車両のフード構造
【課題】インナーパネルに形成する膨出部に上方からの荷重に対して平面的な等方性を持たせることにより反力の大きさを均一化するとともに、衝突対象物に対する反力値を低減できる車両のフード構造の提供を図る。
【解決手段】インナーパネル3に、アウターパネル2方向に頂部11が膨出する所定大きさの正三角錐台の膨出部10を、隣接するものどうしでそれぞれの辺部12を共有させて多数をインナーパネル3の所望範囲に連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部10が共有する各辺部12をπ/3の角度をもって回転対称に交差させることにより、各正三角錐台の膨出部10は上方からの荷重に対して平面的に等方性を有する構造となり、かつ、各側面13が交差する部分に頂部12から放射状に延びる稜線部14が形成されるため、エンジンフード1は、上方からの荷重に対して高い剛性を確保しつつ、フード面に沿ったあらゆる方向に等しく延び変形して、衝突対象物が干渉した際の反力値を低減し、フード1が局部的に大きく陥没変形するのを抑える。
【解決手段】インナーパネル3に、アウターパネル2方向に頂部11が膨出する所定大きさの正三角錐台の膨出部10を、隣接するものどうしでそれぞれの辺部12を共有させて多数をインナーパネル3の所望範囲に連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部10が共有する各辺部12をπ/3の角度をもって回転対称に交差させることにより、各正三角錐台の膨出部10は上方からの荷重に対して平面的に等方性を有する構造となり、かつ、各側面13が交差する部分に頂部12から放射状に延びる稜線部14が形成されるため、エンジンフード1は、上方からの荷重に対して高い剛性を確保しつつ、フード面に沿ったあらゆる方向に等しく延び変形して、衝突対象物が干渉した際の反力値を低減し、フード1が局部的に大きく陥没変形するのを抑える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターパネルとインナーパネルとにより二重構造とした車両のフード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンルームを開閉するフードは、一般にアウターパネルとインナーパネルの二重構造として構成され、インナーパネルに複数の凸部を形成して全体の剛性を確保するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−252246号公報(第6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる従来のフード構造は、インナーパネルの複数の凸部を形成した領域であっても強度が部分的に異なり、衝突対象物がフード上方から干渉した場合の反力の大きさがその当たり場所によって異なってしまう。
【0004】
そこで、本発明はインナーパネルに形成する膨出部に上方からの荷重に対して平面的な等方性を持たせることにより反力の大きさを均一化するとともに、衝突対象物に対する反力値を低減できる車両のフード構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アウターパネルとインナーパネルとにより二重構造とした車両のフード構造であって、前記インナーパネルに、アウターパネル方向に頂部が膨出する所定大きさの正三角錐台の膨出部を、隣接するものどうしでそれぞれの辺部を共有させて多数をインナーパネルの所望範囲に連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部どうしが共有する各辺部をπ/3の角度をもって回転対称に交差させたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、インナーパネルは、隣接するものどうしで辺部を共有するようにして多数の正三角錐台の膨出部を連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部が共有する各辺部をπ/3の角度をもって回転対称に交差させてあるため、それぞれの正三角錐台の膨出部は上方からの荷重に対して平面的に等方性を有する構造となり、かつ、それぞれの正三角錐台の膨出部は各側面が交差する部分に頂部から放射状に延びる稜線部が形成されるため、前記インナーパネルとアウターパネルとの二重構造となったフードは、上方からの荷重に対して高い剛性を確保しつつ、フード面に沿ったあらゆる方向に等しく延び変形するため、衝突対象物が干渉した際の反力値を低減し、フードが局部的に大きく陥没変形するのを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0008】
図1〜図8は本発明にかかる車両のフード構造の第1実施形態を示し、図1はフードの底面図、図2は図1中A−A線に沿った拡大断面図、図3は図2中B部の拡大図であり、図4は1つの正三角錐台の膨出部を示す拡大平面図、図5は1つの正三角錐台の膨出部を下方から見た斜視図である。
【0009】
また、図6は図1中C部の拡大図であり、図7は荷重入力時のフードの変位に対する衝撃力減速度の関係を従来と比較して示す特性図、図8は正三角錐台の膨出部を多数集合した各稜線部の配列状態を示す底面図である。
【0010】
本実施形態のフード構造は、図1に示すように自動車のエンジンルームを開閉するエンジンフード1に適用され、そのエンジンフード1は図2,図3に示すようにアウターパネル2とインナーパネル3とによって二重構造として構成される。
【0011】
そして、前記インナーパネル3には、図4,図5に示すようにアウターパネル2方向に頂部11が膨出する所定大きさの正三角錐台の膨出部10の多数を、図6に示すように隣接するものどうしでそれぞれの辺部12を共有させてインナーパネル3の所望範囲に連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部10が共有する各辺部12をπ/3の角度をもって回転対称に交差させてある。
【0012】
即ち、前記正三角錐台の膨出部10は、図4に示すように辺部12が正三角形を形成し、図6に示すようにその正三角形を成す辺部12に、該辺部12を共有して他の正三角錐台の膨出部10がそれぞれ隣接しており、かつ、正三角形を成す辺部12の1つの角部に対して互いに隣接する正三角錐台の膨出部10の辺部12が交差しており、これら交差する辺部12はπ/3の角度(60度)をもって回転対称に配置される。
【0013】
また、前記正三角錐台の膨出部10は、頂部11が所定面積を備えた正三角形の平坦面として形成され、その頂部11の各辺とその辺に対応する前記辺部12とを結ぶ側面13が交差して稜線部14を形成しており、本実施形態ではその稜線部14はエッジを形成する角部Cとなっている。
【0014】
前記正三角錐台の膨出部10は、エンジンフード1に干渉する衝突対象物の大きさに鑑みて、その高さ、大きさやピッチなどを所定の値に設定するとともに、正三角錐台の膨出部10の連続体を形成するインナーパネル3の材質は、アルミニウム、軽合金、鋼材などの金属、樹脂およびセラミックなどから選択することができる。
【0015】
そして、前記各正三角錐台の膨出部10の頂部11を、図3に示すようにマスチック等の天然樹脂や合成樹脂製の接着剤Aによってアウターパネル2の内面に接着してある。
【0016】
以上の構成により本実施形態の車両のフード構造は、アウターパネル2とインナーパネル3とによって二重構造のエンジンフード1を構成するにあたって、インナーパネル3に多数の正三角錐台の膨出部10を隣接させてアウターパネル2に向けて膨出形成してあり、これら正三角錐台の膨出部10は、隣接するものどうしで辺部12を共有するようにして多数の正三角錐台の膨出部10を連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部10が共有する各辺部12をπ/3の角度をもって回転対称に交差させてあるため、それぞれの正三角錐台の膨出部10はフード上方からの荷重に対して平面的に等方性を有する構造となる。
【0017】
即ち、前記正三角錐台の膨出部10の連続形成体が平面的な等方性を有することを以下説明する。
【0018】
一般に、応力−歪の関係は次の(1)式によって表される。
【0019】
σ=D*ε …(1)
ここで、σは応力テンソル、Dは物質テンソル(応力−歪関係式)、εは歪テンソルであり、前記正三角錐台の膨出部10の連続体は図6に示すように隣接するものどうしの辺部12はπ/3の角度をもって回転対称性を有しており、巨視的に平均化された平面応力場を仮定すると、π/3回転後の物質テンソルD(π/3)がDと等しいことと同義となるため、回転テンソルをTとその対称テンソルTTで表すと、次の関係式(2)を得る。
【0020】
D=D(π/3)=TT・D・T …(2)
ここで、エンジンフード1はアウターパネル2に上下方向の衝撃力による荷重が入力されると、インナーパネル3には引張荷重を受けることになり、そのときの工学歪を仮定して平面応力問題として捉えると、上記の各テンソルは以下に示す式(3)〜(6)に書き下すことができる。
【数1】
【0021】
ここで、σ11はX方向、σ22はY方向、σ12はせん断方向である。
【数2】
【数3】
【数4】
【0022】
そして、前記式(3)〜(6)を式(2)に代入して整理すると、次の式(7)を得る。
【数5】
【0023】
これは、等方性の条件である次式(8)を満たすことになる。
【0024】
Dijkl=λδijδkl+μ(δikδjl+δilδjk) …(8)
あるいは、例えば次の式(9)および式(10)を仮定し、それらを式(7)に代入してみれば、等方性材料の平面応力状態の応力−歪の関係式(11)を得ることから、本実施形態のフード構造は、平面的に等方性を有することになる。
【数6】
【数7】
【数8】
【0025】
従って、このように正三角錐台の膨出部10の連続により辺部12、つまり正三角錐台の膨出部10の底面部分で平面的な等方性を有することにより、衝突対象物が干渉することによる衝撃力に対してエンジンフード1が平均して撓むため、エンジンフード1の有効マス(質量)を効果的に使用できるようになる。
【0026】
このため、アウターパネル2とインナーパネル3との二重構造からなるエンジンフード1は、上方からの荷重に対して高い剛性を確保しつつ、エンジンフード1面に沿ったあらゆる方向に等しく延び変形するため、図7に示すように衝突対象物が干渉した際の反力値を低減しつつ、エンジンフード1が局部的に大きく陥没変形するのを抑えることができる。
【0027】
即ち、図7は横軸にエンジンフード1の変位を取り、縦軸に衝撃力の減速度を取って示し、同図中実線は本実施形態の特性線αで破線は従来の特性線βであり、実線で示す本実施形態の特性αでは前述したように正三角錐台の膨出部10の連続体によりエンジンフード1の反力を高めることができるので、衝撃力に対する初期減速度が上昇する。
【0028】
その結果、限られたスペースで効率良くエネルギーを吸収できるため、衝突の後半でエンジンフード1の底付きを低減させることが可能となり、衝撃力減速度の後半の立ち上がりを減少させ、衝突対象物に対する反力値を減少させることができる。
【0029】
因に、図7中破線で示す従来の特性βでは、フード反力が低いため衝撃力減速度の初期の立ち上がりが低く、効率良くエネルギーを吸収できない。その結果、限られたスペースではフードがエンジンなどの剛な構造物E(図7中右端部)に底付くため、衝突の後半で衝撃力減速度が大きく立ち上がり、衝突対象物に対する反力値が高く設定されてしまう。
【0030】
また、前記各正三角錐台の膨出部10は、図4に示すように各側面13が交差する部分に頂部11から放射状に延びる稜線部14が形成され、かつ、それら稜線部14は正三角錐台の膨出部10を集合した状態では、図8に示すようにπ/3の角度をもった回転対称となる稜線群となるため、前述の辺部12での等方性と相俟ってインナーパネル3の剛性を更に増大することができる。
【0031】
更に、多数の正三角錐台の膨出部10をインナーパネル3の略全面に連続形成したことにより、衝突対象物が干渉する打撃位置にかかわらずエンジンフード1から受ける反力のバラツキを低減して、略一様の反力を得ることができる。
【0032】
更にまた、本実施形態では前記正三角錐台の膨出部10の頂部11をアウターパネル2の内面に接着したので、アウターパネル2とインナーパネル3とを略全面で均等に結合でき、2枚構造としたエンジンフード1の剛性をより高めて反力を増大することができるとともに、接着によりアウターパネル2の表面にスポット溶接などの溶接痕が作られるのを防止して、外観を高めることができる。
【0033】
図9,図10は第1実施形態の第1,第2変形例を示し、図9の第1変形例は正三角錐台の膨出部10Aの各側面13が交差する稜線部14を所定幅の平面Pで形成したものであり、また、図10の第2変形例は正三角錐台の膨出部10Bの各側面13が交差する稜線部14を所定曲率の湾曲面Rで形成したものである。
【0034】
従って、前記各変形例では正三角錐台の膨出部10A,10Bの稜線部14を平面Pや湾曲面Rで形成することにより、各正三角錐台の膨出部10A,10Bの稜線群により決定されるインナーパネル3の剛性を精度良く変化させて、衝撃力の入力によりエンジンフード1が変形する際の反力を衝突対象物への影響がより減少するように調整することができる。
【0035】
図11〜図13は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図11はフードの底面図、図12は図11中D−D線に沿った拡大断面図、図13は荷重入力時のフードの変位に対する衝撃力減速度の関係を第1実施形態および従来と比較して示す特性図である。
【0036】
本実施形態のフード構造は基本的に第1実施形態と略同様に構成され、図11,図12に示すようにエンジンフード1Aのインナーパネル3に多数の正三角錐台の膨出部10を隣接するものどうしで辺部12を共有するようにして連続形成し、交差する辺部12をπ/3の角度をもって回転対称に配置してある。
【0037】
エンジンフード1Aは、車両前端部の車幅方向中央部に配置されるフードロック部分や車両後端部の車幅方向両側部に配置されるフードヒンジ部分で車体側に連結・拘束されて、エンジンフード1Aの荷重が車体側に支持されるようになっており、前記フードロック部分がフード拘束部分K1となり、左,右の前記フードヒンジ部分がフード拘束部分K2,R3となっている。
【0038】
そして、本実施形態では前記多数の正三角錐台の膨出部10を連続形成したエンジンフード1Aに、車体側に支持する前記フード拘束部分K1〜R3間に、これらフード拘束部分K1〜R3を相互に繋ぐ補強梁20を設けてある。
【0039】
即ち、前記エンジンフード1Aの裏面の周縁部には、図11に示すようにインナーパネル3から膨出形成された縁取り枠3aが設けられており、その縁取り枠3aの車両後方の車幅方向両側部に、それらの角部Cを囲うように前記フード拘束部分K2,R3に対応した一対の囲い枠3bが前記縁取り枠3aから連続して形成されている。
【0040】
そして、本実施形態では前記左・右一対の囲い枠3bから車両前方の車幅方向中央部に配置される前記フード拘束部分K1に向けて、前記補強梁20を図中V字を描くように形成してある。この補強梁20は図12に示すようにインナーパネル3から一体に膨出形成される。
【0041】
従って、本実施形態の車両のフード構造によれば、連続した正三角錐台の膨出部10によりフード上方からの荷重に対する衝撃減速度を大きくしつつ、補強梁20を設けたことにより中間域の衝撃減速度を更に増大でき、フード上方からの荷重のエネルギー吸収効率を大幅に完全することができる。
【0042】
即ち、図13に示すように太実線で示す本実施形態の衝撃加速度特性α’は、図中A部分において連続形成した正三角錐台の膨出部10により第1実施形態の衝撃加速度特性αとともに、従来の衝撃加速度特性βに比べて初期の衝撃減速度が大きくなっており、更に、補強梁20を設けたことにより、図中B部分に示すように前記特性α’は前記特性αおよび特性βに比べて中間域の減速度が大きくなるため、エネルギー吸収効率が改善される。
【0043】
このように本実施形態では初期の衝撃減速度を大きくしつつ、中間域の減速度を大きくできるので、それらの相乗効果により衝突対象物に対する衝撃度合HICは、次式(12)に示すように強非線形な現象として捉えて、衝撃度合を効率よく減少できる。
【数9】
【0044】
なお、t2−t1≦15msecである。
【0045】
ここで、t1,t2は時刻、Aはインパクタ加速度(減速度)である。
【0046】
また、前記補強張り20は断面積をさほど大きくすることなく、中間域の衝撃減速度を増大できるため、インナパネル3の下方スペースが減少されるのを抑えて、図13中B部分に示すようにエンジンフード1Aの底付き開始点M1を従来の底付き開始点M2と略同等とすることができる。
【0047】
従って、図13中C部分に示すように本実施形態の特性α’では、終盤の加速度の立上りが大幅に緩和されて、衝突対象物がエンジンフード1Aにフード上方から干渉した場合の衝撃力を、特性βおよび特性αに比較して効率良く低減することができる。
【0048】
また、前記補強梁20をインナーパネル3から一体に膨出形成したので、別体の補強部材を設けることなくエンジンフード1Aの構成を簡素化できるとともに、その軽量化を図ることができる。
【0049】
ところで、前記補強梁20は図11に示すようにフード拘束部分K2,R3に対応する一対の囲い枠3bからフード拘束部分K1に向けてV字状に配置したが、この場合、図14(a)〜(g)に示すように補強梁20を各種配置することができる。
【0050】
また、エンジンフード1Aの荷重を車体側に支持する拘束部位としては、前記フード拘束部分K1〜R3以外にもエンジンフード1Aの周囲をフェンダーパネルやラジエータコアサポートメンバに支持するバンパーラバーの取付け部分等があり、これらのバンパーラバーの取り付け部分をフード拘束部分K4,R5として、図15(a)〜(h)に示すように補強梁20を各種配置することができる。
【0051】
更に、図16(a)〜(h)に示すように前記図15(a)〜(h)の補強梁20の配置構造に補助梁21をそれぞれ付加することができ、また、図17(a)〜(h)に示すように補強梁20を湾曲させてもよい。
【0052】
ところで、本発明は前記第1・第2実施形態やそれらの各種変形例に例をとって説明したが、それら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態におけるフードの底面図。
【図2】図1中A−A線に沿った拡大断面図。
【図3】図2中B部の拡大図。
【図4】本発明の第1実施形態における1つの正三角錐台の膨出部を示す拡大平面図。
【図5】本発明の第1実施形態における1つの正三角錐台の膨出部を下方から見た斜視図。
【図6】図1中C部の拡大図。
【図7】本発明の第1実施形態における荷重入力時のフードの変位に対する衝撃力減速度の関係を従来と比較して示す特性図。
【図8】本発明の第1実施形態における正三角錐台の膨出部を多数集合した各稜線部の配列状態を示す底面図。
【図9】本発明の第1実施形態の第1変形例を示す正三角錐台の膨出部を下方から見た斜視図。
【図10】本発明の第1実施形態の第2変形例を示す正三角錐台の膨出部を下方から見た斜視図。
【図11】本発明の第2実施形態におけるフードの底面図。
【図12】図11中D−D線に沿った拡大断面図。
【図13】本発明の第2実施形態における荷重入力時のフードの変位に対する衝撃力減速度の関係を第1実施形態および従来と比較して示す特性図。
【図14】本発明の第2実施形態におけるフード拘束部分をR1〜R3とした場合の他の変形例を(a)〜(g)に各種示すフードの底面図。
【図15】本発明の第2実施形態におけるフード拘束部分をR1〜R5とした場合の他の変形例を(a)〜(h)に各種示すフードの底面図。
【図16】本発明の第2実施形態におけるフード拘束部分をR1〜R5とし、かつ、補助梁を付加した場合の他の変形例を(a)〜(h)に各種示すフードの底面図。
【図17】本発明の第2実施形態における補強梁を湾曲させた場合の他の変形例を(a)〜(h)に各種示すフードの底面図。
【符号の説明】
【0054】
1,1A エンジンフード(フード)
2 アウターパネル
3 インナーパネル
10 正三角錐台の膨出部
11 頂部
12 辺部
13 側面
14 稜線部
20 補強梁
A 接着剤
P 平面
R 湾曲面
K1,K2,K3,K4,K5 フード拘束部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウターパネルとインナーパネルとにより二重構造とした車両のフード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンルームを開閉するフードは、一般にアウターパネルとインナーパネルの二重構造として構成され、インナーパネルに複数の凸部を形成して全体の剛性を確保するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−252246号公報(第6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる従来のフード構造は、インナーパネルの複数の凸部を形成した領域であっても強度が部分的に異なり、衝突対象物がフード上方から干渉した場合の反力の大きさがその当たり場所によって異なってしまう。
【0004】
そこで、本発明はインナーパネルに形成する膨出部に上方からの荷重に対して平面的な等方性を持たせることにより反力の大きさを均一化するとともに、衝突対象物に対する反力値を低減できる車両のフード構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アウターパネルとインナーパネルとにより二重構造とした車両のフード構造であって、前記インナーパネルに、アウターパネル方向に頂部が膨出する所定大きさの正三角錐台の膨出部を、隣接するものどうしでそれぞれの辺部を共有させて多数をインナーパネルの所望範囲に連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部どうしが共有する各辺部をπ/3の角度をもって回転対称に交差させたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、インナーパネルは、隣接するものどうしで辺部を共有するようにして多数の正三角錐台の膨出部を連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部が共有する各辺部をπ/3の角度をもって回転対称に交差させてあるため、それぞれの正三角錐台の膨出部は上方からの荷重に対して平面的に等方性を有する構造となり、かつ、それぞれの正三角錐台の膨出部は各側面が交差する部分に頂部から放射状に延びる稜線部が形成されるため、前記インナーパネルとアウターパネルとの二重構造となったフードは、上方からの荷重に対して高い剛性を確保しつつ、フード面に沿ったあらゆる方向に等しく延び変形するため、衝突対象物が干渉した際の反力値を低減し、フードが局部的に大きく陥没変形するのを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0008】
図1〜図8は本発明にかかる車両のフード構造の第1実施形態を示し、図1はフードの底面図、図2は図1中A−A線に沿った拡大断面図、図3は図2中B部の拡大図であり、図4は1つの正三角錐台の膨出部を示す拡大平面図、図5は1つの正三角錐台の膨出部を下方から見た斜視図である。
【0009】
また、図6は図1中C部の拡大図であり、図7は荷重入力時のフードの変位に対する衝撃力減速度の関係を従来と比較して示す特性図、図8は正三角錐台の膨出部を多数集合した各稜線部の配列状態を示す底面図である。
【0010】
本実施形態のフード構造は、図1に示すように自動車のエンジンルームを開閉するエンジンフード1に適用され、そのエンジンフード1は図2,図3に示すようにアウターパネル2とインナーパネル3とによって二重構造として構成される。
【0011】
そして、前記インナーパネル3には、図4,図5に示すようにアウターパネル2方向に頂部11が膨出する所定大きさの正三角錐台の膨出部10の多数を、図6に示すように隣接するものどうしでそれぞれの辺部12を共有させてインナーパネル3の所望範囲に連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部10が共有する各辺部12をπ/3の角度をもって回転対称に交差させてある。
【0012】
即ち、前記正三角錐台の膨出部10は、図4に示すように辺部12が正三角形を形成し、図6に示すようにその正三角形を成す辺部12に、該辺部12を共有して他の正三角錐台の膨出部10がそれぞれ隣接しており、かつ、正三角形を成す辺部12の1つの角部に対して互いに隣接する正三角錐台の膨出部10の辺部12が交差しており、これら交差する辺部12はπ/3の角度(60度)をもって回転対称に配置される。
【0013】
また、前記正三角錐台の膨出部10は、頂部11が所定面積を備えた正三角形の平坦面として形成され、その頂部11の各辺とその辺に対応する前記辺部12とを結ぶ側面13が交差して稜線部14を形成しており、本実施形態ではその稜線部14はエッジを形成する角部Cとなっている。
【0014】
前記正三角錐台の膨出部10は、エンジンフード1に干渉する衝突対象物の大きさに鑑みて、その高さ、大きさやピッチなどを所定の値に設定するとともに、正三角錐台の膨出部10の連続体を形成するインナーパネル3の材質は、アルミニウム、軽合金、鋼材などの金属、樹脂およびセラミックなどから選択することができる。
【0015】
そして、前記各正三角錐台の膨出部10の頂部11を、図3に示すようにマスチック等の天然樹脂や合成樹脂製の接着剤Aによってアウターパネル2の内面に接着してある。
【0016】
以上の構成により本実施形態の車両のフード構造は、アウターパネル2とインナーパネル3とによって二重構造のエンジンフード1を構成するにあたって、インナーパネル3に多数の正三角錐台の膨出部10を隣接させてアウターパネル2に向けて膨出形成してあり、これら正三角錐台の膨出部10は、隣接するものどうしで辺部12を共有するようにして多数の正三角錐台の膨出部10を連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部10が共有する各辺部12をπ/3の角度をもって回転対称に交差させてあるため、それぞれの正三角錐台の膨出部10はフード上方からの荷重に対して平面的に等方性を有する構造となる。
【0017】
即ち、前記正三角錐台の膨出部10の連続形成体が平面的な等方性を有することを以下説明する。
【0018】
一般に、応力−歪の関係は次の(1)式によって表される。
【0019】
σ=D*ε …(1)
ここで、σは応力テンソル、Dは物質テンソル(応力−歪関係式)、εは歪テンソルであり、前記正三角錐台の膨出部10の連続体は図6に示すように隣接するものどうしの辺部12はπ/3の角度をもって回転対称性を有しており、巨視的に平均化された平面応力場を仮定すると、π/3回転後の物質テンソルD(π/3)がDと等しいことと同義となるため、回転テンソルをTとその対称テンソルTTで表すと、次の関係式(2)を得る。
【0020】
D=D(π/3)=TT・D・T …(2)
ここで、エンジンフード1はアウターパネル2に上下方向の衝撃力による荷重が入力されると、インナーパネル3には引張荷重を受けることになり、そのときの工学歪を仮定して平面応力問題として捉えると、上記の各テンソルは以下に示す式(3)〜(6)に書き下すことができる。
【数1】
【0021】
ここで、σ11はX方向、σ22はY方向、σ12はせん断方向である。
【数2】
【数3】
【数4】
【0022】
そして、前記式(3)〜(6)を式(2)に代入して整理すると、次の式(7)を得る。
【数5】
【0023】
これは、等方性の条件である次式(8)を満たすことになる。
【0024】
Dijkl=λδijδkl+μ(δikδjl+δilδjk) …(8)
あるいは、例えば次の式(9)および式(10)を仮定し、それらを式(7)に代入してみれば、等方性材料の平面応力状態の応力−歪の関係式(11)を得ることから、本実施形態のフード構造は、平面的に等方性を有することになる。
【数6】
【数7】
【数8】
【0025】
従って、このように正三角錐台の膨出部10の連続により辺部12、つまり正三角錐台の膨出部10の底面部分で平面的な等方性を有することにより、衝突対象物が干渉することによる衝撃力に対してエンジンフード1が平均して撓むため、エンジンフード1の有効マス(質量)を効果的に使用できるようになる。
【0026】
このため、アウターパネル2とインナーパネル3との二重構造からなるエンジンフード1は、上方からの荷重に対して高い剛性を確保しつつ、エンジンフード1面に沿ったあらゆる方向に等しく延び変形するため、図7に示すように衝突対象物が干渉した際の反力値を低減しつつ、エンジンフード1が局部的に大きく陥没変形するのを抑えることができる。
【0027】
即ち、図7は横軸にエンジンフード1の変位を取り、縦軸に衝撃力の減速度を取って示し、同図中実線は本実施形態の特性線αで破線は従来の特性線βであり、実線で示す本実施形態の特性αでは前述したように正三角錐台の膨出部10の連続体によりエンジンフード1の反力を高めることができるので、衝撃力に対する初期減速度が上昇する。
【0028】
その結果、限られたスペースで効率良くエネルギーを吸収できるため、衝突の後半でエンジンフード1の底付きを低減させることが可能となり、衝撃力減速度の後半の立ち上がりを減少させ、衝突対象物に対する反力値を減少させることができる。
【0029】
因に、図7中破線で示す従来の特性βでは、フード反力が低いため衝撃力減速度の初期の立ち上がりが低く、効率良くエネルギーを吸収できない。その結果、限られたスペースではフードがエンジンなどの剛な構造物E(図7中右端部)に底付くため、衝突の後半で衝撃力減速度が大きく立ち上がり、衝突対象物に対する反力値が高く設定されてしまう。
【0030】
また、前記各正三角錐台の膨出部10は、図4に示すように各側面13が交差する部分に頂部11から放射状に延びる稜線部14が形成され、かつ、それら稜線部14は正三角錐台の膨出部10を集合した状態では、図8に示すようにπ/3の角度をもった回転対称となる稜線群となるため、前述の辺部12での等方性と相俟ってインナーパネル3の剛性を更に増大することができる。
【0031】
更に、多数の正三角錐台の膨出部10をインナーパネル3の略全面に連続形成したことにより、衝突対象物が干渉する打撃位置にかかわらずエンジンフード1から受ける反力のバラツキを低減して、略一様の反力を得ることができる。
【0032】
更にまた、本実施形態では前記正三角錐台の膨出部10の頂部11をアウターパネル2の内面に接着したので、アウターパネル2とインナーパネル3とを略全面で均等に結合でき、2枚構造としたエンジンフード1の剛性をより高めて反力を増大することができるとともに、接着によりアウターパネル2の表面にスポット溶接などの溶接痕が作られるのを防止して、外観を高めることができる。
【0033】
図9,図10は第1実施形態の第1,第2変形例を示し、図9の第1変形例は正三角錐台の膨出部10Aの各側面13が交差する稜線部14を所定幅の平面Pで形成したものであり、また、図10の第2変形例は正三角錐台の膨出部10Bの各側面13が交差する稜線部14を所定曲率の湾曲面Rで形成したものである。
【0034】
従って、前記各変形例では正三角錐台の膨出部10A,10Bの稜線部14を平面Pや湾曲面Rで形成することにより、各正三角錐台の膨出部10A,10Bの稜線群により決定されるインナーパネル3の剛性を精度良く変化させて、衝撃力の入力によりエンジンフード1が変形する際の反力を衝突対象物への影響がより減少するように調整することができる。
【0035】
図11〜図13は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図11はフードの底面図、図12は図11中D−D線に沿った拡大断面図、図13は荷重入力時のフードの変位に対する衝撃力減速度の関係を第1実施形態および従来と比較して示す特性図である。
【0036】
本実施形態のフード構造は基本的に第1実施形態と略同様に構成され、図11,図12に示すようにエンジンフード1Aのインナーパネル3に多数の正三角錐台の膨出部10を隣接するものどうしで辺部12を共有するようにして連続形成し、交差する辺部12をπ/3の角度をもって回転対称に配置してある。
【0037】
エンジンフード1Aは、車両前端部の車幅方向中央部に配置されるフードロック部分や車両後端部の車幅方向両側部に配置されるフードヒンジ部分で車体側に連結・拘束されて、エンジンフード1Aの荷重が車体側に支持されるようになっており、前記フードロック部分がフード拘束部分K1となり、左,右の前記フードヒンジ部分がフード拘束部分K2,R3となっている。
【0038】
そして、本実施形態では前記多数の正三角錐台の膨出部10を連続形成したエンジンフード1Aに、車体側に支持する前記フード拘束部分K1〜R3間に、これらフード拘束部分K1〜R3を相互に繋ぐ補強梁20を設けてある。
【0039】
即ち、前記エンジンフード1Aの裏面の周縁部には、図11に示すようにインナーパネル3から膨出形成された縁取り枠3aが設けられており、その縁取り枠3aの車両後方の車幅方向両側部に、それらの角部Cを囲うように前記フード拘束部分K2,R3に対応した一対の囲い枠3bが前記縁取り枠3aから連続して形成されている。
【0040】
そして、本実施形態では前記左・右一対の囲い枠3bから車両前方の車幅方向中央部に配置される前記フード拘束部分K1に向けて、前記補強梁20を図中V字を描くように形成してある。この補強梁20は図12に示すようにインナーパネル3から一体に膨出形成される。
【0041】
従って、本実施形態の車両のフード構造によれば、連続した正三角錐台の膨出部10によりフード上方からの荷重に対する衝撃減速度を大きくしつつ、補強梁20を設けたことにより中間域の衝撃減速度を更に増大でき、フード上方からの荷重のエネルギー吸収効率を大幅に完全することができる。
【0042】
即ち、図13に示すように太実線で示す本実施形態の衝撃加速度特性α’は、図中A部分において連続形成した正三角錐台の膨出部10により第1実施形態の衝撃加速度特性αとともに、従来の衝撃加速度特性βに比べて初期の衝撃減速度が大きくなっており、更に、補強梁20を設けたことにより、図中B部分に示すように前記特性α’は前記特性αおよび特性βに比べて中間域の減速度が大きくなるため、エネルギー吸収効率が改善される。
【0043】
このように本実施形態では初期の衝撃減速度を大きくしつつ、中間域の減速度を大きくできるので、それらの相乗効果により衝突対象物に対する衝撃度合HICは、次式(12)に示すように強非線形な現象として捉えて、衝撃度合を効率よく減少できる。
【数9】
【0044】
なお、t2−t1≦15msecである。
【0045】
ここで、t1,t2は時刻、Aはインパクタ加速度(減速度)である。
【0046】
また、前記補強張り20は断面積をさほど大きくすることなく、中間域の衝撃減速度を増大できるため、インナパネル3の下方スペースが減少されるのを抑えて、図13中B部分に示すようにエンジンフード1Aの底付き開始点M1を従来の底付き開始点M2と略同等とすることができる。
【0047】
従って、図13中C部分に示すように本実施形態の特性α’では、終盤の加速度の立上りが大幅に緩和されて、衝突対象物がエンジンフード1Aにフード上方から干渉した場合の衝撃力を、特性βおよび特性αに比較して効率良く低減することができる。
【0048】
また、前記補強梁20をインナーパネル3から一体に膨出形成したので、別体の補強部材を設けることなくエンジンフード1Aの構成を簡素化できるとともに、その軽量化を図ることができる。
【0049】
ところで、前記補強梁20は図11に示すようにフード拘束部分K2,R3に対応する一対の囲い枠3bからフード拘束部分K1に向けてV字状に配置したが、この場合、図14(a)〜(g)に示すように補強梁20を各種配置することができる。
【0050】
また、エンジンフード1Aの荷重を車体側に支持する拘束部位としては、前記フード拘束部分K1〜R3以外にもエンジンフード1Aの周囲をフェンダーパネルやラジエータコアサポートメンバに支持するバンパーラバーの取付け部分等があり、これらのバンパーラバーの取り付け部分をフード拘束部分K4,R5として、図15(a)〜(h)に示すように補強梁20を各種配置することができる。
【0051】
更に、図16(a)〜(h)に示すように前記図15(a)〜(h)の補強梁20の配置構造に補助梁21をそれぞれ付加することができ、また、図17(a)〜(h)に示すように補強梁20を湾曲させてもよい。
【0052】
ところで、本発明は前記第1・第2実施形態やそれらの各種変形例に例をとって説明したが、それら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態におけるフードの底面図。
【図2】図1中A−A線に沿った拡大断面図。
【図3】図2中B部の拡大図。
【図4】本発明の第1実施形態における1つの正三角錐台の膨出部を示す拡大平面図。
【図5】本発明の第1実施形態における1つの正三角錐台の膨出部を下方から見た斜視図。
【図6】図1中C部の拡大図。
【図7】本発明の第1実施形態における荷重入力時のフードの変位に対する衝撃力減速度の関係を従来と比較して示す特性図。
【図8】本発明の第1実施形態における正三角錐台の膨出部を多数集合した各稜線部の配列状態を示す底面図。
【図9】本発明の第1実施形態の第1変形例を示す正三角錐台の膨出部を下方から見た斜視図。
【図10】本発明の第1実施形態の第2変形例を示す正三角錐台の膨出部を下方から見た斜視図。
【図11】本発明の第2実施形態におけるフードの底面図。
【図12】図11中D−D線に沿った拡大断面図。
【図13】本発明の第2実施形態における荷重入力時のフードの変位に対する衝撃力減速度の関係を第1実施形態および従来と比較して示す特性図。
【図14】本発明の第2実施形態におけるフード拘束部分をR1〜R3とした場合の他の変形例を(a)〜(g)に各種示すフードの底面図。
【図15】本発明の第2実施形態におけるフード拘束部分をR1〜R5とした場合の他の変形例を(a)〜(h)に各種示すフードの底面図。
【図16】本発明の第2実施形態におけるフード拘束部分をR1〜R5とし、かつ、補助梁を付加した場合の他の変形例を(a)〜(h)に各種示すフードの底面図。
【図17】本発明の第2実施形態における補強梁を湾曲させた場合の他の変形例を(a)〜(h)に各種示すフードの底面図。
【符号の説明】
【0054】
1,1A エンジンフード(フード)
2 アウターパネル
3 インナーパネル
10 正三角錐台の膨出部
11 頂部
12 辺部
13 側面
14 稜線部
20 補強梁
A 接着剤
P 平面
R 湾曲面
K1,K2,K3,K4,K5 フード拘束部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターパネルとインナーパネルとにより二重構造とした車両のフード構造であって、
前記インナーパネルに、アウターパネル方向に頂部が膨出する所定大きさの正三角錐台の膨出部を、隣接するものどうしでそれぞれの辺部を共有させて多数をインナーパネルの所望範囲に連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部どうしが共有する各辺部をπ/3の角度をもって回転対称に交差させたことを特徴とする車両のフード構造。
【請求項2】
各正三角錐台の膨出部の頂部をアウターパネルに接着したことを特徴とする請求項1に記載の車両のフード構造。
【請求項3】
正三角錐台の膨出部の各側面が交差する稜線部を所定幅の平面で形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のフード構造。
【請求項4】
正三角錐台の膨出部の各側面が交差する稜線部を所定曲率の湾曲面で形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のフード構造。
【請求項5】
フードを車体側に支持する複数のフード拘束部分間に、それらフード拘束部分を相互に繋ぐ補強梁を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両のフード構造。
【請求項6】
補強梁は、インナーパネルから一体に膨出形成したことを特徴とする請求項5に記載の車両のフード構造。
【請求項1】
アウターパネルとインナーパネルとにより二重構造とした車両のフード構造であって、
前記インナーパネルに、アウターパネル方向に頂部が膨出する所定大きさの正三角錐台の膨出部を、隣接するものどうしでそれぞれの辺部を共有させて多数をインナーパネルの所望範囲に連続形成し、隣接する正三角錐台の膨出部どうしが共有する各辺部をπ/3の角度をもって回転対称に交差させたことを特徴とする車両のフード構造。
【請求項2】
各正三角錐台の膨出部の頂部をアウターパネルに接着したことを特徴とする請求項1に記載の車両のフード構造。
【請求項3】
正三角錐台の膨出部の各側面が交差する稜線部を所定幅の平面で形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のフード構造。
【請求項4】
正三角錐台の膨出部の各側面が交差する稜線部を所定曲率の湾曲面で形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のフード構造。
【請求項5】
フードを車体側に支持する複数のフード拘束部分間に、それらフード拘束部分を相互に繋ぐ補強梁を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両のフード構造。
【請求項6】
補強梁は、インナーパネルから一体に膨出形成したことを特徴とする請求項5に記載の車両のフード構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−69888(P2007−69888A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340428(P2005−340428)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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