跡を生成する際には、直進路走行軌跡を生成する場合と同様、たとえば走行軌跡最適化処理を用いることができる。カーブ路走行軌跡としては、たとえば、図5に示す軌跡Tを得ることができる。
【0044】
直進路走行軌跡およびカーブ路走行軌跡を生成したら、走行制御部13において、各アクチュエータ31〜33の制御量を算出する(S6)。その後、算出した制御量に応じた操舵制御信号、エンジン制御信号、およびブレーキ制御信号を各アクチュエータ31〜33に対してそれぞれ送信する。こうして、走行軌跡生成装置による処理を終了する。
【0045】
このように、本実施形態に係る走行軌跡生成装置においては、直進路およびカーブ路を走行する際の走行パターンをあらかじめ設定しておき、走行パターンに基づいて走行軌跡を生成するようにしている。このため、最適化処理を行って最適な走行軌跡を生成する際に、走行軌跡が道路幅内に収まるようにすることができ、最適化処理における反復計算を行う際に車両が直進路やカーブ路の端をかすめるラインが走行軌跡となることを少なくすることができる。したがって、車両の走行軌跡を求める際に反復計算の途中で計算が頓挫して走行軌跡が求められなくなるという事態を防止することができる。
【0046】
また、本実施形態に係る走行軌跡生成装置においては、直進路とカーブ路とのそれぞれに対して走行パターンを設定している。このため、直進路およびカーブ路のそれぞれに応じた走行軌跡を精度よく生成することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…走行軌跡生成ECU、11…道路形状取得部、12…走行軌跡生成部、13…走行制御部、14…走行パターン記憶部、15…直進路走行軌跡生成部、16…カーブ路走行軌跡生成部、21…ヨーレートセンサ、22…Gセンサ、23…車輪速センサ、24…GPSセンサ、25…白線検知センサ、26…障害物検知センサ、26…ナビゲーションシステム、31…操舵アクチュエータ、32…スロットルアクチュエータ、33…ブレーキアクチュエータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の走路を走行する際の走行軌跡を生成する走行軌跡生成方法であって、
走路に対する所定の走行条件を満たす際の走行パターンをあらかじめ設定しておき、
前記所定の走路が前記所定の走行条件を満たす際に、前記走行パターンに基づいて、前記所定の走路を走行する際の走行軌跡を生成することを特徴とする走行軌跡生成方法。
【請求項2】
前記所定の走行条件がカーブ路の走行であり、
前記走行パターンが前記カーブ路に進入する際の進入ライン、前記カーブ路から抜け出す際の脱出ラインを走行し、前記カーブ路における通過点を所定の進行方向に走行するパターンである請求項1に記載の走行軌跡生成方法。
【請求項3】
前記所定の走行条件が直進路の走行であり、
前記走行パターンが前記直進路に進入する際の進入点と、前記直進路から抜け出す際の脱出点とを、通過して走行するパターンである請求項1に記載の走行軌跡生成方法。
【請求項4】
所定の走路を走行する際の走行軌跡を生成する走行軌跡生成装置であって、
走路に対する所定の走行条件および前記所定の走行条件を満たす際の走行パターンを記憶する走行パターン記憶部と、
前記所定の走路が前記所定の走行条件を満たす際に、前記走行パターンに基づいて、前記所定の走路を走行する際の走行軌跡を生成する走行軌跡生成部と、
を備えることを特徴とする走行軌跡生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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