説明

車両の制御装置

【課題】ロックアップ係合時のエンジン回転数の落ち込みによる運転者の違和感を防止することができる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】CVT2の出力軸18に対するCVT2の入力軸13の変速比が、低下期間(ギヤアップ)であることを条件(ステップS13)に、トルクコンバータ4のロックアップクラッチ11を開放状態から係合状態とさせる(ステップS14)ことにより、車速上昇時のロックアップ制御を、ステップ変速時に行うので、変速にともなうエンジン回転数の落ち込みに、ロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを同期させることができ、運転者にロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを認識させずにロックアップ係合を行うことができ、運転者の違和感を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックアップ機構付きトルクコンバータと変速機とを備えた車両の制御を行う車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、手動変速装置(マニュアル・トランスミッション;以下、MTという)付きの車両(以下、MT車という)で必要なギヤチェンジやクラッチ操作を自動化した自動変速装置(オートマチック・トランスミッション;以下、ATという)付きの車両(以下、AT車という)は増加し、AT車の市販車に占める割合は、9割を越えるといわれている。
【0003】
ATの機構としては、流体、例えば、作動油(オイル)の流れを利用して、動力源(エンジンや電動モーター)からの動力を、流体を介して変速機構の軸に伝えるトルクコンバータと、複数のギヤを組み合わせて、入力側の回転数と出力側の回転数との変速比を、段階的に切り換えて、出力する変速機構と、を備え、アクセル開度や車速に応じて、自動的に変速を行うようにしている。また、変速機構としては、変速に段付きがなく、無段階に変速比を設定する無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)もある。なお、無段変速機であっても、変速比を段階的に変化させて、変速を行うようにしているものもある。
【0004】
例えば、第1速〜第6速のような変速段を定め、運転者のマニュアル操作でかかる変速段への変速を行うことができるようにしたマニュアルレンジ(Mレンジ)付きの無段変速機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、無段変速機は、上記したようなマニュアルレンジでの手動変速に限らず、自動変速レンジ(Dレンジ)における走行においても、変速比を段階的に変化させて、変速を行うようにしているものもある。
【0005】
なお、本明細書では、無段変速機において、変速比を段階的(ステップ状)に変化させる変速をステップ変速といい、この段階的な変速比の変化をステップ変化という。
【0006】
また、自動車などの車両に搭載される無段変速機としては、ベルト式の無段変速機が知られている。このベルト式の無段変速機は、エンジンにより駆動されるプライマリプーリと、駆動輪に接続されている出力側のセカンダリプーリと、プライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられたベルトやチェーンなどの動力伝達要素とを有しており、油圧によってプライマリプーリおよびセカンダリプーリの溝幅を変えることによりプライマリプーリおよびセカンダリプーリに対する動力伝達要素の巻き付け径が変わり、これにより変速比を無段階に変化させることができる。
【0007】
このような無段変速機の制御装置にあっては、アクセル開度、車速、エンジン回転数等の運転状態を示すパラメータに基づいて変速比を自動的に制御している。例えば、アクセルペダルの踏み込み量に対応するエンジン回転数上昇率で上限回転数までプライマリプーリ回転数を上昇させ、その後は変速比を減少させて車速を連続的に増加させる方法がある。
【0008】
一方、上記無段変速機の制御方法では、一気にプライマリプーリの回転数を上限回転数まで上昇させるので、エンジンの最大駆動力を加速に利用することができる反面、上限回転数まで上昇した後には、車速の増加に比してエンジン回転数が増加しないので、エンジン回転数の増加にともなって車速を増加させたいという運転者の加速フィーリングを満足させることができない。このような問題に対し、エンジン回転数の上昇感と、車速の上昇感と、が一致するように制御する無段変速機の変速制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
この無段変速機の制御装置においては、運転者により車両の加速が要求された場合に、プライマリプーリの回転数が上限回転数に到達するまでは、プライマリプーリの回転数の上昇に比例して車速を上昇させる加速変速比制御と、プライマリプーリの回転数が上限回転数に到達した場合に、プライマリプーリの回転数を低下させて変速比を変更する回転数低下制御と、を繰り返して車速を上昇させるように制御している。
【0010】
この構成により、車両の加速時にはプライマリプーリの回転数が上昇するのにともなって車速を上昇させるため、エンジン回転数の上昇感と車速の上昇感とを一致させることができ、良好な加速フィーリングを得られるようにしている。さらに、プライマリプーリの回転数が上限回転数に到達した場合に、プライマリプーリの回転数を低下させるため、エンジン回転数の停滞を防ぐことができるようにしている。
【0011】
ところで、上記トルクコンバータは、作動油の流れを利用して、エンジンの動力を、変速機構の入力軸に伝達するようにしている。
具体的には、トルクコンバータは、作動油のように粘度のある液体で満たされたドーナツ状の容器(以下、ハウジングという)の中に、入力側の羽根車としてポンプインペラーと、出力側の羽根車としてタービンランナーと、が納められ、さらに、ポンプインペラーとタービンランナーとの間に、少し小さめの羽根車としてステータが納められている。
【0012】
そして、トルクコンバータは、エンジンの出力軸をポンプインペラーに接続し、タービンランナーを変速機構の入力軸に接続する。これにより、トルクコンバータは、エンジンの動力でポンプインペラーが回転させられ、作動油が流れ出し、ステータにより作動油の流れる方向を制御して、タービンランナーの羽に当たり、タービンランナーを回転させることにより、エンジンの動力を変速機構に伝達するようにしている。
【0013】
したがって、トルクコンバータは、エンジンの動力を作動油により変速機構に伝達する際に、作動油と、ポンプインペラーおよびタービンランナーと、の摩擦や滑り、伝達ロス等により、入力側の動力を出力側に100%伝達させることができない。そこで、トルクコンバータには、入力軸と出力軸とを直接接続し、入力側の回転数と出力側の回転数とを同一にして、エネルギー損失を防止するロックアップ機構を用いたものがある。
【特許文献1】特開平11−20513号公報
【特許文献2】特開2004−125072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記ロックアップ機構を用いたトルクコンバータにおいて、ロックアップ開放状態からロックアップ係合状態に移行する際には、作動油による伝達ロスが解消される一方で、エンジン回転数を落ち込ませることにより、出力側の回転数を変えないようにしている。ここで、運転者にとって、加速途中にも関わらずエンジン回転数の上昇が停滞したり、下降したりすることは、ドライバビリティの悪化と感じる場合がある。したがって、上記のようなロックアップ係合状態に移行する際のエンジン回転数の落ち込みは、特に加速中において、運転者にとって不快に感じる可能性があるという問題があった。
【0015】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、加速中におけるロックアップ係合時のエンジン回転数の落ち込みによる運転者の違和感を防止することができる車両の制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る車両の制御装置は、上記課題を解決するため、(1)動力機関により入力軸に入力された動力を流体の流動を利用して出力軸から出力される動力に変換するとともに、運転状態に応じて前記入力軸と前記出力軸とを直結するロックアップ機構を有するトルクコンバータと、前記トルクコンバータにより入力される回転数と、出力する回転数と、の変速比を段階的に変速可能な変速機と、を備えた車両の制御装置において、前記変速機の変速比が低下するとき、前記トルクコンバータのロックアップ機構を開放状態から係合状態に移行するようロックアップ制御するロックアップ制御手段を備えたことを特徴とした構成を有している。なお、前記変速機の出力軸に対する前記変速機の入力軸の変速比が低下期間であるとは、車速上昇のために変速段を上げる、いわゆる、ギヤアップを表すものである。
【0017】
この構成により、変速機の変速比が低下するとき、すなわち、車速上昇時の変速中に、トルクコンバータのロックアップ機構を開放状態から係合状態に移行させるので、変速にともなうエンジン回転数の落ち込みに、ロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを同期させることができ、運転者にロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを認識させずにロックアップ係合を行うことができ、運転者の違和感を防止することができる。
【0018】
また、本発明に係る車両の制御装置は、上記(1)に記載の車両の制御装置において、(2)前記車両の運転状況を検出する車両運転状況検出手段と、前記車両運転状況検出手段により検出された前記車両の運転状況により、前記車両の加速要求中であるか否かを判定する加速要求判定手段と、を備え、前記ロックアップ制御手段が、前記加速要求判定手段により前記車両の加速要求中であると判定された場合に、前記ロックアップ機構を開放状態から係合状態に移行させるロックアップ制御を行うことを特徴とした構成を有している。
【0019】
この構成により、特に加速要求中に、変速段切り換え時にロックアップ制御を行うので、運転者が加速中にエンジン回転数の落ち込みを感じることがなく、運転者の違和感を防止することができる。
【0020】
さらに、本発明に係る車両の制御装置は、上記(1)または(2)に記載の車両の制御装置において、(3)前記ロックアップ制御手段は、前記変速機の変速比の変更期間中に、前記ロックアップ制御を完了させるように制御することを特徴とした構成を有している。
【0021】
この構成により、変速機による変速比の変更期間中にロックアップ制御が完了するので、所定の変速比による走行中にエンジン回転数の落ち込みが起こらず、運転者の違和感を防止することができる。
【0022】
さらに、本発明に係る車両の制御装置は、上記(3)に記載の車両の制御装置において、(4)前記ロックアップ制御手段は、前記変速機の変速比の変更期間中に前記ロックアップ制御が完了するように、前記ロックアップの係合する速さを制御することを特徴とした構成を有している。
【0023】
この構成により、変速機による変速比の変更期間中にロックアップ制御が完了するような適切な速さでロックアップ係合を行うことができ、変速比が一定な走行中にエンジン回転数の落ち込みが起こらず、運転者の違和感を防止することができる。
【0024】
さらに、本発明に係る車両の制御装置は、上記(1)から(4)の何れかに記載の車両の制御装置において、(5)前記変速機は、前記変速比を連続的に可変であるとともに、段階的にもステップ変化させる無段変速機であって、前記ロックアップ制御手段は、前記変速機の変速比がステップ変化中に、前記ロックアップ制御を行うことを特徴とした構成を有している。
【0025】
この構成により、有段変速機に比べ車速の上昇とエンジン回転数の上昇とが対応しづらい無段変速機においても、エンジン回転数の上昇を車速の上昇に対応するがごとく制御することができ、運転者の違和感を抑止することができる。
【0026】
さらに、本発明に係る車両の制御装置は、上記(5)に記載の車両の制御装置において、(6)前記ロックアップ制御手段は、前記変速機のステップ変化の時間を、前記変速機が変速を行う速さと、前記変速のステップ変化量と、に基づいて設定することを特徴とした構成を有している。
【0027】
この構成により、変速機によるステップ変更の時間が適切に設定されるため、ステップ変更の時間に合わせた適切なロックアップ係合の時間を設定することができ、運転者の違和感を防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、変速にともなうエンジン回転数の落ち込みに、ロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを同期させることができ、運転者にロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを認識させずにロックアップ係合を行うことができ、運転者の違和感を防止することができる車両の制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る無段変速機を備えた車両用の動力伝達装置の概略ブロック構成図である。
【0030】
図1に示すように、動力伝達装置1は、例えば、横置き型FF(フロントエンジン・フロントドライブ)駆動車両に好適に採用されるものであり、ベルト式無段変速機2と、内燃機関であるエンジン3とを備えている。
【0031】
エンジン3の出力は、トルクコンバータ4から前後進切換装置5、ベルト式無段変速機(以下、単に「CVT」という)2、減速歯車6を介して差動歯車装置7に伝達され、左右の駆動輪8L、8Rに分配されるようになっている。すなわち、CVT2は、エンジン3から左右の駆動輪(例えば、前輪)8L、8Rに至る動力伝達経路に設けられている。
【0032】
また、トルクコンバータ4は、エンジン3のクランク軸に連結されたポンプインペラー9pと、タービン軸10を介して前後進切換装置5に連結されたタービンランナー9tと、一方向クラッチを介して非回転部材に回転可能に支持されたステータ9sとを有しており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。
【0033】
また、ポンプインペラー9pとタービンランナー9tの間には、ポンプインペラー9pおよびタービンランナー9tを一体的に連結して相互に一体回転させることができるようにするためのロックアップクラッチ(直結クラッチ)11が設けられている。
【0034】
前後進切換装置5は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置によって構成されており、トルクコンバータ4のタービン軸10はサンギヤ12sに連結され、CVT2の入力軸13はキャリア12cに連結されている。
【0035】
そして、キャリア12cとサンギヤ12sとの間に配設された前進クラッチ14が係合させられると、前後進切換装置5が一体回転させられてタービン軸10が入力軸13に直結され、前進方向の駆動力が駆動輪8L、8Rに伝達される。
【0036】
また、リングギヤ12rとハウジング15との間に配設された後進ブレーキ16が係合させられるとともに前進クラッチ14が解放されると、入力軸13はタービン軸10に対して逆回転させられ、後進方向の駆動力が駆動輪8L、8Rに伝達される。
【0037】
一方、CVT2は、入力軸13に設けられた有効径が可変のプライマリプーリ17と、出力軸18に設けられた有効径が可変のセカンダリプーリ19と、プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のそれぞれに形成されたV溝に巻き掛けられた伝動ベルト20とを有しており、動力伝達要素として機能する伝動ベルト20にプライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のV溝の内壁面との間の摩擦力を介して動力伝達が行われるようになっている。
【0038】
具体的には、プライマリプーリ17は、互いに対向して対向面によってV溝を形成する可動シーブ17aと、固定シーブ17bとを有しており、可動シーブ17aと固定シーブ17bにより形成されるV溝に伝動ベルト20が巻き掛けられている。
【0039】
また、セカンダリプーリ19は、互いに対向して対向面によってV溝を形成する可動シーブ19aと固定シーブ19bとを備えており、可動シーブ19aと固定シーブ19bにより形成されるV溝に伝動ベルト20が巻き掛けられている。
【0040】
プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19はそれぞれのV溝幅、すなわち伝動ベルト20の掛かり径を変更するための可動シーブ17aに形成された入力側油圧シリンダ21および可動シーブ19aに形成された出力側油圧シリンダ22を有しており、可動シーブ17aの入力側油圧シリンダ21に供給、あるいはそれから排出される作動油の流量が油圧制御回路31内の変速制御弁装置32(図3参照)によって制御されることにより、プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のV溝幅が変化して伝動ベルト20の掛かり径(有効径)が変更されるようになっている。これにより、変速比γ(=プライマリプーリ17の入力軸13の実際の回転数NIN/セカンダリプーリ19の出力軸18の実際の回転数NOUT)を連続的、すなわち無段階に変化させることができる。
【0041】
また、可動シーブ19aの出力側油圧シリンダ22内の油圧Pは、セカンダリプーリ19の伝動ベルト20に対する挟圧力および伝動ベルト20の張力にそれぞれ対応するものであって、伝動ベルト20の張力、すなわち、伝動ベルト20のプライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19のV溝内壁面に対する押圧力に密接に関係しているので、ベルト張力制御圧、ベルト挟圧力制御圧、ベルト押圧力制御圧とも称され得るものであり、伝動ベルト20が滑りを生じないように、油圧制御回路31内の挟圧力制御弁33(図2参照)により調圧されるようになっている。
【0042】
図2は、本発明の実施の形態におけるベルト張力制御を行う油圧制御回路を示す図である。また、図3は、本発明の実施の形態における変速比制御を行う油圧制御回路を示す図である。
【0043】
図2に示すように、オイルタンク34に還流した作動油は、油圧ポンプ35により圧送され、図示しないライン圧調圧弁によりライン圧Pに調圧された後、リニアソレノイド弁36および挟圧力制御弁33に元圧として供給される。なお、油圧ポンプ35は、例えば、エンジン3(図1参照)に直接的に連結されてエンジン3により回転駆動されるギヤ式の油圧ポンプである。
【0044】
リニアソレノイド弁36は、電子制御装置100(図4参照)から出力される励磁電流で連続的に制御されることにより、油圧ポンプ35から供給された作動油の油圧から、その励磁電流に対応した大きさの制御圧Pを発生させて挟圧力制御弁33に供給する。
【0045】
挟圧力制御弁33は、制御圧Pが高くなるに従って上昇させられる油圧Pを発生させ、可動シーブ19aの出力側油圧シリンダ22に供給することにより、伝動ベルト20が滑りを生じない範囲で可及的に伝動ベルト20に対する挟圧力、すなわち、伝動ベルト20の張力を小さくするように動作する。また、油圧Pは、その上昇にともなってベルト挟圧力、すなわち、プライマリプーリ17およびセカンダリプーリ19と伝動ベルト20との間の摩擦力を増大させる。
【0046】
リニアソレノイド弁36には、カットバック弁37のオン時にカットバック弁37から出力される制御圧PSが供給される油室36aが設けられる一方、カットバック弁37のオフ時には、リニアソレノイド弁36の油室36aへの制御圧PSの供給が遮断されて油室36aが大気に開放されるようになっており、カットバック弁37のオン時にはオフ時よりも制御圧PSの特性が低圧側に切り換えられるようになっている。
【0047】
また、カットバック弁37は、トルクコンバータ4のロックアップクラッチ11のオン(係合)時に、図示しない電磁弁から信号圧PONが供給されることにより"オン"に切り換えられるようになっている。
【0048】
図3に示すように、変速制御弁装置32は、ライン圧Pの作動油を専ら可動シーブ17aの入力側油圧シリンダ21に供給し、かつその作動油流量を制御することによりアップ方向の変速速度を制御するアップ変速制御弁41と、可動シーブ17aの入力側油圧シリンダ21から排出される作動油の流量を制御することにより、ダウン方向の変速速度を制御するダウン変速制御弁42とによって構成されている。
【0049】
アップ変速制御弁41は、ライン圧Pを導くライン油路Lと連通する入力ポート41aを有し、ライン油路Lと入力側油圧シリンダ21との間を開閉するスプール弁43と、スプール弁43を閉弁方向に付勢するスプリング44と、アップ側電磁弁45から出力される制御圧を導く制御油室46とを有している。
【0050】
また、ダウン変速制御弁42は、ドレン油路Dと入力側油圧シリンダ21との間を開閉するスプール弁47と、スプール弁47を閉弁方向に付勢するスプリング48と、ダウン側電磁弁49から出力される制御圧を導く制御油室50とを有している。
【0051】
アップ側電磁弁45およびダウン側電磁弁49は、電子制御装置100によってデューティ駆動されることにより、連続的に変化する制御圧を制御油室46および制御油室50に供給し、CVT2の変速比γをアップ側(変速比の小さくなる側)またはダウン側(変速比の大きくなる側)に連続的に変化させる。
【0052】
また、ダウン変速制御弁42の入力ポート42aには調圧弁51が接続されている。この調圧弁51は、スプリング53によって押圧されているピストン52の一方側に、ライン圧Pが供給される入力ポート54が形成され、かつピストン52の一方側と他方側とに連通した出力ポート55とを有するバルブによって構成されており、出力ポート55がダウン変速制御弁42の入力ポート42aに連通されている。
【0053】
また、入力ポート54には開口面積の小さいダブルオリフィス56を介してライン圧Pが供給されている。すなわち、調圧弁51は、ライン圧Pからスプリング53の弾性力を減じた圧力の油圧になるようにライン圧Pを調圧し、この調圧されたライン圧Pが出力ポート55、すなわち、ダウン変速制御弁42の入力ポート42aに生じるように構成されている。
【0054】
図4は、本発明の実施の形態に係る電子制御装置を示すブロック図である。
図4に示すように、電子制御装置100には、シフトレバー操作位置センサ102、アクセル操作量センサ103、エンジン回転数センサ104、スロットルセンサ105、走行モードスイッチ106、プライマリ回転数センサ107、セカンダリ回転数センサ108、圧力センサ109、挟圧力制御弁33、および変速制御弁装置32が接続されている。
【0055】
シフトレバー操作位置センサ102は、車両の室内に設けられたシフトレバー101の操作位置Pshを検出し、検出した操作位置Pshに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
【0056】
ここで、シフトレバー101は、4つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D−S」へ手動操作されるようになっている。「P」ポジションは、出力軸18の回転を阻止(ロック)するための駐車位置であり、「R」ポジションは、出力軸18の回転方向を逆方向とするための後進走行位置であり、「N」ポジションは、エンジン3から左右の駆動輪8L、8Rに至る動力伝達経路を解放するための動力伝達遮断位置である。「D−S」ポジションは、車両の走行状態に応じて変速比を自動的に設定して通常の走行を行うための前進走行位置である。
【0057】
アクセル操作量センサ103は、アクセルペダル63(図1参照)の開度(以下、単に「アクセル開度」という)papを検出し、検出したアクセル開度papに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
【0058】
エンジン回転数センサ104は、エンジン3の回転数(以下、単に「エンジン回転数」という)Neを検出し、検出したエンジン回転数Neに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。なお、エンジン回転数センサ104は、エンジン3のクランクシャフトの回転数を検出するようになっている。
【0059】
スロットルセンサ105は、スロットルアクチュエータ61により駆動されるスロットル弁62(図1参照)の開度(以下、単に「スロットル開度」という)θthを検出し、検出したスロットル開度θthに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
【0060】
走行モードスイッチ106は、レバーポジションが「D−S」ポジションである場合に、運転者によるボタン等の操作を検知することにより、走行モードを燃費重視の通常走行モードまたは加速重視のスポーツ走行モードに設定するためのモード選択信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
【0061】
プライマリ回転数センサ107は、プライマリプーリ17の入力軸13の実際の回転数(以下、単に「入力回転数」という)NINを検出し、検出した入力回転数NINに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。なお、入力回転数NINは、トルクコンバータ4の出力回転数であるタービン軸10の回転数と同一回転数である。
【0062】
セカンダリ回転数センサ108は、セカンダリプーリ19の出力軸18の回転数(以下、単に「出力回転数」という)NOUTを検出し、検出した出力回転数NOUTに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。ここで、電子制御装置100は、セカンダリ回転数センサ108によって検出された出力回転数NOUTに基づいて車速Vを算出するようになっている。
【0063】
圧力センサ109は、可動シーブ19aの出力側油圧シリンダ22の内圧、すなわち、実際のベルト挟圧力制御圧Pを検出し、検出したベルト挟圧力制御圧Pに応じた信号を電子制御装置100に出力するようになっている。
【0064】
電子制御装置100は、CPU(central processing unit)、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)、入力インターフェース、および出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータによって構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しながらROMに予め記憶された変速制御プログラムに従って信号処理を行うことにより、好適な加速感および燃費が得られるようにCVT2の変速制御を実行するようになっている。
【0065】
以下、本発明の実施の形態に係る無段変速機の制御装置を構成する電子制御装置100の特徴的な構成について説明する。
【0066】
電子制御装置100は、CVT2の出力軸18に対するCVT2の入力軸13の変速比が低下するとき、トルクコンバータ4のロックアップクラッチ11を開放状態から係合状態に移行するよう制御するようになっている。また、電子制御装置100は、加速要求中である場合に、ロックアップクラッチ11を開放状態から係合状態とさせるようになっている。
【0067】
また、電子制御装置100は、CVT2の変速比が変更期間中に、ロックアップクラッチ11の係合を完了させるように制御する。また、電子制御装置100は、CVT2の変速比が変更期間中にロックアップクラッチ11の係合が完了するように、ロックアップクラッチ11の係合する速さを制御するようになっている。
【0068】
また、電子制御装置100は、変速比を連続的に可変であるとともに段階的にもステップ変化させる無段変速機であるCVT2の変速比がステップ変化中に、ロックアップクラッチ11の係合を行うようになっている。また、電子制御装置100は、上記CVT2のステップ変化の時間を、CVT2が変速を行う速さと、変速のステップ変化量と、に基づいて設定するようになっている。すなわち、電子制御装置100は、本発明におけるロックアップ制御手段を構成している。
【0069】
さらに、電子制御装置100は、車両の運転状況を検出するようになっている。本実施の形態では、電子制御装置100は、シフトレバー操作位置センサ102により検出されたシフトレバー101の操作位置Pshに応じた信号、アクセル操作量センサ103により検出されたアクセル開度papに応じた信号、エンジン回転数センサ104により検出されたエンジン回転数Neに応じた信号、スロットルセンサ105により検出されたスロットル開度θthに応じた信号、走行モードスイッチ106により入力されたモード選択信号等により車両の運転状況を検出するようになっている。すなわち、電子制御装置100は、本発明における車両運転状況検出手段を構成している。
【0070】
また、電子制御装置100は、上記検出された車両の運転状況により、車両の加速要求中であるか否かを判定するようになっている。すなわち、電子制御装置100は、本発明における加速要求判定手段を構成している。
【0071】
次に、動作について説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る電子制御装置のロックアップ係合処理を示すフローチャートである。
【0072】
なお、図5に示すフローチャートは、電子制御装置100のCPUによって実行されるロックアップ係合処理のプログラムであり、このロックアップ係合処理のプログラムはROMに記憶されている。また、このロックアップ係合処理は、電子制御装置100のCPUによって、所定の時間間隔で実行されるようになっている。
【0073】
なお、このロックアップ係合処理は、後述するロックアップ係合信号のオンオフ判定(ステップS11)を行う変わりに、ロックアップ係合信号が"オン"となったときに、処理を実行するようにしてもよい。この場合、本処理内でロックアップ係合を行わなかった場合には、再度所定のタイミングでロックアップ係合処理を実行させるようにする。または、変速タイミングでロックアップ係合処理を実行させるようにする。
【0074】
図5に示すように、まず、電子制御装置100は、ロックアップ係合信号が"オン"となっているか否かを判定する(ステップS11)。例えば、電子制御装置100は、車速とアクセル開度により決定されるロックアップ係合基準領域を予めROMに記憶しており、車速Vとアクセル開度papとの関係が上記ロックアップ係合基準領域に入っていれば、ロックアップ係合信号を"オン"とする。そして、ロックアップ係合信号が"オン"である場合には、ロックアップ係合が必要であると判定し、ロックアップ係合信号が"オフ"である場合には、ロックアップ係合が必要でないと判定する。
【0075】
詳しくは、ロックアップ係合基準領域とは、ロックアップ係合が必要な車速Vとアクセル開度papとの関係を示したものである。したがって、車速Vとアクセル開度papとの関係がロックアップ係合基準領域に入っていれば、ロックアップ係合が必要な走行状態である。そこで、電子制御装置100からロックアップ係合信号を出力し、トルクコンバータのロックアップ係合を行わせるようにしている。
【0076】
図6に、本発明の実施の形態におけるロックアップ係合基準領域を示すグラフの一例を示す。この図6に示すハッチングの領域がロックアップ係合基準領域を示す。
図6に示すように、アクセル開度papが50[%]である場合、車速Vが30[km/h]未満であれば、ロックアップ係合基準領域に入っていない。一方、アクセル開度papが同じ50[%]であっても、車速Vが30[km/h]以上である場合には、ロックアップ係合基準領域に入ることとなる。
【0077】
なお、ロックアップ係合基準領域は、変速機のステップ数(変速機の変速比)に応じて変更するようにしてもよい。また、上記ロックアップ係合基準領域は、車速Vとアクセル開度papとにより決定するものとしているが、判定方法が簡易な、車速のみによりロックアップ係合基準領域を決定するものとすることもできる。
【0078】
電子制御装置100は、ロックアップ係合信号が"オン"となっていないと判定した場合(ステップS11でNOの場合)、本ロックアップ係合処理を終了する。一方、電子制御装置100は、ロックアップ係合信号が"オン"となっていると判定した場合(ステップS11でYESの場合)には、リニアシフト処理中であるか否かを判定する(ステップS12)。
【0079】
ここで、リニアシフトについて説明する。
CVT2では、加速要求時に、アクセルペダルの踏み込み量に対応するエンジン回転数上昇率で上限回転数までプライマリプーリ回転数を上昇させ、その後は変速比を連続させて減少させることにより、車速を連続的に増加させることができる。ところが、上記制御では、プライマリプーリ回転数を上限回転数まで上昇させた後には、変速比を連続的に減少させて車速を増加させるので、車速の増加に比してエンジン回転数が増加しないので、エンジン回転数の増加にともなって車速を増加させたいという運転者の加速フィーリングを満足させることができない。
【0080】
そこで、運転者により車両の加速が要求された場合に、運転状況に応じて、プライマリプーリ17の回転数が所定の回転数上昇量だけ上昇するまで、プライマリプーリ17の回転数の上昇に比例して車速を上昇させる加速変速比制御と、プライマリプーリ17の回転数を低下させて変速比を変更する回転数低下制御と、を繰り返して車速を上昇させるように制御する。本明細書においては、上記制御をリニアシフトという。
【0081】
このようなリニアシフト処理を行うことにより、エンジン回転数の上昇感と、車速の上昇感と、が一致し、エンジン回転数の増加にともなって車速を増加させたいという運転者の加速フィーリングを満足させることができる。電子制御装置100は、運転状況により、リニアシフト処理を行うか否か判断し、必要に応じてリニアシフト処理を行う。
【0082】
電子制御装置100は、リニアシフト処理中であると判定した場合(ステップS12でYESの場合)、ステップS13に移行する。一方、電子制御装置100は、リニアシフト処理中でないと判定した場合(ステップS12でNOの場合)には、ステップS18に移行する。
【0083】
電子制御装置100は、リニアシフト処理中であると判定した場合(ステップS12でYESの場合)、目標回転数のステップダウン処理であるか否かを判定する(ステップS13)。目標回転数のステップダウン処理とは、プライマリプーリ回転数を下げることにより、変速ステップをダウンさせる(変速比を下げて、アップシフトさせる)ものである。
【0084】
電子制御装置100は、目標回転数のステップダウン処理でないと判定した場合(ステップS13でNOの場合)、本ロックアップ係合処理を終了する。したがって、変速制御を行っていない場合には、ロックアップ係合を行わないこととなる。
【0085】
一方、電子制御装置100は、目標回転数のステップダウン処理であると判定した場合(ステップS13でYESの場合)には、ステップS14に移行する。
【0086】
電子制御装置100は、目標回転数のステップダウン処理であると判定した場合(ステップS13でYESの場合)、ロックアップ係合を開始させる(ステップS14)。次に、電子制御装置100は、目標スイープを算出する(ステップS15)。目標スイープとは、トルクコンバータ4のロックアップ係合を行うときの係合の速さの目標値である。目標スイープは、以下の式により求める。
【0087】
(目標スイープ)=(T/Cスリップ回転数) / (目標時間)
ここで、T/Cスリップ回転数とは、トルクコンバータ4の入力軸の回転数(エンジン3の回転数と同一)と、出力軸の回転数(タービン軸10の回転数)と、の差を表すものであり、目標時間とは、ロックアップ係合を完了させるまでの目標の時間を表すものである。
【0088】
また、このとき、目標時間は、CVT2の変速時間に基づいて求める。ここでは、変速処理の終了時間とロックアップの終了時間とが同一となるように、目標時間は変速時間と同一とする。変速時間は、以下の式により求める。
【0089】
(変速時間)=(変速ステップ量) / (変速速度)
ここで、変速ステップ量とは、CVT2の変速の量を表すものであり、変速速度とは、CVT2の単位時間あたりの変速量、すなわち、変速を行う速さを表すものである。例えば、変速ステップ量は、変速により、CVT2の可動シーブ17a上を伝動ベルト20が移動する距離を示し、変速速度は、可動シーブ17aにおいて伝動ベルト20を移動させる速さを示すものである。上記により、変速にかかる時間、すなわち、変速時間を求めることができる。
【0090】
次に、電子制御装置100は、エンジン3のトルクダウンを行う(ステップS16)。ここでは、ロックアップ係合の開始とともに、トルクダウンを行い、ロックアップ係合の終了とともに、トルクが復帰するように制御する。このトルクダウンにより、ロックアップ係合時のイナーシャによるショックを防止することができる。
【0091】
次に、電子制御装置100は、ロックアップ係合信号を"オフ"にして(ステップS17)、ロックアップ係合処理を終了する。
【0092】
一方、電子制御装置100は、リニアシフト処理中でないと判定した場合(ステップS12でNOの場合)、トルクコンバータ4のロックアップ係合処理を行う(ステップS18)。次に、電子制御装置100は、ロックアップ係合信号を"オフ"にして(ステップS19)、ロックアップ係合処理を終了する。
【0093】
図7は、本発明の実施の形態に係る電子制御装置のロックアップ係合処理におけるエンジン回転数、プライマリシーブ回転数、トルクコンバータスリップ回転数、エンジントルクの時間的変化を示すタイミングチャートである。
【0094】
図7に示すように、ロックアップ係合前には、トルクコンバータ4の入力軸回転数と出力軸回転数とには差がある(トルクコンバータスリップ回転数)。したがって、エンジン回転数と、プライマリシーブ回転数と、の差が発生している。ここで、ロックアップ係合処理を行うと、トルクコンバータ4の入力軸と出力軸とが直結され、トルクコンバータ4の入力軸回転数と出力軸回転数との差がなくなる。したがって、エンジン回転数と、プライマリシーブ回転数と、が同一の回転数となる。
【0095】
また、上記ロックアップ係合処理が、変速処理中に終了するように、トルクコンバータ4のロックアップ係合を行うときの係合の速さの目標値である目標スイープを設定している。すなわち、CVT2における変速ステップ量と、変速速度と、から変速時間を求め、この変速時間に基づいて、トルクコンバータ4のロックアップ係合時間を設定し、トルクコンバータ4のスリップ回転数と、設定した係合時間と、から目標スイープを設定するようにしている。
【0096】
さらに、上記ロックアップ係合時に、エンジントルクを低下させるようにしている。このエンジントルクのダウンにより、イナーシャによるショックを防止することができる。
【0097】
以上のように、本実施の形態に係る車両の制御装置は、車速上昇時の変速処理中に、トルクコンバータ4のロックアップ制御処理を行うので、変速にともなうエンジン回転数の落ち込みに、ロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを同期させることができ、運転者にロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを認識させずにロックアップ係合を行うことができ、運転者の違和感を防止することができる。特に加速要求中に、変速段切り換え時にロックアップ制御を行うので、運転者が加速中にエンジン回転数の落ち込みを感じることがなく、運転者の違和感を防止することができる。
【0098】
また、変速機による変速比の変更期間中にロックアップ制御が完了するような適切な速さでロックアップ係合を行うことができ、変速比が一定な走行中にエンジン回転数の落ち込みが起こらず、運転者の違和感を防止することができる。
【0099】
また、有段変速機に比べ車速の上昇とエンジン回転数の上昇とが対応しづらい無段変速機においても、変速機によるステップ変更の時間が適切に設定されるため、ステップ変更の時間に合わせた適切なロックアップ係合の時間を設定することができ、運転者の違和感を防止することができる。
【0100】
以上説明したように、本発明に係る車両の制御装置は、車速上昇時のロックアップ制御を、変速段切り換え時に行うので、変速にともなうエンジン回転数の落ち込みに、ロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを同期させることができ、運転者にロックアップ係合に起因したエンジン回転数の落ち込みを認識させずにロックアップ係合を行うことができ、運転者の違和感を防止することができるという効果を有し、ロックアップ機構付きトルクコンバータと変速機とを備えた車両の制御を行う車両の制御装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態に係る無段変速機を備えた車両用の動力伝達装置の概略ブロック構成図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるベルト張力制御を行う油圧制御回路を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における変速比制御を行う油圧制御回路を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電子制御装置を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電子制御装置のロックアップ係合処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態におけるロックアップ係合基準領域を示すグラフである。
【図7】本発明の実施の形態に係る電子制御装置のロックアップ係合処理におけるエンジン回転数、プライマリシーブ回転数、トルクコンバータスリップ回転数、エンジントルクの時間的変化を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0102】
1 動力伝達装置
2 ベルト式無段変速機(CVT)
3 エンジン(動力機関)
4 トルクコンバータ
5 前後進切換装置
8L、8R 駆動輪
9p ポンプインペラー
9t タービンランナー
9s ステータ
10 タービン軸
11 ロックアップクラッチ(ロックアップ機構)
13 入力軸
17 プライマリプーリ
17a 可動シーブ
17b 固定シーブ
18 出力軸
19 セカンダリプーリ
19a 可動シーブ
19b 固定シーブ
20 伝動ベルト
21 入力側油圧シリンダ
22 出力側油圧シリンダ
31 油圧制御回路
32 変速制御弁装置
33 挟圧力制御弁
100 電子制御装置(ロックアップ制御手段、車両運転状況検出手段、加速要求判定手段)
101 シフトレバー
102 シフトレバー操作位置センサ
103 アクセル操作量センサ
104 エンジン回転数センサ
105 スロットルセンサ
106 走行モードスイッチ
107 プライマリ回転数センサ
108 セカンダリ回転数センサ
109 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力機関により入力軸に入力された動力を流体の流動を利用して出力軸から出力される動力に変換するとともに、運転状態に応じて前記入力軸と前記出力軸とを直結するロックアップ機構を有するトルクコンバータと、前記トルクコンバータにより入力される回転数と、出力する回転数と、の変速比を段階的に変速可能な変速機と、を備えた車両の制御装置において、
前記変速機の変速比が低下するとき、前記トルクコンバータのロックアップ機構を開放状態から係合状態に移行するようロックアップ制御するロックアップ制御手段を備えたことを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記車両の運転状況を検出する車両運転状況検出手段と、
前記車両運転状況検出手段により検出された前記車両の運転状況により、前記車両の加速要求中であるか否かを判定する加速要求判定手段と、を備え、
前記ロックアップ制御手段が、前記加速要求判定手段により前記車両の加速要求中であると判定された場合に、前記ロックアップ機構を開放状態から係合状態に移行させるロックアップ制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記ロックアップ制御手段は、前記変速機の変速比の変更期間中に、前記ロックアップ制御を完了させるように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記ロックアップ制御手段は、前記変速機の変速比の変更期間中に前記ロックアップ制御が完了するように、前記ロックアップの係合する速さを制御することを特徴とする請求項3に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記変速機は、前記変速比を連続的に可変であるとともに、段階的にもステップ変化させる無段変速機であって、
前記ロックアップ制御手段は、前記変速機の変速比がステップ変化中に、前記ロックアップ制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記ロックアップ制御手段は、前記変速機のステップ変化の時間を、前記変速機が変速を行う速さと、前記変速のステップ変化量と、に基づいて設定することを特徴とする請求項5に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−228763(P2009−228763A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74140(P2008−74140)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】