説明

踏切制御システム

【課題】踏切の動作を好適に行わせる踏切制御システムを軽量かつ低コストで実現する。
【解決手段】デュアルモード車両1に搭載され、測位手段と通信手段を備えた車載装置110と、踏切制御装置21に併設され、遮断検知手段と通信手段を備えた地上装置120と、車載装置110または地上装置120のいずれか一方に、測位手段により得られる車両位置に基づいてデュアルモード車両1が踏切の手前の所定距離以内にいると判断した場合に、踏切制御装置21に対して遮断指示を出す遮断指示手段を備えた踏切制御システム100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、踏切の動作を好適に行わせる踏切制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、鉄道と道路とのシームレス化を行って鉄道車両とバスの双方の利点を生かす交通システムを構築する目的で、車体の前後にタイヤ用車軸を介して設けられた道路走行用のタイヤと、車体の前後にガイド輪用車軸を介して設けられた軌道走行用のガイド輪と、を備えた軌道走行と道路走行との双方が可能な車両(以下「デュアルモード車両」という)の開発が進められ(例えば、特許文献1参照)、鉄道車両の軽量化にも一定の成果を上げている。
【0003】
一方で、踏切において警報機や遮断機等を制御するために、列車の接近を検知する手段として様々な方法が用いられており、例えば、レール間を列車の車輪及び車軸で短絡することによって列車を検知する軌道回路や踏切制御子と呼ばれる方法が、シンプルな構成であり、かつ信頼性の高い方法であるとして古くから世界各国の鉄道で広く用いられている。しかし、レールと車輪の間の電気的特性は、自然環境に影響され易く、列車の検知に失敗し踏切が無遮断のまま列車が通過することも起こりうるため、既存の保安設備であるATS(Automatic Train Stop)装置等を利用して踏切の制御をバックアップする方法が考えられている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、踏切において警報機や遮断機等を制御するために、軌道回路や踏切制御子を用いずに地上に設置された機器から自車両の位置を検知し、自車両に記憶している踏切の位置情報と比較し、踏切に接近したと判断したときに踏切に対して遮断するよう無線通信により指示を出す方法も考えられている(例えば、非特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3679108号公報
【特許文献2】特開2002−104192号公報
【非特許文献1】「Technical Review JR East No.12 Summer 2005」、発行国:日本、東日本旅客鉄道株式会社発行、2005年夏発行、44頁(無線による列車制御システム・ATACSプロトタイプ試験結果 5.3踏切制御)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のデュアルモード車両は中型バスの車体を主にベースとしており、従来の鉄道車両に比べて軽量であるため、必然的にレールと車輪の間の電気抵抗がより大きくなり易い。そのため、軌道回路や踏切制御子を用いた方法では、踏切の無遮断が発生する可能性が増し、その防止のためには踏切の制御をバックアップするか、軌道回路や踏切制御子に依存しないシステムを構築することが必要不可欠であると言える。しかし、上記のATS装置を利用したバックアップを行うためには、各踏切にATS地上子の設置と数百mのケーブルの敷設が必要となりコストの増大につながるという問題もあった。
【0006】
また、上記の軌道回路や踏切制御子を用いずに地上に設置された機器から自車両の位置を検知する方法でも、地上に複数又は大規模な機器を設置する必要がありコストの増大につながるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、踏切の動作を好適に行わせる踏切制御システムを軽量かつ低コストで実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
車両に設けられた車載装置と、踏切を制御する踏切制御装置に併設された地上装置とからなる踏切制御システムであって、
前記車載装置は、GPS衛星を利用して自車両の車両位置を検知する測位手段と、踏切の制御を支援するために必要な情報について前記地上装置との間で通信を行う通信手段と、を備え、
前記地上装置は、前記車載装置との間で通信を行う通信手段を備え、
前記車載装置または前記地上装置のいずれか一方に、前記測位手段により得られる車両位置に基づいて前記車両が踏切の手前の所定距離以内にいると判断した場合に、前記踏切制御装置に対して遮断指示を出す遮断指示手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の踏切制御システムであって、
前記地上装置は、既存の踏切制御装置に併設されるとともに、踏切が遮断状態にあるか開放状態にあるかを検知する遮断検知手段を備え、
前記遮断指示手段は、前記車両が踏切の手前の所定距離以内におり、かつ、前記遮断検知手段からの情報に基づいて踏切が開放状態にあると判断した場合に、前記踏切制御装置に対して遮断指示を出すことを特徴とする。
ここで、「既存の踏切制御装置」とは、何らかの方法で車両の接近を検知して、遮断桿を上下させたり警報器を鳴らしたりといった動作を制御する踏切の制御装置全般のことであり、この制御装置が設置されている踏切は一般的な条件下では本発明に係る踏切制御システムによる制御を行わなくとも踏切として動作する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の踏切制御システムであって、
前記遮断指示手段は、前記車両が踏切の手前の所定距離以内におり、かつ、前記遮断検知手段によって踏切が遮断状態にあることを認識できない場合にも、前記踏切制御装置に対して遮断指示を出すことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3のいずれか一項に記載の踏切制御システムであって、
前記車載装置は、踏切が前記遮断指示に反応せず遮断状態にならなかった場合、あるいは遮断状態になったと確認できなかった場合、踏切までの距離と踏切の手前で安全に停止可能な速度との関係を示す停止速度パターンと、前記測位手段により得られる車両位置および走行速度とを照合して、走行速度が停止可能速度を上まわった場合に自車両のブレーキ装置を作動させる速度照査手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2から4のいずれか一項に記載の踏切制御システムであって、
前記車載装置は、接近した踏切が遮断状態にあるか開放状態にあるかを表示する踏切状態表示手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の踏切制御システムであって、
前記遮断指示手段は、前記車両が踏切を通過して所定距離以上離れたと判断した場合に、前記踏切制御装置に対して開放指示を出すことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項2から5のいずれか一項に記載の踏切制御システムであって、
前記遮断指示手段は、前記車両が踏切を通過して所定距離以上離れたと判断した場合に、前記踏切制御装置に対して開放指示を出し、
前記車載装置は、踏切が前記開放指示に反応せず開放状態にならなかった場合、あるいは開放状態になったと確認できなかった場合、その旨を表示する踏切開放異常表示手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、GPS衛星を利用する測位手段によって自車両の車両位置を検知して踏切に接近したことを判断し、踏切制御装置に対して遮断指示を出すことから、軌道回路や踏切制御子をバックアップまたは軌道回路や踏切制御子に依存しない踏切制御システムを構築することができ、大規模な地上設備を設けることなく踏切の制御を好適に行うことができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、GPS衛星を利用する測位手段によって自車両の車両位置を検知して踏切に接近したことを判断し、遮断検知手段からの情報によって踏切が開放状態であると判断したときに、遮断指示手段が踏切制御装置に対して遮断指示を出すことから、踏切制御システムによって踏切を遮断状態にすることができるため、大規模な地上設備を設けることなく踏切の制御を好適に行うことができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、GPS衛星を利用する測位手段によって自車両の車両位置を検知して踏切に接近したことを判断し、例えば、踏切が前記遮断指示に反応せず遮断状態にならなかった場合、あるいは通信手段の不調や通信状態の不良によって遮断状態にあることを確認できなかった場合に、遮断指示手段が踏切制御装置に対して遮断指示を出すことから、踏切制御システムによって踏切を遮断状態にすることができるため、大規模な地上設備を設けることなく踏切の制御を好適に行うことができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、踏切が前記遮断指示に反応せず遮断状態にならなかった場合、あるいは遮断状態になったと確認できなかった場合には、速度照査手段が停止速度パターンと車両位置および走行速度とを照合してブレーキ装置を作動させることから、停止速度パターンにしたがって車両を踏切の手前で停止させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、接近した踏切の状態を踏切状態表示手段によって表示することから、運転席において踏切の状態を確認することができ、踏切が遮断状態になったことを確認できないときは踏切の手前で一時停止するなどの措置をとることが可能で、踏切通過の安全性をさらに高めることにつながる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、車両が踏切を通過して所定距離以上離れたことを判断し、踏切制御装置に対して開放指示を出すことから、軌道回路や踏切制御子に依存しない踏切制御システムを構築することができ、大規模な地上設備を設けることなく踏切の制御を好適に行うことができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、踏切が前記開放指示に反応せず開放状態にならなかった場合、あるいは開放状態になったと確認できなかった場合には、踏切開放異常表示手段がその旨を表示することから、運転席において踏切の異常を確認することが可能となり、地上装置の動作をリセットするなどの措置を別途とることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[第1の実施の形態]
以下、本発明における第1の実施の形態について、図1から図5を参照しながら説明する。
【0023】
(デュアルモード車両の構成等)
本実施の形態に係るデュアルモード車両1は、図1に示すように、車体2、車体2の前方及び後方に配設されたゴムタイヤ用車軸3a,4aを中心に回転する前方ゴムタイヤ3及び後方ゴムタイヤ4、内側にフランジ部5f,6fを備え、車体2の前方及び後方に昇降自在に配設されたガイド輪用車軸5a,6aを中心に回転する軌道走行用の前方ガイド輪5及び後方ガイド輪6、前方ガイド輪5及び後方ガイド輪6を上昇下降させるための油圧アクチュエータ7,8、図示されていない、デュアルモード車両1の前方ゴムタイヤ3の操舵方向や後方ゴムタイヤ4の回転状態等を制御する制御装置、駆動源としてのエンジン、トランスミッション、差動装置、ブレーキ装置等を備えて構成されている。さらに、デュアルモード車両1は、後述する“踏切制御システム”としての踏切動作支援システム100の車載装置110を備えている。なお、踏切動作支援システム100を適用する車両として、デュアルモード車両1の代わりに一般的な鉄道車両等を用いても良い。
【0024】
また、デュアルモード車両1には、運転席の各操縦装置、ガイド輪の昇降を制御する制御装置やスイッチ類等を初めとする運転及び制御に必要な装置は当然備えられており、必要に応じて、ATSや防護無線等の安全確保に必要な装置、車内放送や戸締め装置等の接客サービスに必要な装置、無線装置やGPS等の運行管理に用いる装置、自車両と他車両を連結する連結器、連結する際にトランスミッションと差動装置の間で駆動力を断接する断接装置も備えている。
【0025】
なお、デュアルモード車両1は、車体2にマイクロバスの車体を採用しており、運転士を含めて29人程度を搭乗させることができる。また、エンジン、トランスミッション、差動装置及びブレーキ装置等については、道路走行を行う一般的な自動車が備える一般的なものが使用されている。そのため、従来の鉄道車両の全体重量が約40トンであるのに対し、本実施の形態に係るデュアルモード車両1の全体重量は6トン程度と軽量である。
【0026】
前方ゴムタイヤ3は、車体2の運転席のハンドルにより操舵することができる。後方ゴムタイヤ4は、後方ゴムタイヤ用車軸4aに左右2本ずつ軸支され、エンジン及び動力伝達装置(トランスミッション等)によって駆動される。
【0027】
前方ガイド輪5及び後方ガイド輪6は鉄等の金属で構成されており、一般の鉄道車両と同様に、列車の運行管理や踏切の制御に用いるために左右の車輪は電気的に導通されている。また、前方ガイド輪5及び後方ガイド輪6は、図示されていない油圧供給管に接続された油圧アクチュエータ7,8の伸縮により上方及び下方に移動する。
【0028】
デュアルモード車両1は、前方ゴムタイヤ3及び後方ゴムタイヤ4による道路走行モードと、前方ガイド輪5、後方ガイド輪6及び後方ゴムタイヤ4による軌道走行モードとの双方を自在に切り換えて実現させることができるものである。
【0029】
つまり、道路走行時においては、油圧アクチュエータ7,8により、前方ガイド輪5及び後方ガイド輪6を上方に移動させて、前方ゴムタイヤ3及び後方ゴムタイヤ4を接地させ、軌道走行時には、油圧アクチュエータ7,8により、前方ガイド輪5及び後方ガイド輪6を下方に移動させて、レールR上面に当接させ、前方ゴムタイヤ3を上方に浮かせると共に後方ゴムタイヤ4の内側輪のみをレールRに接地させて、道路走行時と同様に後方ゴムタイヤ4の回転駆動により走行を可能とする。
なお、駆動輪が前方ゴムタイヤ3であっても良く、その場合は、後方ゴムタイヤ4を上方に浮かせることとなり、前方ガイド輪5、後方ガイド輪6及び前方ゴムタイヤ3により軌道走行を行う。
【0030】
(地上設備の構成等)
図2に示すように、地上には少なくとも一対のレールRが敷設され、レールRが道路と交差する各地点には、踏切制御装置21、遮断桿22及び警報器23等から構成される踏切警報装置20が設置されている。さらに、後述する踏切動作支援システム100の地上装置120が踏切警報装置20に併設され、踏切制御装置21の動作を支援する。なお、踏切警報装置20は、遮断桿22を備えていない簡略的なものでも良い。その場合、警報器23が鳴っている状態が、踏切の遮断状態である。
【0031】
踏切制御装置21は公知技術である踏切制御子を用いて踏切の制御を行う。
踏切の手前数百mの地点(以下、鳴動点という)に踏切の動作を開始するための踏切制御子Aを設置し、さらに、踏切の直後(以下、終動点という)に踏切の動作を終了するための踏切制御子Bを設置することで、踏切制御装置21は、鳴動点と終動点の間の列車検知区間に列車が存在しているか否かをチェックイン/チェックアウト方式で検知して踏切の制御を行っている。
【0032】
通常、各踏切制御子は車両一両分程度の短い区間に設けられ、通過する列車の車輪及び車軸によって左右のレールRが短絡されることにより列車を検知する。踏切制御子A上を列車が通過した時、踏切制御装置21の内部では、踏切の動作を制御する踏切論理回路に少なくとも500ミリ秒程度のパルス信号が送られ、その信号を保持することにより列車が列車検知区間内に存在するという情報を保持し、踏切の遮断動作を開始する。そして、踏切制御子B上を列車が通過した情報を踏切制御装置21が受けた時、踏切論理回路は列車が列車検知区間内に存在するという情報を解除して、踏切の開放動作を行う。
なお、踏切の制御には、踏切制御子を用いない方法、例えば、踏切の数百m手前から踏切までの区間のレールR全体を電気回路として用いる軌道回路を構成しておき、列車が当該軌道回路に進入して左右のレールRが車輪及び車軸によって短絡されている間、踏切を遮断状態にするという古くからの方法をそのまま採用しても良い。その場合は、レールRの表面の状態によってレールRと車輪との電気抵抗が連続的に変化して軌道回路が開放/短絡を繰り返す、いわゆるチャタリングの発生を防止するため、一定時間短絡した状態を保持するように回路を構成することが行われている。これにより、上記と同様に、踏切論理回路にパルス信号を送ることによって踏切の遮断動作を開始させることもできる。
【0033】
(踏切動作支援システムの構成等)
踏切動作支援システム100は、図3に示すように、デュアルモード車両1に搭載された車載装置110と、踏切を制御する踏切警報装置20に併設された地上装置120と、から構成されている。
【0034】
車載装置110は、処理装置111、“通信手段”としての無線通信装置112、位置検知装置113、“踏切状態表示手段”としての表示装置114とから構成されている。
【0035】
無線通信装置112は、処理装置111に接続されており、スペクトラム拡散方式等を用いた特定小電力無線を使用し、後述の地上装置120に設けられた無線通信装置122と踏切の動作状況や踏切制御命令に関する情報の送受信を行う。無線通信装置122にも同じ機能の装置が用いられる。なお、無線通信装置112,122は、上記以外の無線機器を用いても良いし、電波状況等によっては通信事業者による携帯電話通信網を利用しても良い。
【0036】
位置検知装置113は、“測位手段”としてのGPS受信器を備えると共に、踏切の位置情報を記憶している踏切位置情報データベース115が併設されており、GPS受信器によって得られた自車両の車両位置に基づいて踏切位置情報データベース115を参照して、自車両が踏切に接近したときには、踏切の400m手前の地点では「400mトリガ」を、300m手前では「300mトリガ」を、150m手前では「150mトリガ」を、20m手前では「20mトリガ」を、処理装置111に送信する。
なお、位置検知装置113が内部で扱うデータ及び踏切位置情報データベース115には、GPS衛星から得られる緯度経度の情報をそのまま用いても良いし、公知技術を用いて、鉄道の路線毎に割り当てられた各起点からの距離を表す「キロ程」に変換して用いても良い。
また、位置検知装置113は、GPS受信器によって得られた自車両の車両位置を緯度経度の情報のまま、あるいは「キロ程」に変換して処理装置111に送信しても良い。この場合、踏切位置情報データベース115は処理装置111に備えられ、それを参照して処理装置111が自ら上記の各トリガを発生させることとなる。
【0037】
表示装置114は、処理装置111により判断した結果を運転士に提示するもので、「緑」と「赤」の消灯/点灯/点滅を行える表示灯、及び「短音」と「長音」の警報音を発するブザーを有しており、運転席の見やすい場所に設置されている。表示灯の点灯及び警報音の条件については、後述の動作フロー図と共に説明するが、これにより、デュアルモード車両1を運転している運転士は、接近している踏切がどのような状態にあるか、それに対してどのような運転をすべきか、を判断することができる。なお、表示装置114は、電球やLEDの表示灯に限らず液晶等のモニターに表示するようにしても良いし、必要に応じて表示を省略して警報音のみを発しても良いし、警報音を省略しても良い。
【0038】
処理装置111は、上述のように、無線通信装置112、位置検知装置113および表示装置114のそれぞれと接続されており、後述のように、図4および図5に示す動作フロー図に従い動作して、車載装置110全体を制御している。即ち、処理装置111は位置検知装置113により得られる車両位置に基づいてデュアルモード車両1が踏切の手前の所定距離以内にいることを判断し、後述する“遮断検知手段”としての地上装置120からの情報に基づいて踏切が開放状態にあることを判断した場合に、踏切制御装置21に対して遮断指示を出す“遮断指示手段”として機能する。なお、処理装置111は、図4および図5の動作フロー図に示す処理をコンピュータ等のデジタル回路を用いてソフトウェア処理により実行しても良いし、アナログ回路を用いて行っても良い。
【0039】
地上装置120は、処理装置121と、“通信手段”としての無線通信装置122とから構成されている。処理装置121と無線通信装置122は接続されており、また、処理装置121は踏切制御装置21にも接続されているため、無線通信装置122を介して車載装置110から届いた要求に応じて、遮断検知手段として遮断桿22及び警報器23の状態を踏切制御装置21から読み出し、無線通信装置122を介して車載装置110へ送信したり、無線通信装置122を介して車載装置110から届いた遮断指示に従い、強制的に踏切を遮断状態にするよう踏切制御装置21へ遮断指示を出すことが可能となっている。
【0040】
なお、地上装置120が遮断検知手段として機能する際、踏切が遮断状態にあるか開放状態にあるかを検知する手段(例えば、マイクロスイッチやポテンショメータ等)を地上装置120自体が具備しても良いし、踏切の状態を表す信号を併設された踏切制御装置21から得るようにしても良い。
なお、車載装置110から踏切の遮断指示があった場合、地上装置120は、踏切制御装置21へ遮断指示を出す前にまず踏切が遮断状態にあるか否かを再度確認し、遮断状態にないときのみ踏切制御装置21へ遮断指示を出すようにしても良い。
なお、処理装置121は、上記の処理をコンピュータ等のデジタル回路を用いてソフトウェア処理により実行しても良いし、アナログ回路を用いて行っても良い。
【0041】
(車載装置の動作フロー)
以下では、本実施の形態における車載装置110の動作の流れについて、図4および図5に示す動作フロー図に従って説明する。
【0042】
デュアルモード車両1が踏切に接近し、踏切の400m手前の地点を過ぎると位置検知装置113から処理装置111へと「400mトリガ」が送信される。処理装置111は「400mトリガ」を受信するまでステップS11を繰り返し(ステップS11:N)、「400mトリガ」を受信した後(ステップS11:Y)、ステップS21の処理に移る。
【0043】
「400mトリガ」の受信以降、「300mトリガ」を受信するまで、処理装置111は以下の動作を繰り返す。
まず、表示装置114の「赤」を点灯させ、警報音「長音」を1回鳴らす(ステップS21)。次いで、無線通信装置112,122を介して地上装置120に踏切の動作状況の要求を行い、送られてくる情報を受信する(ステップS22)。受信した情報から、踏切が遮断状態にあるか否かを判断し(ステップS23)、遮断状態にあれば(ステップS23:Y)、表示装置114を「緑」点灯に切替え、警報音「短音」を2回鳴らし(ステップS25)、ステップS42の処理に移る。ステップS23において踏切が遮断状態にないと判断した場合(ステップS23:N)、「300mトリガ」を受信しているかを確認し(ステップS24)、受信していない場合(ステップS24:N)はステップS21の処理に移り、受信した場合(ステップS24:Y)はステップS31の処理に移る。
【0044】
「300mトリガ」の受信以降、「150mトリガ」を受信するまで、処理装置111は以下の動作を繰り返す。
処理装置111は再び地上装置120に踏切の動作状況の要求を行い、送られてくる情報を受信する(ステップS31)。処理装置111は「150mトリガ」を受信しているかを確認し(ステップS32)、受信した場合(ステップS32:Y)はステップS41の処理に移り、受信していない場合(ステップS32:N)はステップS33の処理に移る。ステップS31において受信した情報から、踏切が遮断状態にあるか否かを判断し(ステップS33)、遮断状態にあれば(ステップS33:Y)、表示装置114を「緑」点灯に切替え、警報音「短音」を2回鳴らし(ステップS35)、ステップS42の処理に移る。ステップS33において踏切が遮断状態にないと判断した場合(ステップS33:N)、無線通信装置112,122を介して地上装置120に遮断指示を送信し、ステップS31の処理に移る(ステップS34)。
【0045】
「150mトリガ」の受信以降、「20mトリガ」を受信するまで、処理装置111は以下の動作を繰り返す。
処理装置111は再び地上装置120に踏切の動作状況の要求を行い、送られてくる情報を受信する(ステップS41)。処理装置111は「20mトリガ」を受信しているかを確認し(ステップS42)、受信した場合(ステップS42:Y)はステップS51の処理に移り、受信していない場合(ステップS42:N)はステップS43の処理に移る。ステップS41において受信した情報から、踏切が遮断状態にあるか否かを判断し(ステップS43)、遮断状態にあれば(ステップS43:Y)、ステップS42の処理に移り、遮断状態にないと判断した場合(ステップS43:N)、表示装置114を「赤」点滅に切替え、警報音「短音」を連続して鳴らし(ステップS44)、無線通信装置112,122を介して地上装置120に遮断指示を送信し、ステップS41の処理に移る(ステップS45)。
【0046】
「20mトリガ」を受信した後は、表示装置114を全て消灯し、警報音を停止して(ステップS51)、処理を終了する。
【0047】
(踏切動作支援システムの動作等)
踏切動作支援システム100は、全体として以下のような動作を実現することとなる。
【0048】
デュアルモード車両1は、レールR上を踏切に向かって走行している。そして、踏切に接近して鳴動点に達すると、踏切制御装置21は踏切制御子Aによってデュアルモード車両1の接近を検知し、遮断桿22及び警報器23を遮断状態へと制御する。このとき、何らかの理由で踏切制御子Aによるデュアルモード車両1の検知が失敗した場合、踏切は動作しない可能性がある。
【0049】
これとは独立して、デュアルモード車両1に搭載された位置検知装置113は一定の間隔(例えば、0.5s間隔)でGPS衛星からの電波を受信し、自車両の車両位置を把握しており、上述のように処理装置111に対して決められた条件でトリガを送信することで、車載装置110は自車両が踏切の手前のどの区間に入ったかを判断することができる。
車載装置110は、踏切の400m手前の区間に侵入するまで、即ち位置検知装置113から処理装置111へ「400mトリガ」が送信されるまでは待機状態を続ける。
【0050】
その後、踏切の400m手前から300m手前までの区間では、車載装置110は表示装置114を表示灯「赤」点灯に切替えて警報音「長音」を一回鳴らし、無線通信装置112,122を介して地上装置120に踏切の動作状況の要求を行い、送られてくる情報を受信する。
地上装置120は、車載装置110から動作状況の要求を受けたとき、踏切が遮断状態にあって踏切が故障していない場合にのみ、踏切が正常に動作している情報を車載装置110へ送信する。
車載装置110は、踏切が遮断状態になったことが確認できたとき、表示装置114を表示灯「緑」点灯に切替えて警報音「短音」を2回鳴らし、20m手前まで待機状態となるが、踏切が遮断状態になっていないとき、及び、無線の通信状況などにより踏切が遮断状態になったことが確認できないときは、位置検知装置113から「300mトリガ」が送信されるまで、無線通信装置112,122を介して地上装置120に踏切の動作状況の要求と受信を繰り返し行う。
【0051】
踏切の300m手前から150m手前までの区間では、車載装置110は無線通信装置112,122を介して地上装置120に踏切の動作状況の要求を行い、送られてくる情報を受信する。
車載装置110は、踏切が遮断状態になったことが確認できたとき、表示装置114を表示灯「緑」点灯に切替えて警報音「短音」を2回鳴らし、20m手前まで待機状態となるが、踏切が遮断状態になっていないとき、または、無線の通信状況などにより踏切が遮断状態になったことが確認できないときは、位置検知装置113から「150mトリガ」が送信されるまで、無線通信装置112,122を介して地上装置120に踏切を強制的に遮断するよう遮断指示を送信し、踏切の動作状況の要求から繰り返す。
地上装置120は、車載装置110から遮断指示を受けたとき、強制的に踏切を遮断状態へと動作させるため、踏切制御装置21内の踏切論理回路に対して500ミリ秒のパルス信号を送信する。これにより地上装置120は直接、踏切の遮断動作を開始させることができる。
【0052】
踏切の150m手前から20m手前までの区間では、車載装置110は無線通信装置112,122を介して地上装置120に踏切の動作状況の要求を行い、送られてくる情報を受信する。
車載装置110は、踏切が遮断状態になったことが確認できたとき、そのまま20m手前まで待機状態となるが、踏切が遮断状態になっていないとき、及び、無線の通信状況などにより踏切が遮断状態になったことが確認できないときは、表示装置114を表示灯「赤」点滅に切替えて警報音「短音」を連続して鳴らして、踏切が遮断状態になったことが確認できるまで、地上装置120に対して遮断指示を送信し、踏切の動作状況の要求から繰り返す。
なお、表示灯が「緑」点灯の場合は、デュアルモード車両1は踏切へそのままの速度で進入することができることを表し、表示灯「赤」が点滅かつ警報音「短音」が連続して鳴り始めた場合は、デュアルモード車両1は即座に減速を開始して踏切の20m以上手前で停止しなければならないことを表す。また、表示灯「赤」が点灯の場合も踏切の20m以上手前で停止する。
【0053】
踏切の20m手前の地点まで到達すると、踏切が遮断状態にあるか開放状態にあるかに関わらず、車載装置110は表示装置114の表示灯を消灯し警報音を停止して待機状態となる。その後、踏切が遮断状態にある場合はそのまま、踏切が開放状態にある場合は運転士が目視により安全を確認して、デュアルモード車両1は踏切を通過し、さらに終動点の踏切制御子Bを通過することで踏切制御装置21は踏切を遮断状態から解除する。なお、車載装置110はデュアルモード車両1が新たな踏切に接近するまで待機状態を継続する。
【0054】
(踏切動作支援システムの効果)
以上のように、本実施の形態に係る踏切動作支援システム100は、位置検知装置113によって自車両の車両位置を検知して踏切に接近したことを判断し、地上装置120からの情報によって踏切が開放状態であると判断したときに、踏切制御装置21に対して遮断指示を出すことから、踏切制御子Aにより列車が検知されず踏切が動作しなかった場合にも踏切動作支援システム100によってバックアップして踏切を遮断状態にすることができるため、大規模な地上設備を設けることなく踏切の制御を好適に行うことができる。
【0055】
また、本実施の形態に係る踏切動作支援システム100は、接近した踏切の状態を表示装置114によって運転席に表示することから、運転席において踏切の状態を確認することができ、踏切が遮断状態になったことを確認できないときは踏切の手前で一時停止するなどの措置をとることが可能で、さらに、警報音を併用することによって運転士の注意を喚起することもでき、踏切通過の安全性をさらに増すことにつながる。
【0056】
(その他)
なお、本実施の形態に係る踏切動作支援システム100においては、デュアルモード車両1の車両位置の情報をそのまま無線通信装置112,122を介して地上装置120で受けるようにするとともに、踏切への遮断指示を出すか否かを判断することができる“遮断指示手段”を地上装置120が備えていても良い。つまり、前述した図4および図5に示すフロー図における遮断指示の処理を地上装置120の処理装置121が行っても良い。
【0057】
なお、本実施の形態に係る踏切動作支援システム100においては、踏切の400m手前、300m手前、150m手前、および20m手前の地点を動作切換点として用い、位置検知装置113から処理装置111に対してトリガを送信するよう設定しているが、必要に応じてこれら4つの動作切換点のうちの一部あるいは全部を前後(例えば、500m、400m、200m、10m等)に移動させても良い。
【0058】
[第2の実施の形態]
以下、本発明における第2の実施の形態について、図1、図6から図10を参照しながら説明する。なお、第1の実施の形態と重複する構成については、第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略することとする。
【0059】
(デュアルモード車両の構成等)
本実施の形態に係るデュアルモード車両1Aは、図1に示す第1の実施の形態に係るデュアルモード車両1と同様の車両が用いられる。ただし、デュアルモード車両1Aは、第1の実施の形態に係る車載装置110に換えて、後述する踏切制御システム200の車載装置210を備えている。また、ブレーキ装置は電子制御され、ブレーキペダルの踏込み量を検出して油圧を調整する方式が採用されている。なお、踏切制御システム200を適用する車両として、デュアルモード車両1Aの代わりに一般的な鉄道車両等を用いても良い。
【0060】
(地上設備の構成等)
図6に示すように、地上には少なくとも一対のレールRが敷設され、レールRが道路と交差する各地点には、踏切制御装置41、遮断桿42及び警報器43等から構成される踏切警報装置40が設置されている。さらに、後述する踏切制御システム200の地上装置220が踏切警報装置40に併設され、踏切制御装置41の動作を制御する。ここで、踏切制御装置41は、第1の実施の形態に係る踏切制御装置21が備えるような踏切制御子や軌道回路は備えていない。なお、踏切警報装置40は、遮断桿42を備えていない簡略的なものでも良い。その場合、警報器43が鳴っている状態が、踏切の遮断状態である。
【0061】
(踏切制御システムの構成等)
踏切制御システム200は、図7に示すように、デュアルモード車両1Aに搭載された車載装置210と、踏切を制御する踏切警報装置40に併設された地上装置220と、から構成されている。
【0062】
車載装置210は、処理装置211、“通信手段”としての無線通信装置212、位置検知装置213、表示装置214、鉄道の路線毎に割り当てられた各起点からの距離を表す「キロ程」と緯度経度との関係、走行区間内の全踏切の位置(キロ程)等を記憶している線路情報データベース215、“速度照査手段”としての速度照査装置216とから構成されている。
【0063】
無線通信装置212は、第1の実施の形態に係る無線通信装置112,122と同様のものが用いられ、処理装置211に接続されており、同様の構造を備える地上装置220側の無線通信装置222との間で踏切制御信号や踏切の動作状況に関する情報の送受信を行う。なお、踏切制御信号としては“遮断指示”(鳴動)と“開放指示”(鳴動停止)がある。
【0064】
位置検知装置213は、“測位手段”としてのGPS受信器を備えると共に、線路情報データベース215に接続されており、GPS受信器によって得られた自車両の車両位置(緯度経度)に基づいて線路情報データベース215に記憶された緯度経度とキロ程との関係を参照して公知技術によりキロ程を算出し、GPS受信器によって得られる自車両の走行速度とともに、処理装置211に送信する。
また、位置検知装置213は、上述のキロ程と、線路情報データベース215に記憶された踏切の位置(キロ程)とから、踏切までの距離を算出し、GPS受信器によって得られる自車両の走行速度とともに、速度照査装置216に送信する。
なお、位置検知装置213は、GPS受信器によって得られた自車両の車両位置を緯度経度の情報のまま処理装置211に送信しても良い。また、自車両の走行速度は、GPS受信器によって得られるものに限らず、別途車輪等に設けられた速度発電機より得られるパルス信号から、自車両の走行速度を必要とする装置において、必要に応じて算出しても良いし、GPS受信器によって得られるものとパルス信号から算出されるものを混在させても良い。
【0065】
表示装置214は、処理装置211により判断した結果を運転士に提示するもので、「緑」の点灯/点滅/消灯を行える“踏切状態表示手段”としての踏切状態表示灯、及び点灯/消灯をする“踏切開放異常表示手段”としての踏切開放異常表示灯を有しており、運転席の見やすい場所に設置されている。踏切状態表示灯は、踏切に接近するまでは消灯しており、踏切に接近して地上装置220に対して踏切制御信号(鳴動)を送信してから踏切の動作確認が完了するまでは点滅し、踏切が遮断状態になったことを確認できた後は点灯し、さらに、踏切を通過して地上装置220に対して踏切制御信号(鳴動停止)を送信してから踏切の動作確認が完了するまでは点滅し、踏切が開放状態になったことを確認できた後は点灯し、その後に消灯、踏切に接近する毎にこれを繰り返す。また、踏切開放異常表示灯は、通常は消灯しており、踏切制御信号(鳴動停止)を送信した後、踏切が開放状態になったことを確認できなかった場合に点灯する。表示装置214の動作についての詳細は、後述の動作フロー図と共に説明するが、これにより、デュアルモード車両1Aを運転している運転士は、接近している踏切がどのような状態にあるか、それに対してどのような運転をすべきか、を判断することができる。なお、表示装置214は、電球やLEDの表示灯に限らず液晶等のモニターに表示するようにしても良いし、どのような色の表示でも構わない。また、必要に応じて警報音を発するようにしても良い。
【0066】
速度照査装置216は、図10に示すような、踏切までの距離と踏切の手前で安全に停止可能な速度との関係を示す停止速度パターンを生成し、保持している。これは、あらかじめ与えられる、ある初速(例えば、100km/h)から停止までに要する制動距離(例えば、650m)と減速度(例えば、2.3km/h/sec)から求められる(例えば、踏切までの距離をx(m)、安全に停止可能な速度をv(km/h)とすると、次のような関係式、x=制動距離+v×v/(7.2×減速度)−初速×初速/(7.2×減速度)等で求められる)。また、速度照査装置216は、上述のように、踏切までの距離と自車両の走行速度を位置検知装置213から受信している。そして、速度照査装置216は、処理装置211に接続されており、処理装置211からの動作開始の信号を受信すると、上述の停止速度パターンと踏切までの距離および自車両の走行速度とを照合し、自車両の走行速度が停止速度パターンを上まわっている場合、ブレーキ装置9に信号を送ってブレーキを作動させ、自車両が停止するまでそれが継続される。なお、停止速度パターンは関係式から生成するのではなく、データテーブルとしてあらかじめ保持していても良いし、パターンとして持たずに関係式からその都度求めても良い。
【0067】
処理装置211は、上述のように、無線通信装置212、位置検知装置213、表示装置214および速度照査装置216のそれぞれと接続され、さらに線路情報データベース215に接続されており、後述のように、図8および図9に示す動作フロー図に従い動作する。なお、処理装置211は、図8および図9の動作フロー図に示す処理をコンピュータ等のデジタル回路を用いてソフトウェア処理により実行しても良いし、アナログ回路を用いて行っても良い。
【0068】
地上装置220は、図7に示すように、処理装置221と“通信手段”としての無線通信装置222とから構成されている。処理装置221は、無線通信装置222および踏切制御装置41と接続されており、無線通信装置222を介して車載装置210から届いた遮断指示に従い、踏切を遮断状態にするよう踏切制御装置41へ遮断指示を出したり、“遮断検知手段”として遮断桿42及び警報器43の状態を踏切制御装置41から読み出し、無線通信装置222を介して車載装置210へ送信したりすることが可能となっている。
【0069】
なお、地上装置220が遮断検知手段として機能する際、踏切が遮断状態にあるか開放状態にあるかを検知する手段(例えば、マイクロスイッチやポテンショメータ等)を地上装置220自体が具備しても良いし、踏切の状態を表す信号を、併設された踏切制御装置41から得るようにしても良い。
なお、車載装置210から踏切の遮断指示があった場合、地上装置220は、踏切制御装置41へ遮断指示を出す前にまず踏切が遮断状態にあるか否かを確認し、遮断状態にないときのみ踏切制御装置41へ遮断指示を出すようにしても良い。開放指示の場合も同様である。
なお、処理装置221は、上記の処理をコンピュータ等のデジタル回路を用いてソフトウェア処理により実行しても良いし、アナログ回路を用いて行っても良い。
【0070】
(車載装置の動作フロー)
以下では、本実施の形態における車載装置210の動作の流れについて、図8および図9に示す動作フロー図に従って説明する。
【0071】
処理装置211は随時、位置検知装置213が算出したキロ程を受信して自車両が走行している位置を把握しており、また、線路情報データベース215に記憶された踏切の位置(キロ程)を参照して踏切までの距離を算出し、把握している。
処理装置211は、デュアルモード車両1Aが踏切に接近し、踏切前800m地点を通過するまで待機する(ステップS101:N)。踏切前800m地点を通過(ステップS101:Y)した後、踏切前650m地点を通過するまでの間(ステップS102:N)、処理装置211は無線通信装置212を介して地上装置220に踏切制御信号(鳴動)を送信し(ステップS103)、踏切状態表示灯を点滅状態にし(ステップS104)、地上装置220から送られてくる踏切動作信号を受信(ステップS105)して踏切の状態を把握する。そして、踏切が正常に動作して遮断状態になったことが確認できた場合(ステップS106:Y)、踏切状態表示灯を点灯状態にし(ステップS107)、速度照査装置216によるブレーキ制御を行うことなく、ステップS131の処理へ移るが、踏切が遮断状態になったことが確認できなかった場合(ステップS106:N)、ステップS102からの処理を繰り返す。
なお、踏切が遮断状態になったことが確認できないまま踏切前650m地点を通過した場合(ステップS102:Y)、ステップS111の処理へ移る。
【0072】
踏切が遮断状態になったことが確認できないまま踏切前650m地点を通過した後、処理装置211は、踏切前600m地点を通過するまでの間(ステップS111:N)、以下の処理を繰り返す。
まず、踏切が遮断状態になったことが確認できた場合(ステップS112:Y)、踏切状態表示灯を点灯状態にし(ステップS113)てステップS111の処理へ戻るが、踏切が遮断状態になったことが確認できなかった場合(ステップS112:N)、処理装置211は無線通信装置212を介して地上装置220に踏切制御信号(鳴動)を送信し(ステップS114)、地上装置220から送られてくる踏切動作信号を受信(ステップS115)して踏切の状態を把握した後、ステップS111の処理へ戻る。
なお、踏切前600m地点を通過した場合(ステップS111:Y)、踏切の状態には関係なくステップS121の処理へ移る。
【0073】
デュアルモード車両1Aが踏切前600m地点を通過すると、処理装置211は速度照査装置216に動作開始の信号を送信し(ステップS121)、ステップS122の処理へ移る。この時、動作を開始した速度照査装置216は、停止速度パターンと踏切までの距離および自車両の走行速度との照合ならびにブレーキ制御を、自車両が停止するまで継続する。
次いで、処理装置211は、踏切前200m地点を通過するまでの間(ステップS122:N)、以下の処理を繰り返す。
まず、踏切が遮断状態になったことが確認できた場合(ステップS123:Y)、踏切状態表示灯を点灯状態にし(ステップS124)てステップS122の処理へ戻るが、踏切が遮断状態になったことが確認できなかった場合(ステップS123:N)、処理装置211は無線通信装置212を介して地上装置220に踏切制御信号(鳴動)を送信し(ステップS125)、地上装置220から送られてくる踏切動作信号を受信(ステップS126)して踏切の状態を把握した後、ステップS122の処理へ戻る。
なお、踏切前200m地点を通過した場合(ステップS122:Y)、踏切の状態には関係なくステップS131の処理へ移る。
【0074】
処理装置211は、デュアルモード車両1Aが踏切前200m地点を通過した後、踏切通過後30m地点を通過するまで待機する(ステップS131:N)。ステップS121において速度照査装置216が動作を開始している場合、通常は、この待機中に速度照査装置216の機能によってデュアルモード車両1Aが停止して、速度照査装置216の動作が解除されるが、運転士が自らブレーキを操作してデュアルモード車両1Aを踏切前200m地点よりも手前で停止させた時にはステップS122からステップS126の処理を繰り返している間にデュアルモード車両1Aが停止して、速度照査装置216の動作が解除されることもあるが、その後の動作に影響はない。なお、速度照査装置216の機能によって、または、運転士のブレーキ操作によって、デュアルモード車両1Aが停止した後は、運転士の操作によってあらためて発進する。
【0075】
踏切通過後30m地点を通過するまで待機し(ステップS131:N)踏切通過後30m地点を通過(ステップS131:Y)した後、踏切通過後200m地点を通過するまでの間(ステップS132:N)、処理装置211は無線通信装置212を介して地上装置220に踏切制御信号(鳴動停止)を送信し(ステップS134)、踏切状態表示灯を点滅状態にし(ステップS135)、地上装置220から送られてくる踏切動作信号を受信(ステップS136)して踏切の状態を把握する。そして、踏切が正常に動作して開放状態になったことが確認できた場合(ステップS137:Y)、踏切状態表示灯を点灯状態にし(ステップS138)、踏切通過後200m地点を通過するまで待って(ステップS139)、踏切状態表示灯を消灯状態にし(ステップS140)、処理を終了するが、踏切が開放状態になったことが確認できなかった場合(ステップS137:N)、ステップS132からの処理を繰り返す。
なお、踏切が開放状態になったことが確認できないまま踏切通過後200m地点を通過した場合(ステップS132:Y)、踏切開放異常表示灯を点灯状態にし(ステップS133)てそのまま処理を終了する。なお、踏切開放異常表示灯は消灯スイッチ等を別途設けて、運転士が手動で解除するが、踏切通過後一定時間後に消灯するなどの機能を設けても良い。
【0076】
(地上装置の動作)
地上装置220は以下のような動作を行う。
処理装置221は、通常は、車載装置210からの鳴動または鳴動停止の踏切制御信号を受信できる状態で待機している。そして、踏切制御信号を受信すると、踏切制御信号にしたがって踏切制御装置41を動作させる。その後、踏切が遮断状態にあるか開放状態にあるかを踏切制御装置41から読み出し、無線通信装置222を介して車載装置210へ送信し、待機状態へと復帰する。なお、車載装置210への情報送信は、これ以外にも随時行って良い。
なお、地上装置220に、踏切等の故障を検知する自己診断機能や、自動車等による踏切支障を検知する機能を設けて、その情報を、踏切の状態を車載装置210へ送信する際に、併せて送信するようにしても良い。
【0077】
(踏切制御システムの動作等)
踏切制御システム200は、全体として以下のような動作を実現することとなる。
【0078】
デュアルモード車両1Aは、車載装置210に搭載された位置検知装置213により一定の間隔(例えば、0.25s間隔)で、自車両の車両位置を把握しており、上述のように処理装置211は自車両が踏切にどのくらい接近したか、どのくらい離れたかを判断することができる。
車載装置210は、踏切前800m地点を通過するまで待機状態を続ける。
【0079】
踏切前800m地点を通過後、車載装置210は地上装置220に踏切制御信号(鳴動)を送信して踏切を遮断状態にするよう遮断指示を出すと同時に、踏切状態表示灯を点滅状態にして踏切の動作待ちであることを運転席に表示する。地上装置220に搭載された処理装置221は、踏切制御信号(鳴動)を受信すると踏切制御装置41に踏切を遮断状態にするよう指示を出し、踏切が遮断状態になると、車載装置210に対して踏切が正常に動作したことを送信する。それを受信した車載装置210は踏切状態表示灯を点灯状態にして踏切の動作が正常に完了したことを運転席に表示する。この動作が正常に行われれば、デュアルモード車両1Aは減速や停止をすることなく踏切を通過することができる。
【0080】
しかし、デュアルモード車両1Aが踏切前650m地点を通過する時点で、それまで繰返し出された遮断指示に反応せず何らかの理由で踏切が遮断状態になっていなかった場合や車載装置210が踏切の動作信号を受信できていなかった場合、車載装置210は、システムが正常に動作していない場合に実行するシーケンスを開始する。
車載装置210は、踏切前650m地点を通過後も、地上装置220に踏切制御信号(鳴動)を送信し、地上装置220からの信号受信は引き続き行う。ただし、踏切が正常に動作したことを受信したとしても、踏切状態表示灯を点灯状態にして踏切の動作が正常に完了したことを運転席に表示し、踏切制御信号(鳴動)の送信は停止するが、踏切前600m地点を通過した時点で、速度照査装置216の動作を開始する。なお、踏切が正常に動作したことを受信しなかった場合は、踏切制御信号(鳴動)の送信と地上装置220からの信号受信を行いつつ、踏切前600m地点を通過した時点で、速度照査装置216の動作を開始する。
速度照査装置216が動作を開始した後も、踏切が正常に動作したことを受信するまでは踏切制御信号(鳴動)の送信と地上装置220からの信号受信は継続され、踏切が正常に動作したことを受信した場合には、踏切状態表示灯を点灯状態にし、踏切制御信号(鳴動)の送信を停止する。なお、デュアルモード車両1Aが踏切前200m地点を通過する時点で踏切が正常に動作したことを受信できていなかった場合にも、踏切制御信号(鳴動)の送信と地上装置220からの信号受信は停止される。
速度照査装置216が動作を開始すると、上述のように停止速度パターンに従い、踏切の手前(例えば、踏切の50m手前)でデュアルモード車両1Aが停止するようブレーキ装置9を作動させ、停止した時点で速度照査装置216の動作は解除される。その後、デュアルモード車両1Aは走行を再開する。
なお、速度照査装置216の動作解除はデュアルモード車両1Aが停止した時点に限らず、例えば、エンジンキーを一度OFFにして再度ONにしたり、動作解除ボタンを別途設けてそれを操作したりする等、他の操作を行い動作解除するようにしても良い。
【0081】
デュアルモード車両1Aが踏切を通過し、踏切通過後30m地点を通過した後、車載装置210は踏切を開放状態にするための動作を開始する。
車載装置210は地上装置220に踏切制御信号(鳴動停止)を送信して踏切を開放状態にするよう開放指示を出すと同時に、踏切状態表示灯を点滅状態にして踏切の動作待ちであることを運転席に表示する。地上装置220に搭載された処理装置221は、踏切制御信号(鳴動停止)を受信すると踏切制御装置41に踏切を開放状態にするよう指示を出し、踏切が開放状態になると、車載装置210に対して踏切が正常に動作したことを送信する。それを受信した車載装置210は踏切状態表示灯を点灯状態にして踏切の動作が正常に完了したことを運転席に表示する。踏切状態表示灯は、踏切通過後200m地点を通過した後、消灯する。
しかし、デュアルモード車両1Aが踏切通過後200m地点を通過するまでに、何らかの理由で踏切が開放状態にならなかった場合や車載装置210が踏切の動作信号を受信できなかった場合、車載装置210は、踏切開放異常表示灯を点灯し踏切の異常を運転席に表示する。
【0082】
(踏切制御システムの効果)
以上のように、本実施の形態に係る踏切制御システム200は、位置検知装置213によって自車両の車両位置を検知して踏切に接近したことを判断し、踏切制御装置41に対して遮断指示を出すことから、軌道回路や踏切制御子に依存しない踏切制御システムを構築することができ、大規模な地上設備を設けることなく踏切の制御を好適に行うことができる。
【0083】
また、本実施の形態に係る踏切制御システム200は、位置検知装置213によって自車両の車両位置を検知して踏切に接近したことを判断し、踏切が踏切制御信号(鳴動)に反応せず遮断状態にならなかった場合、あるいは遮断状態になったと確認できなかった場合に、踏切制御装置41に対して遮断指示を出すことから、軌道回路や踏切制御子に依存しない踏切制御システムを構築することができ、大規模な地上設備を設けることなく踏切の制御を好適に行うことができる。
【0084】
また、本実施の形態に係る踏切制御システム200は、踏切手前の特定の位置(例えば、踏切前650m地点)で、踏切が踏切制御信号(鳴動)に反応せず遮断状態にならなかった場合、あるいは遮断状態になったと確認できなかった場合には、速度照査装置216が停止速度パターンと車両位置および走行速度とを照合してブレーキ装置9を作動させることから、停止速度パターンにしたがって車両を踏切の手前で停止させることができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る踏切制御システム200は、接近した踏切の状態を表示装置214によって運転席に表示することから、運転席において踏切の状態を確認することができ、踏切通過の安全性をさらに高めることにつながる。
【0086】
また、本実施の形態に係る踏切制御システム200は、デュアルモード車両1Aが踏切を通過して所定距離以上離れたことを判断し、踏切制御装置41に対して開放指示を出すことから、軌道回路や踏切制御子に依存しない踏切制御システムを構築することができ、大規模な地上設備を設けることなく踏切の制御を好適に行うことができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る踏切制御システム200は、踏切が踏切制御信号(鳴動停止)に反応せず開放状態にならなかった場合、あるいは開放状態になったと確認できなかった場合には、踏切開放異常表示灯が点灯することから、運転席において踏切の異常を確認することが可能となり、地上装置220の動作をリセットするなどの措置を別途とることができる。
【0088】
(その他)
なお、本実施の形態に係る踏切制御システム200においては、デュアルモード車両1Aの車両位置の情報をそのまま無線通信装置212,222を介して地上装置220で受けるようにするとともに、踏切への遮断指示を出すか否かを判断することができる“遮断指示手段”を地上装置220が備えていても良い。
【0089】
なお、本実施の形態に係る踏切制御システム200においては、踏切前800m地点、踏切前650m地点、踏切前600m地点、踏切前200m地点、踏切通過後30m地点、踏切通過後200m地点を動作切換点として用いているが、この例に限定されず、必要に応じてこれら動作切換点のうちの一部あるいは全部を前後に移動させても良い。
【0090】
なお、本実施の形態に係る踏切制御システム200においては、ブレーキ装置9を電子制御とし、速度照査装置216から信号を送信しブレーキを作動させることとしたが、ブレーキの油圧制御を直接行う装置を車載装置210が備えていても良い。
【0091】
なお、本実施の形態に係る踏切制御システム200においては、処理装置211,221や無線通信装置212,222等をそれぞれ2台ずつ設けて二重化し、万が一どちらかが故障しても踏切の制御に支障が出ないよう構成しても良い。
【0092】
なお、本実施の形態においては、踏切制御子や軌道回路を備えていない踏切制御装置41に踏切制御システム200を適用する例を示したが、第1の実施の形態に示した踏切制御装置21のように、踏切制御子等を備えた踏切制御装置に踏切制御システム200を適用しても良い。その場合、デュアルモード車両1Aが踏切に接近する場合は、踏切制御システム200からの遮断指示または踏切制御子からの信号のどちらか一方の受信によって踏切を遮断状態にし、踏切通過後は、踏切制御システム200からの開放指示および踏切制御子からの信号の両方を受信した後に踏切を開放状態にするよう構成することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明における実施の形態に係るデュアルモード車両の主要な構成要素を表す(a)側面図、(b)底面図である。
【図2】本発明における第1の実施の形態に係る踏切動作支援システムの説明図である。
【図3】本発明における第1の実施の形態に係る踏切動作支援システムを構成する各装置間の関係を表すブロック図である。
【図4】本発明における第1の実施の形態に係る踏切動作支援システムの車載装置の動作を表すフロー図(前半)である。
【図5】本発明における第1の実施の形態に係る踏切動作支援システムの車載装置の動作を表すフロー図(後半)である。
【図6】本発明における第2の実施の形態に係る踏切制御システムの説明図である。
【図7】本発明における第2の実施の形態に係る踏切制御システムを構成する各装置間の関係を表すブロック図である。
【図8】本発明における第2の実施の形態に係る踏切制御システムの車載装置の動作を表すフロー図(踏切前)である。
【図9】本発明における第2の実施の形態に係る踏切制御システムの車載装置の動作を表すフロー図(踏切通過後)である。
【図10】本発明における第2の実施の形態に係る速度照査装置が生成する停止速度パターンである。
【符号の説明】
【0094】
1,1A デュアルモード車両(車両)
2 車体
3 前方ゴムタイヤ
4 後方ゴムタイヤ
3a,4a ゴムタイヤ用車軸
5 前方ガイド輪
6 後方ガイド輪
5a,6a ガイド輪用車軸
7,8 油圧アクチュエータ
9 ブレーキ装置
20,40 踏切警報装置
21,41 踏切制御装置
22,42 遮断桿
23,43 警報器
100 踏切動作支援システム(踏切制御システム)
110 車載装置(遮断指示手段)
111 処理装置
112 無線通信装置(通信手段)
113 位置検知装置(測位手段)
114 表示装置(踏切状態表示手段)
115 踏切位置情報データベース
120 地上装置(遮断検知手段、遮断指示手段)
121 処理装置
122 無線通信装置(通信手段)
200 踏切制御システム
210 車載装置(遮断指示手段)
211 処理装置
212 無線通信装置(通信手段)
213 位置検知装置(測位手段)
214 表示装置(踏切状態表示手段、踏切開放異常表示手段)
215 線路情報データベース
216 速度照査装置(速度照査手段)
220 地上装置(遮断検知手段、遮断指示手段)
221 処理装置
222 無線通信装置(通信手段)
A,B 踏切制御子
R レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた車載装置と、踏切を制御する踏切制御装置に併設された地上装置とからなる踏切制御システムであって、
前記車載装置は、GPS衛星を利用して自車両の車両位置を検知する測位手段と、踏切の制御を支援するために必要な情報について前記地上装置との間で通信を行う通信手段と、を備え、
前記地上装置は、前記車載装置との間で通信を行う通信手段を備え、
前記車載装置または前記地上装置のいずれか一方に、前記測位手段により得られる車両位置に基づいて前記車両が踏切の手前の所定距離以内にいると判断した場合に、前記踏切制御装置に対して遮断指示を出す遮断指示手段を備えることを特徴とする踏切制御システム。
【請求項2】
前記地上装置は、既存の踏切制御装置に併設されるとともに、踏切が遮断状態にあるか開放状態にあるかを検知する遮断検知手段を備え、
前記遮断指示手段は、前記車両が踏切の手前の所定距離以内におり、かつ、前記遮断検知手段からの情報に基づいて踏切が開放状態にあると判断した場合に、前記踏切制御装置に対して遮断指示を出すことを特徴とする請求項1に記載の踏切制御システム。
【請求項3】
前記遮断指示手段は、前記車両が踏切の手前の所定距離以内におり、かつ、踏切が遮断状態にあることを確認できなかった場合に、前記踏切制御装置に対して遮断指示を出すことを特徴とする請求項2に記載の踏切制御システム。
【請求項4】
前記車載装置は、踏切が前記遮断指示に反応せず遮断状態にならなかった場合、あるいは遮断状態になったと確認できなかった場合、踏切までの距離と踏切の手前で安全に停止可能な速度との関係を示す停止速度パターンと、前記測位手段により得られる車両位置および走行速度とを照合して、走行速度が停止可能速度を上まわった場合に自車両のブレーキ装置を作動させる速度照査手段を備えることを特徴とする請求項2または3のいずれか一項に記載の踏切制御システム。
【請求項5】
前記車載装置は、接近した踏切が遮断状態にあるか開放状態にあるかを表示する踏切状態表示手段を備えることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の踏切制御システム。
【請求項6】
前記遮断指示手段は、前記車両が踏切を通過して所定距離以上離れたと判断した場合に、前記踏切制御装置に対して開放指示を出すことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の踏切制御システム。
【請求項7】
前記遮断指示手段は、前記車両が踏切を通過して所定距離以上離れたと判断した場合に、前記踏切制御装置に対して開放指示を出し、
前記車載装置は、踏切が前記開放指示に反応せず開放状態にならなかった場合、あるいは開放状態になったと確認できなかった場合、その旨を表示する踏切開放異常表示手段を備えることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の踏切制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−207794(P2008−207794A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21377(P2008−21377)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(590003825)北海道旅客鉄道株式会社 (94)
【出願人】(599142590)北海道ジェイ・アール・サイバネット株式会社 (14)
【Fターム(参考)】