説明

車両のエアバッグ装置

【課題】エアバッグ開口部を小さくして内装材に加わる負荷を減少させ、エアバッグ開口部を小さくして設計の自由度を高めた車両のエアバッグ装置を提供する。
【解決手段】エアバッグ装置11は、エアバッグ(右第1エアバッグ本体)17は、ガスを充填する第1袋体71に第2袋体72を重ねて所定の厚さTを得る構成とし、これらの第1・第2袋体71,72のうち第1袋体71の一方の縁側である下布部76にインフレータ45を接続するガス流入部81を形成するとともに、一方の縁側に対向する他方の縁側である上布部77に第1袋体71と第2袋体72同士を連通する連通孔73を開けた。エアバッグ開口部66の幅Wに対して空く。第1袋体71をほぼ満たした反応ガスは、連通孔73を通過して、漸次第2袋体72を膨らませ始める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃から乗員を保護する車両のエアバッグ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のエアバッグ装置は、衝撃を受けたときに、インフレータから放出されるガスによってエアバッグを膨らませ、膨らませたエアバッグで乗員を受け止め、乗員に加わる衝撃を緩和する。膨らませたエアバッグの強度を向上させることを目的にストラップを取付けた構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−1188号公報(第6頁、図1)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図20は、従来の技術の基本構成を説明する図であり、従来のエアバッグ装置の袋体301は、運転席側のドア内に配置したもので、上布302と下布303との間である袋体301内にストラップ304を縫い合わせることで、大きな強度を確保することができる。ストラップ304は、膨脹室306〜311を形成するため、膨脹室306〜311にインフレータ316のガスをストラップ304に開けた連通孔312〜315で導く。
【0004】
しかし、特許文献1のエアバッグ装置の袋体301では、連通孔312〜315によってインフレータ316のガスを膨脹室306〜311に瞬時に充填することができるが、膨脹する袋体301をドアから出すためのエアバッグ開口部及びエアバッグ開口部の蓋を大きくする必要がある。特に、ルーフに配置するカーテンエアバッグ装置やドアに配置するサイド用のエアバッグ装置では、エアバッグ開口部及び蓋を大きくすると、設計の自由度が低下する。
また、エアバッグ開口部及び蓋を大きくすると、樹脂製のドアライニングなど内装材の強度を確保し難くなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、エアバッグ開口部を小さくして内装材に加わる負荷を減少させ、エアバッグ開口部を小さくして設計の自由度を高めた車両のエアバッグ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車両が衝撃を受けたときに、インフレータから放出されるガスによって車両の側壁の内側に沿って展開するエアバッグを備えるエアバッグ装置であって、エアバッグは、ガスを充填する袋体を複数重ねて所定の厚さを得る構成とし、これらの袋体のうち何れか一つの袋体の一方の縁側にインフレータを接続するガス流入部を形成するとともに、一方の縁側に対向する他方の縁側に袋体同士を連通する連通孔を開けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、一方の縁側に前記連通孔より小さい先行連通孔を開けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明では、エアバッグは、ガスを充填する袋体を複数重ねて所定の厚さを得る構成とし、これらの袋体のうち何れか一つの袋体の一方の縁側にインフレータを接続するガス流入部を形成するとともに、一方の縁側に対向する他方の縁側に袋体同士を連通する連通孔を開けたので、ガス流入部を形成した袋体のみが先行して膨らみ始め、ガス流入部を形成した袋体のみでエアバッグを収納した蓋を押し開けることができ、蓋が開いたエアバッグ開口部に、重ねた袋体を膨らませる圧力が同時に加わらない。従って、エアバッグ開口部である孔若しくは切り欠きを小さくして、内装材に加わる負荷(応力集中)を減少させることができるという利点がある。
【0009】
また、ガス流入部を形成した袋体のみが先行して膨らみ始め、ガス流入部を形成した薄い袋体のみで蓋を押し開けることができる。従って、エアバッグ開口部を小さくして設計の自由度を高めることができるという利点がある。
【0010】
請求項2に係る発明では、一方の縁側に連通孔より小さい先行連通孔を開けたので、インフレータの反応ガスを、ガス流入部を形成した袋体に吹き込んでいるときに、先行連通孔を通して、重ねた袋体に反応ガスを吹き込むことができ、先行連通孔を開けないものに比べ、重ねた袋体を短時間で膨らませることができる。従って、エアバッグの展開時間を短縮することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の車両のエアバッグ装置(第1実施の形態)を説明する図である。
図2は、本発明の車両のエアバッグ装置(第1実施の形態)を作動させた状態を示す図である。
【0012】
エアバッグ装置(第1実施の形態)11は、車両12に採用し、車両12の左に設けた側壁13の内側に沿って左のエアバッグ14,15を展開すると同時に、車両12の右に設けた側壁16の内側に沿って右のエアバッグ17,18を展開するもので、エアバッグ14,15,17,18の展開を制御するエアバッグ制御装置19を備える。具体的には後述する。
【0013】
車両12は、屋根21を開閉することができる四人乗りのコンバーチブルで、屋根21と、サイドボデー22,23と、左ドア24、右ドア25と、第1列座席26と、第1列座席26の後に配置した第2列座席27と、車室28とを有する。
【0014】
側壁13は、左ドア24の窓や閉じたドアガラスであり、さらに、第2列座席27用にサイドボデー22に配置した窓やガラスやパネルである。
側壁16は、右ドア25の窓や閉じたドアガラス57(図3参照)であり、さらに、第2列座席27用にサイドボデー23に配置した窓やガラスやパネルである。
【0015】
第1列座席26は、運転席の座席31と、助手席の座席32とからなる。
第2列座席27は、助手席の後に左後座席33を配置し、左後座席33に連ねて右後座席34を配置したものである。
【0016】
ここで、図上の軸は、座標軸であり、直線で動く方向を示す。Xは前後に水平な直線運動を示す軸、YはXに直交する軸、ZはX,Yに直交する鉛直軸である。
【0017】
エアバッグ装置11は、左ドア24内に左ドアエアバッグ装置35を配置し、右ドア25内に右ドアエアバッグ装置36を配置し、左のサイドボデー22内に左後側壁エアバッグ装置37を配置し、右のサイドボデー23内に右後側壁エアバッグ装置38を配置し、エアバッグ制御装置19によって制御される。
【0018】
エアバッグ制御装置19は、車両12に配置して車両12の衝突や横転を検出する車両状態検出手段41と、車両状態検出手段41の情報に基づいてエアバッグ装置11を制御する制御部42と、を備える。
【0019】
左ドアエアバッグ装置35は、左ドア24内に収納ケース44を配置し、収納ケース44内にエアバッグ14であるところの左第1エアバッグ本体14を収納し、左第1エアバッグ本体14にインフレータ(ガス発生装置)45を接続し、インフレータ45に制御部42を接続したものである。
右ドアエアバッグ装置36は、対称軸線Sを基準に左ドアエアバッグ装置35と対称であり、右ドア25のエアバッグ17であるところの右第1エアバッグ本体17を有する。具体的には後述する。
【0020】
左後側壁エアバッグ装置37は、サイドボデー22内に収納ケース46を配置し、収納ケース46内にエアバッグであるところの左第2エアバッグ本体15を収納し、左第2エアバッグ本体15にインフレータ(ガス発生装置)47を接続し、インフレータ47に制御部42を接続したものである。
右後側壁エアバッグ装置38は、対称軸線Sを基準に左後側壁エアバッグ装置37と対称であり、エアバッグ18であるところの右第2エアバッグ本体18を有する。
【0021】
図3は、本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の分解図である。
右ドアエアバッグ装置36は、右ドア25のインナーパネル51の車室側面52に収納ケース44をボルト53・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)で取付け、インナーパネル51の車室側面52にインフレータ45をボルト53,53で取付け、インナーパネル51の車室側面52に内装材(ドアライニング)54を取付けるとともに、内装材(ドアライニング)54に成形した蓋嵌合部55に収納ケース44の内装部56を嵌める。57はインナーパネル51の外方側に配置するドアガラスを示す。
【0022】
図4は、図1の4−4線断面図である。
右ドアエアバッグ装置36は、具体的には、右ドア25の鋼板のインナーパネル51と樹脂製の内装材(ドアライニング)54との間に配置したもので、インナーパネル51の車室側面52にブラケット61,61を介してインフレータ45を固定するとともに、車室側面52に収納ケース44のブラケット62を介して取付け、収納ケース44内に右第1エアバッグ本体17を折り畳んで入れ、補強蓋63で閉じ、補強蓋63に樹脂製の内装部56を重ね、内装部56に蓋64を形成したものである。
【0023】
内装部56は、内装材54に成形した蓋嵌合部55に嵌るもので、内装材54と同様の質感(模様や色など)に成形した。
蓋64は、内装部56に幅Wで成形した部位で、内装部56の裏に溝状に形成したヒンジ部65を有し、ヒンジ部65を回動支点にして蓋64を開けると幅Wのエアバッグ開口部66となる。
インフレータ45は、既存の構成と同様であり、反応ガスで右ドア25の右第1エアバッグ本体17を膨らませる。
【0024】
図5(a)、(b)は、本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の詳細図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17は、第1袋体71と、第1袋体71に重ねた第2袋体72と、第2袋体72と第1袋体71を連通する連通孔73・・・とからなり、重ねた状態の第1袋体71を乗員M(図7参照)に対向させ、重ねた状態の第2袋体72をドアガラス57(図7参照)に対向させて配置したものである。
また、右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17は、厚さをTで形成し、厚さTをエアバッグ開口部66の幅Wの、例えば約1.7倍に設定した。
【0025】
第1袋体71は、一方の縁側に相当する下布部76と、下布部76に対向し且つ他方の縁側に相当する上布部77と、下布部76の下隅に開けてインフレータ45を接続するガス流入部81と、上布部77の上部に開けるとともに連通孔73の一部をなす孔82・・・と、からなる。Dは孔82の直径、連通孔73の直径を示す。
第1袋体71の厚さをT1に設定するとともに、厚さT1を、厚さTの約50%、エアバッグ開口部66の幅Wの約60%に設定した。84は縫い合わせ部を示す。
【0026】
第1袋体71を製造する場合には、縫い合わせ部84を縫うように生地を裁断するが望ましいが、生地から裁断する形状は任意である。
なお、下布部76と上布部77は、部位を特定するための名称である。
【0027】
第2袋体72は、下布部86と、下布部86に対向する上布部87と、上布部87の上部に開けて第1袋体71の孔82・・・に一致させ且つ、連通孔73の残りの部位をなす孔88・・・と、からなる。Dは孔88の直径を示す。
第2袋体72の厚さをT2に設定するとともに、厚さT2を、厚さTの約50%、エアバッグ開口部66の幅Wの約60%に設定した。91は縫い合わせ部を示す。
【0028】
第2袋体72を製造する場合には、縫い合わせ部91を縫うように生地を裁断するが望ましいが、生地から裁断する形状は任意である。
なお、下布部86と上布部87は、部位を特定するための名称である。
連通孔73は、孔82と、孔82に一致させた孔88とからなる。
【0029】
なお、右第1エアバッグ本体17内にストラップ93,93を二点鎖線のように取付けることも可能である。
図2の右第2エアバッグ本体18は、右第1エアバッグ本体17ほぼ同様である。
図2の左第1エアバッグ本体14は、左ドア24に配置したもので、右ドア25に配置した右第1エアバッグ本体17と対称である。
左第2エアバッグ本体15は、右第2エアバッグ本体18と対称である。
【0030】
エアバッグ装置(第1実施の形態)11は、四人乗りのコンバーチブル(車両)12に採用したが、図10に示す二人乗りのコンバーチブル(車両)12Cに採用してもよい。二人乗りのコンバーチブル(車両)12Cの場合には、左のサイドボデー22内に配置した左後側壁エアバッグ装置37及び右のサイドボデー23内に配置した右後側壁エアバッグ装置38を省く。
【0031】
次に、本発明のエアバッグ装置の作用を説明する。
図2の右ドア25に配置した右第1エアバッグ本体17を例に説明するが、左ドア24に配置した左第1エアバッグ本体14、左・右のサイドボデー22,23に配置した左・右第2エアバッグ本体15,18も右第1エアバッグ本体17と同様の作用である。
【0032】
車両12が衝突したときや車両12に横転が起き始めたときに、左・右ドア24,25にそれぞれ配置した左第1エアバッグ本体14,17は膨らむと同時に、サイドボデー22,23にそれぞれ配置した左・右第2エアバッグ本体15,18は膨らむ。次に具体的に説明する。
【0033】
図6は、本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の作用を説明する第1作用図である。図1〜図5を併用して説明する。
具体的には、正面衝突や側面衝突など衝突が起きると、車両状態検出手段41の衝突情報に基づいて、制御部42は衝突であると判断して作動情報を出力し、作動情報に基づいて右ドア25内のインフレータ45は作動して反応ガスを第1袋体71のみに矢印a1のように吹き込むので、第1袋体71は補強蓋63を開くと同時に、蓋64をヒンジ部65を回動支点にして開く。
【0034】
図7は、本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の作用を説明する第2作用図である。
インフレータ45が反応ガスを第1袋体71に吹き込み続けると、第1袋体71のみが先に厚さT1で膨らむので、エアバッグ開口部66の幅Wに対して、例えば、幅Wの約40%が空き、第1袋体71を展開する際の内装部56に伝わる負荷を低減することができる。
【0035】
引き続き、第1袋体71に反応ガスを吹き込み続けると、第1袋体71をほぼ満たした反応ガスは、連通孔73・・・を矢印a2・・・のように通過して、第2袋体72の上部側から漸次第2袋体72を膨らませ始める。
【0036】
図8は、本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の作用を説明する第3作用図である。
連通孔73・・・から反応ガスを吹き込むと、第2袋体72は厚さT2まで膨らむと同時に、右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17は厚さTまで膨らむので、所定の厚さTの右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17を展開することができる。
【0037】
このように、エアバッグ装置11では、エアバッグ(右第1エアバッグ本体)17は、ガスを充填する第1袋体71に第2袋体72を重ねて所定の厚さTを得る構成とし、これらの第1・第2袋体71,72のうち第1袋体71の一方の縁側である下布部76にインフレータ45を接続するガス流入部81を形成するとともに、一方の縁側に対向する他方の縁側である上布部77に第1袋体71と第2袋体72同士を連通する連通孔73を開けたので、ガス流入部81を形成した第1袋体71のみが先行して膨らみ始め、第1袋体71のみで蓋64を押し開けることができ、蓋64が開いたエアバッグ開口部66に第2袋体72を膨らませる圧力が同時に加わらない。すなわち、蓋64を押し開ける際に、内装部56を含めた内装材(ドアライニング)54に加わる衝撃を軽減することができる。従って、エアバッグ開口部66である孔若しくは切り欠きを小さくして内装材54に加わる負荷(応力集中)を減少させることができる。
【0038】
また、ガス流入部81を形成した第1袋体71のみが先行して膨らみ始め、薄い第1袋体71のみで蓋64を押し開けることができる。従って、エアバッグ開口部66を小さくして設計の自由度を高めることができる。
【0039】
さらに、エアバッグ装置11では、エアバッグ開口部66である孔若しくは切り欠きを小さくして内装材54に加わる負荷(応力集中)を減少させることができ、結果的に、内装材54の厚さを薄くして、軽量化を図ることができる。
【0040】
次に、本発明のエアバッグ装置の「別の実施の形態」を説明する。
図9(a)、(b)は、第2実施の形態の詳細図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のb−b線断面図である。上記図1〜図8に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0041】
第2実施の形態のエアバッグ装置11Bは、第1袋体71の一方の縁側である下布部76に先行連通孔121を開けたことを特徴とする。先行連通孔121は、連通孔73より小さいことを特徴とする。
【0042】
具体的には、右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Bは、第1袋体71の上布部77に孔82・・・を8個開け、第1袋体71の下布部76に小孔122・・・を径Dsで8個開け、第2袋体72の上布部87に孔88・・・を孔82・・・に一致させて開け、第2袋体72の下布部86に小孔123・・・を小孔122・・・に一致させて開けたものである。当然、先行連通孔121の径は、小孔122,123の径Dsである。
先行連通孔121の径Dsは、連通孔73の径Dより小さい。
「連通孔73より小さい」とは、連通孔73の断面積に対して先行連通孔121の断面積が小さいことである。
【0043】
ここでは、連通孔73は先行連通孔121を含む。すなわち、第2実施の形態のエアバッグ装置11Bでは、連通孔73を複数形成し、これらの複数のうち、他方の縁側に相当する上布部77に開けた連通孔73は、一方の縁側に相当する下布部76に開けた先行連通孔121より大きい。
【0044】
なお、連通孔73を真円に形成したが、真円に限定しない。例えば、楕円の孔でもよく三角形の孔でもよい。
連通孔73の数は8個にしたが、連通孔73の数は任意であり、7個でも可能である。
先行連通孔121の数は、任意であり、例えば4個でも3個でも可能である。
連通孔73・・・及び先行連通孔121・・・を垂直、水平に直線に並べたが、孔73・・・,121・・・を千鳥に配置してもよい。
【0045】
第2実施の形態のエアバッグ装置11Bでは、第1実施の形態のエアバッグ装置11と同様の効果を発揮する。つまり、エアバッグ開口部66を小さくして内装材54に加わる負荷を減少させることができる。また、エアバッグ開口部66を小さくして設計の自由度を高めることができる。
【0046】
さらに、第2実施の形態のエアバッグ装置11Bでは、一方の縁側である下布部76に連通孔73より小さい先行連通孔121を開けたので、インフレータ45の反応ガスを矢印b1のように第1袋体71に吹き込む過程(図7参照)において、第2袋体72に先行連通孔121・・・から反応ガスを矢印b2,b2のように吹き込むことができ、先行連通孔121を開けないものに比べ、第2袋体72を短時間で膨らませることができる。従って、右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Bの展開時間を短縮することができる。
【0047】
次に、第3実施の形態を説明する。
図10は、第3実施の形態の説明図である。上記図1〜図8に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
第3実施の形態のエアバッグ装置11Cは、車両12Cに採用したもので、左ドア24に配置した左ドアエアバッグ装置35Cの左第1エアバッグ本体(エアバッグ)14Cと、右ドア25に配置した右ドアエアバッグ装置36Cの右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Cと、を備えたことを特徴とする。
【0048】
車両12Cは、屋根21Cを開閉することができる二人乗りのコンバーチブルで、屋根21Cと、左ドア24、右ドア25と、運転席の座席31と、助手席の座席32と、を有する。左ドア24内に左ドアエアバッグ装置35Cの左第1エアバッグ本体14Cを配置し、右ドア25内に右ドアエアバッグ装置36Cの右第1エアバッグ本体17Cを配置した。
左第1エアバッグ本体14Cと右第1エアバッグ本体17Cは対称であり、以降は右第1エアバッグ本体17Cを主体に説明する。
【0049】
図11(a)、(b)は、第3実施の形態の詳細図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
上記図1〜図8に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0050】
右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Cは、他方の縁側に相当する上布部77Cに形成した連通孔73・・・と、インフレータ45の反応ガスを吹き込むことで、垂直(Z軸方向)に且つ縦長(Z軸方向)に膨らませる第1〜第12ガス充填部141〜152と、を備えたことを特徴とする。154・・・はガスを吹き込まない非充填部を示す。
【0051】
右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Cは、具体的には、第1袋体71Cと、第1袋体71Cに重ねた第2袋体72Cと、第2袋体72Cと第1袋体71Cを連通する連通孔73・・・とを備え、重ねた状態の第1袋体71Cを乗員M(図7参照)に対向させ、重ねた状態の第2袋体72Cをドアガラス57(図7参照)に対向させて配置したものである。
【0052】
また、右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Cは、インフレータ(ガス発生装置)45に連通する分配路156を形成し、分配路156に連通する第1ガス充填部141を幅Wcで形成し、分配路156に連通する第2〜第5ガス充填部142〜145をそれぞれ幅Wcで形成し、第5ガス充填部145に連通する第6ガス充填部146を幅Wcで形成した。
【0053】
さらに、右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Cは、第1ガス充填部141の上部に開けた連通孔73を介して連通する第7ガス充填部147を形成し、第2〜第5ガス充填部142〜145のそれぞれの上部に開けた連通孔73・・・を介して、第2ガス充填部142に連通する第8ガス充填部148を形成し、第3ガス充填部143に連通する第9ガス充填部149を形成し、第4ガス充填部144に連通する第10ガス充填部150を形成し、第5ガス充填部145に連通する第11ガス充填部151を形成し、第6ガス充填部146に連通する第12ガス充填部152を形成した。
第7〜第11ガス充填部147〜151はともに、幅Wcで形成した。
【0054】
第1袋体71Cは、下布部76Cと、下布部(一方の縁側)76Cに対向する上布部(他方の縁側)77Cと、下布部76Cの下隅に開けてインフレータ45を接続するガス流入部81と、上布部77Cの上部に開けるとともに連通孔73の一部をなす孔82C・・・と、第1〜第6ガス充填部141〜146と、を備える。
【0055】
第2袋体72Cは、下布部86Cと、下布部86Cに対向する上布部87Cと、上布部87Cの上部に開けて第1袋体71Cの孔82C・・・に一致させ且つ、連通孔73の残りの部位をなす孔88C・・・と、第7〜第12ガス充填部147〜152と、を備える。
【0056】
次に、第3実施の形態の作用を簡単に説明する。
インフレータ45は作動して反応ガスを第1袋体71Cの第1〜第6ガス充填部141〜146のみに矢印c1のように吹き込むので、第1袋体71Cの第1〜第6ガス充填部141〜146は補強蓋63を開くと同時に、蓋64をヒンジ部65を回動支点にして開く。
【0057】
インフレータ45が反応ガスを第1袋体71Cの第1〜第6ガス充填部141〜146に吹き込み続けると、第1袋体71Cの第1〜第6ガス充填部141〜146のみが先に厚さT1で膨らむので、エアバッグ開口部66の幅Wに対して、幅Wの40%が空き、第1袋体71を展開する際の内装部56に伝わる負荷を低減することができる。
【0058】
引き続き、反応ガスを第1袋体71Cの第1〜第6ガス充填部141〜146に吹き込み続けると、第1袋体71Cの第1〜第6ガス充填部141〜146をほぼ満たした反応ガスは、連通孔73・・・を矢印c2・・・のように通過して、第2袋体72Cの第7〜第12ガス充填部147〜152の上部側から第2袋体72Cの第7〜第12ガス充填部147〜152を漸次膨らませ始める。
【0059】
このように、第3実施の形態のエアバッグ装置11Cでは、第1実施の形態のエアバッグ装置11と同様の効果を発揮する。つまり、エアバッグ開口部66を小さくして内装材54に加わる負荷を減少させることができる。また、エアバッグ開口部66を小さくして設計の自由度を高めることができる。
【0060】
なお、一方の縁側である下布部76Cに連通孔73より小さい先行連通孔121を図9に示すように開けてもよい。先行連通孔121を開けることで、第2実施の形態のエアバッグ装置11Bと同様に、右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Cの展開時間を短縮することができる。
【0061】
エアバッグ装置11Cは、インフレータ45を採用したが、インフレータ159(図12参照)を採用してもよい。例えば、インフレータ159に直接、第1〜第5ガス充填部141〜145を連通する。
エアバッグ装置(第3実施の形態)11Cは、二人乗りのコンバーチブル(車両)12Cに採用したが、図1の四人乗りのコンバーチブル(車両)12に採用してもよい。四人乗りの場合には、左のサイドボデー22内に配置した左後側壁エアバッグ装置37を左ドアエアバッグ装置35Cとほぼ同様の構成とし、右のサイドボデー23内に配置した右後側壁エアバッグ装置38を右ドア用右ドアエアバッグ装置36Cとほぼ同様の構成とする。
【0062】
次に、第4実施の形態を説明する。
図12は、第4実施の形態の斜視図であり、図11に対応する図である。上記図1〜図11に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
第4実施の形態のエアバッグ装置11Dは、車両12Cに採用したもので、右ドアエアバッグ装置の右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Dを備えたことを特徴とする。
【0063】
右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Dは、他方の縁側に相当する上布部77Dに形成した連通孔73・・・と、インフレータ(ガス発生装置)159に連通しガスを吹き込むことで、角度θだけ斜めに且つ長尺に膨らむ第1〜第12ガス充填部161〜172と、を備えたことを特徴とする。175・・・はガスを吹き込まない非充填部を示す。
インフレータ159は、既存の構成と同様である。
【0064】
右第1エアバッグ本体17Dは、具体的には、第1袋体71Dと、第1袋体71Dに重ねた第2袋体72Dと、第2袋体72Dと第1袋体71Dを連通する連通孔73・・・とを備え、重ねた状態の第1袋体71Dを乗員M(図7参照)に対向させ、重ねた状態の第2袋体72Dをドアガラス57(図7参照)に対向させて配置したものである。
【0065】
また、右第1エアバッグ本体17Dは、第1ガス充填部161の上部に開けた連通孔73を介して連通する第7ガス充填部167を形成し、第2〜第6ガス充填部162〜166のそれぞれの上部に開けた連通孔73・・・を介して、第2ガス充填部162に連通する第8ガス充填部168を形成し、第3ガス充填部163に連通する第9ガス充填部169を形成し、第4ガス充填部164に連通する第10ガス充填部170を形成し、第5ガス充填部165に連通する第11ガス充填部171を形成し、第6ガス充填部166に連通する第12ガス充填部172を形成した。
【0066】
第1袋体71Dは、下布部(一方の縁側)76Dと、下布部76Dに対向する上布部(他方の縁側)77Dと、下布部76Dの下端にインフレータ159を接続するガス流入部177と、上布部77Dの上部に開けるとともに連通孔73の一部をなす孔82・・・と、を備える。
【0067】
第2袋体72Dは、下布部86Dと、下布部86Dに対向する上布部87Dと、上布部87Dの上部に開けて第1袋体71Dの孔82・・・に一致させ且つ、連通孔73の残りの部位をなす孔88・・・と、を備える。
【0068】
第4実施の形態のエアバッグ装置11Dでは、第3実施の形態のエアバッグ装置11Cと同様の作用効果を発揮する。つまり、エアバッグ開口部66を小さくして内装材54に加わる負荷を減少させることができる。また、エアバッグ開口部66を小さくして設計の自由度を高めることができる。
【0069】
なお、一方の縁側である下布部76Dに連通孔73より小さい先行連通孔121を図9に示すように開けてもよい。先行連通孔121を開けることで、第2実施の形態のエアバッグ装置11Bと同様に、右第1エアバッグ本体(エアバッグ)17Dの展開時間を短縮することができる。
【0070】
エアバッグ装置11Dは、インフレータ159を採用したが、インフレータ45を採用してもよい。
エアバッグ装置(第3実施の形態)11Dは、図1の四人乗りのコンバーチブル(車両)12に採用してもよい。
【0071】
次に、第5実施の形態を説明する。
図13は、第5実施の形態の正面図であり、第5実施の形態を作動させた状態を示す。上記図1〜図5に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0072】
第5実施の形態のエアバッグ装置11Eは、車両181に採用したサイドカーテンエアバッグで、車両181の右の側壁182の内側に沿って展開する右エアバッグ本体(エアバッグ)183を備えたことを特徴とする。
【0073】
なお、右エアバッグ本体(エアバッグ)183に対称に、図に示していないが、車両181の左の側壁の内側に沿って展開する左エアバッグ本体を備える。
以降は、右エアバッグ本体(エアバッグ)183及び右エアバッグ本体183を含む右カーテンエアバッグ装置184を主体に説明する。
【0074】
車両181は、4ドアセダンで、アンダボデー185と、アンダボデー185に連なる右のサイドボデー186と、サイドボデー186に開閉自在に取付けた右前ドア187並びに右後ドア188と、サイドボデー186に連なるルーフ189と、アンダボデー185に取付けた運転席の座席191と、運転席の後に配置した後部座席192と、を備える。193は前ドアガラス、194は後ドアガラスを示す。
【0075】
側壁182は、右前ドア187の窓や閉じた前ドアガラス193であり、さらに、右後ドア188の窓や閉じた後ドアガラス194である。
【0076】
図14は、第5実施の形態の斜視図である。
図15は、第5実施の形態の断面図兼第1作用図であり、作動前の状態を示す。図13を併用して説明する。
ルーフ189は、ルーフサイドレール195に掛止する内装材196を備え、内装材196の端部197側に蓋198を形成した。
【0077】
第5実施の形態のエアバッグ装置11Eは、具体的には、右カーテンエアバッグ装置184を備え、右カーテンエアバッグ装置184は、右エアバッグ本体(エアバッグ)183と、右エアバッグ本体183のバッグ上端部201をルーフサイドレール195に連結する複数のバッグ取付部材202・・・と、右エアバッグ本体183の後端に配置するとともにリヤピラー203に取付けたインフレータ(ガス発生装置)204と、右エアバッグ本体183を折り畳んだ状態で収納する収納部205と、収納部205に連ねルーフ189の内装材196に形成した蓋198と、を備える。
【0078】
蓋198は、内装材196に幅Weで成形した部位で、内装材196の裏に溝状に形成したティアライン211と、内装材196の裏に溝状に形成したヒンジ部212を有し、ティアライン211を破断させることで、ヒンジ部212を回動支点にして蓋198を開くと、幅Weのエアバッグ開口部213となる。
【0079】
インフレータ(ガス発生装置)204は、円筒状のハウジング217内に既存の構成と同様の構成を内蔵し、ハウジング217に連通し且つ、右エアバッグ本体(エアバッグ)183内のバッグ上端部201側に配置した供給管218を備える。
【0080】
右エアバッグ本体183は、供給管218を介してインフレータ204に接続し、運転席の座席191に対応する位置で膨張する前部バッグ部219と、前部バッグ部219に連なり、後部座席192に対応する位置で膨張する後部バッグ部221とを、備える。
【0081】
また、右エアバッグ本体183は、第1袋体224と、第1袋体224に重ねた第2袋体225と、第2袋体225と第1袋体224を連通する連通孔73E・・・とからなり、重ねた状態の第1袋体224を乗員M(図17参照)に対向させ、重ねた状態の第2袋体225を閉じた前・後ドアガラス193,194に対向させて配置したものである。
さらに、右エアバッグ本体(エアバッグ)183は、厚さをTeで形成し、厚さTeを、例えばエアバッグ開口部213の幅Weの約1.7倍に設定した。
【0082】
第1袋体224は、一方の縁側に相当する上布部226と、上布部226に対向し且つ他方の縁側に相当する下布部227と、上布部226の上部228に形成してインフレータ204を接続するガス流入部231と、下布部227の下部232に開けるとともに連通孔73Eの一部をなす孔233・・・と、からなる。
【0083】
孔233は径をDeに設定した。
第1袋体224の厚さをT1eに設定するとともに、厚さT1eを、厚さTeの約50%、エアバッグ開口部213の幅Weの約60%に設定した。
【0084】
第2袋体225は、上布部236と、上布部236に対向する下布部(他方の縁側)237と、他方の縁側に相当する下布部237の下部238に開けて第1袋体224の孔233・・・に一致させ且つ、連通孔73Eの残りの部位をなす孔241・・・と、からなる。
第2袋体225の厚さをT2eに設定するとともに、厚さT2eを、厚さTeの約50%、エアバッグ開口部213の幅Weの約60%に設定した。
連通孔73Eは、他方の縁側(下布部227)の孔233と、孔233に一致させ且つ他方の縁側(下布部237)に形成した孔241とからなる。
【0085】
次に、第5実施の形態の作用を説明する。
正面衝突の衝撃や側面衝突の衝撃などの衝撃が生じると、エアバッグ制御装置19の情報に基づいて右カーテンエアバッグ装置184のインフレータ204が作動し、折り畳んだ第1袋体224に供給管218を介して反応ガスを供給し始める。
【0086】
図16は、第5実施の形態の作用を説明する第2作用図である。
右カーテンエアバッグ装置184のインフレータ204が第1袋体224のみに反応ガスを矢印e1のように吹き込むので、第1袋体224はティアライン211を破断し、直後にヒンジ部212を回動支点にして蓋198を開く。
【0087】
図17は、第5実施の形態の作用を説明する第3作用図である。
インフレータ204が反応ガスを第1袋体224に吹き込み続けると、第1袋体224のみが先に厚さT1eで膨らむので、エアバッグ開口部213の幅Weに対して、幅Weの40%が空き、第1袋体224を展開する際の内装材196に伝わる負荷を低減することができる。
【0088】
引き続き、反応ガスを第1袋体224に吹き込み続けると、第1袋体224をほぼ満たした反応ガスは、連通孔73E・・・を矢印e2・・・のように通過して、第2袋体225の下部238側から漸次第2袋体225を膨らませ始める。
【0089】
図18は、第5実施の形態の作用を説明する第4作用図である。
連通孔73E・・・から反応ガスを矢印e3のように吹き込むと、第2袋体225は膨らむと同時に、厚さT2eに達し、右エアバッグ本体(エアバッグ)183は厚さTeまで展開するので、所定の厚さTeの右エアバッグ本体(エアバッグ)183を展開することができる。
【0090】
このように、第5実施の形態のエアバッグ装置11Eでは、エアバッグ装置(第1実施の形態)11と同様の効果を発揮することができる。つまり、エアバッグ開口部213を小さくして内装材196に加わる負荷を減少させることができる。また、エアバッグ開口部213を小さくして設計の自由度を高めることができる。
【0091】
次に、第6実施の形態を説明する。
図19は、第6実施の形態の斜視図であり、一部破断した状態を示す。図13、図14を併用して説明する。
第6実施の形態のエアバッグ装置11Fは、右エアバッグ本体(エアバッグ)183Fを備えたことを特徴とする。
右エアバッグ本体(エアバッグ)183Fは、他方の縁側に相当する下布部227に形成した連通孔73E・・・と、ガスを吹き込むことで、垂直(Z軸方向)に且つ縦長(Z軸方向)に膨らむ第1〜第16ガス充填部251〜266と、を備えたことを特徴とする。269・・・はガスを吹き込まない非充填部を示す。
【0092】
右エアバッグ本体(エアバッグ)183Fは、具体的には、第1袋体224Fと、第1袋体224Fに重ねた第2袋体225Fと、第2袋体225Fと第1袋体224Fを連通する連通孔73E・・・とを備え、重ねた状態の第1袋体224Fを乗員M(図18参照)に対向させ、重ねた状態の第2袋体225Fを前ドアガラス193並びに後ドアガラス194に対向させて配置したものである。
【0093】
また、右エアバッグ本体(エアバッグ)183Fは、供給管218に連通する第1ガス充填部251を形成し、供給管218に連通する第2〜第8ガス充填部252〜258を形成した。
【0094】
さらに、第1ガス充填部251の下部に開けた連通孔73Eを介して連通する第9ガス充填部259を形成し、第2〜第8ガス充填部252〜258のそれぞれの下部に開けた連通孔73E・・・を介して、第2ガス充填部252に連通する第10ガス充填部260を形成し、第3ガス充填部253に連通する第11ガス充填部261を形成し、第4ガス充填部254に連通する第12ガス充填部262を形成し、第5ガス充填部255に連通する第13ガス充填部263を形成し、第6ガス充填部256に連通する第14ガス充填部264を形成し、第7ガス充填部257に連通する第15ガス充填部265を形成し、第8ガス充填部258に連通する第16ガス充填部266を形成した。
【0095】
第1袋体224Fは、一方の縁側に相当する上布部226と、上布部226に対向し且つ他方の縁側に相当する下布部227と、上布部226の上部228に形成してインフレータ204を接続するガス流入部231と、下布部227の下部232に開けるとともに連通孔73Eの一部をなす孔233・・・と、第1〜第8ガス充填部251〜258と、を備える。
【0096】
第2袋体225Fは、上布部236と、上布部236に対向する下布部(他方の縁側)237と、他方の縁側に相当する下布部237Fの下部238に開けて第1袋体224Fの孔233・・・に一致させ且つ、連通孔73Eの残りの部位をなす孔241・・・と、第9〜第16ガス充填部259〜266と、を備える。
【0097】
次に、第6実施の形態の作用を簡単に図15〜図18を併用して説明する。
インフレータ204は作動して反応ガスを第1袋体224Fの第1〜第8ガス充填部251〜258のみに矢印f1のように吹き込むので、第1袋体224Fの第1〜第8ガス充填部251〜258は、蓋198のティアライン211を破断し、直後にヒンジ部212を回動支点にして蓋198を開く。
【0098】
インフレータ204が反応ガスを第1袋体224Fの第1〜第8ガス充填部251〜258に吹き込み続けると、第1袋体224Fの第1〜第8ガス充填部251〜258のみが先に厚さT1f(T1eとほぼ同じ)で膨らむので、エアバッグ開口部213の幅Weに対して、幅Weの40%が空き、第1袋体224Fを展開する際の内装材196に伝わる負荷を低減することができる。
【0099】
引き続き、反応ガスを第1袋体224Fの第1〜第8ガス充填部251〜258に吹き込み続けると、第1袋体224Fの第1〜第8ガス充填部251〜258をほぼ満たした反応ガスは、連通孔73E・・・を矢印f2・・・のように通過して、第2袋体225Fの第9〜第16ガス充填部259〜266の下部238側から第2袋体225Fの第9〜第16ガス充填部259〜266を漸次膨らませ始める。
【0100】
このように、第6実施の形態のエアバッグ装置11Fでは、第1実施の形態のエアバッグ装置11と同様の効果を発揮する。つまり、エアバッグ開口部213を小さくして内装材196に加わる負荷を減少させることができる。また、エアバッグ開口部213を小さくして設計の自由度を高めることができる。
【0101】
第6実施の形態のエアバッグ装置11Fでは、第1〜第16ガス充填部251〜266を垂直(Z軸方向)に且つ縦長(Z軸方向)に形成したが、第1〜第16ガス充填部251〜266を角度θg(図12の角度θと同様)だけ斜めに且つ長尺に図12のように形成してもよい。
第1〜第16ガス充填部251〜266を角度θgだけ斜めに且つ長尺に図12のように形成することで、第1実施の形態のエアバッグ装置11と同様の効果を発揮する。つまり、エアバッグ開口部213を小さくして内装材196に加わる負荷を減少させることができる。また、エアバッグ開口部213を小さくして設計の自由度を高めることができる。
【0102】
尚、本発明の車両のエアバッグ装置は、実施の形態では自動車の左右のドアにカーテンエアバッグとて配置し、また、サイドカーテンエアバッグであったが、ドアに配置したカーテンエアバッグやサイドカーテンエアバッグ以外にも採用可能である。
【0103】
本発明の車両のエアバッグ装置では、エアバッグ本体(エアバッグ)の厚さTを上下で均一な扁平形状としたが、上下で厚さを違えてもよい。同様に、袋体の厚さT1、T2を上下で均一な扁平形状としたが、上下で厚さを違えてもよい。
また、エアバッグ本体(エアバッグ)を側面視(Y軸方向)で長方形(X軸方向に長い)に形成したが、異形であってもよい。例えば、円形や多角形や雲形でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の車両のエアバッグ装置は、自動車の左右のドアに配置したカーテンエアバッグやサイドカーテンエアバッグに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の車両のエアバッグ装置(第1実施の形態)を説明する図
【図2】本発明の車両のエアバッグ装置(第1実施の形態)を作動させた状態を示す図
【図3】本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の分解図
【図4】図1の4−4線断面図
【図5】本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の詳細図
【図6】本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の作用を説明する第1作用図
【図7】本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の作用を説明する第2作用図
【図8】本発明のエアバッグ装置(第1実施の形態)の作用を説明する第3作用図
【図9】第2実施の形態の詳細図
【図10】第3実施の形態の説明図
【図11】第3実施の形態の詳細図
【図12】第4実施の形態の斜視図
【図13】第5実施の形態の正面図
【図14】第5実施の形態の斜視図
【図15】第5実施の形態の断面図兼第1作用図
【図16】第5実施の形態の作用を説明する第2作用図
【図17】第5実施の形態の作用を説明する第3作用図
【図18】第5実施の形態の作用を説明する第4作用図
【図19】第6実施の形態の斜視図
【図20】従来の技術の基本構成を説明する図
【符号の説明】
【0106】
11…エアバッグ装置、12…車両、13,16…側壁、14…エアバッグ(左第1エアバッグ本体)、17…エアバッグ(右第1エアバッグ本体)、35…左ドアエアバッグ装置、36…右ドアエアバッグ装置、45…インフレータ、56…内装部、66…エアバッグ開口部、71…第1袋体、72…第2袋体、73…連通孔、76…一方の縁側(第1袋体の下布部)、77…他方の縁側(第1袋体の上布部)、81…ガス流入部、121…先行連通孔、T…右第1エアバッグ本体の所定の厚さ、T1…第1袋体の厚さ、T2…第2袋体の厚さ、W…エアバッグ開口部の幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が衝撃を受けたときに、インフレータから放出されるガスによって前記車両の側壁の内側に沿って展開するエアバッグを備えるエアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、前記ガスを充填する袋体を複数重ねて所定の厚さを得る構成とし、これらの袋体のうち何れか一つの袋体の一方の縁側に前記インフレータを接続するガス流入部を形成するとともに、前記一方の縁側に対向する他方の縁側に袋体同士を連通する連通孔を開けたことを特徴とする車両のエアバッグ装置。
【請求項2】
前記一方の縁側に前記連通孔より小さい先行連通孔を開けたことを特徴とする請求項1記載の車両のエアバッグ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−176353(P2007−176353A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377916(P2005−377916)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】