超音波検知装置および画像形成装置
【課題】超音波検知装置の検知精度を向上させる。
【解決手段】搬送路の一部に曲率を有した搬送面が設けられる。曲率を有した搬送面の部分に送信器と受信器を設置する。曲率を有した搬送面を通過する際の用紙Pの通過位置や通過角度は、坪量に応じて異なる。また、搬送路内での用紙Pの通過位置や通過角度が異なると、超音波の受信強度も変わる。そのため、この特性を利用すれば、超音波検知装置のダイナミックレンジを広げることができ、坪量の判別精度を向上させることが可能となる。
【解決手段】搬送路の一部に曲率を有した搬送面が設けられる。曲率を有した搬送面の部分に送信器と受信器を設置する。曲率を有した搬送面を通過する際の用紙Pの通過位置や通過角度は、坪量に応じて異なる。また、搬送路内での用紙Pの通過位置や通過角度が異なると、超音波の受信強度も変わる。そのため、この特性を利用すれば、超音波検知装置のダイナミックレンジを広げることができ、坪量の判別精度を向上させることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の坪量を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置では用紙の坪量(単位面積あたりの重量)に応じて画像形成条件を変更することで適切な画像が得られる。例えば、電子写真方式の画像形成装置は、用紙の坪量に応じて転写部材の転写電圧を調整したり、定着装置の定着温度を調整したりする。具体的には、ユーザーが、ホストコンピュータまたは操作パネルを通じて用紙の種類(坪量)を設定し、その設定に応じて転写条件(転写電圧や画像形成速度)および定着条件(熱量や用紙の搬送速度)が制御されていた。
【0003】
しかし、ユーザーが用紙の種類の設定を忘れたり、間違えたりした場合には、画像不良等を引き起こす恐れがある。そのため近年では、この問題を回避するためや、ユーザーの負担を軽減するために、画像形成装置の内部に用紙の種類を判別するセンサが設けられるにようになってきている。当該センサは、用紙の種類を自動的に判別し、判別結果に応じて転写条件や定着条件を設定する(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
具体的に、特許文献1では、用紙に対して超音波送信手段から超音波を照射し、用紙からの反射率や透過率を超音波受信手段で検知することにより、複合的に表面性や厚さを判別する発明が提案されている。特許文献2では、用紙に対して超音波送信手段から超音波を照射し、用紙を透過する超音波の透過率を超音波受信手段で検知することにより、用紙の坪量を判別する発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−219856号公報
【特許文献2】特開2007−24837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来技術では、判別精度が不十分となるケースがあった。図19は各種用紙の坪量と超音波透過率の関係を示した図である。図19中の黒丸印は、坪量の異なる用紙ごとの超音波透過率の平均値を示している。エラーバーは超音波透過率の最大値と最小値、すなわちばらつきを示している。このばらつきの原因としては、搬送されている用紙のばたつきや電気的ノイズ等、様々な原因が考えられる。図19中の点線で囲まれた部分は、一般的な坪量75g/m2の用紙と坪量90g/m2の用紙の超音波透過率を示している。坪量75g/m2の用紙における超音波透過率の最小値と、坪量90g/m2の用紙における超音波透過率の最大値はほぼ同等の値である。つまり、坪量75g/m2の用紙と坪量95g/m2の用紙とを超音波透過率から十分に判別できないため、誤判別が発生することを示している。
【0007】
近年では、目的に応じた多種多様な用紙が市場に普及している。それら多種多様な用紙のそれぞれに適切な転写条件や定着条件を設定するためには、用紙の坪量の判別精度がさらに向上しなければならない。そこで、本発明は、従来よりも坪量の判別精度を向上させること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向における当該用紙の通過位置は当該用紙の坪量に応じた可変の通過位置となり、
前記用紙の坪量に応じて前記通過位置が可変となることで、前記超音波送信手段から照射された超音波が用紙を透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度であって、第1の用紙として厚紙が前記通過位置を通過しているときの前記超音波の透過度よりも、当該第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記通過位置を通過しているときの前記超音波の透過度の方が大きくなることを特徴とする超音波検知装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば搬送路の一部に曲率を有した搬送面を設け、その部分に送信器と受信器を設置する。曲率を有した搬送面を通過する際の用紙の通過位置や通過角度は、坪量に応じて異なる。また、搬送路内での用紙の通過位置や通過角度が異なると、超音波の受信強度が変わる。そのため、この特性を利用すれば、超音波検知装置のダイナミックレンジを広げることができ、用紙の坪量や種類の判別精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1、2、3、4にかかる画像形成装置の構成図
【図2】実施例1、2、3、4にかかる坪量検知手段の制御部の構成を示すブロック図
【図3】実施例1、2、3、4にかかる坪量検知手段の制御部の波形の一例を示す図
【図4】用紙の坪量と坪量検知手段の一般的な出力の関係を示した図
【図5】実施例1、3、4にかかる坪量検知手段に対する用紙の位置を説明する図
【図6】実施例1、3、4にかかる用紙の位置による坪量検知手段の出力特性を示す図
【図7】実施例1、3、4にかかる用紙の坪量と用紙の位置による坪量検知手段の出力特性を示す図
【図8】実施例1、4にかかる曲率のある搬送路上における用紙の坪量に応じた用紙の搬送位置の挙動を説明する図
【図9】実施例1、4にかかる曲率のある搬送路上における用紙の坪量と用紙の位置を説明する図
【図10】実施例1にかかる用紙の坪量と坪量検知手段の出力特性を示す図
【図11】実施例2、3、4にかかる坪量検知手段に対する用紙の角度を説明する図
【図12】実施例2、3、4にかかる用紙の角度による坪量検知手段の出力特性を示す図
【図13】実施例2、4にかかる曲率のある搬送路上における用紙の坪量に応じた用紙の搬送角度の挙動を説明する図
【図14】実施例2、4にかかる曲率のある搬送路上における用紙の坪量と用紙の角度を説明する図
【図15】実施例2にかかる用紙の坪量と坪量検知手段の出力特性を示す図
【図16】実施例3にかかる用紙の坪量と坪量検知手段の出力特性を示す図
【図17】実施例4にかかるカセットおよび手差しトレイの搬送路および坪量検知手段の構成図
【図18】実施例4にかかる坪量検知手段の制御部の構成を示すブロック図
【図19】従来技術における用紙の坪量と超音波透過率の特性図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
[実施例1]
図1は本発明に係るインライン方式のカラー画像形成装置の全体を示す構成図である。カラー画像形成装置100はイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーを重ねあわせることで多色画像を形成する。なお、図1においては、各参照符号のサフィックスとしてYMCKを付与しているが、明細書においてはサフィックスを省略する。YMCKの各画像形成ステーションの基本構成は共通しているからである。
【0013】
各画像形成ステーションは、潜像を形成するレーザ光を出力するレーザスキャナ11とカートリッジ12とを中心に構成されている。カートリッジ12は、潜像が形成される感光体13、感光体13上の残トナーを清掃する感光体クリーナ14、感光体13を一様に帯電させる帯電ローラ15、潜像を現像してトナー像を形成する現像ローラ16を備えている。感光体13には中間転写ベルト17が接している。一次転写ローラ18は、中間転写ベルト17を挟んで、感光体13と対向するように配置されている。ベルトクリーナ19は、中間転写ベルト17の残存トナーを掻き取って廃トナー容器20に収容する。
【0014】
用紙Pは第1の給紙口であるカセット21と第2の給紙口である手差しトレイ22に収納されている。カセット21から用紙Pを搬送する第1の搬送路には給紙ローラ23、分離ローラ25、35が設けられている。手差しトレイ22から用紙Pを搬送する第2の搬送路には給紙ローラ24、分離ローラ26、36が設けられている。第1の搬送路と第2の搬送路は下流において合流し合流路を形成している。つまり合流路以降の搬送路は共通の搬送路となっている。共通の搬送路には、レジローラ27が設けられている。レジローラ27から見て用紙搬送方向における下流側の近傍にレジセンサ28が設けられている。レジセンサ28が用紙Pの先端を検知すると、レジローラ27は停止する。その後、多色画像の転写準備が整うと、レジローラ27が再起動し、用紙Pが転写装置である二次転写ローラ29へ搬送される。二次転写ローラ29において多色画像が中間転写ベルト17から用紙Pへ二次転写される。二次転写ローラ29には、トナー像の二次転写を促進するための転写電圧が印加されている。この転写電圧は用紙Pの坪量に応じて変更される。定着装置30は、所定の定着温度で多色画像を加熱して、用紙Pへ定着させる。定着温度も用紙の坪量に応じて変更される。このように、画像形成手段は、前記超音波検知装置の検知結果である坪量や紙種に対応した画像形成条件(転写電圧や定着温度)で画像を形成する。
【0015】
超音波検知装置は、搬送路を搬送される用紙Pの表面に向けて超音波を送信する送信器41と、送信器41に対して、搬送面を挟み、かつ、対向して配置され、送信器41が送信した超音波であって用紙Pを透過して来た超音波を受信する受信器42を備えている。送信器41および受信器42は、分離ローラ25よりも用紙の搬送方向で下流側に配置されている。
【0016】
図2は、超音波検知装置40を示すブロック図である。CPU10は超音波発信信号52を送信制御部50に送る。送信制御部50は周波数生成部501と増幅器502を有する。超音波発信信号52は、送信器41を駆動するタイミングや周波数の情報を含んでいる。周波数生成部501は、超音波発信信号52により指定された周波数(例:40kHz)の駆動信号53を生成して出力する。図3(a)は駆動信号53の一例を示している。増幅器502によって駆動信号53の信号レベルは増幅される。増幅器502は、超音波発信信号52により指定されたタイミングで、増幅した駆動信号54を送信器41に出力する。この駆動信号54によって、送信器41は40kHzの超音波を出力する。
【0017】
受信器42は、送信器41からの超音波または用紙Pを透過して来た超音波を受信して、超音波の受信強度を示す強度信号55を受信演算部51に出力する。図3(b)は強度信号55の一例を示している。受信演算部51は、増幅器511と積分器512を有する。受信演算部51は受け取った強度信号55を増幅器511で増幅し、増幅された強度信号56を積分器512によって積分して演算出力57を生成する。図3(c)は演算出力57の一例を示している。演算出力57はCPU10に出力される。CPU10は、この演算出力57を用いて用紙Pの坪量を算出する。CPU10は、演算出力と坪量との対応関係を示す関数またはテーブルを有しており、演算出力57を関数またはテーブルに入力することで、対応する坪量を取得する。
【0018】
CPU10は、図3(c)が示す演算出力57のうちその一部を坪量の検知に使用する。例えば、駆動信号53(増幅された駆動信号54)が送信器41に出力されたタイミングから一定の時間が経過した時点で、CPU10は、演算出力57のサンプリングを開始する。CPU10は、駆動信号53の約半周期区間においてサンプリングを実行し、その区間におけるサンプリング値の最大値を求める。図3(c)において丸で囲まれた部分が最大値である。CPU10は、最大値を用いて用紙Pの坪量を決定する。CPU10に内蔵されているROMは、超音波の受信強度と用紙の種類(例:薄紙、普通紙、厚紙)との関係を示す情報や超音波の受信強度と用紙の坪量との関係を示す情報に記憶している。そこで、CPU10は、超音波の受信強度と用紙の種類との関係を示す情報を使用して、超音波受信手段により受信された超音波の受信強度に応じて用紙の種類を判別する。同様に、CPU10は、超音波の受信強度と用紙の坪量との関係を示す情報を使用して、前記超音波受信手段により受信された超音波の受信強度に応じて用紙の坪量を判別する。このように、CPU10は、受信器42により受信された超音波の受信強度に応じて用紙Pの種類や坪量を判別する判別手段として機能する。
【0019】
図4は、様々な坪量の用紙Pと演算出力57の値との対応関係を示した図である。坪量の小さな用紙Pは超音波が透過しやすいため、受信演算部51の演算出力の値は大きくなる。一方坪量の大きな用紙Pは超音波が透過しにくいため、受信演算部51の演算出力の値は小さくなる。
【0020】
図5を用いて、送信器41と受信器42に対する用紙Pの通過位置と演算出力との関係について説明する。送信器41と受信器42との距離をLとする。送信器41からL/2の位置、すなわち送信器41と受信器42の中間を用紙Pの搬送中心(基準位置)とする。送信器41側に近づく方向を“−側”、送信器41側から離れる方向を“+側”とする。図5においては、送信器41と受信器42を結ぶ直線の方向を法線方向とする平面と用紙Pの表面とが平行になっている。図5では、この直線の中点と用紙Pの中心は一致している。また、この中点が用紙Pの搬送中心になっている。
【0021】
図6は、ある坪量の用紙Pを搬送中心から“−側”および“+側”にシフトさせたときの、受信演算部51の演算出力の変化を示した図である。ここで、“−側”とは、送信器41により近い側を意味し、“+側”とは、送信器41により遠い側を意味する。図6によれば、搬送中心の近傍に用紙Pが存在するときは演算出力が低く、“−側”および“+側”にシフトしてゆくと演算出力が高くなって行くことがわかる。しかし、“−側”へのシフト量がある特定のシフト量(例:−3mm)を超えると、演算出力が低下し始める。同様に“+側”へのシフト量がある特定のシフト量(例:+2mm)を超えると、演算出力が低下し始める。このように、シフト量が−1mmから+2mmまでの範囲では、用紙Pの表面から送信器41までの距離が長くなるほど超音波の受信強度が大きくなってゆく。一方で、シフト量が−3mmから−1mmまでの範囲では、用紙Pの表面から送信器41までの距離が短くなるほど超音波の受信強度が大きくなってゆく。
【0022】
図7は、用紙Pの搬送位置を送信器41と受信器42の搬送中心から−1mm、0mm(搬送中心)、+1mmとした場合の、坪量と受信演算部51の演算出力との関係を示した図である。いずれの搬送位置においても、用紙Pの坪量が小さいほど受信演算部51の演算出力は増加し、坪量が大きいほど受信演算部51の演算出力は低下する。つまり、図7によれば、用紙Pの坪量が小さいほど用紙Pの透過度(超音波の受信強度)が大きくなるといえる。また、いずれの坪量においても、用紙Pが送信器41から離れるほど受信演算部51の演算出力は増加し、用紙Pが送信器41に近づくほど受信演算部51の演算出力は低下する。図7における用紙Pのシフト量は−1mm、0mm、+1mmである。そのため、図7に示した演算出力には、図6におけるシフト量が−1mmから+2mmまでの区間の特性が反映されているのである。
【0023】
図8を用いて、曲率を持つ搬送路上における用紙Pの坪量と搬送路上の通過位置との関係について説明する。図8が示すように、分離ローラ25、35からレジローラ27の間には、ガイド81により一定の曲率を有した搬送路が形成されている。ここで、曲率を有した搬送路とは、図8が示すように、搬送路であるガイド81の底面の断面形状であって、搬送方向に沿って垂直方向に底面を切断して得られる断面形状が概ね曲線をなしている搬送路をいう。概ね曲線をなしていれば十分なため、断面形状は必ずしも曲線である必要はない。なお、どの程度の曲率とするかは、以下で説明するように、用紙の坪量に応じて用紙のたわみ量やガイド81を搬送されているときの角度が可変となるように実験やシミュレーションを通じて適宜に決定すればよい。
【0024】
分離ローラ25、35は第1の搬送手段として機能し、レジローラ27は分離ローラ25、35より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段として機能する。
【0025】
ガイド81は分離ローラ25、35からレジローラ27に用紙を導く搬送補助手段として機能する。上述したように、一定の曲率を有した搬送路を形成することができれば、ガイド81それ自体は曲率を有した部材でも、曲率を有していない部材でもよい。例えば、複数の平面部材を繋いでガイド81の底面を形成すれば、ガイド81の底面の断面形状は多角形の辺の一部となる。つまり、ガイド81の底面の断面形状が完全な曲面であることは必須ではない。説明の便宜上、以降の説明では、曲率を持ったガイド81として説明する。また、搬送路の曲率は、後述するように坪量の大きい用紙Pより坪量の小さい用紙Pの方がガイド81に近づく通過位置となるように設定すればよい。
【0026】
曲率のあるガイド81上で用紙Pを搬送すると、坪量の小さい用紙Pはガイド81の搬送面の曲率に倣い易い。つまり、用紙Pに生じるたわみ(ループ)が大きくなる。一方で坪量の大きい用紙Pはこしが強いため、ガイド81の搬送面の曲率に倣い難い。よって、坪量の大きい用紙Pに生じるループは、坪量の小さい用紙Pに生じるループよりも小さくなる。超音波の送信器41と受信器42が、それぞれ搬送路を挟んで、対向するように設置されている場合、坪量の大きい用紙Pの通過位置は送信器41に近い通過位置を通る。これは、坪量の大きい用紙Pに生じるループが相対的に小さいからである。一方で、坪量の大きい用紙Pに生じるループは相対的に大きいため、坪量の小さい用紙Pの通過位置は送信器41から遠い通過位置となる。このように、分離ローラ25、35からガイド81を介してレジローラ27に搬送される際に、ガイド81によって用紙が位置決めされることで、送信器41と受信器42とを結ぶ軸線方向における用紙の通過位置は、用紙の坪量に応じた可変の通過位置となる。
【0027】
図9は、ある曲率の搬送路における用紙Pの坪量と搬送路上での相対的な通過位置との関係を示した図である。相対的な通過位置は、坪量90g/m2の用紙Pの通過位置を基準とした他の坪量の用紙の通過位置を示しいている。図9からも坪量が小さくなると通過位置が送信器41から遠ざかり、坪量が大きくなると通過位置が送信器41に近づくことがわかかる。
【0028】
図10は、図8の構成における超音波検知装置における用紙Pの坪量と受信演算部51の演算出力との関係を示した図である。図10が示す太線は、図7に示した通過位置と演算出力との特性と、図9が示す坪量と通過位置との特性とをかけ合わせた特性を示している。つまり、太線は、搬送面に曲率を付与した実施例の特性を示している。一方、細線は、搬送面に曲率を付与していない比較例の特性を示している。
【0029】
坪量の小さな用紙Pは送信器41から相対的に遠い位置を通過するため、受信演算部51の演算出力が相乗的に大きくなる。一方、坪量の大きい用紙Pは送信器41に相対的に近い位置を通過するため、受信演算部51の演算出力が相乗的に小さくなる。よって、用紙Pの坪量に応じて送信器41と受信器42に対する通過位置が変化しない比較例の搬送路のダイナミックレンジと比較して、本実施例のダイナミックレンジは広くなっている。
【0030】
したがって、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた第1の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と送信器41との距離よりも、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と送信器41との距離の方が長くなるように、ガイド81の曲率と送信器41の配置を決定する。
【0031】
本実施例では、図8が示すように、用紙Pの坪量が小さいほど受信器42が受信した超音波の受信強度が大きくなるように送信器41と受信器42とが配置されている。さらに、図6に示した−1mmから+2mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように搬送面の曲率を設定している。上述したように、シフト量が−1mmから+2mmまでの範囲では、用紙Pの表面から送信器41までの距離が長くなるほど超音波の受信強度が大きくなってゆく。そこで、この曲率は、用紙Pの坪量が小さいほど通過位置が送信器41から遠くなるように設定される。つまり、ガイド81が、用紙Pの表面と送信器41との距離を用紙Pの坪量に応じて変化させることで、用紙Pの坪量が小さいほど超音波の受信強度がさらに大きくなる。換言すれば、用紙Pの坪量に応じて所定の範囲内で通過位置が可変となる(変動する)ことで、送信器41から照射された超音波が用紙Pを透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度であって、第1の用紙(厚紙)が通過位置を通過しているときの超音波の透過度よりも、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙(薄紙)が通過位置を通過しているときの超音波の透過度の方が大きくなる。つまり、ガイド81によって用紙が位置決めされることで、当該用紙の通過位置が、送信器41から用紙の表面までの距離が長くなるほど透過度が大きくなる通過範囲内となる場合、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた第1の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と送信器41との距離よりも、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と送信器41との距離の方が長くなる。これらの相乗効果によって、用紙Pの坪量が小さいほど受信強度が大きくなり、坪量のダイナミックレンジが改善される。
【0032】
なお、例えば厚紙とは坪量が150g/m2以上の用紙であり、薄紙とは坪量が90g/m2以下の用紙であると定義することができるが、これに限られるものではなく、厚紙と薄紙の定義は一般的に分類されている坪量の範囲であれば、適宜設定することができる。
【0033】
一方で、図6に示した−3mmから−1mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように搬送面の曲率を設定してもよい。上述したように、シフト量が−3mmから−1mmまでの範囲では、用紙Pの表面から送信器41までの距離が短くなるほど超音波の受信強度が大きくなってゆく。よって、この場合は、送信器41と受信器42の配置を入れ替えることで、用紙Pの坪量が小さいほど受信器42が受信した超音波の受信強度が大きくなるように送信器41と受信器42とが配置される。また、ガイド81が、用紙Pの表面と送信器41との距離を用紙Pの坪量に応じて変化させる。さらに、ガイド81によって用紙が位置決めされることで、当該用紙の通過位置が、送信器41から用紙の表面までの距離が短くなるほど透過度が大きくなる通過範囲内となる場合、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた第1の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と送信器41との距離よりも、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と送信器41との距離の方が短くなる。つまり、用紙Pの坪量が小さいほど通過位置が送信器41に近づくことになることで、用紙Pの坪量が小さいほど超音波の受信強度が増強される。これらの相乗効果によって、用紙Pの坪量が小さいほど受信強度が大きくなり、坪量のダイナミックレンジが改善される。
【0034】
上述したように、本実施例によれば、搬送路の一部に曲率を有した搬送面を設け、その部分に送信器41と受信器42を設置することを特徴としている。曲率を有した搬送面を通過する際の用紙Pの通過位置は、用紙Pの坪量に応じて異なる。例えば、用紙Pの坪量の小さくなれば、用紙Pの通過位置は送信器41から遠くなってゆく。また、搬送路内での用紙Pの通過位置が異なると、受信器42における超音波の受信強度が変わる。そのため、この特性を利用すれば、超音波検知装置40のダイナミックレンジを広げることができ、坪量の判別精度を向上させることが可能となる。
【0035】
なお、通過位置に対する演算出力は単調増加または単調減少すればよい。例えば、図6に示した−1mmから+2mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように搬送面の曲率を設定したときは、用紙Pの坪量を小さくするほど用紙Pの通過位置が送信器41から遠くなってゆくように送信器41を配置する。つまり、搬送路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、搬送路の曲率を定める円の中心に近い第1の側(円の内側)に送信器41が設けられ、第2の側(円の外側)に受信器42が設けられる。一方、図6に示した−3mmから−1mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように搬送面の曲率を設定したときは、用紙Pの坪量を小さくするほど、用紙Pの通過位置が送信器41に近くなってゆくように送信器41を配置する。つまり、第1の側に受信器42が設けられ、第2の側に送信器41が設けられる。このようにいずれの範囲を採用しても、超音波検知装置40のダイナミックレンジを従来よりも広げることができる。
【0036】
[実施例2]
図11および図12を用いて、送信器41と受信器42に対する用紙Pの通過角度と演算出力との関係について説明する。図11が示すように、送信器41と受信器42を結んだ直線に対して垂直に交わる面を基準面とする。なおこの直線の方向は超音波の進行方向と平行である。その基準面に対する用紙Pの搬送角度αを変化させていくと、受信演算部51の演算出力も変化する。なお、送信器41と受信器42を結んだ直線に対する用紙Pの表面がなす角度を通過角度βと呼ぶことにする。また、α+β=90°である。
【0037】
図12は、通過角度βを85度、80度、75度としたときの、坪量と受信演算部51の演算出力との関係を示した図である。通過角度βが85度、80度、75度と小さくなるにつれて受信演算部51の演算出力が大きくなる。
【0038】
次に図13を用いて、曲率を持つ搬送路上における、用紙Pの坪量と通過角度βの関係について説明する。図13が示すように、曲率のある搬送路上で用紙Pを搬送すると、坪量の小さい用紙Pは搬送路の曲率に倣い易い。一方、坪量の大きい用紙Pはこしが強いため、搬送路の曲率に倣い難い。すなわち、超音波の送信器41と受信器42がそれぞれ搬送路を挟んで対向配置されている場合、坪量の大きい用紙Pの通過角度βは大きく、坪量の小さい用紙Pの通過角度βは小さい。
【0039】
図14は、ある曲率の搬送路における坪量と用紙Pの通過角度βとの関係を示した図である。この図からも、坪量が大きくなるほど用紙Pの通過角度βは大きくなり、坪量が小さくなるほど用紙Pの通過角度βは小さくなることがわかる。このように、ガイド81によって用紙が位置決めされることで、送信器41と受信器42とを結ぶ軸線方向に対して用紙の表面がなす角度のうち鋭角となる通過角度βが、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙の方が小さくなる。
【0040】
図15は、曲率の有無に応じた坪量と演算出力との関係を示した図である。太線は、図13が示したように搬送路に曲率がある場合の関係を示している。つまり、太線が示す特性は、図12に示した通過角度βと演算出力との関係と、図13に示した坪量と通過角度βとの関係とを掛け合わせた特性となっている。一方、細線は、搬送路に曲率がない場合における坪量と用紙Pの通過角度βとの関係を示している。
【0041】
坪量の小さな用紙Pの通過角度βは相対的に小さくなるため、受信演算部51の演算出力が相乗的に大きくなる。一方で、坪量の大きい用紙Pの通過角度βは相対的に大きくなるため、演算出力が相乗的に小さくなる。つまり、本実施例のダイナミックレンジは、用紙Pの坪量に応じて通過角度が変化しない平面的な搬送路を採用した比較例のダイナミックレンジよりも広くなっている。
【0042】
以上説明したように、本実施例によれば、搬送路の一部に曲率を有した搬送面を設け、その部分に送信器41と受信器42を設置することを特徴としている。曲率を有した搬送面を通過する際の用紙Pの通過角度は、用紙Pの坪量に応じて異なる。例えば、用紙Pの坪量が小さくなれば、用紙Pの通過角度βは小さくなってゆく。用紙Pの坪量が大きくなれば、用紙Pの通過角度βは大きくなってゆく。また、搬送路内での用紙Pの通過角度が異なると、受信器42における超音波の受信強度が変わる。そのため、この特性を利用すれば、超音波検知装置40のダイナミックレンジを広げることができ、坪量の判別精度を向上させることが可能となる。
【0043】
[実施例3]
実施例1では、用紙Pの通過位置に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過位置特性とを掛け合わせることで、用紙Pの坪量検知精度が向上することを説明した。また、実施例2では、用紙Pの通過角度に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過角度特性とを掛け合わせることで、用紙Pの坪量検知精度が向上することを説明した。そこで、実施例3では、実施例1と実施例とを組み合わせる。つまり、実施例3では、用紙Pの通過位置および通過角度に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過位置特性および通過角度特性を掛け合わせる効果について説明する。
【0044】
用紙Pの通過位置に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過位置特性は実施例1の図7および図9で説明したものと同様であるため、これらの説明を省略する。用紙Pの通過角度に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過角度特性も実施例2の図12および図14にて説明したものと同様であるため、これらの説明を省略する。
【0045】
図16は、実施例3と比較例における坪量と演算出力との関係を示した図である。図16において、太線は、実施例3における坪量と演算出力との関係を示し、細線は、曲率のない平面的な搬送路を使用する比較例における坪量と演算出力との関係を示している。上述したように、坪量の小さな用紙は、送信器41から離れた位置を通過し、かつ、通過角度βが小さくなることで、受信演算部51の演算出力が相乗的に大きくなる。一方、坪量の大きい用紙Pは、送信器41の近くを通過し、かつ、通過角度βが大きくなることで、受信演算部51の演算出力が相乗的に小さくなる。よって、実施例3は比較例と比較して、ダイナミックレンジを大きく取ることができる。
【0046】
以上の説明では、用紙Pの通過位置が、図6に示した−1mmから+2mmまでとなるように曲率を設定することを前提としている。しかし、用紙Pの通過位置が、図6に示した−3mmから−1mmまでとなるように曲率を設定してもよい。この場合も、実施例1で説明したように、同様の効果が得られる。なお、この場合は、送信器41と受信器42の配置を入れ替える必要がある。
【0047】
上述したように、実施例3は、用紙Pの通過位置が送信器41から離れるほど受信演算部51の演算出力が高くなる部分特性を利用して、坪量の小さい用紙Pほど送信器41から離れ、かつ、通過角度が小さくなるように曲率を設定することを特徴とする。これにより、超音波検知装置40のダイナミックレンジを広げることができるため、坪量の検知精度を向上させることができる。同様に、実施例3によれば、用紙Pが送信器41から離れるほど受信演算部51の演算出力が低くなる部分特性を利用して、坪量の小さい用紙Pほど、送信器41に近づき、かつ、通過角度が大きくなるように、曲率を設定してもよい。
【0048】
[実施例4]
実施例4では、カセット21から搬送される用紙Pと、手差しトレイ22から搬送される用紙Pの坪量検知における超音波検知装置40の共用方法について説明する。
【0049】
図17は、カセット21と手差しトレイ22の搬送路の合流路を示した図である。送受信器43、44は、送信器41および受信器42を内蔵しており、それぞれ圧電素子から構成されている。送受信器44の送信器(第2の超音波送信手段)は、送受信器43の送信器(第1の超音波送信手段)に対して搬送路を挟んだ反対側に配置されている。また、送受信器43の受信器(第2の超音波受信手段)は、送受信器44の送信器に対向して配置されている。同様に、送受信器44の受信器(第1の超音波受信手段)は、送受信器43の送信器に対向して配置されている。これにより、送受信器43の送信器が送信した超音波は送受信器44の受信器が受信し、送受信器44の送信器が送信した超音波は送受信器43の受信器が受信するようになっている。
【0050】
図17が示すように、送受信器43、44はカセット21からの第1の搬送路と手差しトレイ22からの第2の搬送路とが向かい合わせに合流する合流路付近に設置されている。これは、送受信器43、44のペアで第1の搬送路および第2の搬送路の双方において搬送される坪量を検知できるようにするためである。
【0051】
カセット21の用紙Pが厚紙の場合、送受信器43の近くを用紙Pが通過し、カセット21の用紙Pが薄紙の場合、送受信器43から離れて用紙Pが通過する。一方、手差しトレイ22の用紙Pが厚紙の場合、送受信器44の近くを用紙Pが通過し、手差しトレイ22の用紙Pが薄紙の場合、送受信器44から離れて用紙Pが通過する。その他の構成については、実施例1にて説明しているため、説明を省略する。
【0052】
図18を用いて、超音波検知装置40の送受信切り替え方法について説明する。送信制御部50からの駆動信号54はスイッチ58を介して送受信器43、44と接続されている。受信演算部51に入力される強度信号55はスイッチ59を介して送受信器43、44と接続されている。すなわち、スイッチ58、59の状態を変えることで、送受信器43、44をそれぞれ、超音波送信器と超音波受信器とに切り替えることができる。このように、送受信器43、44は、送信器41または受信器42として動作する一対の超音波送受信手段として機能する。また、CPU10、スイッチ58、59は、一対の送受信器43、44のうち一方を送信器41として機能させ、他方を受信器42として機能させるように一対の超音波送受信手段の機能を切り替える切り替え手段として機能する。その他の構成については、実施例1にて説明しているため、説明を省略する。
【0053】
カセット21から搬送された用紙Pの坪量検知と、手差しトレイ22から搬送された用紙Pの坪量検知について具体的に説明する。カセット21から用紙Pが搬送されることを不図示のコントローラから通知されると、CPU10は、スイッチ58、59の状態を変化させ、送信制御部50と送受信器43を接続し、受信演算部51と送受信器44を接続する。すなわち、送受信器43が送信器として機能し、送受信器44が受信器として機能する。このように、超音波検知装置40は、第1の搬送路から搬送される用紙の坪量を決定するときは、送受信器43の送信器と送受信器44の受信器とを使用する。より具体的には、CPU10およびスイッチ58、59は、第1の側に配置されている一方の送受信器43の機能を切り替えて送信器41として機能させるとともに、第2の側に配置されている他方の送受信器44の機能を切り替えて受信器42として機能させる。ここで、第1の側とは、第1の給紙口から用紙が搬送される際は、合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、第1の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に近い側である。第2の側とは、第1の給紙口から用紙が搬送される際は、合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、第1の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に遠い側である。
【0054】
カセット21からの用紙Pが厚紙の場合、送信器としての送受信器43の近くを用紙Pが通過する。用紙Pが薄紙の場合、送信器としての送受信器43から離れた位置を用紙Pが通過する。すなわち、実施例1にて説明したように、用紙Pの通過位置が送信器41から離れるほど受信演算部51の演算出力が大きくなる部分特性を利用する。第1の搬送路の曲率は、坪量の小さい用紙Pほど送信器41から離れた位置を通過するように設定されている。よって、実施例3でも実施例1と同様の効果を期待できる。
【0055】
一方、手差しトレイ22から用紙Pが搬送されることを不図示のコントローラから通知されると、CPU10は、スイッチ58、59の状態を変化させ、送信制御部50と送受信器44を接続し、受信演算部51と送受信器43を接続する。すなわち、送受信器44が送信器として機能し、送受信器43が受信器として機能する。このように、超音波検知装置40は、第2の搬送路から搬送される用紙の坪量を決定するときは、送受信器44の送信器と送受信器43の受信器とを使用する。つまり、CPU10およびスイッチ58、59は、第2の給紙口から用紙が搬送される際は、第2の側に配置されている他方の送受信器44の機能を切り替えて送信器41として機能させる。ここで、第2の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、第2の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に近い側のことである。さらに、CPU10およびスイッチ58、59は、第1の側に配置されている一方の送受信器43の機能を切り替えて受信器42として機能させる。これにより、手差しトレイ22からの用紙Pが厚紙の場合、送信器としての送受信器44の近くを用紙Pが通過し、薄紙の場合、送信器としての送受信器44から離れた位置を用紙Pが通過する。よって、実施例3でも実施例1と同様の効果を期待できる。
【0056】
実施例4では、カセット21の用紙Pの坪量検知と、手差しトレイ22の用紙Pの坪量検知における、送信器と受信器の切り替えを、実施例1にて説明した通過位置に応じた演算出力特性を利用した坪量測定を実行してもよい。しかし、実施例4は、実施例2にて説明した通過角度に応じた演算出力特性を利用して坪量測定を実行してもよい。同様に、実施例4の坪量検知方法として、実施例3で説明した坪量検知方法を採用してもよい。また、第1の搬送路と第2の搬送路のそれぞれの曲率は、図6に示した−1mmから+2mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように設定されてもよいし、図6に示した−3mmから−1mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように設定されてもよい。後者の場合に、CPU10およびスイッチ58、59は、第1の給紙口から用紙が搬送される際は、第1の側に配置されている一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて受信器42として機能させる。ここで、第1の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、第1の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に近い側である。第2の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、第1の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に遠い側である。さらに、CPU10およびスイッチ58、59は、第2の側に配置されている他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて送信器41として機能させる。一方、CPU10およびスイッチ58、59は、第2の給紙口から用紙が搬送される際は、第2の側に配置されている他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて受信器42として機能させる。ここで、第2の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、第2の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に近い側である。第1の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、第2の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に遠い側である。さらに、CPU10およびスイッチ58、59は、、第1の側に配置されている一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて送信器41として機能させる。
【0057】
以上説明したように、実施例4によれば、カセット21の用紙Pの坪量検知と、手差しトレイ22の用紙Pの坪量検知とを単一の超音波検知装置40で実行できるようになる。ただし、送信器としての機能と受信器として機能を備えた2つの送受信器43、44を、どちらの給紙口から搬送されるかに応じてCPU10は、スイッチ58、59の状態を切り替える必要がある。坪量の検知方法としては、実施例4も実施例1ないし3のいずれの検知方法も採用できる。よって、実施例4の坪量検知精度も実施例1ないし3と同様に向上させることができる。
【0058】
なお、送受信器43、44は超音波送信器と超音波受信器とをそれぞれ有しているものとして説明した。しかし、超音波送信器と超音波受信器は同様の振動素子を有する構成で実現できるため、送受信器43、44はそれぞれ一つずつの超音波送信器又は超音波受信器を有していてもよい。このような構成においては、スイッチ58、59を切り替えることで、送信回路と繋がれた振動素子が超音波送信器として動作し、受信回路と繋がれた振動素子は超音波受信器として動作する。送受信器43、44はそれぞれ一つずつの超音波送信器又は超音波受信器を有することで、構成を簡略化することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙の坪量を検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置では用紙の坪量(単位面積あたりの重量)に応じて画像形成条件を変更することで適切な画像が得られる。例えば、電子写真方式の画像形成装置は、用紙の坪量に応じて転写部材の転写電圧を調整したり、定着装置の定着温度を調整したりする。具体的には、ユーザーが、ホストコンピュータまたは操作パネルを通じて用紙の種類(坪量)を設定し、その設定に応じて転写条件(転写電圧や画像形成速度)および定着条件(熱量や用紙の搬送速度)が制御されていた。
【0003】
しかし、ユーザーが用紙の種類の設定を忘れたり、間違えたりした場合には、画像不良等を引き起こす恐れがある。そのため近年では、この問題を回避するためや、ユーザーの負担を軽減するために、画像形成装置の内部に用紙の種類を判別するセンサが設けられるにようになってきている。当該センサは、用紙の種類を自動的に判別し、判別結果に応じて転写条件や定着条件を設定する(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
具体的に、特許文献1では、用紙に対して超音波送信手段から超音波を照射し、用紙からの反射率や透過率を超音波受信手段で検知することにより、複合的に表面性や厚さを判別する発明が提案されている。特許文献2では、用紙に対して超音波送信手段から超音波を照射し、用紙を透過する超音波の透過率を超音波受信手段で検知することにより、用紙の坪量を判別する発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−219856号公報
【特許文献2】特開2007−24837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来技術では、判別精度が不十分となるケースがあった。図19は各種用紙の坪量と超音波透過率の関係を示した図である。図19中の黒丸印は、坪量の異なる用紙ごとの超音波透過率の平均値を示している。エラーバーは超音波透過率の最大値と最小値、すなわちばらつきを示している。このばらつきの原因としては、搬送されている用紙のばたつきや電気的ノイズ等、様々な原因が考えられる。図19中の点線で囲まれた部分は、一般的な坪量75g/m2の用紙と坪量90g/m2の用紙の超音波透過率を示している。坪量75g/m2の用紙における超音波透過率の最小値と、坪量90g/m2の用紙における超音波透過率の最大値はほぼ同等の値である。つまり、坪量75g/m2の用紙と坪量95g/m2の用紙とを超音波透過率から十分に判別できないため、誤判別が発生することを示している。
【0007】
近年では、目的に応じた多種多様な用紙が市場に普及している。それら多種多様な用紙のそれぞれに適切な転写条件や定着条件を設定するためには、用紙の坪量の判別精度がさらに向上しなければならない。そこで、本発明は、従来よりも坪量の判別精度を向上させること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向における当該用紙の通過位置は当該用紙の坪量に応じた可変の通過位置となり、
前記用紙の坪量に応じて前記通過位置が可変となることで、前記超音波送信手段から照射された超音波が用紙を透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度であって、第1の用紙として厚紙が前記通過位置を通過しているときの前記超音波の透過度よりも、当該第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記通過位置を通過しているときの前記超音波の透過度の方が大きくなることを特徴とする超音波検知装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば搬送路の一部に曲率を有した搬送面を設け、その部分に送信器と受信器を設置する。曲率を有した搬送面を通過する際の用紙の通過位置や通過角度は、坪量に応じて異なる。また、搬送路内での用紙の通過位置や通過角度が異なると、超音波の受信強度が変わる。そのため、この特性を利用すれば、超音波検知装置のダイナミックレンジを広げることができ、用紙の坪量や種類の判別精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1、2、3、4にかかる画像形成装置の構成図
【図2】実施例1、2、3、4にかかる坪量検知手段の制御部の構成を示すブロック図
【図3】実施例1、2、3、4にかかる坪量検知手段の制御部の波形の一例を示す図
【図4】用紙の坪量と坪量検知手段の一般的な出力の関係を示した図
【図5】実施例1、3、4にかかる坪量検知手段に対する用紙の位置を説明する図
【図6】実施例1、3、4にかかる用紙の位置による坪量検知手段の出力特性を示す図
【図7】実施例1、3、4にかかる用紙の坪量と用紙の位置による坪量検知手段の出力特性を示す図
【図8】実施例1、4にかかる曲率のある搬送路上における用紙の坪量に応じた用紙の搬送位置の挙動を説明する図
【図9】実施例1、4にかかる曲率のある搬送路上における用紙の坪量と用紙の位置を説明する図
【図10】実施例1にかかる用紙の坪量と坪量検知手段の出力特性を示す図
【図11】実施例2、3、4にかかる坪量検知手段に対する用紙の角度を説明する図
【図12】実施例2、3、4にかかる用紙の角度による坪量検知手段の出力特性を示す図
【図13】実施例2、4にかかる曲率のある搬送路上における用紙の坪量に応じた用紙の搬送角度の挙動を説明する図
【図14】実施例2、4にかかる曲率のある搬送路上における用紙の坪量と用紙の角度を説明する図
【図15】実施例2にかかる用紙の坪量と坪量検知手段の出力特性を示す図
【図16】実施例3にかかる用紙の坪量と坪量検知手段の出力特性を示す図
【図17】実施例4にかかるカセットおよび手差しトレイの搬送路および坪量検知手段の構成図
【図18】実施例4にかかる坪量検知手段の制御部の構成を示すブロック図
【図19】従来技術における用紙の坪量と超音波透過率の特性図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
[実施例1]
図1は本発明に係るインライン方式のカラー画像形成装置の全体を示す構成図である。カラー画像形成装置100はイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナーを重ねあわせることで多色画像を形成する。なお、図1においては、各参照符号のサフィックスとしてYMCKを付与しているが、明細書においてはサフィックスを省略する。YMCKの各画像形成ステーションの基本構成は共通しているからである。
【0013】
各画像形成ステーションは、潜像を形成するレーザ光を出力するレーザスキャナ11とカートリッジ12とを中心に構成されている。カートリッジ12は、潜像が形成される感光体13、感光体13上の残トナーを清掃する感光体クリーナ14、感光体13を一様に帯電させる帯電ローラ15、潜像を現像してトナー像を形成する現像ローラ16を備えている。感光体13には中間転写ベルト17が接している。一次転写ローラ18は、中間転写ベルト17を挟んで、感光体13と対向するように配置されている。ベルトクリーナ19は、中間転写ベルト17の残存トナーを掻き取って廃トナー容器20に収容する。
【0014】
用紙Pは第1の給紙口であるカセット21と第2の給紙口である手差しトレイ22に収納されている。カセット21から用紙Pを搬送する第1の搬送路には給紙ローラ23、分離ローラ25、35が設けられている。手差しトレイ22から用紙Pを搬送する第2の搬送路には給紙ローラ24、分離ローラ26、36が設けられている。第1の搬送路と第2の搬送路は下流において合流し合流路を形成している。つまり合流路以降の搬送路は共通の搬送路となっている。共通の搬送路には、レジローラ27が設けられている。レジローラ27から見て用紙搬送方向における下流側の近傍にレジセンサ28が設けられている。レジセンサ28が用紙Pの先端を検知すると、レジローラ27は停止する。その後、多色画像の転写準備が整うと、レジローラ27が再起動し、用紙Pが転写装置である二次転写ローラ29へ搬送される。二次転写ローラ29において多色画像が中間転写ベルト17から用紙Pへ二次転写される。二次転写ローラ29には、トナー像の二次転写を促進するための転写電圧が印加されている。この転写電圧は用紙Pの坪量に応じて変更される。定着装置30は、所定の定着温度で多色画像を加熱して、用紙Pへ定着させる。定着温度も用紙の坪量に応じて変更される。このように、画像形成手段は、前記超音波検知装置の検知結果である坪量や紙種に対応した画像形成条件(転写電圧や定着温度)で画像を形成する。
【0015】
超音波検知装置は、搬送路を搬送される用紙Pの表面に向けて超音波を送信する送信器41と、送信器41に対して、搬送面を挟み、かつ、対向して配置され、送信器41が送信した超音波であって用紙Pを透過して来た超音波を受信する受信器42を備えている。送信器41および受信器42は、分離ローラ25よりも用紙の搬送方向で下流側に配置されている。
【0016】
図2は、超音波検知装置40を示すブロック図である。CPU10は超音波発信信号52を送信制御部50に送る。送信制御部50は周波数生成部501と増幅器502を有する。超音波発信信号52は、送信器41を駆動するタイミングや周波数の情報を含んでいる。周波数生成部501は、超音波発信信号52により指定された周波数(例:40kHz)の駆動信号53を生成して出力する。図3(a)は駆動信号53の一例を示している。増幅器502によって駆動信号53の信号レベルは増幅される。増幅器502は、超音波発信信号52により指定されたタイミングで、増幅した駆動信号54を送信器41に出力する。この駆動信号54によって、送信器41は40kHzの超音波を出力する。
【0017】
受信器42は、送信器41からの超音波または用紙Pを透過して来た超音波を受信して、超音波の受信強度を示す強度信号55を受信演算部51に出力する。図3(b)は強度信号55の一例を示している。受信演算部51は、増幅器511と積分器512を有する。受信演算部51は受け取った強度信号55を増幅器511で増幅し、増幅された強度信号56を積分器512によって積分して演算出力57を生成する。図3(c)は演算出力57の一例を示している。演算出力57はCPU10に出力される。CPU10は、この演算出力57を用いて用紙Pの坪量を算出する。CPU10は、演算出力と坪量との対応関係を示す関数またはテーブルを有しており、演算出力57を関数またはテーブルに入力することで、対応する坪量を取得する。
【0018】
CPU10は、図3(c)が示す演算出力57のうちその一部を坪量の検知に使用する。例えば、駆動信号53(増幅された駆動信号54)が送信器41に出力されたタイミングから一定の時間が経過した時点で、CPU10は、演算出力57のサンプリングを開始する。CPU10は、駆動信号53の約半周期区間においてサンプリングを実行し、その区間におけるサンプリング値の最大値を求める。図3(c)において丸で囲まれた部分が最大値である。CPU10は、最大値を用いて用紙Pの坪量を決定する。CPU10に内蔵されているROMは、超音波の受信強度と用紙の種類(例:薄紙、普通紙、厚紙)との関係を示す情報や超音波の受信強度と用紙の坪量との関係を示す情報に記憶している。そこで、CPU10は、超音波の受信強度と用紙の種類との関係を示す情報を使用して、超音波受信手段により受信された超音波の受信強度に応じて用紙の種類を判別する。同様に、CPU10は、超音波の受信強度と用紙の坪量との関係を示す情報を使用して、前記超音波受信手段により受信された超音波の受信強度に応じて用紙の坪量を判別する。このように、CPU10は、受信器42により受信された超音波の受信強度に応じて用紙Pの種類や坪量を判別する判別手段として機能する。
【0019】
図4は、様々な坪量の用紙Pと演算出力57の値との対応関係を示した図である。坪量の小さな用紙Pは超音波が透過しやすいため、受信演算部51の演算出力の値は大きくなる。一方坪量の大きな用紙Pは超音波が透過しにくいため、受信演算部51の演算出力の値は小さくなる。
【0020】
図5を用いて、送信器41と受信器42に対する用紙Pの通過位置と演算出力との関係について説明する。送信器41と受信器42との距離をLとする。送信器41からL/2の位置、すなわち送信器41と受信器42の中間を用紙Pの搬送中心(基準位置)とする。送信器41側に近づく方向を“−側”、送信器41側から離れる方向を“+側”とする。図5においては、送信器41と受信器42を結ぶ直線の方向を法線方向とする平面と用紙Pの表面とが平行になっている。図5では、この直線の中点と用紙Pの中心は一致している。また、この中点が用紙Pの搬送中心になっている。
【0021】
図6は、ある坪量の用紙Pを搬送中心から“−側”および“+側”にシフトさせたときの、受信演算部51の演算出力の変化を示した図である。ここで、“−側”とは、送信器41により近い側を意味し、“+側”とは、送信器41により遠い側を意味する。図6によれば、搬送中心の近傍に用紙Pが存在するときは演算出力が低く、“−側”および“+側”にシフトしてゆくと演算出力が高くなって行くことがわかる。しかし、“−側”へのシフト量がある特定のシフト量(例:−3mm)を超えると、演算出力が低下し始める。同様に“+側”へのシフト量がある特定のシフト量(例:+2mm)を超えると、演算出力が低下し始める。このように、シフト量が−1mmから+2mmまでの範囲では、用紙Pの表面から送信器41までの距離が長くなるほど超音波の受信強度が大きくなってゆく。一方で、シフト量が−3mmから−1mmまでの範囲では、用紙Pの表面から送信器41までの距離が短くなるほど超音波の受信強度が大きくなってゆく。
【0022】
図7は、用紙Pの搬送位置を送信器41と受信器42の搬送中心から−1mm、0mm(搬送中心)、+1mmとした場合の、坪量と受信演算部51の演算出力との関係を示した図である。いずれの搬送位置においても、用紙Pの坪量が小さいほど受信演算部51の演算出力は増加し、坪量が大きいほど受信演算部51の演算出力は低下する。つまり、図7によれば、用紙Pの坪量が小さいほど用紙Pの透過度(超音波の受信強度)が大きくなるといえる。また、いずれの坪量においても、用紙Pが送信器41から離れるほど受信演算部51の演算出力は増加し、用紙Pが送信器41に近づくほど受信演算部51の演算出力は低下する。図7における用紙Pのシフト量は−1mm、0mm、+1mmである。そのため、図7に示した演算出力には、図6におけるシフト量が−1mmから+2mmまでの区間の特性が反映されているのである。
【0023】
図8を用いて、曲率を持つ搬送路上における用紙Pの坪量と搬送路上の通過位置との関係について説明する。図8が示すように、分離ローラ25、35からレジローラ27の間には、ガイド81により一定の曲率を有した搬送路が形成されている。ここで、曲率を有した搬送路とは、図8が示すように、搬送路であるガイド81の底面の断面形状であって、搬送方向に沿って垂直方向に底面を切断して得られる断面形状が概ね曲線をなしている搬送路をいう。概ね曲線をなしていれば十分なため、断面形状は必ずしも曲線である必要はない。なお、どの程度の曲率とするかは、以下で説明するように、用紙の坪量に応じて用紙のたわみ量やガイド81を搬送されているときの角度が可変となるように実験やシミュレーションを通じて適宜に決定すればよい。
【0024】
分離ローラ25、35は第1の搬送手段として機能し、レジローラ27は分離ローラ25、35より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段として機能する。
【0025】
ガイド81は分離ローラ25、35からレジローラ27に用紙を導く搬送補助手段として機能する。上述したように、一定の曲率を有した搬送路を形成することができれば、ガイド81それ自体は曲率を有した部材でも、曲率を有していない部材でもよい。例えば、複数の平面部材を繋いでガイド81の底面を形成すれば、ガイド81の底面の断面形状は多角形の辺の一部となる。つまり、ガイド81の底面の断面形状が完全な曲面であることは必須ではない。説明の便宜上、以降の説明では、曲率を持ったガイド81として説明する。また、搬送路の曲率は、後述するように坪量の大きい用紙Pより坪量の小さい用紙Pの方がガイド81に近づく通過位置となるように設定すればよい。
【0026】
曲率のあるガイド81上で用紙Pを搬送すると、坪量の小さい用紙Pはガイド81の搬送面の曲率に倣い易い。つまり、用紙Pに生じるたわみ(ループ)が大きくなる。一方で坪量の大きい用紙Pはこしが強いため、ガイド81の搬送面の曲率に倣い難い。よって、坪量の大きい用紙Pに生じるループは、坪量の小さい用紙Pに生じるループよりも小さくなる。超音波の送信器41と受信器42が、それぞれ搬送路を挟んで、対向するように設置されている場合、坪量の大きい用紙Pの通過位置は送信器41に近い通過位置を通る。これは、坪量の大きい用紙Pに生じるループが相対的に小さいからである。一方で、坪量の大きい用紙Pに生じるループは相対的に大きいため、坪量の小さい用紙Pの通過位置は送信器41から遠い通過位置となる。このように、分離ローラ25、35からガイド81を介してレジローラ27に搬送される際に、ガイド81によって用紙が位置決めされることで、送信器41と受信器42とを結ぶ軸線方向における用紙の通過位置は、用紙の坪量に応じた可変の通過位置となる。
【0027】
図9は、ある曲率の搬送路における用紙Pの坪量と搬送路上での相対的な通過位置との関係を示した図である。相対的な通過位置は、坪量90g/m2の用紙Pの通過位置を基準とした他の坪量の用紙の通過位置を示しいている。図9からも坪量が小さくなると通過位置が送信器41から遠ざかり、坪量が大きくなると通過位置が送信器41に近づくことがわかかる。
【0028】
図10は、図8の構成における超音波検知装置における用紙Pの坪量と受信演算部51の演算出力との関係を示した図である。図10が示す太線は、図7に示した通過位置と演算出力との特性と、図9が示す坪量と通過位置との特性とをかけ合わせた特性を示している。つまり、太線は、搬送面に曲率を付与した実施例の特性を示している。一方、細線は、搬送面に曲率を付与していない比較例の特性を示している。
【0029】
坪量の小さな用紙Pは送信器41から相対的に遠い位置を通過するため、受信演算部51の演算出力が相乗的に大きくなる。一方、坪量の大きい用紙Pは送信器41に相対的に近い位置を通過するため、受信演算部51の演算出力が相乗的に小さくなる。よって、用紙Pの坪量に応じて送信器41と受信器42に対する通過位置が変化しない比較例の搬送路のダイナミックレンジと比較して、本実施例のダイナミックレンジは広くなっている。
【0030】
したがって、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた第1の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と送信器41との距離よりも、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と送信器41との距離の方が長くなるように、ガイド81の曲率と送信器41の配置を決定する。
【0031】
本実施例では、図8が示すように、用紙Pの坪量が小さいほど受信器42が受信した超音波の受信強度が大きくなるように送信器41と受信器42とが配置されている。さらに、図6に示した−1mmから+2mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように搬送面の曲率を設定している。上述したように、シフト量が−1mmから+2mmまでの範囲では、用紙Pの表面から送信器41までの距離が長くなるほど超音波の受信強度が大きくなってゆく。そこで、この曲率は、用紙Pの坪量が小さいほど通過位置が送信器41から遠くなるように設定される。つまり、ガイド81が、用紙Pの表面と送信器41との距離を用紙Pの坪量に応じて変化させることで、用紙Pの坪量が小さいほど超音波の受信強度がさらに大きくなる。換言すれば、用紙Pの坪量に応じて所定の範囲内で通過位置が可変となる(変動する)ことで、送信器41から照射された超音波が用紙Pを透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度であって、第1の用紙(厚紙)が通過位置を通過しているときの超音波の透過度よりも、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙(薄紙)が通過位置を通過しているときの超音波の透過度の方が大きくなる。つまり、ガイド81によって用紙が位置決めされることで、当該用紙の通過位置が、送信器41から用紙の表面までの距離が長くなるほど透過度が大きくなる通過範囲内となる場合、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた第1の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と送信器41との距離よりも、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と送信器41との距離の方が長くなる。これらの相乗効果によって、用紙Pの坪量が小さいほど受信強度が大きくなり、坪量のダイナミックレンジが改善される。
【0032】
なお、例えば厚紙とは坪量が150g/m2以上の用紙であり、薄紙とは坪量が90g/m2以下の用紙であると定義することができるが、これに限られるものではなく、厚紙と薄紙の定義は一般的に分類されている坪量の範囲であれば、適宜設定することができる。
【0033】
一方で、図6に示した−3mmから−1mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように搬送面の曲率を設定してもよい。上述したように、シフト量が−3mmから−1mmまでの範囲では、用紙Pの表面から送信器41までの距離が短くなるほど超音波の受信強度が大きくなってゆく。よって、この場合は、送信器41と受信器42の配置を入れ替えることで、用紙Pの坪量が小さいほど受信器42が受信した超音波の受信強度が大きくなるように送信器41と受信器42とが配置される。また、ガイド81が、用紙Pの表面と送信器41との距離を用紙Pの坪量に応じて変化させる。さらに、ガイド81によって用紙が位置決めされることで、当該用紙の通過位置が、送信器41から用紙の表面までの距離が短くなるほど透過度が大きくなる通過範囲内となる場合、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた第1の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と送信器41との距離よりも、分離ローラ25、35からガイド81を介して搬送されてきた、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙がレジローラ27に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と送信器41との距離の方が短くなる。つまり、用紙Pの坪量が小さいほど通過位置が送信器41に近づくことになることで、用紙Pの坪量が小さいほど超音波の受信強度が増強される。これらの相乗効果によって、用紙Pの坪量が小さいほど受信強度が大きくなり、坪量のダイナミックレンジが改善される。
【0034】
上述したように、本実施例によれば、搬送路の一部に曲率を有した搬送面を設け、その部分に送信器41と受信器42を設置することを特徴としている。曲率を有した搬送面を通過する際の用紙Pの通過位置は、用紙Pの坪量に応じて異なる。例えば、用紙Pの坪量の小さくなれば、用紙Pの通過位置は送信器41から遠くなってゆく。また、搬送路内での用紙Pの通過位置が異なると、受信器42における超音波の受信強度が変わる。そのため、この特性を利用すれば、超音波検知装置40のダイナミックレンジを広げることができ、坪量の判別精度を向上させることが可能となる。
【0035】
なお、通過位置に対する演算出力は単調増加または単調減少すればよい。例えば、図6に示した−1mmから+2mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように搬送面の曲率を設定したときは、用紙Pの坪量を小さくするほど用紙Pの通過位置が送信器41から遠くなってゆくように送信器41を配置する。つまり、搬送路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、搬送路の曲率を定める円の中心に近い第1の側(円の内側)に送信器41が設けられ、第2の側(円の外側)に受信器42が設けられる。一方、図6に示した−3mmから−1mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように搬送面の曲率を設定したときは、用紙Pの坪量を小さくするほど、用紙Pの通過位置が送信器41に近くなってゆくように送信器41を配置する。つまり、第1の側に受信器42が設けられ、第2の側に送信器41が設けられる。このようにいずれの範囲を採用しても、超音波検知装置40のダイナミックレンジを従来よりも広げることができる。
【0036】
[実施例2]
図11および図12を用いて、送信器41と受信器42に対する用紙Pの通過角度と演算出力との関係について説明する。図11が示すように、送信器41と受信器42を結んだ直線に対して垂直に交わる面を基準面とする。なおこの直線の方向は超音波の進行方向と平行である。その基準面に対する用紙Pの搬送角度αを変化させていくと、受信演算部51の演算出力も変化する。なお、送信器41と受信器42を結んだ直線に対する用紙Pの表面がなす角度を通過角度βと呼ぶことにする。また、α+β=90°である。
【0037】
図12は、通過角度βを85度、80度、75度としたときの、坪量と受信演算部51の演算出力との関係を示した図である。通過角度βが85度、80度、75度と小さくなるにつれて受信演算部51の演算出力が大きくなる。
【0038】
次に図13を用いて、曲率を持つ搬送路上における、用紙Pの坪量と通過角度βの関係について説明する。図13が示すように、曲率のある搬送路上で用紙Pを搬送すると、坪量の小さい用紙Pは搬送路の曲率に倣い易い。一方、坪量の大きい用紙Pはこしが強いため、搬送路の曲率に倣い難い。すなわち、超音波の送信器41と受信器42がそれぞれ搬送路を挟んで対向配置されている場合、坪量の大きい用紙Pの通過角度βは大きく、坪量の小さい用紙Pの通過角度βは小さい。
【0039】
図14は、ある曲率の搬送路における坪量と用紙Pの通過角度βとの関係を示した図である。この図からも、坪量が大きくなるほど用紙Pの通過角度βは大きくなり、坪量が小さくなるほど用紙Pの通過角度βは小さくなることがわかる。このように、ガイド81によって用紙が位置決めされることで、送信器41と受信器42とを結ぶ軸線方向に対して用紙の表面がなす角度のうち鋭角となる通過角度βが、第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙の方が小さくなる。
【0040】
図15は、曲率の有無に応じた坪量と演算出力との関係を示した図である。太線は、図13が示したように搬送路に曲率がある場合の関係を示している。つまり、太線が示す特性は、図12に示した通過角度βと演算出力との関係と、図13に示した坪量と通過角度βとの関係とを掛け合わせた特性となっている。一方、細線は、搬送路に曲率がない場合における坪量と用紙Pの通過角度βとの関係を示している。
【0041】
坪量の小さな用紙Pの通過角度βは相対的に小さくなるため、受信演算部51の演算出力が相乗的に大きくなる。一方で、坪量の大きい用紙Pの通過角度βは相対的に大きくなるため、演算出力が相乗的に小さくなる。つまり、本実施例のダイナミックレンジは、用紙Pの坪量に応じて通過角度が変化しない平面的な搬送路を採用した比較例のダイナミックレンジよりも広くなっている。
【0042】
以上説明したように、本実施例によれば、搬送路の一部に曲率を有した搬送面を設け、その部分に送信器41と受信器42を設置することを特徴としている。曲率を有した搬送面を通過する際の用紙Pの通過角度は、用紙Pの坪量に応じて異なる。例えば、用紙Pの坪量が小さくなれば、用紙Pの通過角度βは小さくなってゆく。用紙Pの坪量が大きくなれば、用紙Pの通過角度βは大きくなってゆく。また、搬送路内での用紙Pの通過角度が異なると、受信器42における超音波の受信強度が変わる。そのため、この特性を利用すれば、超音波検知装置40のダイナミックレンジを広げることができ、坪量の判別精度を向上させることが可能となる。
【0043】
[実施例3]
実施例1では、用紙Pの通過位置に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過位置特性とを掛け合わせることで、用紙Pの坪量検知精度が向上することを説明した。また、実施例2では、用紙Pの通過角度に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過角度特性とを掛け合わせることで、用紙Pの坪量検知精度が向上することを説明した。そこで、実施例3では、実施例1と実施例とを組み合わせる。つまり、実施例3では、用紙Pの通過位置および通過角度に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過位置特性および通過角度特性を掛け合わせる効果について説明する。
【0044】
用紙Pの通過位置に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過位置特性は実施例1の図7および図9で説明したものと同様であるため、これらの説明を省略する。用紙Pの通過角度に応じた演算出力特性と、用紙Pの坪量に応じた通過角度特性も実施例2の図12および図14にて説明したものと同様であるため、これらの説明を省略する。
【0045】
図16は、実施例3と比較例における坪量と演算出力との関係を示した図である。図16において、太線は、実施例3における坪量と演算出力との関係を示し、細線は、曲率のない平面的な搬送路を使用する比較例における坪量と演算出力との関係を示している。上述したように、坪量の小さな用紙は、送信器41から離れた位置を通過し、かつ、通過角度βが小さくなることで、受信演算部51の演算出力が相乗的に大きくなる。一方、坪量の大きい用紙Pは、送信器41の近くを通過し、かつ、通過角度βが大きくなることで、受信演算部51の演算出力が相乗的に小さくなる。よって、実施例3は比較例と比較して、ダイナミックレンジを大きく取ることができる。
【0046】
以上の説明では、用紙Pの通過位置が、図6に示した−1mmから+2mmまでとなるように曲率を設定することを前提としている。しかし、用紙Pの通過位置が、図6に示した−3mmから−1mmまでとなるように曲率を設定してもよい。この場合も、実施例1で説明したように、同様の効果が得られる。なお、この場合は、送信器41と受信器42の配置を入れ替える必要がある。
【0047】
上述したように、実施例3は、用紙Pの通過位置が送信器41から離れるほど受信演算部51の演算出力が高くなる部分特性を利用して、坪量の小さい用紙Pほど送信器41から離れ、かつ、通過角度が小さくなるように曲率を設定することを特徴とする。これにより、超音波検知装置40のダイナミックレンジを広げることができるため、坪量の検知精度を向上させることができる。同様に、実施例3によれば、用紙Pが送信器41から離れるほど受信演算部51の演算出力が低くなる部分特性を利用して、坪量の小さい用紙Pほど、送信器41に近づき、かつ、通過角度が大きくなるように、曲率を設定してもよい。
【0048】
[実施例4]
実施例4では、カセット21から搬送される用紙Pと、手差しトレイ22から搬送される用紙Pの坪量検知における超音波検知装置40の共用方法について説明する。
【0049】
図17は、カセット21と手差しトレイ22の搬送路の合流路を示した図である。送受信器43、44は、送信器41および受信器42を内蔵しており、それぞれ圧電素子から構成されている。送受信器44の送信器(第2の超音波送信手段)は、送受信器43の送信器(第1の超音波送信手段)に対して搬送路を挟んだ反対側に配置されている。また、送受信器43の受信器(第2の超音波受信手段)は、送受信器44の送信器に対向して配置されている。同様に、送受信器44の受信器(第1の超音波受信手段)は、送受信器43の送信器に対向して配置されている。これにより、送受信器43の送信器が送信した超音波は送受信器44の受信器が受信し、送受信器44の送信器が送信した超音波は送受信器43の受信器が受信するようになっている。
【0050】
図17が示すように、送受信器43、44はカセット21からの第1の搬送路と手差しトレイ22からの第2の搬送路とが向かい合わせに合流する合流路付近に設置されている。これは、送受信器43、44のペアで第1の搬送路および第2の搬送路の双方において搬送される坪量を検知できるようにするためである。
【0051】
カセット21の用紙Pが厚紙の場合、送受信器43の近くを用紙Pが通過し、カセット21の用紙Pが薄紙の場合、送受信器43から離れて用紙Pが通過する。一方、手差しトレイ22の用紙Pが厚紙の場合、送受信器44の近くを用紙Pが通過し、手差しトレイ22の用紙Pが薄紙の場合、送受信器44から離れて用紙Pが通過する。その他の構成については、実施例1にて説明しているため、説明を省略する。
【0052】
図18を用いて、超音波検知装置40の送受信切り替え方法について説明する。送信制御部50からの駆動信号54はスイッチ58を介して送受信器43、44と接続されている。受信演算部51に入力される強度信号55はスイッチ59を介して送受信器43、44と接続されている。すなわち、スイッチ58、59の状態を変えることで、送受信器43、44をそれぞれ、超音波送信器と超音波受信器とに切り替えることができる。このように、送受信器43、44は、送信器41または受信器42として動作する一対の超音波送受信手段として機能する。また、CPU10、スイッチ58、59は、一対の送受信器43、44のうち一方を送信器41として機能させ、他方を受信器42として機能させるように一対の超音波送受信手段の機能を切り替える切り替え手段として機能する。その他の構成については、実施例1にて説明しているため、説明を省略する。
【0053】
カセット21から搬送された用紙Pの坪量検知と、手差しトレイ22から搬送された用紙Pの坪量検知について具体的に説明する。カセット21から用紙Pが搬送されることを不図示のコントローラから通知されると、CPU10は、スイッチ58、59の状態を変化させ、送信制御部50と送受信器43を接続し、受信演算部51と送受信器44を接続する。すなわち、送受信器43が送信器として機能し、送受信器44が受信器として機能する。このように、超音波検知装置40は、第1の搬送路から搬送される用紙の坪量を決定するときは、送受信器43の送信器と送受信器44の受信器とを使用する。より具体的には、CPU10およびスイッチ58、59は、第1の側に配置されている一方の送受信器43の機能を切り替えて送信器41として機能させるとともに、第2の側に配置されている他方の送受信器44の機能を切り替えて受信器42として機能させる。ここで、第1の側とは、第1の給紙口から用紙が搬送される際は、合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、第1の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に近い側である。第2の側とは、第1の給紙口から用紙が搬送される際は、合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、第1の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に遠い側である。
【0054】
カセット21からの用紙Pが厚紙の場合、送信器としての送受信器43の近くを用紙Pが通過する。用紙Pが薄紙の場合、送信器としての送受信器43から離れた位置を用紙Pが通過する。すなわち、実施例1にて説明したように、用紙Pの通過位置が送信器41から離れるほど受信演算部51の演算出力が大きくなる部分特性を利用する。第1の搬送路の曲率は、坪量の小さい用紙Pほど送信器41から離れた位置を通過するように設定されている。よって、実施例3でも実施例1と同様の効果を期待できる。
【0055】
一方、手差しトレイ22から用紙Pが搬送されることを不図示のコントローラから通知されると、CPU10は、スイッチ58、59の状態を変化させ、送信制御部50と送受信器44を接続し、受信演算部51と送受信器43を接続する。すなわち、送受信器44が送信器として機能し、送受信器43が受信器として機能する。このように、超音波検知装置40は、第2の搬送路から搬送される用紙の坪量を決定するときは、送受信器44の送信器と送受信器43の受信器とを使用する。つまり、CPU10およびスイッチ58、59は、第2の給紙口から用紙が搬送される際は、第2の側に配置されている他方の送受信器44の機能を切り替えて送信器41として機能させる。ここで、第2の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、第2の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に近い側のことである。さらに、CPU10およびスイッチ58、59は、第1の側に配置されている一方の送受信器43の機能を切り替えて受信器42として機能させる。これにより、手差しトレイ22からの用紙Pが厚紙の場合、送信器としての送受信器44の近くを用紙Pが通過し、薄紙の場合、送信器としての送受信器44から離れた位置を用紙Pが通過する。よって、実施例3でも実施例1と同様の効果を期待できる。
【0056】
実施例4では、カセット21の用紙Pの坪量検知と、手差しトレイ22の用紙Pの坪量検知における、送信器と受信器の切り替えを、実施例1にて説明した通過位置に応じた演算出力特性を利用した坪量測定を実行してもよい。しかし、実施例4は、実施例2にて説明した通過角度に応じた演算出力特性を利用して坪量測定を実行してもよい。同様に、実施例4の坪量検知方法として、実施例3で説明した坪量検知方法を採用してもよい。また、第1の搬送路と第2の搬送路のそれぞれの曲率は、図6に示した−1mmから+2mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように設定されてもよいし、図6に示した−3mmから−1mmまでの範囲に用紙Pの通過位置が収まるように設定されてもよい。後者の場合に、CPU10およびスイッチ58、59は、第1の給紙口から用紙が搬送される際は、第1の側に配置されている一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて受信器42として機能させる。ここで、第1の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、第1の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に近い側である。第2の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、第1の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に遠い側である。さらに、CPU10およびスイッチ58、59は、第2の側に配置されている他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて送信器41として機能させる。一方、CPU10およびスイッチ58、59は、第2の給紙口から用紙が搬送される際は、第2の側に配置されている他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて受信器42として機能させる。ここで、第2の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、第2の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に近い側である。第1の側とは、合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、第2の搬送路から続く合流路の曲率を定める円の中心に遠い側である。さらに、CPU10およびスイッチ58、59は、、第1の側に配置されている一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて送信器41として機能させる。
【0057】
以上説明したように、実施例4によれば、カセット21の用紙Pの坪量検知と、手差しトレイ22の用紙Pの坪量検知とを単一の超音波検知装置40で実行できるようになる。ただし、送信器としての機能と受信器として機能を備えた2つの送受信器43、44を、どちらの給紙口から搬送されるかに応じてCPU10は、スイッチ58、59の状態を切り替える必要がある。坪量の検知方法としては、実施例4も実施例1ないし3のいずれの検知方法も採用できる。よって、実施例4の坪量検知精度も実施例1ないし3と同様に向上させることができる。
【0058】
なお、送受信器43、44は超音波送信器と超音波受信器とをそれぞれ有しているものとして説明した。しかし、超音波送信器と超音波受信器は同様の振動素子を有する構成で実現できるため、送受信器43、44はそれぞれ一つずつの超音波送信器又は超音波受信器を有していてもよい。このような構成においては、スイッチ58、59を切り替えることで、送信回路と繋がれた振動素子が超音波送信器として動作し、受信回路と繋がれた振動素子は超音波受信器として動作する。送受信器43、44はそれぞれ一つずつの超音波送信器又は超音波受信器を有することで、構成を簡略化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向における当該用紙の通過位置は当該用紙の坪量に応じた可変の通過位置となり、
前記用紙の坪量に応じて前記通過位置が可変となることで、前記超音波送信手段から照射された超音波が用紙を透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度であって、第1の用紙として厚紙が前記通過位置を通過しているときの前記超音波の透過度よりも、当該第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙として薄紙が前記通過位置を通過しているときの前記超音波の透過度の方が大きくなることを特徴とする超音波検知装置。
【請求項2】
前記用紙の坪量が小さいほど当該用紙の透過度は大きくなることを特徴とする請求項1に記載の超音波検知装置。
【請求項3】
前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、当該用紙の通過位置が、前記超音波送信手段から前記用紙の表面までの距離が長くなるほど前記透過度が大きくなる通過範囲内となる場合、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた第1の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離よりも、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離の方が長くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波検知装置。
【請求項4】
前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に対して前記用紙の表面がなす角度のうち鋭角となる角度が、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙の方が小さくなることを特徴とする請求項3に記載の超音波検知装置。
【請求項5】
前記超音波送信手段は、前記搬送路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、前記搬送路の曲率を定める円の中心に近い前記第1の側に設けられており、
前記超音波受信手段は、前記第2の側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項6】
前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、当該用紙の通過位置が、前記超音波送信手段から前記用紙の表面までの距離が短くなるほど前記透過度が大きくなる通過範囲内となる場合、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた第1の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離よりも、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離の方が短くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波検知装置。
【請求項7】
前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に対して前記用紙の表面がなす角度のうち鋭角となる角度が、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙の方が小さくなることを特徴とする請求項6に記載の超音波検知装置。
【請求項8】
前記超音波受信手段は、前記搬送路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、前記搬送路の曲率を定める円の中心に近い前記第1の側に設けられており、
前記超音波送信手段は、前記第2の側に設けられていることを特徴とする請求項1、2、7、8のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項9】
第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向における当該用紙の通過位置は、当該用紙の坪量に応じた可変の通過位置となり、
前記用紙の坪量に応じて前記通過位置が可変となることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に対して前記用紙の表面がなす角度のうち鋭角となる角度であって、第1の用紙の角度よりも、当該第1の用紙の坪量よりもの小さな第2の用紙の角度の方が小さくなることを特徴とする超音波検知装置。
【請求項10】
前記超音波送信手段または前記超音波受信手段として動作する一対の超音波送受信手段と、
前記一対の超音波送受信手段のうち一方の超音波送受信手段を前記超音波送信手段として機能させ、他方の超音波送受信手段を前記超音波受信手段として機能させるように前記一対の超音波送受信手段の機能を切り替える切り替え手段をさらに備え、
前記搬送路は、さらに第1の給紙口から用紙を搬送する第1の搬送路、第2の給紙口から用紙を搬送する第2の搬送路、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路が向かい合わせに合流する曲率を有し、前記搬送補助手段として機能する合流路によって形成され、
前記一対の超音波送受信手段は、前記搬送路のうち、前記合流路を挟むように配置され、
前記切り替え手段は、前記第1の給紙口から用紙が搬送される際は、前記合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、前記第1の搬送路から続く前記合流路の曲率を定める円の中心に近い前記第1の側に配置されている一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波送信手段として機能させるとともに、前記第2の側に配置されている他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波受信手段として機能させ、前記第2の給紙口から用紙が搬送される際は、前記合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、前記第2の搬送路から続く前記合流路の曲率を定める円の中心に近い前記第2の側に配置されている前記他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波送信手段として機能させるとともに、前記第1の側に配置されている前記一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波受信手段として機能させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項11】
前記超音波送信手段または前記超音波受信手段として動作する一対の超音波送受信手段と、
前記一対の超音波送受信手段のうち一方の超音波送受信手段を前記超音波送信手段として機能させ、他方の超音波送受信手段を前記超音波受信手段として機能させるように前記一対の超音波送受信手段の機能を切り替える切り替え手段をさらに備え、
前記搬送路は、さらに第1の給紙口から用紙を搬送する第1の搬送路、第2の給紙口から用紙を搬送する第2の搬送路、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路が向かい合わせに合流する曲率を有し、前記搬送補助手段として機能する合流路によって形成され、
前記一対の超音波送受信手段は、前記搬送路のうち、前記合流路を挟むように配置され、
前記切り替え手段は、前記第1の給紙口から用紙が搬送される際は、前記合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、前記第1の搬送路から続く前記合流路の曲率を定める円の中心に近い前記第1の側に配置されている一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波受信手段として機能させるとともに、前記第2の側に配置されている他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波送信手段として機能させ、前記第2の給紙口から用紙が搬送される際は、前記合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、前記第2の搬送路から続く前記合流路の曲率を定める円の中心に近い前記第2の側に配置されている前記他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波受信手段として機能させるとともに、前記第1の側に配置されている前記一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波送信手段として機能させることを特徴とする請求項1、2、6、7、8のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項12】
第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段との間を通過する用紙の通過位置は、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に用紙の坪量に応じて所定の範囲内で変動し、
前記所定の範囲内において、前記超音波送信手段から前記用紙の表面までの距離が長くなるほど、前記超音波送信手段から照射された超音波が用紙を透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度が大きくなる場合、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた第1の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離よりも、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離の方が長くなることを特徴とする超音波検知装置。
【請求項13】
第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段との間を通過する用紙の通過位置は、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に用紙の坪量に応じて所定の範囲内で変動し、
前記所定の範囲内において、前記超音波送信手段から前記用紙の表面までの距離が短くなるほど、前記超音波送信手段から照射された超音波が用紙を透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度が大きくなる場合、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた第1の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離よりも、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離の方が短くなることを特徴とする超音波検知装置。
【請求項14】
超音波の受信強度と用紙の種類との関係を示す情報を使用して、前記超音波受信手段により受信された超音波の受信強度に応じて用紙の種類を判別する判別手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項15】
超音波の受信強度と用紙の坪量との関係を示す情報を使用して、前記超音波受信手段により受信された超音波の受信強度に応じて用紙の坪量を判別する判別手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の超音波検知装置と、
画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記画像形成手段は、前記超音波検知装置の検知結果に対応した画像形成条件で画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向における当該用紙の通過位置は当該用紙の坪量に応じた可変の通過位置となり、
前記用紙の坪量に応じて前記通過位置が可変となることで、前記超音波送信手段から照射された超音波が用紙を透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度であって、第1の用紙として厚紙が前記通過位置を通過しているときの前記超音波の透過度よりも、当該第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙として薄紙が前記通過位置を通過しているときの前記超音波の透過度の方が大きくなることを特徴とする超音波検知装置。
【請求項2】
前記用紙の坪量が小さいほど当該用紙の透過度は大きくなることを特徴とする請求項1に記載の超音波検知装置。
【請求項3】
前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、当該用紙の通過位置が、前記超音波送信手段から前記用紙の表面までの距離が長くなるほど前記透過度が大きくなる通過範囲内となる場合、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた第1の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離よりも、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離の方が長くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波検知装置。
【請求項4】
前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に対して前記用紙の表面がなす角度のうち鋭角となる角度が、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙の方が小さくなることを特徴とする請求項3に記載の超音波検知装置。
【請求項5】
前記超音波送信手段は、前記搬送路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、前記搬送路の曲率を定める円の中心に近い前記第1の側に設けられており、
前記超音波受信手段は、前記第2の側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項6】
前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、当該用紙の通過位置が、前記超音波送信手段から前記用紙の表面までの距離が短くなるほど前記透過度が大きくなる通過範囲内となる場合、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた第1の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離よりも、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離の方が短くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波検知装置。
【請求項7】
前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に対して前記用紙の表面がなす角度のうち鋭角となる角度が、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙の方が小さくなることを特徴とする請求項6に記載の超音波検知装置。
【請求項8】
前記超音波受信手段は、前記搬送路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、前記搬送路の曲率を定める円の中心に近い前記第1の側に設けられており、
前記超音波送信手段は、前記第2の側に設けられていることを特徴とする請求項1、2、7、8のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項9】
第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記搬送補助手段によって用紙が位置決めされることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向における当該用紙の通過位置は、当該用紙の坪量に応じた可変の通過位置となり、
前記用紙の坪量に応じて前記通過位置が可変となることで、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に対して前記用紙の表面がなす角度のうち鋭角となる角度であって、第1の用紙の角度よりも、当該第1の用紙の坪量よりもの小さな第2の用紙の角度の方が小さくなることを特徴とする超音波検知装置。
【請求項10】
前記超音波送信手段または前記超音波受信手段として動作する一対の超音波送受信手段と、
前記一対の超音波送受信手段のうち一方の超音波送受信手段を前記超音波送信手段として機能させ、他方の超音波送受信手段を前記超音波受信手段として機能させるように前記一対の超音波送受信手段の機能を切り替える切り替え手段をさらに備え、
前記搬送路は、さらに第1の給紙口から用紙を搬送する第1の搬送路、第2の給紙口から用紙を搬送する第2の搬送路、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路が向かい合わせに合流する曲率を有し、前記搬送補助手段として機能する合流路によって形成され、
前記一対の超音波送受信手段は、前記搬送路のうち、前記合流路を挟むように配置され、
前記切り替え手段は、前記第1の給紙口から用紙が搬送される際は、前記合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、前記第1の搬送路から続く前記合流路の曲率を定める円の中心に近い前記第1の側に配置されている一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波送信手段として機能させるとともに、前記第2の側に配置されている他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波受信手段として機能させ、前記第2の給紙口から用紙が搬送される際は、前記合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、前記第2の搬送路から続く前記合流路の曲率を定める円の中心に近い前記第2の側に配置されている前記他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波送信手段として機能させるとともに、前記第1の側に配置されている前記一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波受信手段として機能させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項11】
前記超音波送信手段または前記超音波受信手段として動作する一対の超音波送受信手段と、
前記一対の超音波送受信手段のうち一方の超音波送受信手段を前記超音波送信手段として機能させ、他方の超音波送受信手段を前記超音波受信手段として機能させるように前記一対の超音波送受信手段の機能を切り替える切り替え手段をさらに備え、
前記搬送路は、さらに第1の給紙口から用紙を搬送する第1の搬送路、第2の給紙口から用紙を搬送する第2の搬送路、前記第1の搬送路と前記第2の搬送路が向かい合わせに合流する曲率を有し、前記搬送補助手段として機能する合流路によって形成され、
前記一対の超音波送受信手段は、前記搬送路のうち、前記合流路を挟むように配置され、
前記切り替え手段は、前記第1の給紙口から用紙が搬送される際は、前記合流路を挟んだ第1の側と第2の側とのうち、前記第1の搬送路から続く前記合流路の曲率を定める円の中心に近い前記第1の側に配置されている一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波受信手段として機能させるとともに、前記第2の側に配置されている他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波送信手段として機能させ、前記第2の給紙口から用紙が搬送される際は、前記合流路を挟んだ第1の側と第2の側のうち、前記第2の搬送路から続く前記合流路の曲率を定める円の中心に近い前記第2の側に配置されている前記他方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波受信手段として機能させるとともに、前記第1の側に配置されている前記一方の超音波送受信手段の機能を切り替えて前記超音波送信手段として機能させることを特徴とする請求項1、2、6、7、8のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項12】
第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段との間を通過する用紙の通過位置は、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に用紙の坪量に応じて所定の範囲内で変動し、
前記所定の範囲内において、前記超音波送信手段から前記用紙の表面までの距離が長くなるほど、前記超音波送信手段から照射された超音波が用紙を透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度が大きくなる場合、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた第1の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離よりも、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離の方が長くなることを特徴とする超音波検知装置。
【請求項13】
第1の搬送手段、前記第1の搬送手段より用紙の搬送方向で下流側に配置された第2の搬送手段、及び前記第1の搬送手段から前記第2の搬送手段に用紙を導く搬送補助手段によって形成される曲率を有する搬送路を搬送される当該用紙の表面に向けて超音波を送信する超音波送信手段と、
前記超音波送信手段に対して、前記搬送路を挟み、かつ、対向して配置され、前記用紙を透過した超音波を受信する超音波受信手段と、を備える超音波検知装置であって、
前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して前記第2の搬送手段に搬送される際に、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段との間を通過する用紙の通過位置は、前記超音波送信手段と前記超音波受信手段とを結ぶ軸線方向に用紙の坪量に応じて所定の範囲内で変動し、
前記所定の範囲内において、前記超音波送信手段から前記用紙の表面までの距離が短くなるほど、前記超音波送信手段から照射された超音波が用紙を透過する際の透過しやすさを表す超音波の透過度が大きくなる場合、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた第1の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第1の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離よりも、前記第1の搬送手段から前記搬送補助手段を介して搬送されてきた、前記第1の用紙より坪量の小さな第2の用紙が前記第2の搬送手段に挟持されているときの当該第2の用紙の表面と前記超音波送信手段との距離の方が短くなることを特徴とする超音波検知装置。
【請求項14】
超音波の受信強度と用紙の種類との関係を示す情報を使用して、前記超音波受信手段により受信された超音波の受信強度に応じて用紙の種類を判別する判別手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項15】
超音波の受信強度と用紙の坪量との関係を示す情報を使用して、前記超音波受信手段により受信された超音波の受信強度に応じて用紙の坪量を判別する判別手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の超音波検知装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の超音波検知装置と、
画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記画像形成手段は、前記超音波検知装置の検知結果に対応した画像形成条件で画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−40016(P2013−40016A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178108(P2011−178108)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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