超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法
【課題】2次元状に配列された複数の振動子と電気回路とが電気接続される超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法において、超音波プローブの歩留りの向上を実現することにある。
【解決手段】複数の振動子11は、配列ピッチPY1で配列される。FPC40は、配線基板41と上側電気パッド42と下側電気パッド4とを有する。配線基板41は、複数の振動子11側を向く表面と表面の反対側の背面とを有する。上側電気パッド42は、配列ピッチPY1で第1面に配列され、複数の振動子11にそれぞれ電気接続される。下側電気パッド44は、配列ピッチPY2で背面に配列され、複数の上側電気パッド42にそれぞれ電気接続される。配列ピッチPY2は、配列ピッチPY1に比して短い。複数のIC51は、複数の下側電気パッド44に電気接続される。
【解決手段】複数の振動子11は、配列ピッチPY1で配列される。FPC40は、配線基板41と上側電気パッド42と下側電気パッド4とを有する。配線基板41は、複数の振動子11側を向く表面と表面の反対側の背面とを有する。上側電気パッド42は、配列ピッチPY1で第1面に配列され、複数の振動子11にそれぞれ電気接続される。下側電気パッド44は、配列ピッチPY2で背面に配列され、複数の上側電気パッド42にそれぞれ電気接続される。配列ピッチPY2は、配列ピッチPY1に比して短い。複数のIC51は、複数の下側電気パッド44に電気接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置や超音波探傷装置に用いられる超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置や超音波探傷装置等に用いられる超音波プローブがある。超音波プローブの応用として、2次元アレイ構造を有する2次元アレイプローブがある。2次元アレイプローブは、2次元状に配列された複数の振動子を有する。2次元アレイ構造を実現するためには、各振動子から信号リードを引き出すことが重要である。例えば、特許文献1には、振動子配列に対応する基板を振動子背面に配置して振動子背面の信号リードをフレキシブルプリント配線板(FPC:flexible printed circuit)と接合することによって、信号リードを引き出す構造が開示されている。また、特許文献2と特許文献3とには、2次元状に配列された振動子の背面にFPCを配置し、振動子背面の信号リードをFPCに接合することにより、振動リードを引き出す構造が開示されている。特許文献4には、FPCの代わりに集積回路(IC:integrated circuit)を振動子背面に配置した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001―27451号公報
【特許文献2】米国特許第5311095号明細書
【特許文献3】米国特許第5267221号明細書
【特許文献4】米国特許第6551248号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、例えば特許文献4に示すように、複数の振動子とIC等の電気回路とを電気接続し、電極リード引き出しと電気信号処理とを行なう2次元アレイプローブが考案されている。一般的に、開口径(振動子の数)が大きくなるに従って、振動子群の歩留まりが劣化し、コストが上昇する傾向にある。また、振動子群背面にFPCの代わりにICを配置する場合、振動子群とICとの接続面の面積が大きくなる。その際、対向する両面が平坦でない場合、電気的な接続不良が発生し、超音波プローブの歩留まりが劣化してしまう。また開口径の増大に伴って、ICの面積を大きくしなければならない。このため、IC自体の歩留まりが劣化し、コストが上昇してしまう。これら理由により、大開口径を有する超音波プローブを実現することは、大変困難となっている。
【0005】
本発明の目的は、2次元状に配列された複数の振動子と電気回路とが電気接続される超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法において、超音波プローブの歩留りの向上を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係る超音波プローブは、第1ピッチで配列された複数の振動子と、絶縁性を有する基板と、前記第1ピッチで前記基板の表面に配列され前記複数の振動子にそれぞれ電気接続される複数の第1導電性パッドと、前記第1ピッチより短い第2ピッチで前記基板の背面に配列され前記複数の第1導電性パッドにそれぞれ電気接続される複数の第2導電性パッドと、を有する配線基板と、前記複数の第2導電性パッドに電気接続される複数の電気回路と、を具備する。
【0007】
本発明の第2局面に係る超音波プローブの製造方法は、振動子ブロックを形成し、複数の第1面を有する複数の回路であって、前記複数の第1面の各々は、複数の端子を有する複数の電気回路を形成し、第2面と複数の接続区域が設けられた第3面とを有する基板であって、前記第2面は、少なくとも1方向に沿って第1ピッチで配列された複数の第1導電性パッドを有し、前記複数の接続区域の各々は、前記少なくとも1方向に沿って前記第1ピッチよりも短い第2ピッチで配列された複数の第2導電性パッドを有する配線基板を形成し、前記振動子ブロックと前記第2面とを向かい合わせ、且つ前記複数の第1面と前記複数の接続区域とをそれぞれ向かい合わせて、前記振動子ブロックと前記複数の電気回路と前記配線基板とを電気接続し、前記複数の第2導電体と同数の振動子を形成するために、前記振動子ブロックを前記少なくとも1方向に沿って前記第1ピッチで切断する、ことを具備する。
【0008】
本発明の第3局面に係る超音波プローブは、振動子ブロックを第1ピッチで切断することにより形成された複数の振動子と、前記複数の振動子に向かい合わされる第1面と前記第1面の反対側の第2面とを有する配線基板であって、前記第1面には、前記複数の振動子にそれぞれ電気接続され前記第1ピッチで配列された複数の第1導電性パッドが形成され、前記第2面には、複数の接続区域が設けられ、前記複数の接続区域の各々には、前記第1ピッチよりも短い第2ピッチで配列された複数の第2導電性パッドが形成される配線基板と、前記複数の第2導電性パッドとそれぞれ電気接続される複数の端子が形成された複数の電気回路と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2次元状に配列された複数の振動子と電気回路とが電気接続される超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法において、超音波プローブの歩留りの向上が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波プローブの分解斜視図。
【図2】図1の縦方向から見た超音波プローブの断面図。
【図3】図2のIC層を高さ方向に沿って上から見た平面図。
【図4】図2のFPCを高さ方向に沿って下から見た平面図。
【図5】図2のFPCを縦方向から見た拡大図。
【図6】図2のFPCを高さ方向に沿って上から見た拡大平面図。
【図7】図2のFPCを高さ方向に沿って下から見た拡大平面図。
【図8】図2の超音波プローブの製造過程の流れを示す図。
【図9】本実施形態の変形例1に係る超音波プローブのIC層を高さ方向に沿って上から見た平面図。
【図10】本実施形態の変形例2に係る超音波プローブを縦方向から見た断面図。
【図11】図8の超音波プローブの製造過程の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る超音波プローブと超音波プローブの製造方法と説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る超音波プローブ1の分解斜視図である。図2は、図1の縦方向から見た超音波プローブ1の断面図である。図1と図2とに示すように、本実施形態に係る超音波プローブ1は、大開口径の振動子層10を有している。振動子層10の表面には、音響整合層20が接合されている。振動子層10の背面には、背面音響層30が接合されている。背面音響層30の背面には、フレキシブルプリント配線板40(以下、FPCと呼ぶことにする)が接合されている。FPC40の背面には、IC層50が接合されている。図2に示すように、IC層50の背面には、振動子層10、音響整合層20、背面音響層30、FPC40、及びIC層50を支持するための土台60が接合されている。このように超音波プローブ1は、音響整合層20、振動子層10、背面音響層30、FPC40、及びIC層50が高さ方向に沿って積層された積層構造を有している。
【0013】
振動子層10は、超音波診断装置(図示せず)からIC層50を介して供給された駆動信号(電気信号)を受けて超音波を発生し、被検体により反射された超音波を受けてエコー信号(電気信号)を生成する。生成されたエコー信号は、IC50を介して超音波診断装置に供給される。振動子層10は、縦方向と横方向とに沿って2次元状に配列される複数の振動子11を有している。振動子11は、横方向に沿って配列ピッチPY1で配列される。縦方向に沿う振動子11の配列ピッチは、横方向に沿う配列ピッチPY1と同一でも異なっていても構わない。以下、説明を具体的に行うため、横方向に沿う振動子11の配列ピッチと縦方向に沿う振動子11の配列ピッチとは略同一であるとする。また、横方向に沿う振動子11の幅と縦方向に沿う振動子11の幅も略同一であるとする。
【0014】
各振動子11は、高さ方向に沿って分極される圧電体13、圧電体13の背面に形成される信号電極15、及び圧電体13の表面に形成されるアース電極17を有する。圧電体17は、例えば、2成分系或いは3成分系の圧電セラミックや圧電単結晶により形成される。信号電極15とアース電極17とは、例えば、銀や金等による金属メッキやスパッタリングにより形成される。
【0015】
音響整合層20は、被検体の音響インピーダンスと振動子層10の音響インピーダンスとの違いに起因する超音波の反射を抑える。音響整合層20は、縦方向と横方向とに沿って2次元状に配列される複数の音響整合素子21を有している。音響整合素子21の背面は、振動子の表面に接合されている。すなわち音響整合素子21は、振動子11と略同一の配列ピッチ(横方向に関しては配列ピッチP1)で配列される。音響整合素子21は、例えば、導電性材料や絶縁性材料からなる音響整合材により形成される。なお、図1や図2には、音響整合層20が1層のみ図示されているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、2層、3層、あるいはそれ以上の音響整合層20が振動子層10上に配置されていてもよい。なお典型的には、音響整合層20の表面には、図示しない生体接触層が接合されている。生体接触層は、生体に近い音響インピーダンスを有するシリコーンゴム等を素材としたレンズである。
【0016】
背面音響層(バッキング材)30は、縦方向と横方向とに沿って2次元状に配列される複数の背面音響素子31を有している。背面音響素子31の表面は、振動子11の背面、すなわち信号電極15にそれぞれ接合されている。すなわち背面音響素子31は、振動子11と略同一の配列ピッチ(横方向に関しては配列ピッチPY1)で配列される。
【0017】
背面音響素子31は、例えば、絶縁性材料又は導電性材料等の音響制動材により形成される。背面音響素子31が絶縁性材料により形成される場合、振動子11とFPC40との電気接続のために、典型的には、各背面音響素子31に信号電極15とFPC40とを結ぶ導線33(以下、信号リードと呼ぶことにする)が埋設されている。一方、背面音響素子31が導電性材料により形成される場合、振動子11とFPC40とは、この背面音響素子31を介して電気接続される。従って、背面音響素子31が導電性材料により形成される場合、背面音響素子31に信号リード33が埋設される必要はない。以下、説明を具体的に行なうため背面音響素子31は、絶縁性材料により形成させるものとする。すなわち、振動子11とFPC40とは背面音響素子31に埋設された信号リード33を介して電気接続される。
【0018】
IC層50は、横方向と縦方向とに沿って土台60上に配列された複数のIC51を有する。IC51は、剛性を有する半導体基板に複数の電子部品が集積された電気回路である。IC51の大きさは、特に限定されない。しかしながら、好適には、IC51自体の製造歩留まりを良好なものとするため、小面積の方が良い。換言すれば、IC51自体の製造歩留まりが標準的なICの製造歩留まりに比して悪化してしまうほど、IC51の面積を大きくする必要はない。
【0019】
図3は、IC層50を高さ方向に沿って上から見た平面図である。IC51は、振動子11との間で電気信号を送受信する。IC51は、横方向に沿って間隔GYIをあけて配列ピッチPY3で土台60上に配列され、縦方向に沿って間隔GTIをあけて配列ピッチPT3で土台60上に配列されている。間隔GYIと間隔GTI、配列ピッチPY3と配列ピッチPT3は、同一であっても異なっていても構わないが、以下の説明を具体的に行うため、略同一であるとする。
【0020】
ここで、IC51間の隙間についてより詳細に説明するために、IC列55について考える。IC列55は、縦方向に沿って間隔GTIをあけて一列に配列された複数のIC51から構成される。複数のIC列55は、FPC40の背面に間隔GYIをあけて配列され、FPC40と電気接続されている。横方向に沿って隣り合うIC列55間の隙間(IC51間の隙間)は、縦方向に沿って整列されている。なおIC列55は、横方向に沿って一列に配列された複数のIC51から構成されるとしてもよい。この場合、縦方向に沿って隣り合うIC列55間の隙間は、縦方向に沿って整列されている。すなわち、IC51は、横方向に沿って幅GYI、縦方向に沿って幅GTIをそれぞれ有する格子状の隙間をあけて配置され、IC51間の隙間は、横方向と縦方向とに沿って整列されている。換言すれば、隣り合うIC51間の隙間は、整列方向(横方向と縦方向との両方)に沿って直線形状を有する。
【0021】
各IC51は、その表面に複数の電気端子を有する。電気端子53は、導電性材料で形成される。電気端子53は、配列ピッチPT1よりも狭い配列ピッチPT2で配列される。また、第1接続部53は、縦方向に沿って配列PT1(縦方向に沿う振動子11の配列ピッチ)よりも狭い配列ピッチPT2で配列される。なお、配列ピッチPY2と配列ピッチPT2とは、同一であっても異なっていても構わないが、以下の説明を具体的に行うため、略同一であるとする。
【0022】
FPC40は、配線がプリントされた柔軟性を有する絶縁性基板41を有する。絶縁性基板41の表面は、複数の振動子11側を向き、複数の振動子11との電気接続に供される。絶縁性基板41の背面は、表面の反対側に位置し、複数のIC51側を向き、複数のIC51との電気接続に供される。
【0023】
FPC40は、その表面に、複数の振動子11それぞれ電気接続される複数のパッド42を有する。パッド42は、FPC40の表面に形成され、導電性材料を有する電気パッド(以下、上側電気パッドと呼ぶことにする)である。FPC40上の上側電気パッド42の総数は、振動子層10に含まれる振動子11の総数と同一である。上側電気パッド42は、振動子11と略同一の配列ピッチPT1で配列される。上側電気パッド42上には、バンプ43が設けられる。バンプ43は、背面音響素子31の背面において、信号電極15から延びる信号リード33と接合されている。上側電気パッド42と振動子11とが同一の配列ピッチで配列されることにより、上側電気パッド42と振動子11とがバンプ43を介して一対一でバンプ接続される。上側電気パッド42と振動子11とがバンプ接続されることで、FPC40と複数の振動子11とが電気接続される。
【0024】
図4は、FPC40を下から見た平面図である。図4に示すように、FPC40の背面には、複数の接続区域Z1と非接続区域Z2とが設けられている。複数の接続区域Z1は、FPC40の背面のうちの、複数のIC51との電気接続に供される区域である。非接続区域Z2は、FPC40の背面のうちの、複数の接続区域Z1以外の区域である。すなわち非接続区域Z2は、複数のIC51との電気接続に供されない区域である。接続区域Z1は、横方向に沿ってIC51と略同一の配列ピッチPY3で配列され、縦方向に沿ってIC51と略同一の配列ピッチPT3で配列されている。
【0025】
各接続区域Z1には、2次元状に配列された複数のパッド44が形成されている。パッド44は、FPC40の背面に形成され、導電性材料を有する電気パッド(以下、下側電気パッドを呼ぶことにする)である。FPC40に含まれる下側電気パッド44の総数は、振動子層10に含まれる振動子11の総数と同一であり、IC層50に含まれる電気端子53の総数とも同一である。下側電気パッド44は、横方向に沿って電気端子53と同一の配列ピッチPY2で配列され、縦方向に沿って電気端子53と同一の配列ピッチPT2で配列されている。下側電気パッド44上には、バンプ45が設けられる。バンプ45には、電気端子53が接合されている。下側電気パッド44と電気端子53とが同一の配列ピッチで配列されることにより、下側電気パッド44と電気端子53とが一対一でバンプ接続される。下側電気パッド44と電気端子53とがバンプ接続されることにより、FPC50と複数のIC51とが電気接続される。
【0026】
FPC40上の上側電気パッド42と下側電気パッド44とは、FPC40内において一対一で電気接続される。ここで上側電気パッド42と下側電気パッド44との電気接続を図5、図6、及び図7を参照しながら詳細に説明する。図5は、縦方向から見たFPC40の拡大図である。図6は、高さ方向に沿って上から見たFPC40の拡大平面図である。図7は、高さ方向に沿って下から見たFPC40の拡大平面図である。図5、図6、及び図7に示すように、FPC40の配線基板41の表面には、上側電極パッド42とプリント配線46とが一体にプリントされている。上側電極パッド42にはバンプ43が形成される。上側電極パッド42とバンプ43とは、横方向に沿って配列ピッチPY1で配列される。FPC40の配線基板41の背面には、下側電極パッド44がプリントされている。下側電極パッド44にはバンプ45が形成される。下側電極パッド44とバンプ45とは、横方向に沿って配列ピッチPY2で配列される。また、配線基板41には、配線基板41を垂直に貫通する貫通配線47が形成されている。貫通配線47は、プリント配線46と下側電気パッド44とに接触するように配置される。典型的には、貫通配線47は、配線基板41を垂直に貫通するように形成された貫通孔を導電性材料で充填することにより形成される。貫通配線47は、横方向に沿って下側電極パッド44と同一の配列ピッチPY2で配列される。このように上側電極パッド42と下側電極パッド44とは、プリント配線46と貫通配線47とを介して一対一で電気接続される。
【0027】
上記構成により複数の振動子11と複数のIC51とがFPC40を介して電気接続される。
【0028】
次に超音波プローブ1の製造方法について説明する。図8は、超音波プローブ1の製造過程の流れを示す図である。図8に示すように、まず振動子ブロック、FPC40、及び複数のIC51をそれぞれ形成する(ステップSA1)。振動子ブロックは、平板状の背面音響材料板と圧電材料板と音響整合材料板とが接着された積層体である。圧電材料板の表面と背面とには、スパッタリングやメッキ等により電極が形成されている。各IC51の一面(表面)には、FPC40と電気接続するための電気端子53が配列ピッチPY2で形成される。各IC51は、それ自体の製造歩留まり、且つFPC40との接合歩留まりが良好な大きさに形成される。FPC40表面には、複数の振動子11とそれぞれ電気接続するための複数の上側電気パッド42が所定の配列ピッチPY1で形成される。FPC40の背面であってIC51が電気接続される区域は、接続区域Z1に設定される。接続区域Z1の位置や大きさ、形状、配列ピッチ、配置間隔は、電気接続されるIC51の配置位置や大きさ、形状、配列ピッチ、配置間隔に一致するように設定される。各接続区域Z1には、電気端子53と同じ配列ピッチPY2で下側電気パッド44が形成される。下側電気パッド44と上側電気パッド42とは、FPC40上の配線を介して1対1で電気接続される。
【0029】
次に振動子ブロック、FPC40、及び複数のIC51を電気接続する(ステップSA2)。具体的には、振動子ブロックの背面音響材料板側の面とFPC40の表面とを向かい合わせ、複数のIC51の表面と複数の接続区域とを向かい合わせる。そして電気端子53と下側電気パッド44とが一対一で電気接続されるように、電気端子53と下側電気パッド44とがバンプ45を介してバンプ接続される。バンプ接続後、振動子ブロックとFPC40との隙間、及びFPC40と複数のIC51との隙間に樹脂が充填され接着される。
【0030】
次に振動子ブロックを電気パッド42と同一の配列ピッチPY1でダイシングブレードによりダイシングし、複数の振動子11、複数の音響整合素子21、及び複数の背面音響素子31を形成する(ステップSA3)。この際、ダイシング位置が上側電気パッド42間に位置するようにダイシング(切断)される。
【0031】
ダイシング後、複数のIC51の背面を土台60に接合する(ステップSA4)。土台60に接合後、振動子11間の溝に樹脂等を充填することで、超音波プローブ1が完成される。
【0032】
上記の超音波プローブ1及び超音波プローブ1の製造方法によれば以下の効果が得られる。上述のように超音波プローブ1は、複数の振動子11と複数のIC51との間にFPC40を配置し、FPC40を介して複数の振動子11と複数のIC51とを電気接続している。複数のIC51をFPC40に接合可能にするため、FPC40背面の下側電気パッド44の配列は、IC51の配列に応じて設定されている。これにより、大開口径の振動子層10を実現するために、大面積のICの代わりに、複数の小面積のIC51をFPC40に接合することができる。IC51が小面積であるため、IC51が歪むことがなく、IC51の製造歩留を向上させることできる。またこれに伴い、IC51の表面とFPC40の背面とが平坦でない場合に生じる電気的な接続不良の発生を低減することもできる。従って、本実施形態は、従来に比してIC51とFPC40との電気接続における歩留まりを向上させることができる。
【0033】
かくして本実施形態によれば、2次元状に配列された複数の振動子と電気回路とが電気接続される超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法において、超音波プローブの歩留りの向上を実現することが可能となる。また、歩留まりの向上に伴って超音波プローブの製造コストを低減することが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態においては、IC51と振動子11とを電気接続するために、IC51とFPC40とをバンプ接続するとしたが、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、IC51と振動子11とが電気接続されるのならば、IC51とFPC40とを既存のどの方法により接合してもよい。
【0035】
また、本実施形態においては、電気回路としてIC51を搭載しているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、IC51の代わりに、複数の電子部品を混載し、且つ配線基板との電気接続部分にBGA(ball grid array)構造を有する電気回路ユニットを搭載してもよい。
【0036】
さらに。本実施形態においては、超音波プローブ1として3層構造を採用したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、FPC40の対向面に電気接続のための電気端子を有する構成であれば良い。
【0037】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0038】
(変形例1)
本実施形態においては、FPC40に電気接続されるIC51の大きさや形状は同一であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態においてIC51の大きさや形状は、同一でなくてもよい。以下、変形例1において、IC51の大きさが同一でない超音波プローブ及びその製造方法について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0039】
図9は、変形例1に係るIC層500を高さ方向に沿って上から見た平面図である。図9に示すように、IC層510は、複数の形状や大きさを有する複数のIC510を有している。大きさや形状の違いに伴って、個々のIC510には、異なる数の電気端子53が形成されている。FPC40の背面には、複数のIC510にそれぞれ対応する複数の接続区域が設けられている。接続区域の位置や大きさ、形状、配列ピッチ、配置間隔は、電気接続されるIC51の配置位置や大きさ、形状、配列ピッチ、配置間隔に一致するように設定される。また、各接続区域には、対向するIC510上の電気端子53とバンプ接続するための複数の下側電気パッド44が形成されている。下側電気パッド44の個数や配列ピッチは、対向するIC510上の電気端子53の個数や配列ピッチと同一に設定される。これにより、大きさや形状の異なる複数のIC510とFPC40とが電気接続可能となり、ひいては、複数のIC510と複数の振動子11とを電気接続することができる。
【0040】
なお変形例1に係る超音波プローブは、IC510と接続区域との形状や大きさが異なるだけで、図8と同様の製造過程をふまえて製造可能である。従って変形例1に係る超音波プローブの製造方法についての説明は省略する。
【0041】
上記構成により変形例1に係る超音波プローブは、異なる大きさや形状を有する複数のIC510とFPC40とが電気接続可能な構造を有する。従って変形例1においては、FPC40に電気接続される個々のIC510の形状や大きさ等を統一する必要がない。かくして変形例1によれば、IC510の大きさや形状に依らず大開口径を有する超音波プローブ及びその製造方法を実現することができる。
【0042】
(変形例2)
以下、本実施形態の変形例2に係る超音波プローブとその製造方法とについて説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0043】
図10は、縦方向から見た変形例2に係る超音波プローブ100の断面図である。図10に示すように、変形例2に係る超音波プローブ100は、複数の振動子11が形成する超音波放射面が凸形状を有するコンベックスプローブである。具体的には、超音波プローブ100は、音響整合層20、振動子層10、背面音響層30、FPC40、IC層50、及び土台61を有している。土台61は、高さ方向に沿って隆起している。土台61上にはIC51を介してFPC40が配置されている。FPC40は、上述のように配線がプリントされた柔軟性を有する配線基板である。FPC40を土台61の形状に沿って折り曲げることによって、複数の振動子11による超音波放射面を凸形状にすることができる。なお、土台61は、半角柱形状を有しており、縦方向に沿って延びる複数の平面(半角柱の側面)を含んでいる。この平面にIC51が接合される。また、図10における土台61は、縦方向と高さ方向とにより規定される平面内において3つのIC51が接合される構造を有しているが、本変形例2はこれに限定されない。例えば、縦方向と高さ方向とにより規定される平面内において4つ以上のIC51が接合されるとしてもよい。
【0044】
以下、FPC40を折り曲げ可能にするための構造について説明する。FPC40を折り曲げ可能にするためには、図3のように、IC51間の隙間が少なくとも1方向(図3においては横方向と縦方向との少なくとも一方)に沿って整列されていなくてはならない。換言すれば、図9のように、IC51間の隙間が横方向と縦方向とのいずれの方向にも整列していない場合、FPC40を折り曲げることはできない。より具体的には、隣り合うIC51間の隙間は、整列方向に沿って直線形状を有し、隣り合うIC51間の幅GYIは、整列方向の直交方向に沿って同一でなければならない。この要件を満たすことで、複数のIC51が電気接続されたFPC40を高さ方向に沿って折り曲げることができる。
【0045】
次に変形例2に係る超音波プローブ100の製造方法について説明する。図11は、超音波プローブ100の製造過程の流れを示す図である。なお図11のステップSB1からステップSB3は、図8のステップSA1からステップSA3と同様であるので説明を省略する。
【0046】
ステップSB3においてダイシングにより複数の振動子11等が形成された後、高さ方向(すなわち、FPC40表面及び背面の垂直方向)に沿ってFPC40を折り曲げる。(ステップSB4)。これにより複数の振動子11により形成される超音波放射面を凸形状に形成することができる。
【0047】
FPC40が折り曲げられた後、複数のIC51を土台61に接合する(ステップSB5)。土台61の形状は、IC51の大きさや個数に応じて設計される。例えば、図10に示すように、横方向に沿ってIC51を3つ配列する場合、土台61には、横方向に沿って3つの平面が形成される。IC51を土台61に接合後、振動子11間の溝に樹脂等を充填することで、超音波プローブ100が完成される。
【0048】
なお、変形例2においてFPC40は、高さ方向に沿って隆起するように、すなわち超音波放射面が凸形状を有するように、折り曲げられるとした。しかしながら、変形例2はこれに限定されない。例えば、FPC40を高さ方向に沿って陥没するように、すなわち超音波放射面が凹形状を有するように、折り曲げてもよい。
【0049】
上記の超音波プローブ100とその製造方法とによれば以下の効果が得られる。従来においては、ICと複数の振動子とを電気接続する場合、複数の振動子の背面にFPCを介さないでICを配置していた。このような従来構造において大開口径を実現する場合、ICを大面積にしなければならなかった。一方、ICは、剛性を有するので、折り曲げることができない。従って従来構造では、平坦でない大開口径の超音波放射面(典型的には、凸形状を有する超音波放射面)を実現することができなかった。
【0050】
変形例2においては、平坦でない大開口径の超音波放射面(典型的には、凸形状を有する超音波放射面)を実現するために、配線基板として柔軟性を有するFPC40を採用し、IC51間の隙間が整列するようにIC51をFPC40に電気接続することによって、高さ方向に沿ってFPC40を折り曲げている。これにより、従来構造では実現できなかった、大開口径を有するコンベックスプローブを実現することができる。
【0051】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上本発明によれば、2次元状に配列された複数の振動子と電気回路とが電気接続される超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法において、超音波プローブの歩留りの向上を実現することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…超音波プローブ、10…振動子層、11…振動子、13…圧電体、15…信号電極、17…アース電極、20…音響整合層、21…音響整合素子、30…背面音響層、31…背面音響素子、33…信号リード、40…FPC、41…配線基板、42…上側電気パッド、43…バンプ、44…下側電気パッド、45…バンプ、50…IC層、51…IC、53…電気端子、60…土台
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置や超音波探傷装置に用いられる超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置や超音波探傷装置等に用いられる超音波プローブがある。超音波プローブの応用として、2次元アレイ構造を有する2次元アレイプローブがある。2次元アレイプローブは、2次元状に配列された複数の振動子を有する。2次元アレイ構造を実現するためには、各振動子から信号リードを引き出すことが重要である。例えば、特許文献1には、振動子配列に対応する基板を振動子背面に配置して振動子背面の信号リードをフレキシブルプリント配線板(FPC:flexible printed circuit)と接合することによって、信号リードを引き出す構造が開示されている。また、特許文献2と特許文献3とには、2次元状に配列された振動子の背面にFPCを配置し、振動子背面の信号リードをFPCに接合することにより、振動リードを引き出す構造が開示されている。特許文献4には、FPCの代わりに集積回路(IC:integrated circuit)を振動子背面に配置した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001―27451号公報
【特許文献2】米国特許第5311095号明細書
【特許文献3】米国特許第5267221号明細書
【特許文献4】米国特許第6551248号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、例えば特許文献4に示すように、複数の振動子とIC等の電気回路とを電気接続し、電極リード引き出しと電気信号処理とを行なう2次元アレイプローブが考案されている。一般的に、開口径(振動子の数)が大きくなるに従って、振動子群の歩留まりが劣化し、コストが上昇する傾向にある。また、振動子群背面にFPCの代わりにICを配置する場合、振動子群とICとの接続面の面積が大きくなる。その際、対向する両面が平坦でない場合、電気的な接続不良が発生し、超音波プローブの歩留まりが劣化してしまう。また開口径の増大に伴って、ICの面積を大きくしなければならない。このため、IC自体の歩留まりが劣化し、コストが上昇してしまう。これら理由により、大開口径を有する超音波プローブを実現することは、大変困難となっている。
【0005】
本発明の目的は、2次元状に配列された複数の振動子と電気回路とが電気接続される超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法において、超音波プローブの歩留りの向上を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係る超音波プローブは、第1ピッチで配列された複数の振動子と、絶縁性を有する基板と、前記第1ピッチで前記基板の表面に配列され前記複数の振動子にそれぞれ電気接続される複数の第1導電性パッドと、前記第1ピッチより短い第2ピッチで前記基板の背面に配列され前記複数の第1導電性パッドにそれぞれ電気接続される複数の第2導電性パッドと、を有する配線基板と、前記複数の第2導電性パッドに電気接続される複数の電気回路と、を具備する。
【0007】
本発明の第2局面に係る超音波プローブの製造方法は、振動子ブロックを形成し、複数の第1面を有する複数の回路であって、前記複数の第1面の各々は、複数の端子を有する複数の電気回路を形成し、第2面と複数の接続区域が設けられた第3面とを有する基板であって、前記第2面は、少なくとも1方向に沿って第1ピッチで配列された複数の第1導電性パッドを有し、前記複数の接続区域の各々は、前記少なくとも1方向に沿って前記第1ピッチよりも短い第2ピッチで配列された複数の第2導電性パッドを有する配線基板を形成し、前記振動子ブロックと前記第2面とを向かい合わせ、且つ前記複数の第1面と前記複数の接続区域とをそれぞれ向かい合わせて、前記振動子ブロックと前記複数の電気回路と前記配線基板とを電気接続し、前記複数の第2導電体と同数の振動子を形成するために、前記振動子ブロックを前記少なくとも1方向に沿って前記第1ピッチで切断する、ことを具備する。
【0008】
本発明の第3局面に係る超音波プローブは、振動子ブロックを第1ピッチで切断することにより形成された複数の振動子と、前記複数の振動子に向かい合わされる第1面と前記第1面の反対側の第2面とを有する配線基板であって、前記第1面には、前記複数の振動子にそれぞれ電気接続され前記第1ピッチで配列された複数の第1導電性パッドが形成され、前記第2面には、複数の接続区域が設けられ、前記複数の接続区域の各々には、前記第1ピッチよりも短い第2ピッチで配列された複数の第2導電性パッドが形成される配線基板と、前記複数の第2導電性パッドとそれぞれ電気接続される複数の端子が形成された複数の電気回路と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、2次元状に配列された複数の振動子と電気回路とが電気接続される超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法において、超音波プローブの歩留りの向上が実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る超音波プローブの分解斜視図。
【図2】図1の縦方向から見た超音波プローブの断面図。
【図3】図2のIC層を高さ方向に沿って上から見た平面図。
【図4】図2のFPCを高さ方向に沿って下から見た平面図。
【図5】図2のFPCを縦方向から見た拡大図。
【図6】図2のFPCを高さ方向に沿って上から見た拡大平面図。
【図7】図2のFPCを高さ方向に沿って下から見た拡大平面図。
【図8】図2の超音波プローブの製造過程の流れを示す図。
【図9】本実施形態の変形例1に係る超音波プローブのIC層を高さ方向に沿って上から見た平面図。
【図10】本実施形態の変形例2に係る超音波プローブを縦方向から見た断面図。
【図11】図8の超音波プローブの製造過程の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る超音波プローブと超音波プローブの製造方法と説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る超音波プローブ1の分解斜視図である。図2は、図1の縦方向から見た超音波プローブ1の断面図である。図1と図2とに示すように、本実施形態に係る超音波プローブ1は、大開口径の振動子層10を有している。振動子層10の表面には、音響整合層20が接合されている。振動子層10の背面には、背面音響層30が接合されている。背面音響層30の背面には、フレキシブルプリント配線板40(以下、FPCと呼ぶことにする)が接合されている。FPC40の背面には、IC層50が接合されている。図2に示すように、IC層50の背面には、振動子層10、音響整合層20、背面音響層30、FPC40、及びIC層50を支持するための土台60が接合されている。このように超音波プローブ1は、音響整合層20、振動子層10、背面音響層30、FPC40、及びIC層50が高さ方向に沿って積層された積層構造を有している。
【0013】
振動子層10は、超音波診断装置(図示せず)からIC層50を介して供給された駆動信号(電気信号)を受けて超音波を発生し、被検体により反射された超音波を受けてエコー信号(電気信号)を生成する。生成されたエコー信号は、IC50を介して超音波診断装置に供給される。振動子層10は、縦方向と横方向とに沿って2次元状に配列される複数の振動子11を有している。振動子11は、横方向に沿って配列ピッチPY1で配列される。縦方向に沿う振動子11の配列ピッチは、横方向に沿う配列ピッチPY1と同一でも異なっていても構わない。以下、説明を具体的に行うため、横方向に沿う振動子11の配列ピッチと縦方向に沿う振動子11の配列ピッチとは略同一であるとする。また、横方向に沿う振動子11の幅と縦方向に沿う振動子11の幅も略同一であるとする。
【0014】
各振動子11は、高さ方向に沿って分極される圧電体13、圧電体13の背面に形成される信号電極15、及び圧電体13の表面に形成されるアース電極17を有する。圧電体17は、例えば、2成分系或いは3成分系の圧電セラミックや圧電単結晶により形成される。信号電極15とアース電極17とは、例えば、銀や金等による金属メッキやスパッタリングにより形成される。
【0015】
音響整合層20は、被検体の音響インピーダンスと振動子層10の音響インピーダンスとの違いに起因する超音波の反射を抑える。音響整合層20は、縦方向と横方向とに沿って2次元状に配列される複数の音響整合素子21を有している。音響整合素子21の背面は、振動子の表面に接合されている。すなわち音響整合素子21は、振動子11と略同一の配列ピッチ(横方向に関しては配列ピッチP1)で配列される。音響整合素子21は、例えば、導電性材料や絶縁性材料からなる音響整合材により形成される。なお、図1や図2には、音響整合層20が1層のみ図示されているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、2層、3層、あるいはそれ以上の音響整合層20が振動子層10上に配置されていてもよい。なお典型的には、音響整合層20の表面には、図示しない生体接触層が接合されている。生体接触層は、生体に近い音響インピーダンスを有するシリコーンゴム等を素材としたレンズである。
【0016】
背面音響層(バッキング材)30は、縦方向と横方向とに沿って2次元状に配列される複数の背面音響素子31を有している。背面音響素子31の表面は、振動子11の背面、すなわち信号電極15にそれぞれ接合されている。すなわち背面音響素子31は、振動子11と略同一の配列ピッチ(横方向に関しては配列ピッチPY1)で配列される。
【0017】
背面音響素子31は、例えば、絶縁性材料又は導電性材料等の音響制動材により形成される。背面音響素子31が絶縁性材料により形成される場合、振動子11とFPC40との電気接続のために、典型的には、各背面音響素子31に信号電極15とFPC40とを結ぶ導線33(以下、信号リードと呼ぶことにする)が埋設されている。一方、背面音響素子31が導電性材料により形成される場合、振動子11とFPC40とは、この背面音響素子31を介して電気接続される。従って、背面音響素子31が導電性材料により形成される場合、背面音響素子31に信号リード33が埋設される必要はない。以下、説明を具体的に行なうため背面音響素子31は、絶縁性材料により形成させるものとする。すなわち、振動子11とFPC40とは背面音響素子31に埋設された信号リード33を介して電気接続される。
【0018】
IC層50は、横方向と縦方向とに沿って土台60上に配列された複数のIC51を有する。IC51は、剛性を有する半導体基板に複数の電子部品が集積された電気回路である。IC51の大きさは、特に限定されない。しかしながら、好適には、IC51自体の製造歩留まりを良好なものとするため、小面積の方が良い。換言すれば、IC51自体の製造歩留まりが標準的なICの製造歩留まりに比して悪化してしまうほど、IC51の面積を大きくする必要はない。
【0019】
図3は、IC層50を高さ方向に沿って上から見た平面図である。IC51は、振動子11との間で電気信号を送受信する。IC51は、横方向に沿って間隔GYIをあけて配列ピッチPY3で土台60上に配列され、縦方向に沿って間隔GTIをあけて配列ピッチPT3で土台60上に配列されている。間隔GYIと間隔GTI、配列ピッチPY3と配列ピッチPT3は、同一であっても異なっていても構わないが、以下の説明を具体的に行うため、略同一であるとする。
【0020】
ここで、IC51間の隙間についてより詳細に説明するために、IC列55について考える。IC列55は、縦方向に沿って間隔GTIをあけて一列に配列された複数のIC51から構成される。複数のIC列55は、FPC40の背面に間隔GYIをあけて配列され、FPC40と電気接続されている。横方向に沿って隣り合うIC列55間の隙間(IC51間の隙間)は、縦方向に沿って整列されている。なおIC列55は、横方向に沿って一列に配列された複数のIC51から構成されるとしてもよい。この場合、縦方向に沿って隣り合うIC列55間の隙間は、縦方向に沿って整列されている。すなわち、IC51は、横方向に沿って幅GYI、縦方向に沿って幅GTIをそれぞれ有する格子状の隙間をあけて配置され、IC51間の隙間は、横方向と縦方向とに沿って整列されている。換言すれば、隣り合うIC51間の隙間は、整列方向(横方向と縦方向との両方)に沿って直線形状を有する。
【0021】
各IC51は、その表面に複数の電気端子を有する。電気端子53は、導電性材料で形成される。電気端子53は、配列ピッチPT1よりも狭い配列ピッチPT2で配列される。また、第1接続部53は、縦方向に沿って配列PT1(縦方向に沿う振動子11の配列ピッチ)よりも狭い配列ピッチPT2で配列される。なお、配列ピッチPY2と配列ピッチPT2とは、同一であっても異なっていても構わないが、以下の説明を具体的に行うため、略同一であるとする。
【0022】
FPC40は、配線がプリントされた柔軟性を有する絶縁性基板41を有する。絶縁性基板41の表面は、複数の振動子11側を向き、複数の振動子11との電気接続に供される。絶縁性基板41の背面は、表面の反対側に位置し、複数のIC51側を向き、複数のIC51との電気接続に供される。
【0023】
FPC40は、その表面に、複数の振動子11それぞれ電気接続される複数のパッド42を有する。パッド42は、FPC40の表面に形成され、導電性材料を有する電気パッド(以下、上側電気パッドと呼ぶことにする)である。FPC40上の上側電気パッド42の総数は、振動子層10に含まれる振動子11の総数と同一である。上側電気パッド42は、振動子11と略同一の配列ピッチPT1で配列される。上側電気パッド42上には、バンプ43が設けられる。バンプ43は、背面音響素子31の背面において、信号電極15から延びる信号リード33と接合されている。上側電気パッド42と振動子11とが同一の配列ピッチで配列されることにより、上側電気パッド42と振動子11とがバンプ43を介して一対一でバンプ接続される。上側電気パッド42と振動子11とがバンプ接続されることで、FPC40と複数の振動子11とが電気接続される。
【0024】
図4は、FPC40を下から見た平面図である。図4に示すように、FPC40の背面には、複数の接続区域Z1と非接続区域Z2とが設けられている。複数の接続区域Z1は、FPC40の背面のうちの、複数のIC51との電気接続に供される区域である。非接続区域Z2は、FPC40の背面のうちの、複数の接続区域Z1以外の区域である。すなわち非接続区域Z2は、複数のIC51との電気接続に供されない区域である。接続区域Z1は、横方向に沿ってIC51と略同一の配列ピッチPY3で配列され、縦方向に沿ってIC51と略同一の配列ピッチPT3で配列されている。
【0025】
各接続区域Z1には、2次元状に配列された複数のパッド44が形成されている。パッド44は、FPC40の背面に形成され、導電性材料を有する電気パッド(以下、下側電気パッドを呼ぶことにする)である。FPC40に含まれる下側電気パッド44の総数は、振動子層10に含まれる振動子11の総数と同一であり、IC層50に含まれる電気端子53の総数とも同一である。下側電気パッド44は、横方向に沿って電気端子53と同一の配列ピッチPY2で配列され、縦方向に沿って電気端子53と同一の配列ピッチPT2で配列されている。下側電気パッド44上には、バンプ45が設けられる。バンプ45には、電気端子53が接合されている。下側電気パッド44と電気端子53とが同一の配列ピッチで配列されることにより、下側電気パッド44と電気端子53とが一対一でバンプ接続される。下側電気パッド44と電気端子53とがバンプ接続されることにより、FPC50と複数のIC51とが電気接続される。
【0026】
FPC40上の上側電気パッド42と下側電気パッド44とは、FPC40内において一対一で電気接続される。ここで上側電気パッド42と下側電気パッド44との電気接続を図5、図6、及び図7を参照しながら詳細に説明する。図5は、縦方向から見たFPC40の拡大図である。図6は、高さ方向に沿って上から見たFPC40の拡大平面図である。図7は、高さ方向に沿って下から見たFPC40の拡大平面図である。図5、図6、及び図7に示すように、FPC40の配線基板41の表面には、上側電極パッド42とプリント配線46とが一体にプリントされている。上側電極パッド42にはバンプ43が形成される。上側電極パッド42とバンプ43とは、横方向に沿って配列ピッチPY1で配列される。FPC40の配線基板41の背面には、下側電極パッド44がプリントされている。下側電極パッド44にはバンプ45が形成される。下側電極パッド44とバンプ45とは、横方向に沿って配列ピッチPY2で配列される。また、配線基板41には、配線基板41を垂直に貫通する貫通配線47が形成されている。貫通配線47は、プリント配線46と下側電気パッド44とに接触するように配置される。典型的には、貫通配線47は、配線基板41を垂直に貫通するように形成された貫通孔を導電性材料で充填することにより形成される。貫通配線47は、横方向に沿って下側電極パッド44と同一の配列ピッチPY2で配列される。このように上側電極パッド42と下側電極パッド44とは、プリント配線46と貫通配線47とを介して一対一で電気接続される。
【0027】
上記構成により複数の振動子11と複数のIC51とがFPC40を介して電気接続される。
【0028】
次に超音波プローブ1の製造方法について説明する。図8は、超音波プローブ1の製造過程の流れを示す図である。図8に示すように、まず振動子ブロック、FPC40、及び複数のIC51をそれぞれ形成する(ステップSA1)。振動子ブロックは、平板状の背面音響材料板と圧電材料板と音響整合材料板とが接着された積層体である。圧電材料板の表面と背面とには、スパッタリングやメッキ等により電極が形成されている。各IC51の一面(表面)には、FPC40と電気接続するための電気端子53が配列ピッチPY2で形成される。各IC51は、それ自体の製造歩留まり、且つFPC40との接合歩留まりが良好な大きさに形成される。FPC40表面には、複数の振動子11とそれぞれ電気接続するための複数の上側電気パッド42が所定の配列ピッチPY1で形成される。FPC40の背面であってIC51が電気接続される区域は、接続区域Z1に設定される。接続区域Z1の位置や大きさ、形状、配列ピッチ、配置間隔は、電気接続されるIC51の配置位置や大きさ、形状、配列ピッチ、配置間隔に一致するように設定される。各接続区域Z1には、電気端子53と同じ配列ピッチPY2で下側電気パッド44が形成される。下側電気パッド44と上側電気パッド42とは、FPC40上の配線を介して1対1で電気接続される。
【0029】
次に振動子ブロック、FPC40、及び複数のIC51を電気接続する(ステップSA2)。具体的には、振動子ブロックの背面音響材料板側の面とFPC40の表面とを向かい合わせ、複数のIC51の表面と複数の接続区域とを向かい合わせる。そして電気端子53と下側電気パッド44とが一対一で電気接続されるように、電気端子53と下側電気パッド44とがバンプ45を介してバンプ接続される。バンプ接続後、振動子ブロックとFPC40との隙間、及びFPC40と複数のIC51との隙間に樹脂が充填され接着される。
【0030】
次に振動子ブロックを電気パッド42と同一の配列ピッチPY1でダイシングブレードによりダイシングし、複数の振動子11、複数の音響整合素子21、及び複数の背面音響素子31を形成する(ステップSA3)。この際、ダイシング位置が上側電気パッド42間に位置するようにダイシング(切断)される。
【0031】
ダイシング後、複数のIC51の背面を土台60に接合する(ステップSA4)。土台60に接合後、振動子11間の溝に樹脂等を充填することで、超音波プローブ1が完成される。
【0032】
上記の超音波プローブ1及び超音波プローブ1の製造方法によれば以下の効果が得られる。上述のように超音波プローブ1は、複数の振動子11と複数のIC51との間にFPC40を配置し、FPC40を介して複数の振動子11と複数のIC51とを電気接続している。複数のIC51をFPC40に接合可能にするため、FPC40背面の下側電気パッド44の配列は、IC51の配列に応じて設定されている。これにより、大開口径の振動子層10を実現するために、大面積のICの代わりに、複数の小面積のIC51をFPC40に接合することができる。IC51が小面積であるため、IC51が歪むことがなく、IC51の製造歩留を向上させることできる。またこれに伴い、IC51の表面とFPC40の背面とが平坦でない場合に生じる電気的な接続不良の発生を低減することもできる。従って、本実施形態は、従来に比してIC51とFPC40との電気接続における歩留まりを向上させることができる。
【0033】
かくして本実施形態によれば、2次元状に配列された複数の振動子と電気回路とが電気接続される超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法において、超音波プローブの歩留りの向上を実現することが可能となる。また、歩留まりの向上に伴って超音波プローブの製造コストを低減することが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態においては、IC51と振動子11とを電気接続するために、IC51とFPC40とをバンプ接続するとしたが、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、IC51と振動子11とが電気接続されるのならば、IC51とFPC40とを既存のどの方法により接合してもよい。
【0035】
また、本実施形態においては、電気回路としてIC51を搭載しているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、IC51の代わりに、複数の電子部品を混載し、且つ配線基板との電気接続部分にBGA(ball grid array)構造を有する電気回路ユニットを搭載してもよい。
【0036】
さらに。本実施形態においては、超音波プローブ1として3層構造を採用したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、FPC40の対向面に電気接続のための電気端子を有する構成であれば良い。
【0037】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0038】
(変形例1)
本実施形態においては、FPC40に電気接続されるIC51の大きさや形状は同一であるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態においてIC51の大きさや形状は、同一でなくてもよい。以下、変形例1において、IC51の大きさが同一でない超音波プローブ及びその製造方法について説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0039】
図9は、変形例1に係るIC層500を高さ方向に沿って上から見た平面図である。図9に示すように、IC層510は、複数の形状や大きさを有する複数のIC510を有している。大きさや形状の違いに伴って、個々のIC510には、異なる数の電気端子53が形成されている。FPC40の背面には、複数のIC510にそれぞれ対応する複数の接続区域が設けられている。接続区域の位置や大きさ、形状、配列ピッチ、配置間隔は、電気接続されるIC51の配置位置や大きさ、形状、配列ピッチ、配置間隔に一致するように設定される。また、各接続区域には、対向するIC510上の電気端子53とバンプ接続するための複数の下側電気パッド44が形成されている。下側電気パッド44の個数や配列ピッチは、対向するIC510上の電気端子53の個数や配列ピッチと同一に設定される。これにより、大きさや形状の異なる複数のIC510とFPC40とが電気接続可能となり、ひいては、複数のIC510と複数の振動子11とを電気接続することができる。
【0040】
なお変形例1に係る超音波プローブは、IC510と接続区域との形状や大きさが異なるだけで、図8と同様の製造過程をふまえて製造可能である。従って変形例1に係る超音波プローブの製造方法についての説明は省略する。
【0041】
上記構成により変形例1に係る超音波プローブは、異なる大きさや形状を有する複数のIC510とFPC40とが電気接続可能な構造を有する。従って変形例1においては、FPC40に電気接続される個々のIC510の形状や大きさ等を統一する必要がない。かくして変形例1によれば、IC510の大きさや形状に依らず大開口径を有する超音波プローブ及びその製造方法を実現することができる。
【0042】
(変形例2)
以下、本実施形態の変形例2に係る超音波プローブとその製造方法とについて説明する。なお以下の説明において、本実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0043】
図10は、縦方向から見た変形例2に係る超音波プローブ100の断面図である。図10に示すように、変形例2に係る超音波プローブ100は、複数の振動子11が形成する超音波放射面が凸形状を有するコンベックスプローブである。具体的には、超音波プローブ100は、音響整合層20、振動子層10、背面音響層30、FPC40、IC層50、及び土台61を有している。土台61は、高さ方向に沿って隆起している。土台61上にはIC51を介してFPC40が配置されている。FPC40は、上述のように配線がプリントされた柔軟性を有する配線基板である。FPC40を土台61の形状に沿って折り曲げることによって、複数の振動子11による超音波放射面を凸形状にすることができる。なお、土台61は、半角柱形状を有しており、縦方向に沿って延びる複数の平面(半角柱の側面)を含んでいる。この平面にIC51が接合される。また、図10における土台61は、縦方向と高さ方向とにより規定される平面内において3つのIC51が接合される構造を有しているが、本変形例2はこれに限定されない。例えば、縦方向と高さ方向とにより規定される平面内において4つ以上のIC51が接合されるとしてもよい。
【0044】
以下、FPC40を折り曲げ可能にするための構造について説明する。FPC40を折り曲げ可能にするためには、図3のように、IC51間の隙間が少なくとも1方向(図3においては横方向と縦方向との少なくとも一方)に沿って整列されていなくてはならない。換言すれば、図9のように、IC51間の隙間が横方向と縦方向とのいずれの方向にも整列していない場合、FPC40を折り曲げることはできない。より具体的には、隣り合うIC51間の隙間は、整列方向に沿って直線形状を有し、隣り合うIC51間の幅GYIは、整列方向の直交方向に沿って同一でなければならない。この要件を満たすことで、複数のIC51が電気接続されたFPC40を高さ方向に沿って折り曲げることができる。
【0045】
次に変形例2に係る超音波プローブ100の製造方法について説明する。図11は、超音波プローブ100の製造過程の流れを示す図である。なお図11のステップSB1からステップSB3は、図8のステップSA1からステップSA3と同様であるので説明を省略する。
【0046】
ステップSB3においてダイシングにより複数の振動子11等が形成された後、高さ方向(すなわち、FPC40表面及び背面の垂直方向)に沿ってFPC40を折り曲げる。(ステップSB4)。これにより複数の振動子11により形成される超音波放射面を凸形状に形成することができる。
【0047】
FPC40が折り曲げられた後、複数のIC51を土台61に接合する(ステップSB5)。土台61の形状は、IC51の大きさや個数に応じて設計される。例えば、図10に示すように、横方向に沿ってIC51を3つ配列する場合、土台61には、横方向に沿って3つの平面が形成される。IC51を土台61に接合後、振動子11間の溝に樹脂等を充填することで、超音波プローブ100が完成される。
【0048】
なお、変形例2においてFPC40は、高さ方向に沿って隆起するように、すなわち超音波放射面が凸形状を有するように、折り曲げられるとした。しかしながら、変形例2はこれに限定されない。例えば、FPC40を高さ方向に沿って陥没するように、すなわち超音波放射面が凹形状を有するように、折り曲げてもよい。
【0049】
上記の超音波プローブ100とその製造方法とによれば以下の効果が得られる。従来においては、ICと複数の振動子とを電気接続する場合、複数の振動子の背面にFPCを介さないでICを配置していた。このような従来構造において大開口径を実現する場合、ICを大面積にしなければならなかった。一方、ICは、剛性を有するので、折り曲げることができない。従って従来構造では、平坦でない大開口径の超音波放射面(典型的には、凸形状を有する超音波放射面)を実現することができなかった。
【0050】
変形例2においては、平坦でない大開口径の超音波放射面(典型的には、凸形状を有する超音波放射面)を実現するために、配線基板として柔軟性を有するFPC40を採用し、IC51間の隙間が整列するようにIC51をFPC40に電気接続することによって、高さ方向に沿ってFPC40を折り曲げている。これにより、従来構造では実現できなかった、大開口径を有するコンベックスプローブを実現することができる。
【0051】
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上本発明によれば、2次元状に配列された複数の振動子と電気回路とが電気接続される超音波プローブ及び超音波プローブの製造方法において、超音波プローブの歩留りの向上を実現することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…超音波プローブ、10…振動子層、11…振動子、13…圧電体、15…信号電極、17…アース電極、20…音響整合層、21…音響整合素子、30…背面音響層、31…背面音響素子、33…信号リード、40…FPC、41…配線基板、42…上側電気パッド、43…バンプ、44…下側電気パッド、45…バンプ、50…IC層、51…IC、53…電気端子、60…土台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ピッチで配列された複数の振動子と、
絶縁性を有する基板と、前記第1ピッチで前記基板の表面に配列され前記複数の振動子にそれぞれ電気接続される複数の第1導電性パッドと、前記第1ピッチより短い第2ピッチで前記基板の背面に配列され前記複数の第1導電性パッドにそれぞれ電気接続される複数の第2導電性パッドと、を有する配線基板と、
前記複数の第2導電性パッドに電気接続される複数の電気回路と、
を具備する超音波プローブ。
【請求項2】
前記配線基板は、前記複数の電気回路との電気接続に供される複数の接続区域と、前記複数の電気回路との電気接続に供されない非接続区域とを前記背面上に有する、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記複数の接続区域は、前記複数の電気回路と同一の第3ピッチで前記背面上に配列される、請求項2記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記複数の接続区域の各々は、前記第2ピッチで配列された前記第2導電性パッドを有する、請求項3記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記配線基板には、第1方向に沿って所定間隔おきに配列された複数の電気回路列が電気接続され、
前記複数の電気回路列の各々は、前記複数の電気回路のうちの、前記第1方向に略直交する第2方向に沿って一列に配列された複数の電気回路から構成され、
前記所定間隔は、前記第1方向に沿う前記非接続区域の幅と略同一である、
請求項3記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記配線基板は、前記複数の振動子により形成される超音波放射面が前記第1方向と前記第2方向とに略直交する第3方向に隆起又は陥没するように折り曲げられている、請求項5記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記複数の電気回路の各々は、所定間隔おきに前記配線基板に電気接続される、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項8】
前記配線基板は、プリント配線を有する、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項9】
前記配線基板は、柔軟性を有する、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項10】
前記複数の電気回路の各々は、半導体基板に複数の電子部品が集積された集積回路である、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項11】
前記複数の第1導電性パッドと前記複数の第2導電性パッドとは、前記基板内において配線によりそれぞれ接続される、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項12】
振動子ブロックを形成し、
複数の第1面を有する複数の回路であって、前記複数の第1面の各々は、複数の端子を有する複数の電気回路を形成し、
第2面と複数の接続区域が設けられた第3面とを有する基板であって、前記第2面は、少なくとも1方向に沿って第1ピッチで配列された複数の第1導電性パッドを有し、前記複数の接続区域の各々は、前記少なくとも1方向に沿って前記第1ピッチよりも短い第2ピッチで配列された複数の第2導電性パッドを有する配線基板を形成し、
前記振動子ブロックと前記第2面とを向かい合わせ、且つ前記複数の第1面と前記複数の接続区域とをそれぞれ向かい合わせて、前記振動子ブロックと前記複数の電気回路と前記配線基板とを電気接続し、
前記複数の第2導電体と同数の振動子を形成するために、前記振動子ブロックを前記少なくとも1方向に沿って前記第1ピッチで切断する、
ことを具備する超音波プローブの製造方法。
【請求項13】
前記複数の接続区域のうちの前記少なくとも1方向に沿って隣り合う2つの接続区域間の間隔は、略同一幅を有し、
前記複数の電気回路は、前記少なくとも1方向に沿って前記第3面上に前記略同一幅をあけて配置され、
前記第2面及び前記第3面の垂直方向に前記配線基板を折り曲げる、
請求項12記載の超音波プローブの製造方法。
【請求項14】
振動子ブロックを第1ピッチで切断することにより形成された複数の振動子と、
前記複数の振動子に向かい合わされる第1面と前記第1面の反対側の第2面とを有する配線基板であって、前記第1面には、前記複数の振動子にそれぞれ電気接続され前記第1ピッチで配列された複数の第1導電性パッドが形成され、前記第2面には、複数の接続区域が設けられ、前記複数の接続区域の各々には、前記第1ピッチよりも短い第2ピッチで配列された複数の第2導電性パッドが形成される配線基板と、
前記複数の第2導電性パッドとそれぞれ電気接続される複数の端子が形成された複数の電気回路と、
を具備する超音波プローブ。
【請求項1】
第1ピッチで配列された複数の振動子と、
絶縁性を有する基板と、前記第1ピッチで前記基板の表面に配列され前記複数の振動子にそれぞれ電気接続される複数の第1導電性パッドと、前記第1ピッチより短い第2ピッチで前記基板の背面に配列され前記複数の第1導電性パッドにそれぞれ電気接続される複数の第2導電性パッドと、を有する配線基板と、
前記複数の第2導電性パッドに電気接続される複数の電気回路と、
を具備する超音波プローブ。
【請求項2】
前記配線基板は、前記複数の電気回路との電気接続に供される複数の接続区域と、前記複数の電気回路との電気接続に供されない非接続区域とを前記背面上に有する、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記複数の接続区域は、前記複数の電気回路と同一の第3ピッチで前記背面上に配列される、請求項2記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記複数の接続区域の各々は、前記第2ピッチで配列された前記第2導電性パッドを有する、請求項3記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記配線基板には、第1方向に沿って所定間隔おきに配列された複数の電気回路列が電気接続され、
前記複数の電気回路列の各々は、前記複数の電気回路のうちの、前記第1方向に略直交する第2方向に沿って一列に配列された複数の電気回路から構成され、
前記所定間隔は、前記第1方向に沿う前記非接続区域の幅と略同一である、
請求項3記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記配線基板は、前記複数の振動子により形成される超音波放射面が前記第1方向と前記第2方向とに略直交する第3方向に隆起又は陥没するように折り曲げられている、請求項5記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記複数の電気回路の各々は、所定間隔おきに前記配線基板に電気接続される、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項8】
前記配線基板は、プリント配線を有する、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項9】
前記配線基板は、柔軟性を有する、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項10】
前記複数の電気回路の各々は、半導体基板に複数の電子部品が集積された集積回路である、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項11】
前記複数の第1導電性パッドと前記複数の第2導電性パッドとは、前記基板内において配線によりそれぞれ接続される、請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項12】
振動子ブロックを形成し、
複数の第1面を有する複数の回路であって、前記複数の第1面の各々は、複数の端子を有する複数の電気回路を形成し、
第2面と複数の接続区域が設けられた第3面とを有する基板であって、前記第2面は、少なくとも1方向に沿って第1ピッチで配列された複数の第1導電性パッドを有し、前記複数の接続区域の各々は、前記少なくとも1方向に沿って前記第1ピッチよりも短い第2ピッチで配列された複数の第2導電性パッドを有する配線基板を形成し、
前記振動子ブロックと前記第2面とを向かい合わせ、且つ前記複数の第1面と前記複数の接続区域とをそれぞれ向かい合わせて、前記振動子ブロックと前記複数の電気回路と前記配線基板とを電気接続し、
前記複数の第2導電体と同数の振動子を形成するために、前記振動子ブロックを前記少なくとも1方向に沿って前記第1ピッチで切断する、
ことを具備する超音波プローブの製造方法。
【請求項13】
前記複数の接続区域のうちの前記少なくとも1方向に沿って隣り合う2つの接続区域間の間隔は、略同一幅を有し、
前記複数の電気回路は、前記少なくとも1方向に沿って前記第3面上に前記略同一幅をあけて配置され、
前記第2面及び前記第3面の垂直方向に前記配線基板を折り曲げる、
請求項12記載の超音波プローブの製造方法。
【請求項14】
振動子ブロックを第1ピッチで切断することにより形成された複数の振動子と、
前記複数の振動子に向かい合わされる第1面と前記第1面の反対側の第2面とを有する配線基板であって、前記第1面には、前記複数の振動子にそれぞれ電気接続され前記第1ピッチで配列された複数の第1導電性パッドが形成され、前記第2面には、複数の接続区域が設けられ、前記複数の接続区域の各々には、前記第1ピッチよりも短い第2ピッチで配列された複数の第2導電性パッドが形成される配線基板と、
前記複数の第2導電性パッドとそれぞれ電気接続される複数の端子が形成された複数の電気回路と、
を具備する超音波プローブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−110111(P2011−110111A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266607(P2009−266607)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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