説明

距離測定装置および方法並びにプログラム

【課題】精度よく対応点を探索するための相関ウィンドウのサイズを、簡易に算出する。
【解決手段】ウィンドウサイズ設定部32が、基準画像上の対象点について、基準画像上の所定方向に延在する、対象点を中心とする探索画素列であって、探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値が所定輝度間隔を超える探索画素列を設定し、探索画素列の画素数を、対象点に対する参照画像上の対応点を探索する際に使用される、基準画像および参照画像の相関を算出する基準となる相関ウィンドウのサイズに設定する。ステレオマッチング部30が、相関ウィンドウ内の各画素と、参照画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素との相関を算出することにより対応点を探索する。距離画像生成部31が、探索した対応点に基づいて距離を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の立体形状を表す距離画像を生成する距離測定装置および方法並びに距離測定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
異なる位置に設けられた2台以上のカメラを用いて被写体を撮像し、これにより取得された複数の画像(基準カメラによる基準画像および参照カメラによる参照画像)の間で対応する画素である対応点を探索し(ステレオマッチング)、互いに対応する基準画像上の画素と、参照画像上の画素との位置の差(視差)に三角測量の原理を適用することにより、基準カメラまたは参照カメラから当該画素に対応する被写体上の点までの距離を計測して、被写体の立体形状を表す距離画像を生成する手法が提案されている。
【0003】
ここで、ステレオマッチングを行う際には、図3に示すように、基準画像G1上のある画素Qaに写像される実空間上の点は、点Q1,Q2,Q3…というように点O1からの視線上に連続的に複数存在するため、実空間上の点Q1 ,Q2 ,Q3… 等の写像である直線(エピポーラ線)上に、画素Qaに対応する参照画像G2上の画素Qa′が存在することに基づいて対応点が探索される。なお、図3において点O1は基準カメラの視点、点O2は参照カメラの視点である。ここで、視点とは各カメラの光学系の焦点である。このようにステレオマッチングを行う際には、基準画像上に対応点探索の対象となる画素Qaを含む相関ウィンドウWを設定し、参照画像上において基準画像に設定したものと同一の相関ウィンドウWをエピポーラ線上に沿って移動し、移動位置毎に各画像上の相関ウィンドウ内の各画素についての相関を算出し、参照画像G2上における相関が最大となる相関ウィンドウの中央の位置にある画素を、画素Qaの対応点として求めている。
【0004】
このように対応点を探索する際には、適切なサイズの相関ウィンドウを用いることにより対応点の探索精度が向上する。このため、基準画像と参照画像との類似度を表すエネルギー関数の期待値と、基準画像上の画素と参照画像上の画素との視差の確率から定められるエントロピーとから信頼度パラメータを算出し、信頼度パラメータに基づいて相関ウィンドウのサイズを決定する手法が提案されている(特許文献1参照)。また、基準画像および参照画像において2つの輝度レベルを設定し、2つの輝度レベルの間にある画像群を対応点探索のための比較領域とする手法が提案されている(特許文献2参照)。また、時系列データを対象として対応点探索のための相関を算出するに際し、相関が悪化した場合に、相関ウィンドウのサイズを大きくする手法が提案されている(特許文献3参照)。さらに、相関ウィンドウに含まれる画素毎の視差のばらつきを示す評価関数を作成し、相関ウィンドウのサイズを変化させながら評価関数の値を算出し、算出された値を最小とするサイズの相関ウィンドウを用いる手法も提案されている(非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−256613号公報
【特許文献2】特開2000−28354号公報
【特許文献3】特開平11−120351号公報
【非特許文献1】T.Kanade and M.Okumtomi, "A stereo Matching Algorithm with an Adaptive Window: Theory and Experiment", Proc.of the 1991 IEEE Intl.Conf. on Robotics and Automation, 1991, pp.1088-1095
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された手法では、信頼度パラメータを最大化するための条件を算出することが難しく、演算量が膨大なものとなる。また、基準画像および参照画像において、輝度が等しい領域が必ずしも視差に対応する領域とはならないため、特許文献2に記載された手法では距離画像を精度よく算出することができない。また、特許文献3に記載された手法においては時系列データを対象としているため、静止画像を扱う場合には適用することができない。さらに、非特許文献1に記載された手法においては、評価関数を各相関ウィンドウのサイズ毎に算出する必要があるため、演算量が膨大なものとなる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、精度よく対応点を探索するための相関ウィンドウのサイズを、簡易に算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による距離測定装置は、被写体を撮像することにより取得された、該被写体上の着目点までの距離を算出するための基準画像、および該基準画像を取得した位置とは異なる位置から前記被写体を撮像することにより取得された、前記距離を算出するための少なくとも1つの参照画像の入力を受け付ける入力手段と、
前記基準画像上の着目点が投影された対象点について、該基準画像上の所定方向に延在する、該対象点を中心とする探索画素列であって、該探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値が所定輝度間隔を超える探索画素列を設定し、該探索画素列の画素数を、前記対象点に対する前記参照画像上の対応点を探索する際に使用される、前記基準画像および前記参照画像の相関を算出する基準となる相関ウィンドウのサイズに設定するウィンドウサイズ設定手段と、
前記基準画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素と、前記参照画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素との相関を算出することにより、前記対応点を探索する対応点探索手段と、
該探索した対応点に基づいて前記距離を算出する距離算出手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
画像上における輝度変化が大きい場合、画像のエッジ成分であることが多いことから、相関ウィンドウのサイズが小さくても、精度よく相関を算出することができる。また、相関ウィンドウのサイズが小さいと相関算出のための演算量が少なくなる。一方、画像上における輝度変化が小さい場合、画像上の平坦部であることが多いため、相関ウィンドウのサイズを大きくしないと、精度よく相関を算出することができない。
【0009】
本発明による距離測定装置は、基準画像上の対象点について、基準画像上の所定方向に延在する、対象点を中心とする探索画素列であって、探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値が所定輝度間隔を超える探索画素列を設定し、探索画素列の画素数を、対象点に対する参照画像上の対応点を探索する際に使用される、基準画像および参照画像の相関を算出する基準となる相関ウィンドウのサイズに設定するようにしたものである。このため、基準画像上の所定方向において、輝度変化が小さい対象点ほど大きいサイズの相関ウィンドウが設定されることとなり、その結果、輝度の変化量に応じた適切なサイズの相関ウィンドウを設定することができる。また、相関ウィンドウ内の各画素の輝度が必ず所定輝度間隔を有するものとなるため、相関を精度よく算出することができる。したがって、簡易な演算により相関ウィンドウのサイズを適切に設定することができるとともに、対応点探索の精度を向上させることができる。
【0010】
なお、本発明による距離測定装置においては、前記ウィンドウサイズ設定手段を、初期サイズの前記探索画素列を設定し、該探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値を算出し、該差分値が前記所定輝度間隔を超えるか否かを判定し、該判定が否定された場合は前記探索画素列を前記所定方向にあらかじめ定められた画素数分大きくし、前記差分値が前記所定輝度間隔を超えるまで、前記探索画素列を大きくする処理を繰り返す手段としてもよい。
【0011】
また、本発明による距離測定装置においては、前記所定方向を、前記基準画像の各画素を前記参照画像に写像することにより得られるエピポーラ線が延在する方向に対応する方向としてもよい。
【0012】
これにより、対応点を探索する方向における輝度の変化を反映させて相関ウィンドウのサイズを設定することができるため、対応点探索の精度をより向上させることができる。
【0013】
また、本発明による距離測定装置においては、前記ウィンドウサイズ設定手段を、前記基準画像における輝度のばらつきに応じて、前記所定輝度間隔を設定する手段としてもよい。
【0014】
これにより、基準画像の輝度のばらつきの影響を相関ウィンドウのサイズの設定の処理から除去することができるため、基準画像の輝度のばらつきに影響されることなく、精度よく対応点を探索可能なサイズの相関ウィンドウを設定することができる。
【0015】
また、本発明による距離測定装置においては、前記ウィンドウサイズ設定手段を、前記対象点の輝度が低いほど前記所定輝度間隔を小さくするように設定する手段としてもよい。
【0016】
これにより、光ショットノイズのように高い輝度において変動レベルが異なるばらつきの影響を、相関ウィンドウのサイズの設定の処理から除去することができるため、精度よく対応点を探索可能なサイズの相関ウィンドウを設定することができる。
【0017】
また、本発明による距離測定装置においては、前記対応点探索手段を、前記探索された対応点が誤対応点であるか否かを判定し、誤対応点であると判定された画素については、前記相関ウィンドウのサイズを大きくして再度前記対応点の探索を行う手段としてもよい。
【0018】
これにより、演算量は多くなるものの、対応点探索の精度を向上させることができる。
【0019】
また、本発明による距離測定装置においては、前記基準画像の全画素について前記距離を算出するよう前記ウィンドウサイズ設定手段、前記対応点探索手段および前記距離算出手段を制御する制御手段と、
前記基準画像の各画素の距離を画素値とする距離画像を生成する距離画像生成手段とをさらに備えるものとしてもよい。
【0020】
これにより、精度良く距離画像を生成することができる。
【0021】
また、本発明による距離測定装置においては、前記対応点探索手段を、同一サイズの前記相関ウィンドウが設定された画素毎に、該相関ウィンドウのサイズが小さい順に、前記対応点をまとめて探索する手段としてもよい。
【0022】
これにより、対応点を効率よく探索することができる。
【0023】
また、この場合、前記対応点探索手段を、一のサイズの前記相関ウィンドウを用いて探索された対応点のうち、誤対応となる誤対応点が探索された前記基準画像の画素については、前記相関ウィンドウのサイズを一段階大きくし、該一段階大きいサイズの前記相関ウィンドウが設定された画素とともに前記対応点を探索する手段としてもよい。
【0024】
これにより、次のサイズの相関ウィンドウを用いた対応点の探索の際に、誤対応点について再度の対応点の探索がなされることから、誤対応点についてのみ単独で対応点の探索を行う必要がなくなるため、誤対応点について効率よく対応点を探索できるとともに、対応点探索の精度を向上させることができる。
【0025】
また、本発明による距離測定装置においては、前記ウィンドウサイズ設定手段を、前記相関ウィンドウのサイズを所定の複数のサイズ群に分類し、前記各画素の前記相関ウィンドウのサイズを、該各画素について設定した相関ウィンドウのサイズが分類された前記サイズ群における最大サイズに再設定する手段としてもよい。
【0026】
これにより、効率よく対応点を探索することができる。
【0027】
本発明による距離測定方法は、被写体を撮像することにより取得された、該被写体上の着目点までの距離を算出するための基準画像、および該基準画像を取得した位置とは異なる位置から前記被写体を撮像することにより取得された、前記距離を算出するための少なくとも1つの参照画像の入力を受け付け、
前記基準画像上の着目点が投影された対象点について、該基準画像上の所定方向に延在する、該対象点を中心とする探索画素列であって、該探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値が所定輝度間隔を超える探索画素列を設定し、該探索画素列の画素数を、前記対象点に対する前記参照画像上の対応点を探索する際に使用される、前記基準画像および前記参照画像の相関を算出する基準となる相関ウィンドウのサイズに設定し、
前記基準画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素と、前記参照画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素との相関を算出することにより、前記対応点を探索し、
該探索した対応点に基づいて前記距離を算出することを特徴とするものである。
【0028】
なお、本発明による距離測定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1の実施形態による距離測定装置を適用した立体撮像装置1の内部構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように第1の実施形態による立体撮像装置1は、2つの撮像部21A,21B、撮像制御部22、画像処理部23、圧縮/伸長処理部24、フレームメモリ25、メディア制御部26、内部メモリ27、および表示制御部28を備える。
【0030】
図2は撮像部21A,21Bの構成を示す図である。図2に示すように、撮像部21A,21Bは、レンズ10A,10B、絞り11A,11B、シャッタ12A,12B、CCD13A,13B、アナログフロントエンド(AFE)14A,14BおよびA/D変換部15A,15Bをそれぞれ備える。
【0031】
レンズ10A,10Bは、被写体に焦点を合わせるためのフォーカスレンズ、ズーム機能を実現するためのズームレンズ等の複数の機能別レンズにより構成され、不図示のレンズ駆動部によりその位置が調整される。なお、本実施形態においては焦点位置は固定されているものとする。
【0032】
絞り11A,11Bは、不図示の絞り駆動部により、AE処理により得られる絞り値データに基づいて絞り径の調整が行われる。なお、本実施形態においては絞り値データは固定されているものとする。
【0033】
シャッタ12A,12Bはメカニカルシャッタであり、不図示のシャッタ駆動部により、AE処理により得られるシャッタスピードに応じて駆動される。なお、本実施形態においてはシャッタスピードは固定されているものとする。
【0034】
CCD13A,13Bは、多数の受光素子を2次元的に配列した光電面を有しており、被写体光がこの光電面に結像して光電変換されてアナログ撮像信号が取得される。また、CCD13A,13Bの前面にはR,G,B各色のフィルタが規則的に配列されたカラーフィルタが配設されている。
【0035】
AFE14A,14Bは、CCD13A,13Bから出力されるアナログ撮像信号に対して、アナログ撮像信号のノイズを除去する処理、およびアナログ撮像信号のゲインを調節する処理(以下アナログ処理とする)を施す。
【0036】
A/D変換部15A,15Bは、AFE14A,14Bによりアナログ処理が施されたアナログ撮像信号をデジタル信号に変換する。なお、撮像部21A,21BのCCD13A,13Bにおいて取得され、デジタル信号に変換されることにより得られる画像データは、画素毎にR,G,Bの濃度値を持つRAWデータである。なお、撮像部21Aにより取得される画像データにより表される画像を基準画像G1、撮像部21Bにより取得される画像データにより表される画像を参照画像G2とする。
【0037】
撮像制御部22は、レリーズボタン押下後に撮像の制御を行う。
【0038】
なお、本実施形態においては、焦点位置、絞り値データおよびシャッタスピードは固定されているが、AF処理およびAE処理を行って、撮影の都度、焦点位置、絞り値データおよびシャッタスピードを設定するようにしてもよい。この場合、焦点位置、絞り値データおよびシャッタスピードについて基準となる値と、被写体までの距離および撮影環境の明るさに応じて異なる焦点位置、絞り値データおよびシャッタスピードを記録したテーブルを内部メモリ27に記憶しておき、AF処理およびAE処理により得られる被写体までの距離および撮影環境の明るさに応じてこのテーブルを参照して、焦点位置、絞り値データおよびシャッタスピードを設定するようにしてもよい。
【0039】
画像処理部23は、撮像部21A,21Bが取得したデジタルの画像データに対して、画像データの感度分布のばらつきおよび光学系の歪みを補正する補正処理を施すとともに、2つの画像を並行化するための並行化処理を施す。これらの処理後の基準画像および参照画像の参照符号を、それぞれG1a、G2aとする。画像処理部23は、さらに、基準画像G1aおよび参照画像G2aに対してホワイトバランスを調整する処理、階調補正、シャープネス補正、および色補正等の画像処理を施す。この画像処理により得られる基準画像および参照画像の参照符号を、それぞれG1b、G2bとする。
【0040】
圧縮/伸長処理部24は、画像処理部23によって処理が施された基準画像G1a,G1bおよび参照画像G2a,G2bを表す画像データ並びに後述するように生成された距離画像の画像データに対して、例えば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い、画像ファイルを生成する。この画像ファイルには、Exifフォーマット等に基づいて、撮影日時等の付帯情報が格納されたタグが付加される。
【0041】
フレームメモリ25は、撮像部2Aが取得した距離画像用のデータ、および撮像部21A,21Bが取得した基準画像G1および参照画像G2を表す画像データに対して、前述の画像処理部23が行う処理を含む各種処理を行う際に使用する作業用メモリである。
【0042】
メディア制御部26は、記録メディア29にアクセスして距離画像等の画像ファイルの書き込みと読み込みの制御を行う。
【0043】
内部メモリ27は、ステレオカメラ2において設定される各種定数、およびCPU33が実行するプログラム等を記憶する。
【0044】
表示制御部28は、フレームメモリ25に格納された画像データをモニタ20に表示させたり、記録メディア29に記録されている画像をモニタ20に表示させたりするためのものである。
【0045】
また、立体撮像装置1は、ステレオマッチング部30、距離画像生成部31およびウィンドウサイズ設定部32を備える。
【0046】
ステレオマッチング部30は、図3に示すように、基準画像G1上のある画素Qaに写像される実空間上の点は、点Q1,Q2,Q3…というように点O1からの視線上に連続的に複数存在するため、実空間上の点Q1 ,Q2 ,Q3… 等の写像である直線(エピポーラ線)上に、画素Qaに対応する参照画像R上の画素Qa′が存在するということに基づいて、基準画像G1と参照画像G2との対応点を参照画像G2上において探索する。なお、図3において点O1は基準カメラとなる撮像部21Aの視点、点O2は参照カメラとなる撮像部21Bの視点である。ここで、視点とは撮像部21A,21Bの光学系の焦点である。また、点O1,O2を結ぶ直線と、基準画像G1,G2との交点O3,O4がエピポールである。また、対応点の探索は、画像処理が施された基準画像G1bおよび参照画像G2bを用いてもよいが、並行化処理までの処理が施された基準画像G1aおよび参照画像G2aを用いることが好ましい。以降では、対応点の探索は基準画像G1aおよび参照画像G2aを用いるものとして説明する。
【0047】
具体的には、ステレオマッチング部30は、対応点の探索を行う際に、後述するウィンドウサイズ設定部32が設定したサイズの相関ウィンドウWをエピポーラ線に沿って移動し、各移動位置において基準画像G1aおよび参照画像G2aの相関ウィンドウW内の画素についての相関を算出し、参照画像G2a上の相関が最大となる位置における相関ウィンドウWの中心画素を、基準画像G1a上の画素Qaに対応する対応点とする。なお、相関を評価するための相関評価値としては、差分絶対値和および差分2乗和等を用いることができる。この場合、相関評価値が小さいほど、相関が大きいものとなる。
【0048】
図4は並行化処理後の基準画像および参照画像の位置関係を説明するための図である。図4に示すように、撮像部21A,21Bにおける基準画像G1aおよび参照画像G2aが得られる面となる画像面を、撮像部21A,21Bの光軸とそれぞれ直交し、光軸との交点を原点とする座標系(u,v)、(u′,v′)とする。ここで、並行化処理により撮像部21A,21Bの光軸は平行となり、2つの画像面は同一平面上にあり、画像面におけるu軸およびu′軸は同一直線上において同一方向を向くこととなる。また、並行化処理により、参照画像G2a上におけるエピポーラ線は、u′軸に平行なものとなるため、基準画像G1a上におけるu軸も、参照画像G2aのエピポーラ線の方向と一致することとなる。
【0049】
ここで、撮像部21A,21Bの焦点距離をf、基線長をbとする。なお、焦点距離fおよび基線長bはキャリブレーションパラメータとしてあらかじめ算出されて内部メモリ27に記憶されている。このとき、3次元空間上における位置(X,Y,Z)は、撮像部21Aの座標系を基準とすると、下記の式(1)〜(3)により表される。
【0050】
X=b・u/(u−u′) (1)
Y=b・v/(u−u′) (2)
Z=b・f/(u−u′) (3)
ここでu−u′は、撮像部21A,21Bの画像面上における投影点の横方向のずれ量(視差)である。また、式(3)より、奥行きである距離Zは視差に反比例することが分かる。
【0051】
距離画像生成部31は、ステレオマッチング部30が求めた対応点を用いて、上記式(1)〜(3)により、撮像部21A,21Bから被写体までの距離を算出し、算出された距離をCCD13B,13Cの各画素と対応づけて距離画像D1を生成する。なお、距離画像D1の各画素の画素値が撮像部21A,21Bから被写体までの距離を表すものとなる。生成された距離画像D1は記録メディア29に記録される。
【0052】
ウィンドウサイズ設定部32は、対応点を探索する際に使用する相関ウィンドウのサイズを設定する。図5は基準画像G1aのu軸方向のある1ラインにおける輝度のプロファイルを示す図である。本実施形態においては、基準画像G1a上の、参照画像G2aのエピポーラ線が延在する方向における輝度の変化に応じて、相関ウィンドウのサイズを設定するものである。ここで、基準画像G1aおよび参照画像G2aは並行化処理されているため、基準画像G1aにおける参照画像G2aのエピポーラ線が延在する方向に対応する方向はu軸方向となる。
【0053】
なお、並行化処理前においては、相関ウィンドウのサイズを定める方向は、画像中の画素が並ぶ方向とは一致しない。この場合、相関ウィンドウのサイズを定める方向は、基準画像G1上における対象画素とエピポールとを結ぶ直線の方向(エピポーラ線が延在する方向)となる。なお、対象画素とエピポールとを結ぶ直線の方向は、並行化処理により画像中の画素が並ぶ方向(基準画像G1a上におけるu軸方向)と一致するものとなる。
【0054】
ウィンドウサイズ設定部32は、図5に示すように、基準画像G1a上の相関ウィンドウのサイズを設定する対象画素u0について、対象画素u0に設定された相関ウィンドウのu軸方向に含まれる画素の輝度の最大値と最小値との差分値が、所定輝度間隔K0を超えるように、相関ウィンドウのサイズWを設定するものである。ここで、ウィンドウサイズ設定部32は、実際には基準画像の左端の画素から順に、相関ウィンドウのサイズを設定する。処理の詳細については後述する。
【0055】
なお、相関ウィンドウのサイズを定めるための所定輝度間隔については、あらかじめ定められた値を用いてもよいが、基準画像G1aの輝度のばらつきに応じて算出するようにしてもよい。ここで、理想的な感度分布補正が行われた場合、輝度変化のない画像の輝度のプロファイルは図6の破線に示すものとなるが、実際には撮像部21A,21Bの感度のばらつきにより、図6の実線に示すように輝度にばらつきが生じるものとなる。この輝度のばらつきを正規分布と見なした場合の標準偏差をσ1とする。
【0056】
一方、同一被写体を複数回撮影した場合、すべての画像の画素値が同一となるわけではなく、撮影毎に画素値のばらつき(繰り返しばらつき)が生じる。このばらつきを正規分布と見なした場合の標準偏差をσ2とする。
【0057】
感度分布を補正した後の基準画像G1aの各画素の画素値は、撮像部21A,21Bの感度のばらつきおよび繰り返しばらつきを原因とするばらつきを有する。このばらつきの標準偏差σ0は、σ0=√(σ12+σ22)により算出される。ウィンドウサイズ設定部32は、標準偏差σ0の3σ(=3×σ0)を相関ウィンドウのサイズを定めるための所定輝度間隔として使用する。
【0058】
CPU33は、レリーズボタンを含む入力部34からの信号に応じて立体撮像装置1の各部を制御する。
【0059】
データバス35は、立体撮像装置1を構成する各部およびCPU33に接続されており、立体撮像装置1における各種データおよび各種情報のやり取りを行う。
【0060】
次いで、第1の実施形態において行われる処理について説明する。図7は第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここではレリーズボタンが全押しされて撮像の指示が行われた以降の処理について説明する。
【0061】
レリーズボタン4が全押しされることによりCPU33が処理を開始し、撮像部21A,21BがCPU33からの指示により被写体を撮像し、さらに取得した画像データに画像処理部23が、補正処理、並行化処理および画像処理を施して基準画像G1a,G1bおよび参照画像G2a,G2bを取得する(ステップST1)。次いで、ウィンドウサイズ設定部32が、並行化処理後の基準画像G1aの各画素について相関ウィンドウのサイズを設定する(ステップST2)。
【0062】
図8は第1の実施形態における相関ウィンドウのサイズの設定処理のフローチャートである。ウィンドウサイズ設定部32は、まずウィンドウサイズを設定する対象画素を初期位置に設定する(ステップST11)。なお、初期位置は基準画像G1aの左上隅の画素とする。そして、ウィンドウサイズ設定部32は、相関ウィンドウのサイズを探索するための探索画素列の画素数Nを初期値の3に設定する(ステップST12)。この場合、探索画素列の半値幅は1となる。次いで、探索画素列が基準画像G1a内にあるか否かを判定する(ステップST13)。ステップST13が否定されると、相関ウィンドウのサイズを適切に設定することができないことから、対象画素の相関ウィンドウのサイズをなしに設定し(ステップST14)、後述するステップST19の処理に進む。ここで、相関ウィンドウのサイズをなしに設定するとは、対象画素について相関ウィンドウのサイズを設定せず、対応点を探索しないことを意味する。
【0063】
一方、ステップST13が肯定されると、探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値を算出し(ステップST15)、差分値が所定輝度間隔K0を超えるか否かを判定する(ステップST16)。ステップST16が否定されると探索画素列画素数Nに2を加算し(N=N+2;ステップST17)、ステップST13に戻り、ステップST13以降の処理を繰り返す。これにより、ステップST16が肯定されるまで、図9に示すように探索画素列の画素数Nが3,5,7…と2ずつ増加する。なお、半値幅は1ずつ増加することとなる。
【0064】
ステップST16が肯定されると、対象画素の相関ウィンドウのサイズWを現在の探索画素列の画素数Nに設定する(ステップST18)。ここで、図9に示すようにN=11のときに探索画素列内の画素の輝度の最大値と最小値との差分値が所定輝度間隔K0を超えた場合、相関ウィンドウのサイズWは11に設定される。
【0065】
次いで、ウィンドウサイズ設定部32は、対象画素が基準画像G1aの右端の画素であるか否かを判定し(ステップST19)、ステップST19が否定されると、対象画素を1画素右の画素に変更し(ステップST20)、ステップST12に戻り、ステップST12以降の処理を繰り返す。
【0066】
ステップST19が肯定されると、対象画素が基準画像G1aの最下行にあるか否かを判定する(ステップST21)。ステップST21が否定されると、対象画素を1ライン下のラインにおける左端の画素に設定し(ステップST22)、ステップST12に戻り、ステップST12以降の処理を繰り返す。ステップST21が肯定されると処理を終了する。
【0067】
図7に戻り、ステップST2に続いて、ステレオマッチング部30が、設定したサイズの相関ウィンドウに基づいて対応点を探索し(ステップST3)、距離画像生成部31が、探索した対応点に基づいて距離画像D1を生成する(ステップST4)。次いで、CPU33からの指示によりメディア制御部26が距離画像D1を記録メディア29に記録し(画像記録:ステップST5)、処理を終了する。
【0068】
このように、第1の実施形態によれば、基準画像G1a上のエピポーラ線が延在する方向に対応するu軸方向において、輝度変化が小さい画素ほど大きいサイズの相関ウィンドウが設定されるため、基準画像G1aの輝度の変化量に応じた適切なサイズの相関ウィンドウを設定することができる。また、相関ウィンドウ内の各画素の輝度が必ず所定輝度間隔を有するものとなる。したがって、簡易な演算により相関ウィンドウのサイズを適切に設定することができるとともに、対応点探索の精度を向上させることができる。
【0069】
また、エピポーラ線が延在する方向に対応する方向の輝度変化に応じて相関ウィンドウのサイズを設定しているため、参照画像G2aにおける対応点を探索する方向における輝度の変化を反映させて相関ウィンドウのサイズを設定することができ、その結果、対応点探索の精度をより向上させることができる。
【0070】
次いで、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、本発明の第2の実施形態による立体撮像装置は、本発明の第1の実施形態による立体撮像装置1と同一の構成を有し、ステレオマッチング部30およびウィンドウサイズ設定部32が行う処理のみが異なるため、ここでは構成についての詳細な説明は省略する。
【0071】
図10は第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャートである。レリーズボタン4が全押しされることによりCPU33が処理を開始し、撮像部21A,21BがCPU33からの指示により被写体を撮像し、さらに取得した画像データに画像処理部23が、補正処理、並行化処理および画像処理を施して基準画像G1a,G1bおよび参照画像G2a,G2bを取得する(ステップST31)。次いで、ウィンドウサイズ設定部32が、並行化処理後の基準画像G1aの各画素について相関ウィンドウのサイズを設定する(ステップST32)。なお、相関ウィンドウのサイズの設定の処理は上記第1の実施形態と同一であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0072】
次いで、ステレオマッチング部30が、内部メモリ27に記憶された相関ウィンドウのサイズリストを取り込む(ステップST33)。図11は相関ウィンドウのサイズリストを示す図である。図11に示すサイズリストT0は、実際に算出された相関ウィンドウのサイズと対応点探索に使用する相関ウィンドウのサイズとを対応づけたものであり、算出された相関ウィンドウのサイズを10または11画素単位で複数のサイズ群に分類し、使用する相関ウィンドウのサイズが、各サイズ群における最大サイズとなるように作成されている。すなわち、サイズリストT0は、算出された相関ウィンドウのサイズが1〜11画素の場合、使用する相関ウィンドウのサイズが11画素に、算出された相関ウィンドウのサイズが12〜21画素の場合、使用する相関ウィンドウのサイズが21画素となるように作成されている。
【0073】
ステレオマッチング部30は、サイズリストT0における最小となる相関ウィンドウのサイズ(対応点探索に使用するもの)を現在の相関ウィンドウのサイズに設定し(現在の相関ウィンドウのサイズ設定;ステップST34)、基準画像G1aにおいて現在の相関ウィンドウのサイズに対応するサイズ範囲の相関ウィンドウが設定された画素を、対応点探索対象の画素として抽出する(ステップST35)。そして、ステレオマッチング部30は、抽出された画素について、ステップST34において設定されたサイズの相関ウィンドウを用いて対応点を探索する(ステップST36)。
【0074】
ここで、ステレオマッチング部30は、参照画像G2aにおける相関が最大となる相関ウィンドウの中心画素を対応点として探索するが、対応点を探索したときの相関の最大値がそれほど大きくない場合、その相関に基づいて探索した対応点は、基準画像G1aの対象画素に対応するか否かが疑わしいものである。また、このような対応点を用いた場合、精度よく距離画像D1を算出することができないおそれがある。
【0075】
このため、ステレオマッチング部30は、相関が所定のしきい値Th1以下となるか否かを判定することにより、探索した対応点が誤対応点であるか否かの正誤判定を行う(ステップST37)。そして、誤対応と判定された基準画像G1a上の画素を抽出し(誤対応の画素抽出;ステップST38)、さらに、相関ウィンドウのサイズリストT0の「使用する相関ウィンドウのサイズ」に、現在の相関ウィンドウのサイズよりも大きいサイズがあるか否かを判定する(ステップST39)。
【0076】
ステップST39が肯定されると、現在の相関ウィンドウのサイズを1つ前の相関ウィンドウのサイズとして記憶するとともに、現在の相関ウィンドウのサイズを、相関ウィンドウのサイズリストT0における次に大きいサイズに設定する(相関ウィンドウのサイズ再設定:ステップST40)。そして、ステレオマッチング部30は、基準画像G1aにおいて現在の相関ウィンドウのサイズに対応するサイズ範囲の相関ウィンドウが設定された画素、およびステップST37の処理において誤対応と判定された画素を、対応点の探索対象の画素として抽出する(探索対象画素再抽出;ステップST41)。そして、ステップST36に戻り、ステップST36以降の処理を繰り返す。
【0077】
これにより、誤対応と判定された画素は、次に大きいサイズの相関ウィンドウが設定された画素に対する対応点探索の処理に含められることとなる。
【0078】
一方、ステップST39が否定された場合には、距離画像生成部31が、それまでに探索された対応点(誤対応点を除く)に基づいて距離画像D1を生成する(ステップST42)。そして、CPU33からの指示によりメディア制御部26が基準画像G1a、参照画像G2aおよび距離画像D1を記録メディア29に記録し(画像記録:ステップST43)、処理を終了する。
【0079】
このように、同一サイズの相関ウィンドウ毎に対応点を探索することにより、効率よく対応点を探索することができる。
【0080】
また、誤対応と判定された画素については、相関ウィンドウのサイズを大きくして再度の対応点の探索を行っているため、誤対応となる画素についてのみ単独で対応点の探索を行う必要がなくなり、その結果、誤対応となる画素について、効率よく対応点を探索できるとともに、対応点探索の精度を向上させることができる。
【0081】
なお、第2の実施形態においては、相関が所定のしきい値Th1以下となる画素を誤対応となる画素と判定しているが、対応する画素が並んでいる順序が基準画像G1aおよび参照画像G2a上において逆になっている画素、基準画像G1a上において、参照画像G2aの複数の画素に対応している画素、および視差が局所的にその周囲と大きく変動している画素を誤対応となる画素として用いるようにしてもよい。
【0082】
なお、上記第1および第2の実施形態においては、撮像部21A,21Bを備えた立体撮像装置1に本発明を適用しているが、本発明による距離測定装置をカメラと別体で設けてもよい。
【0083】
また、上記第1および第2の実施形態においては、距離画像D1のみを記録メディア29に記録しているが、基準画像G1bを距離画像D1とともに記録してもよく、基準画像G1bおよび参照画像G2bを距離画像D1とともに記録してもよい。また、基準画像G1aまたは基準画像G1aおよび参照画像G2aを距離画像D1とともに記録してもよく、さらには画像処理部23における処理前の基準画像G1または基準画像G1および参照画像G2を記録するようにしてもよい。
【0084】
また、上記第1および第2の実施形態においては、参照画像G2を取得するための撮像部を1つのみ設けているが、複数設けるようにし、複数の参照画像を取得して距離画像D1を生成するようにしてもよい。
【0085】
また、上記第1および第2の実施形態においては、輝度に関係なく所定輝度間隔K0を一定値としているが、一般的には輝度が大きいほど図12(a)に示すように輝度のばらつきが大きくなる。ここで、輝度と輝度のばらつきとの関係は、例えば図12(b)に示すように輝度の平方根に比例することとなる。したがって、輝度毎に輝度のばらつきを求め、輝度毎に異なる輝度間隔を設定するようにしてもよい。この場合、輝度が大きいほど、所定輝度間隔K0は、図12(c)に示すように輝度の平方根に比例して大きくなる。
【0086】
このように所定輝度間隔K0を変更することにより、光ショットノイズのように高い輝度において変動レベルが異なるばらつきの影響を相関ウィンドウのサイズの設定の処理から除去することができるため、より精度よく対応点を探索することができる。
【0087】
また、上記第1の実施形態においては、対応点を探索する際に、第2の実施形態と同様に対応点が誤対応であるか否かを判定し、誤対応であると判定された場合には、相関ウィンドウのサイズを設定されたサイズよりも大きくして、再度の対応点の探索を行うようにしてもよい。
【0088】
以上、本発明の実施形態について説明したが、コンピュータを、上記のステレオマッチング部30、距離画像生成部31およびウィンドウサイズ設定部32に対応する手段として機能させ、図7,8,10に示すような処理を行わせるプログラムも、本発明の実施形態の1つである。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本発明の実施形態の1つである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施形態による距離測定装置を適用した立体撮像装置の内部構成を示す概略ブロック図
【図2】撮像部の構成を示す図
【図3】ステレオマッチングを説明するための図
【図4】並行化処理後の基準画像および参照画像の位置関係を説明するための図
【図5】基準画像におけるu軸方向の輝度のプロファイルを示す図
【図6】輝度変化のない画像の輝度のプロファイルを示す図
【図7】第1の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図8】第1の実施形態における相関ウィンドウのサイズの設定処理のフローチャート
【図9】第1の実施形態における相関ウィンドウのサイズの設定処理を説明するための図
【図10】第2の実施形態において行われる処理を示すフローチャート
【図11】相関ウィンドウのサイズリストを示す図
【図12】基準輝度レベルの間隔の変更を説明するための図
【符号の説明】
【0090】
1 立体撮像装置
21A,21B 撮像部
30 ステレオマッチング部
31 距離測定部
32 ウィンドウサイズ設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像することにより取得された、該被写体上の着目点までの距離を算出するための基準画像、および該基準画像を取得した位置とは異なる位置から前記被写体を撮像することにより取得された、前記距離を算出するための少なくとも1つの参照画像の入力を受け付ける入力手段と、
前記基準画像上の着目点が投影された対象点について、該基準画像上の所定方向に延在する、該対象点を中心とする探索画素列であって、該探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値が所定輝度間隔を超える探索画素列を設定し、該探索画素列の画素数を、前記対象点に対する前記参照画像上の対応点を探索する際に使用される、前記基準画像および前記参照画像の相関を算出する基準となる相関ウィンドウのサイズに設定するウィンドウサイズ設定手段と、
前記基準画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素と、前記参照画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素との相関を算出することにより、前記対応点を探索する対応点探索手段と、
該探索した対応点に基づいて前記距離を算出する距離算出手段とを備えたことを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
前記ウィンドウサイズ設定手段は、初期サイズの前記探索画素列を設定し、該探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値を算出し、該差分値が前記所定輝度間隔を超えるか否かを判定し、該判定が否定された場合は前記探索画素列を前記所定方向にあらかじめ定められた画素数分大きくし、前記差分値が前記所定輝度間隔を超えるまで、前記探索画素列を大きくする処理を繰り返す手段であることを特徴とする請求項1記載の距離測定装置。
【請求項3】
前記所定方向が、前記基準画像の各画素を前記参照画像に写像することにより得られるエピポーラ線が延在する方向に対応する方向であることを特徴とする請求項1または2記載の距離測定装置。
【請求項4】
前記ウィンドウサイズ設定手段は、前記基準画像における輝度のばらつきに応じて、前記所定輝度間隔を設定する手段であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の距離測定装置。
【請求項5】
前記ウィンドウサイズ設定手段は、前記対象点の輝度が低いほど前記所定輝度間隔を小さくするように設定する手段であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の距離測定装置。
【請求項6】
前記対応点探索手段は、前記探索された対応点が誤対応点であるか否かを判定し、誤対応点であると判定された画素については、前記相関ウィンドウのサイズを大きくして再度前記対応点の探索を行う手段であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の距離測定装置。
【請求項7】
前記基準画像の全画素について前記距離を算出するよう前記ウィンドウサイズ設定手段、前記対応点探索手段および前記距離算出手段を制御する制御手段と、
前記基準画像の各画素の距離を画素値とする距離画像を生成する距離画像生成手段とを備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の距離測定装置。
【請求項8】
前記対応点探索手段は、同一サイズの前記相関ウィンドウが設定された画素毎に、該相関ウィンドウのサイズが小さい順に、前記対応点をまとめて探索する手段であることを特徴とする請求項7記載の距離測定装置。
【請求項9】
前記対応点探索手段は、一のサイズの前記相関ウィンドウを用いて探索された対応点のうち、誤対応となる誤対応点が探索された前記基準画像の画素については、前記相関ウィンドウのサイズを一段階大きくし、該一段階大きいサイズの前記相関ウィンドウが設定された画素とともに前記対応点を探索する手段であることを特徴とする請求項8記載の距離測定装置。
【請求項10】
前記ウィンドウサイズ設定手段は、前記相関ウィンドウのサイズを所定の複数のサイズ群に分類し、前記各画素の前記相関ウィンドウのサイズを、該各画素について設定した相関ウィンドウのサイズが分類された前記サイズ群における最大サイズに再設定する手段であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項記載の距離測定装置。
【請求項11】
被写体を撮像することにより取得された、該被写体上の着目点までの距離を算出するための基準画像、および該基準画像を取得した位置とは異なる位置から前記被写体を撮像することにより取得された、前記距離を算出するための少なくとも1つの参照画像の入力を受け付け、
前記基準画像上の着目点が投影された対象点について、該基準画像上の所定方向に延在する、該対象点を中心とする探索画素列であって、該探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値が所定輝度間隔を超える探索画素列を設定し、該探索画素列の画素数を、前記対象点に対する前記参照画像上の対応点を探索する際に使用される、前記基準画像および前記参照画像の相関を算出する基準となる相関ウィンドウのサイズに設定し、
前記基準画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素と、前記参照画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素との相関を算出することにより、前記対応点を探索し、
該探索した対応点に基づいて前記距離を算出することを特徴とする距離測定方法。
【請求項12】
被写体を撮像することにより取得された、該被写体上の着目点までの距離を算出するための基準画像、および該基準画像を取得した位置とは異なる位置から前記被写体を撮像することにより取得された、前記距離を算出するための少なくとも1つの参照画像の入力を受け付ける手順と、
前記基準画像上の着目点が投影された対象点について、該基準画像上の所定方向に延在する、該対象点を中心とする探索画素列であって、該探索画素列内の画素における輝度値の最大値と最小値との差分値が所定輝度間隔を超える探索画素列を設定し、該探索画素列の画素数を、前記対象点に対する前記参照画像上の対応点を探索する際に使用される、前記基準画像および前記参照画像の相関を算出する基準となる相関ウィンドウのサイズに設定する手順と、
前記基準画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素と、前記参照画像上に設定された相関ウィンドウ内の各画素との相関を算出することにより、前記対応点を探索する手順と、
該探索した対応点に基づいて前記距離を算出する手順とを有することを特徴とする距離測定方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−293971(P2009−293971A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145397(P2008−145397)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【復代理人】
【識別番号】100104189
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 勲将
【Fターム(参考)】