説明

距離測定装置及び距離測定装置監視システム

【課題】トランスポンダの動作の検証を容易にし、動作検証の効率を向上させる。
【解決手段】ツインパルスを含む質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダ12と、トランスポンダに質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信し、トランスポンダから疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、トランスポンダの動作を監視する監視処理部13とを有し、監視処理部13は、疑似質問信号を生成する際、ツインパルスのパルス間隔を調整するパルス間隔調整手段131cと、パルス間隔が所定値の疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信しない又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力するとともに、パルス間隔が所定値以外の疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信したときアラーム信号を受信したときアラーム信号を出力する監視手段134bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上局に設置され、地上との距離を測定する航空機から受信する信号に対して応答信号を送信する距離測定装置及び距離測定装置監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機と地上との距離の測定に、距離測定装置(DME:Distance Measuring Equipment)が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3に示すように、距離測定装置1aは、地上に設置され、航空機2に設置されるインタロゲータ20から送信される質問信号を受信する。また、距離測定装置1aは、受信した質問信号に応答する応答信号を航空機2のインタロゲータ20に送信する。航空機2では、この信号の送受信に要する時間を利用して、航空機2と地上の基準位置(例えば、距離測定装置1aの設置位置)との距離を測定することができる。
【0004】
距離測定装置1aは、図4に示すように、航空機2から受信する質問信号に対して応答信号を送信するトランスポンダ12(12a,12b)を備えている。このトランスポンダ12は、図5に示すように、航空機2(インタロゲータ20)から送信された質問信号P1を受信すると、所定時間Td経過後に、質問信号P1に応答して応答信号P2を送信する。航空機2は、距離測定装置1a(トランスポンダ12)から送信された応答信号P2を受信すると、質問信号P1の送信から応答信号P2の受信に要した時間Tを利用して、航空機2の位置を測定する。
【0005】
航空機2が送受信する信号P1,P2の形式は予め規定されており、トランスポンダ12は、規定の形式に適合する質問信号P1を受信した場合に、応答信号P2を送信する。トランスポンダ12が送受信する質問信号P1や応答信号P2は、ツインパルスであり、図5に示す例では、これらの信号P1,P2に含まれるパルスのパルス幅は、3.5μs、パルス間隔は12μsである。
【0006】
また、距離測定装置1aは、図4に示すように、監視処理部13及びスイッチ回路14を備えている。
【0007】
監視処理部13は、トランスポンダ12に質問信号P1と同一形式の擬似質問信号を出力する。この擬似質問信号は、応答信号P2と同一形式であるため、トランスポンダ12は、スイッチ回路14を介して監視処理部13で生成された擬似質問信号を入力しても、この擬似質問信号を実際の質問信号P1であるか擬似質問信号であるかを区別することなく、擬似質問信号に対して応答信号P2を生成する。
【0008】
スイッチ回路14は、航空機2から受信した質問信号P1に応答して生成された応答信号P2を入力すると、入力した応答信号P2をアンテナ11を介して航空機2に送信する。一方、スイッチ回路14は、監視処理部13から入力した擬似質問信号に応答して生成された応答信号P2を入力すると、入力した応答信号P2を監視処理部13に出力する。
【0009】
監視処理部13は、スイッチ回路14から擬似質問信号に応答する応答信号P2を入力すると、この応答信号P2の入力の有無や入力タイミングを利用して、トランスポンダ12が受信する質問信号P1に対して正常に応答信号P2を送信しているか否かを監視する。
【0010】
距離測定装置1では、形式の他、処理対象とする質問信号P1および応答信号P2の周波数や、送信レート等も規定されており、規定の条件に適合する質問信号P1を受信した際に、応答信号P2を送信する。このような、距離測定装置1aのトランスポンダ12の処理とする信号の規定は、統一化されている。また、距離測定装置1の動作の信頼性を向上するため、トランスポンダ12の動作には一定の信頼性が要求されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0011】
距離測定装置1aでは、トランスポンダ12が要求される信頼性を満たして動作しているか否かを判定するため、トランスポンダ12の動作検証が行われる。このようなトランスポンダ12の動作検証には、専用の治具や装置を使用する必要であった。そのため、トランスポンダ12の動作検証に多大な時間やコストが必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008-286683号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】“Minimum performance Specification for Ground Distance-Measuring Equipment(DME) ED-57”,EUROCAE,1986年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したように、従来の距離測定装置1aでは、トランスポンダの動作検証には、専用の治具や装置が必要であって、多大な時間やコストが必要であった。
【0015】
本発明は、トランスポンダの動作の検証を容易にし、動作検証の効率を向上させることのできる距離測定装置及び距離測定装置監視システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、所定間隔の2つのパルスによって構成されるツインパルスを含む質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、トランスポンダに質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、トランスポンダから疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、監視処理部は、疑似質問信号を生成する際、ツインパルスに含まれる2つのパルスの間隔を調整するパルス間隔調整手段と、疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信しないとき又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備える。
【0017】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、所定の信号レベルで所定形式の質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、トランスポンダに質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、トランスポンダから疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、監視処理部は、疑似質問信号を生成する際、疑似質問信号の信号レベルを調整する信号レベル調整手段と、疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信しないとき又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備える。
【0018】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、所定の形式のパルスを含む質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、トランスポンダに質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、トランスポンダから疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、監視処理部は、疑似質問信号を生成する際、パルスの立ち上がりを調整する立ち上がり調整手段と、疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信しないとき又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備える。
【0019】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、所定形式の質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、トランスポンダに質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、トランスポンダから疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、監視処理部は、疑似質問信号を生成する際、疑似質問信号をマルチパス状態にするパルスを生成するマルチパス生成手段と、疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信しないとき又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備える。
【0020】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、所定形式の質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、トランスポンダに質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、トランスポンダから疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、監視処理部は、疑似質問信号を生成する際、ノイズパルスを生成するノイズ生成手段と、所定のノイズを合成した疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信しない又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備える。
【0021】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、トランスポンダに質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、トランスポンダから疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、監視処理部は、疑似質問信号を送信する送信レートを調整する送信レート調整手段と、所定の送信レートで疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信しないときアラーム信号を出力する監視手段とを備える。
【0022】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、所定周波数の質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、トランスポンダに質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、トランスポンダから疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、監視処理部は、疑似質問信号を生成する際、疑似質問信号の周波数を調整する周波数調整手段と、所定の周波数の疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信しない又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備える。
【0023】
本発明の特徴に係る距離測定装置は、質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、トランスポンダに質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、トランスポンダから疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、監視処理部は、疑似質問信号を送信する際、トランスポンダにおける負荷を調整する負荷調整手段と、所定の負荷で疑似質問信号を送信後にトランスポンダから応答信号を受信しないときアラーム信号を出力する監視手段とを備える。
【0024】
本発明の特徴に係る距離測定装置監視システムは、請求項1乃至8のいずれか1に記載の距離測定装置と、距離測定装置がトランスポンダに規定形式、規定レベル及び規定送信レートの擬似質問信号を送信後に距離測定装置からアラーム信号を入力するとトランスポンダは正常であると判定し、距離測定装置がトランスポンダに形式、レベル又は送信レートが規定以外の擬似質問信号を送信後に距離測定装置からアラーム信号を入力するとトランスポンダは異常であると判定する検査用装置とを備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、トランスポンダの動作検証を容易にし、動作検証の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置及び距離測定装置監視システムの構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】図1の距離測定装置の監視処理部の構成を説明するブロック図である。
【図3】一般的な航空機と距離測定装置との関係について説明する概略図である。
【図4】図3の距離測定装置の構成を説明する機能ブロック図である。
【図5】図3の航空機と距離測定装置とで送受信する信号について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、図面を用いて本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置について説明する。本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置も、図3を用いて説明した従来の距離測定装置1aと同様に地上局に設置され、航空機2からの信号に応答して信号を送信する。以下の説明では、従来と同一の構成には、同一の符号を付して説明する。
【0028】
図1に示すように、本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置1は、アンテナ11と、アンテナ11を介して信号の送受信を実行するトランスポンダ12(12a,12b)と、トランスポンダ12の動作を監視(モニタ)する監視処理部13と、アンテナ11、トランスポンダ12及び監視処理部13間の信号の入出力を切り替えるスイッチ回路14と、トランスポンダ12及び監視処理部13の動作を制御する制御部15とを備えている。また、距離測定装置1は、オペレータ端末16と接続され、距離測定装置監視システムを構成する。
【0029】
第1トランスポンダ12aは、図1に示すように、信号を受信する受信手段121と、受信信号を解析して応答信号を生成する応答手段122と、応答手段122から入力する応答信号を送信する123とを有している。
【0030】
受信手段121は、アンテナ11で受信した受信信号を、スイッチ回路14を介して受信し、応答手段122に出力する。
【0031】
応答手段122は、受信手段121から入力した受信信号を解析して航空機2からDME1に送信された質問信号であるか否かを判定する。受信信号がDME1に送信された質問信号であると判定した場合、応答手段122は、質問信号に応答する送信信号を生成し、送信手段123に出力する。
【0032】
送信手段123は、応答手段122から入力した応答信号を、スイッチ回路14及びアンテナ11を介して送信する。
【0033】
第2トランスポンダ12bは、第1トランスポンダ12aと同様に、受信手段121、応答手段122及び送信手段123を有し、第1トランスポンダ12aと同一の処理を実行するが、ここでは図示を用いた説明を省略する。
【0034】
距離測定装置1では、複数のトランスポンダ12a,12bを備えていることで、航空機2からの質問信号に対して確実に応答信号を送信することができる。例えば、第1トランスポンダ12aに異常が発生した場合でも、第2トランスポンダ12bが正常に運転していれば、距離測定装置1aは、正常に運転することができる。通常は、第1トランスポンダ12a又は第2トランスポンダ12bの一方のみが運転中であり、他方は待機中であって、運転中のトランスポンダ12に異常が発見された場合に待機中のトランスポンダが運転中に切り替えられる。
【0035】
監視処理部13は、図1に示すように、トランスポンダ12の動作の監視用の信号として擬似質問信号を生成する信号生成手段131と、入力した擬似質問信号をスイッチ回路14及び入力手段133に出力する出力手段132と、応答信号や擬似質問信号等の信号を入力し入力手段133と、入力する信号に基づいてトランスポンダ12の動作状態を監視(モニタ)するモニタ手段134とを有している。
【0036】
信号生成手段131は、擬似質問信号を生成して出力手段132に出力する。出力手段132は、信号生成手段131から擬似質問信号を入力すると、入力した擬似質問信号をD/A変換器132aでディジタル信号からアナログ信号に変換してスイッチ回路14及び入力手段133に入力した擬似質問信号を出力する。信号生成手段131が生成する「擬似質問信号」は、航空機2のインタロゲータ20が距離測定の為に距離測定装置1に送信する信号と同一形式のツインパルスの信号である。
【0037】
入力手段133は、スイッチ回路14から入力する応答信号及び出力手段132から入力する擬似質問信号を、A/D変換器133aでアナログ信号からディジタル信号に変換する。また、入力手段133は、ディジタル信号に変換された応答信号やディジタル信号に変換された擬似質問信号をモニタ手段134に出力する。モニタ手段134は、出力手段132による擬似質問信号の出力タイミング及び入力手段133の応答信号の入力のタイミングや応答信号の入力の有無等に基づいて、トランスポンダ12の動作を監視し、監視結果をオペレータが操作するオペレータ端末16に出力する。
【0038】
上述したように、監視処理部13がトランスポンダ12に出力する擬似質問信号は、航空機2のインタロゲータ20が送信する信号と同一の形式である。したがって、トランスポンダ12は、擬似質問信号を入力すると、インタロゲータ20から通常の信号を受信した場合と同様に処理する。すなわち、トランスポンダ12の応答手段122は、擬似質問信号を入力すると、入力した擬似質問信号に応答する応答信号を生成する。また、送信手段123は、応答手段122からで生成された擬似質問信号をスイッチ回路14を介して監視処理部13に出力する。
【0039】
スイッチ回路14は、アンテナ11から入力する受信信号や、出力手段132から入力する擬似質問信号を受信手段121に出力する。また、スイッチ回路14は、送信手段123から通常の質問信号に応答する応答信号を入力すると、入力した応答信号をアンテナ11を介して航空機2に送信し、擬似質問信号に応答する応答信号を入力すると、入力した応答信号を入力手段133に出力する。
【0040】
続いて、図2を用いて、監視処理部13の構成について具体的に説明する。監視処理部13では、信号生成手段131、出力手段132及びモニタ手段134でトランスポンダ12の動作を監視するための手段を有している。これらの手段によって、距離測定装置1が、距離測定装置に要求されている性能を満たしているかを監視することができる。
【0041】
例えば、モニタ手段134では、入力する信号から規定のパルス間隔のペアパルスを応答信号P2として検出するパルスペア検出手段134a、出力手段132による擬似質問信号の出力タイミングと応答信号P2の入力タイミングとを比較し、応答信号P2が遅延している場合にアラーム信号を出力する遅延監視手段134b、出力手段132による擬似質問信号の出力回数に対する応答信号P2の入力回数から求めるトランスポンダ12の応答効率を求め、応答効率が低い場合にアラームを出力する応答効率監視手段134c、及び、送信レートが高い場合や低い場合にアラーム信号を出力する送信レート監視手段134dを備えている。
【0042】
オペレータ端末16は、モニタ手段134から出力されるアラーム信号を入力すると、トランスポンダ12の異常を検知して対応する。
【0043】
[パルス間隔調整]
距離測定装置1が受信する質問信号P1は、図5を用いて上述したようにツインパルスであり、距離測定装置1が採用する運用モードに応じて、ツインパルスを構成するパルスのパルス間隔(ノミナル値)が予め定められている(図5の例では、“12μs”)。トランスポンダ12では、受信信号にツインパルスが含まれ、ツインパルスのパルス間隔が、「所定のノミナル値」であるとき、又は「ノミナル値に定められる所定の許容範囲」であるとき、ツインパルスを質問信号P1として検出している。
【0044】
このように、トランスポンダ12には、受信信号に含まれるツインパルスのパルス間隔が、規定のパルス間隔(「ノミナル値」又は「パルス間隔の許容範囲」)の場合にツインパルスを質問信号P1として検出し、パルス間隔が規定のパルス間隔以外の場合に受信信号を質問信号P1ではないと判定する性能が要求される。したがって、トランスポンダ12では、規定のパルス間隔のツインパルスを質問信号P1として検出しているか否か、規定のパルス間隔以外のツインパルスを質問信号P1として検出していないか否かの動作確認が必要である。
【0045】
トランスポンダ12が、規定のパルス間隔の受信信号を質問信号P1として正確に検出し、応答信号P2を送信しているか否かを確認する機能として、監視処理部13の信号生成手段131は、擬似質問信号送信の際に擬似質問信号の形式、すなわち、ツインパルスのパルス間隔を調整するパルス間隔調整手段131cを有している。例えば、パルス間隔調整手段131cは、オペレータ端末16からの操作に従って、擬似質問信号のツインパルスのパルス間隔を設定する。
【0046】
ここで、パルス間隔は、距離測定装置1の運用モードによって異なるが、チャンネルサフィックスXの場合のノミナル値は“12μs”であり、チャンネルサフィックスYの場合のノミナル値は“36μs”である。また、距離測定装置1では、パルス間隔がノミナル値から±1.0μs変動した場合であっても質問信号P1として検出されることが望ましいため、±1.0μsの許容範囲が設定される。
【0047】
したがって、パルス間隔調整手段131cは、トランスポンダ12が質問信号P1に対して正確に応答信号P2を送信しているか否かを判定するため、擬似質問信号を生成する際、ノミナル値の12μs又は36μsから±1.0μsの許容範囲でパルス間隔を変動するように調整する。
【0048】
一方、距離測定装置1では、パルス間隔がノミナル値から±2.0μs以上変動した場合に質問信号P1として検出されることは望ましくない。したがって、パルス間隔調整手段131cは、応答信号P2の誤送信を判定するため、擬似質問信号を生成する際、パルス間隔をノミナル値の12μs又は36μsから±2.0μs以上変動するように調整する。
【0049】
遅延監視手段134bは、監視処理部13による擬似質問信号の出力後、応答信号P2の入力が遅延している場合、アラーム信号を出力する。また、応答効率監視手段134cは、擬似質問信号が出力されたにも関わらず、応答信号P2の入力がない場合、アラーム信号を出力する。
【0050】
オペレータ端末16は、このようにモニタ手段134が出力するアラーム信号を利用し、トランスポンダ12における異常の発生を把握することができる。具体的には、オペレータ端末16は、監視処理部13が規定範囲のパルス間隔の擬似質問信号を送信後、遅延監視手段134bや応答効率監視手段134cからアラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0051】
一方、オペレータ端末16は、監視処理部13が規定範囲外のパルス間隔の擬似質問信号を送信後、遅延監視手段134bや応答効率監視手段134cからアラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0052】
[レベル調整機能]
距離測定装置1が受信する信号の信号レベルは幅広いが、距離測定装置1では、質問信号P1の最大入力レベルを−10dBm、最小受信感度を−91dBmとする性能が要求されている。すなわち、トランスポンダ12は、−10dBm〜−91dBmの質問信号P1を受信した場合、この質問信号P1に応答する応答信号P2を送信する必要がある。したがって、トランスポンダ12では、規定の信号レベルの質問信号P1を検出しているか否か、規定のパルス間隔以外のツインパルスを質問信号P1として検出していないか否かの動作確認が必要である。
【0053】
トランスポンダ12が、規定の信号レベルの質問信号P1を正確に検出し、応答しているか否かを確認する機能として、監視処理部13の信号生成手段131は、擬似質問信号送信の際に擬似質問信号の信号レベルの調整を制御する信号レベル制御手段131gを有している。また、監視処理部13の出力手段132は、信号レベル制御手段131gの制御に従って信号レベルを調整する信号レベル調整手段132bを有している。例えば、信号レベル制御手段131gは、オペレータ端末16からの操作に従って、擬似質問信号の信号レベルを制御する。
【0054】
ここで、距離測定装置1に要求される検出可能な質問信号P1の信号レベルは、上述したように、最大入力レベルが−10dBmであり、最小受信感度が−91dBmである。
【0055】
したがって、信号レベル制御手段131gは、受信した質問信号P1に対して正確に応答信号P2を送信しているか否かを判定するため、擬似質問信号を生成する際、擬似質問信号の信号レベルを最大入力レベル−10dBmから最小受信感度−91dBmの範囲で調整するように信号レベル調整手段132bを制御する。
【0056】
一方、距離測定装置1では、信号レベルが最大入力レベル−10dBmを上回った場合、最小受信感度−91dBmを下回った場合に質問信号P1として検出されることは望ましくない。したがって、信号レベル制御手段131gは、応答信号P2の誤送信を判定するため、擬似質問信号を生成する際、信号レベルを最大入力レベル−10dBm以上又は−91dBm以下に調整するように制御する。
【0057】
遅延監視手段134bは、監視処理部13による擬似質問信号の出力後、応答信号P2の入力が遅延している場合、アラーム信号を出力する。また、応答効率監視手段134cは、擬似質問信号が出力されたにも関わらず、応答信号P2の入力がない場合、アラーム信号を出力する。
【0058】
オペレータ端末16は、このようにモニタ手段134が出力するアラーム信号を利用し、トランスポンダ12における異常の発生を把握することができる。具体的には、オペレータ端末16は、監視処理部13が最大入力レベル−10dBmから最小受信感度−91dBmの範囲の擬似質問信号を送信後、遅延監視手段134bや応答効率監視手段134cからアラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0059】
一方、オペレータ端末16は、監視処理部13が最大入力レベル−10dBm以上又は−91dBm以下の擬似質問信号を送信後、遅延監視手段134bや応答効率監視手段134cからアラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0060】
[立ち上がり調整機能]
距離測定装置1は、受信する質問信号P1に含まれるパルスの最大振幅の10%から90%に立ち上がる時間が0.8μs〜3μsの場合に動作する性能が要求されている。したがって、トランスポンダ12では、規定の立ち上がり時間のパルスを含む質問信号P1を検出しているか否か、規定外の立ち上がり時間のパルスを含む質問信号P1を検出していないか否かの動作確認が必要である。
【0061】
トランスポンダ12が、規定の立ち上がり時間のパルスを含む質問信号P1を正確に検出し、応答しているか否かを確認する機能として、監視処理部13の信号生成手段131は、擬似質問信号送信の際に擬似質問信号の形式、すなわち、パルスの立ち上がりを調整する立ち上がり調整手段131dを有している。例えば、立ち上がり調整手段131dは、オペレータ端末16からの操作に従って、擬似質問信号が含むパルスの立ち上がりを調整する。
【0062】
ここで、距離測定装置1には、上述したようにパルスの最大振幅の10%から90%へ立ち上がる時間が0.8μs〜3μsである質問信号P1を検出可能であることが要求されている。
【0063】
したがって、立ち上がり調整手段131dは、トランスポンダ12受信した質問信号P1に対して正確に応答信号P2を応答しているか否かを判定するため、擬似質問信号を生成する際、擬似質問信号のパルスをパルスの最大振幅の10%から90%へ立ち上がる時間が0.8μsから3μsになるように調整する。
【0064】
一方、距離測定装置1では、パルスの立ち上がり時間が規定以外(パルスの最大振幅の10%から90%へ立ち上がる時間が0.8μs〜3μs以外)である場合に質問信号P1として検出されることは望ましくない。したがって、立ち上がり調整手段131dは、応答信号P2の誤送信を判定するため、擬似質問信号を生成する際、パルスの立ち上がりを規定外に調整する。
【0065】
遅延監視手段134bは、監視処理部13による擬似質問信号の出力後、応答信号P2の入力が遅延している場合、アラーム信号を出力する。また、応答効率監視手段134cは、擬似質問信号が出力されたにも関わらず、応答信号P2の入力がない場合、アラーム信号を出力する。
【0066】
オペレータ端末16は、このようにモニタ手段134が出力するアラーム信号を利用し、トランスポンダ12における異常の発生を把握することができる。具体的には、オペレータ端末16は、監視処理部13が規定の立ち上がりのパルスを含む擬似質問信号を送信後、遅延監視手段134bや応答効率監視手段134cからアラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0067】
一方、監視処理部13が規定外の立ち上がりのパルスを含む擬似質問信号を送信後、遅延監視手段134bや応答効率監視手段134cからアラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0068】
[マルチパス生成機能]
距離測定装置1が受信する質問信号P1は、マルチパス状態の場合があるが、距離測定装置1は、このようなマルチパス状態が所定の範囲内である場合、質問信号P1を検出することが望ましい。したがって、監視処理部13では、トランスポンダ12が所定のマルチパス状態の質問信号P1であっても検出しているか否かの動作確認が必要である。
【0069】
トランスポンダ12が、所定のマルチパス状態の質問信号P1を正確に検出し、応答しているか否かを確認する機能として、監視処理部13の信号生成手段131は、擬似質問信号の形式、すなわち、擬似質問信号送信の際に擬似質問信号をマルチパス状態にするマルチパス生成手段131f及びミキサ131eを有している。例えば、マルチパス生成手段131fは、オペレータ端末16からの操作に従って、擬似質問信号をマルチパス状態にするための合成パルスを生成する。
【0070】
ここで、マルチパス生成手段131fは、所定のマルチパス状態にするため、質問信号P1が含むパルスの−6dBm以下のパルスを規定範囲内の合成パルスとして生成する。または、マルチパス生成手段131fは、擬似質問信号が含むパルスの0〜7μs遅延したパルスを規定範囲内の合成パルスとして生成する。その他、マルチパス生成手段131fは、擬似質問信号が含むパルスの0又はπの位相差を持ったパルスを規定範囲内の合成パルスとして生成する。その後、ミキサ131eは、マルチパス生成手段131fが生成した合成パルスを擬似質問信号に合成する。
【0071】
一方、距離測定装置1では、規定範囲外のマルチパス状態の信号を質問信号P1として検出されることは望ましくない。したがって、応答信号P2の誤送信を判定するため、マルチパス生成手段131fは、規定範囲外の合成パルスを生成してもよい。
【0072】
遅延監視手段134bは、監視処理部13による擬似質問信号の出力後、応答信号P2の入力が遅延している場合、アラーム信号を出力する。また、応答効率監視手段134cは、擬似質問信号が出力されたにも関わらず、応答信号P2の入力がない場合、アラーム信号を出力する。
【0073】
オペレータ端末16は、このようにモニタ手段134が出力するアラーム信号を利用し、トランスポンダ12における異常の発生を把握することができる。具体的には、オペレータ端末16は、監視処理部13が規定範囲の合成パルスを合成した擬似質問信号を出力後、遅延監視手段134bや応答効率監視手段134cからアラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0074】
一方、オペレータ端末16は、監視処理部13が規定範囲外の合成パルスを合成した擬似質問信号を出力後、遅延監視手段134bや応答効率監視手段134cからアラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0075】
[ノイズ生成機能]
距離測定装置1では、ノイズ信号を受信することがあるが、距離測定装置1には、ノイズ信号を受信した場合でも、その後に受信する質問信号P1して動作する性能が要求されている。したがって、トランスポンダ12では、ノイズ信号を受信した場合でもその後に続く質問信号P1を検出しているか否かの動作確認が必要である。
【0076】
トランスポンダ12が、ノイズ信号に続く質問信号P1を正確に検出し、応答しているか否かを確認する機能として、監視処理部13の信号生成手段131は、擬似質問信号送信の前に送信するノイズ信号を生成し、擬似質問信号の形式を変更するノイズ生成手段131bを有している。
【0077】
例えば、ノイズ生成手段131bは、擬似質問信号よりも60dB大きいパルスノイズ信号として生成し、擬似質問信号の7.95μs前に出力する。
【0078】
遅延監視手段134bは、監視処理部13による擬似質問信号の出力後、応答信号P2の入力が遅延している場合、アラーム信号を出力する。また、応答効率監視手段134cは、擬似質問信号が出力されたにも関わらず、応答信号P2の入力がない場合、アラーム信号を出力する。
【0079】
オペレータ端末16は、このようにモニタ手段134が出力するアラーム信号を利用し、トランスポンダ12における異常の発生を把握することができる。具体的には、オペレータ端末16は、監視処理部13がノイズパルスを出力後、遅延監視手段134bや応答効率監視手段134cからアラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0080】
[送信レート調整機能]
距離測定装置1では、応答信号P2を送信する際の送信レートが規定されている。そのため、監視処理部13では、トランスポンダ12が所定の送信レートで応答信号P2を送信していることを監視する必要がある。
【0081】
トランスポンダ12が、所定の送信レートで応答信号P2を送信していることを確認する機能として、監視処理部13の信号生成手段131は、擬似質問信号の送信レートを0〜8191pp/sの範囲で調整する送信レート調整手段131aを有している。
【0082】
具体的には、トランスポンダ12では、応答レートが0〜2400pp/sの場合、応答率は1dB以上変動しないように要求されている。また、トランスポンダ12では、応答レートが2400〜3600pp/sの場合、応答率は3dB以上変動しないように要求されている。さらに、トランスポンダ12では、トランスポンダ12の負荷が応答能力の90%(約6000pp/s)を上回る場合、応答レートが最大応答レート4000pp/sを超えないように要求されている。
【0083】
したがって、例えば、送信レート調整手段131aは、擬似質問信号の送信レートを0〜2400pp/sの範囲で調整する。
【0084】
送信レート監視手段134dは、トランスポンダ12の応答信号P2の応答率が1dB以上変動しない場合、トランスポンダ12を正常と判断してアラーム信号を出力しないが、応答率が1dB以上変動した場合、トランスポンダ12で異常が生じていると判断してアラーム信号をオペレータ端末16に出力する。
【0085】
また、送信レート調整手段131aは、擬似質問信号の送信レートを2400〜3600pp/sの範囲で調整する。
【0086】
送信レート監視手段134dは、トランスポンダ12の応答信号P2の応答率が3dB以上変動しない場合、トランスポンダ12を正常と判断してアラーム信号を出力しないが、応答率が3dB以上変動した場合、トランスポンダ12で異常が生じていると判断してアラーム信号をオペレータ端末16に出力する。
【0087】
さらに、送信レート調整手段131aは、擬似質問信号の送信レートをトランスポンダ12の負荷が応答能力の90%を超える送信レート(6000pp/s以上)になるように調整する。
【0088】
送信レート監視手段134dは、トランスポンダ12の応答信号P2の応答レートが4000pp/sを上回らない場合、トランスポンダ12を正常と判断してアラーム信号を出力しないが、応答レートが4000pp/sを上回った場合、トランスポンダ12で異常が生じていると判断してアラーム信号をオペレータ端末16に出力する。
【0089】
オペレータ端末16は、このようにモニタ手段134が出力するアラーム信号を利用し、トランスポンダ12における異常の発生を把握することができる。具体的には、オペレータ端末16は、監視処理部13がパルスを出力後、送信レート監視手段134dからアラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0090】
[周波数調整機能]
距離測定装置1では、様々な周波数の信号を受信するが、距離測定装置1では、それぞれ処理対象の質問信号P1の周波数が規定されている。規定外の周波数の質問信号P1は、他の距離測定装置に送信されたものであると考えられるため、距離測定装置1は、規定外の周波数の質問信号P1を受信したとしても応答しない。そのため、監視処理部13では、トランスポンダ12が規定の周波数の質問信号P1のみに応答して応答信号P2を送信しているか否かを監視する必要がある。
【0091】
トランスポンダ12が、規定の周波数の質問信号P1を正確に検出して応答信号P2を送信していることを確認する機能として、監視処理部13の出力手段132は、擬似質問信号の形式、具体的には、擬似質問信号の周波数を公称のチャネル周波数(960〜1215MHz)の範囲で、100kHzステップで調整する周波数調整手段132d及びミキサ132cを有している。
【0092】
具体的には、トランスポンダ12では、予め処理対象の周波数(ノミナル周波数)が定められており、受信した質問信号P1の周波数とノミナル周波数との差が100kHzである場合には、自装置に送信された質問信号P1であるとして応答し、100kHz以上ある場合、他の距離測定装置に送信された質問信号P1として応答しないように設定されている。
【0093】
したがって、例えば、周波数調整手段132dは、擬似質問信号を送信する際、擬似質問信号の周波数をノミナル周波数から100kHzプラス又はマイナスした値に調整する。
【0094】
遅延監視手段134bは、監視処理部13による周波数をノミナル周波数から100kHzプラス又はマイナスした擬似質問信号の出力後、応答信号P2の入力が遅延している場合、アラーム信号を出力する。また、応答効率監視手段134cは、周波数をノミナル周波数から100kHzプラス又はマイナスした擬似質問信号が出力されたにも関わらず、応答信号P2の入力がない場合、アラーム信号を出力する。
【0095】
また、周波数調整手段132dは、擬似質問信号を送信する際、擬似質問信号の周波数をノミナル周波数から900kHz以上プラス又はマイナスした値に調整する。
【0096】
遅延監視手段134bは、監視処理部13による周波数をノミナル周波数から900kHz以上プラス又はマイナスした擬似質問信号の出力後、応答信号P2の入力が遅延している場合、アラーム信号を出力する。また、応答効率監視手段134cは、周波数をノミナル周波数から900kHz以上プラス又はマイナスした擬似質問信号が出力されたにも関わらず、応答信号P2の入力がない場合、アラーム信号を出力する。
【0097】
[負荷調整機能]
距離測定装置1では、多数の航空機2から送信される質問信号P1を受信するが、トランスポンダ12では、負荷が応答能力の90%を超える場合、最大応答レートを超えないようにする必要があるため、ゲインを低下させて弱い質問信号を低減する必要がある。したがって、トランスポンダ12では、トランスポンダ12の負荷が応答能力の90%を超えないで動作しているか否かの動作確認が必要である。
【0098】
トランスポンダ12の負荷が応答能力の90%を超える場合にゲインを低下させて弱い質問信号を低減しているか否かを確認する機能として、監視処理部13は、疑似質問信号の送信負荷を制御する信号負荷制御手段131hと、信号負荷制御手段131hの制御に従って、疑似質問信号の信号負荷を制御する信号負荷調整手段132eとを有している。具体的には、監視処理部13では、信号付加制御手段131h及び信号負荷調製手段132eによって、擬似質問信号の送信レートを調整する。
【0099】
例えば、信号負荷制御手段131hは、トランスポンダ12の応答能力の90%を超えるタイミングで疑似質問信号を出力するように信号負荷調整手段132eを制御する。
【0100】
送信レート監視手段134dは、トランスポンダ12の応答信号P2の応答レートが規定回数を上回らない場合、トランスポンダ12を正常と判断してアラーム信号を出力しないが、応答レートが規定回数を上回った場合、トランスポンダ12で異常が生じていると判断してアラーム信号をオペレータ端末16に出力する。
【0101】
オペレータ端末16は、このようにモニタ手段134が出力するアラーム信号を利用し、トランスポンダ12における異常の発生を把握することができる。具体的には、オペレータ端末16は、監視処理部13がパルスを出力後、送信レート監視手段134dからアラーム信号を入力しないとき、トランスポンダ12は正常であると判定し、アラーム信号を入力したとき、トランスポンダ12で異常が発生したと検知する。
【0102】
上述したように、本発明の最良の実施形態に係る距離測定装置1では、監視処理部13がトランスポンダ12の動作検証を実行するため、擬似質問信号の形式、レベル又は送信レートを調整する手段を有している。したがって、専用の治具や装置を用いずにトランスポンダ12の動作検証を容易にし、動作検証の効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0103】
1…距離測定装置
11…アンテナ
12(12a,12b)…トランスポンダ
121…受信手段
122…応答手段
123…送信手段
13…監視処理部
131…信号生成手段
131a…送信レート調整手段
131b…ノイズ生成手段
131c…パルス間隔調整手段
131d…立ち上がり調整手段
131e…ミキサ
131f…マルチパス生成手段
131g…信号レベル制御手段
131h…信号負荷制御手段
132…出力手段
132a…D/A変換器
132b…信号レベル調整手段
132c…ミキサ
132d…周波数調整手段
132e…信号負荷調整手段
133…入力手段
133a…A/D変換器
134…モニタ手段
134a…パルスペア検出手段
134b…遅延監視手段
134c…応答効率監視手段
134d…送信レート監視手段
14…スイッチ回路
15…制御部
16…オペレータ端末
2…航空機
20…インタロゲータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔の2つのパルスによって構成されるツインパルスを含む質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、
前記トランスポンダに前記質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、前記トランスポンダから前記疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、前記トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、
前記監視処理部は、
疑似質問信号を生成する際、ツインパルスに含まれる2つのパルスの間隔を調整するパルス間隔調整手段と、
疑似質問信号を送信後に前記トランスポンダから応答信号を受信しないとき又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項2】
所定の信号レベルで所定形式の質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、
前記トランスポンダに前記質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、前記トランスポンダから前記疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、前記トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、
前記監視処理部は、
疑似質問信号を生成する際、疑似質問信号の信号レベルを調整する信号レベル調整手段と、
疑似質問信号を送信後に前記トランスポンダから応答信号を受信しないとき又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項3】
所定の形式のパルスを含む質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、
前記トランスポンダに前記質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、前記トランスポンダから前記疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、前記トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、
前記監視処理部は、
疑似質問信号を生成する際、パルスの立ち上がりを調整する立ち上がり調整手段と、
疑似質問信号を送信後に前記トランスポンダから応答信号を受信しないとき又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項4】
所定形式の質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、
前記トランスポンダに前記質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、前記トランスポンダから前記疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、前記トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、
前記監視処理部は、
疑似質問信号を生成する際、疑似質問信号をマルチパス状態にするパルスを生成するマルチパス生成手段と、
疑似質問信号を送信後に前記トランスポンダから応答信号を受信しないとき又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項5】
所定形式の質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、
前記トランスポンダに前記質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、前記トランスポンダから前記疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、前記トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、
前記監視処理部は、
疑似質問信号を生成する際、ノイズパルスを生成するノイズ生成手段と、
所定のノイズを合成した疑似質問信号を送信後に前記トランスポンダから応答信号を受信しない又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項6】
質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、
前記トランスポンダに前記質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、前記トランスポンダから前記疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、前記トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、
前記監視処理部は、
疑似質問信号を送信する送信レートを調整する送信レート調整手段と、
所定の送信レートで疑似質問信号を送信後に前記トランスポンダから応答信号を受信しないときアラーム信号を出力する監視手段とを備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項7】
所定周波数の質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、
前記トランスポンダに前記質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、前記トランスポンダから前記疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、前記トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、
前記監視処理部は、
疑似質問信号を生成する際、疑似質問信号の周波数を調整する周波数調整手段と、
所定の周波数の疑似質問信号を送信後に前記トランスポンダから応答信号を受信しない又は応答信号の受信が遅延したときアラーム信号を出力する監視手段とを備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項8】
質問信号を入力すると、当該質問信号に応答して応答信号を送信するトランスポンダと、
前記トランスポンダに前記質問信号と同一形式の疑似質問信号を送信するとともに、前記トランスポンダから前記疑似質問信号に応答する応答信号を受信し、前記トランスポンダの動作を監視する監視処理部とを有し、
前記監視処理部は、
疑似質問信号を送信する際、トランスポンダにおける負荷を調整する負荷調整手段と、
所定の負荷で疑似質問信号を送信後に前記トランスポンダから応答信号を受信しないときアラーム信号を出力する監視手段とを備えることを特徴とする距離測定装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1に記載の距離測定装置と、
前記距離測定装置が前記トランスポンダに規定形式、規定レベル及び規定送信レートの擬似質問信号を送信後に前記距離測定装置からアラーム信号を入力すると前記トランスポンダは正常であると判定し、前記距離測定装置が前記トランスポンダに形式、レベル又は送信レートが規定以外の擬似質問信号を送信後に前記距離測定装置からアラーム信号を入力すると前記トランスポンダは異常であると判定する検査用装置と、
を備えることを特徴とする距離測定装置監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−7681(P2011−7681A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152484(P2009−152484)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】