説明

車両のブレーキシステム

【課題】非協調ブレーキシステムにおいて、回生ブレーキの利用によりエネルギの有効利用を図りつつ、運転者がブレーキ操作時に違和感を覚えることを常に防止する。
【解決手段】回生ブレーキ手段40による回生制動力を制御する回生ブレーキ制御手段を、ブレーキ操作手段22の制動操作開始時のストローク変化が検出されたときに回生ブレーキ手段40を制御する第1期間制御手段と、該第1期間制御手段に続いて回生ブレーキ手段40の制御を行う第2期間制御手段とで構成し、前記第1期間制御手段により、ブレーキ操作検出手段52により検出される制動力増大方向のストローク変化が大きいほど回生制動力が大きくなるように回生ブレーキ手段40を制御し、前記第2期間制御手段により、蓄電手段42の残容量が所定値Y以上であるとき、前記第1期間制御手段による制御時に比べて回生制動力が減少するように回生ブレーキ手段40を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦ブレーキと回生ブレーキとを併用する車両において、これら両ブレーキを協調させることなく互いに独立して動作させる車両のブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両を制動する手段として、ディスクブレーキ又はドラムブレーキなどといった、摩擦抵抗を利用した摩擦ブレーキと、発電機(例えば、ハイブリッド車または電気自動車等の走行駆動源であるモータジェネレータ)からなり、発電時に生じる回転抵抗を利用した回生ブレーキとが知られている。
【0003】
また、特許文献1には、摩擦ブレーキと回生ブレーキとを併用して、これら両ブレーキを協調させて動作させるブレーキシステム(以下、「協調ブレーキシステム」という。)が開示されている。
【0004】
この協調ブレーキシステムでは、バッテリの残容量が少なく該バッテリに多くの回生電力を受け入れ可能なときには、回生ブレーキによる制動力の比率を高くすることでエネルギの有効利用を図ることができ、バッテリの残容量が多く該バッテリにより受け入れ可能な回生電力が少ないときには、回生ブレーキによる制動力を低下させて、代わりに摩擦ブレーキによる制動力の比率を高くすることで、運転者の制動要求に応じた総制動力を得ることができる。すなわち、協調ブレーキシステムによれば、バッテリの残容量に応じて回生エネルギを有効に利用しつつ、常に所要の制動力を得ることができるため、運転者はブレーキ操作時に違和感を覚えることがない。
【0005】
ところが、協調ブレーキシステムでは、摩擦ブレーキ及び回生ブレーキによる各制動力の比率をあらゆる運転状態に対応するように制御する必要があるため、制御の複雑化を招くとともに、この制御に使用する種々のセンサが必要となり、生産コストの増大を招いてしまう。
【0006】
これに対して、摩擦ブレーキと回生ブレーキとを協調させることなく個別に動作させるブレーキシステム(以下、「非協調ブレーキシステム」という。)が採用されることがある。この非協調ブレーキシステムは、運転者の制動要求に応じた制動力を摩擦ブレーキと回生ブレーキとに予め定めた配分で分担させるもので、これによれば、回生ブレーキの制御を簡素化することができるとともに、この制御に使用するセンサが少なくて済むことから生産コストの低減を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−224768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非協調ブレーキシステムでは、バッテリ保護のために、該バッテリの残容量の増加等に伴って回生ブレーキによる制動が制限され或いは禁止されたときに、これを補うための摩擦ブレーキの制動力を増大させる制御は行われないため、トータルの制動力が低下する。この場合、運転者は、予想に反して制動力が小さいことに違和感を覚えることがある。
【0009】
そこで、本発明は、非協調ブレーキシステムにおいて、回生ブレーキの利用によりエネルギの有効利用を図りつつ、運転者がブレーキ操作時に常に違和感を覚えることがない車両のブレーキシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両のブレーキシステムは、次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
ブレーキ操作手段のストローク変化に応じて摩擦ブレーキ手段と回生ブレーキ手段とを非協調で動作させる車両のブレーキシステムであって、
前記ブレーキ操作手段のストローク変化を検出するブレーキ操作検出手段と、
該ブレーキ操作検出手段の検出結果に基づいて、前記回生ブレーキ手段による回生制動力を制御する回生ブレーキ制御手段と、
前記回生ブレーキ手段の作動に伴い生じる電力を蓄える蓄電手段と、
該蓄電手段の残容量を検出する残容量検出手段と、を備え、
前記回生ブレーキ制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段によりブレーキ操作手段の制動操作開始時のストローク変化が検出されたときに前記回生ブレーキ手段を制御する第1期間制御手段と、該第1期間制御手段に続いて前記回生ブレーキ手段の制御を行う第2期間制御手段とを有し、
前記第1期間制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段により検出される制動力増大方向のストローク変化が大きいほど前記回生制動力が大きくなるように前記回生ブレーキ手段を制御し、
前記第2期間制御手段は、前記残容量検出手段により検出される残容量が所定値以上であるとき、前記第1期間制御手段による制御時に比べて前記回生制動力が減少するように前記回生ブレーキ手段を制御することを特徴とする。
【0012】
なお、ここでいう「ストローク変化」とは、ストローク変化量またはストローク変化速度の少なくとも一方を指すものとする。また、ここでいう「回生制動力」とは、回生ブレーキ手段による制動力を指すものとする。
【0013】
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記第2期間制御手段は、前記回生制動力の減少制御を行うとき、前記残容量検出手段により検出される残容量が大きいほど前記回生制動力の減少量が大きくなるように制御することを特徴とする。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の発明において、
前記第1期間制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段により検出された制動操作開始時のストローク変化の大きさに基づいて前記回生制動力のピーク値を設定し、該ピーク値に到達するように前記回生制動力を増大させるように前記回生ブレーキ手段を制御する手段であり、
前記ブレーキシステムは、
前記第1期間制御手段により制御される前記回生制動力が前記ピーク値に達したか否かを判定するピーク到達判定手段と、を更に備え、
前記第2期間制御手段は、前記ピーク到達判定手段により前記回生制動力が前記ピーク値に達したと判定された後に、前記回生制動力の制御を行うことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発明において、
前記第2期間制御手段は、前記残容量検出手段により検出される残容量が前記所定値未満であることにより前記回生制動力を維持するように制御している場合、前記ブレーキ操作検出手段により制動力を減少させるストローク変化が検出されたときでも、前記回生制動力を維持するように制御することを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発明において、
前記第2期間制御手段は、前記残容量検出手段により検出される残容量が前記所定値以上であることにより前記回生制動力の減少制御を行っている場合、前記ブレーキ操作検出手段により制動力を増大させるストローク変化が検出されたときでも、前記回生制動力を維持するように制御することを特徴とする。
【0017】
さらにまた、請求項6に記載の発明は、前記請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発明において、
前記蓄電手段の蓄電状態を制御する蓄電制御手段を更に備え、
該蓄電制御手段は、前記回生ブレーキ手段が作動しているときを除いて、前記回生ブレーキ手段が作動するときに生じる電力を前記蓄電手段が受け入れ可能なように該蓄電手段の残容量を所定の閾値以下に維持することを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明において、
車両が旋回状態であるか否かを検出する旋回状態検出手段を更に備え、
前記第2期間制御手段は、前記旋回状態検出手段により車両の旋回状態が検出されたとき、前記残容量検出手段により検出される残容量が前記所定値以上であっても、前記回生制動力を維持することを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項8に記載の発明は、前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の発明において、
車両が降坂状態であるか否かを検出する降坂状態検出手段を更に備え、
前記第2期間制御手段は、前記降坂状態検出手段により車両の降坂状態が検出されたとき、前記残容量検出手段により検出される残容量が前記所定値以上であっても、前記回生制動力を維持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本願の請求項1の発明によれば、摩擦ブレーキ手段と回生ブレーキ手段とを協調させることなく個別に動作させる非協調ブレーキシステムにおいて、回生ブレーキ手段の制御が、ブレーキ操作開始時には、ブレーキ操作手段の制動力増大方向のストローク変化が大きいほど回生制動力が大きくなるように行われ、その後、蓄電手段の残容量が所定値以上である場合には回生制動力が減少するように行われる。そのため、蓄電手段の残容量が前記所定値よりも少なく、該蓄電手段が回生電力を十分に受け入れ可能な場合は、ブレーキ操作開始時の制御による回生制動力がその後も維持されることで、回生エネルギを有効に利用することができる。一方、蓄電手段の残容量が前記所定値以上であり、該蓄電手段による受け入れ可能な回生電力が少ない場合は、ブレーキ操作開始時の制御による回生制動力をその後減少させることにより蓄電手段の保護を図りつつ、ブレーキ操作開始時には、運転者の制動要求に応じた回生制動力を得ることができる。したがって、本発明に係る非協調ブレーキシステムによれば、回生ブレーキ手段の利用によりエネルギの有効利用を図りつつ、運転者がブレーキ操作時に違和感を覚えることを確実に防止することができる。
【0021】
本願の請求項2の発明によれば、ブレーキ操作開始時の制御による回生制動力をその後減少させる制御の際、蓄電手段の残容量が大きいほど回生制動力の減少量が大きくなるように制御されるため、蓄電手段を効果的に保護することができる。
【0022】
本願の請求項3の発明によれば、制動操作開始時のストローク変化の大きさに基づいて回生制動力のピーク値が設定され、蓄電手段の残容量に関わらず、前記ピーク値に必ず到達するように回生制動力が制御されるため、運転者は、ブレーキ操作時に常に違和感を覚えることがない。
【0023】
本願の請求項4の発明では、蓄電手段の残容量が前記所定値未満であることにより回生制動力を維持するように制御されている場合、制動力を減少させるブレーキ操作が行われたときでも、回生制動力を維持するように制御される。この請求項4の発明によれば、蓄電手段が回生電力を十分に受け入れ可能なときは回生ブレーキ手段を極力利用することで、回生エネルギの有効利用を一層図ることができる。また、このように制動力を減少させるブレーキ操作が行われたときに回生制動力が維持されても、摩擦制動力はブレーキ操作に応じて低下し、これにより総制動力が低下するため、運転者の違和感を抑制することができる。
【0024】
本願の請求項5の発明では、蓄電手段の残容量が前記所定値以上であることにより回生制動力の減少制御が行われている場合でも、制動力を増大させるブレーキ操作が行われたときは、回生制動力の減少制御が中断されて回生制動力を維持するように制御される。このとき、摩擦制動力はブレーキ操作に応じて増大し、これにより総制動力が増大するため、運転者が制動力の不足を感じることを極力抑制しつつ、回生制動力を増大させないことにより蓄電手段の保護を図ることができる。
【0025】
本願の請求項6の発明によれば、回生ブレーキの作動中を除いて、蓄電手段が回生電力を受け入れ可能なように該蓄電手段の残容量が所定の閾値以下に維持されるため、ブレーキ操作が開始されたときに制動要求に応じた回生制動力を確実に得ることができる。
【0026】
本願の請求項7の発明によれば、蓄電手段の残容量が前記所定値以上であっても、車両が旋回中であるときには回生制動力を維持するように制御されるため、車両旋回中における走行安定性の維持を図ることができる。
【0027】
本願の請求項8の発明によれば、蓄電手段の残容量が前記所定値以上であっても、車両が降坂中であるときは回生制動力を維持するように制御されるため、車両降坂中における走行安定性の維持を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両のブレーキシステムを示すシステム図である。
【図2】図1に示すコントローラが行う制御動作の一例をフローチャートである。
【図3】回生トルクのピーク値Tmaxの設定に使用するマップの一例を示す図である。
【図4】回生トルクの減少量ΔTの設定に使用するマップの一例を示す図である。
【図5】図1に示すコントローラによる制御される回生トルクの経時的変化の一例を示すタイムチャートである。
【図6】回生トルクをピーク値Tmaxに維持するように制御されている場合において、ブレーキペダルの踏み込み量が増減したとき、別の実施形態に係るブレーキシステムにより制御される回生トルクの経時的変化を示すタイムチャートである。
【図7】回生トルクをピーク値Tmaxから減少するように制御されている場合において、ブレーキペダルの踏み込み量が増減したとき、更に別の実施形態に係るブレーキシステムにより制御される回生トルクの経時的変化を示すタイムチャートである。
【図8】運転者の減速感についての試験で設定された各制御を行った場合の回生トルクの経時的変化を示すグラフである。
【図9】図8に示す各制御を行った場合に得られた運転者の減速感を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
先ず、ブレーキ操作時に常に十分な減速感を得られる非協調ブレーキシステムを開発することを目的として、本願発明者により行われた実験について説明する。
【0031】
この実験では、走行駆動源としてのモータジェネレータ(回生ブレーキ)を搭載するとともに非協調ブレーキシステムを採用した電気自動車において、前記モータジェネレータによる回生制動力(以下、「回生トルク」ともいう。)を制御する方法を複数設定し、これらの方法で制御を行った場合に運転者が感じる減速感の程度を確認した。
【0032】
具体的に、回生トルクを制御する方法としては、制御A、制御B及び制御Cを設定した。図8に示すように、制御A〜制御Cは、ブレーキ操作開始時からの所定時間における回生トルクの累積値が互いに等しくなるように設定されているが、ブレーキ操作初期における回生トルクのピーク値が互いに異なっている。具体的に、制御Aにおいて、回生トルクのピーク値を最も高く設定し、ピーク値到達後は回生トルクを急激に減少させるように制御した。制御Bでは、制御Aに比べて、回生トルクのピーク値を低く設定するとともに、ピーク値到達後の回生トルクの減少が比較的緩やかになるように設定した。さらに、制御Cでは、回生トルクのピーク値を最も低く設定し、ピーク値到達後の回生トルクの減少が最も緩やかになるように設定した。
【0033】
図9に示すように、この実験の結果、運転者が得られる減速感は、制御A、制御B、制御Cの順で大きく、特に制御Aを行った場合に得られる減速感が、他の制御に比べて突出して大きいことを確認できた。この実験結果より、本願発明者は、ブレーキ操作初期における回生トルクのピーク値を大きく設定すれば、ピーク値到達後に回生トルクを急激に減少させても、運転者は十分な減速感を得ることができ、ブレーキ操作時に違和感を覚えないことを見出した。
【0034】
本発明は、この点に着目して得られたものであり、以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両のブレーキシステム10を示している。このブレーキシステム10は、ブレーキペダル22のストローク変化に応じて摩擦ブレーキ12,14と、モータジェネレータ40からなる回生ブレーキとを非協調で動作させるものである。
【0036】
また、本実施形態において、このブレーキシステム10が搭載される車両1は、前記モータジェネレータ40が電動機として作動することで得られる駆動力により走行可能な電気自動車である。この車両1が減速する際、モータジェネレータ40は、減速回生制御により発電機として作動することで回生電力を発生させるとともに、この発電時に生じる回転抵抗を利用した回生ブレーキとして機能するようになっている。
【0037】
摩擦ブレーキ12,14としては、例えばディスクブレーキが用いられるが、摩擦抵抗を利用して制動力を発生させるものであれば、ディスクブレーキ以外の摩擦ブレーキを使用してもよく、例えばドラムブレーキを用いてもよい。摩擦ブレーキ12,14は、前輪2及び後輪4に車輪毎に設けられており、バキュームブースタ24、マスタシリンダ26及び油圧経路16,18を介してブレーキペダル22に接続されている。
【0038】
バキュームブースタ24は、バキュームコントロールシステム28から供給される負圧を利用してブレーキペダル22の踏力圧を増大させて、この増大した踏力圧をマスタシリンダ26に出力する。バキュームコントロールシステム28は、真空ポンプにより負圧を発生させる装置であり、このバキュームコントロールシステム28からバキュームブースタ24に供給される負圧は、後述のコントローラ30からの制御信号に基づいて、所定の下限値を下回らないように制御される。
【0039】
マスタシリンダ26は、バキュームブースタ24から入力された踏力圧に対応する油圧を、前輪制動用の油圧経路16と後輪制動用の油圧経路18とに供給し、これにより、前輪制動用の油圧経路16を経由して前輪用の摩擦ブレーキ12に油圧が供給されるとともに、後輪制動用の油圧経路18を経由して後輪用の摩擦ブレーキ14に油圧が供給されて、各摩擦ブレーキ12,14が作動する。
【0040】
本実施形態において、モータジェネレータ40は前輪2に駆動連結されている。モータジェネレータ40は、バッテリ42からの供給電力がインバータ44を経由して供給されることで電動機として作動し、これにより生じるモータジェネレータ40の駆動力が前輪2に伝達されることで、車両1が走行可能となる。一方、モータジェネレータ40が発電機として作動するとき、これにより生じる回生電力がインバータ44を経由してバッテリ42に供給され、これにより該バッテリ42が充電される。このようなモータジェネレータ40の電動機または発電機としての作動は、後述のコントローラ30によりインバータ44が制御されることで制御される。
【0041】
コントローラ30は、アクセルペダル20の踏み込み量を検出するアクセルペダルストロークセンサ50、ブレーキペダル22の踏み込み量を検出するブレーキペダルストロークセンサ52、バッテリ42の残容量をコントローラ30により推定するために電流、電圧、温度等の各種情報を検出するSOC推定用センサ54、前輪2の舵角を検出する舵角センサ56、及び、路面の勾配を検出する勾配センサ58に電気的に接続されており、これらのセンサから送られる信号に基づいて演算処理を行い、バキュームコントロールシステム28及びインバータ44へ制御信号を出力するようになっている。
【0042】
運転者によりブレーキペダル22が踏み込まれると、コントローラ30は、ブレーキペダルストロークセンサ52の検出結果に基づいて、摩擦ブレーキ12,14による摩擦制動力を制御するとともに、インバータ44を制御することによりモータジェネレータ40による回生制動力を制御する。
【0043】
コントローラ30は、非協調ブレーキシステムを採用しているため、上記の摩擦制動力の制御と回生制動力の制御とを協調させることなく独立して実行する。そのため、仮に、バッテリ42の残容量が多くて回生電力の受け入れが困難である場合などに回生制動力を減少させる制御が行われると、これを補うように摩擦制動力を増大させる制御が行われないため、トータルの制動力が低下し、運転者がブレーキ操作時に違和感を覚えることがある。この問題を解消するため、本実施形態では、コントローラ30による回生制動力(回生トルク)の制御が、以下のように行われる。
【0044】
先ず、ブレーキペダルストロークセンサ52によりブレーキ操作開始時のストローク変化が検出されたときは、この検出された制動力増大方向のストローク変化が大きいほど回生トルクTが大きくなるように制御される。なお、ここでいう「ストローク変化」とは、ストローク変化量またはストローク変化速度の少なくとも一方を指すものとする。
【0045】
具体的には、ブレーキペダルストロークセンサ52によりブレーキ操作開始時のストローク変化の大きさに基づいて回生トルクTのピーク値Tmaxが設定され、該ピーク値Tmaxに到達するまで増大するように回生トルクTが制御される。かかる制御により、ブレーキ操作初期において、運転者の制動要求に応じた制動力を確実に得ることができるため、この後に仮に回生トルクTが減少しても、運転者は十分な減速感を得ることができ、ブレーキ操作時に違和感を覚えることがない。
【0046】
このブレーキ操作初期の回生トルクTの制御は、ブレーキペダルストロークセンサ52によりブレーキ操作開始時のストローク変化が検出されたときに常に実行される。そのため、かかる制御により生じる回生電力が確実にバッテリ42により受け入れられるようにしておく必要がある。
【0047】
そこで、コントローラ30は、モータジェネレータ40が発電機として作動しているときを除いて、バッテリ42が回生電力を確実に受け入れ可能なようにバッテリ42の残容量を所定の閾値X以下に維持するように制御する。このようにバッテリ42の蓄電状態を制御しておくことにより、ブレーキ操作が開始されたとき、上記のブレーキ操作初期の回生トルクTの制御を確実に実行することがでる。閾値Xは、例えば、バッテリ42の残容量の最大値Z(満充電時の残容量)から、ブレーキ操作3回分の回生電力に相当する容量を減算してなる値に設定される。かかるバッテリ42の蓄電状態の制御は、インバータ44の制御により行われる。
【0048】
回生トルクTがピーク値Tmaxに到達した後、回生トルクTはバッテリ42の残容量に応じて制御される。
【0049】
具体的に、回生トルクTのピーク値到達後において、バッテリ42の残容量が、回生電力を十分に受け入れ可能な所定値Y未満であれば、図5の符号aで示されるように、回生トルクTは維持されるように制御され、これにより、回生エネルギの有効利用を図ることができる。ここで、前記所定値Yは、例えば、前記閾値Xよりも大きな値に設定されるが、該閾値Xと同じ値に設定してもよい。
【0050】
一方、回生トルクTのピーク値到達後において、バッテリ42の残容量が前記所定値Y以上であれば、図5の符号b〜dで示されるように、回生トルクTは減少するように制御され、この回生トルクTの減少制御が行われるとき、回生トルクTの減少量ΔTは、バッテリ42の残容量が大きいほど大きくなるように制御される。かかる制御により、バッテリ42に回生電力が過剰に供給されることを回避して、バッテリ42を適切に保護することができる。また、この場合、回生トルクTが減少することにより、摩擦制動力を合わせたトータルの制動力が低下するが、上述のようにブレーキ操作初期に十分な制動力が働くことにより、運転者がブレーキ操作時に違和感を覚えることは防止できる。
【0051】
続いて、図2のフローチャートを参照しながら、コントローラ30が回生トルクTを制御する際の制御動作の一例について説明する。
【0052】
先ず、ステップS1では、コントローラ60への入力信号に基づいて、車両1の運転状態に関する各種情報が読み込まれる。具体的には、アクセルペダルストロークセンサ50、ブレーキペダルストロークセンサ52、SOC推定用センサ54、舵角センサ56及び勾配センサ58の各出力値が読み込まれる。
【0053】
次のステップS2では、ステップS1で読み込まれたアクセルペダルストロークセンサ50の出力値に基づき、アクセルペダル20が踏み込まれているか否かが判定される。なお、ステップS2の判定は、アクセルペダルストロークセンサ50の出力値に代えて、アクセルペダル20のオンオフを検出するアクセルスイッチの出力値に基づいて行ってもよい。
【0054】
ステップS2の判定の結果、アクセルペダル20が踏み込まれている場合は、運転者による制動要求がないと見なされ、回生トルクのピーク値Tmaxが設定されたか否かの判定に用いるフラグF1と、回生トルクTがピーク値Tmaxに到達したか否かの判定に用いるフラグF2とがいずれも「0」に設定されて(ステップS15)、モータジェネレータ40による回生制動が作動することなく処理が終了する。
【0055】
一方、ステップS2の判定の結果、アクセルペダル20が踏み込まれていない場合は、ステップS3に進む。
【0056】
ステップS3では、ステップS1で読み込まれたブレーキペダルストロークセンサ52の出力値に基づき、ブレーキペダル22が踏み込まれているか否かが判定される。なお、ステップS3の判定は、ブレーキペダルストロークセンサ52の出力値に代えて、ブレーキペダル22のオンオフを検出するブレーキスイッチの出力値に基づいて行ってもよい。
【0057】
ステップS3の判定の結果、ブレーキペダル22が踏み込まれていない場合は、運転者による制動要求がないと見なされて前記のフラグF1とフラグF2とがいずれも「0」に設定されるとともに(ステップS16)、回生トルクTが、エンジンブレーキに相当する最低限の回生制動を生じさせる最低値Tminに設定されて(ステップS17)、この出力値Tminがインバータ44に出力される(ステップS13)。
【0058】
一方、ステップS3の判定の結果、ブレーキペダル22が踏み込まれている場合は、フラグF1が「1」に設定されているか否かが判定される(ステップS4)。
【0059】
ステップS4の判定の結果、フラグF1が「0」に設定されている場合のみステップS5に進み、フラグF1が「1」に設定されている場合、ステップS5及びステップS6を省略してステップS7に進む。
【0060】
ステップS5では、ブレーキペダルストロークセンサ52で検出されたブレーキペダル22の踏み込み量Bstと、該踏み込み量Bstの増加速度ΔBstとに基づいて、回生トルクのピーク値Tmaxが設定される。具体的に、このピーク値Tmaxは、例えば図3に示すマップを用いて、踏み込み量Bstが大きいほど大きくなるように、且つ、踏み込み量の増加速度ΔBstが大きいほど大きくなるように設定される。これにより、回生トルクのピーク値Tmaxを、運転者の制動要求に応じた値に設定することができる。このようにしてピーク値Tmaxが設定されると、続くステップS6においてフラグF1が「1」に設定された後、ステップS7に進む。
【0061】
ステップS7では、回生トルクTが、ステップS5で設定されたピーク値Tmaxに到達したか否かが判定される。
【0062】
ピーク値Tmaxの設定直後は、回生トルクTがピーク値Tmaxに達していないため、ステップS7の判定を経てステップS14に進み、このステップS14においてフラグF2が「1」でないと判定された後、回生トルクTの出力値としてピーク値Tmaxがインバータ44に出力される(ステップS13)。この場合、回生トルクTがピーク値Tmaxに到達するまで同様の処理が繰り返され、これにより、回生トルクTはブレーキ操作の初期にピーク値Tmaxに到達する。よって、ブレーキ操作の初期に、制動要求に応じた回生トルクTが作動することで、運転者はブレーキ操作時に違和感を覚えることがない。
【0063】
一方、回生トルクTがピーク値Tmaxに到達すると、ステップS7の判定を経てステップS8においてフラグF2が「1」に設定された後、ステップS9に進む。
【0064】
ステップS9では、ステップS1で読み込まれた勾配センサ58の出力値に基づき、車両1が降坂中であるか否かが判定され、ステップS10では、ステップS1で読み込まれた舵角センサ56の出力値に基づき、車両1がコーナリング中であるか否かが判定される。なお、ステップS9の判定は、勾配センサ58の出力値に代えて、車両の降坂状態を検出可能な別のセンサ(例えば上下方向の加速度を検出する加速度センサ)に基づいて行ってもよく、ステップS10の判定は、舵角センサ56の出力値に代えて、車両の旋回状態を検出可能な別のセンサ(例えば車幅方向の加速度を検出する加速度センサ)に基づいて行ってもよい。
【0065】
ステップS9及びステップS10の判定の結果、車両1が降坂中であるか又はコーナリング中であるとき、ステップS11及びステップS12における回生トルクTの減少制御が実行されることなく、回生トルクTがインバータ44に出力される(ステップS13)。これにより、車両1の降坂中またはコーナリング中における走行安定性の維持が図られる。
【0066】
一方、ステップS9及びステップS10の判定の結果、車両1が降坂中でもコーナリング中でもないとき、ステップS11及びステップS12における回生トルクTの減少制御が実行される。
【0067】
ステップS11では、回生トルクTの減少量ΔTが設定される。具体的には、例えば図4に示すマップを用いて、SOC推定用センサ54の検出値に基づき推定されたバッテリ42の残容量が大きいほど、すなわち、バッテリ42が受け入れ可能な回生電力が小さいほど、回生トルクの減少量ΔTは大きく設定される。これにより、バッテリ42により受け入れ可能な回生電力が小さいときは、回生トルクTを大きく減少させることで、バッテリ12に回生電力が過剰に供給されることを回避して、バッテリ42を適切に保護することができる。
【0068】
続くステップS12では、ステップS11で設定された減少量ΔT分だけ、回生トルクTが減算されて、この減算後の値がインバータ44に出力される(ステップS13)。このように、回生トルクTをピーク値Tmaxに到達した後に減少させても、上述のように運転者は制動力の不足を感じ難く、ブレーキ操作時に違和感を覚えることはない。
【0069】
なお、図2に示す制御動作の実行中において、ブレーキペダル22の踏み込み量Bstが増減した場合、これに応じて回生トルクTが増減するように制御してもよい。
【0070】
しかしながら、踏み込み量Bstが増大したときに常に回生トルクTを増大させたり、踏み込み量Bstが減少したときに常に回生トルクTを減少させたりすると、エネルギ効率およびバッテリ42の保護の観点から好ましくないことがある。
【0071】
この観点に基づいて、図6及び図7を参照しながら、本発明の別の実施形態について説明する。図6及び図7に示す各実施形態では、上述のコントローラ30により、基本的には上述の実施形態と同様に回生トルクTが制御されるが、回生トルクTがピーク値Tmaxに到達した後にブレーキペダル22の踏み込み量が増減した場合の制御動作が上述の実施形態と異なる。
【0072】
具体的に、図6に示す実施形態では、バッテリ42の残容量が前記所定値Y未満であることにより回生トルクTを維持するように制御されている場合において、ブレーキペダル22の踏み込み量Bstが増大したときは、これに応じて回生トルクTを増大させるように制御される。これにより、運転者の制動要求に応じた回生制動を得ることができる。一方、同様に回生トルクTを維持するように制御されている場合において、ブレーキペダル22の踏み込み量Bstが減少したときは、回生トルクTを維持するように制御される。これにより、バッテリ42が回生電力を十分に受け入れ可能なときは回生制動を極力利用することで、回生エネルギの有効利用を一層図ることができる。また、このように制動力を減少させるブレーキ操作が行われたときに回生制動力が維持されても、摩擦制動力はブレーキ操作に応じて低下し、これにより総制動力が低下するため、運転者の違和感を抑制することができる。
【0073】
また、図7に示す実施形態では、バッテリ42の残容量が前記所定値Y以上であることにより回生トルクTの減少制御を行っている場合において、ブレーキペダル22の踏み込み量Bstが減少したときは、これに応じて回生トルクTを減少させるように制御される。これにより、運転者の制動要求の低下に応じて回生制動を低下させることができる。一方、同様に回生トルクTの減少制御を行っている場合において、ブレーキペダル22の踏み込み量Bstが増大したときは、回生トルクTを維持するように制御される。これにより、回生トルクTの減少制御が中断されるとともに、摩擦制動力はブレーキ操作に応じて増大し、これにより総制動力が増大するため、運転者が制動力の不足を感じることを極力抑制しつつ、回生トルクTを増大させないことによりバッテリ42の保護を図ることができる。
【0074】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば、上述の実施形態では、本発明を電気自動車に適用する場合について説明したが、本発明は、摩擦ブレーキと回生ブレーキとを非協調で動作させるブレーキシステムを搭載した車両であれば、電気自動車以外の車両(例えばハイブリッド車)にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明によれば、非協調ブレーキシステムにおいて、回生ブレーキの利用によりエネルギの有効利用を図りつつ、運転者がブレーキ操作時に違和感を覚えることを常に防止することが可能となるから、非協調ブレーキシステムを採用した電気自動車またはハイブリッド車等の車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0077】
1:車両、10:ブレーキシステム、12,14:摩擦ブレーキ、22:ブレーキペダル、30:コントローラ、40:モータジェネレータ(回生ブレーキ手段)、42:バッテリ(蓄電手段)、52:ブレーキペダルストロークセンサ、54:SOC推定用センサ、56:舵角センサ、58:勾配センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ操作手段のストローク変化に応じて摩擦ブレーキ手段と回生ブレーキ手段とを非協調で動作させる車両のブレーキシステムであって、
前記ブレーキ操作手段のストローク変化を検出するブレーキ操作検出手段と、
該ブレーキ操作検出手段の検出結果に基づいて、前記回生ブレーキ手段による回生制動力を制御する回生ブレーキ制御手段と、
前記回生ブレーキ手段の作動に伴い生じる電力を蓄える蓄電手段と、
該蓄電手段の残容量を検出する残容量検出手段と、を備え、
前記回生ブレーキ制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段によりブレーキ操作手段の制動操作開始時のストローク変化が検出されたときに前記回生ブレーキ手段を制御する第1期間制御手段と、該第1期間制御手段に続いて前記回生ブレーキ手段の制御を行う第2期間制御手段とを有し、
前記第1期間制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段により検出される制動力増大方向のストローク変化が大きいほど前記回生制動力が大きくなるように前記回生ブレーキ手段を制御し、
前記第2期間制御手段は、前記残容量検出手段により検出される残容量が所定値以上であるとき、前記第1期間制御手段による制御時に比べて前記回生制動力が減少するように前記回生ブレーキ手段を制御することを特徴とする車両のブレーキシステム。
【請求項2】
前記第2期間制御手段は、前記回生制動力の減少制御を行うとき、前記残容量検出手段により検出される残容量が大きいほど前記回生制動力の減少量が大きくなるように制御することを特徴とする請求項1に記載の車両のブレーキシステム。
【請求項3】
前記第1期間制御手段は、前記ブレーキ操作検出手段により検出されたストローク変化の大きさに基づいて、前記回生制動力のピーク値を設定する手段であり、
前記ブレーキシステムは、
前記回生ブレーキ手段による回生制動力を検出する回生制動力検出手段と、
該回生制動力検出手段により検出された回生制動力が、前記第1期間制御手段により設定された前記ピーク値に達したか否かを判定するピーク到達判定手段と、を更に備え、
前記第2期間制御手段は、前記ピーク到達判定手段により前記回生制動力が前記ピーク値に達したと判定された後に、前記回生制動力の制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両のブレーキシステム。
【請求項4】
前記第2期間制御手段は、前記残容量検出手段により検出される残容量が前記所定値未満であることにより前記回生制動力を維持するように制御している場合、前記ブレーキ操作検出手段により制動力を減少させるストローク変化が検出されたときでも、前記回生制動力を維持するように制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両のブレーキシステム。
【請求項5】
前記第2期間制御手段は、前記残容量検出手段により検出される残容量が前記所定値以上であることにより前記回生制動力の減少制御を行っている場合、前記ブレーキ操作検出手段により制動力を増大させるストローク変化が検出されたときでも、前記回生制動力を維持するように制御することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両のブレーキシステム。
【請求項6】
前記蓄電手段の蓄電状態を制御する蓄電制御手段を更に備え、
該蓄電制御手段は、前記回生ブレーキ手段が作動しているときを除いて、前記回生ブレーキ手段が作動するときに生じる電力を前記蓄電手段が受け入れ可能なように該蓄電手段の残容量を所定の閾値以下に維持することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両のブレーキシステム。
【請求項7】
車両が旋回状態であるか否かを検出する旋回状態検出手段を更に備え、
前記第2期間制御手段は、前記旋回状態検出手段により車両の旋回状態が検出されたとき、前記残容量検出手段により検出される残容量が前記所定値以上であっても、前記回生制動力を維持することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両のブレーキシステム。
【請求項8】
車両が降坂状態であるか否かを検出する降坂状態検出手段を更に備え、
前記第2期間制御手段は、前記降坂状態検出手段により車両の降坂状態が検出されたとき、前記残容量検出手段により検出される残容量が前記所定値以上であっても、前記回生制動力を維持することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両のブレーキシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−175754(P2012−175754A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33270(P2011−33270)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】