説明

車両の前部車体構造

【課題】車両衝突時にキャビンを保護するために有効な抗力を発生させることができる車両の前部車体構造を提供する。
【解決手段】フロントドア20の閉成時に、前端部がトーボードクロスメンバ11に対向するとともに後端部がサイドシル13の湾曲部13cに対向するようドアビーム本体22を配置する。ドアビーム本体22の前後端部に突出・退避移動自在な第1,第2のビーム部材23,24を連結し、これらを突出方向に動作させてトーボードクロスメンバ11及び湾曲部13cの各嵌合用凹部25a,25bとの嵌合位置でロックすることにより、車両衝突時にトーボードクロスメンバ11及びサイドシル13等に対するドアビーム21の相対位置を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビンが車体フレームの前端部に位置するキャブオーバー型車両等に好適な車両の前部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャビンが車体フレームの前端部に位置するキャブオーバー型車両等においては、キャビン前方にエンジンルームが配置された車両等に比べ、車両衝突時のクラッシュストロークを確保し難い構造となっている。このため、可能な限り短いストロークで衝突エネルギーを吸収することを目的として、クロスメンバに連結する左右の各サイドメンバ(サイドフレーム)の前部をY字状に二股に分岐させた構造が多く採用されている。
【0003】
また、例えば、特許文献1には、フロントドア内にドアインパクトビームを設け、このドアインパクトビームの前端部を第2のクロスメンバ(トーボードクロスメンバ)に対応する位置でフロントピラーに対向させるとともに、後端部をセンタピラーに対向させた技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−1406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された技術は、単に、ドアインパクトビームをトーボードクロスメンバに対応する位置に配置しただけの構成であるため、車両衝突時の衝撃の入力状態等によっては、これらの相対位置が変化する等して、ドアインパクトビームが有効な抗力部材として機能しなくなる等の虞がある。
【0005】
また、キャブオーバ型車両は、一般に、キャビンが地上から比較的高い位置に設定される傾向にあるため、車両衝突時には、特に、乗員の足元スペースを有効に保護することが重要となる。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両衝突時にキャビンを保護するために有効な抗力を発生させることができる車両の前部車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車体フレームの前端部に配設されたトーボードクロスメンバの端部に連結するフロントピラーと、前記フロントピラーの後方に配設されたセンタピラーと、前記フロントピラーと前記センタピラーとの間に設定されるドア開口部の下縁を画成するサイドシルと、を備え、前記サイドシルの中途が前輪のホイールハウジングに沿って上方に湾曲することにより前記フロントピラーの下端部よりも上方で前記サイドシルが前記センタピラーに連結された車両の前部車体構造であって、前記ドア開口部を開閉するドア内に配設され、当該ドアの閉成時に前端部が前記トーボードクロスメンバに対向するとともに後端部が前記サイドシルの湾曲部に対向するドアビーム本体と、前記ドアビーム本体の前端部に突出・退避移動自在に連結され、突出時に前記トーボードクロスメンバに形成された第1の嵌合用凹部に嵌合する第1のビーム部材と、前記ドアビーム本体の後端部に突出・退避移動自在に連結され、突出時に前記湾曲部に形成された第2の嵌合用凹部に嵌合する第2のビーム部材と、前記ドアの閉成時に前記各ビーム部材を突出方向に移動させて前記各ビーム部材を前記各嵌合用凹部との嵌合位置でロックするとともに、前記ドアの開操作に連動して前記各ビーム部材を退避方向に移動させる動作機構と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両の前部車体構造によれば、車両衝突時にキャビンを保護するために有効な抗力を発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1は車体前部の骨格の要部を示す分解斜視図、図2は車体前部の骨格の要部を示す側面図、図3は車体前部の骨格の要部を示す平面図、図4はリンフォース及びロックピンの動作機構の一例を示す概略構成図、図5,6は動作機構の動作説明図、図7はフロント側リンフォースの斜視図である。
【0010】
図1乃至図3に示す車両1は、キャビン3が車体フレーム2の前端部に設定されたキャブオーバ型の車両であり、この車両1の車体フレーム2の下部にはシャシフレーム5が設されている。
【0011】
シャシフレーム5は、車体前後方向に延在する左右一対のサイドフレーム6をする。各サイドフレーム6は、その外側部からサブフレーム6aがY字状に分岐された二股構造を前部に有し、これらサイドフレーム6及びサブフレーム6aの前端部は、車幅方向に延在するクロスメンバ7に結合されている。このシャシフレーム5において、サブフレーム6aが分岐されている車両1の前部領域は、エネルギー吸収エリアAとして設定され、このエネルギー吸収エリアAにおけるサイドフレーム6及びサブフレーム6aの変形等により、車両衝突時にクロスメンバ7等から入力される衝突エネルギーが短いストロークで吸収される。
【0012】
また、各サブフレーム6aの外側部には、キャビン締結用のブラケット6bが溶接等によって固設されている。各ブラケット6bには、車体フレーム2の前部を構成するフロントピラー10の下部が締結等によってそれぞれ固設され、これらフロントピラー10には、車幅方向に延在するトーボードクロスメンバ11等の骨格部材が固設されている。
【0013】
また、フロントピラー10の後方にはセンタピラー12が配設され、これらの下部がサイドシル13を介して連結されている。これらフロントピラー10とセンタピラー12との間には、キャビン3の側部を車外に開放するドア開口部3aが設定され、このドア開口部3aの下縁がサイドシル13によって画成されている。
【0014】
ここで、図2に示すように、本実施形態において、センタピラー12の直前方には、前輪を収容するホイールハウジング15が配設されている。このホイールハウジング15との干渉を回避すべく、サイドシル13の中途はホイールハウジング15に沿って上方に湾曲されている。これにより、サイドシル13の後部13bは前部13aよりも上方に段違いに配置され、センタピラー12は、フロントピラー10よりも上方でサイドシル13に連結されている。すなわち、本実施形態のサイドシル13は、それぞれ車体前後方向に略水平に延在する前部13a及び後部13bが、略円弧状に湾曲する湾曲部13cを介して段違いに配置された構成をなし、これにより、センタピラー12はフロントピラー10よりも上方でサイドシル13と連結されている。ここで、図示のように、本実施形態において、車体の前後方向に略水平に延在するサイドシル13の後部13bの高さは、フロントピラー10に固設されたトーボードクロスメンバ11の高さと略同程度に設定されている。
【0015】
また、フロントピラー10には、ドア開口部3aを開閉するためのフロントドア20が、図示しないヒンジ等を介して取り付けられている。このフロントドア20の内部には、車両衝突時に、主としてキャビン3内における乗員の足元スペースを保護するためのドアビーム21が配設されている。
【0016】
ドアビーム21は、例えば、前後端部が開口された略角筒形状をなすドアビーム本体22を有する。このドアビーム本体22は、例えば、図2に示すように、フロントドア20の閉成時に、前端部がトーボードクロスメンバ11(フロントピラー10)の後方に対向するとともに、後端部がサイドシル13の湾曲部13cに対向する位置で、フロントドア20内に保持されている。
【0017】
より具体的には、ドアビーム本体22は、フロントドア20の閉成時に、トーボードクロスメンバ11及びサイドシル13の後部13bと略同一直線上に位置するよう、フロントドア20内に略水平に配設されている。そして、ドアビーム本体22の前端部は、フロントドア20の閉成時に、エネルギー吸収エリアAの直後に位置し、トーボードクロスメンバ11(フロントピラー10)に対して所定間隔離間した状態で対向される。一方、ドアビーム本体22の後端部は、湾曲部13cに沿って傾斜され、フロントドア20の閉成時に、湾曲部13cに対して近接した状態で対向される。
【0018】
また、ドアビーム本体22の前部には、第1のビーム部材23が連結されている。この第1のビーム部材23は、ドアビーム本体22に対して摺動自在に挿入支持されており、これにより、第1のビーム部材23の先端部側(車体に対して前端部側)は、ドアビーム本体22の前端部から突出・退避移動自在となっている。ここで、トーボードクロスメンバ11(及び、フロントピラー10)の後部には第1のビーム部材23に対応する第1の嵌合用凹部25が形成されており、フロントドア20の閉成時に、第1のビーム部材23の先端部は、第1の嵌合用凹部25aに嵌合可能となっている。ここで、図7(a)に示すように、第1のビーム部材23は、例えば、先細りの角筒形状の部材で構成されている。これにより、第1のビーム部材23において、第1の嵌合用凹部25aとの嵌合時にドアビーム本体22の先端部から突出する領域は、少なくともドアビーム本体22の剛性よりも相対的に低い剛性に設定され、当該領域が車両衝突時の圧潰部23aとして設定されている。
【0019】
また、ドアビーム本体22の後部には、第2のビーム部材24が連結されている。この第2のビーム部材24は、ドアビーム本体22に対して摺動自在に挿入支持されており、これにより、第2のビーム部材24の先端部側(車体に対して後端部側)は、ドアビーム本体22の後端部から突出・退避移動自在となっている。ここで、サイドシル13の湾曲部13cには第2のビーム部材24に対応する第2の嵌合用凹部25bが形成されており、フロントドア20の閉成時に、第2のビーム部材24の先端部は、第2の嵌合用凹部25bに嵌合可能となっている。
【0020】
これら第1,第2のビーム部材23,24の突出・退避移動は、例えば、図4乃至図6に示す動作機構30によって実現される。この動作機構30は、乗員等によるフロントドア20の開閉動作に連動して各ビーム部材23,24を動作させるよう構成されており、具体的には、フロントドア20の閉成時に各ビーム部材23,24を突出方向に移動させ、各嵌合用凹部25a,25bとの嵌合位置で各ビーム部材23,24をドアビーム本体22に対してロックする。一方、動作機構30は、乗員等によるフロントドア20の開操作に連動して各ビーム部材23,24のロックを解除し、各ビーム部材23,24を退避方向に移動させて各嵌合用凹部25a,25bとの嵌合を解除する。
【0021】
本実施形態の動作機構30は、例えば、第1,第2のビーム部材23,24を付勢するスプリング31と、第1,第2のビーム部材23,24をドアビーム本体22に対して移動不能にロックするロックピン32a,32bと、車両1内外のドアノブ20a(図示の例では車外のドアノブのみを表示)に対する揺動操作に連動して各ビーム部材23,24を退避移動させるリンク機構34とを有して要部が構成されている。
【0022】
スプリング31は、ドアビーム本体22内に圧縮された状態で収容され、各端部が第1,第2のビーム部材23,24の基端部にそれぞれ圧接されている。これにより、スプリング31は、第1,第2のビーム部材23,24をドアビーム本体22から前後に突出させる方向に付勢する。
【0023】
各ロックピン32a,32bは、ドアビーム本体22の前後部に形成されたピン孔22a,22bにそれぞれ挿通支持されている。また、各ビーム部材23,24には当該各ビーム部材23,24が各嵌合用凹部25a,25bとの嵌合位置に位置したときピン孔22a,22bとそれぞれ連通する凹部33a,33bが形成されており、これらの凹部33a,33bに対し、ロックピン32a,32bは挿抜自在となっている。そして、各ロックピン32a,32bは、各凹部33a,33bに挿入されることにより、各ビーム部材23,24を各嵌合用凹部25a,25bとの嵌合位置にロックする。
【0024】
リンク機構34は、フロントドア20内に固設された支点35aを中心として揺動可能なレバー35を有する。このレバー35の一端側には、ドアノブ20aと一体に揺動するアーム20bが、第1のワイヤ36を介して連結されている。一方、レバー35の他端側には、各ビーム部材23,24の基端部及び各ロックピン32a,32bの基部が、第2のワイヤ37を介してそれぞれ連結されている。
【0025】
ここで、フロントドア20内において、第1,第2のワイヤ36,37の配索経路上には、複数のプーリ38が配設されており、これらのプーリ38の作用により、各ワイヤ36,37の牽引方向が適宜変更されている。これにより、第2のワイヤ37は、ドアノブ20aの揺動操作に連動して、各ビーム部材23,24をドアビーム本体22内への退避方向に動作させるとともに、各ロックピン32a,32bを凹部33a,33bから抜去する方向に動作させる。
【0026】
また、第2のワイヤ37の中途には、レバー35の揺動によって第2のワイヤに発生する牽引力を所定タイミング遅延させて各ビーム部材23,24に伝達するためのディレイ機構39が介装されている。
【0027】
さらに、フロントドア20内には、レバー35に対する係合機構40が配設されている。この係合機構40は、例えば、フロントドア20の後縁部に設けられたドアスイッチ20cに連動する係合部材40aを有する。この係合部材40aは、フロントドア20が開成状態にあるとき、レバー35の揺動軌道内に侵入してレバー35と係合する。一方、フロントドア20が閉成状態となると、ドアスイッチ20cがセンタピラー12に押圧されてフロントドア20内に移動し、このドアスイッチ20cの移動に連動して、係合部材40aは、レバー35との係合を解除する。
【0028】
このような構成において、フロントドア20の閉成時には、第1,第2のビーム部材23,24は、スプリング31の付勢力によって第1,第2の嵌合用凹部25a,25bとの嵌合位置まで突出される。そして、各ロックピン32a,32bが各凹部33a,33bに挿入されることにより、第1,第2のビーム部材23,24がドアビーム本体22に対してロックされる(図4参照)。
【0029】
また、ドアノブ20aが揺動操作されると、先ず、各ロックピン32a,32bが各凹部33a,33bから抜去され、第1,第2のビーム部材23,24のドアビーム本体22に対するロックが解除される(図5参照)。そして、さらにドアノブ20aが揺動操作されると、各ビーム部材23,24は退避方向に移動する(図6参照)。これにより、各ビーム部材23,24の各嵌合用凹部25a,25bとの嵌合状態が解除されて、フロントドア20の開動作が許容される。
【0030】
このような実施形態によれば、フロントドア20の閉成時に、前端部がトーボードクロスメンバ11に対向するとともに後端部がサイドシル13の湾曲部13cに対向するようドアビーム本体22を配置することにより、ドアビーム21を短尺な部材で構成することができる。すなわち、ドアビーム本体22をトーボードクロスメンバ11及びサイドシル13の後部13bと略同一直線上に位置するよう配置することにより、ドアビーム21は、車両衝突時にトーボードクロスメンバ11に入力される衝撃を、サイドシル13を介してセンタピラー12側に伝達することができる。
【0031】
この場合において、ドアビーム本体22の前後端部に突出・退避移動自在な第1,第2のビーム部材23,24を連結し、これらを突出方向に動作させてトーボードクロスメンバ11及び湾曲部13cの各嵌合用凹部25a,25bとの嵌合位置でロックすることにより、車両衝突時にトーボードクロスメンバ11及びサイドシル13等に対するドアビーム21の相対位置を保持することができ、車両1の前突或いは側突等の状況を問わず、キャビン3の足元スペースを保護する抗力部材としてドアビーム21を的確に機能させることができる。すなわち、フロントドア20の閉成時には、第1,第2のビーム部材23,24を各嵌合用凹部25a,25bに嵌合させることにより、ドアビーム21をトーボードクロスメンバ11及びサイドシル13等と協働する一体の抗力部材として機能させることができ、キャビン3の足元スペースを有効に保護することができる。
【0032】
また、車両1の前部に設定されるエネルギー吸収エリアAの直後に前端部が位置するようドアビーム本体22を配置するとともに、ドアビーム本体22の前端部から突出する第1のビーム部材23の前部領域を、少なくともドアビーム本体22の剛性よりも相対的に低い剛性に設定することにより、衝突エネルギーに対する抗力を変形(圧潰)によって制御するドアビーム21上の領域を、シャシフレーム5によって規定されるエネルギー吸収エリアAと一致させることができ、キャビン3の保護をより効率的に実現することができる。
【0033】
なお、上述の実施形態においては、第1,第2のビーム部材23,24やロックピン32a,32bに対する動作機構30をリンク機構34等を用いて構成した一例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、電磁ソレノイド等を用いて動作機構を構成することも可能である。
【0034】
また、第1のビーム部材23に設定される圧潰部23aの構成は、上述のものに限定されるものではなく、例えば、第1のビーム部材23上にスリット23bや切欠23c等(図7(b),(c)参照)を設けることによって圧潰部23aを設定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】車体前部の骨格の要部を示す分解斜視図
【図2】車体前部の骨格の要部を示す側面図
【図3】車体前部の骨格の要部を示す平面図
【図4】リンフォース及びロックピンの動作機構の一例を示す概略構成図
【図5】動作機構の動作説明図
【図6】動作機構の動作説明図
【図7】フロント側リンフォースの斜視図
【符号の説明】
【0036】
1 … 車両
2 … 車体フレーム
3 … キャビン
3a … ドア開口部
5 … シャシフレーム
6 … サイドフレーム
6a … サブフレーム
6b … ブラケット
7 … クロスメンバ
10 … フロントピラー
11 … トーボードクロスメンバ
12 … センタピラー
13 … サイドシル
13a … 前部
13b … 後部
13c … 湾曲部
15 … ホイールハウジング
20 … フロントドア
20a … ドアノブ
20b … アーム
20c … ドアスイッチ
21 … ドアビーム
22 … ドアビーム本体
22a,22b … ピン孔
23 … 第1のビーム部材
23a … 圧潰部
23b … スリット
23c … 切欠
24 … 第2のビーム部材
25a,25b … 嵌合用凹部
30 … 動作機構
31 … スプリング
32a,32b … ロックピン
33a,33b … 凹部
34 … リンク機構
35 … レバー
35a … 支点
36 … 第1のワイヤ
37 … 第2のワイヤ
38 … プーリ
39 … ディレイ機構
40 … 係合機構
40a … 係合部材
A … エネルギー吸収エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームの前端部に配設されたトーボードクロスメンバの端部に連結するフロントピラーと、前記フロントピラーの後方に配設されたセンタピラーと、前記フロントピラーと前記センタピラーとの間に設定されるドア開口部の下縁を画成するサイドシルと、を備え、前記サイドシルの中途が前輪のホイールハウジングに沿って上方に湾曲することにより前記フロントピラーの下端部よりも上方で前記サイドシルが前記センタピラーに連結された車両の前部車体構造であって、
前記ドア開口部を開閉するドア内に配設され、当該ドアの閉成時に前端部が前記トーボードクロスメンバに対向するとともに後端部が前記サイドシルの湾曲部に対向するドアビーム本体と、
前記ドアビーム本体の前端部に突出・退避移動自在に連結され、突出時に前記トーボードクロスメンバに形成された第1の嵌合用凹部に嵌合する第1のビーム部材と、
前記ドアビーム本体の後端部に突出・退避移動自在に連結され、突出時に前記湾曲部に形成された第2の嵌合用凹部に嵌合する第2のビーム部材と、
前記ドアの閉成時に前記各ビーム部材を突出方向に移動させて前記各ビーム部材を前記各嵌合用凹部との嵌合位置でロックするとともに、前記ドアの開操作に連動して前記各ビーム部材を退避方向に移動させる動作機構と、を備えたことを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
前記トーボードクロスメンバから入力される衝突エネルギーに対する抗力を前記第1のビーム部材の変形によって制御する領域を、車体の前部に設定されるエネルギー吸収エリアに対応付けて設定したことを特徴とする請求項1記載の車両の前部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−292276(P2009−292276A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147224(P2008−147224)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】