説明

超音波画像化方法及び装置

造影剤を用いた3次元フルボリューム超音波画像の生成方法である。該方法は、トリガー(104、114、106、116、108、118、110、120)により複数の心臓サイクル(124、126、128、130)にわたってECG(100)に同期した複数のサブボリューム(140、142、144、146)の超音波画像データの取得を含む。取得は、2つの取得プロトコルのうち少なくとも1つを含む。第1の取得プロトコルは、超音波画像データ取得(10)中に造影剤が破壊されるのには不十分な出力音響パワーを使用する。第2の取得プロトコルは、超音波画像データ取得(10)中に造影剤が破壊されるのに十分な出力音響パワーを使用する。複数のサブボリューム(140、142、144、146)の超音波画像データのそれぞれの取得のトリガー(26、28)は、後続のサブボリュームの超音波画像データの取得のトリガーの前に、破壊された造影剤を新しい造影剤で置き換えられるように選択される。さらに、前記複数のサブボリュームからの超音波画像データ(22)を結合して前記3次元フルボリューム15超音波画像データ(24)を生成する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、医療用超音波画像化に関し、特に、より正確にボリュームを判断する超音波造影剤を使用する方法と装置に関する。
【0002】
超音波診断画像化システムは、完全に非侵襲的に体内の整理を画像化及び測定することができる。超音波は皮膚表面から体内に送られ、体内の組織と細胞により反射される。反射されたエコーは、超音波トランスデューサにより受けられ、血流の画像化または測定をするために処理される。そのため、患者の体に干渉することなく診断をすることができる。
【0003】
造影剤として知られている物質を体内に入れて超音波診断の画質を向上することもできる。造影剤は超音波と強く相互作用する物質であり、血液や組織により反射されるエコーと明確に区別することができるエコーを返す。超音波造影剤として特に有用であることが分かっている物質に、マイクロバブルと呼ばれる小さなバブルとなっている気体がある。
【0004】
マイクロバブルは体内で著しいインピーダンスミスマッチを示し、一部の音響場(acoustic fields)では特殊な超音波処理によって容易に検出可能な非線形な振る舞いを示す。小さなマイクロバブルの状態で溶液中に安定化されたガスは、体内に注入され、肺を通る導管で吸収されず、血管系を通って循環する。マイクロバブル造影剤は、例えば、血流に注入すると、肺、腎臓、及び肝臓で血流からフィルタされるまで、血液とともに体の静脈と動脈を通るので、人体の血管系を画像化するのに有用である。
【0005】
心エコー超音波画像化システムは心機能を評価するために使用される。例えば、血管と弁を通る血流と心臓弁の動きを観察することにより、このシステムを使って心機能を定性的に評価することができる。上記システムを用いて、心機能の定量的測定もすることができる。例えば、血流速度や、心腔などの器官と窩洞の大きさを測定することができる。これらの測定により駆出率や心臓拍出量等の心機能の定量的値を得ることができる。
【0006】
心臓に関しては、左心室(LV)ボリュームと駆出率の正確かつ再現可能な決定が重要な予後徴候インジケータであることが示されている。このような正確で再現性のある決定は、長い間、超音波画像化システムの目標であった。鬱血性の心不全が増加し、同疾患を患う患者をよく監視する必要があるので、このような測定の重要性は間違いなく高まるであろう。
【0007】
最近の画像品質の向上により、特に、ハーモニック画像化により、心内膜の境界の視覚化が大幅に向上した。しかし、ハーモニック画像化による向上にもかかわらず、心内膜の境界を視覚化するのが著しく困難な患者は多数いる。これに関連して、こうした患者の心内膜境界の視覚化を促進する超音波造影剤がFDAにより承認されている。
【0008】
ハーモニック画像化と造影剤により向上した周縁の画像化を用いて、超音波データの単一平面を用いた心周期にわたる心臓ボリュームの測定が試みられている。拡張終期容量と収縮終期容量は、一般的にLVがそれぞれ最大容量と最小容量である時を表すので、特に重要である。しかし、心臓の対称性について仮定しなければならないので、単一超音波面を用いた正確な測定には問題がある。この仮定により計算が不正確になる。複数面を用いると計算がより一層ロバストになることが分かっている。しかし、その面は異なる時間に取得しなければならない。また、心尖にわたって(例えば、短縮せずに)心臓の正しいスライスを得るには十分注意しなければならない。このため、計算に誤差が生じることも多い。
【0009】
さらにまた、上述したように、2次元のコントラストを用いて、左心室腔の形状が一定の対称性を有すると仮定して容量を推定してきた。また、トランスデューサを動かして異なる時間に左心室腔の他のビューを取得してきた。
【0010】
従って、従来技術における問題を解決すべく改良された超音波画像の取得方法が望まれている。
【0011】
本開示の一実施形態によると、造影剤を使用して3次元フルボリュームの超音波画像を生成する方法は、トリガーによって複数の心臓周期にわたるECGに同期した複数のサブボリュームの超音波画像データを取得するステップを有する。取得には2つの取得プロトコルのうち少なくとも一方が含まれる。第1の取得プロトコルは、超音波データ取得中に、非線形組織信号の低レベルにとって十分低いが、造影剤(例えば、マイクロバブル)から強い応答を得るには十分な出力音響パワーの使用を含む。造影剤(例えば、マイクロバブル)から十分強い信号を得るため、超音波画像データ取得中にリアルタイム更新レート(例えば、15−20Hz)で画像化した時に一定レベルのマイクロバブル破壊を起こすパワーレベルが必要になることが多い。第2の取得プロトコルは、超音波データ取得中に、造影剤の破壊を起こす出力音響パワーの使用を含む。複数のサブボリュームのそれぞれの超音波画像データ取得の地理がーは、後続のサブボリュームの超音波画像データ取得のトリガーに先だって、破壊された造影剤を新しい造影剤で置き換えることを可能とするように選択される。また、複数のサブボリュームから得た超音波画像データを結合して、3次元フルボリューム超音波画像データを生成する。
【0012】
本開示の一実施形態によると、造影剤を用いてより正確に左心室ボリュームを求めるために、拡張終期と収縮終期でトリガーしてサブボリュームを取得することにより、方法と装置によりマトリックスプローブとライブの3次元が使用される。
【0013】
心臓超音波画像化に関して、左心室等の解剖学的構造は本来的に3次元である。左心室の容量を正確に測定するために、3次元データを取得しなければならない。3次元心臓画像の目標は、駆出率と拍出量を推定できるように、収縮終期と拡張終期の両方において左心室の容量を正確に測定することである。従って、3次元心臓超音波画像化方法及び装置を改良する必要性がある。
【0014】
本開示の一実施形態による方法は、以下のステップを含む:患者の心周期の一部と同期して、患者の関心画像ボリュームの3次元ボリュームセグメントを表す超音波画像データを取得するステップと、前記ボリュームセグメントを表す前記画像データを結合して、前記ボリュームの3次元超音波画像を表す画像データを与えるステップ。一実施形態において、前記画像データの取得は、対応する画像がそれぞれのフェーズにおける画像ボリュームを表すように、前記患者の心周期の拡張終期と収縮終期と同期される(すなわち、トリガーされる)言い換えると、与えられた3次元サブボリュームセグメントの画像データは、看者のN個ごとの連続する心周期の拡張終期と収縮周期のそれぞれと同期して取得される。対応する3次元画像は、画像ボリュームについて画像データの取得が終わると表示される。
【0015】
造影剤は、対応する基本励起周波数で衝突超音波エネルギーに対する第2倍音応答をする。この第2倍音応答エネルギーを用いて、造影剤の周辺にある組織に関する診断情報をより多く得ることができる。第2高調波応答は、造影剤が、超音波圧力が高くなる時に、基本周波数に加えて、その基本周波数の高調波にエネルギーを「マップ」する時に発生する。しかし、マイクロバブルベースの造影剤は、十分大きなパワーで駆動されると共鳴し、破壊されてしまう。音響パワーが十分大きい場合、マイクロバブルは1つのパルスで破壊される。しかし、マイクロバブルは、複数のパルスでイメージされると小さい音響パワーでも破壊される。
【0016】
さらにまた、造影剤は、超音波場があると共鳴し、その結果生じるエコー信号を好適な超音波スキャナを用いて受信検出することができる。送信パワーを上げるとマイクロバブルの特に高調波モードにおける後方散乱断面積が大きくなる。従って、マイクロバブルは、やってくる超音波信号の大部分を散乱する。しかし、パワーレベルが高いと、マイクロバブルの破壊が進みその結果としてマイクロバブルの集中度が低くなるので、コントラスト効果が発揮される時間は短い。従って、ここに開示した画像化シーケンスの使用は、マイクロバブルを使用して得られるコントラスト効果を全体的に最適化する役に立つ。
【0017】
さらにまた、上記の説明に関して、造影剤は通常のフレームレート(すなわち、15−20Hz)においてMI(Mechanical Index)が低くても(0.1)破壊される。同じMIで超音波フレームを1回だけ照射しても、マイクロバブルは必ずしも破壊されない。すなわち、マイクロバブルを破壊するにはより多数の超音波フレームが必要である。従って、一実施形態においては、2重トリガーを効果的にするためには、1回照射するだけでマイクロバブルを破壊できるような音響出力パワーは必要ない。マイクロバブルに照射する超音波がすくないので、画質改善がより長く続く。ここに開示した実施形態においては、信号雑音比を最大化しつつ、同時に超音波照射を最小化することにより、破壊を最小化することができる。MI0.1でバブルを30回照射することにより、バブルは破壊されるが、(それよりも2倍強い)MI0.2で同じバブルを2回照射しても、そのバブルは破壊されないかも知れない。MIが0.2の場合、少なくとも2つの理由で信号雑音比がよくなる。すなわち、より多くのバブルが画像化されることと、送信信号が強くなる分、バブルから帰ってくる信号も強くなることとである。上記の実施形態には、出力音響エネルギーにより、1回照射するだけでマイクロバブルを破壊するような十分高いMI(例えば、個別のアプリケーション用の個別の造影剤によるが、0.7以上)を用いる場合も含まれる。この場合、トリガーの間の時間に、破壊されたマイクロバブルを新しいマイクロバブルで補充することができる。
【0018】
本発明の一実施形態によると、画像化シーケンスは看者の心電図を同期しており、所望のフレーム列を得ることができる。これについては、後で詳しく説明する。画像化シーケンスは、一連の心臓周期に対して、心臓周期ごとに2回のトリガーをかける。取得した一連のサブボリュームを合成して、複数の心臓周期から心臓周期の一部の完全なボリューム画像を形成することができる。ここで説明した画像化シーケンスを選択して、マイクロバブルの破壊量を制御し(すなわち、マイクロバブル破壊の全体を最小化し)、コントラスト効果を長引かせることができる。結果として、心臓内部の境界検出は、駆出率の決定と容量計算に必要であり、エンハンスされて、その決定を容易にすることができる。
【0019】
図1は、本開示のいろいろな実施形態を実施するのに好適な超音波診断画像化システム10を示すブロック図である。超音波トランスミッタ12は、送受信(T/R)スイッチ14を介してトランスデューサアレイ16に結合している。トランスデューサアレイ16は、3次元スキャンするためにトランスデューサエレメントの2次元アレイを有する。トランスデューサアレイ16は、画像化する領域に超音波エネルギーを送信し、看者の体内のいろいろな構造と器官からの、反射された超音波エネルギーすなわちエコーを受信する。トランスミッタ12は、送信ビームフォーマを含む。トランスミッタ12により各トランスデューサエレメントに印加するパルスを適当に遅延させることにより、トランスミッタは所望の送信スキャンラインに沿って焦点を絞った超音波ビームを送信する。
【0020】
一実施形態において、アレイトランスデューサ16は、米国特許公報第6,428,477号に開示されているような2次元アレイを含む。該特許は本開示の譲受人に譲渡されており、ここに参照により援用されている。米国特許第6,428,477号は、治療用超音波のデリバリーと、2次元超音波アレイを使用した超音波診断画像化を開示している。2次元超音波アレイは、トランスデューサエレメントのマトリックスまたは「格子」を含んでいる。トランスデューサエレメントの格子またはマトリックスを有することにより、3次元画像を取得することができる。すなわち、トランスデューサエレメントのマトリックスにより、任意の方向に超音波エネルギーを向けて電気的に焦点を合わせることができる。2次元の超音波アレイとは異なり、一般的なトランスデューサエレメントの単一アレイによると1平面だけの方向決めと電気的焦点合わせができるだけである。
【0021】
トランスデューサアレイ16は、T/Rスイッチ14を介して超音波レシーバ18と結合している。看者の体内の与えられた点から反射された超音波エネルギーは、異なる時間にトランスデューサエレメントにより受信される。トランスデューサエレメントは、受信超音波エネルギーを受信電気信号に変換する。該受信電気信号は、レシーバ18により増幅され、受信ビームフォーマ20に入力される。各トランスデューサエレメントからの信号は個別に遅延され、次に、ビームフォーマ20により合計され、ビームフォーマ信号となる。該ビームフォーマ信号は、与えられた受信スキャンラインに沿った反射超音波エネルギーレベルを表す。当該技術分野で知られているように、受信信号に適用される遅延は、動的に焦点合わせをするために、超音波エネルギーの受信中に変化させられる。上記プロセスを複数のスキャンラインに対して繰り返し、看者の体内の関心領域の画像を生成する信号を得る。トランスデューサアレイは2次元なので、受信スキャンラインの向きを方位及び高さ方向に変化させて3次元のスキャンパターンを形成することができる。ビームフォーマ20は、例えば、商業的に入手可能な好適な医療診断超音波装置で使われているようなデジタルビームフォーマである。
【0022】
ビームフォーマ信号は画像データバッファ22に格納される。該画像データバッファ22は、以下に説明するように、画像ボリュームの異なるボリュームセグメントと心臓周期の異なる時点の画像データを格納する。これについてはここでさらに説明する。画像データは画像データバッファ22からディスプレイシステム24に出力される。該ディスプレイシステム24は、その画像データから関心領域の3次元画像を生成する。ディスプレイシステム24は、ビームフォーマ20からのセクタスキャン信号を従来のラスタスキャン表示信号に変換するスキャンコンバータを含む。
【0023】
システムコントローラ26は、超音波診断画像化システム全体を制御する。システムコントローラ26は、タイミング及び制御機能を実行し、一般的にはマイクロプロセッサとそれに付随するメモリとを含む。また、ECGデバイス28は、対象または看者に取り付けたECG電極を含む。ECGデバイス28は、画像化を看者の心臓周期と同期させるため、ECG波形をシステムコントローラ26に供給する。これについては、以下により詳しく説明する。
【0024】
動作中、例えば、上大静脈を介して造影剤が看者の血流に注入される。造影剤は、患者の組織に対する血液プール後方散乱を向上する。ディスプレイシステム24による超音波画像の表示において、血液は黒く見え、組織は白く見え、造影剤を使用すると血液と組織の間のコントラストがよくなる。ここで説明したように、一例において、超音波エネルギーを超音波プローブ16を介して心臓30に照射し、エコーを生じさせる。超音波エコーを超音波プローブ16を介してレシーバ18で受信し、その結果として得られる画像を超音波診断画像化システム10の表示システム24で生成する。画像を診断分析に使用する。例えば、生成した画像を用いてそれに含まれる様々な境界を決定し、看者の心臓の駆出率と容量を計算する。
【0025】
本発明により画像を取得する3次元画像ボリューム50の例を図2に示した。画像ボリューム50は、トランスデューサアレイ16に頂点52を有する円錐形である。画像ボリューム50の画像データは、3次元超音波画像化により取得される。画像ボリューム50は、参照数字54で示される角度により、さらに特徴付けられる。ボリューム50は、例えば、複数の2次元の扇形のスライスとして画像化される。円錐形の画像ボリューム50の直径は、所望の分解能を達成するために必要な受信ライン数によって決まる。ボリューム50の完全な画像を取得するために必要な受信ライン数は、πL2/4で与えられる。ここで、Lは受信ライン単位で表した円錐形画像ボリューム50の直径である。よって、例えば、画像ボリューム50の直径が120受信ラインの場合、ボリューム50の画像データを取得するためには11,304本の受信ラインが必要である。
【0026】
本開示の一実施形態において、超音波診断画像化は心臓が増加に関するものである。心臓画像化を容易にするため、画像ボリューム50は看者の心臓の画像化用に3次元ボリュームセグメントに分割される。図4はボリュームセグメントの例を示している。ボリュームセグメント60は、円錐形画像ボリューム50の3次元スライスであり、第1端62から第2端64まであり、一連の2次元扇形スライス70、72、74および76として画像化される。画像ボリューム50全体は、ここでさらに説明するように、ボリュームセグメントに分割されている。
【0027】
画像ボリューム50を構成するボリュームセグメントの大きさと形状は、所望のいかなるものであってもよい。このように、例えば、ボリュームセグメントの断面は、正方形、長方形、円形でもよいし、不規則な形状であってもよい。さらにまた、1つの画像ボリュームであってもボリュームセグメントが異なれば、その大きさと形状は異なってもよい。また、ボリュームセグメントは、必ずしも一連の2次元スライスとして画像化される訳ではない。所望のパターンにあった画像化プロトコルを用いて、十分な数の送受信ラインを使用して所望の画像解像度を得る。所与の画像ボリュームに対するボリュームセグメントの大きさ、形状、数の選択は、以下に説明するように、特定の心臓フェーズの間に画像データの取得に利用できる時間に部分的に基づく。異なるボリュームセグメントに対応する画像データは、トランスデューサアレイ16の異なるエレメントで取得されてもよい。
【0028】
当然のことながら、画像ボリューム自体は円錐形に限定されず、その形状と大きさはいろいろである。例えば、画像ボリュームはピラミッド形または上部を切り取ったピラミッド形であってもよい。画像ボリュームの大きさと形状の選択はアプリケーションと使用するトランスデューサの種類による。
【0029】
本開示の一態様によると、本発明の特徴の1つは、種々のボリュームセグメントの画像データを看者の心臓周期の拡張終期と収縮周期とに同期した2重トリガーで取得することに基づくものである。心電図波形の例を図3に示した。図3の例において、心電図波形100は約830ミリ秒ごとの心拍を示している。本開示の一実施形態によると、超音波画像データ取得トリガーポイントは、以下に説明するように、取得信号ポイント(102)の後となるように選択する。トリガーポイントは、心電図波形100の心臓周期(124、126、128、130)の拡張終期(104、106、108、110)と収縮周期(114、116、118、120)で生じる。すなわち、本開示の2重トリガーの実施形態において、取得の各心臓フェーズにおいて、拡張終期と収縮終期で全ボリュームを取得するまで、心臓フェーズの第1のトリガーは拡張終期に対応し、第2のトリガーは心臓フェーズの収縮終期に対応する。
【0030】
連続する心臓フェーズのそれぞれのトリガーポイントにおいて心臓を表す3次元ボリューム画像全体を取得することにより、定量的情報を取得することができる。心臓フェーズのそれぞれの連続するトリガーポイントにおける心臓の3次元画像を表示することができる。収縮終期画像と拡張終期画像を分析して診断することができる。選択された心臓フェーズの一部の画像を所望の方向に回転して、分析を改善することができる。画像分析技法を用いて左心室の最大容量と最小容量を計測することができる。この情報から、当該技術分野で知られた方法を用いて、駆出量と駆出率を計算することができる。
【0031】
本発明の一態様によると、完全な画像を取得するまで、画像ボリュームの3次元ボリュームセグメントの画像データを連続する心臓周期において取得する。患者の心電図波形を使用して画像データの取得のトリガーをかけ、データの取得が患者の心臓周期と同期するようにする。より具体的は、画像データの取得を心臓周期内の第1と第2のトリガーポイントに同期させる。言い換えると、それぞれの心臓周期の拡張終期と収縮終期でトリガーされた、対応するフェーズで画像データを取得する。各心臓フェーズで取得される画像データ量は、心臓フェーズの長さと画像データ取得のスピードの関数である。
【0032】
本発明の一実施形態によると、画像ボリュームの完全な3次元画像を4回の心拍で取得することができる。各ボリュームセグメントの画像データを、そのボリュームセグメントに対応する単一の心臓周期中の第1のトリガーと第2のトリガーに応じて取得してもよい。すなわち、各心臓周期において、指定されたボリュームセグメントの画像データ取得を繰り返す。よって、4回の心拍中に、その2つのトリガーポイントのそれぞれで完全な3次元画像を取得することができる。2つのトリガーポイントのそれぞれの4つの3次元サブボリュームからの画像データを画像データバッファ22(図1)に格納し、データ取得後に結合して画像を得る。この例において取得時間は全体でも3.5秒より短く、動きによる問題は最小化でき、1回の呼吸内で画像データを取得することができる。
【0033】
異なる画像化プロトコルを用いてボリュームセグメント画像データを取得することもできる。隣接したボリュームセグメントを用いる画像化プロトコルの例を図4に示した。円錐形の画像ボリュームの断面50を示した。ボリュームセグメント140、142、144、146は、円錐形画像ボリュームの、隣接する3次元スライスを有する。ボリュームセグメント140、142、144、146は、それぞれ、一連の2次元の扇形スライスとして画像化される。この例では、4つのボリュームセグメントが画像ボリューム50を構成する。ボリュームセグメントはいかなる順序で画像化してもよい。一実施形態においては、隣接するボリュームセグメントは連続して画像化される。すなわち、最初にボリュームセグメント140が画像化され、次にボリュームセグメント142が画像化され、その次にボリュームセグメント144が画像化される。以下同様である。隣接するセグメントを連続して画像化することにより、隣接する画像データを同じ心臓周期または連続した心臓周期のいずれかで取得することができる。よって、画像データの不連続性を最小化することができる。図4に示した画像化プロトコルにおいて、画像ボリュームの高解像度3次元画像を4回の心拍で得ることができる。
【0034】
本開示の実施形態は、マイクロバブルの破壊の効果を最小化する、別の取得方法を含んでいる。代替的な方法の1つには、図5に示したように、各サブボリュームをさらに複数のサブボリュームに分割することを含む。例えば、図5に示した4つのサブボリュームを、さらに4つのサブボリュームに分割する。そうすると、取得シーケンスにおいて、各心臓周期中にサブボリュームを「インターリーブして」取得することができる。例えば、第1の心臓周期で、VS1のサブボリューム1と、VS2のサブボリューム1と、VS3のサブボリューム1と、VS4のサブボリューム1を取得する。第2の心臓周期で、VS1のサブボリューム2と、VS2のサブボリューム2と、VS3のサブボリューム2と、VS4のサブボリューム2とのシーケンスを取得する。第3の心臓周期で、VS1のサブボリューム3と、VS2のサブボリューム3と、VS3のサブボリューム3と、VS4のサブボリューム3とのシーケンスを取得する。第4の心臓周期で、VS1のサブボリューム4と、VS2のサブボリューム4と、VS3のサブボリューム4と、VS4のサブボリューム4とのシーケンスを取得する。これらのサブボリュームを結合して、高解像度のフルボリューム画像を得ることができる。この方法の潜在的に有利な点は、サブボリュームデータ取得の時にマイクロバブルが破壊される領域がより小さいので、マイクロバブルが減った領域に新しいマイクロバブルをより早く補給することができることである。
【0035】
別の取得方法は、トリガーポイントごとに異なるサブボリュームを使用することを含む。もう一度、図5の例を用いて、第1の心臓周期において、拡張終期にVS1を取得し、その第1の心臓周期の収縮終期にVS3を取得する。第2の心臓周期では、拡張終期にVS2を取得し、その第2の心臓周期の収縮終期にVS4を取得する。第3の心臓周期では、拡張終期にVS3を取得し、収縮終期にVS1を取得する。第4の心臓周期では、拡張終期にVS4を取得し、収縮終期にVS2を取得する。この方法には、同一の心臓周期において同じサブボリュームを2回取得するのと比較して、同じサブボリュームに照射する間の時間を長くすることができ、破壊された造影剤を置き換える時間をより長く取ることができるという利益がある。
【0036】
さらに別の取得方法では、心臓周期ごとに1つのサブボリュームだけを取得する。しかし、この場合、フルボリュームを取得するのに2倍の時間がかかる。
ライブの3次元画像化機能を有する超音波システムに関して言えば、比較的高いフレームレートでデータボリュームを取得することができる。従って、3次元画像化により、2次元画像化よりも左心室の容量計算をより正確にできるようになる。しかし、他にまだ解決すべき問題はある。心臓全体を含むボリュームデータセットを取得するため、異なる心臓周期でサブボリュームを取得し、そのサブボリュームを「つなぎ合わせる」必要がある。また、3次元の画像品質を上げることは、2次元の場合よりも困難である。従って、3次元では、心内膜境界を可視化することは2次元の場合より困難であることが多い。
【0037】
2次元における造影剤のリアルタイムの画像化により、比較的低い音響出力で造影剤が破壊されることが分かっている。MI(mechanical
index)は出力音響パワーの標準的な尺度である。FDAによる規制は1.9であり、次の式で表される:MI=ピーク負圧力(MPa)/周波数(MHz)。通常のフレームレート(15−20Hz)においてこの破壊を完全に無くすには、0.1のオーダーのメカニカルインデックス(MI)が必要となることが多い。しかし、さらに超音波に対するマイクロバブルのエクスポージャを最小化してそれによる破壊を最小化するため、フレームレートを(例えば、15−20Hzより低く)下げる必要がある。
【0038】
造影剤が破壊されたときの主要な症状は、心臓周期中の拡張終期から収縮終期までにコントラスト信号が弱くなることである。コントラスト信号が弱くなると、収縮終期ボリュームが過小評価されることにより駆出率が過大評価される。造影剤の破壊の第2の徴候は、左心室が一様に画像化されないことである。
【0039】
複数パルス特定コントラスト検出法は、MIが0.1程度の場合に、「線形の」組織信号を減じて、コントラスト対組織比を高めるように設計されている。これらの方法により、造影剤の破壊を減らすか無くすかして、心臓周期にわたる心内膜の可視化が大幅によくなる。しかし、これらの方法によっても、フレームレートは大幅に下がり、フルボリュームの3次元画像化には適用することが困難である。
【0040】
本開示の一実施形態によると、拡張終期ボリュームと収縮終期ボリュームを正確に測れるようにするため、コントラストを有するトリガーされたサブボリュームのシーケンスを利用する。サブボリュームの2重トリガーを使用することにより、リアルタイム画像化レートの場合よりもマイクロバブルの破壊が少なく、信号雑音比がよりよくなるレベルまで、MIを0.1程度より高くすることもできる。少数の心臓周期にわたる超音波画像化データを取得することにより、フルボリュームを取得できるのに加えて、破壊されたマイクロバブルを新しいマイクロバブルで置き換える時間があるという的利益がある。これにより、心内膜境界の可視化が非常に容易になり、超音波による拡張終期ボリュームと収縮終期ボリューム及び駆出率の正確な評価への道が開ける。言い換えると、マイクロバブルの破壊を考慮すると、コントラストを有する超音波診断画像の測定をよりロバストにすることができる一定のトリガーシーケンスがある。このようなトリガーシーケンスの一例を開示している。
【0041】
2重トリガーは、R波から所定の遅延をして心臓周期ごとに2回の超音波照射をすることを含む。例えば、1つのフレームを0ミリ秒の遅延(拡張終期に対応)で照射し、第2のフレームを収縮終期(患者の心拍レートに依存し、R波の約300ミリ秒オーダーの遅れに対応する)に照射する。フルボリュームの取得は、複数の心臓周期にわたってフルボリュームデータを取得することを含む。ボリューム全体を十分速いレート(50msec以内)で取得することは不可能なので、複数の心臓周期を使用することが必要である。これは基本的に音速によるものであり、音速によりどのくらい早くラインを取得することができるかが制限される。フルボリュームモードは、小さなボリューム(すなわちサブボリューム)を速いレートで取得する。例えば、ボリュームの1/4を一心臓周期で20Hzのレートで取得し、ボリュームの次の1/4を次の心臓周期で取得する。以下同様である。
【0042】
本開示の一実施形態によると、2重トリガーをトリガーによるフルボリューム取得と組み合わせると、造影剤のマイクロバブルの超音波へのエクスポージャを所望のやり方で制限でき、マイクロバブルから受けるエコー信号がかなりの程度減少しない。MIが0.1程度の低い超音波音響レベルでも、造影剤のマイクロバブルを「破壊」するには十分であることが分かっている。従って、関心ボリュームの1/4を速いレートで取得するのではなく、より遅いレートで取得してもよく、例えば、1/4を拡張終期に取得し、1/4を収縮終期に取得する。これは、2重トリガーなしに12以上のサブボリュームを取得したのとは逆に、1つの心臓周期中に2つのサブボリュームだけを取得することを意味する。拡張終期と収縮終期の2重トリガーによるデータ取得を変更することにより、心臓収縮情報は失われるが、しかし、左心室ボリュームの重要な情報はより正確に表される。1心臓周期あたり2トリガーより多くするか、または各サブボリューム間を遅延することにより、より遅いレートでサブボリュームを取得することも可能である。このボリュームレートの減少は、バブル破壊を減らすが、2重トリガーモードの時間解像度を高くする。有利にも、本実施形態は、コントラストを有する3次元超音波画像化の使用に加え、ここに説明した2重トリガーシーケンスを使用し、心臓容量/駆出率を決定する。従って、心臓容量の定量/駆出率を取得できる。
【0043】
本発明の実施形態によると、取得レートを「人工的に」落とすことにより、造影剤の破壊を減らし、心内膜境界の可視化能力を高めることができる。一般的に、取得レートは音速とシステムがデータを取得する能力により決まる。これは特に3次元で実行されることについてあてはまるが、その理由は、3次元ではデータ平面だけでなくボリューム全体を取得しなければならないからである。実際、心臓画像化において十分速い更新レート(すなわち、毎秒15ボリューム以上)で大きなボリュームを取得するために、速い更新レートを維持するために小さいボリュームを取得する必要があるだけではなく、複数の心臓周期にわたってボリューム全体を取得する必要がある。
【0044】
例えば、患者の心臓レート(例えば、毎分60回拍動)に対して「毎秒」20ボリュームの更新レートは適当と思われるが、するとサブボリュームの大きさはこの更新レートが可能なほど小さくないとならない。毎分60拍の場合、各心臓周期は1秒であり、同じサブボリュームが心臓周期中に取得される場合が20回ある。次の心臓周期には別のサブボリュームを取得するが、そのサブボリュームには20通りの場合がある。終わりに、所望のサブボリュームをすべて取得した後に、それらを「つなぎ合わせて」、毎秒20ボリュームの高い更新レートで「フルボリューム」を形成する。サブボリュームが異なる心臓周期のものであり、心臓がいつも同じフェーズにない場合、「継ぎ目」すなわちアーティファクトが生じるので、これらのサブボリュームを心電図と同期して取得することは重要である。
【0045】
マイクロバブルの破壊の効果を最小化することによりコントラストの強さを大きくするには、取得レートを(電子回路のセットアップ時間だけでなく音速によっても決まる)最大レートより低くするとよい。上記のように20ではなく、2つのサブボリュームのみを心臓周期ごとに取得しており、2重トリガーの使用は、どのようにマイクロバブルの音響エクスポージャを制限するかの例である。しかし、心臓周期ごとにサブボリュームを3回以上取得して、コントラストの強さを大幅に上げて、全体的なマイクロバブルの破壊量を所与の閾値よりも低く抑えることも可能である。
【0046】
本開示の実施形態を、より多くの心臓周期にわたって取得することにより、右心室ボリュームとマルチパルスコントラスト法に拡張することも可能である。
【0047】
本実施形態によるセグメント化された3次元心臓画像化を実施するシステムの例を示す簡略化したブロック図を図6に示した。図1ないし6と同じエレメントには同じ参照数字を付した。超音波エネルギーは、トランスデューサアレイ16により患者の関心領域に送信される。トランスミッタ12、T/Rスイッチ14、レシーバ18は、理解を容易にするために図6では省略した。受信超音波エコーは、ビームフォーマ20により処理され、ライン200上の画像データになる。画像データは画像データバッファ22に格納される。図6の例では、画像データバッファ22はデュアルポートのランダムアクセスメモリ(RAM)である。
【0048】
ECG電極202、204、206は、看者に取り付けられ、看者の心臓周期を検出し、ECGデバイス28に信号を供給する。ECGデバイス28は、R波トリガー出力をライン210に供給する。R波トリガー出力は図3に示したECG波形に対応する。
送信トリガークロックは、各送信イベントにパルスを供給するものであり、送信イベントカウンタ220とトランスミッタ12(図1)に供給される。送信イベントカウンタ220の出力は、ビームフォーマ20と、画像データバッファ22のイベント入力アドレスと、コンパレータ222の第1の入力に供給される。レジスタ224は、心臓フェーズごとの送信イベント数を格納する。レジスタ224の出力は、コンパレータ222の第2の入力に供給される。コンパレータ222の出力は、送信イベントカウンタ220がレジスタ224に格納された値と等しいカウントに達した時に出力される。このように、コンパレータ222の出力は、各心臓フェーズにおいて送信イベントの必要数に達した時に出力される。コンパレータの出力は、ORゲート230の第1の入力と、心臓フェーズカウンタ232のクロック入力に供給される。フェーズカウンタ232の出力は、画像データを取得している心臓フェーズを示すものであり、画像データバッファ22のフェーズ入力アドレスに供給される。
【0049】
ECGデバイス28のR波トリガー出力は、ORゲート230の第2の入力と、フェーズカウンタ232のリセット入力と、心拍カウンタ240のクロック入力とに供給される。心拍カウンタ240は、看者の心拍によりインクリメントされる。心拍カウンタ240の出力は、画像データバッファ42のセグメント入力アドレスに供給され、画像データを取得しているボリュームセグメントを示す。このように、画像データバッファ22の入力アドレスは、ボリュームセグメントを示すセグメント入力アドレス、心臓フェーズを示すフェーズ入力アドレス、測定のボリュームセグメントと心臓フェーズ内の送信イベントを示すイベント入力アドレスとから構成されている。画像データバッファ22のデュアルポートRAMは、画像ボリュームの各ボリュームセグメントの各送信イベントに対応し、看者の心臓周期の各フェーズに対応する画像データの記憶位置を有する。
【0050】
ORゲート230は、送信イベントカウンタ220のリセット入力に出力を供給する。このように、送信イベントカウンタは、看者の心拍によりリセットされるか、または現在の心臓フェーズについて必要数の送信イベントが完了したことをコンパレータ222が示した時にリセットされる。
【0051】
画像データバッファ22からの出力は、ディスプレイシステム24により制御される。画像データバッファ22は、ディスプレイシステム24からセグメント出力アドレスとイベント出力アドレスを含む出力アドレスを受け取り、レジスタ250から心臓フェーズ出力アドレスを受け取る。レジスタ250は、表示すべき心臓フェーズを示す値を含んでいる。ディスプレイシステム24は、選択される心臓フェーズのボリュームセグメントの画像データを結合し、画像ボリュームの3次元画像を生成する。レジスタ250の値をインクリメントすることにより、異なる心臓フェーズの3次元画像をシーケンスで表示する。好適なレートで連続する画像をインクリメントすることにより、心臓の動きの画像を表示してもよい。
【0052】
図6の画像システムの制御コンポーネントは、送信イベントカウンター220、コンパレータ222、ORゲート230、フェーズカウンタ232、心拍カウンタ240、レジスタ224と250を含み、システムコントローラ26(図1)の一部を構成する。当然のことながら、これらの制御コンポーネントにより実行される機能は、本開示の実施形態を実行するプログラムされたマイクロコンピュータ、マイクロコントローラ等により実行されてもよい。
【0053】
本開示の一実施形態によるセグメント化された3次元心臓画像化プロセスを示すフローチャートを図7に示した。プロセスはステップ262で始まり、ECGトリガーパルスを受け取ったか問い合わせる。ECGトリガーパルスを受け取っていなければ、問い合わせのループを続ける。一方、ECG波形の取得トリガーを示すECGトリガーパルスを受け取っていれば、ステップ264に進む。ステップ264において、心臓周期の拡張終期になったか問い合わせる。なっていなければ、問い合わせを続ける。心臓周期の拡張終期になった時、ステップ266に進む。心臓周期の拡張終期になったことを取得パルスのトリガーによりマークする。拡張終期のECGトリガーに応答して、ステップ264において、心臓周期の拡張終期フェーズにボリュームセグメントiの画像データをステップ266で取得する。データ取得ステップ266は、受け取った信号をビームフォーマ20で処理して画像データを供給し、その画像データを画像データバッファ22に格納する、ボリュームセグメントの送信イベントの指定番号の生成を含む。
【0054】
ステップ268において、心臓周期の収縮終期になったか問い合わせる。なっていなければ、問い合わせを続ける。心臓周期の収縮終期になった時、ステップ270に進む。心臓周期の収縮終期になったことを取得パルスのトリガーによりマークする。収縮終期のECGトリガーに応答して、ステップ268において、心臓周期の収縮終期フェーズにボリュームセグメントiの画像データをステップ270で取得する。データ取得ステップ270は、受け取った信号をビームフォーマ20で処理して画像データを供給し、その画像データを画像データバッファ22に格納する、対応するボリュームセグメントの送信イベントの指定番号の生成を含む。
【0055】
ステップ272において、その特定の超音波診断画像取得について、現在のサブボリュームセグメントが最後のものであるかどうか判断する。図3のECG波形の例には4つのサブボリュームがある。従って、4つのサブボリュームを取得するまでは、最後のサブボリュームセグメントには到達しない。従って、まだ到達していないサブボリュームセグメントに応じて、サブボリュームiをインクリメントしてステップ274に進み、次にステップ264に戻って、次の心臓周期の拡張終期トリガーの受信を待って、先に進む。一方、ステップ272において最後のサブボリュームセグメントに到達すると、ステップ276に進み、心臓周期のサブボリューム画像データを結合し、その後終了する。
【0056】
図7のプロセスにより、所与の取得器官の看者の各心臓周期中に、拡張終期と収縮終期でトリガーされたボリュームセグメントの画像データ取得が実行される。完全なボリュームのサブボリュームの各拡張終期と収縮終期でトリガーされた部分の完全な3次元画像を、比較的少数の心拍数で取得する。画像ボリュームの全てのサブボリュームセグメントの画像データを取得した時、ボリュームセグメント画像データをステップ276で結合し、心臓周期の拡張終期と収縮終期でトリガーされた部分のそれぞれの合成画像を供給する。結合ステップは、心臓周期の拡張終期と収縮終期部分のそれぞれの画像ボリュームのサブボリュームセグメントの画像データの結合を含む。
【0057】
図8と9は、本開示の一実施形態による方法と装置を用いて生成したボリュームの第1と第2の部分のディスプレイ画像ビューを示す図である。心臓境界をより容易に見分けることができ、本開示の実施形態によるコントラストをつけた拡張終期と収縮終期の2重トリガーされた3次元フルボリューム超音波画像データ取得により境界が画像化されている。従って、心臓容量計算と駆出率を得られる。
【0058】
本開示の実施形態を、デジタルビームフォーマを用いた画像データの取得に関して説明した。当然のことながら、上記の実施形態は超音波画像化システムのアナログによる実施にも適用することができる。
【0059】
上には少数の実施形態例のみを詳しく説明したが、当業者は、本開示の実施形態の新規な教示と有利な点から大きく逸脱することなく、多数の修正が可能であることが容易に分かるであろう。従って、そのような修正はすべて、添付した請求項に記載した本開示の実施形態の範囲内に含まれる。請求項において、ミーンズプラスファンクションクレームは、記載した機能を実行するここに記載した構成要素をカバーし、構造的均等物のみでなく、均等な構成もカバーする。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本開示の一実施形態を実施するのに好適な超音波診断画像化システムを示すブロック図である。
【図2】3次元画像ボリュームとそのボリュームセグメントを表す概略図である。
【図3】本開示の一実施形態によるECG波形と2重トリガーシーケンスを示す図である。
【図4】N個(この場合N=4)のボリュームセグメントに分割された3次元画像ボリュームの断面図である。
【図5】各ボリュームセグメントがN個のサブボリュームセグメントにさらに分割された、図4の3次元画像ボリュームの断面図である。
【図6】本開示の一実施形態による超音波診断画像化システムを示すブロック図である。
【図7】本開示の一実施形態による心臓超音波画像化方法の一例を示すフローズである。
【図8】本開示の一実施形態による方法及び装置を用いて生成されたボリュームの一部を示すディスプレイ画像である。
【図9】本開示の一実施形態による方法及び装置を用いて生成されたボリュームの他の一部を示すディスプレイ画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤を使用して3次元フルボリュームの超音波画像を生成する方法であって、
トリガーによって複数の心臓周期にわたるECGに同期した複数のサブボリュームの超音波画像データを取得するステップを有し、
取得には2つの取得プロトコルのうち少なくとも一方が含まれ、第1の取得プロトコルは超音波画像データ取得中に前記造影剤を破壊しない程度の出力音響パワーを用い、第2の取得プロトコルは超音波画像データ取得中に前記造影剤を破壊するのに十分な出力音響パワーを用い、
複数のサブボリュームの超音波画像データのそれぞれの取得のトリガーは、後続のサブボリュームの超音波画像データの取得のトリガーの前に、破壊された造影剤を新しい造影剤で置き換えられるように選択され、
前記方法は、さらに、前記複数のサブボリュームからの超音波画像データを結合して前記3次元フルボリューム超音波画像データを生成するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
トリガーには複数のトリガーが含まれることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
複数のトリガーには心臓周期ごとの複数のトリガーの使用を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
心臓周期ごとの第1のトリガーと第2のトリガーを使用する2重トリガーを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記第1のトリガーは心臓周期の拡張終期に対応し、前記第2のトリガーは心臓周期の収縮終期に対応することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
第1のサブボリュームの一部の超音波画像データは、心臓周期の拡張終期で取得され、
第1のサブボリュームの他の部分の超音波画像データは、心臓周期の収縮終期で取得されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
第1のサブボリュームの一部の超音波画像データは第1の心臓周期で取得され、
第1のサブボリュームの他の部分の超音波画像データは他の心臓周期で取得されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
第1のサブボリュームの一部の超音波画像データは、第1の心臓周期の拡張終期で取得され、
第1のサブボリュームの一部の超音波画像データは、第1の心臓周期の拡張終期で取得され、
第1のサブボリュームの他の部分の超音波画像データは、他の心臓周期の収縮終期で取得され、
第2のサブボリュームの他の部分の超音波画像データは、他の心臓周期の拡張終期で取得されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
サブボリュームの超音波画像データの取得はインターレースされた超音波画像データの取得を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
N個のサブボリュームの超音波画像データはM個の心臓周期にわたって取得され、MとNはM>Nを満たす整数であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
超音波画像データの取得は、パワードップラー、パルス反転、パワー変調、及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
3次元ボリューム画像は左心室の3次元ボリューム画像であり、
前記方法は、さらに、超音波画像データを分析し、分析された超音波画像データに応じて左心室の定量を行うステップを有することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
定量には心臓容量と駆出率の定量を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
造影剤で3次元フルボリュームの超音波画像を生成する方法であって、
複数の心臓周期にわたって超音波画像データを取得するステップを有し、超音波画像データの取得には、複数の心臓周期のそれぞれについて、それぞれのサブボリュームの対応する2重トリガーを用いた、サブボリュームの超音波画像データの取得が含まれ、
a)出力音響パワーが超音波画像データ取得中に造影剤のマイクロバブルの破壊がおきるほどではない場合のマイクロバブルの破壊の最小化、またはb)出力音響パワーが超音波画像データ取得中の造影剤のマイクロバブルの破壊を起こす場合の破壊されたマイクロバブルの新しいマイクロバブルでの置き換えのうち少なくとも一方が、2重トリガーにより可能となり、
前記方法は、さらに、前記サブボリュームからの超音波画像データを結合して前記3次元フルボリューム超音波画像データを生成するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
3次元フルボリューム超音波画像データに応じて3次元フルボリュームビューを表示するステップをさらに有することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
3次元フルボリューム超音波画像データに応じて、心臓ボリュームと駆出率のうち少なくとも一方を決定するステップをさらに有することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
2重トリガーはサブボリューム超音波画像データを取得するための造影剤の全体的マイクロバブル破壊効果を最小化するように選択されることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
全体的マイクロバブル破壊効果は、心臓周期の2重トリガーされたフェーズの第1のトリガーと第2のトリガーの発生の間に、破壊されたマイクロバブルを新しいマイクロバブルで置き換えることを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
第1のトリガーは心臓周期の拡張終期に対応し、第2のトリガーは心臓周期の収縮終期に対応することを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、
複数の心臓周期には患者の4つの連続した心臓周期を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法であって、
2重トリガーには、複数の心臓周期のそれぞれの拡張終期と収縮終期でトリガーしてサブボリュームを取得することを含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
2重トリガーはサブボリューム超音波画像データを取得するための造影剤の全体的マイクロバブル破壊効果を最小化するように選択され、
全体的マイクロバブル破壊効果は、心臓周期の2重トリガーされたフェーズの第1のトリガーと第2のトリガーの発生の間に、破壊されたマイクロバブルを新しいマイクロバブルで置き換えることを含み、
全体的マイクロバブル破壊効果は、心臓周期の2重トリガーされたフェーズの第1のトリガーと第2のトリガーの発生の間に、破壊されたマイクロバブルを新しいマイクロバブルで置き換えることを含み、
第1のトリガーは心臓周期の拡張終期に対応し、第2のトリガーは心臓周期の収縮終期に対応することを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
複数の心臓周期には患者の4つの連続した心臓周期を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
診断超音波画像化方法であって、
取得する超音波画像データ内のコントラストレベルをエンハンスするためのマイクロバブルを供給する超音波造影剤を患者に注入するステップと、
患者の複数の心周期の2重トリガーされるフェーズと同期して、患者の関心画像ボリュームの3次元ボリュームセグメントを表す超音波画像データを取得するステップと、
a)出力音響パワーが超音波画像データ取得中に造影剤のマイクロバブルの破壊がおきるほどではない場合のマイクロバブルの破壊の最小化、またはb)出力音響パワーが超音波画像データ取得中の造影剤のマイクロバブルの破壊を起こす場合の破壊されたマイクロバブルの新しいマイクロバブルでの置き換えのうち少なくとも一方が、2重トリガーにより可能となり、
サブボリュームセグメントの画像データを結合して、3次元フルボリューム画像データを生成するステップと、
3次元サブボリュームセグメントの取得のための造影剤の全体的マイクロバブル破壊効果を最小化するように2重トリガーフェーズを選択することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、
3次元フルボリューム超音波画像データに応じて3次元フルボリュームビューを表示するステップをさらに有することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、
3次元フルボリューム超音波画像データに応じて、心臓ボリュームと駆出率のうち少なくとも一方を決定するステップをさらに有することを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、
全体的マイクロバブル破壊効果は、心臓周期の2重トリガーされたフェーズの第1のトリガーと第2のトリガーの発生の間に、破壊されたマイクロバブルを新しいマイクロバブルで置き換えることを含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、
第1のトリガーは心臓周期の拡張終期に対応し、第2のトリガーは同じ心臓周期の収縮終期に対応することを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項24に記載の方法であって、
複数の心臓周期には患者の4つの連続した心臓周期を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項24に記載の方法であって、
画像データの取得は、患者の心臓周期の2つの選択されたフェーズに画像データの取得を同期させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、
選択されるフェーズは、心臓周期の拡張終期と収縮終期を含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項24に記載の方法であって、
画像データの取得には、患者の連続した心臓周期のN番目と同期してサブボリュームセグメントの画像データを取得することを含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、
Nは4であることを特徴とする方法。
【請求項34】
造影剤を用いる超音波診断画像化装置であって、
トランスデューサエレメントのアレイを含むトランスデューサと、
複数の送信ビームとして患者の体の関心画像ボリュームに前記トランスデューサで超音波エネルギーを送信するトランスミッタと、
超音波エネルギーに応じて画像ボリュームから前記トランスデューサで超音波エコーを受信し、受信した超音波エコーを表す受信信号を生成するレシーバと、
受信信号を処理して、送信ビームのそれぞれに対して少なくとも1つの受信ビームを形成し、受信ビーム中の超音波エコーを表す画像データを生成する受信ビームフォーマと、
看者に結合される、看者への結合に応じて看者の心臓周期を表すECG信号を生成するECGデバイスと、
ECG信号に応じて、前記トランスミッタと前記受信ビームフォーマを制御して、対応する看者の心臓周期の第1と第2のトリガーされた部分と同期して画像ボリュームの3次元ボリュームセグメントを表す画像データを取得するコントローラであって、各ボリュームセグメントは3次元に分散した画像データを含み、
ボリュームセグメントを表す画像データは看者の単一の心臓周期の間に取得され、
第1と第2のトリガーされた部分は、a)出力音響パワーが超音波画像データ取得中に造影剤のマイクロバブルの破壊がおきるほどではない場合のマイクロバブルの破壊の最小化、またはb)出力音響パワーが超音波画像データ取得中の造影剤のマイクロバブルの破壊を起こす場合の後続のトリガーに先立つ破壊されたマイクロバブルの新しいマイクロバブルでの置き換えのうち少なくとも一方を可能とするトリガーを生じるところのコントローラと、
前記ボリュームセグメントを表す前記画像データを結合して、前記ボリュームの3次元超音波画像を表す画像データを与える結合回路と、を有することを特徴とする装置。
【請求項35】
請求項34に記載の装置であって、
前記トランスデューサは、電気的にスキャンされる2次元のトランスデューサアレイを含むことを特徴とする装置。
【請求項36】
請求項34に記載の装置であって、
前記コントローラは、画像データの取得を看者の選択される心臓周期のフェーズと同期させる手段をさらに含むことを特徴とする装置。
【請求項37】
請求項34に記載の装置であって、
前記コントローラは、看者のN個の連続した心臓周期の拡張終期と収縮終期と同期して、ボリュームセグメントの画像データを取得する手段をさらに含み、ここでNは4であることを特徴とする装置。
【請求項38】
造影剤を用いる超音波診断画像化方法であって、
看者の心臓周期の選択された第1と第2のフェーズと同期して、関心画像ボリュームの第1と第2の3次元ボリュームセグメントを表す超音波画像データを取得するステップであって、第1と第2のボリュームセグメントはそれぞれ3次元に分散した画像データを含み、
第1と第2のボリュームセグメントのそれぞれを表す画像データは看者の単一の心臓周期中に取得され、
a)出力音響パワーが超音波画像データ取得中に造影剤のマイクロバブルの破壊がおきるほどではない場合のマイクロバブルの破壊の最小化、またはb)出力音響パワーが超音波画像データ取得中の造影剤のマイクロバブルの破壊を起こす場合の破壊されたマイクロバブルの新しいマイクロバブルでの置き換えのうち少なくとも一方を可能とする2重トリガーの使用を含むステップと、
看者のN個の連続した心臓周期にわたって超音波画像データの取得を繰り返すステップであって、Nは4であるステップと、
それぞれの心臓フェーズの第1と第2のボリュームセグメントそれぞれの画像データを結合し、Nこの心臓周期の拡張終期と収縮終期をそれぞれ表す3次元の超音波画像を生成するステップとを有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−508889(P2007−508889A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536235(P2006−536235)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/IB2004/052087
【国際公開番号】WO2005/039418
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】