説明

路上排水溝装置

【課題】グレーチング及びタイル、レンガ等の道路表面材を支承する中間フレームとをステンレスにて一体的に製造することによるコストアップという課題を解決することとした。
【解決手段】路面下に埋設されるU字型排水溝体の上端開口部を閉塞すると共に、タイル、レンガ等の道路表面材との間に介在して両者を隔離する亜鉛メッキ等の防錆処理を施された金属製中間フレームと、更に前記路面表面仕上材と略同一面に仕上られると共に、前記金属製中フレームに載置するステンレス製グレーチングとで成すことによって、グレーチングはステンレス製として感性を維持しつつ、路面下に位置して歩行による摩滅を考慮する必要のない中間フレームは亜鉛メッキ等の防錆処理を施した金属製として、コストダウンを達成できる路上排水溝装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上の側溝、更には建物入口に敷設される雨水等の排水溝装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、オフィス街においては歩道に溢れた雨水が建物に流れ込まない様、排水溝が敷設されている。
この排水溝装置は、路面下に埋設されるコンクリート製のU字型排水溝体と、このU字型排水溝体の上端開口部を閉塞すると共に、タイル、レンガ等の道路表面材との間に介在して該道路表面材を支承する中間フレームと、更に表面仕上材と略同一面に仕上げられる雨水排水口のグレーチングとで構成している。
例えば、下記技術文献実用新案登録第3023895号が存在する。
而して、このグレーチングと中間フレームとは主にステンレスにて一体的に形成されている。
これは、鉄製であると例え防錆メッキ処理を施してもグレーチングが歩行によるメッキ層の摩滅で、錆が露呈し、感性を損なうことに伴っている。
勿論、ステンレス以外に黄銅、真鍮等も採用されているが、何れにしても、コスト高となる。
【特許文献】実用新案登録第3023895号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、グレーチング及びタイル、レンガ等の道路表面材を支承する中間フレームとをステンレスにて一体的に製造することによるコストアップの課題を解決することとした。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するため、路面下に埋設されるU字型排水溝体の上端開口部を閉塞すると共に、タイル、レンガ等の道路表面材との間に介在して両者を隔離する亜鉛メッキ等の防錆処理を施された金属製中間フレームと、更に前記路面表面仕上材と略同一面に仕上られると共に、前記金属製中フレームに載置するステンレス製グレーチングとで成すことによって、グレーチングはステンレス製として感性を維持しつつ、且つ路面下に位置して歩行による摩滅を考慮する必要のない中間フレームは亜鉛メッキ等の防錆処理を施した金属製として、コストダウンを達成する路上排水溝装置。
【発明の効果】
【0005】
(1)請求項1により、路面上に露呈するグレーチングはステンレス製として感性を維持しつつ、路面下に位置して歩行による摩滅を考慮する必要のない中間フレームについては亜鉛メッキ等の防錆処理を施した金属製のため、グレーチング及び中間フレームを一体的にステンレスにて製造するものに比し、コストダウンが図れる。
特に、ステンレスでは困難な形状についても形成することが出来るから、U字型排水溝体の上端開口部の閉塞すること、更にはタイル、レンガ等の道路表面材を支承することへの最適な形状を自在に形成でき、機能、品質の向上が図れる。
(2)請求項2により、グレーチングがステンレス製であること、更には中間フレームは異種の金属製であることから生じる重要課題、即ち両者間でのイオン化と共に電子移動する電食現象を解決し、両者の表面組織が破壊することを防止する。
(3)請求項4により、中間フレームのL形受部にてグレーチングの下端の位置ズレ防止、更にはグレーチングの荷重を確実に支承することができる。
又、グレーチングの平板下端と中間フレームのL形受部との間に絶縁薄膜材をコーテイングしているから、施工作業中に別部材として組み込む工程を要せず、作業性が向上する。
(4)請求項5により、グレーチングと中間フレームとをコ字型コッタにて施工作業時において、位置ずれすることなく確実に結合できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】路上排水溝装置の断面図
【図2】同上の部分拡大断面図
【図3】同上の分解斜視図
【図4】異なる実施例を示す分解斜視図
【図5】異なる実施例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本発明を実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
図1及び図2、3に示す如く、路上排水溝装置の断面図であって、路面Hの下に埋設されたU字型排水溝体1と、このU字型排水溝体1の上端開口部2を閉塞すると共にタイル、レンガ等の道路表面材Haとの間に介在して両者Ha、1とを隔離する金属製中間フレーム3と、更に前記路面表面仕上材Haと略同一面に仕上られると共に、前記金属製中間フレーム3に載置するグレーチング4とで成っている。
具体的には、U字型排水溝体1を、合成樹脂とセメント、更には砂、砂利等の骨材を混合した高分子重合コンクリート(PCCと称す)製にて長さ約1mとする。
金属製中間フレーム3は、亜鉛メッキ等の防錆処理を施すか、又、zamak(JIS H2201/亜鉛合金)製としてもよい。グレーチング4はステンレス製となっている。
【0008】
而して、金属製中間フレーム3は、タイル、レンガ等の道路表面材Haを支承する天板5と、天板5よりの立上り縦片6、この縦片6と一定空間Yを置いて対面する一方側板7、更にこの一方側板6以外の他の3側面で、而も天板4の下面に垂下して囲繞する側板8とで、下開口のL型箱枠状に形成されている。
尚、ここで言うタイル、レンガ等の道路表面材Haの支承とは、それらを支持し、受けることを称する。
この下開口のL型箱枠状に形成された金属製中間フレーム3の天板5の一端5a及び一方側板7が上端開口部2に着座し、且つ該一方側板7の窪部7aと天板5の一端5aの他方側板8とが前記U字型排水溝体1の上端開口部2の口縁段部2aに嵌合し、上端開口部2を閉塞すると共に、左右にずれることなく位置する。
ステンレス製のグレーチング4は、複数枚の平板9を一定細隙Xとなる様、ピン10と間座11にて一体化して成している。この細隙Xは女性のハイヒールが陥没しない程度の間隙が望ましい。
勿論、平板9とせず、パンチングによる排水としてもよい。
【0009】
而して、金属製中間フレーム3の立上り縦片6と一方側板7とにグレーチング4の外側平板9がほぼ同一巾Zの面となる様に載置し、グレーチング4の細隙Xから金属製中フレーム3の空間Yに至って雨水流路Rが形成され、U字型排水溝体1に至る。
更に、中間フレーム3とグレーチング4とを結合する手段として、連結板12を用いる。これはグレーチング4の平板9が差込まれるスリット13を設け、更に長手方向にずれない様、中間フレーム3とグレーチング4の平板9とに夫々切欠部14、15を設けて嵌合し、施工作業時に所定の位置に収めている。
【0010】
上記中間フレーム3にグレーチング4が載置することとなるが、両者間に電食防止用絶縁薄膜材Pを介在させる。この電食防止用絶縁薄膜材Pとして、グレーチング4の平板9の下端に合成樹脂を溶着させている。
【実施例2】
図4に示す如く、中間フレーム3とグレーチング4との結合を、コ字型コッター16を両者3、4の小孔17、18に差込み、先端をカシメている。
又、電食防止用絶縁薄膜材Pを合成樹脂製シート18とし、施工作業時に挿入している。
【実施例3】
図5に示す如く、中間フレーム3の立上り縦片6と一方側板7とにL形受部6b、7bを形成し、ボルト20を挿通してグレーチング4の外側平板9を支持している。この場合、電食防止用絶縁薄膜材PはL形受部6a、7aにコーテイングする。
【施工順序】
【0011】
次に本発明に係る路上排水溝装置の施工順序を説明すると、図1に示す如く、先ずU字型排水溝体1をモルタルMにて固定し、その後U字型排水溝体1の上端開口部2に中間フレーム3を被せて閉塞する。
続いてグレーチング4を中間フレーム3に載置する。勿論、両者3、4間には電食防止用絶縁薄膜材Pが介在しているから、その後の電食現象を阻止する。
この場合、グレーチング4を載置する前に、中間フレーム3の天板5に下地砂Tを敷いてもよく、又グレーチング4を載置した後、下地砂敷きを行ってもよい。
その後、所望のタイル、レンガ等の道路表面を行うこととする。
【符号の説明】
【0012】
H 路面
Ha 道路表面材
P 電食防止用絶縁薄膜材
1 U字型排水溝体
2 上端開口部
3 金属製中間フレーム
4 ステンレス製グレーチング
12 連結板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面下に埋設されるU字型排水溝体と、このU字型排水溝体の上端開口部を閉塞すると共に、タイル、レンガ等の道路表面材との間に介在して両者を隔離する亜鉛メッキ等の防錆処理を施された金属製中間フレームと、更に前記路面表面仕上材と略同一面に仕上られると共に、前記金属製中間フレームに載置するステンレス製グレーチングと、このグレーチングから中間フレーム、更には排水溝体に至って形成された雨水流路とで成したことを特徴とする路上排水溝装置。
【請求項2】
路面下に埋設されるU字型排水溝体と、このU字型排水溝体の上端開口部を閉塞すると共に、タイル、レンガ等の路面表面材との間に介在して両者を隔離する亜鉛メッキ等の防錆処理を施された金属製中間フレームと、更に前記路面の表面仕上材と略同一面に仕上げられると共に、前記金属製中フレームに電食防止用絶縁薄膜材を介在させて載置するステンレス製グレーチングと、このグレーチングから中間フレーム、更には排水溝体に至って形成された雨水流路とで成したことを特徴とした路上排水溝装置。
【請求項3】
金属製中間フレームを材料zamak製としたことを特徴した請求項1又は2記載の路上排水溝装置。
【請求項4】
ステンレス製グレーチングを、細隙を形成する様、複数枚の平板にて構成し、中間フレームの上端にL形受部を形成してこのL形受部にて前記グレーチングの平板下端を支持して、グレーチングの平板下端と中間フレームのL形受部との間に電食防止用絶縁薄膜材を介在させたことを特徴とした請求項1又は2記載の路上排水溝装置。
【請求項5】
ステンレス製グレーチングを、細隙を形成する様、複数枚の平板にて構成し、中間フレームの上端にL形受部を形成してこのL形受部にて前記グレーチングの平板下端を支持して、グレーチングの平板下端と中間フレームのL形受部との間に介在する電食防止用絶縁薄膜材をコーテイングしたことを特徴とした請求項1又は2記載の路上排水溝装置。
【請求項6】
ステンレス製グレーチングを複数本の平板にて構成すると共に、中間フレームの上端に載置し、更にグレーチングの平板下端と中間フレームの上端との間に亘ってコ字型コッターを介在した状態にてグレーチングの平板と中間フレームとを結合したことを特徴とした特徴とした請求項1又は2記載の路上排水溝装置。
【請求項7】
金属製中間フレームを、U字型排水溝体の上端開口部を閉塞すると共に、タイル、レンガ等の路面表面材を支承する天板、該天板よりの立上り縦片、更には縦片と空間を置いて対面する一方側板とでL型箱枠状に形成し、該立上り縦片と一方側板とにグレーチングがほぼ同一巾面となる様に載置し、グレーチングからの雨水が立上り縦片と一方側板との空間を経てU字型排水溝体に至る様にしたことを特徴とした請求項1〜6の何れか1記載の路上排水溝装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−90700(P2010−90700A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299339(P2009−299339)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3133105号
【原出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(507015240)
【Fターム(参考)】