説明

超臨界一価アルコールでのカルボン酸エステルの連続エステル交換についての方法及び装置

【課題】天然又は合成カルボン酸エステル、例えば、異なる脂肪酸及びグリセロールのエステルである脂肪及び脂肪油から、超臨界一価アルコールにおける連続法として新たなカルボン酸(脂肪酸を含む)エステルを得る、工業的使用のための連続法カルボン酸エステルトランスエステル化方法及び装置を提供すること。
【解決手段】アルコール及びカルボン酸エステル入口、反応物分配ユニット、熱交換器、トランスエステル化装置、膨張タンクへの熱反応産物チューブ、膨張タンク、熱交換器への熱反応産物のチューブ、過剰アルコールの逆流チューブ、分離器への冷却された反応産物のチューブ、分離器、新たなエステル及び新たなアルコールの出口、を有する装置を用いる。トランスエステル化装置は、ポンプ、熱源、チューブの形状を有する反応器、及び出口バルブを含んでなる。トランスエステル化反応においては、反応器入口から親物質成分の一つとしてもたらされるアルコールが、反応器に到達するときに超臨界状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界一価アルコールでのカルボン酸の工業的な連続エステル交換の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献ならびに科学論文から、多くの異なるカルボン酸のエステル交換方法がよく知られている。多数の記載された反応のタイプにおいて、異なる触媒が用いられている;用いられている触媒は主にアルカリである(Schwab, A. W., Bagby, M. O. & Freedman, B. Diesel fuel production and qualities from vegetable oil. Fuel, 1987, 66, 1372-1378)、より頻繁に用いられるものは酸、塩、又は酵素である。
【0003】
親物質は触媒に影響する添加物を含んでもよいので、触媒を用いる反応は、通常、親物質の量と純度について偽りがある。エステルの加水分解、鹸化、又はその他のような副反応は、ある程度起こり得る。加えて、それらの反応は完全には終わりまで至らず、故に、初期エステルの一部が変化できないで残る。副反応の産物や、未反応のまま残る初期エステルは、本質的に、反応産物の分離及び精製を妨害する。
【0004】
超臨界環境におけるカルボン酸のエステル交換法も知られている。例えば、米国特許文献US 6187939は、脂肪酸エステルと、脂肪酸エステルからの燃料を得る方法を記載する。
【0005】
よく知られる説明の中に、工業的使用に適切でありうる、超臨界一価アルコールでの連続法カルボン酸エステルのエステル交換法についての情報はない。連続法エステル交換反応は、例えば、Noureddini, H., Harkey, D. & Medikonduru, V. A.によるContinuous process for vegetable oil conversions to fatty acid methyl esters. J. Am. Chem. Soc., 1998, 75, 1775-1783の文献に記載されている。
【0006】
米国特許文献US 6262294は、芳香族ポリエステルと超臨界アルコールとの反応で、二価芳香族カルボン酸エステルを得る連続方法を記載する。
【0007】
よく知られる説明から、本発明に最も近いのは、欧州特許文献EP 0985654及びEP 1298192であろう。それらは、燃料又は燃料添加物として用いるのに適する化合物を得る目的での、超臨界アルコールでの脂肪酸エステル交換法を記載する。
【0008】
欧州特許文献EP 0985654は、脂肪酸エステルと、脂肪酸エステル含有燃料を製造する方法を記載する。その方法によると、その反応に含まれる少なくとも1の脂肪酸、油、及びアルコールが、超臨界状態にあるか、アルコールが超臨界状態にある。反応雰囲気の圧力は、25MPaを越えない。アルコールは式R−OHに相当し、Rは1〜10の炭素原子を有するヒドロカルビル基か、全体で2〜10の炭素原子を有するヒドロカルビル基により置換されたヒドロカルビルオキシル基か、メチル基か、又はエチル基である。その反応に含まれる異なる脂肪、油、及びそれらの残渣は、親物質として用いられる。燃料、ディーゼル油、潤滑剤、又は燃料添加物が、その方法により生産される脂肪酸エステルを含有する産物である。
【0009】
欧州特許文献EP 1298192は、脂肪酸エステルを製造する方法及び装置を記載する。反応に関するその方法によると、脂肪及び油に含まれる一価アルコールが超臨界状態にある。反応混合物は、反応器内で循環する未反応物質及び/又は中間生成物を含有する。反応混合物から脂肪酸が分離される。一価アルコールは、一般式R−OHに相当し、Rは1〜10の炭素原子を有するヒドロカルビル基か、全部で2〜10の炭素原子を有するヒドロカルビル基により置換されたヒドロカルビルオキシル基か、メチル基か、又はエチル基である。装置は、未反応物質及び/又は中間化合物を反応器内で再使用する機構を有している。装置は反応混合物から脂肪酸エステルを分離する手段を有している。
【0010】
しかし、生成物の質や収率が十分でない場合は、加えて、それらは未反応親物質及び中間生成物を含有する。電気が加熱のために用いられるが、あまり効率的ではない。
【発明の開示】
【0011】
本発明のねらいは、工業的使用のための連続法カルボン酸エステルのエステル交換装置の良く知られるものとは異なる方法と、大容量の場合に容易に使用でき上記の欠点がない、関連する方法を提供することである。
【0012】
本発明に相当する方法の性質は、天然又は合成カルボン酸エステル、例えば、異なる脂肪酸及びグリセロールのエステルである脂肪及び脂肪油から、超臨界一価アルコールにおける連続法として新しいカルボン酸(脂肪酸を含む)エステルを得ることである。
【0013】
本発明の目的を実行するために、アルコール及びカルボン酸エステル入口、反応物投与ユニット、熱交換器、エステル交換装置、膨張タンクへの熱い反応産物の配管、膨張タンク、熱交換器への熱い反応産物の配管、過剰なアルコールの逆流の配管、分離器への冷却された反応産物の配管、分離器、その方法から生じる新しいエステル及び新しいアルコールの出口、を含有する装置が用いられる。
【0014】
エステル交換装置は、ポンプ、熱源、例えば管の形状を有する反応器、及び出口弁を含んでなる。エステル交換反応は、反応の実行のために必要な条件が保証されている管状反応器内で行われる。反応の観点から重要なことは、反応器入口から親物質成分の一つとしてもたらされるアルコールが、反応器に到達するときに超臨界状態になることである。
【0015】
未加工物質であるカルボン酸エステルは、反応器におけるエステル交換方法で、新しいエステルに変化し、エステル分子におけるアルコールを放出する。
【0016】
エステル交換反応は、エステル分子におけるアルコキシ基が他のアルコールアルコキシ基に置き換えられるような有機反応群についての通常の名前である。本発明に相当する反応の場合、それらは、エステル交換の一般反応式
2−COOR3 + R1−OH → R2−COOR1 + R3−OH
に従って進行する釣り合い反応(balance reaction)であり、次のようである:
M[−O(O)C−Rxn + nR1−OH → nRx−COOR1 + M[OH]n
−式中、R1は1〜10の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり;R2、R3、及びRxは、2〜30の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり;nは、1〜6の範囲の数字であり;Mは、0〜6−n(6マイナスn)のOH基を含有する脂肪族又は脂環式多価基である。
【0017】
親物質として用いられるカルボン酸エステルは、天然物ならびに合成物又はそれらの混合物であってもよい。植物油又は動物脂肪、又は天然物起源の他の化合物は、カルボン酸の天然エステルである。エステル結合でつながれた少なくとも1の脂肪族カルボン酸残基を含有する異なる化学産業生成物は、合成エステルである。例えば、菜種油、ヒマワリ油、大豆油、パーム油、ラード、動物脂肪、魚介脂肪は、そのような天然カルボン酸エステルの一種である。遊離のカルボン酸、アルコール、ビタミン、ステロイド、着色物、軽及び重ナフサ生成物は、親物質として用いられるカルボン酸エステルにおける添加物として生じ得る。
【0018】
エステル交換方法に用いられるアルコールは、一般式R−OHに相当し、Rは、あらゆる脂肪族炭化水素基を表す。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、及びそれらの任意の種類の異性体(構造及び光学)が、それら条件を満たす。該物質は、その物質の臨界温度及び臨界圧力を超えたときに超臨界状態になる。
【0019】
以下の表1は、該方法に相当する反応に用いられるアルコール類の臨界温度(Tcritical)及び圧力(Pcritical)を示す。
【0020】
【表1】

【0021】
超臨界状態における物質の特性は、様々な特徴により、通常条件下の物質の特性とは本質的に異なる。超臨界状態における物質の粘度は、気体の粘度に近く、密度は液体の密度に近い。熱伝導性及び拡散性の特徴は、液体状態と気体状態のそれぞれの特徴の間となる。超臨界状態における物質又は超臨界状態における希釈された物質の反応性は、気体又は液体状態におけるものよりも高い。
【0022】
本発明に従うカルボン酸エステルのエステル交換反応は、管状反応器における連続方法として行われる。反応器の全作動中にわたり、反応を成功裏に行うのに必要な条件−環境圧力、温度、反応物のモル比、所与の環境に反応物がとどまるべき間の時間、が必要である。
【0023】
本発明に関して、エステル交換装置の最も重要な部分は、超臨界一価アルコールにおけるカルボン酸の連続法エステル交換に必要な条件を作り、維持することができる管状反応器である。エステル交換装置の反応器以外の他の重要な部分は、ポンプ、熱源、及び出口弁である。
【0024】
ポンプは、反応器の作動圧力と、反応物の連続的な流れを確保する。ポンプの出口圧力は、出口弁を開けるために必要な最小値よりも1〜5%高いべきである。ポンプの1分間の出力は、反応器管の容積、反応を実行するために決定された時間、及び反応物を加熱する速度に依存する。ポンプの出力の計算について、次の式1を用いてもよい:
P = V / (Vr + Vk)、
Pはポンプの出力である。
Vは反応器の管の容積である。
Vrは反応の速度である。
Vkは加熱の速度である。
【0025】
350℃及びそれを越える温度で、モル比1/15の場合、ポンプの1分間の出力は反応器の容積の1/2を越えない。例えば、40Lの容積を有する反応器の場合、ポンプの出力は、20L/分を越えるべきでない。
【0026】
耐熱及び耐圧材料から作られる管は、反応を実行するために決定される温度及び反応に必要な圧力の少なくとも1.7倍に耐える反応器の主部を形成する。反応器の構造は、最小の時間で反応を行うために、反応物の十分な滞留と前方方向への動きを確保すべきである。一定の時間の反応器内の滞留と反応物の動きを確保する1つの可能性は、適切な長さと直径比を有する管を用いることである。その場合、管の長さは、好ましくは、直径よりも少なくとも5倍大きい。必要に応じて、管は、ロール状でも四角形でもそれ以外でもよい。二番目の可能性は、適する円柱を流動方向に延在するハニカム状の仕切りで満たすことである。その場合、管の長さと直径の比は、限定的には決定されない。
【0027】
反応器入口に与えられる反応物の混合物は、管の長さの3分の1の地点において、意図される温度まで加熱される。反応器の出口は、反応を実行するのに必要な圧力を要求されるレベルに維持することを確保する弁で閉じられている。弁の開圧力は、反応を実行するために決定されたものと等しく、従って、ポンプの出口圧力より1〜5%低い。
【0028】
反応器管は、必要に応じて、内部又は外部から加熱されてもよい。本発明に従って、電磁波、電気、又はガス、又はその他が熱源として用いられる。好ましくは、最も効率的に加熱できる可能性があるので、電磁波が用いられる。
【発明の態様】
【0029】
本発明に相当する装置の添付されたフローチャートを参照しながら、方法及び装置を以下に記載する。
【0030】
図に描かれる装置は、アルコール入口1、カルボン酸エステル入口2、反応物投与ユニット3、熱交換器4、エステル交換装置5、膨張タンクへの熱い反応産物の配管6、膨張タンク7、熱交換器への熱い反応産物の配管8、過剰物の逆流の配管9、分離器への冷却された反応産物の配管10、分離器11、本方法で生じる新しいエステルと新しいアルコールの出口12及び13を具備する。
【0031】
エステル交換装置5は、ポンプ14、熱源15、エステル交換反応を実行する管状反応器16、出口弁17を具備する。
【0032】
入口1から得られたアルコール及び入口2から得られたカルボン酸エステルは、投与ユニット3において妥当な割合に混合される。最小のエステル−アルコール比は、2質量部のエステルと1質量部のアルコールである2/1であり、好ましくは、比は1/3である。
【0033】
初期エステルの分子量が400よりも高いときは、エステル/アルコール比の計算は、次の式に従って行ってもよい。
(初期エステルの分子量)/(エステル分子におけるエステル結合の数*5*アルコールの分子量)=初期エステルの量/アルコールの量
親物質−アルコール及びカルボン酸エステルのモル比は、1エステル分子のエステル結合について、少なくとも2のアルコール分子があることを意味する。好ましいモル比は、1/5であり、より好ましくは、モル比1/15である。
【0034】
アルコール及びカルボン酸エステル混合物は、投与ユニット3から、熱交換器4へと移動して予熱が生じる。予め加熱された混合物は、熱交換器4からエステル交換装置5のポンプ14へと移動し、そこで圧力が所与のレベルまで上昇し、熱源15へと送られる。
【0035】
反応雰囲気の圧力は、用いられるアルコールの臨界圧力よりも0.5MPa高いべきであり、25MPa未満になるべきではでない。反応速度及び収率のために、圧力は好ましくは35MPaを超えて維持される。反応器16の後、耐圧性の上限はない。
【0036】
親物質の温度は、熱源15において必要なレベルにまで高められ、その後、該混合物は、反応器16へと移動して決められた時間の間そこにとどまるだろう。1.5〜60分の間の最小の時間が、反応を行うために必要である。好ましくは、2〜4分の間である。モル比に従って、1/5モル比の場合は、反応混合物が反応器内にとどまる時間は、8分までであり、1/15モル比の場合は、反応混合物が反応器内にとどまる時間は2分までである。
【0037】
反応速度は、親物質として用いられるカルボン酸エステル及びアルコールの組成、周囲の温度、及び圧力に依存する。通常、周囲の温度又は圧力の上昇は、反応速度を増加させる。
【0038】
熱源15及び反応器16がエステル交換装置5の一部を形成するので、温度の増加は、反応混合物の前方方向への動きと同時に起こる。温度は、本方法に用いられるアルコールの臨界温度を上回り、少なくとも300℃である。反応雰囲気の温度についての直接の上限は設定されないが、好ましくは450℃を超えるべきではない。それより高い温度では熱分解反応が開始して、ある程度反応の質や収率を減少させるからである。反応雰囲気の好ましい温度は、350℃〜450℃の範囲である。
【0039】
決められた時間の後に、反応産物は、出口弁17を出て、配管6を介して膨張タンク7へと移動し、そこで、圧力が0.1〜1MPaへと下がる。該熱い反応産物は、膨張タンク7から、配管8を通って、熱交換器4へと移動する。膨張タンク7において気体状態で分離され、その結果圧力が下がったアルコールは、配管9を通じて、本方法の初期工程へと戻される。反応産物は、熱交換器4から配管10を介して分離器11へと移動し、そこで、新しいエステル及び新しいアルコールが分離され、続いて出口12及び13から出る。
【実施例】
【0040】
実施例1
メタノール及び菜種油が親物質として用いられるとき、本発明に相当する方法にしたがって、該アルコールは、メタノールの温度が少なくとも239.45℃であり、圧力が8.084MPaである超臨界状態へと導かれる。そのために少なくとも15分子のアルコールが、1分子の菜種油に対して用いられる。好ましくは、少なくとも45分子のアルコールが1分子の菜種油に対して用いられる。350℃の温度と45MPaの圧力での反応時間は、2分未満である。
【0041】
メタノール(98%)及び菜種油が、1質量部の油に対して3質量部のメタノールの割合で混合され、混合物が得られた後、温度は350℃に、圧力は45MPaに増加され、該混合物は、それら条件で、1.5L/分の速度で、3Lの容量を有する反応器を通って流れる。反応器を出た混合物は、菜種メチルエステル、グリセロール、及び未反応メタノールを含有する。
【0042】
実施例2
エタノール(95%)及び菜種油は、1質量部の油に対して4質量部のエタノールの割合で混合され、混合物が得られた後、温度は350℃に、圧力は45MPaに増加され、該混合物は、それら条件で、1.5L/分の速度で、3Lの容量を有する反応器を通って流れる。反応器を出た混合物は、菜種エチルエステル、グリセロール、及び未反応エタノールを含有する。
【0043】
実施例3
エタンジオールジブチレート及びメタノールは、1/3の割合でメタノールと混合される。得られた混合物は350℃で加熱され、圧力は45MPaに増加され、3Lの容量を有する反応器を通って1.5L/分の速度にされる。反応器を出た混合物は、メチルブチレート、エタンジオール、及び未反応メタノールを含有する。
【0044】
当業者にとって、与えられた装置及び方法の可能性が、実施例で与えられた例のみに限定されるものでないことは明らかである。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式R−OHに相当する超臨界一価アルコールにおけるカルボン酸エステルの連続エステル交換方法であって、Rが1〜10の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、その方法が工業的に使用でき、その親物質が、例えば異なる脂肪酸及びグリセロールのエステルである脂肪及び脂肪油である、天然カルボン酸エステル、合成カルボン酸エステル、又はそれらの混合物であって、
入口(1)から得られるアルコール及び入口(2)から得られるカルボン酸エステルが投与ユニット(3)でともに混合され、1エステル分子におけるエステル結合に対して少なくとも2アルコール分子であるモル比で、エステル及びアルコールの質量部比が、少なくとも2/1で、
該アルコール及びカルボン酸エステル混合物が、該投与ユニット(3)から、予め加熱するために熱交換器(4)へ取り出され、
該予め加熱された混合物が、該熱交換器(4)からエステル交換装置(5)ポンプ(14)へと送られて、そこで、該混合物の反応雰囲気の圧力が少なくとも25MPaの圧力まで高められ、該反応雰囲気の圧力は、該用いられるアルコールの臨界圧力よりも0.5MPa高く、
その後、該混合物は熱源(15)へと送られて、そこで、反応雰囲気の温度が、少なくとも300℃まで高められ、該反応雰囲気の温度は、該方法で用いられるアルコールの臨界温度を上回り、
該混合物はさらに、管状反応器(16)へと送られ、
反応時間の経過後、反応産物は、出口弁(17)及び配管(6)を通じて膨張タンク(7)へと送られ、そこで、圧力が0.1〜1MPaへと下げられ、
熱い反応産物は、該膨張タンク(7)から、配管(8)を通じて、該熱交換器(4)へと取り出され、
次いで、該膨張タンク(7)において、気体状態で分離されたアルコールが、配管(9)を通じて該方法の初期工程へと戻され、
反応産物は、該熱交換器(4)から、配管(10)を通じて、分離器(11)へと取り出され、そこで、新しいエステル及び新しいアルコールが分離され、関連する出口(12)及び(13)から放出される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
エステル交換反応が式:
M[−O(O)C−Rx]n+nR1−OH→nRx−COOR1+M[OH]n
(式中、R1は1〜10の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を表し、Rxは2〜30の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基を表し、nは1〜6の範囲の数字であり、Mは0〜6−n(6マイナスn)のOH基を含有する脂肪族又は脂環式多価基である)
に従って行われることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
1の親物質分子に含まれるエステル結合に対して、好ましくは5のアルコール分子があることを特徴とする、請求項1及び2に記載の方法。
【請求項4】
エステル及びアルコール質量単位の比が好ましくは1/3であることを特徴とする、請求項1及び2に記載の方法。
【請求項5】
該反応雰囲気の圧力が、好ましくは35MPaを越えて維持されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
該反応雰囲気の温度が、好ましくは350℃〜450℃の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
親物質分子に含まれるエステル結合に対して、さらに好ましくは15アルコール分子があることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
電磁波が加熱のために用いられることを特徴とする、請求項2及び6に記載の方法。
【請求項9】
アルコール入口(1)、カルボン酸エステル入口(2)、反応物投与ユニット(3)、熱交換器(4)、エステル交換装置(5)、膨張タンクへの熱い反応産物の配管(6)、膨張タンク(7)、熱交換器への熱い反応産物の配管(8)、過剰のアルコールの逆流の配管(9)、分離器への冷却された反応産物の配管(10)、分離器(11)、該方法により生じた新しいエステル及び新しいアルコールの出口(12及び13)を含んでなる、工業的に用いられ得る、超臨界多価アルコールにおけるカルボン酸エステルの連続エステル交換法のための装置であって、該エステル交換装置(5)が、ポンプ(14)、熱交換器(15)、管状反応器(16)、出口弁(17)を含んでなり、該管状反応器(16)は出口弁(17)で閉鎖されており、該ポンプ(14)の出力が該出口弁(17)を開けるのに必要な最小値よりも1〜5%高く、管状反応器(16)は反応を行うために決められた温度及び必要とされる圧力の少なくとも1.7倍の値に耐え、出口弁(17)開圧力は所定の圧力と等しく、かつ、該ポンプ(14)の出力より1〜5%低いことを特徴とする装置。
【請求項10】
該管状反応器(16)の長さが、好ましくはその直径の少なくとも5倍大きいことを特徴とする、請求項8に記載の装置。

【公表番号】特表2007−523917(P2007−523917A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500056(P2007−500056)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【国際出願番号】PCT/EE2005/000003
【国際公開番号】WO2005/080537
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506287914)エンベーデー・テクノロジーズ・オーユー (1)
【Fターム(参考)】