説明

超音波診断装置

【課題】測定対象物の三次元モデルの精度を高める。
【解決手段】測定対象物を挟むようにして第1および第2超音波振動子34A,34Bを配置する。第1超音波振動子34Aにより超音波を送信し、測定対象物で反射した反射波を受信して、この受信信号を第1の側の反射波情報76aとして格納部76に格納する。第2超音波振動子34Bについても同様に反射波を受信し、受信信号を第2の側の反射波情報76bとして格納部76に格納する。第1、第2の側の反射波情報と、二つの超音波振動子の相対位置から、測定対象物の三次元モデルを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に超音波診断装置における三次元的な情報の取得に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内の臓器、骨などの測定対象物に対し超音波振動子から超音波を送信し、その反射波を受信して得た情報に基づき診断を行う超音波診断装置が知られている。通常、測定対象物に対して1方向から超音波を送信し、測定対象物全体からの反射波を受信する。また、測定対象物を透過した超音波に基づき診断を行う装置も知られている。下記、特許文献1には、足の踵を挟んで一対の超音波振動子を配置し、一方の超音波振動子から送信された超音波を他方の超音波振動子で受信して、骨、例えば踵骨での減衰量を測定する骨密度測定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−204205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された装置は、一対の超音波振動子を有しているが、これらの振動子は、一方が送信用、他方が受信用として使用される。したがって、測定対象物(例えば踵骨)の超音波ビームの減衰量の情報は得られるものの、測定対象物の三次元的な(立体的な)組織構造、形状等を把握することはできなかった。一方の超音波振動子により超音波の送受を行い、反射波の情報から測定対象物の構造、形状等を把握することはできるが、測定対象物の、当該超音波振動子が配置された側と反対側の部分からの情報は、減衰が大きくなり、詳細な情報を得ることが難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、測定体対象物の三次元的な情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る超音波診断装置は、二次元走査可能な二つの超音波振動子を備え、これらは、測定対象物を挟む位置に配置される。二つの超音波振動子は、これらに対応して設けられた送受信部により駆動される。一方の超音波振動子により超音波を送受し、受信された超音波に基づき、当該超音波振動子が配置された側の測定対象物の反射波情報を取得する。他方の超音波振動子においても同様にして、他方の超音波振動子側が配置された側の測定対象物の反射波情報を取得する。あらかじめ把握されている二つの超音波振動子の相対的な位置に基づき、それぞれの超音波振動子で得られた反射波情報に基づき、測定対象物の三次元モデルを形成する。
【0007】
三次元モデルは、例えば、測定対象物表面の立体形状である。
【発明の効果】
【0008】
測定対象物を挟むように配置された二つの超音波振動子により反射波情報を得ることにより、精度の高い三次元モデルを取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態の超音波骨評価装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施形態の超音波骨評価装置の外観を示す斜視図である。
【図3】足置き台および振動子ユニットの外観を示す拡大斜視図である。
【図4】足置き台、振動子ユニットおよび足の位置関係を示す拡大断面図である。
【図5】振動子ユニットの概略断面図である。
【図6】整合材袋の表側部材の形状を示す斜視図である。
【図7】整合材袋の表側部材の形状を示す斜視図である。
【図8】整合材袋の表側部材の形状を示す斜視図である。
【図9】超音波振動子を移動させるための機構の概略を示す斜視図である。
【図10】超音波ビームの走査範囲を示す図である。
【図11】本実施形態の超音波骨評価装置の機能ブロック図である。
【図12】受信信号の信号処理に係る説明図である。
【図13】測定対象物の三次元表示の例を示す図である。
【図14】体積を求める範囲の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。以下においては、踵骨を測定対象物とする超音波診断装置、特に骨密度等の骨に関する評価が可能な超音波骨評価装置について説明するが、測定対象はこれに限られない。踵骨以外の骨や他の臓器についても、この骨、臓器、およびこれら対象物の周囲の組織の形状、特性等に合わせて、装置の構成を適宜変更し本発明の趣旨を達成することは、当業者においては容易に想定可能である。
【0011】
図1および図2は、踵骨を評価対象とする超音波骨評価装置10の外観を示す斜視図である。装置本体12の上部には、足置き台14が配置されている。足置き台14は、略L字形の載置面を有する台であり、図2の鎖線で示すように足Fを載せ、位置決めを行うものである。踵を足置き台14のL字形の角に合わせることにより、足の位置決めが行われる。足置き台14の左右には、踵部分を挟むように、超音波振動子を含む二つの振動子ユニット16A,16Bが配置されている。左右の振動子ユニット16A,16Bは、対称な構造を有しており、特に左右を区別する必要がないときには、単に振動子ユニット16と記して、以下説明する。また、左右の各振動子ユニット16A,16Bを構成する要素についても、左右の区別が必要な場合はその符号にA,Bを付し、また区別の必要がない場合には数字の符号のみを用いて説明する。振動子ユニット16は、踵部分と超音波振動子の間の音響整合を図るために音響整合部を有している。音響整合部は変形可能であり、変形して踵部分に密着し、間の空気層を排除する。音響整合部は、この超音波骨評価装置10においては、水等の音響整合材と、この水等を収容した整合材袋18を有する。足を足置き台14上に置いたときに、整合材袋18が足の踵部分に当接して、超音波振動子とこの踵部分の間の音響インピーダンスの整合を図っている。
【0012】
図3および図4は、足置き台14と振動子ユニット16の拡大図である。図3,4において、足置き台14の正中面で破断して、一方の側、つまり被検者が足置き台14に足を置いたときに被検者にとって右側となる部分が示されている。足置き台14は、略L字形状であり、L字の2辺を構成する底面20と当接面22のなす角度は、ほぼ直角となっている。被検者は足の踵の後端面を当接面22に当接させて足裏を底面20に置く。このときの足の踵、特に踵骨の位置およびその周囲の位置に当接するよう整合材袋18が配置されている。整合材袋18の踵部分およびその周囲に当接する面は、概略球面の、一つの直径に直交する面と、この直径に平行で互いに直交する二つの面とで囲まれた部分の形状となっている。足置き台14に足を置くと、踵部分およびその周囲の左右両側に整合材袋18が当接し、整合材袋18が踵部分の表面に倣うように変形し、空気層の介在を排除する。
【0013】
図5は、振動子ユニット16の断面図である。整合材袋18は、対象の生体である足側の表側部材24と反対側の裏側部材26を、環状のリングフレーム28に固定して形成される。表側部材24は、その周縁部をリングフレーム28とリングフレーム28の内側に位置する第1固定リング30に挟持され、リングフレーム28に固定されている。また、裏側部材26は、その周縁部を第1固定リング30と第2固定リング32に挟持され、間接的にリングフレーム28に固定されている。裏側部材26は、蛇腹状に屈曲しており、中心部分は、超音波振動子34の外周部分に結合されている。裏側部材26の更に背面側には、裏側部材26が背面側に膨出しないように規制し、これを支持する支持盤36が配置されている。支持盤36は複数の円環板状の支持プレート38a,38b,38c,38dから構成され、最外周の支持プレート38aは、外周縁部分に円筒形状の部分を更に有し、これが、リングフレーム28に固定されている。最内周の支持プレート38dは、超音波振動子34の外周部分に固定されている。裏側部材26は、超音波振動子34の外周部分に設けられたフランジ40と、最内周の支持プレート38dに挟持されて超音波振動子34に固定される。支持プレート38a,38b,38c,38dは、相互にスライド可能であり、後述する超音波探触子34の探触子軸線に直交する方向の動きを許容する。
【0014】
図6〜8は、整合材袋の表側部材24の形状を示す斜視図である。表側部材24は、円形状の基礎部分41を有し、基礎部分41に、足置き台14上の踵部分に向けて膨出する膨出部42、対をなす振動子ユニット16A,16Bの各々の整合材袋18A,18Bの内部空間を連通する連通管44A,44B、および校正用のブロックを配置するための校正ブロックポケット46が設けられている。左右の連通管44A,44Bは中央部分で連結され、左右の整合材袋の内部空間が連通されてる。この連通管44A,44Bの位置に二つの超音波振動子34A,34Bを移動させ、これらを対向させることにより、整合材内の音速を計測することができる。
【0015】
膨出部42の形状は、球面を一つの直径に直交する第1の平面と、前記の直径に平行で、互いに直交する第2および第3の平面で切った形状となっている。前記の直径は基礎部分41に直交し、基礎部分41が形成する平面が前記第1の平面に相当する。第2、第3の平面は、足置き台14の底面20と当接面22が形成する面である。第2、第3の平面による切り口が第1の側面48、第2の側面50となる。また、これら第1から第3の平面により切り出された球面の一部が対象部位である足に当接する生体当接面51となる。したがって、膨出部42の第1の側面48は足置き台の底面20に沿い、第2の側面50は当接面22に沿う。そして、第1および第2の側面48,50から形成される膨出部42の側面は、全体としてL字形の足置き台の足を置く面に沿ってL字形に形成される。また、見方を変えれば、膨出部は、高さの低いドームを、交差する二つの平面により切り取った部分的なドーム形状と見ることもできる。
【0016】
図9は、超音波振動子34を移動させる移動機構52を示す図である。振動子ユニット16は、支持盤36を省略した状態で示されており、整合材袋18の裏側部材26の蛇腹形状の部分が現れている。二つの超音波振動子34A,34Bは、コの字形またはU字形の支持フレーム54の先端に固定されている。支持フレーム54は駆動機構56により、二つの超音波振動子34A,34Bが対向する方向(つまり超音波振動子の軸線方向)に直交する平面内で移動される。したがって、二つの超音波振動子34A,34Bは、これらが対向する方向においては移動せず、互いの距離も変化しないが、この対向方向に直交する方向には、いずれの方向にも移動可能となっている。この移動において、二つの超音波振動子34A,34Bは、対向状態を常に維持される。この超音波振動子34の移動を許容するために、整合材袋の裏側部材26は、蛇腹構造を有し、また、支持盤36は、多重の支持プレート38a〜38dを有する構成を有する。それぞれの支持プレート38a〜38dが相互にスライドして、超音波振動子34の移動を許容する。
【0017】
図10は、足置き台14とこれに置かれた足Fを示す図である。蛇行する矢印Yは、超音波振動子34の走査の経路を示している。この矢印Yの軌跡を囲む範囲Rが超音波ビームの走査範囲である。超音波振動子34を、踵骨Cを含む範囲Rにおいて走査し、透過超音波のデータを得る。この受信データに基づき、骨、特に踵骨の評価を行う。
【0018】
図11は、超音波骨評価装置10の機能構成を示すブロック図である。振動子ユニット16A,16B、移動機構52の構造については、既に説明しているとおりである。振動子ユニット16A,16Bのそれぞれの超音波振動子は、送受信切替回路66を介して受信回路68、送信回路70に接続されている。送受信切替回路66を介することにより、超音波の送信の向き、または送信を行う超音波振動子を切り替えることができる。また、一つの超音波振動子から送信された超音波が対象にて反射した反射波を同じ超音波振動子で受信するように接続を行うこともできる。この接続を行うことにより、超音波振動子から整合材袋の膨出部42までの距離を測定することができる。
【0019】
制御部72は、受信回路68および送信回路70を制御して、生体を通過した超音波の受信信号を得る。制御部72は、前述した送受信切替回路66の切替動作を制御する。また、制御部72は、移動機構52の動作も制御し、超音波振動子34を、例えば図10に符号Yで示す矢印のように移動させ、さらに移動させつつ所定値において超音波の送受信を制御し、走査範囲R(すなわち測定を行う範囲;測定範囲)内の所定の点における超音波の受信信号を得る。受信された信号は、受信データ処理部74で処理され、受信データとして格納部76に格納される。格納される受信データは、受信波形、すなわち時間に対し変化する音圧のデータを含む。
【0020】
超音波骨評価装置10は、受信波形について演算処理を行う演算部78を有する。演算部の演算処理については後述する。さらに、超音波骨評価装置10は、操作者が、装置の動作の指示を行うための操作パネル部80および結果の表示を行う表示部82を有している。操作パネル部80と表示部82の機能が一体となった所謂タッチパネルディスプレイを採用することもできる。
【0021】
三次元モデルの形成について説明する。ここでは、三次元モデルの例として、踵骨の立体形状を用いて説明する。前述のように、超音波骨評価装置10は、一つの超音波振動子から送信された超音波が対象物にて反射した反射波を同じ超音波振動子で受信する機能を有する。つまり、振動子ユニット16Aに属する超音波振動子34Aと、振動子ユニット16Bに属する超音波振動子34Bとでそれぞれ超音波を送受信して反射波の受信信号を取得する。第1超音波振動子34Aにより受信された受信信号は、格納部76に第1の側の反射波情報(エコーデータ)76aとして格納される。同様に、第2超音波振動子34Bにより受信された受信信号は、格納部76に第2の側の反射波情報(エコーデータ)76bとして格納される。
【0022】
受信信号には、体表(および整合材袋)からの反射波が含まれ、必要に応じて、演算部78にて、これを除去する(体表面除去部78a)。この除去により、踵骨部分での反射波を抽出することができる。図12には、受信信号の波形が示されている。図12(a)は、受信された信号波形そのものを示しており、最初のピークが体表からの反射波Sであり、次のピークが踵骨表面からの反射波Tを表す。体表からの反射波Sは、その前に目立った反射波は発生しないので、検出は容易である。体表からの反射波Sが検出されたとき、これに基づき重み付け関数Wを設定する。重み付け関数Wは、図12(b)に一点鎖線で示されるように、体表からの反射波Sが検出された後、所定時間経過した後、0から1まで立ち上がり、その後「1」に維持される関数である。また、体表と踵骨表面の間隔は、経験的に知られているので、重み付け関数Wは、体表による反射波のピークを排除し、踵骨表面による反射波のピークはそのまま維持されるように設定されている。図12(a)に示される受信信号に、重み付け関数Wを乗じた信号波形が図12(b)に実線で表されている。図12(b)には、破線で、重み付け処理を行う前の受信信号も示されている。この重み付け処理により、体表からの反射波を排除することができる。
【0023】
体表からの反射波を除去した受診信号に基づき、輝度変調データを作成する(輝度変調データ作成部78b)。すなわち、受信信号の電圧値に基づき、超音波振動子からの距離(深度)ごとの輝度値が算出される。超音波振動子34A,34Bの二次元走査により得た測定点ごとの輝度変調データから、踵骨の三次元モデルを形成する(三次元モデル形成部78c)。このとき、第1の側の反射波情報76aに基づく輝度変調データから、踵骨の第1超音波振動子34A側の半分の三次元モデルを得、また第2の側の反射波情報76bに基づく輝度変調データから、第2超音波振動子34B側の半分の三次元モデルを得る。つまり、二つの超音波振動子34A,34Bの中間点を境に、それぞれ側で対応する超音波振動子で得た輝度変調データを作成し、これらを合体させることにより、踵骨全体の三次元モデルを得る。この合体に際しては、二つの超音波振動子34A,34Bの位置関係に係る情報が必要であり、これはあらかじめ、例えば格納部76に格納されている。この超音波骨評価装置10においては、二つの超音波振動子34A,34Bは、コの字形の支持フレーム54に固定されており、走査の際も平行に移動するので、その距離は常に一定に保たれる。よって、この超音波骨評価装置10において、超音波振動子の位置関係に係る情報は、二つの超音波振動子の間隔そのものである。輝度変調データは、対応する超音波振動子からの距離情報(深度)を有しているので、二つの超音波振動子の間隔から、第1の側と第2の側の輝度変調データの相対的な位置関係が決定でき、三次元モデルが形成できる。
【0024】
上記の三次元モデルには、踵骨表面のデータが含まれ、これに基づき踵骨表面の立体形状を得ることができる。骨表面は、超音波を強く反射するので、輝度変調データにおいては、輝度値が高くなる。また、図12に示される受信波形においては、体表の次に表れるピークが骨表面に該当する。これらのいずれか特徴を用いることにより、踵骨表面の立体形状を抽出することができる。
【0025】
この立体形状を、例えば図13に示されるように、三次元表示(奥行き感のある二次元表示)にて表示部82に表示する。なお、この立体形状は、超音波振動子の走査領域Rで踵骨を切り出したような形状であり、図13の上面、左側面の平面は、この切り出しの断面が表れたものであり、踵骨の表面ではない。
【0026】
さらに、演算部78では、前述のようにして得られた踵骨の立体形状から踵骨の所定部分の体積を算出する(体積算出部78d)。体積算出の対象となる範囲は、踵骨の輪郭形状の特徴的な部分に基づき決定することができる。例えば、図14に示す体積算出範囲Gを決定し、この範囲内の踵骨の体積を演算する。体積算出範囲Gの決定は、以下のように行うことができる。踵の先(図においては下方)に相当する踵骨の略円弧形状の部分Hを円弧で近似し、この円弧の中心Pから上下左右方向それぞれに所定距離離れた4平面を定める。これらの4平面が図14中の体積算出範囲Gの四角形の各辺に対応する。これらの4平面と、図14において紙面を貫く方向の手前側の踵骨表面、奥側の踵骨表面で囲まれた部分の体積を算出する。
【0027】
この体積算出範囲G内の各測定点ごとに、その測定点おける超音波の減衰量を算出された体積で割り、さらに範囲G内の各測定点の算出された値を積算する。この値は、体積当たりの超音波減衰量となり、骨密度と相関がある。
【0028】
測定の流れの概要を以下に記す。被検者の足を足置き台14の上に置き、操作者が操作パネル部80より測定開始を指示する。制御部72は、移動機構52を制御して、決められた走査線上で踵部分の走査測定を始める。制御部72は、各測定点において、まず第1超音波振動子34Aにより超音波の送受信を行うように送受信切替回路66の設定を行い、送信回路70および受信回路68により送受信を行って、受信信号を得る。受信された信号を受信データ処理部74を介して格納部76に送り、ここに第1の側の反射波情報76aとして格納する。同一の測定点において、制御部72は、第2超音波振動子34Bにより超音波の送受信を行うように送受信切替回路66の設定を行い、送信回路70および受信回路68により送受信を行って、受信信号を得る。受信された信号を受信データ処理部74を介して格納部76に送り、ここに第2の側の反射波情報76bとして格納する。これを各測定点で繰り返す。また、各測定点において、一方の超音波振動子にて超音波を送信し、踵を透過した超音波を他方の超音波振動子で受信し、得られた受信信号を取得することもできる。走査領域の全範囲において、情報の取得を終了したら、被検者の足を足置き台14から降ろすことができる。
【0029】
取得された受信信号から、体表面における反射を除去し、踵骨等の骨の部分に関する情報を抽出する。この抽出は、受信信号に対して重み付け処理を行うことにより実行される。この重み付け処理がされた後の信号に基づき、所定の平面内の断面画像を作成する。この平面は、超音波振動子の走査方向に合わせることが可能である。図10に示すように、水平方向の走査を、高さを変えて繰り返す場合であれば、断面を水平面とすることが好ましい。この断面画像を積層すれば、三次元モデルが得られる。この情報に基づきボリュームレンダリング等の方法により、三次元画像を作成することができる。
【0030】
上述の実施形態においては、線状の超音波ビームを形成する超音波振動子を縦横に移動させて二次元走査を行ったが、リニア形、コンベックス形などの一次元アレイ超音波振動子を用い、第1の方向には電子走査を行い、第1の方向に直交する第2の方向に振動子を機械的に移動させて走査を行って、二次元走査を実現することもできる。また、二次元アレイ超音波振動子を用いて、電子走査により二次元走査を行うこともできる。
【0031】
また、本実施形態では、対をなす超音波振動子は、同一直線上に向かい合わせて配置されているが、測定対象物の対向する側面に対し、それぞれ超音波を操作するように配置されることができる。このとき、超音波振動子の相対的な位置関係が定められている必要がある。
【符号の説明】
【0032】
10 超音波骨評価装置、16,16A,16B 振動子ユニット、34,34A,34B 超音波振動子、66 送受信切替回路(送受信部)、68 受信回路(送受信部)、70 送信回路(送受信部)、72 制御部(送受信部)、74 受信データ処理部(送受信部)、78 演算部(三次元反射波情報提供手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物を挟んで配置され、二次元走査可能な第1および第2超音波振動子と、
第1および第2超音波振動子に対応して設けられ、これらの超音波振動子を制御する送受信部と、
第1超音波振動子により取得された測定対象物の第1超音波振動子側の反射波情報と、第2超音波振動子により取得された測定対象物の第2超音波振動子側の反射波情報と、第1超音波振動子と第2超音波振動子の相対位置とに基づき、測定対象物の三次元モデルを形成する三次元モデル形成手段と、
を有する、超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置であって、前記三次元モデルは測定対象物表面の立体形状である、超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−40312(P2012−40312A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186364(P2010−186364)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】