超音波探触子
【課題】密閉容器内の反射部位の形状を傾斜させて不要超音波の発生を防ぐ。
【解決手段】短軸揺動型探触子において、長軸方向に並べられて超音波送受波面に音響レンズ6を有する圧電素子群2を、密閉容器3内に収容された回転保持台1上に設け、前記圧電素子群2の短軸方向に前記回転保持台1を回転揺動することにより前記圧電素子群2の超音波送受波面から送受波される超音波を前記短軸方向に機械的に走査し、前記密閉容器3内に音響媒質Lとしての液体を充填する。そして、前記音響レンズ6の表面と前記密閉容器3の内周面3cとの間を、長軸方向または短軸方向に伝播した後に前記音響レンズ6の範囲を超えて前記密閉容器3内を進行する不要超音波が、前記密閉容器3内のいずれ
かの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波が前記音響レンズ6の表面と前記密閉容器3の内周面3cとの間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させたことを特徴とする。
【解決手段】短軸揺動型探触子において、長軸方向に並べられて超音波送受波面に音響レンズ6を有する圧電素子群2を、密閉容器3内に収容された回転保持台1上に設け、前記圧電素子群2の短軸方向に前記回転保持台1を回転揺動することにより前記圧電素子群2の超音波送受波面から送受波される超音波を前記短軸方向に機械的に走査し、前記密閉容器3内に音響媒質Lとしての液体を充填する。そして、前記音響レンズ6の表面と前記密閉容器3の内周面3cとの間を、長軸方向または短軸方向に伝播した後に前記音響レンズ6の範囲を超えて前記密閉容器3内を進行する不要超音波が、前記密閉容器3内のいずれ
かの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波が前記音響レンズ6の表面と前記密閉容器3の内周面3cとの間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体(生体)に対して圧電素子群から超音波の送受波を行い、被検体の超音波診断のための三次元データの取り込みを行う超音波探触子に関し、とくに、圧電素子群を収納した密閉容器の内部で反射した不要超音波を防ぐようにした超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波探触子、例えば、短軸揺動型超音波探触子は、図13に示すように、長軸方向に並べられて音響レンズ6を有する圧電素子群2を回転保持台1の水平部上に設けて、いずれも断面が凹状をした容器本体3aとカバー3bとからなる密閉容器3内に収容する。回転保持台1の両端側の脚部1a,1bには軸受を設け、容器本体3aの側壁に長軸方向に設けられた回転中心軸7と滑合するようにする。
【0003】
回転保持台1の一方の脚部1bに設けられた短軸方向に回転揺動する第1かさ歯車4aは、密閉容器3の底壁を密閉・貫通した回転シャフト8に固着した第2かさ歯車4bと噛合する。これにより、回転保持台1と圧電素子群2を短軸方向に回転揺動し、圧電素子群2の超音波送受波面から送受波される超音波を圧電素子群2の短軸方向に機械的に走査する。密閉容器3内には、超音響媒質としての液体L、例えばオイル、が充填される。
【0004】
ここでの音響レンズ6は、その曲率部の外周から延出した脚部6aを有し、さらに長軸方向の両端側の超音波送受波面側に超音波吸収手段としての突出部6bが設けられる。突出部6bは、その先端側をカバー3bの内周面3cに倣って円弧状とし、容器本体3aの底壁には、中空部を有する軽量体10が接着剤等によって固着され、回転保持台1の下方に充填した超音波媒質L中に埋没されている。
【0005】
このような構成によれば、超音波吸収手段としての突出部6bを音響レンズ6の両端側に設けてあるので、圧電素子群2の長軸方向に伝播する不要超音波が超音波吸収手段(突出部6b)によって吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−222244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の超音波探触子では、密閉容器内に音響媒質(超音波媒質)としての液体を充填した密閉容器の内部で反射し、超音波探触子から外部へ出ない不要超音波は、診断装置の画像上に不要エコーとなって現れるため、超音波診断の妨げとなる。
【0008】
そこで、このような不要エコーを防ぐために、前出特許文献1(特開2007−222244号公報)では、突出部(超音波吸収手段)6dを音響レンズの脚部に付加しているが、突出部6bとカバー内周面3cとの間には、クリアランスgを設ける必要があるために、不要エコーを十分に除去することができず、また、部品点数や組立工数が増加によりコストアップ要因にもなっていた。
【0009】
このような不要エコーは、以下のような経路で不要超音波が、これを送信した圧電素子に戻ってしまうことにより発生する。以下、添付した図9に基づいて不要エコーの発生原理を説明する。
【0010】
まず、圧電素子から放射された不要超音波は、音響レンズ表面とカバー内面との間で反射を繰り返して圧電素子群の長軸方向または短軸方向に伝播して音響レンズの範囲の外に出る(図9に示すD部及びE部参照)。
【0011】
この不要超音波が、密閉容器内のいずれかの部位で反射する際に、反射前の方向と同じ方向に反射すると、元の経路を辿って最終的に音響レンズ上の放射された地点付近に戻る。これを送信時の圧電素子が受信すると画像上の不要エコーとなる。
【0012】
上述のような、反射の際に反射前の方向と同じ方向に反射して元の経路に戻るようなケースは以下の通りである。(ここで、図9は探触子が、図10に示すように、中心位置にあり、長軸方向に不要超音波が伝播する場合を示す。)
(1)反射面に対して90度で入射した場合(入射角=0°、図9に示すD部、矢印方向に点線で示す)。
【0013】
(2)互いになす角度が略90度である2平面(凹の直角コーナー形状)のいずれか一方の面に入射する場合(図9に示すE部、矢印方向に実線で示す)。
【0014】
ここで、上記(2)について補足説明すると、図7に示すように、互いのなす角度θの2面(第1及び第2反射面)で連続して反射する場合、反射前の方向(入射角a)と2回反射後の方向(同じ基準での射出角c)の関係は正反射の性質(反射面の法線に対する入射角と射出角の値は等しく、反射前後の各進行方向は法線について対称)を使って計算すると以下の通りになる。
【0015】
すなわち、図7に示す、ΔABOの内角について、(90−a)+(90−b)+θ=180 → b=θ−a、また、
ΔABCの内角について、a+2×b+c=180、bを消去すると、
c=180−a−2×(θ−a)=a−2×θ+180
θ=90のとき、c=a、となる。
【0016】
よって、θ=90°の場合は、どのような入射角であっても、射出角は入射角と同じであり、かつ角度aと角度cは、基準に対して同じ方向と、ここで定義しているので、反射前後の進行方向は同じになる。
【0017】
従って、どの入射角であっても、反射後は元の経路に戻ることになるので、このような90°をなす2面での連続反射は不要エコーの原因となりやすいことが分る。
【0018】
次に各反射部位での反射により、不要超音波が圧電素子に戻る例を説明する。
【0019】
図10は、探触子が中心位置にあり、不要超音波が短軸方向に伝播する場合を示す。
【0020】
図11は、探触子が所定角度回動した位置にあり、不要超音波が短軸方向に伝播する場合を示す。
【0021】
図10と図11は、いずれも容器本体の上部端面(図8に示す面U)とカバー内面が互いに90°をなす2面を構成しており、この部位で反射した不要超音波が反射前の経路に戻る様子を示している。
【0022】
図8に示す矢印は、探触子が回動した位置にあり、不要超音波が長軸方向に伝播する場合に、容器本体の端面(図8に示す面T)で反射する様子(実線矢印)を示す。ここで、この面Tでの不要超音波の入射角は、略0°のため、図9に示すD部での反射と同様に、反射後の方向は、反射前の方向と略同じとなり元の経路を戻っていく。
【0023】
さらに、反射部位の構成について説明する。
【0024】
上述したように、図8に示す面S、T、Uは容器本体の端面であるが、面S及び面Uは部品加工が容易となるように、図9に示す加工基準面と平行に形成されている。また、カバーの内面については容器本体と嵌合させることから、容器本体の面S、T、Uと隣接する部位では、これらの面と略垂直な面となっている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記した課題を解決するために、本発明の短軸揺動型超音波探触子では、不要エコーを防ぐために、長軸方向に並べられて超音波送受波面に音響レンズを有する圧電素子群を、密閉容器内に収容された回転保持台上に設け、前記圧電素子群の短軸方向に前記回転保持台を回転揺動することにより前記圧電素子群の超音波送受波面から送受波される超音波を前記短軸方向に機械的に走査し、前記密閉容器内に音響媒質としての液体を充填した短軸揺動型超音波探触子を構成し、前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間を長軸方向または短軸方向に伝播した後に前記音響レンズの範囲を超えて前記密閉容器内を進
行する不要超音波が、前記密閉容器内のいずれかの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波が前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させる。
【0026】
また、本発明の超音波探触子では、前記密閉容器が、少なくとも超音波診断時に被検体の体表に接するカバーと前記回転保持台を支持する容器本体とから、かつ、前記反射部位が前記容器本体の面の一部からなり、前記反射部位に向かう前記不要超音波の前記反射部位での入射角がなるべく大きくなるように、前記反射部位の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記反射部位で反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにする。
【0027】
さらに、本発明の超音波探触子では、前記密閉容器が、少なくとも超音波診断時に被検体の体表に接するカバーと前記回転保持台を支持する容器本体とから、かつ、前記反射部位が前記カバー内面の一部とそれと隣接する前記容器本体の面の一部の2面からなり、前記2面のなす角度が鋭角または鈍角をなすように、前記2面のうちの一方、または両方の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が、前記2面で連続して反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにする。
【発明の効果】
【0028】
密閉容器内を進行する不要超音波が前記密閉容器内のいずれかの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波が前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させ、不要超音波の発生を防いだので、探触子が中心位置及び回動した位置のいずれにおいても、従来のプローブで発生していた不要エコーの発生がなくなり、良好な超音波画像を得ることができるようになる(図12の本発明によるプローブの欄を参照)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の超音波探触子の斜視図であって、カバーを外して上から見た図である。
【図2】図1に示した本発明の超音波探触子の長軸方向の縦断面図である。
【図3】図1に示した本発明の超音波探触子の短軸方向の縦断面図であって、超音波探触子が中心位置にある状態を示す。
【図4】図3に示した本発明の超音波探触子が、所定角度、短軸方向に回動した位置を示す。
【図5】図1に示した本発明の超音波探触子の音響レンズ表面の傾斜面を示す。
【図6】図5に示した面Pを被検体の体表と接するカバーまで延長した状態を示す。
【図7】超音波が2面で反射する場合の入射角と射出角の関係を示す図である。
【図8】従来例の超音波探触子の斜視図であって、カバーを外して上から見た図である。
【図9】図8に示した従来例の超音波探触子の長軸方向の縦断面図である。
【図10】図8に示した従来例の超音波探触子の短軸方向の縦断面図であって、超音波探触子が中心位置にある状態を示す。
【図11】図8に示した従来例の超音波探触子が、所定角度、短軸方向に回動した位置を示す。
【図12】従来例の超音波探触子と本発明の超音波探触子を用いた診断装置の画像を示す写真である。
【図13】従来例の超音波探触子の長軸方向の縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の短軸揺動型超音波探触子では、上述した反射が起こる密閉容器の反射部位の形状について、反射後の超音波が反射前に進行してきた方向に戻らないような形状とする。そのために、解決するポイントとして、
(1)当該反射部位の反射面に入射する全ての不要超音波に対して、反射面となす角度が90度(入射角が0°)とならないように反射面を傾斜させる、
(2)当該反射部位の形状が2面(第1及び2反射面)で構成される場合、その2面がなす角度が90度とならないように、一方又は両方の反射面を傾斜させる、ようにする。
【0031】
そのため、本発明の短軸揺動型超音波探触子では、図1から図5に示すように、不要エコーの発生を防ぐために、長軸方向に並べられて超音波送受波面に音響レンズ6を有する圧電素子群2を、密閉容器3内に収容された回転保持台1上に設け、前記圧電素子群2の短軸方向に前記回転保持台1を、回転シャフト8ならびに第1かさ歯車4a及び第2かさ歯車4bにより回転揺動することにより、前記圧電素子群2の超音波送受波面から送受波される超音波を前記短軸方向に機械的に走査し、前記密閉容器3内に音響媒質としての液体Lを充填した超音波探触子を構成し、前記音響レンズ6の表面と前記密閉容器3の内周面3cとの間を長軸方向または短軸方向に伝播した後に前記音響レンズ6の範囲を超えて前記密閉容器3内を進行する不要超音波が、前記密閉容器3内のいずれかの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波が前記音響レンズ6の表面と前記密閉容器3の内周面3cとの間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させる。
【0032】
また、本発明の超音波探触子では、前記密閉容器3が、少なくとも診断時に被検体の体表に接するカバー3bと前記回転保持台1を支持する容器本体3dとから、かつ、前記反射部位が前記容器本体3dの面の一部からなり、前記反射部位に向かう前記不要超音波の前記反射部位での入射角がなるべく大きくなるように、前記反射部位の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記反射部位で反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにする。
【0033】
さらに、本発明の超音波探触子では、前記密閉容器3が、少なくとも診断時に被検体の体表に接するカバー3bと前記回転保持台1を支持する容器本体3dとから、かつ、前記反射部位が前記カバー3b内面の一部とそれと隣接する前記容器本体3dの面の一部の2面からなり、前記2面のなす角度が鋭角または鈍角をなすように、前記2面のうちの一方、または両方の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記2面で連続して反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにする。
【0034】
そして従来形状、図8に示す面S、面T、面Uに、それぞれ図1のような傾斜を設けた。
【0035】
まず、上記ポイント(1)について説明する。
【0036】
図8に示す従来の探触子の形状の面Sについては、図5に示すように、面Pに傾斜面を設けた。これにより面Pに入射する超音波の入射角の範囲は、以下の2つが最大範囲となる。すなわち、
・面Pに対して最も左方から来る超音波=音響レンズの端部付近を発して直接面Pの右端に向かう超音波(図5のL1参照)。
【0037】
・面Pに対して最も右方から来る超音波=音響レンズの端部付近を発してカバー内面で反射して面P左端に向かう超音波(図5のL2参照)。
【0038】
ここで、面Pの法線Nは、これらL1とL2の方向の範囲に含まれないため、圧電素子群の長軸方向に伝播してきた不要超音波が入射角0°で反射することはなく、反射した超音波が元の経路を戻ることはない。
【0039】
また、図5に示した面Pをカバー内面まで延長した場合には、図6に示すように、面Pに向かう超音波の中に面Pの法線と平行(入射角0°)になるものが生じてしまい不要超音波が発生する。このため、本発明では、面Pをカバー内周面まで延長せずに面Pとは逆方向に傾斜させて、図5のように面Qを形成する。
【0040】
さらに、上記ポイント(2)について説明する。
【0041】
図5に示した面Qは、その近傍のカバー内面となす角度が約45度であるために、超音波は、これらの面で反射を繰り返しても、反射前の方向とは異なる方向に進むので、元の経路に戻ることはない(図2に示す左側の矢印で示す実線を参照)。
【0042】
また、各反射部位での反射について説明する。
【0043】
図3は、探触子が中心位置にあり、不要超音波が短軸方向に伝播する場合に、容器本体内筒部3dの上部端部の面Uに傾斜面を設けた結果を示す。
【0044】
図4は、探触子が所定角度回動した位置にあり、不要超音波が短軸方向に伝播する場合に、面Uに傾斜面を設けた結果を示す。
【0045】
図3と図4に示した、いずれも面Uとカバー内周面が互いに約45°をなす2面を構成しており、この反射部位で反射した不要超音波は反射前の方向とは異なる方向に進む様子を示している。
【0046】
ここで、図1に示す矢印は、探触子が所定角度回動した位置にあり、不要超音波が長軸方向に伝播する場合において、面Tの傾斜を急峻にした結果を示す。このようにすることにより、面Tでの不要超音波の入射角は0°ではなくなるので、不要超音波は、反射後に反射前の経路に戻ることはない。
【0047】
次に、本発明の超音波探触子を用いた診断装置の画像での効果について説明する。
【0048】
図12に示す画像で分るように、本発明の超音波探触子(プローブ)では探触子が中心位置及び回動した位置のいずれにおいても、従来の超音波探触子で発生していた不要エコーの発生がなく、超音波診断に適合した良好な画像を得ることができた。
【0049】
すなわち、図12に示すように、従来のプローブでは、探触子が中心位置にあるときに丸枠で示すように揺動方向の3ヶ所で不要エコーが、また、探触子が所定角度回動した位置では、ほぼ回動中心に不要エコーが発生したが、本発明のプローブでは、不要エコーの発生が認められなかった。
【符号の説明】
【0050】
1 回転保持台
2 圧電素子群
3 密閉容器
3a カバー内筒
3b カバー
3c カバー内周面
3d 容器本体
4a 第1かさ歯車
4b 第2かさ歯車
5 基台
6 音響レンズ
7 回転中心軸
8 回転シャフト
L 超音波媒質
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体(生体)に対して圧電素子群から超音波の送受波を行い、被検体の超音波診断のための三次元データの取り込みを行う超音波探触子に関し、とくに、圧電素子群を収納した密閉容器の内部で反射した不要超音波を防ぐようにした超音波探触子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波探触子、例えば、短軸揺動型超音波探触子は、図13に示すように、長軸方向に並べられて音響レンズ6を有する圧電素子群2を回転保持台1の水平部上に設けて、いずれも断面が凹状をした容器本体3aとカバー3bとからなる密閉容器3内に収容する。回転保持台1の両端側の脚部1a,1bには軸受を設け、容器本体3aの側壁に長軸方向に設けられた回転中心軸7と滑合するようにする。
【0003】
回転保持台1の一方の脚部1bに設けられた短軸方向に回転揺動する第1かさ歯車4aは、密閉容器3の底壁を密閉・貫通した回転シャフト8に固着した第2かさ歯車4bと噛合する。これにより、回転保持台1と圧電素子群2を短軸方向に回転揺動し、圧電素子群2の超音波送受波面から送受波される超音波を圧電素子群2の短軸方向に機械的に走査する。密閉容器3内には、超音響媒質としての液体L、例えばオイル、が充填される。
【0004】
ここでの音響レンズ6は、その曲率部の外周から延出した脚部6aを有し、さらに長軸方向の両端側の超音波送受波面側に超音波吸収手段としての突出部6bが設けられる。突出部6bは、その先端側をカバー3bの内周面3cに倣って円弧状とし、容器本体3aの底壁には、中空部を有する軽量体10が接着剤等によって固着され、回転保持台1の下方に充填した超音波媒質L中に埋没されている。
【0005】
このような構成によれば、超音波吸収手段としての突出部6bを音響レンズ6の両端側に設けてあるので、圧電素子群2の長軸方向に伝播する不要超音波が超音波吸収手段(突出部6b)によって吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−222244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の超音波探触子では、密閉容器内に音響媒質(超音波媒質)としての液体を充填した密閉容器の内部で反射し、超音波探触子から外部へ出ない不要超音波は、診断装置の画像上に不要エコーとなって現れるため、超音波診断の妨げとなる。
【0008】
そこで、このような不要エコーを防ぐために、前出特許文献1(特開2007−222244号公報)では、突出部(超音波吸収手段)6dを音響レンズの脚部に付加しているが、突出部6bとカバー内周面3cとの間には、クリアランスgを設ける必要があるために、不要エコーを十分に除去することができず、また、部品点数や組立工数が増加によりコストアップ要因にもなっていた。
【0009】
このような不要エコーは、以下のような経路で不要超音波が、これを送信した圧電素子に戻ってしまうことにより発生する。以下、添付した図9に基づいて不要エコーの発生原理を説明する。
【0010】
まず、圧電素子から放射された不要超音波は、音響レンズ表面とカバー内面との間で反射を繰り返して圧電素子群の長軸方向または短軸方向に伝播して音響レンズの範囲の外に出る(図9に示すD部及びE部参照)。
【0011】
この不要超音波が、密閉容器内のいずれかの部位で反射する際に、反射前の方向と同じ方向に反射すると、元の経路を辿って最終的に音響レンズ上の放射された地点付近に戻る。これを送信時の圧電素子が受信すると画像上の不要エコーとなる。
【0012】
上述のような、反射の際に反射前の方向と同じ方向に反射して元の経路に戻るようなケースは以下の通りである。(ここで、図9は探触子が、図10に示すように、中心位置にあり、長軸方向に不要超音波が伝播する場合を示す。)
(1)反射面に対して90度で入射した場合(入射角=0°、図9に示すD部、矢印方向に点線で示す)。
【0013】
(2)互いになす角度が略90度である2平面(凹の直角コーナー形状)のいずれか一方の面に入射する場合(図9に示すE部、矢印方向に実線で示す)。
【0014】
ここで、上記(2)について補足説明すると、図7に示すように、互いのなす角度θの2面(第1及び第2反射面)で連続して反射する場合、反射前の方向(入射角a)と2回反射後の方向(同じ基準での射出角c)の関係は正反射の性質(反射面の法線に対する入射角と射出角の値は等しく、反射前後の各進行方向は法線について対称)を使って計算すると以下の通りになる。
【0015】
すなわち、図7に示す、ΔABOの内角について、(90−a)+(90−b)+θ=180 → b=θ−a、また、
ΔABCの内角について、a+2×b+c=180、bを消去すると、
c=180−a−2×(θ−a)=a−2×θ+180
θ=90のとき、c=a、となる。
【0016】
よって、θ=90°の場合は、どのような入射角であっても、射出角は入射角と同じであり、かつ角度aと角度cは、基準に対して同じ方向と、ここで定義しているので、反射前後の進行方向は同じになる。
【0017】
従って、どの入射角であっても、反射後は元の経路に戻ることになるので、このような90°をなす2面での連続反射は不要エコーの原因となりやすいことが分る。
【0018】
次に各反射部位での反射により、不要超音波が圧電素子に戻る例を説明する。
【0019】
図10は、探触子が中心位置にあり、不要超音波が短軸方向に伝播する場合を示す。
【0020】
図11は、探触子が所定角度回動した位置にあり、不要超音波が短軸方向に伝播する場合を示す。
【0021】
図10と図11は、いずれも容器本体の上部端面(図8に示す面U)とカバー内面が互いに90°をなす2面を構成しており、この部位で反射した不要超音波が反射前の経路に戻る様子を示している。
【0022】
図8に示す矢印は、探触子が回動した位置にあり、不要超音波が長軸方向に伝播する場合に、容器本体の端面(図8に示す面T)で反射する様子(実線矢印)を示す。ここで、この面Tでの不要超音波の入射角は、略0°のため、図9に示すD部での反射と同様に、反射後の方向は、反射前の方向と略同じとなり元の経路を戻っていく。
【0023】
さらに、反射部位の構成について説明する。
【0024】
上述したように、図8に示す面S、T、Uは容器本体の端面であるが、面S及び面Uは部品加工が容易となるように、図9に示す加工基準面と平行に形成されている。また、カバーの内面については容器本体と嵌合させることから、容器本体の面S、T、Uと隣接する部位では、これらの面と略垂直な面となっている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記した課題を解決するために、本発明の短軸揺動型超音波探触子では、不要エコーを防ぐために、長軸方向に並べられて超音波送受波面に音響レンズを有する圧電素子群を、密閉容器内に収容された回転保持台上に設け、前記圧電素子群の短軸方向に前記回転保持台を回転揺動することにより前記圧電素子群の超音波送受波面から送受波される超音波を前記短軸方向に機械的に走査し、前記密閉容器内に音響媒質としての液体を充填した短軸揺動型超音波探触子を構成し、前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間を長軸方向または短軸方向に伝播した後に前記音響レンズの範囲を超えて前記密閉容器内を進
行する不要超音波が、前記密閉容器内のいずれかの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波が前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させる。
【0026】
また、本発明の超音波探触子では、前記密閉容器が、少なくとも超音波診断時に被検体の体表に接するカバーと前記回転保持台を支持する容器本体とから、かつ、前記反射部位が前記容器本体の面の一部からなり、前記反射部位に向かう前記不要超音波の前記反射部位での入射角がなるべく大きくなるように、前記反射部位の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記反射部位で反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにする。
【0027】
さらに、本発明の超音波探触子では、前記密閉容器が、少なくとも超音波診断時に被検体の体表に接するカバーと前記回転保持台を支持する容器本体とから、かつ、前記反射部位が前記カバー内面の一部とそれと隣接する前記容器本体の面の一部の2面からなり、前記2面のなす角度が鋭角または鈍角をなすように、前記2面のうちの一方、または両方の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が、前記2面で連続して反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにする。
【発明の効果】
【0028】
密閉容器内を進行する不要超音波が前記密閉容器内のいずれかの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波が前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させ、不要超音波の発生を防いだので、探触子が中心位置及び回動した位置のいずれにおいても、従来のプローブで発生していた不要エコーの発生がなくなり、良好な超音波画像を得ることができるようになる(図12の本発明によるプローブの欄を参照)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の超音波探触子の斜視図であって、カバーを外して上から見た図である。
【図2】図1に示した本発明の超音波探触子の長軸方向の縦断面図である。
【図3】図1に示した本発明の超音波探触子の短軸方向の縦断面図であって、超音波探触子が中心位置にある状態を示す。
【図4】図3に示した本発明の超音波探触子が、所定角度、短軸方向に回動した位置を示す。
【図5】図1に示した本発明の超音波探触子の音響レンズ表面の傾斜面を示す。
【図6】図5に示した面Pを被検体の体表と接するカバーまで延長した状態を示す。
【図7】超音波が2面で反射する場合の入射角と射出角の関係を示す図である。
【図8】従来例の超音波探触子の斜視図であって、カバーを外して上から見た図である。
【図9】図8に示した従来例の超音波探触子の長軸方向の縦断面図である。
【図10】図8に示した従来例の超音波探触子の短軸方向の縦断面図であって、超音波探触子が中心位置にある状態を示す。
【図11】図8に示した従来例の超音波探触子が、所定角度、短軸方向に回動した位置を示す。
【図12】従来例の超音波探触子と本発明の超音波探触子を用いた診断装置の画像を示す写真である。
【図13】従来例の超音波探触子の長軸方向の縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の短軸揺動型超音波探触子では、上述した反射が起こる密閉容器の反射部位の形状について、反射後の超音波が反射前に進行してきた方向に戻らないような形状とする。そのために、解決するポイントとして、
(1)当該反射部位の反射面に入射する全ての不要超音波に対して、反射面となす角度が90度(入射角が0°)とならないように反射面を傾斜させる、
(2)当該反射部位の形状が2面(第1及び2反射面)で構成される場合、その2面がなす角度が90度とならないように、一方又は両方の反射面を傾斜させる、ようにする。
【0031】
そのため、本発明の短軸揺動型超音波探触子では、図1から図5に示すように、不要エコーの発生を防ぐために、長軸方向に並べられて超音波送受波面に音響レンズ6を有する圧電素子群2を、密閉容器3内に収容された回転保持台1上に設け、前記圧電素子群2の短軸方向に前記回転保持台1を、回転シャフト8ならびに第1かさ歯車4a及び第2かさ歯車4bにより回転揺動することにより、前記圧電素子群2の超音波送受波面から送受波される超音波を前記短軸方向に機械的に走査し、前記密閉容器3内に音響媒質としての液体Lを充填した超音波探触子を構成し、前記音響レンズ6の表面と前記密閉容器3の内周面3cとの間を長軸方向または短軸方向に伝播した後に前記音響レンズ6の範囲を超えて前記密閉容器3内を進行する不要超音波が、前記密閉容器3内のいずれかの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波が前記音響レンズ6の表面と前記密閉容器3の内周面3cとの間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させる。
【0032】
また、本発明の超音波探触子では、前記密閉容器3が、少なくとも診断時に被検体の体表に接するカバー3bと前記回転保持台1を支持する容器本体3dとから、かつ、前記反射部位が前記容器本体3dの面の一部からなり、前記反射部位に向かう前記不要超音波の前記反射部位での入射角がなるべく大きくなるように、前記反射部位の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記反射部位で反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにする。
【0033】
さらに、本発明の超音波探触子では、前記密閉容器3が、少なくとも診断時に被検体の体表に接するカバー3bと前記回転保持台1を支持する容器本体3dとから、かつ、前記反射部位が前記カバー3b内面の一部とそれと隣接する前記容器本体3dの面の一部の2面からなり、前記2面のなす角度が鋭角または鈍角をなすように、前記2面のうちの一方、または両方の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記2面で連続して反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにする。
【0034】
そして従来形状、図8に示す面S、面T、面Uに、それぞれ図1のような傾斜を設けた。
【0035】
まず、上記ポイント(1)について説明する。
【0036】
図8に示す従来の探触子の形状の面Sについては、図5に示すように、面Pに傾斜面を設けた。これにより面Pに入射する超音波の入射角の範囲は、以下の2つが最大範囲となる。すなわち、
・面Pに対して最も左方から来る超音波=音響レンズの端部付近を発して直接面Pの右端に向かう超音波(図5のL1参照)。
【0037】
・面Pに対して最も右方から来る超音波=音響レンズの端部付近を発してカバー内面で反射して面P左端に向かう超音波(図5のL2参照)。
【0038】
ここで、面Pの法線Nは、これらL1とL2の方向の範囲に含まれないため、圧電素子群の長軸方向に伝播してきた不要超音波が入射角0°で反射することはなく、反射した超音波が元の経路を戻ることはない。
【0039】
また、図5に示した面Pをカバー内面まで延長した場合には、図6に示すように、面Pに向かう超音波の中に面Pの法線と平行(入射角0°)になるものが生じてしまい不要超音波が発生する。このため、本発明では、面Pをカバー内周面まで延長せずに面Pとは逆方向に傾斜させて、図5のように面Qを形成する。
【0040】
さらに、上記ポイント(2)について説明する。
【0041】
図5に示した面Qは、その近傍のカバー内面となす角度が約45度であるために、超音波は、これらの面で反射を繰り返しても、反射前の方向とは異なる方向に進むので、元の経路に戻ることはない(図2に示す左側の矢印で示す実線を参照)。
【0042】
また、各反射部位での反射について説明する。
【0043】
図3は、探触子が中心位置にあり、不要超音波が短軸方向に伝播する場合に、容器本体内筒部3dの上部端部の面Uに傾斜面を設けた結果を示す。
【0044】
図4は、探触子が所定角度回動した位置にあり、不要超音波が短軸方向に伝播する場合に、面Uに傾斜面を設けた結果を示す。
【0045】
図3と図4に示した、いずれも面Uとカバー内周面が互いに約45°をなす2面を構成しており、この反射部位で反射した不要超音波は反射前の方向とは異なる方向に進む様子を示している。
【0046】
ここで、図1に示す矢印は、探触子が所定角度回動した位置にあり、不要超音波が長軸方向に伝播する場合において、面Tの傾斜を急峻にした結果を示す。このようにすることにより、面Tでの不要超音波の入射角は0°ではなくなるので、不要超音波は、反射後に反射前の経路に戻ることはない。
【0047】
次に、本発明の超音波探触子を用いた診断装置の画像での効果について説明する。
【0048】
図12に示す画像で分るように、本発明の超音波探触子(プローブ)では探触子が中心位置及び回動した位置のいずれにおいても、従来の超音波探触子で発生していた不要エコーの発生がなく、超音波診断に適合した良好な画像を得ることができた。
【0049】
すなわち、図12に示すように、従来のプローブでは、探触子が中心位置にあるときに丸枠で示すように揺動方向の3ヶ所で不要エコーが、また、探触子が所定角度回動した位置では、ほぼ回動中心に不要エコーが発生したが、本発明のプローブでは、不要エコーの発生が認められなかった。
【符号の説明】
【0050】
1 回転保持台
2 圧電素子群
3 密閉容器
3a カバー内筒
3b カバー
3c カバー内周面
3d 容器本体
4a 第1かさ歯車
4b 第2かさ歯車
5 基台
6 音響レンズ
7 回転中心軸
8 回転シャフト
L 超音波媒質
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長軸方向に並べられて超音波送受波面に音響レンズを有する圧電素子群を、密閉容器内に収容された回転保持台上に設け、前記圧電素子群の短軸方向に前記回転保持台を回転揺動することにより前記圧電素子群の超音波送受波面から送受波される超音波を前記短軸方向に機械的に走査し、前記密閉容器内に音響媒質としての液体を充填した短軸揺動型超音波探触子において、前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間を長軸方向または短軸方向に伝播した後に前記音響レンズの範囲を超えて前記密閉容器内を進行する不要超音波が、前記密閉容器内のいずれかの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波
が前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させたことを特徴とする短軸揺動型超音波探触子。
【請求項2】
前記密閉容器が、少なくとも診断時に被検体の体表に接するカバーと前記回転保持台を支持する容器本体とからなり、前記反射部位が前記容器本体の面の一部からなり、前記反射部位に向かう前記不要超音波の前記反射部位での入射角がなるべく大きくなるように、前記反射部位の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記反射部位で反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記密閉容器が、少なくとも診断時に被検体の体表に接するカバーと前記回転保持台を支持する容器本体とからなり、前記反射部位が前記カバー内面の一部とそれと隣接する前記容器本体の面の一部の2面からなり、前記2面のなす角度が鋭角または鈍角をなすように、前記2面のうちの一方、または両方の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記2面で連続して反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項1】
長軸方向に並べられて超音波送受波面に音響レンズを有する圧電素子群を、密閉容器内に収容された回転保持台上に設け、前記圧電素子群の短軸方向に前記回転保持台を回転揺動することにより前記圧電素子群の超音波送受波面から送受波される超音波を前記短軸方向に機械的に走査し、前記密閉容器内に音響媒質としての液体を充填した短軸揺動型超音波探触子において、前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間を長軸方向または短軸方向に伝播した後に前記音響レンズの範囲を超えて前記密閉容器内を進行する不要超音波が、前記密閉容器内のいずれかの反射部位にて反射する際に、反射後の不要超音波
が前記音響レンズの表面と前記密閉容器の内周面との間に戻る方向には反射しないようにするため、前記反射部位の表面形状を傾斜させたことを特徴とする短軸揺動型超音波探触子。
【請求項2】
前記密閉容器が、少なくとも診断時に被検体の体表に接するカバーと前記回転保持台を支持する容器本体とからなり、前記反射部位が前記容器本体の面の一部からなり、前記反射部位に向かう前記不要超音波の前記反射部位での入射角がなるべく大きくなるように、前記反射部位の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記反射部位で反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【請求項3】
前記密閉容器が、少なくとも診断時に被検体の体表に接するカバーと前記回転保持台を支持する容器本体とからなり、前記反射部位が前記カバー内面の一部とそれと隣接する前記容器本体の面の一部の2面からなり、前記2面のなす角度が鋭角または鈍角をなすように、前記2面のうちの一方、または両方の面を傾斜させることにより、前記不要超音波が前記2面で連続して反射した後に、反射前の進行方向とは異なる方向に進行するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超音波探触子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−95256(P2012−95256A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263863(P2010−263863)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]