説明

起泡性水中油型乳化油脂組成物

【課題】ラウリン系油脂とSUS型トリグリセリドを使用する起泡性水中油型乳化油脂組成物において、口溶け、乳化安定性が良好で、起泡した際のシマリ現象、モドリ現象を共に抑制できる起泡性水中油型乳化油脂組成物及び該組成物を用いたホイップクリームを提供すること。
【解決手段】起泡性水中油型乳化油脂組成物は(A)トリグリセリド組成において、SUS型トリグリセリドの占める割合が10〜60質量%(B)構成脂肪酸組成において、炭素数6〜14の脂肪酸の占める割合が20〜60質量%(C)ヨウ素価52〜75のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の含有量が油相中10〜50質量%(D)極度硬化油脂を1〜40質量%含有し、脂肪酸組成において炭素数6〜14の脂肪酸含量が20〜80%である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の含有量が油相中5〜30質量%、を全て満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィリング用、サンド用、トッピング用、ナッペ用、センター用のホイップクリーム、コーヒーホワイトナー、食品の練り込み用クリーム等として食品に用いることができる起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
起泡性水中油型乳化油脂組成物やホイップクリームにおいて、口溶けの向上を目的として、シャープな口溶けを呈するラウリン系油脂やSUS(Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸を示し、Uは炭素数16以上の一価不飽和脂肪酸を示す)型トリグリセリドを使用する方法が広く知られている。
【0003】
しかし、ラウリン系油脂やSUS型トリグリセリドを多く含有させた起泡性水中油型乳化油脂組成物では、乳化安定性が悪くボテ現象(流動性を失う現象)が発生しやすいという問題があることに加え、ラウリン系油脂を多く含有する起泡性水中油型乳化油脂組成物を使用したホイップクリームはシマリ現象(経時的に硬くなる現象)が生じやすいという問題があり、一方、SUS型トリグリセリドを多く含有する起泡性水中油型乳化油脂組成物を使用したホイップクリームはモドリ現象(経時的に液状化する現象)が生じやすいという問題があった。
【0004】
そこで、起泡性水中油型乳化油脂組成物において、これらの2種の油脂を併用することで双方の問題を補完しあう方法として、油脂中にSUS型トリグリセリドを25質量%以上、ラウリン系油脂を5〜60質量%の割合で含み、SFCを特定範囲とする方法(例えば特許文献1参照)や、油脂中にSUS型トリグリセリドを10〜70質量%、ラウリン系油脂を2〜45質量%、乳脂を10〜75質量%含有させる方法(例えば特許文献2参照)や、油脂中にラウリン系油脂を60質量%超、SUS型トリグリセリドを5〜20質量%の割合で含み、SFCを特定範囲とする方法(例えば特許文献3参照)が提案されている。
【0005】
しかし、この2種の油脂は相溶性が極めて悪いことから、この2種の油脂を併用した場合、得られるホイップクリームの耐熱保型性が低下するという問題があり、そのため起泡性水中油型乳化油脂組成物においては、その配合比率は、そのどちらかが多くどちらかが少ないという限定されたものとなってしまい、例えば、特許文献1の方法は、SUS型トリグリセリドを多く配合するためには、ラウリン系油脂の配合量は少なくする必要があり、反対に特許文献3の方法は、ラウリン系油脂を多く配合するためには、SUS型トリグリセリドの配合量は少なくする必要があった。また、特許文献2の方法は、乳脂を配合することによりSUS型トリグリセリドを多く配合することは可能であるがラウリン系油脂の配合量を更に少なくする必要があった。
【0006】
このように、従来の、これらの2種の油脂を併用した起泡性水中油型乳化油脂組成物では、上述の問題が十分に解決されたものとはならなかった。
【0007】
更に、近年では低カロリー化の要請から、起泡性水中油型乳化油脂組成物において通常は45質量%程度である油分含有量を削減する傾向があり、このような低油分含有量の起泡性水中油型乳化油脂組成物では、得られるホイップクリームの耐熱保型性が更に悪化してしまうという問題もあった。
【0008】
そのため、各種の副原料を使用することでこの2種の油脂を互いに多く含有させて上記問題を改善する方法として、卵黄油を使用する方法(例えば特許文献4参照)が提案されている。しかし、この方法では、口溶けの悪化や卵黄類似の強い風味が感じられるという問題があった。
【0009】
よって、ラウリン系油脂やSUS型トリグリセリドを併用した起泡性水中油型乳化油脂組成物において、とくに低油分含有量の起泡性水中油型乳化油脂組成物であっても、また添加物を使用せずとも上記問題を解消する方法が求められていた。
【0010】
【特許文献1】特開平5−219887号公報
【特許文献2】特開平5−328928号公報
【特許文献3】特開平8−070807号公報
【特許文献4】特開平11−56282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、ラウリン系油脂及びSUS型トリグリセリドを併用する起泡性水中油型乳化油脂組成物において、口溶け、乳化安定性が良好で、起泡した際のシマリ現象、モドリ現象を共に抑制することができる起泡性水中油型乳化油脂組成物及び該起泡性水中油型乳化油脂組成物を用いたホイップクリームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、起泡性水中油型乳化油脂組成物に使用する油脂の配合について各種検討を行ったところ、ある特定のエステル交換油脂を2種併用することで上記問題を解決可能であることを知見した。
【0013】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、以下の(A)、(B)、(C)及び(D)の全ての条件を満たす起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することにより、上記目的を達成したものである。
(A):トリグリセリド組成において、SUS(Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸を示し、Uは炭素数16以上の一価不飽和脂肪酸を示す)で表されるトリグリセリドの占める割合が10〜60質量%である。
(B):構成脂肪酸組成において、炭素数6〜14の脂肪酸の占める割合が20〜60質量%である。
(C):ヨウ素価52〜75のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の含有量が油相中10〜50質量%である。
(D):極度硬化油脂を1〜40質量%含有し、脂肪酸組成において炭素数6〜14の脂肪酸含量が20〜80質量%である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の含有量が油相中5〜30質量%である。
【0014】
また、本発明は、上記起泡性水中油型乳化油脂組成物を起泡してなるホイップクリームを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、ラウリン系油脂及びSUS型トリグリセリドを共に多く含有する場合であっても、口溶けが良好で、且つ乳化安定性が良好で、ボテ現象が発生しにくい。
【0016】
また、本発明のホイップクリームは、シマリ現象及びモドリ現象が共に抑制され、口溶け及び耐熱保型性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物について好ましい実施形態に基づき詳細に説明する。
【0018】
先ず、本発明の(A)の条件について述べる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、トリグリセリド組成において、SUSで表されるトリグリセリド(以下、SUSともいう)の占める割合が、10〜60質量%であることが必要であり、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%である。本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物において、SUSの占める割合が10質量%未満であると、口溶けが悪化し冷涼感が損なわれるという問題があり、60質量%を超えるとボテ現象が発生しやすくなることに加え、得られるホイップクリームにモドリ現象が発生しやすいため好ましくない。
【0019】
構成脂肪酸組成において、SUSで表されるトリグリセリドの占める割合を上記割合とするためには、「SUSで表されるトリグリセリド」及び/又は「SUSを含有する油脂」を使用する。
【0020】
上記「SUSで表されるトリグリセリド」としては、天然に存在するSUSでも構わないし、分別により純度を上げたものでも構わない。更に、トリ飽和トリグリセリド(SSS)とトリ不飽和トリグリセリド(UUU)、又はトリ不飽和トリグリセリド(UUU)と飽和脂肪酸とをエステル交換し(酵素による選択的エステル交換が好ましい)、更に蒸留や分別によりSUSの純度を上げたもの等、どのような方法によって得られたものでも構わない。
【0021】
上記「SUSを含有する油脂」としては、例えば、パーム油、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、デュパー脂、モーラー脂、フルクラ脂、チャイニーズタロー等の各種植物油脂、これらの各種植物油脂を分別した加工油脂、並びに下記に記載するエステル交換油脂、該エステル交換油脂を分別した加工油脂を用いることができる。本発明では、これらの油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
上記エステル交換油脂としては、例えば、パーム油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油脂が挙げられる。エステル交換の方法としては、酵素を用いても、化学触媒を用いてもよく、またランダムエステル交換でも、1,3位置選択性のあるエステル交換でも構わない。
【0023】
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物においては、上記「SUSを含有する油脂」として、パーム油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂等の各種植物油脂、これらの各種植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油脂を使用することが好ましく、更に、トランス脂肪酸を含まない点において、水素添加した加工油脂を含有しない油脂を使用することが好ましく、中でも、パーム油や、パーム分別硬部油(パームステアリン)、パーム分別軟部油(パームオレイン、スーパーオレイン、ダブルオレイン)、パーム分別中部油等のパーム分別油、これらを用いて製造したエステル交換油脂のうちの1種又は2種以上を使用することが更に好ましく、パーム分別中部油を使用することが、より口溶けの良好であるホイップクリームが得られる点で最も好ましい。
【0024】
次に、本発明の(B)の条件について述べる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、構成脂肪酸組成において、炭素数6〜14の脂肪酸の占める割合が、20〜60質量%であることが必要であり、好ましくは40〜60質量%、より好ましくは40〜55質量%である。本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物において、炭素数6〜14の脂肪酸の占める割合が20質量%未満であると、良好な口溶けを得ることができず、60質量%を超えると、得られるホイップクリームにシマリ現象が発生しやすいため好ましくない。
【0025】
構成脂肪酸組成において、炭素数6〜14の脂肪酸の占める割合を上記割合とするためには、「炭素数6〜14の脂肪酸を含有する油脂」を使用する。
【0026】
上記「炭素数6〜14の脂肪酸を含有する油脂」としては、例えば、以下の(D)の条件で用いられるエステル交換油脂として述べる油脂(以下、油脂(D)ともいう)を挙げることができるが、それ以外にも、ヤシ油、パーム核油等の各種動植物油脂、並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂、更には、ヤシ油、パーム核油等の各種動植物油脂を含有する油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂であって、油脂(D)に該当しないエステル交換油脂が挙げられる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0027】
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物においては、上記「炭素数6〜14の脂肪酸を含有する油脂」として、油脂(D)のみを用いてもよいが、好ましくは、口溶けの点で、油脂(D)に加え、パーム核分別硬部油及び/又はヤシ分別硬部油を使用することが最も好ましい。
【0028】
続いて、本発明の(C)の条件について述べる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、ヨウ素価52〜75のパーム分別軟部油を70質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%含有する油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂(以下、油脂(C)ともいう)を、油相中、10〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%含有する。本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物において、油相中の該エステル交換油脂の含有量が10質量%未満であると、乳化安定性が低下するためボテ現象が発生しやすくなり、50質量%を超えると、口溶けが悪化し冷涼感が損なわれるので好ましくない。この理由としては、パーム分別軟部油に含まれる部分グリセリドのエステル交換反応物が本発明の効果に関与しているものと本発明者は考えている。
【0029】
上記油脂配合物に使用するパーム分別軟部油とは、アセトン分別やヘキサン分別等の溶剤分別、ドライ分別等の無溶剤分別等の方法によって、パーム油を分別した際に得られる低融点部であり、通常、ヨウ素価52〜75のものを言う。
【0030】
上記パーム分別軟部油としては、ヨウ素価が52以上のパームオレインを使用することがより好ましく、ヨウ素価54以上のパームオレインを使用することが更に好ましく、ヨウ素価60以上のパームスーパーオレインを使用することが特に好ましい。
【0031】
上記油脂配合物における、上記パーム分別軟部油以外の油脂は、求める油脂組成物の硬さに応じ、適宜選択することができる。例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂も用いることができ、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0032】
上記エステル交換油脂を得るためのエステル交換反応は、化学的触媒による方法でも、酵素による方法でもよく、また、ランダムエステル反応であっても、位置選択性のエステル交換反応であってもよいが、化学的触媒又は位置選択性のない酵素を用いた、ランダムエステル反応であることがより好ましい。
【0033】
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記位置選択性のない酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼが挙げられる。尚、該リパーゼは、イオン交換樹脂或いはケイ藻土やセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
【0034】
更に、本発明の(D)の条件について述べる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、極度硬化油脂を1〜40質量%含有し、脂肪酸組成において、炭素数6〜14の脂肪酸含量が20〜80質量%である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂(油脂(D))を、油相中、5〜30質量%、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは10〜20質量%含有する。本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物において、油相中の該エステル交換油脂の含有量が5質量%未満であると、得られるホイップクリームにシマリ現象が発生しやすく、30質量%を超えると、口溶けが悪化し冷涼感が損なわれるので好ましくない。
【0035】
上記極度硬化油脂とは、原料油脂に対しヨウ素価が好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、最も好ましくは1未満となるまで水素添加し、実質的に構成成分である不飽和脂肪酸をほぼ完全に飽和することによって得られる油脂であって、その融点は好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上である。
【0036】
また、上記極度硬化油脂は、上記極度硬化油脂を更に分別した硬部油、或いは1種又は2種以上の極度硬化油脂をエステル交換したものであってもよく、また、極度硬化油脂と、飽和脂肪酸や、飽和脂肪酸を主体とする部分グリセリド等とをエステル交換したものであってもよい。本発明では、これら全てを極度硬化油脂として扱う。
【0037】
上記極度硬化油脂の原料油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、サル脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに、分別処理及び/又はエステル交換処理を施した加工油脂や、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等が挙げられる。本発明では、これらの油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができるが、パーム油、パーム分別軟部油、パーム分別中部油、パーム分別硬部油等のパーム系油脂を使用することが好ましい。すなわち、上記極度硬化油脂として、パーム極度硬化油脂を使用することが好ましい。
【0038】
上記油脂配合物中の上記極度硬化油脂の含有量は、1〜40質量%であることが必要であり、好ましくは5〜35質量%、より好ましくは10〜30質量%である。油脂配合物中の極度硬化油脂の含有量が1質量%未満であると、得られるホイップクリームにシマリ現象が発生しやすく、40質量%を超えると、口溶けが悪くなってしまう。
【0039】
また、上記油脂配合物の構成脂肪酸組成において、炭素数6〜14の脂肪酸の含有量は、20〜80質量%であることが必要であり、好ましくは30〜70質量%である。油脂配合物の構成脂肪酸組成における炭素数6〜14の脂肪酸の含有量が20質量%未満であると、口溶けが悪くなってしまい、80質量%を越えると、得られるホイップクリームにシマリ現象が発生しやすいという問題がある。
【0040】
上記油脂配合物に含まれる、極度硬化油脂以外の油脂としては、食用に適する油脂であればよく、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂、乳脂、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂も用いることができ、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を使用することもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできるが、上記油脂配合物の構成脂肪酸組成において炭素数6〜14の脂肪酸の含有量が20〜80質量%となるように用いる必要がある。すなわち、本発明においては、上記極度硬化油脂以外の油脂として、パーム核油、ヤシ油、更に、これらの食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂等の、炭素数6〜14の脂肪酸を多く含む油脂を使用することが好ましい。
【0041】
上記エステル交換の反応は、化学的触媒による方法でも、酵素による方法でもよく、また、ランダムエステル反応であっても、位置選択性のエステル交換反応であってもよいが、化学的触媒又は位置選択性のない酵素を用いた、ランダムエステル反応であることがより好ましい。
【0042】
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、また、上記位置選択性のない酵素としては、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼが挙げられる。なお、該リパーゼは、イオン交換樹脂或いはケイ藻土及びセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
【0043】
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、本発明の効果に影響の無い範囲において、上記SUSを多く含有する油脂、上記炭素数6〜14の脂肪酸を多く含有する油脂、油脂(C)及び油脂(D)以外に、「その他の油脂」を必要に応じ使用することができる。
【0044】
上記「その他の油脂」としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ひまわり油等の常温で液体の油脂が挙げられるが、その他に、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の常温で固体の油脂も用いることができ、更に、食用油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂を用いることもできる。本発明においては、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物においては、上記「その他の油脂」の配合量は、油相中30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下とする。
【0045】
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、トランス脂肪酸を実質的に含有しないことが好ましい。ここで、「トランス脂肪酸を実質的に含有しない」とは、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の全構成脂肪酸中、トランス脂肪酸含量が好ましくは10質量%未満、更に好ましくは5質量%以下、最も好ましくは1質量%以下であることをいう。
【0046】
水素添加は、油脂の融点を上昇させる典型的な方法であるが、部分水素添加油脂は、通常構成脂肪酸中にトランス脂肪酸が10〜50質量%程度含まれている。一方、天然油脂中にはトランス脂肪酸が殆ど存在せず、反芻動物由来の油脂に10質量%未満含まれているにすぎない。近年、化学的な処理、特に水素添加に付されていない油脂組成物、即ち実質的にトランス脂肪酸を含まない油脂組成物であって、適切なコンシステンシーを有するものが要求されている。ここで、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物では、(C)の条件を満たすために使用するヨウ素価52〜75のパーム分別軟部油、(D)の条件を満たすために使用する極度硬化油脂は、トランス脂肪酸を実質的に含有しない。
【0047】
そこで、(A)の条件を満たすために使用する「SUSで表されるトリグリセリド」及び/又は「SUSを含有する油脂」、(B)の条件を満たすために使用する「炭素数6〜14の脂肪酸を含有する油脂」、(C)の油脂配合物に必要に応じて使用する「ヨウ素価52〜75のパーム分別軟部油以外の油脂」、(D)の油脂配合物に必要に応じて使用する「極度硬化油脂以外の油脂」及び「その他の油脂」として、部分水素添加油脂を使用しないことにより、トランス脂肪酸を実質的に含有せずとも適切なコンステンシーを有する起泡性水中油型乳化油脂組成物とすることができる。
【0048】
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の油分含有量は、特に制限されず、一般的な起泡性水中油型乳化油脂組成物の油分含有量(約45質量%)であってもよいが、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、油分含有量が通常の起泡性水中油型乳化油脂組成物や生クリームの油分含有量である45質量%未満であってもその効果が高いことから、油分含有量は好ましくは45質量%未満、より好ましくは10〜40質量%、更に好ましくは20〜40質量%である。尚、ここでいう油分含有量には、下記の「その他の成分」に含まれる油脂分も含めたものとする。
【0049】
また、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の水の含有量は、好ましくは30〜80質量%、より好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは35〜65質量%である。尚、ここでいう水の含有量には、下記の「その他の成分」に含まれる水分も含めたものとする。
【0050】
また、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物では、必要に応じ、乳化剤、安定剤、蛋白質、乳及び乳製品、糖類及び甘味料、果汁、ジャム、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品等の呈味成分、調味料、食塩、酸味料、着香料、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の、その他の成分を、必要に応じ任意に配合してもよい。このその他の成分の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲において、通常の使用量の範囲で使用することができる。
【0051】
上記乳化剤としては、特に限定されないが、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0052】
上記安定剤としては、リン酸塩(ヘキサメタリン酸、第2リン酸、第1リン酸)、クエン酸のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウム等)、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、澱粉、化工澱粉、結晶セルロース、ゼラチン、デキストリン、寒天、デキストラン等の安定剤が挙げられる。これらの安定剤は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0053】
上記蛋白質としては、特に限定されないが、例えば、α−ラクトアルブミンやβ−ラクトグロブリン、血清アルブミン等のホエイ蛋白質、カゼイン、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等のカゼイン蛋白質、その他の乳蛋白質、低密度リポ蛋白質、高密度リポ蛋白質、ホスビチン、リベチン、リン糖蛋白質、オボアルブミン、コンアルブミン、オボムコイド等の卵蛋白質、グリアジン、グルテニン等の小麦蛋白質、プロラミン、グルテリン等の米蛋白質、その他動物性及び植物性蛋白質等の蛋白質が挙げられる。これらの蛋白質は、目的に応じて1種ないし2種以上の蛋白質として、或いは1種ないし2種以上の蛋白質を含有する食品素材の形で添加してもよい。
【0054】
上記糖類としては、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム等の糖類が挙げられる。これらの糖類は、単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0055】
次に、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造方法について以下に説明する。
先ず、上記(A)、(B)、(C)及び(D)の全ての条件を満たし、必要によりその他の原料を含有させた油相と、水及び必要によりその他の原料を含有させた水相とをそれぞれ個別に調製し、次いで、該油相と該水相とを混合乳化し、水中油型に乳化することにより、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物が得られる。これを、必要により、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の均質化装置により、圧力0〜100MPaの範囲で均質化しても良い。また、必要によりインジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、或いはプレート式、チューブラー式、掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・低温殺菌、バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌又は加熱殺菌処理を施しても良く、或いは直火等の加熱調理により加熱しても良い。また、加熱後に必要に応じて再度均質化しても良い。また、必要により急速冷却、徐冷却等の冷却操作を施しても良い。
【0056】
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、ホイップクリーム用として主に使用することができるが、コーヒーホワイトナーとして、或いは食品練り込み用クリームとしても用いることができる。
【0057】
上記食品としては、例えば、食パン、菓子パン、パイ、デニッシュ、クロワッサン、フランスパン、セミハードロール、シュー、ドーナツ、ケーキ、クラッカー、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー製品、洋菓子、和菓子、チョコレート菓子、冷菓、プリン、ムース等のデザート、シチュー、グラタン、ドリア、飲料等をあげることができる。
【0058】
次に、本発明のホイップクリームについて述べる。
本発明のホイップクリームは、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物を起泡させたものである。本発明のホイップクリームにおいて、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の使用量は、特に制限されるわけではないが、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜95質量%である。尚、ホイップする際に、グラニュー糖、砂糖、液糖等の糖類、ブランデー、ラム酒、リキュール等のアルコール類、香料、増粘安定剤、生クリーム等を添加してもよい。得られたホイップクリームは、フィリング用、サンド用、トッピング用、ナッペ用、センター用として使用することができる。
【実施例】
【0059】
次に実施例、及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。尚、実施例及び比較例で用いた油脂は以下の通りである。
【0060】
<パーム分別中部油>
ヨウ素価52のパーム油を2段分別して得られた中融点画分(融点33℃)。
<パーム核分別硬部油>
パーム核油を20〜25℃で分別して得られた高融点部(即ち溶融していない固形部分)(融点32℃)。
<エステル交換油脂I>
ヨウ素価65のパーム分別軟部油を、化学触媒を用いてランダムエステル交換したエステル交換油脂(融点28℃)。
<エステル交換油脂II>
パーム核油及びパーム極度硬化油を80:20(前者:後者)の質量比率で混合した油脂を、化学触媒を用いてランダムエステル交換したエステル交換油脂(融点43℃)。
<エステル交換油脂III>
パーム核油及び大豆極度硬化油を80:20(前者:後者)の質量比率で混合した油脂を、化学触媒を用いてランダムエステル交換したエステル交換油脂(融点43℃)。
【0061】
〔実施例1〜4、並びに比較例1及び2〕
<起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造>
先ず、〔表1〕の油相成分に記載された原料を混合し、65℃に加温溶解し、油相とした。一方、〔表1〕の水相成分に記載された原料を混合し、65℃に加温溶解し、水相とした。上記水相と上記油相を混合、乳化して、予備乳化物を調製し、バルブ式ホモジナイザー(アルファラバル社製:ホモジナイザー)を用いて、3MPaの圧力で均質化した後、VTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機)で140℃、4秒間殺菌し、再度5MPaの圧力で均質化後5℃まで冷却した。その後、冷蔵庫で24時間エージングを行い、本発明及び比較例の起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0062】
得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の、油分含有量、(A):トリグリセリド組成において、SUS(Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸を示し、Uは炭素数16以上の一価不飽和脂肪酸を示す)で表されるトリグリセリドの占める割合、(B):構成脂肪酸組成において、炭素数6〜14の脂肪酸の占める割合、(C):ヨウ素価52〜75のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の油相中の含有量、(D):極度硬化油脂を1〜40質量%含有し、脂肪酸組成において炭素数6〜14の脂肪酸含量が20〜80質量%である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の油相中の含有量及びトランス脂肪酸含量については、〔表1〕に記載した。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物は、乳化安定性(ボテ)について、下記の方法で評価を行なった。結果を下記〔表2〕に示す。
【0063】
<ホイップクリームの製造>
得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物をミキサーボウルに投入し、たて型ミキサーを使用して毎分700回転の速度で最適起泡状態に達するまで起泡させ、ホイップクリームを得た。得られたホイップクリームは、耐熱保型性、口溶け、常温保管時の硬化(シマリ現象)、常温保管時の軟化(モドリ現象)について、下記の方法で評価を行った。結果を下記〔表2〕に示す。
【0064】
<起泡性水中油型乳化油脂組成物の評価:乳化安定性(ボテ)>
得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を20℃で1時間調温した後、振動器を用い100回/37秒で水平方向に振動させた。起泡性水中油型乳化油脂組成物が流動性を失うまでの振動回数が10000回以上のものを◎、5000回以上〜10000回未満のものを○、5000回未満のものを×とした。
【0065】
<ホイップクリームの評価:耐熱保型性>
得られたホイップクリームを絞り袋で星型口金を用いて造花し、20℃の恒温槽中で24時間放置した場合の嵩落ちを測定した。嵩落ち量が1mm未満を◎、1mm以上5mm未満を○、5mm以上を×とした。
【0066】
<ホイップクリームの評価:口溶け>
得られたホイップクリームを口に含んだときの溶け易さを、15人のパネラーにて官能試験した。評価は、口溶け性が良好なもの、口溶け性が不良なもの、及びどちらともいえないもの、の3段階で評価し、良好なものに2点、どちらともいえないものに1点、不良なものに0点を与え、合計点が25点以上を◎、20〜24点を○、15〜19点を△、14点以下を×とした。
【0067】
<ホイップクリームの評価:シマリ現象>
得られたホイップクリームを絞り袋で星型口金を用いて造花した際のシマリの程度について、下記の3段階評価を行なった。
◎:絞り袋から抵抗なく絞り出すことができ、得られた造花は滑らかな表面で先端もきちんとツノがある状態であった。
○:絞り袋から抵抗なく絞り出すことができ、得られた造花はやや表面が荒れたが、きちんとツノがある状態であった。
×:絞り袋からの絞り出しが経時的に抵抗があるものとなり、得られた造花も徐々に表面が荒れツノの先端が切れた状態のものとなってしまった。
【0068】
<ホイップクリームの評価:モドリ現象>
得られたホイップクリームを5℃の恒温槽中で24時間放置した後、その状態を観察しモドリの程度について、下記の4段階評価を行なった。
◎:離水も軟化も見られなかった。
○:やや離水が見られるが軟化していなかった。
△:軟化していた。
×:流動状となってしまった。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)、(B)、(C)及び(D)の全ての条件を満たす起泡性水中油型乳化油脂組成物。
(A):トリグリセリド組成において、SUS(Sは炭素数16以上の飽和脂肪酸を示し、Uは炭素数16以上の一価不飽和脂肪酸を示す)で表されるトリグリセリドの占める割合が10〜60質量%である。
(B):構成脂肪酸組成において、炭素数6〜14の脂肪酸の占める割合が20〜60質量%である。
(C):ヨウ素価52〜75のパーム分別軟部油を70質量%以上含む油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の含有量が油相中10〜50質量%である。
(D):極度硬化油脂を1〜40質量%含有し、脂肪酸組成において炭素数6〜14の脂肪酸含量が20〜80質量%である油脂配合物をエステル交換したエステル交換油脂の含有量が油相中5〜30質量%である。
【請求項2】
上記(A)の条件を満たすために、上記SUSで表されるトリグリセリドを含有する油脂として、パーム分別中部油を使用することを特徴とする請求項1記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
【請求項3】
上記(B)の条件を満たすために、上記炭素数6〜14の脂肪酸を含有する油脂として、パーム核分別硬部油及び/又はヤシ分別硬部油を使用することを特徴とする請求項1又は2記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
【請求項4】
上記(D)の条件の極度硬化油脂が、パーム極度硬化油脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
【請求項5】
トランス脂肪酸を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
【請求項6】
油分含有量が10〜45質量%であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の起泡性水中油型乳化油脂組成物を起泡してなるホイップクリーム。

【公開番号】特開2010−75071(P2010−75071A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244672(P2008−244672)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】