説明

車両のフード構造

【課題】 フード開閉時の入力に対する剛性を保持でき、かつ、物体衝突時のフードアウタパネルの変形を阻害せずに衝撃を十分に吸収できる車両のフード構造を提供する。
【解決手段】 フードインナパネル3が、その前縁部近傍に設けられて車両下方に膨出する膨出部31と、膨出部の底壁部31a上面に設けられる凹部34と、凹部内に車両上方側から接合されて凹部を補強しつつストライカ12を支持するフードロックリンフォース4を備え、凹部は、膨出部の底壁部の後縁部31bまで延設されて膨出部の後壁部31cと連続するよう形成されるとともに、凹部の底面には後壁部から車両前方側に向かって延び、かつ車両上方側に突出したビード部36が形成され、フードロックリンフォースは、凹部に接合された状態でビード部の周囲を囲むように凹状段差部43及び凹状部44、45が形成され、これらが凹部内の底面に接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両のフード構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両のフードは、フードアウタパネルとフードインナパネルとからなり、このフードインナパネルの前縁部側には、フードを車両本体側にロックするためのフードストライカが設けられている。フードインナパネルのストライカ取付け部には、同ストライカ取付け部を補強するフードロックリンフォースが設けられ、フードロックリンフォースの上方には、フードアウタパネルの張り剛性を保って形状を維持するためのアッパーリンフォースが設けられている。そして、フードロックリンフォースとアッパーリンフォースの車両前後方向端部同士を連結して閉断面構造を形成することで、フード開閉時に作用する入力に対してフード構造の剛性を強化しているものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。上記フードロックリンフォースおよびアッパーリンフォースは、フードの剛性を確保する一方で、衝突物がフードに衝突して所定以上の荷重が加わった場合には、潰れてフードアウタパネルの変形を阻害しないように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−98963号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたフードのようにアッパーリンフォースとフードロックリンフォースとを車両前後方向で結合させて閉断面構造としたものでは、アッパーリンフォースの前後に車幅方向に亘って縦壁部が形成されるので、フードに衝突物が衝突して衝突荷重が加わった場合に、衝突位置の進入方向によっては入力に対して強度が高くなってしまい、アッパーリンフォースがフードアウタパネルの変形を阻害して衝突荷重を十分に吸収しきれない虞がある。
【0005】
他方で、このアッパーリンフォースを用いずにフード構造を構成することも可能であるが、そうするとフードロックリンフォースだけでは、フードの剛性を確保することができない。特にフードを閉めた際には、慣性力の働きによりフードの中央部分が大きく撓んで、フードインナパネルの前縁部に応力が集中するため、ストライカの近傍で変形が生じやすく、また、ストライカからの入力によりフードロックリンフォースがフードインナパネルから剥離しやすくなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、フード開閉時の入力に対する剛性を保持でき、かつ、物体衝突時のフードアウタパネルの変形を阻害せずに衝撃を十分に吸収できる車両のフード構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両のフード構造は、フードアウタパネルとフードインナパネルとから構成され、前記フードインナパネルの前部にフードストライカが配設される車両のフード構造において、前記フードインナパネルが、その前縁部近傍に設けられて車両下方側に膨出する膨出部と、該膨出部の底壁部上面に設けられる凹部と、前記凹部内に車両上方側から接合されて前記凹部を補強するとともに前記フードストライカを支持するフードロックリンフォースとを備え、前記凹部は、前記膨出部の底壁部の後縁まで延設されて前記膨出部の後壁部と連続するよう形成されるとともに、前記凹部内の底面には前記後壁部から車両前方側に向かって延び、かつ車両上方側に突出したビード部が形成され、前記フードロックリンフォースは、前記凹部に接合された状態で前記ビード部の周囲を囲むように一以上の凹状部が形成され、該凹状部が前記凹部内の前記底面に接合されていることを特徴とする。本発明の車両のフード構造では、上記のようにフードインナパネルが構成されるとともに、このフードインナパネルの形状に対応したフードロックリンフォースが設けられていることで、フードインナパネルのフードストライカの近傍のフード開閉時の入力に対する剛性を保持できる。しかも、フードインナパネル及びフードロックリンフォースでこの剛性を保持することができ、衝撃を十分に吸収できるので、本発明のフード構造には、車両の前後方向に亘ってアッパーリンフォースを配する必要がない。従って、フードアウタパネルの変形が阻害されにくい。
【0008】
ここで、本発明の好適な実施形態としては、前記フードストライカは、その端部が前記フードロックリンフォースに結合され、前記凹部内における前記ビード部の車両前方側に位置して車両下方側に突出するよう設けられていることが挙げられる。
【0009】
また、前記ビード部に、前記フードロックリンフォースが接合されていることが好ましい。前記ビード部にフードロックリンフォースが接合されていることで、さらにフードインナパネルのストライカ近傍のフード開閉時の入力に対する剛性を向上させることができる。
【0010】
ここで、アッパーリンフォースをさらに備え、このアッパーリンフォースが車両の車幅方向に前記フードロックリンフォースを跨いだ状態で配されていることが好ましい。前後方向に亘って配されるアッパーリンフォースは、衝突物の進入方向によっては強度が高いが、車幅方向に配されるアッパーリンフォースは、衝突物の進入方向に対して強度が低い。従って、かかるアッパーリンフォースを備える本発明のフード構造では、フードアウタパネルの張り剛性を向上させることができ、かつ、物体衝突時のフードアウタパネルの変形は阻害されにくい。
【0011】
この場合に、前記アッパーリンフォースが、車幅方向に延びる本体部と、該本体部の車幅方向両端部に連結されて前記本体部を支持する2つの脚部とで構成され、前記本体部に対する前記脚部の取付け位置および取付け角度を調整可能としたことが好ましい。アッパーリンフォースが、このように複数の部品から構成され、本体部に対する前記脚部の取付け位置および取付け角度を調整可能としたことで、かかる張り剛性が高く、かつフードアウタパネルの変形が阻害されないというフード構造を様々な車種に対応させることが可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両のフード構造によれば、フード開閉時の入力に対する剛性が高く、かつ、物体衝突時のフードアウタパネルの変形を阻害せずに衝撃を確実に吸収できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】車両の模式的斜視図である。
【図2】実施形態1にかかるフード構造の断面図である。
【図3】実施形態1にかかるフード構造の要部分解斜視図である。
【図4】実施形態1にかかるフードロックリンフォースの要部上面図である。
【図5】従来のフード構造の要部分解斜視図である。
【図6】実施形態2にかかるフード構造の要部分解斜視図である。
【図7】実施形態3にかかるアッパーリンフォースの分解斜視図である。
【図8】実施形態3にかかるフード構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
本実施形態の車両のフード構造について、図1〜図5を用いて説明する。
図1は、車両の模式的斜視図である。図1に示すように、車両10の前部には、本実施形態のフード構造が適用されたフード1が設けられている。フード1は、後方側に図示しないヒンジ部を備えヒンジ部を支点に車両前方側が開閉するよう構成されている。フード1の裏面の前端側には、ストライカ12が設けられており、ストライカ12は、車両本体に設けられたストライカ受け部13に嵌め込まれ、これによりフード1がロックされるように構成されている。
【0015】
図2〜図3により、本実施形態のフード構造について、詳細に説明する。図2は、図1のA−A’線における要部断面図であり、図3は、フードの要部分解斜視図である。
【0016】
フード1は、外板を構成するフードアウタパネル2と、このフードアウタパネル2の裏面側に接合されて内板を構成するフードインナパネル3とを備えている。フード1は、フードアウタパネル2とフードインナパネル3の周縁部が互いに接合されている。
【0017】
フードインナパネル3の前縁部33近傍には、断面視において車両下方に向かって膨出する膨出部31が形成されている。膨出部31は、底壁部31aと、底壁部31aの後縁部31bから車両後斜め上方に延設された後壁部31cと、底壁部31aの前縁部31dから車両前斜め上方(即ち、フードインナパネルの前縁部近傍)に延設された前壁部31eとで構成されている。
【0018】
底壁部31aの上面には、車両下方に向かった凹部34が設けられている。この凹部34には、ストライカ12の端部12a、12bが収納される。本実施形態においては、凹部34は、膨出部31の車幅方向略中央部において底壁部31aの後縁部31bまで延設されており、凹部34の後側壁34bと膨出部31の後壁部31cとが連続するように形成されている。凹部34の底面34aの前方側中央には、略矩形状の開口部35が形成されており、同開口部35に後述するフードロックリンフォース4に結合されたストライカ12が車両上方側から挿通される。底面34aの開口部35の後方側には、車両上方に突出するビード部36が形成されている。ビード部36は、後側壁34bの高さと同一の高さに形成され、膨出部31の後壁部31cから車両前方側に向かって延びている。すなわち、凹部34の底面34aには、開口部35とビード部36が車両前後方向に縦列に配置されており、ストライカ12がビード部36の前方に配設されるよう構成されている。
【0019】
図2に示すように、フードインナパネル3の膨出部31には、凹部34を上方から覆うようにフードロックリンフォース4が設けられている。このフードロックリンフォース4は、後述する凸部46、47にストライカの端部12a、12bが溶接されてストライカ12を支持する支持部材として機能する。さらに、フードロックリンフォース4は、フードインナパネル3の膨出部31の形状に対応して構成されており、フードインナパネル3に溶接され、補強部材として機能するものである。
【0020】
詳細には、フードロックリンフォース4は、フードインナパネル3の前壁部31eに沿うように構成されて同前壁部31eに接合される斜面部41と、斜面部41から車体後方に延設された平面部42とを備える。平面部42には、平面部42よりも車両下方に下がって、凹部34の底面34aに当接される凹状段差部43、及び凹状部44、45が設けられている。凹状段差部43は、平面部42の、底面34aの開口部35と対向する位置に形成され、凹状部44、45は、平面部42の、ビード部36の車両幅方向の両側に位置する底面34aの領域34c、34dと対向する位置に形成されている。そして、凹状段差部43及び凹状部44、45は、フードロックリンフォース4が接合された状態で、凹状段差部43がビード部36の車両前方側に、さらに凹状部44、45がビード部36を挟むようにビード部36の車幅方向両側(左右側)に配置される構成となっている。すなわち、これら凹状段差部43及び凹状部44、45がビード部36の形状に合わせてビード部36の周囲を囲むように設けられている。平面部42の後方側の凹状部44と凹状部45との間にある中間面部42aの幅、すなわち凹状部44と45との間の距離は、ビード部36の幅と略同一になるように形成されている。また、凹状段差部43には、車両上部に向かって突出した凸部46、47が形成されている。凸部46、47はそれぞれ凹状段差部43の前後左右方向に離間して設けられている。凸部46、47には、裏面(下方側)からストライカ12の端部12a、12bが収納され結合(溶接)される。
【0021】
ストライカ12は、側面視において、その端部12a、12bが車両前後方向に離間して配置される略U字状の部材で、さらに端部12a、12bがそれぞれ車幅方向に離間するよう折り曲げられている。そして端部12aが凸部46の裏側(下方側)に結合され、端部12bが凸部47の裏側(下方側)に結合されてフードロックリンフォース4に固定されている。
【0022】
このようなフードロックリンフォース4がフードインナパネル3に溶接された場合について、図4を用いて説明する。図4は、フードロックリンフォースをフードインナパネルに溶接した状態を説明するためのフードロックリンフォースの要部上面図である。図中、●で示した点が溶接ポイントを示す。凹状段差部43の底部43a及び凹状部44、45の底部44a、45aが、フードインナパネルの凹部34の底面34a(図3参照)に溶接される。さらに、平面部42の中間面部42aが、ビード部36の上面36b(図3参照)に溶接される。即ち、フードロックリンフォース4は、凹状段差部43、凹状部44、45および中間面部42aがビード部36の前方側、左右両側及び上方側を囲むように凹部34に接合されている。本実施形態のフード1は、このように構成されていることで、ストライカ12近傍、特にストライカ12の後方近傍の剛性が高まり、慣性力の影響によるフードインナパネル3の変形を抑制するとともにストライカ12からの入力の影響によるフードインナパネル3とフードロックリンフォース4との剥離を抑制でき、フード開閉時の入力に対する剛性を保持できる。
【0023】
このようなフード構造においては、フード1を閉めた際に、ストライカ12がストライカ受け部13にロックされると、ストライカ12からフードロックリンフォース4に対しては車両上方へかかる力が働く。一方フードインナパネル3は慣性により車両下方へかかる力が働く。特にフード1は、大きな板状の部材であるため慣性力によりフード1の中央部が大きく下方側に撓むため、フードインナパネル3の前縁部近傍に設けた膨出部31に応力が集中する。これにより、膨出部31の後方側で下方側に変形させようとする力が働く。また、上述した各溶接ポイントにおいては、フードロックリンフォース4をフードインナパネル3から剥離しようとする力が働く。特に、フード1のストライカ12の後方近傍ではこの剥離しようとする力が大きい。
【0024】
本実施形態では、上述のように、凹部34を、後側壁34bと後壁部31cとが連続する(直接接続される)ように構成すると共に、ビード部36を設けることで、ストライカ12近傍におけるフードインナパネル3自体の剛性を高め、さらにフードロックリンフォース4に凹部34の形状に合わせた凹状段差部43及び凹状部44、45を設けて接合させることで凹部34内の剛性が向上するようフードインナパネル3を補強している。その結果フードインナパネル3の膨出部31の変形を抑制することができる上、フードインナパネル3とフードロックリンフォース4との剥離を抑制している。このようにして、本実施形態においては、フード開閉時の入力に対する剛性を保持している。
【0025】
ここで、従来のフード構造におけるストライカ12の後方近傍でフードインナパネル3とフードロックリンフォース4とが剥離しやすい場合があるという点について図5を用いて説明する。図5は、従来のフード構造の要部分解斜視図である。図5に示すように、ストライカ12の端部12a、12bの収納部として機能する凹部34は、従来、ストライカ12の設置位置にあわせて底壁部31aの前方にのみ形成されていた。即ち、凹部34と後壁部31cとの間には、段差部37が存在していた。この場合には、フード1を閉める際にこの段差部37で変形が生じやすく、剥離しやすかった。
【0026】
他方で、本実施形態においては、凹部34は、凹部34の後側壁34bと後壁部31cとの間に段差部が存在せず、後側壁34bと後壁部31cとが連続するよう形成されて、即ちほぼ平面となるように構成されて、さらにビード部36を設けてフードインナパネル3のストライカ12近傍の剛性を高めている。また、ビード部36の周囲を囲むように凹状段差部43及び凹状部44、45を配置するとともに、これらを凹部34のビード部36の周囲の底面34aに溶接し、さらにビード部36の上面36bとフードロックリンフォース4の中間面部42aとを溶接することで、さらに凹部34での剛性を向上させている。これにより、フードインナパネル3の膨出部31での変形を抑制するとともにフードロックリンフォース4の剥離を抑制している。従って、本実施形態においてはフードロックリンフォース4及びフードインナパネル3により十分な剛性を確保することができるので、車両の前後方向に亘ったアッパーリンフォースを設けなくても十分に対応することができる。このようにアッパーリンフォースがなくても剛性を保持できることで、フードインナパネル3の変形を防ぐことができると共に、かつ、フード1に衝突物が衝突して衝突荷重が加わった場合には、フードアウタパネル2が容易に変形でき、衝突荷重を十分に吸収することができる。
【0027】
なお、本実施形態においてビード部36は、先端部36aが半円状となっており、ビード部36の上面36bは、底壁部31aと面一になっているが、ビード部36の形状は特に限定されない。また、本実施形態においては、凹部34を底壁部31aの後縁部31bまで連続的に設けているが、さらに凹部34を底壁部31aの前縁部31dまで連続的に設けて、この前側面にさらにビード部を設けてもよい。
【0028】
(実施形態2)
次いで、実施形態2について図6を用いて説明する。図6は、本実施形態のフード構造の要部分解斜視図である。本実施形態は、実施形態1にさらにフードアウタパネル2の変形を阻害しないよう構成したアッパーリンフォース5を追加したものである。アッパーリンフォース5を設けることで、フードアウタパネル2の張り剛性を高めることができる。アッパーリンフォース5は、車幅方向に延設される本体部51と、本体部51の両端部に設けられた脚部52とから構成される。各脚部52は、それぞれ、その端部が車幅方向外側に向かって屈曲形成されたフランジ部53を備える。脚部52は、本体部51の両端部から車幅方向外側に向かって下方に傾斜されている。すなわちアッパーリンフォース5の脚部52が下方に行くに従って開いた形状となっている。そしてアッパーリンフォース5は、フードインナパネル3の底壁部31aに、フードロックリンフォース4を車両上側で車幅方向に跨いだ状態でフランジ部53を固定して設置される。さらに、図示しないが、アッパーリンフォース5の本体部51の上面は、フードアウタパネル2に対して例えばマスチックシーラーなどの接着剤により接着されている。
【0029】
上記のようなアッパーリンフォース5であれば、衝突物の衝突に際して、本体部51は、車幅方向中央部で容易に変形することができる。また、脚部52を本体部51の車幅方向両側部に位置してさらに車幅方向外側に傾斜させることで、荷重の入力に対して容易に車幅方向内側に倒して変形することができる。よってフードアウタパネル2の変形を阻害せず、衝突物に与える衝突荷重を低減することができる。
【0030】
即ち、本実施形態2においては、実施形態1に示す剛性の高いフードインナパネル3及びフードロックリンフォース4を用いているので、アッパーリンフォース5でフードインナパネル3の剛性を確保する必要が無い。従って車両の前後方向ではなく幅方向に延設されてフードアウタパネル2の変形を阻害しにくい形状のアッパーリンフォース5を設置することができる。これにより、フードアウタパネル2の剛性を保持しながら、衝突物がフードに衝突した場合においても衝突部の進入方向に対しては強度が低いためにフード1が容易に変形することができる。従って、フードアウタパネル2の張り剛性を保った上で、衝突物が衝突した際には、衝突荷重を十分に吸収することができる。
【0031】
(実施形態3)
次いで、実施形態3について図7及び図8を用いて説明する。図7は、本実施形態のアッパーリンフォースの分解斜視図であり、図8は、本実施形態のフード構造の断面図である。本実施形態3は、実施形態2に示すアッパーリンフォース5(図6参照)を、複数の部品に分割して構成したものである。図7に示すように、本実施形態3においては、アッパーリンフォース5は、本体部51と、本体部51を支持するための脚部52とが分割されて構成されている。本体部51は、その車幅方向両端部に補助脚部51aを備える。脚部52は、下端部にフランジ部53を備える。本体部51の補助脚部51aと脚部52とが図示しない治具によって位置決めされ接合されて、アッパーリンフォース5が構成される。本実施形態3におけるアッパーリンフォース5は、実施形態2とは違い、強度を保持するために脚部52が本体部51に対してほぼ直角に(即ち、本体部51と補助脚部51aとのなす角度が90°程度に)接合されるのが望ましい。
【0032】
かかる構成により、本実施形態3においては、治具により車種に応じてアッパーリンフォース5の本体部51に対する脚部52の車両前後方向での傾き、そして高さを自在に変更することができる。フードアウタパネル2は、その前後方向での傾きやフードインナパネル3からの高さは、車種によってまちまちであるが、本実施形態3のアッパーリンフォース5であれば、一つのアッパーリンフォースで複数車種に用いることが可能となる。例えば、図8に示すように、フードアウタパネル2の傾き、高さが図2に示すものよりも高い場合について説明する。このようなフードアウタパネル2の場合には、本体部51と脚部52とを、治具によって高さ方向をずらすと共に傾きをずらして位置決めし、溶接により固定することが可能である。即ち、本実施形態のアッパーリンフォース5を用いることで、取付位置及び取付角度を調整可能としているので、どのような車種に対しても対応可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の車両のフード構造は、例えば自動車のフードに利用することができる。従って、自動車製造産業において利用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 フード
2 フードアウタパネル
3 フードインナパネル
4 フードロックリンフォース
5 アッパーリンフォース
10 車両
12 ストライカ
12a、12b 端部
13 ストライカ受け部
31 膨出部
31a 底壁部
31b 後縁部
31c 後壁部
31d 前縁部
31e 前壁部
33 前縁部
34 凹部
34a 底面
34b 後側壁
34c、34d 領域
35 開口部
36 ビード部
36a 先端部
36b 上面
41 斜面部
42 平面部
42a 中間面部
43 凹状段差部
44、45 凹状部
46、47 凸部
51 本体部
51a 補助脚部
52 脚部
53 フランジ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フードアウタパネルとフードインナパネルとから構成され、前記フードインナパネルの前部にフードストライカが配設される車両のフード構造において、
前記フードインナパネルが、その前縁部近傍に設けられて車両下方側に膨出する膨出部と、該膨出部の底壁部上面に設けられる凹部と、前記凹部内に車両上方側から接合されて前記凹部を補強するとともに前記フードストライカを支持するフードロックリンフォースとを備え、
前記凹部は、前記膨出部の底壁部の後縁まで延設されて前記膨出部の後壁部と連続するよう形成されるとともに、前記凹部の底面には前記後壁部から車両前方側に向かって延び、かつ車両上方側に突出したビード部が形成され、
前記フードロックリンフォースは、前記凹部に接合された状態で前記ビード部の周囲を囲むように一以上の凹状部が形成され、該凹状部が前記凹部内の前記底面に接合されていることを特徴とする車両のフード構造。
【請求項2】
前記フードストライカは、その端部が前記フードロックリンフォースに結合され、前記凹部内における前記ビード部の車両前方側に位置して車両下方側に突出するよう設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両のフード構造。
【請求項3】
前記ビード部に、前記フードロックリンフォースが接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両のフード構造。
【請求項4】
アッパーリンフォースをさらに備え、このアッパーリンフォースが前記フードロックリンフォースを車幅方向に跨いだ状態で車両上方側に配されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両のフード構造。
【請求項5】
前記アッパーリンフォースが、車幅方向に延びる本体部と、該本体部の車幅方向両端部に連結されて前記本体部を支持する2つの脚部とで構成され、前記本体部に対する前記脚部の取付け位置および取付け角度を調整可能としたことを特徴とする請求項4に記載の車両のフード構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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