説明

車両の制御装置およびそれを備えた車両

【課題】 使用者が移動方向を容易に操作することができる車両の制御装置およびそれを備えた車両を提供する。
【解決手段】 目標値算出部23はx軸信号入力部21から与えられるx軸信号xおよびy軸信号入力部22から与えられるy軸信号yに基づいて旋回目標値Xおよび進行目標値Yを算出する。進行目標値Yは前進時と後進時とで正負が逆になり、旋回目標値Xは右旋回時と左旋回時とで正負が逆になり、右旋回および左旋回と旋回目標値Xの正負との対応関係が前進時と後進時とで反転する。加算器24は、旋回目標値Xと進行目標値Yとを加算し、左車輪41aの速度指令信号Lmを算出する。減算器25は、進行目標値Yから旋回目標値Xを減算し、右車輪41bの速度指令信号Rmを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸の二輪を備える車両の制御装置およびそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電力を用いて駆動される電動車椅子が開発されている。一般に、この電動車椅子においては、車両の前部に一対のキャスタが設けられ、車両の後部に一対の駆動輪が同軸に設けられている。電動車椅子の一対の駆動輪は、それぞれに対応する一対のモータにより駆動される。
【0003】
このような電動車椅子の操舵装置としてジョイスティックが用いられる。使用者は、ジョイスティックを操作することにより電動車椅子を前進または後進させるとともに左方向または右方向へ旋回させることができる。
【特許文献1】特開平11−188065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来の電動車椅子の一例としてジョイスティックを備える電動車椅子について説明する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図21は、従来の電動車椅子のブロック図である。図21に示すように、従来の電動車椅子900は、ジョイスティック910、速度指令値算出部分920、モータドライバ931a,931b、モータ932a,932b、一対のギア941a,941b,942a,942b、左車輪943aおよび右車輪943bを含む。ここで、電動車椅子900の前後方向をy軸方向とし、左右方向をx軸方向とする。
【0006】
使用者がジョイスティック910を操作することにより、ジョイスティック910から速度指令値算出部分920へx軸方向の信号(以下、x軸信号と呼ぶ。)xおよびy軸方向の信号(以下、y軸信号と呼ぶ。)yが与えられる。
【0007】
x軸信号xは、電動車椅子900の横方向、すなわち左右方向の速度を指令するための信号である。y軸信号yは、電動車椅子900の前後方向の速度を指令するための信号である。
【0008】
速度指令値算出部分920は、x軸信号入力部921、y軸信号入力部922、加算器923および減算器924を含む。x軸信号入力部921はジョイスティック910から与えられるx軸信号xを加算器923および減算器924に入力し、y軸信号入力部922はジョイスティック910から与えられるy軸信号yを加算器923および減算器924に入力する。
【0009】
加算器923は、x軸信号xとy軸信号yとを加算することにより、左車輪943aの速度指令信号Lmを算出する。減算器924は、y軸信号yからx軸信号xを減算することにより、右車輪943bの速度指令信号Rmを算出する。
【0010】
モータドライバ931aは、速度指令信号Lmに基づいてモータ932aを駆動する。これにより、モータ932aの動力がギア941a,942aを介して左車輪943aに伝達され、左車輪943aが回転する。
【0011】
モータドライバ931bは、速度指令信号Rmに基づいてモータ932bを駆動する。これにより、モータ932bの動力がギア941b,942bを介して右車輪943bに伝達され、右車輪943bが回転する。
【0012】
以下、ジョイスティック910の傾斜方向に応じた各種信号の変化および電動車椅子の移動方向について図22および図23に基づき説明する。
【0013】
図22は、従来の電動車椅子におけるジョイスティック910の傾斜方向とx軸信号x、y軸信号yおよび速度指令信号Lm,Rmとの関係を説明するための図である。
【0014】
図22(a)に、ジョイスティック910の傾斜方向を定義するための図が示されている。ジョイスティック910の中心を基準として、電動車椅子の前後方向にy軸を定義し、電動車椅子の左右方向にx軸を定義する。
【0015】
ここで、y軸の正の方向を電動車椅子の前進方向とし、y軸の負の方向を電動車椅子の後進方向とする。また、x軸の正の方向を電動車椅子の右方向とし、x軸の負の方向を電動車椅子の左方向とする。
【0016】
xy平面において、y軸の正の方向を基準として右回りに回転角度θを定義する。図22(a)に示すように、回転角度45°ごとに、方向P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8を順に定義する。
【0017】
ジョイスティック910を傾斜させた状態で、0°から360°まで回転させる場合のx軸信号xおよびy軸信号yの変化が図22(b),(c)にそれぞれ示されている。図22(b),(c)において、縦軸はx軸信号xおよびy軸信号yの値を表し、横軸は回転角度θを表す。x軸信号xおよびy軸信号yの最大値および最小値をそれぞれ1および−1とする。
【0018】
図22(b)によれば、x軸信号xの値は、方向P1から方向P3にかけて0から1に増加し、方向P3から方向P7にかけて1から−1に減少し、方向P7から方向P1にかけて−1から0に増加する。
【0019】
一方、図22(c)によれば、y軸信号yの値は、方向P1から方向P5にかけて1から−1に減少し、方向P5から方向P1にかけて−1から1に増加する。
【0020】
x軸信号xおよびy軸信号yはともに正弦曲線を示し、それぞれの正弦曲線は互いに90°位相がずれている。
【0021】
図22(d),(e)に、x軸信号xおよびy軸信号yに基づいて算出される速度指令信号Lm,Rmと回転角度θとの関係が示されている。図22(d),(e)において、縦軸は速度指令信号Lm,Rmの値を表し、横軸は回転角度θを表す。
【0022】
図22(d)によれば、速度指令信号Lmの値は、方向P1から方向P2にかけて1から約1.5に増加し、方向P2から方向P6にかけて約1.5から約−1.5に減少し、方向P6から方向P1にかけて約−1.5から1に増加する。
【0023】
図22(e)によれば、速度指令信号Rmの値は、方向P1から方向P4にかけて1から約−1.5に減少し、方向P4から方向P8にかけて約−1.5から約1.5に増加し、方向P8から方向P1にかけて約1.5から1に減少する。
【0024】
2つの速度指令信号Lm,Rmはともに正弦曲線を示し、それぞれの正弦曲線は互いに90°位相がずれている。
【0025】
図21の左車輪943aおよび右車輪943bは、それぞれ図22(d),(e)の速度指令信号Lm,Rmに基づいて図23に示すように回転される。
【0026】
図23は、従来の電動車椅子におけるジョイスティック910の傾斜方向と電動車椅子の移動方向との関係を説明するための図である。
【0027】
図23にはジョイスティック910の回転角度θに応じた左車輪943aおよび右車輪943bの駆動状態が実線の矢印LA,RAおよび白丸LA,RAにより示されている。
【0028】
図23において、矢印LA,RAはそれぞれ左車輪943aおよび右車輪943bの駆動方向を示す。また、白丸LA,RAはそれぞれ左車輪943aおよび右車輪943bが停止している状態を示す。図23において、白抜き太矢印Mは電動車椅子の移動方向を示す。
【0029】
例えば、使用者がジョイスティック910を方向P1(前方)に傾斜させた場合、左車輪943aおよび右車輪943bは前方に回転する。それにより、電動車椅子が前進する。一方、使用者がジョイスティック910を方向P5(後方)に傾斜させた場合、左車輪943aおよび右車輪943bは後方に回転する。それにより、電動車椅子が後進する。
【0030】
使用者がジョイスティック910を方向P2(右斜め前方)に傾斜させた場合、左車輪943aは前方に回転し、右車輪943bは停止する。それにより、電動車椅子が右斜め前方に旋回する。また、使用者がジョイスティック910を方向P8(左斜め前方)に傾斜させた場合、左車輪943aは停止し、右車輪943bは前方に回転する。それにより、電動車椅子が左斜め前方に旋回する。
【0031】
使用者がジョイスティック910を方向P3(右方向)に傾斜させた場合、左車輪943aは前方に回転し、右車輪943bは後方に回転する。それにより、電動車椅子が右回りに旋回する。使用者がジョイスティック910を方向P7(左方向)に傾斜させた場合、左車輪943aは後方に回転し、右車輪943bは前方に回転する。それにより、電動車椅子が左回りに旋回する。
【0032】
使用者がジョイスティック910を方向P4(右斜め後方)に傾斜させた場合、左車輪943aは停止し、右車輪943bは後方に回転する。それにより、電動車椅子が左斜め後方に旋回する。また、使用者がジョイスティック910を方向P6(左斜め後方)に傾斜させた場合、左車輪943aは後方に回転し、右車輪943bは停止する。それにより、電動車椅子が右斜め後方に旋回する。
【0033】
このように、使用者は、電動車椅子を左斜め後方に旋回させたい場合、ジョイスティック910を右斜め後方に傾斜させる必要がある。また、使用者は、電動車椅子を右斜め後方に旋回させたい場合、ジョイスティック910を左斜め後方に傾斜させる必要がある。
【0034】
すなわち、従来の電動車椅子においては、電動車椅子の前進時の旋回方向の操作と、電動車椅子の後進時の旋回方向の操作とが異なるので、使用者は電動車椅子の移動方向の操作に熟練を要する。
【0035】
本発明の目的は、使用者が移動方向を容易に操作することができる車両の制御装置およびそれを備えた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
第1の発明に係る車両の制御装置は、略同軸上に設けられた第1および第2の駆動輪と第1および第2の駆動輪をそれぞれ独立に駆動する第1および第2の駆動装置とを備えた車両を制御するための制御装置であって、車両の移動方向を指令するための操作に基づいて車両の前後方向の移動を指令する第1の移動指令信号および車両の左右方向の移動を指令する第2の移動指令信号を出力する操作部と、操作部により出力された第1の移動指令信号および第2の移動指令信号に基づいて車両の前後方向への進行に対応する進行信号および車両の左右方向への旋回に対応する旋回信号を発生する信号発生手段と、信号発生手段により発生された進行信号および旋回信号により第1の駆動装置に第1の駆動輪の駆動を指示する第1の駆動信号および第2の駆動装置に第2の駆動輪の駆動を指示する第2の駆動信号をそれぞれ算出する信号算出手段とを備え、前進時と後進時とで進行信号の正負が逆になり、右旋回時と左旋回時とで旋回信号の正負が逆になり、右旋回および左旋回と旋回信号の正負との対応関係が前進時と後進時とで反転するものである。
【0037】
この車両の制御装置においては、使用者が操作部を操作することにより、操作部から車両の前後方向の移動を指令する第1の移動指令信号および車両の左右方向の移動を指令する第2の移動指令信号が出力される。出力された第1の移動指令信号および第2の移動指令信号に基づいて車両の前後方向への進行に対応する進行信号および車両の左右方向への旋回に対応する旋回信号が信号発生手段により発生される。信号算出手段においては、進行信号および旋回信号の加算により第1の駆動装置に第1の駆動輪の駆動を指示する第1の駆動信号が算出され、進行信号および旋回信号の減算により第2の駆動装置に第2の駆動輪の駆動を指示する第2の駆動信号が算出される。
【0038】
加算結果の絶対値が減算結果の絶対値よりも大きい場合には、第1の駆動輪の駆動量が第2の駆動輪の駆動量よりも大きくなり、車両は一方向(右または左)に旋回する。一方、加算結果の絶対値が減算結果の絶対値よりも小さい場合には、第1の駆動輪の駆動量が第2の駆動輪の駆動量よりも小さくなり、車両は他方向(左または右)に旋回する。
【0039】
ここで、前進時と後進時とで進行信号の正負が逆になり、右旋回時と左旋回時とで旋回信号の正負が逆になり、右旋回および左旋回と旋回信号の正負との対応関係が前進時と後進時とで反転する。
【0040】
それにより、前進かつ一方向(右または左)への旋回の操作時には、加算結果の絶対値が減算結果の絶対値よりも大きくなり、車両は一方向(右または左)へ旋回する。後進かつ一方向(右または左)への旋回の操作時にも、加算結果の絶対値が減算結果の絶対値よりも大きくなり、車両は一方向(右または左)へ旋回する。
【0041】
一方、前進かつ他方向(左または右)への旋回の操作時には、減算結果の絶対値が加算結果の絶対値よりも大きくなり、車両は他方向(左または右)へ旋回する。後進かつ他方向(左または右)への旋回の操作時にも、減算結果の絶対値が加算結果の絶対値よりも大きくなり、車両は他方向(左または右)へ旋回する。
【0042】
したがって、使用者は、前進時にも後進時にも、右方向への旋回の操作により車両を右方向へ旋回させることができ、左方向への旋回の操作により車両を左方向へ旋回させることができる。
【0043】
このように、使用者が車両の移動方向を指令するための操作を行う場合に、前進時の旋回方向の操作と後進時の旋回方向の操作とが同じになるので、使用者は熟練を要することなく移動方向を容易に操作することができる。
【0044】
第1の移動指令信号は前進時と後進時とで正負が逆になり、信号発生手段は、第2の移動指令信号を含む関数と第1の移動指令信号との積を旋回信号として発生してもよい。
【0045】
この場合、第1の移動指令信号の正負が前進時と後進時とで逆になり、第2の移動指令信号を含む関数と第1の移動指令信号との積が信号発生手段により旋回信号として算出される。これにより、簡単な演算により旋回信号の正負を前進時と後進時とで反転させることができる。
【0046】
第1の移動指令信号は前進時と後進時とで正負が逆になり、第2の移動指令信号は右旋回時と左旋回時とで正負が逆になってもよい。また、信号発生手段は、第1の移動指令信号が正負のいずれか一方である場合に第2の移動指令信号を旋回信号として発生してもよい。さらに、信号発生手段は、第1の移動指令信号が正負のいずれか他方である場合に第2の移動指令信号の正負を反転させて旋回信号として発生してもよい。
【0047】
この場合、第1の移動指令信号の正負が前進時と後進時とで逆になり、第2の移動指令信号の正負が右旋回時と左旋回時とで逆になる。また、第1の移動指令信号が正負のいずれか一方である場合に第2の移動指令信号が旋回信号として信号発生手段により発生される。さらに、第2の移動指令信号が正負のいずれか他方である場合に第2の移動指令信号の正負が反転されて旋回信号として信号発生手段により発生される。これにより、簡単な演算により旋回信号の正負を前進時と後進時とで反転させることができる。
【0048】
第1の移動指令信号が前後方向の移動を指令していない場合に旋回信号は0を示してもよい。この場合、前後方向の移動が指令されない場合に車両は旋回しない。これにより、車両が小さな半径で急激に旋回することが防止される。
【0049】
操作部は、ジョイスティックであってもよい。この場合、使用者がジョイスティックを所望の方向に傾斜させることにより第1の移動指令信号および第2の指令信号が生成される。それにより、使用者は容易に車両の移動方向を操作することができる。
【0050】
操作部は、使用者の筋電位を検出する検出手段と、検出手段により検出された使用者の筋電位に基づいて第1の移動指令信号および第2の移動指令信号を生成する信号生成手段とを含んでもよい。
【0051】
この場合、検出手段により使用者の筋電位が検出され、使用者の筋電位に基づいて信号生成手段により第1の移動指令信号および第2の移動指令信号が生成される。これにより、使用者は検出手段を身体に装着することにより容易に車両の移動方向を操作することができる。
【0052】
第2の発明に係る車両は、略同軸上に設けられた第1および第2の駆動輪と、第1および第2の駆動輪をそれぞれ独立に駆動する第1および第2の駆動装置と、第1および第2の駆動装置を制御するための制御装置とを備え、制御装置は、車両の移動方向を指令するための操作に基づいて車両の前後方向の移動を指令する第1の移動指令信号および車両の左右方向の移動を指令する第2の移動指令信号を出力する操作部と、操作部により出力された第1の移動指令信号および第2の移動指令信号に基づいて車両の前後方向への進行に対応する進行信号および車両の左右方向への旋回に対応する旋回信号を発生する信号発生手段と、信号発生手段により発生された進行信号および旋回信号により第1の駆動装置に第1の駆動輪の駆動を指示する第1の駆動信号および第2の駆動装置に第2の駆動輪の駆動を指示する第2の駆動信号をそれぞれ算出する信号算出手段とを備え、前進時と後進時とで進行信号の正負が逆になり、右旋回時と左旋回時とで旋回信号の正負が逆になり、右旋回および左旋回と旋回信号の正負との対応関係が前進時と後進時とで反転するものである。
【0053】
この車両においては、使用者が操作部を操作することにより、操作部から車両の前後方向の移動を指令する第1の移動指令信号および車両の左右方向の移動を指令する第2の移動指令信号が出力される。出力された第1の移動指令信号および第2の移動指令信号に基づいて車両の前後方向への進行に対応する進行信号および車両の左右方向への旋回に対応する旋回信号が信号発生手段により発生される。信号算出手段においては、進行信号および旋回信号の加算により第1の駆動装置に第1の駆動輪の駆動を指示する第1の駆動信号が算出され、進行信号および旋回信号の減算により第2の駆動装置に第2の駆動輪の駆動を指示する第2の駆動信号が算出される。
【0054】
第1の駆動信号に基づいて第1の駆動装置が制御装置により制御され、第1の駆動輪が駆動される。第2の駆動信号に基づいて第2の駆動装置が制御装置により制御され、第2の駆動輪が駆動される。
【0055】
加算結果の絶対値が減算結果の絶対値よりも大きい場合には、第1の駆動輪の駆動量が第2の駆動輪の駆動量よりも大きくなり、車両は一方向(右または左)に旋回する。一方、加算結果の絶対値が減算結果の絶対値よりも小さい場合には、第1の駆動輪の駆動量が第2の駆動輪の駆動量よりも小さくなり、車両は他方向(左または右)に旋回する。
【0056】
ここで、前進時と後進時とで進行信号の正負が逆になり、右旋回時と左旋回時とで旋回信号の正負が逆になり、右旋回および左旋回と旋回信号の正負との対応関係が前進時と後進時とで反転する。
【0057】
それにより、前進かつ一方向(右または左)への旋回の操作時には、加算結果の絶対値が減算結果の絶対値よりも大きくなり、車両は一方向(右または左)へ旋回する。後進かつ一方向(右または左)への旋回の操作時にも、加算結果の絶対値が減算結果の絶対値よりも大きくなり、車両は一方向(右または左)へ旋回する。
【0058】
一方、前進かつ他方向(左または右)への旋回の操作時には、減算結果の絶対値が加算結果の絶対値よりも大きくなり、車両は他方向(左または右)へ旋回する。後進かつ他方向(左または右)への旋回の操作時にも、減算結果の絶対値が加算結果の絶対値よりも大きくなり、車両は他方向(左または右)へ旋回する。
【0059】
したがって、使用者は、前進時にも後進時にも、右方向への旋回の操作により車両を右方向へ旋回させることができ、左方向への旋回の操作により車両を左方向へ旋回させることができる。
【0060】
このように、使用者が車両の移動方向を指令するための操作を行う場合に、前進時の旋回方向の操作と後進時の旋回方向の操作とが同じになるので、使用者は熟練を要することなく移動方向を容易に操作することができる。
【発明の効果】
【0061】
本発明に係る車両の制御装置によれば、使用者は車両の移動方向を指令するための操作を行う場合に、前進時の旋回方向の操作と後進時の旋回方向の操作とが同じになるので、使用者は熟練を要することなく車両の移動方向を容易に操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下、本発明の一実施の形態に係る車両の制御装置およびそれを備えた車両について説明する。下記では、本発明の一実施の形態に係る車両の制御装置の一例として電動車椅子の制御装置について説明する。
【0063】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る電動車椅子の外観斜視図である。
【0064】
図1において、電動車椅子100は椅子本体部1を備える。椅子本体部1は車体フレーム1aおよびシート1bから構成されている。椅子本体部1の前部下側には一対のキャスタ2a,2bが設けられている。椅子本体部1の後部下側には、左車輪41aおよび右車輪41bが同軸で回転可能に設けられている。
【0065】
椅子本体部1の後部には、バッテリホルダ4が設けられている。バッテリホルダ4にバッテリ3が取り付けられ、バッテリ3の電力が電動車椅子100の後述する制御装置に供給される。
【0066】
椅子本体部1の前部に操作ボックス支持部材110を介して操作ボックス120が取り付けられている。操作ボックス120の上部にはジョイスティック10が設けられている。
【0067】
使用者が椅子本体部1のシート1bに着座し、ジョイスティック10を操作することにより、左車輪41aおよび右車輪41bがそれぞれに対応する一対のモータ(図示せず)により駆動される。
【0068】
図2は、第1の実施の形態に係る電動車椅子100の制御系のブロック図である。
【0069】
図2に示すように、電動車椅子100は、ジョイスティック10、操作制御部20、モータドライバ30a,30b、モータ31a,31b、減速器40a,40b、左車輪41aおよび右車輪41bを備える。ジョイスティック10および操作制御部20が本実施の形態に係る制御装置を構成する。ここで、電動車椅子100の前後方向をy軸方向とし、左右方向をx軸方向とする。
【0070】
ジョイスティック10は、x軸信号発生回路11およびy軸信号発生回路12を含む。x軸信号発生回路11およびy軸信号発生回路12はともに摺動抵抗を備える。
【0071】
x軸信号発生回路11の摺動抵抗およびy軸信号発生回路12の摺動抵抗は互いに水平面内で直交するように設けられている。ジョイスティック10の傾斜角度および傾斜方向に応じてx軸信号発生回路11およびy軸信号発生回路12の各摺動抵抗の抵抗値が変化する。それにより、x軸信号発生回路11からx軸方向の信号(以下、x軸信号と呼ぶ。)xが発生され、y軸信号発生回路12からy軸方向の信号(以下、y軸信号と呼ぶ。)yが発生される。
【0072】
x軸信号xはx軸方向に平行な鉛直面内で鉛直方向とジョイスティック10とがなす角度に対応する。y軸信号yはy軸方向に平行な鉛直面内で鉛直方向とジョイスティック10とがなす角度に対応する。
【0073】
なお、ジョイスティック10の傾斜角度は、鉛直方向とジョイスティック10との間の角度である。
【0074】
x軸信号xおよびy軸信号yはそれぞれ操作制御部20へ与えられる。x軸信号xおよびy軸信号yは、後述の旋回目標値Xおよび進行目標値Yを算出するために用いられる。
【0075】
操作制御部20は、図1の操作ボックス120に内蔵されている。操作制御部20は、CPU(中央演算処理装置)等の処理装置およびメモリ等の記憶装置ならびに車両制御プログラムからなる。記憶装置には後述の車両制御プログラムが記憶される。操作制御部20は車両制御プログラムに基づいて以下の動作を行う。
【0076】
図2の操作制御部20は機能的に示されており、処理装置および記憶装置ならびに車両制御プログラムによりx軸信号入力部21、y軸信号入力部22、目標値算出部23、加算器24および減算器25の機能が実現される。
【0077】
x軸信号入力部21は、x軸信号発生回路11から与えられるx軸信号xを目標値算出部23に入力し、y軸信号入力部22はy軸信号発生回路12から与えられるy軸信号yを目標値算出部23に入力する。
【0078】
目標値算出部23はx軸信号xおよびy軸信号yに基づいて旋回目標値Xおよび進行目標値Yを算出する。旋回目標値Xは、電動車椅子100の横方向、すなわち左右方向の速度を指令するための信号である。進行目標値Yは、電動車椅子100の前後方向の速度を指令するための信号である。旋回目標値Xおよび進行目標値Yを算出するためのx軸信号xおよびy軸信号yに基づく演算式(以下、xy変換式と呼ぶ。)、旋回目標値Xおよび進行目標値Yの詳細は後述する。
【0079】
算出された旋回目標値Xおよび進行目標値Yは、加算器24および減算器25に与えられる。
【0080】
加算器24は、旋回目標値Xと進行目標値Yとを加算することにより、左車輪41aの速度指令信号Lmを算出する。減算器25は、進行目標値Yから旋回目標値Xを減算することにより、右車輪41bの速度指令信号Rmを算出する。
【0081】
本実施の形態では、上記のように、操作制御部20はCPU等の処理装置およびメモリ等の記憶装置から構成されているが、x軸信号入力部21、y軸信号入力部22、目標値算出部23、加算器24および減算器25の各々が電子回路等のハードウェアにより構成されてもよい。
【0082】
モータドライバ30aは、速度指令信号Lmに基づいてモータ31aを駆動する。これにより、モータ31aの動力がギア等を含む減速器40aを介して左車輪41aに伝達され、左車輪41aが回転する。
【0083】
モータドライバ30bは、速度指令信号Rmに基づいてモータ31bを駆動する。これにより、モータ31bの動力がギア等を含む減速器40bを介して右車輪41bに伝達され、右車輪41bが回転する。
【0084】
図3は、第1の実施の形態に係る車両制御プログラムの一例を示すフローチャートである。図3によれば、図2の操作制御部20は、初めにジョイスティック10から与えられるx軸信号xおよびy軸信号yを読み込む(ステップS10)。
【0085】
続いて、操作制御部20は旋回目標値Xおよび進行目標値Yの算出処理を行う(ステップS20)。ステップS20は、進行目標値Yの算出(ステップS21)および旋回目標値Xの算出(ステップS22)を含む。
【0086】
ステップS20の進行目標値Yの算出処理(ステップS21)および旋回目標値Xの算出処理(ステップS22)の順序は図3の例に限定されず、操作制御部20は旋回目標値Xの算出処理を行った後に進行目標値Yの算出処理を行ってもよい。
【0087】
その後、操作制御部20は、旋回目標値Xおよび進行目標値Yに基づいて速度指令信号Lm,Rmを算出し(ステップS30)、速度指令信号Lm,Rmをそれぞれモータドライバ30a,30bに出力する(ステップS40)。
【0088】
さらに、操作制御部20はx軸信号xおよびy軸信号yが与えられたか否かを判別する(ステップS50)。x軸信号xおよびy軸信号yが与えられた場合、操作制御部20は上記ステップS10に戻り、ステップS10〜S50の処理を繰り返す。一方、x軸信号xおよびy軸信号yが与えられない場合、操作制御部20は処理を終了する。
【0089】
なお、操作制御部20によるステップS10〜S50の処理の周期は、例えば10msである。
【0090】
上述のように、本実施の形態では、ジョイスティック10から与えられるx軸信号xおよびy軸信号yの演算により旋回目標値Xおよび進行目標値Yが算出され、算出された旋回目標値Xおよび進行目標値Yに基づいて速度指令信号Lm,Rmが算出される。速度指令信号Lm,Rmに基づいてモータ31a,31bにより左車輪41aおよび右車輪41bがそれぞれ駆動される。
【0091】
ここで、電動車椅子100におけるジョイスティック10の傾斜方向と電動車椅子100の移動方向との関係を説明した後、ジョイスティック10の傾斜方向に応じた操作制御部20の詳細な動作を説明する。
【0092】
図4は、第1の実施の形態に係る電動車椅子100のジョイスティック10の傾斜方向と電動車椅子100の移動方向との関係を説明するための図である。
【0093】
図4(a)に、ジョイスティック10の傾斜方向を定義するための図が示されている。ジョイスティック10の中心を基準として、電動車椅子100の前後方向にy軸を定義し、電動車椅子100の左右方向にx軸を定義する。
【0094】
ここで、y軸の正の方向を電動車椅子100の前進方向とし、y軸の負の方向を電動車椅子100の後進方向とする。x軸の正の方向を電動車椅子100の右方向とし、x軸の負の方向を電動車椅子100の左方向とする。
【0095】
xy平面において、y軸の正の方向を基準として右回りに回転角度θを定義する。図4(a)に示すように、回転角度45°ごとに、方向P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8を順に定義する。
【0096】
なお、上記のx軸、y軸、回転角度θおよび方向P1〜方向P8の定義付けは後述の図5〜図16の説明においても同様に行う。
【0097】
図4(b)に、本実施の形態に係る電動車椅子100におけるジョイスティック10の傾斜方向と電動車椅子100の移動方向との関係が示されている。図4(b)において、白抜き太矢印Mは電動車椅子100の移動方向を示す。また、白抜き丸印Mは電動車椅子100が停止している状態を示す。
【0098】
図4(b)によれば、使用者がジョイスティック10を方向P1(前方)に傾斜させた場合、電動車椅子100は前進する。一方、使用者がジョイスティック10を方向P5(後方)に傾斜させた場合、電動車椅子100は後進する。
【0099】
使用者がジョイスティック10を方向P2(右斜め前方)に傾斜させた場合、電動車椅子100は右斜め前方に旋回する。また、使用者がジョイスティック10を方向P8(左斜め前方)に傾斜させた場合、電動車椅子100は左斜め前方に旋回する。
【0100】
使用者がジョイスティック10を方向P3(右方向)または方向P7(左方向)に傾斜させた場合、電動車椅子100は停止する。
【0101】
使用者がジョイスティック10を方向P4(右斜め後方)に傾斜させた場合、電動車椅子100は右斜め後方に旋回する。また、使用者がジョイスティック10を方向P6(左斜め後方)に傾斜させた場合、電動車椅子100は左斜め後方に旋回する。
【0102】
このように、本実施の形態においては、ジョイスティック10の傾斜方向と電動車椅子100の移動方向とが、回転角度θが90°および270°を除いた全範囲(0°〜360°)で一致する。これにより、使用者は進みたい方向にジョイスティック10を傾斜させることにより容易に電動車椅子100の移動方向を操作することができる。
【0103】
すなわち、本実施の形態においては、電動車椅子100の前進時の旋回方向の操作と電動車椅子100の後進時の旋回方向の操作とが同じになるので、使用者は熟練を要することなく移動方向を容易に操作することができる。
【0104】
次に、図3のステップS20で用いられるxy変換式、旋回目標値Xおよび進行目標値Yの詳細について説明する。
【0105】
図5は第1の実施の形態に係る電動車椅子100におけるジョイスティック10の傾斜方向とx軸信号x、y軸信号y、旋回目標値Xおよび進行目標値Yとの関係を説明するための図であり、図6は第1の実施の形態に係る電動車椅子100におけるジョイスティック10の傾斜方向と速度指令信号Lm,Rmとの関係を説明するための図である。
【0106】
図5(a)に、図4(a)と同様にx軸、y軸、回転角度θおよび方向P1〜方向P8を定義するための図が示されている。
【0107】
ジョイスティック10を最大の傾斜角度で傾斜させた状態で、0°から360°まで回転させた場合のx軸信号xおよびy軸信号yの変化が図5(b),(c)にそれぞれ示されている。図5(b),(c)において、縦軸はx軸信号xおよびy軸信号yの値を表し、横軸は回転角度θを表す。x軸信号xおよびy軸信号yの最大値および最小値をそれぞれ1および−1とする。
【0108】
図5(b)によれば、x軸信号xの値は、方向P1から方向P3にかけて0から1に増加し、方向P3から方向P7にかけて1から−1に減少し、方向P7から方向P1にかけて−1から0に増加する。
【0109】
一方、図5(c)によれば、y軸信号yの値は、方向P1から方向P5にかけて1から−1に減少し、方向P5から方向P1にかけて−1から1に増加する。
【0110】
x軸信号xおよびy軸信号yはともに正弦曲線を示し、それぞれの正弦曲線は互いに90°位相がずれている。
【0111】
本例では、図3のステップS20において、操作制御部20は次式のxy変換式より旋回目標値Xおよび進行目標値Yを算出する。
【0112】
Y=y ・・・(1)
X=xy ・・・(2)
上記ステップS21において、操作制御部20は式(1)に基づいてy軸信号yをそのまま進行目標値Yとして用いる。また、上記ステップS22において、操作制御部20は式(2)に基づいて旋回目標値Xをx軸信号xとy軸信号yとの積により算出する。
【0113】
ジョイスティック10の回転に伴う旋回目標値Xおよび進行目標値Yの変化が図5(d),(e)にそれぞれ示されている。図5(d),(e)において、縦軸は旋回目標値Xおよび進行目標値Yを表し、横軸は回転角度θを表す。
【0114】
図5(d)によれば、旋回目標値Xは、方向P1から方向P2にかけて0から約0.5に増加し、方向P2から方向P3にかけて約0.5から0に減少し、方向P3から方向P4にかけて0から約−0.5に減少し、方向P4から方向P5にかけて約−0.5から0に増加する。また、旋回目標値Xは、方向P5から方向P1にかけて、方向P1から方向P5と同様に変化する。
【0115】
本例では、旋回目標値Xの正負はジョイスティック10の回転角度θが0°〜90°の間と90°〜180°の間とで反転し、180°〜270°の間と270°〜360°の間とで反転している。
【0116】
すなわち、旋回目標値Xはジョイスティック10の傾斜方向が右斜め前方(0°<θ<90°)である場合に正の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が右斜め後方(90°<θ<180°)である場合に負の値を示す。
【0117】
また、旋回目標値Xはジョイスティック10の傾斜方向が左斜め前方(270°<θ<360°)である場合に負の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が左斜め後方(180°<θ<270°)である場合に正の値を示す。
【0118】
一方、図5(e)によれば、進行目標値Yは、方向P1から方向P5にかけて1から−1に減少し、方向P5から方向P1にかけて−1から1に増加する。すなわち、進行目標値Yはジョイスティック10の傾斜方向が前進側(0°≦θ<90°,270°<θ≦360°)である場合に正の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が後進側(90°<θ<270°)である場合に負の値を示す。
【0119】
図3のステップS30において、操作制御部20は次式により旋回目標値Xおよび進行目標値Yから速度指令信号Lm,Rmを算出する。
【0120】
Lm=Y+X ・・・(3)
Rm=Y−X ・・・(4)
図6(f),(g)に、式(3),(4)、旋回目標値Xおよび進行目標値Yに基づいて算出される速度指令信号Lm,Rmと回転角度θとの関係が示されている。図6(f),(g)において、縦軸は速度指令信号Lmおよび速度指令信号Rmの値を表し、横軸は回転角度θを表す。
【0121】
図6(f)によれば、速度指令信号Lmの値は、方向P1から方向P2にかけて増加し、方向P2から方向P4にかけて減少し、方向P4から方向P1にかけて増加する。図6(g)によれば、速度指令信号Rmの値は、方向P1から方向P6にかけて減少し、方向P6から方向P8にかけて増加し、方向P8から方向P1にかけて減少する。
【0122】
図6(f),(g)に示すように、方向P3(90°)および方向P7(270°)において、速度指令信号Lm,Rmの値は、ともに0である。
【0123】
図6(f)において、方向P1〜方向P8における左車輪41aへの速度指令信号Lmの値が矢印により示されている。図6(g)において、方向P1〜方向P8における右車輪41bへの速度指令信号Rmの値が矢印により示されている。
【0124】
図1および図2の左車輪41aおよび右車輪41bは、それぞれ図6(f),(g)の速度指令信号Lm,Rmに基づいて図7に示すように回転される。
【0125】
図7は、第1の実施の形態に係る電動車椅子100におけるジョイスティック10の傾斜方向と電動車椅子100の移動方向との関係を説明するための図である。
【0126】
図7にはジョイスティック10の回転角度θに応じた左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態が実線の矢印LA,RAおよび白丸LA,RAにより示されている。なお、図7の方向P1〜方向P8における矢印LA,RAの大きさおよび方向は、図6(f),(g)の方向P1〜方向P8における矢印と一致する。
【0127】
図7において、矢印LA,RAはそれぞれ左車輪41aおよび右車輪41bの回転方向を示す。また、白丸LA,RAはそれぞれ左車輪41aおよび右車輪41bが停止している状態を示す。さらに、白抜き太矢印Mは電動車椅子100の移動方向を示す。また、白抜き丸印Mは電動車椅子100が停止している状態を示す。これらの符号の意味は、後述する図10、図13および図16においても同様である。
【0128】
例えば、使用者がジョイスティック10を方向P1(前方)に傾斜させた場合、左車輪41aおよび右車輪41bはともに前方に回転する。それにより、電動車椅子100が前進する。一方、使用者がジョイスティック10を方向P5(後方)に傾斜させた場合、左車輪41aおよび右車輪41bはともに後方に回転する。それにより、電動車椅子100が後進する。
【0129】
使用者がジョイスティック10を方向P2(右斜め前方)に傾斜させた場合、左車輪41aは前方に回転し、右車輪41bは前方にわずかに回転する。それにより、電動車椅子100が右斜め前方に旋回する。
【0130】
また、使用者がジョイスティック10を方向P8(左斜め前方)に傾斜させた場合、左車輪41aは前方にわずかに回転し、右車輪41bは前方に回転する。それにより、電動車椅子100が左斜め前方に旋回する。
【0131】
使用者がジョイスティック10を方向P3(右方向)または方向P7(左方向)に傾斜させた場合、左車輪41aおよび右車輪41bの両方は停止する。それにより、電動車椅子100が停止する。
【0132】
ここで、使用者がジョイスティック10を方向P4(右斜め後方)に傾斜させた場合、左車輪41aは後方に回転し、右車輪41bは後方にわずかに回転する。それにより、電動車椅子100が右斜め後方に旋回する。
【0133】
また、使用者がジョイスティック10を方向P6(左斜め後方)に傾斜させた場合、左車輪41aは後方にわずかに回転し、右車輪41bは後方に回転する。それにより、電動車椅子100が左斜め後方に旋回する。
【0134】
x軸信号xおよびy軸信号yは、ジョイスティック10の傾斜角度および傾斜方向に応じて次の範囲内の値となる。
【0135】
2 +y2 <a …(5)
式(5)において、aは定数である。使用者はジョイスティック10を操作することによりジョイスティック10の傾斜角度および傾斜方向に応じて、任意の方向に任意の速度で電動車椅子100を移動させることができる。
【0136】
図6および図7に示すように、この電動車椅子100においては、加算器24による速度指令信号Lmの絶対値が減算器25による速度指令信号Rmの絶対値よりも大きい場合には、左車輪41aが右車輪41bよりも大きく回転し、電動車椅子100は左方向に旋回する。
【0137】
一方、加算器24による速度指令信号Lmの絶対値が減算器25による速度指令信号Rmの絶対値よりも小さい場合には、左車輪41aが右車輪41bよりも小さく回転し、電動車椅子100は右方向に旋回する。
【0138】
特に、ジョイスティック10の右斜め前方への操作時には、速度指令信号Lmの絶対値が速度指令信号Rmの絶対値よりも大きくなり、電動車椅子100は右方向へ旋回する。また、ジョイスティック10の右斜め後方への操作時にも、速度指令信号Lmの絶対値が速度指令信号Rmの絶対値よりも大きくなり、電動車椅子100は右方向へ旋回する。
【0139】
一方、ジョイスティック10の左斜め前方への操作時には、速度指令信号Rmの絶対値が速度指令信号Lmの絶対値よりも大きくなり、電動車椅子100は左方向へ旋回する。また、ジョイスティック10の左斜め後方への操作時にも、速度指令信号Rmの絶対値が速度指令信号Lmの絶対値よりも大きくなり、電動車椅子100は左方向へ旋回する。
【0140】
それにより、使用者は、前進時にも後進時にも、ジョイスティック10を用いた右方向への旋回の操作により電動車椅子100を右方向へ旋回させることができ、左方向への旋回の操作により電動車椅子100を左方向へ旋回させることができる。
【0141】
このように、電動車椅子100の移動方向を指令するための操作を行う場合に、前進時の旋回方向の操作と後進時の旋回方向の操作とが同じになるので、使用者は熟練を要することなく移動方向を容易に操作することができる。
【0142】
ここでは、操作制御部20が式(1),(2)のxy変換式を用いた場合についての作用効果を説明したが、操作制御部20が後述の式(6)〜(11)のxy変換式を用いた場合にも上記同様の作用効果を得ることができる。
【0143】
続いて、図3のステップS20において、図2の操作制御部20が他のxy変換式を用いる場合を説明する。
【0144】
(xy変換式の他の例1)
本例では、図3のステップS20において、操作制御部20は次式のxy変換式より旋回目標値Xおよび進行目標値Yを算出する。
【0145】
【数1】

【0146】
【数2】

【0147】
上記ステップS21において、操作制御部20は式(6)に基づいて進行目標値Yを算出する。また、上記ステップS22において、操作制御部20は式(7)に基づいて旋回目標値Xを算出する。
【0148】
図8は式(6),(7)を用いた場合のジョイスティック10の傾斜方向と旋回目標値Xおよび進行目標値Yとの関係を説明するための図であり、図9は式(6),(7)を用いた場合のジョイスティック10の傾斜方向と速度指令信号Lm,Rmとの関係を説明するための図である。
【0149】
図8(a)に、図5(a)と同様にx軸、y軸、回転角度θおよび方向P1〜方向P8を定義するための図が示されている。図8(b),(c)に、図5(b),(c)と同様にジョイスティック10を最大の傾斜角度で傾斜させた状態で、0°から360°まで回転させた場合のx軸信号xおよびy軸信号yの変化が示されている。
【0150】
ジョイスティック10の回転に伴う旋回目標値Xおよび進行目標値Yの変化が図8(d),(e)にそれぞれ示されている。図8(d),(e)において、縦軸は旋回目標値Xおよび進行目標値Yを表し、横軸は回転角度θを表す。
【0151】
図8(d)によれば、図5(d)と同様に、旋回目標値Xの正負はジョイスティック10の回転角度θが0°〜90°の間と90°〜180°の間とで反転し、180°〜270°の間と270°〜360°の間とで反転している。
【0152】
すなわち、旋回目標値Xはジョイスティック10の傾斜方向が右斜め前方(0°<θ<90°)である場合に正の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が右斜め後方(90°<θ<180°)である場合に負の値を示す。
【0153】
また、旋回目標値Xはジョイスティック10の傾斜方向が左斜め前方(270°<θ<360°)である場合に負の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が左斜め後方(180°<θ<270°)である場合に正の値を示す。
【0154】
一方、図8(e)によれば、図5(e)と同様に、進行目標値Yはジョイスティック10の傾斜方向が前進側(0°≦θ<90°,270°<θ≦360°)である場合に正の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が後進側(90°<θ<270°)である場合に負の値を示す。
【0155】
図9(f),(g)に、式(3),(4)、図8の旋回目標値Xおよび進行目標値Yに基づいて算出される速度指令信号Lm,Rmと回転角度θとの関係が示されている。図9(f),(g)において、縦軸は速度指令信号Lmおよび速度指令信号Rmの値を表し、横軸は回転角度θを表す。
【0156】
図9(f)によれば、速度指令信号Lmは、方向P6の手前から方向P7にかけて正の値を示す。また、図9(g)によれば、速度指令信号Rmは方向P3から方向P4の直後にかけて正の値を示す。速度指令信号Lmおよび速度指令信号Rmの他の部分の形状は、図6の速度指令信号Lmおよび速度指令信号Rmとほぼ同様である。
【0157】
図1および図2の左車輪41aおよび右車輪41bは、それぞれ図9(f),(g)の速度指令信号Lm,Rmに基づいて図10に示すように回転される。
【0158】
図10は、式(6),(7)を用いた場合のジョイスティック10の傾斜方向と電動車椅子100の移動方向との関係を説明するための図である。
【0159】
図10にはジョイスティック10の回転角度θに応じた左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態が実線の矢印LA,RAおよび白丸LA,RAにより示されている。なお、図10の方向P1〜方向P8における矢印LA,RAの大きさおよび方向は、図9(f),(g)の方向P1〜方向P8における矢印と一致する。
【0160】
式(6),(7)を用いた場合の左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態が、式(1),(2)を用いた場合の左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態と異なるのは次の点である。
【0161】
使用者がジョイスティック10を方向P2(右斜め前方)に傾斜させた場合、左車輪41aは前方に回転し、右車輪41bは後方にわずかに回転する。それにより、電動車椅子100が右斜め前方に旋回する。
【0162】
また、使用者がジョイスティック10を方向P8(左斜め前方)に傾斜させた場合、左車輪41aは後方にわずかに回転し、右車輪41bは前方に回転する。それにより、電動車椅子100が左斜め前方に旋回する。
【0163】
一方、使用者がジョイスティック10を方向P4(右斜め後方)に傾斜させた場合、左車輪41aは後方に回転し、右車輪41bは前方にわずかに回転する。それにより、電動車椅子100が右斜め後方に旋回する。
【0164】
また、使用者がジョイスティック10を方向P6(左斜め後方)に傾斜させた場合、左車輪41aは前方にわずかに回転し、右車輪41bは後方に回転する。それにより、電動車椅子100が左斜め後方に旋回する。
【0165】
本例においても、使用者は、前進時にも後進時にも、ジョイスティック10を用いた右方向への旋回の操作により電動車椅子100を右方向へ旋回させることができ、左方向への旋回の操作により電動車椅子100を左方向へ旋回させることができる。
【0166】
このように、電動車椅子100の移動方向を指令するための操作を行う場合に、前進時の旋回方向の操作と後進時の旋回方向の操作とが同じになるので、使用者は熟練を要することなく移動方向を容易に操作することができる。
【0167】
(xy変換式の他の例2)
本例では、図3のステップS20において、操作制御部20は次式のxy変換式より旋回目標値Xおよび進行目標値Yを算出する。
【0168】
Y=y ・・・(8)
【0169】
【数3】

【0170】
上記ステップS21において、操作制御部20は式(8)に基づいて進行目標値Yを算出する。また、上記ステップS22において、操作制御部20は式(9)に基づいて旋回目標値Xを算出する。
【0171】
図11は式(8),(9)を用いた場合のジョイスティック10の傾斜方向と旋回目標値Xおよび進行目標値Yとの関係を説明するための図であり、図12は式(8),(9)を用いた場合のジョイスティック10の傾斜方向と速度指令信号Lm,Rmとの関係を説明するための図である。
【0172】
図11(a)に、図5(a)と同様にx軸、y軸、回転角度θおよび方向P1〜方向P8を定義するための図が示されている。図11(b),(c)に、図5(b),(c)と同様にジョイスティック10を最大の傾斜角度で傾斜させた状態で、0°から360°まで回転させた場合のx軸信号xおよびy軸信号yの変化が示されている。
【0173】
ジョイスティック10の回転に伴う旋回目標値Xおよび進行目標値Yの変化が図11(d),(e)にそれぞれ示されている。図11(d),(e)において、縦軸は旋回目標値Xおよび進行目標値Yを表し、横軸は回転角度θを表す。
【0174】
図11(d)によれば、旋回目標値Xは、方向P1から方向P3にかけて0から1に増加するとともに方向P3で0となる。また、方向P3から方向P5にかけて−1から0に増加する。さらに、旋回目標値Xは、方向P5から方向P1にかけて、方向P1から方向P5と同様に変化する。
【0175】
このように、本例においては、旋回目標値Xの正負はジョイスティック10の回転角度θが0°〜90°の間と90°〜180°の間とで反転し、180°〜270°の間と270°〜360°の間とで反転している。
【0176】
すなわち、旋回目標値Xはジョイスティック10の傾斜方向が右斜め前方(0°<θ<90°)である場合に正の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が右斜め後方(90°<θ<180°)である場合に負の値を示す。
【0177】
また、旋回目標値Xはジョイスティック10の傾斜方向が左斜め前方(270°<θ<360°)である場合に負の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が左斜め後方(180°<θ<270°)である場合に正の値を示す。
【0178】
一方、図11(e)によれば、図5(e)と同様に、進行目標値Yはジョイスティック10の傾斜方向が前進側(0°≦θ<90°,270°<θ≦360°)である場合に正の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が後進側(90°<θ<270°)である場合に負の値を示す。
【0179】
図12(f),(g)に、式(3),(4)、図11の旋回目標値Xおよび進行目標値Yに基づいて算出される速度指令信号Lm,Rmと回転角度θとの関係が示されている。図12(f),(g)において、縦軸は速度指令信号Lmおよび速度指令信号Rmの値を表し、横軸は回転角度θを表す。
【0180】
図12(f)によれば、速度指令信号Lmは、方向P1から方向P2にかけて増加し、方向P2から方向P3にかけて減少し、方向P3においては0となる。そして、方向P3から方向P7にかけて増加し、方向P7においては0となる。さらに、方向P7から方向P1にかけて増加する。
【0181】
図12(g)によれば、速度指令信号Rmの値は、方向P1から方向P3にかけて減少し、方向P3においては0となる。そして、方向P3から方向P6にかけて減少し、方向P6から方向P7にかけて増加し、方向P7においては0となる。さらに、方向P7から方向P8にかけて増加し、方向P8から方向P1にかけて減少する。
【0182】
図12(f),(g)に示すように、方向P3(90°)および方向P7(270°)において、速度指令信号Lm,Rmの値は、ともに0である。
【0183】
図1および図2の左車輪41aおよび右車輪41bは、それぞれ図12(f),(g)の速度指令信号Lm,Rmに基づいて図13に示すように回転される。
【0184】
図13は、式(8),(9)を用いた場合のジョイスティック10の傾斜方向と電動車椅子100の移動方向との関係を説明するための図である。
【0185】
図13にはジョイスティック10の回転角度θに応じた左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態が実線の矢印LA,RAおよび白丸LA,RAにより示されている。なお、図13の方向P1〜方向P8における矢印LA,RAの大きさおよび方向は、図12(f),(g)の方向P1〜方向P8における矢印と一致する。
【0186】
式(8),(9)を用いた場合の左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態が、式(1),(2)を用いた場合の左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態と異なるのは次の点である。
【0187】
使用者がジョイスティック10を方向P2(右斜め前方)に傾斜させた場合、左車輪41aは前方に回転し、右車輪41bは停止する。それにより、電動車椅子100が右斜め前方に旋回する。
【0188】
また、使用者がジョイスティック10を方向P8(左斜め前方)に傾斜させた場合、左車輪41aは停止し、右車輪41bは前方に回転する。それにより、電動車椅子100が左斜め前方に旋回する。
【0189】
一方、使用者がジョイスティック10を方向P4(右斜め後方)に傾斜させた場合、左車輪41aは後方に回転し、右車輪41bは停止する。それにより、電動車椅子100が右斜め後方に旋回する。
【0190】
また、使用者がジョイスティック10を方向P6(左斜め後方)に傾斜させた場合、左車輪41aは停止し、右車輪41bは後方に回転する。それにより、電動車椅子100が左斜め後方に旋回する。
【0191】
本例においても、使用者は、前進時にも後進時にも、ジョイスティック10を用いた右方向への旋回の操作により電動車椅子100を右方向へ旋回させることができ、左方向への旋回の操作により電動車椅子100を左方向へ旋回させることができる。
【0192】
このように、電動車椅子100の移動方向を指令するための操作を行う場合に、前進時の旋回方向の操作と後進時の旋回方向の操作とが同じになるので、使用者は熟練を要することなく移動方向を容易に操作することができる。
【0193】
(xy変換式の他の例3)
本例では、図3のステップS20において、操作制御部20は次式のxy変換式より旋回目標値Xおよび進行目標値Yを算出する。
【0194】
【数4】

【0195】
【数5】

【0196】
上記ステップS21において、操作制御部20は式(10)に基づいて進行目標値Yを算出する。また、上記ステップS22において、操作制御部20は式(11)に基づいて旋回目標値Xを算出する。
【0197】
図14は式(10),(11)を用いた場合のジョイスティック10の傾斜方向と旋回目標値Xおよび進行目標値Yとの関係を説明するための図であり、図15は式(10),(11)を用いた場合のジョイスティック10の傾斜方向と速度指令信号Lm,Rmとの関係を説明するための図である。
【0198】
図14(a)に、図5(a)と同様にx軸、y軸、回転角度θおよび方向P1〜方向P8を定義するための図が示されている。図14(b),(c)に、図5(b),(c)と同様にジョイスティック10を最大の傾斜角度で傾斜させた状態で、0°から360°まで回転させた場合のx軸信号xおよびy軸信号yの変化が示されている。
【0199】
ジョイスティック10の回転に伴う旋回目標値Xおよび進行目標値Yの変化が図14(d),(e)にそれぞれ示されている。図14(d),(e)において、縦軸は旋回目標値Xおよび進行目標値Yを表し、横軸は回転角度θを表す。
【0200】
図14(d)によれば、図11(d)と同様に、旋回目標値Xの正負はジョイスティック10の回転角度θが0°〜90°の間と90°〜180°の間とで反転し、180°〜270°の間と270°〜360°の間とで反転している。
【0201】
すなわち、旋回目標値Xはジョイスティック10の傾斜方向が右斜め前方(0°<θ<90°)である場合に正の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が右斜め後方(90°<θ<180°)である場合に負の値を示す。
【0202】
また、旋回目標値Xはジョイスティック10の傾斜方向が左斜め前方(270°<θ<360°)である場合に負の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が左斜め後方(180°<θ<270°)である場合に正の値を示す。
【0203】
一方、図14(e)によれば、図11(e)と同様に、進行目標値Yはジョイスティック10の傾斜方向が前進側(0°≦θ<90°,270°<θ≦360°)である場合に正の値を示し、ジョイスティック10の傾斜方向が後進側(90°<θ<270°)である場合に負の値を示す。
【0204】
図15(f),(g)に、式(3),(4)、図14の旋回目標値Xおよび進行目標値Yに基づいて算出される速度指令信号Lm,Rmと回転角度θとの関係が示されている。図15(f),(g)において、縦軸は速度指令信号Lmおよび速度指令信号Rmの値を表し、横軸は回転角度θを表す。
【0205】
図15(f)によれば、速度指令信号Lmは、方向P1から方向P2にかけて増加および減少し、方向P2から方向P3にかけてほぼ一定の値を示すとともに、方向P3において0となる。そして、方向P3から方向P4にかけてほぼ一定の値を示し、方向P4から方向P5にかけて減少および増加する。
【0206】
さらに、方向P5から方向P7にかけて増加し、方向P7において0となる。そして、方向P7から方向P1にかけて増加する。
【0207】
図15(g)によれば、速度指令信号Rmは、方向P1から方向P3にかけて減少するとともに、方向P3において0となる。そして、方向P3から方向P5にかけて減少し、方向P5から方向P6にかけて減少および増加する。
【0208】
さらに、方向P6から方向P7にかけてほぼ一定の値を示すとともに、方向P7において0となる。そして、方向P7から方向P8にかけてほぼ一定の値を示し、方向P8から方向P1にかけて増加および減少する。
【0209】
図15(f),(g)に示すように、方向P3(90°)および方向P7(270°)において、速度指令信号Lm,Rmの値は、ともに0である。
【0210】
図1および図2の左車輪41aおよび右車輪41bは、それぞれ図15(f),(g)の速度指令信号Lm,Rmに基づいて図16に示すように回転される。
【0211】
図16は、式(10),(11)を用いた場合のジョイスティック10の傾斜方向と電動車椅子100の移動方向との関係を説明するための図である。
【0212】
図16にはジョイスティック10の回転角度θに応じた左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態が実線の矢印LA,RAおよび白丸LA,RAにより示されている。なお、図16の方向P1〜方向P8における矢印LA,RAの大きさおよび方向は、図15(f),(g)の方向P1〜方向P8における矢印と一致する。
【0213】
図16によれば、式(10),(11)を用いた場合の左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態は、図10で示した式(6),(7)を用いた場合の左車輪41aおよび右車輪41bの駆動状態と同じである。
【0214】
本例においても、使用者は、前進時にも後進時にも、ジョイスティック10を用いた右方向への旋回の操作により電動車椅子100を右方向へ旋回させることができ、左方向への旋回の操作により電動車椅子100を左方向へ旋回させることができる。
【0215】
このように、電動車椅子100の移動方向を指令するための操作を行う場合に、前進時の旋回方向の操作と後進時の旋回方向の操作とが同じになるので、使用者は熟練を要することなく移動方向を容易に操作することができる。
【0216】
上述のように、上記ステップS20において、操作制御部20が式(1),(2)および式(6),(7)のxy変換式を用いた場合、y軸信号yの正負が前進時と後進時とで逆になり、x軸信号xを含む関数とy軸信号yとの積が旋回目標値Xとして発生される。これにより、簡単な演算により旋回目標値Xの正負を前進時と後進時とで反転させることができる。
【0217】
また、上記ステップS20において、操作制御部20が式(8),(9)および式(10),(11)のxy変換式を用いた場合、y軸信号yの正負が前進時と後進時とで逆になり、x軸信号xの正負が右旋回時と左旋回時とで逆になり、y軸信号y(進行目標値Y)が正である場合にx軸信号xが旋回目標値Xとして発生され、y軸信号y(進行目標値Y)が負である場合にx軸信号xの正負が反転されて旋回目標値Xとして発生される。これにより、簡単な演算により旋回目標値Xの正負を前進時と後進時とで反転させることができる。
【0218】
本実施の形態においては、図7、図10、図13および図16に示すように、使用者がジョイスティック10を前後方向に操作していない場合(y軸信号yが0である場合)に、電動車椅子100は旋回しない(速度指令信号Lm,Rmが0となる)。これにより、電動車椅子100が小さな半径で急激に旋回することが防止される。
【0219】
また、本実施の形態においては、使用者がジョイスティック10を所望の方向に傾斜させることによりx軸信号xおよびy軸信号yが生成される。それにより、使用者は容易に車両の移動方向を操作することができる。
【0220】
本実施の形態において、左車輪41aおよび右車輪41bが第1および第2の駆動輪に相当し、モータドライバ30a,30b、モータ31a,31bおよび減速器40a,40bが第1および第2の駆動装置に相当し、ジョイスティック10および操作制御部20が制御装置を構成し、電動車椅子100が車両に相当する。
【0221】
また、y軸信号yが第1の移動指令信号に相当し、x軸信号xが第2の移動指令信号に相当し、ジョイスティック10が操作部に相当し、進行目標値Yが進行信号に相当し、旋回目標値Xが旋回信号に相当し、目標値算出部23が信号発生手段に相当し、速度指令信号Lm,Rmが第1および第2の駆動信号に相当し、加算器24および減算器25が信号算出手段に相当する。
【0222】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る電動車椅子は以下の点を除き、第1の実施の形態に係る電動車椅子100と同様の構成および動作を有する。
【0223】
本実施の形態に係る電動車椅子は、第1の実施の形態に係る電動車椅子100のジョイスティック10に代えて、筋電操作装置を備える。
【0224】
図17は第2の実施の形態に係る電動車椅子の筋電操作装置の構成を示すブロック図であり、図18は図17の筋電操作装置において用いられる各種信号の一例を示す図である。
【0225】
図17に示すように、筋電操作装置50は、複数の筋電センサ51a,51b,51c,51d、筋電信号増幅器52、全波整流回路53、ローパスフィルタ54およびxy軸信号発生装置55を含む。
【0226】
例えば、筋電センサ51aは使用者の左腕外側に取り付けられ、筋電センサ51bは使用者の左腕内側に取り付けられる。また、筋電センサ51cは使用者の右腕外側に取り付けられ、筋電センサ51dは使用者の右腕内側に取り付けられる。
【0227】
この場合、筋電センサ51aにより使用者の左腕の伸筋に基づく筋電信号xa1が検出され、筋電センサ51bにより使用者の左腕の屈筋に基づく筋電信号ya1が検出される。また、筋電センサ51cにより使用者の右腕の伸筋に基づく筋電信号xb1が検出され、筋電センサ51dにより使用者の右腕の屈筋に基づく筋電信号yb1が検出される。
【0228】
筋電信号xa1,ya1,xb1,yb1はそれぞれ筋電信号増幅器52に与えられる。筋電信号xa1の一例が図18(a)に示されている。図18(a)において、縦軸は筋電信号xa1の値を表し、横軸は時間を表す。
【0229】
筋電信号xa1,ya1,xb1,yb1はそれぞれ筋電信号増幅器52により増幅され、筋電信号xa2,ya2,xb2,yb2として全波整流回路53に与えられる。全波整流回路53により筋電信号xa2,ya2,xb2,yb2が全波整流され、筋電信号xa3,ya3,xb3,yb3が得られる。筋電信号xa3の一例が図18(b)に示されている。図18(b)において、縦軸は筋電信号xa3の値を表し、横軸は時間を表す。
【0230】
筋電信号xa3,ya3,xb3,yb3はローパスフィルタ54に与えられる。ローパスフィルタ54により筋電信号xa3,ya3,xb3,yb3の高周波成分が取り除かれる。これにより、筋電信号xa4,ya4,xb4,yb4が生成される。筋電信号xa4の一例が図18(c)に示されている。図18(c)において、縦軸は筋電信号xa4の値を表し、横軸は時間を表す。生成された筋電信号xa4,ya4,xb4,yb4はxy軸信号発生装置55に与えられる。
【0231】
xy軸信号発生装置55は、筋電信号xa4,ya4,xb4,yb4に基づいてx軸信号xおよびy軸信号yを生成する。図19は、図17のxy軸信号発生装置55におけるx軸信号xおよびy軸信号yの生成方法の一例を示す図である。図19(a)〜(f)において、縦軸は筋電信号の値を表し、横軸は時間を表す。
【0232】
図19(a),(b)に、筋電信号xa4,ya4が示されている。xy軸信号発生装置55は筋電信号xa4に対する筋電信号ya4の差分値を算出する。xy軸信号発生装置55は算出された差分値をx軸信号xとして図17の操作制御部20に与える。x軸信号xの一例が図19(c)に示されている。
【0233】
図19(d),(e)に、筋電信号xb4,yb4が示されている。xy軸信号発生装置55は筋電信号xb4に対する筋電信号yb4の差分値を算出する。xy軸信号発生装置55は算出された差分値をy軸信号yとして図17の操作制御部20に与える。y軸信号yの一例が図19(f)に示されている。
【0234】
ここで、上記の例では、筋電信号xa4,ya4に基づいてx軸信号xを算出し、筋電信号xb4,yb4に基づいてy軸信号yを算出しているが、筋電信号xa4,ya4に基づいてy軸信号yを算出し、筋電信号xb4,yb4に基づいてx軸信号xを算出してもよい。
【0235】
xy軸信号発生装置55は、以下の方法でx軸信号xおよびy軸信号yを生成してもよい。図20は、図17のxy軸信号発生装置55におけるx軸信号xおよびy軸信号yの生成方法の他の例を示す図である。
【0236】
本例において、xy軸信号発生装置55はニューラルネットワークを用いてx軸信号xおよびy軸信号yを生成する。
【0237】
図20(a)には、4つの筋電信号xa4,ya4,xb4,yb4に基づいてx軸信号xおよびy軸信号yを生成する例が示されている。図20(a)に示すように、3層からなるパーセプトロンにおいて、第1層のニューロンN11 ,N12 ,N13 ,N14 にそれぞれ筋電信号xa4,ya4,xb4,yb4が与えられる。
【0238】
その後、筋電信号xa4,ya4,xb4,yb4に基づく第1層のニューロンN11 〜N14 の出力が第2層のニューロンN21 〜N2n (nは整数)を介して第3のニューロンN31 ,N32 に入力される。その結果、4つの筋電信号xa4,ya4,xb4,yb4に基づいてx軸信号xおよびy軸信号yが得られる。
【0239】
図20(b)には、2つの筋電信号xa4,ya4に基づいてx軸信号xを生成し、2つの筋電信号xb4,yb4に基づいてy軸信号yを生成する例が示されている。
【0240】
図20(b)に示すように、3層からなるパーセプトロンにおいて、第1層のニューロンN11 ,N12 にそれぞれ筋電信号xa4,ya4が与えられる。
【0241】
その後、筋電信号xa4,ya4に基づく第1層のニューロンN11 ,N12 の出力が第2層のニューロンN21 〜N2n (nは整数)を介して第3のニューロンN31 に入力される。その結果、2つの筋電信号xa4,ya4に基づいてx軸信号xが得られる。
【0242】
また、3層からなるパーセプトロンにおいて、第1層のニューロンN11 ,N12 にそれぞれ筋電信号xb4,yb4が与えられる。
【0243】
その後、第1層のニューロンN11 ,N12 の出力が第2層のニューロンN21 〜N2n (nは整数)を介して第3のニューロンN31 に入力される。その結果、2つの筋電信号xb4,yb4に基づいてy軸信号yが得られる。
【0244】
上記のように、筋電操作装置50によりx軸信号xおよびy軸信号yが生成されるので、使用者は筋電センサ51a,51b,51c,51dの取り付けられた右腕および左腕を動かすことにより電動車椅子の移動方向を操作することができる。
【0245】
本実施の形態においても、図2の操作制御部20によりxy変換式が用いられる。それにより、電動車椅子の前進時の旋回方向の操作と電動車椅子の後進時の旋回方向の操作とが同じになるので、使用者は熟練を要することなく電動車椅子の移動方向を容易に操作することができる。
【0246】
また、本実施の形態では、筋電センサ51a,51b,51c,51dにより使用者の筋電位が検出され、使用者の筋電位に基づいて筋電信号増幅器52、全波整流回路53、ローパスフィルタ54およびxy軸信号発生装置55によりx軸信号xおよびy軸信号yが生成される。これにより、使用者は筋電センサ51a,51b,51c,51dを身体に装着することにより容易に車両の移動方向を操作することができる。
【0247】
本実施の形態では、筋電操作装置50が操作部に相当し、筋電センサ51a,51b,51c,51dが検出手段に相当し、xy軸信号発生装置55が信号生成手段に相当する。
【0248】
(他の変形例)
上記第1および第2の実施の形態では、操作部としてジョイスティック10または筋電操作装置50が用いられているが、操作部としてx軸方向の駆動およびy軸方向の駆動を指令する他の種々のスイッチ等を用いることもできる。
【0249】
さらに、上記第1および第2の実施の形態では、信号発生手段および信号算出手段がCPU等の処理装置およびメモリ等の記憶装置ならびに車両制御プログラムから構成されているが、信号発生手段および信号算出手段のいずれか一方または両方が電子回路等のハードウェアにより構成されていてもよい。
【0250】
また、xy変換式は、上記の式(1),(2)、式(6),(7)、式(8),(9)および式(10),(11)に限らず、前進時と後進時とで進行目標値Yの正負が逆になり、右旋回時と左旋回時とで旋回目標値Xの正負が逆になり、右旋回および左旋回と旋回目標値Xの正負との対応関係が前進時と後進時とで反転するのであれば、他の式を用いてもよい。
【0251】
上記第1および第2の実施の形態では、本発明を電動車椅子100に適用した場合について説明したが、本発明は同軸の二輪を備える戦車、ブルドーザ等の他の車両およびその制御装置にも同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0252】
本発明は、同軸の二輪を備える車両の制御等に有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0253】
【図1】第1の実施の形態に係る電動車椅子の外観斜視図である。
【図2】第1の実施の形態に係る電動車椅子の制御系のブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る車両制御プログラムの一例を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態に係る電動車椅子のジョイスティックの傾斜方向と電動車椅子の移動方向との関係を説明するための図である。
【図5】第1の実施の形態に係る電動車椅子におけるジョイスティックの傾斜方向とx軸信号、y軸信号、旋回目標値および進行目標値との関係を説明するための図である。
【図6】第1の実施の形態に係る電動車椅子におけるジョイスティックの傾斜方向と速度指令信号との関係を説明するための図である。
【図7】第1の実施の形態に係る電動車椅子におけるジョイスティックの傾斜方向と電動車椅子の移動方向との関係を説明するための図である。
【図8】式(6),(7)を用いた場合のジョイスティックの傾斜方向と旋回目標値および進行目標値との関係を説明するための図である。
【図9】式(6),(7)を用いた場合のジョイスティックの傾斜方向と速度指令信号との関係を説明するための図である。
【図10】式(6),(7)を用いた場合のジョイスティックの傾斜方向と電動車椅子の移動方向との関係を説明するための図である。
【図11】式(8),(9)を用いた場合のジョイスティックの傾斜方向と旋回目標値および進行目標値との関係を説明するための図である。
【図12】式(8),(9)を用いた場合のジョイスティックの傾斜方向と速度指令信号との関係を説明するための図である。
【図13】式(8),(9)を用いた場合のジョイスティックの傾斜方向と電動車椅子の移動方向との関係を説明するための図である。
【図14】式(10),(11)を用いた場合のジョイスティックの傾斜方向と旋回目標値および進行目標値との関係を説明するための図である。
【図15】式(10),(11)を用いた場合のジョイスティックの傾斜方向と速度指令信号との関係を説明するための図である。
【図16】式(10),(11)を用いた場合のジョイスティックの傾斜方向と電動車椅子の移動方向との関係を説明するための図である。
【図17】第2の実施の形態に係る電動車椅子の筋電操作装置の構成を示すブロック図である。
【図18】図17の筋電操作装置において用いられる各種信号の一例を示す図である。
【図19】図17のxy軸信号発生装置におけるx軸信号およびy軸信号の生成方法の一例を示す図である。
【図20】図17のxy軸信号発生装置におけるx軸信号およびy軸信号の生成方法の他の例を示す図である。
【図21】従来の電動車椅子のブロック図である。
【図22】図22は、従来の電動車椅子におけるジョイスティックの傾斜方向とx軸信号、y軸信号および速度指令信号との関係を説明するための図である。
【図23】従来の電動車椅子におけるジョイスティックの傾斜方向と電動車椅子の移動方向との関係を説明するための図である。
【符号の説明】
【0254】
10 ジョイスティック
20 操作制御部
21 x軸信号入力部
22 y軸信号入力部
23 目標値算出部
24 加算器
25 減算器
30a,30b モータドライバ
31a,31b モータ
40a,40b 減速器
41a 左車輪
41b 右車輪
51a,51b,51c,51d 筋電センサ
52 筋電信号増幅器
53 全波整流回路
54 ローパスフィルタ
55 xy軸信号発生装置
100 電動車椅子
120 操作ボックス
Lm,Rm 速度指令信号
x x軸信号
X 旋回目標値
y y軸信号
Y 進行目標値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略同軸上に設けられた第1および第2の駆動輪と前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ独立に駆動する第1および第2の駆動装置とを備えた車両を制御するための制御装置であって、
前記車両の移動方向を指令するための操作に基づいて前記車両の前後方向の移動を指令する第1の移動指令信号および前記車両の左右方向の移動を指令する第2の移動指令信号を出力する操作部と、
前記操作部により出力された第1の移動指令信号および第2の移動指令信号に基づいて前記車両の前後方向への進行に対応する進行信号および前記車両の左右方向への旋回に対応する旋回信号を発生する信号発生手段と、
前記信号発生手段により発生された進行信号および旋回信号により前記第1の駆動装置に第1の駆動輪の駆動を指示する第1の駆動信号および前記第2の駆動装置に第2の駆動輪の駆動を指示する第2の駆動信号をそれぞれ算出する信号算出手段とを備え、
前進時と後進時とで前記進行信号の正負が逆になり、右旋回時と左旋回時とで前記旋回信号の正負が逆になり、右旋回および左旋回と前記旋回信号の正負との対応関係が前進時と後進時とで反転することを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記第1の移動指令信号は前進時と後進時とで正負が逆になり、
前記信号発生手段は、前記第2の移動指令信号を含む関数と前記第1の移動指令信号との積を前記旋回信号として発生することを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記第1の移動指令信号は前進時と後進時とで正負が逆になり、前記第2の移動指令信号は右旋回時と左旋回時とで正負が逆になり、
前記信号発生手段は、前記第1の移動指令信号が正負のいずれか一方である場合に前記第2の移動指令信号を前記旋回信号として発生し、前記第1の移動指令信号が正負のいずれか他方である場合に前記第2の移動指令信号の正負を反転させて前記旋回信号として発生することを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記第1の移動指令信号が前後方向の移動を指令していない場合に前記旋回信号は0を示すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記操作部は、ジョイスティックであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記操作部は、
使用者の筋電位を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された使用者の筋電位に基づいて第1の移動指令信号および前記第2の移動指令信号を生成する信号生成手段とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両の制御装置。
【請求項7】
略同軸上に設けられた第1および第2の駆動輪と、
前記第1および第2の駆動輪をそれぞれ独立に駆動する第1および第2の駆動装置と、
前記第1および第2の駆動装置を制御するための制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記車両の移動方向を指令するための操作に基づいて前記車両の前後方向の移動を指令する第1の移動指令信号および前記車両の左右方向の移動を指令する第2の移動指令信号を出力する操作部と、
前記操作部により出力された第1の移動指令信号および第2の移動指令信号に基づいて前記車両の前後方向への進行に対応する進行信号および前記車両の左右方向への旋回に対応する旋回信号を発生する信号発生手段と、
前記信号発生手段により発生された進行信号および旋回信号により前記第1の駆動装置に第1の駆動輪の駆動を指示する第1の駆動信号および前記第2の駆動装置に第2の駆動輪の駆動を指示する第2の駆動信号を算出する信号算出手段とを備え、
右旋回時と左旋回時とで前記旋回信号の正負が逆になり、右旋回および左旋回と前記旋回信号の正負との対応関係が前進時と後進時とで反転することを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−43072(P2006−43072A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227431(P2004−227431)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】