説明

車両の周囲状況を表す方法

本発明は、車両(5)の周囲状況を表す方法に関しており、ここでは、車両(5)の周囲にある対象体をセンサによって検出し、それぞれ検出した対象体を2つの座標点(11,13)と、各座標点(11,13)に割り当てられた位置曖昧さ(15)とによって表し、これらの座標点(11,13)および位置曖昧さ(15)をインタフェースにデータとして記憶し、このインタフェースには車両(5)の走行アシストシステムがアクセス可能である。本発明はさらに車両(5)と対象体との衝突確率を求める方法に関しており、ここではまず上記の車両(5)の周囲を表す方法を使用して車両(5)の周囲を表し、つぎのステップでは上記の位置曖昧さ(15)を考慮して、この車両(5)が走行するチューブ状走行パス(23)を求め、続いて対象体とチューブ状走行パス(23)との重なり度を求め、ひいては衝突確率を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来の技術
本発明は、請求項1の上位概念に記載された車両の周囲状況を表する方法を出発点とする。さらに本発明は、車両と対象体とが衝突する確率を求める方法に関する。
【0002】
車両の周囲状況を考慮する走行アシストシステムでは、例えば、駐車時に自動車のドライバをアシストするシステムでは、または前を走行する車両に対して十分に大きい間隔を維持するのに使用されるシステムでは、周囲状況を良好に検出する必要がある。周囲状況の検出は、例えば、駐車過程をアシストするシステムにおいて超音波センサによって行われる。殊に車両の周囲の比較的広い領域を観察しようとする場合にはレーダセンタまたはカメラも使用される。
【0003】
ドライバを空き駐車スペースに誘導する駐車アシストシステムは、例えばDE-A 10 2004 047484から公知であり、またはEP-A 1 270 367からも公知である。このような駐車アシストシステムでは、まず通過走行中に空き駐車スペースが測定され、続いてドライバが指示によってこの空き駐車スペースに導かれる。ここでは空き駐車スペースへの誘導は受動的な形態で行うことができるか、または能動的な形態で行うこともでき、受動的な形態ではドライバに操舵角設定または発進命令または停止命令が通知されてドライバはこれを得るのであり、また能動的な形態では、発進設定および停止設定だけを受け取るが、操舵は、操舵アクチュエータを介して自動的に行われるのである。ここでは、使用される駐車アシストシステムにより、現在位置から出発してこの車両を空き駐車スペースに誘導できるか否かまたはそれがどのようにして可能になるかが決定され、また駐車過程に対する停止位置も決定される。
【0004】
駐車中には一般的に車両のバンパに配置される間隔測定センサにより、周囲状況が監視される。検出すべき対象体との間隔はドライバに示すことができ、このドライバは周囲にある対象体との差し迫った衝突について警告される。上記の駐車アシストシステムにバックカメラが含まれている場合、ビデオカメラにより、車両の後ろ側領域についての情報もドライバに通知される。駐車過程時の加速度および減速度についての制御は、公知のシステムではドライバによって行われる。アクセルペダルの位置により、駐車速度が決定され、駐車過程の停止位置に到達する少し前にドライバに要求されるのは、この車両を制動して停止させることである。このようなシステムではドライバは、全駐車過程中いつでも、長手方向の誘導についてすなわち前進ないしは後退運動について全責任を負っている。このことにより、例えば、駐車中の予測されない状況において、例えば前には識別されなかった障害物が突然出現した場合、ドライバは自分で、この状況によって発生した未知の制動過程の責任を負うことになるのである。
【0005】
駐車アシストシステムの最新の展開では、駆動部および/またはブレーキに自動的に介入することによって上記の長手方向の誘導も担当しようとしている。このようなシステムにおいて基本的に重要であるのは、車両と衝突し得る対象体を適時に検出して、自動的に導入される制動過程により、差し迫った衝突を阻止することである。
【0006】
発明の開示
発明の利点
車両の周囲にある対象体をセンサによって検出する、本発明による車両の周囲状況を表す方法では、それぞれ検出した対象体を2つの座標点と、各座標点に割り当てられている位置曖昧さとによって表す。ここでこれらの座標点および位置曖昧さをデータとしてインタフェースに記憶し、このインタフェースには車両の走行アシストシステムによってアクセスすることができる。本発明による方法の利点は、上記の求めたデータは一度だけ検出すればよく、また殊に車両に存在する走行アシストシステムによって使用可能である。上記のデータを走行アシストシステムによって使用できるようにするため、一般的な対象体インタフェースが必要であり、この対象体インタフェースによって対象体の特性が表される。走行アシストシステムにとって殊に重要であるのは、車両の周りの、対象体がない空き領域を識別することである。ふつう対象体の正確な形状についての知識は不要である。このような理由からふつう十分であるのは、1つの線分によって接続することの可能な2つの点によって1つの対象体を表すことである。この場合、2つの点によってマーキングされる線分は、対象体によって定められる、上記の空き領域の境界を表すのである。
【0007】
上記の求めたデータを走行アシストシステムで使用できるようにするため、有利であるのはさらに、上記の検出した対象体が点状であるか否か、または上記の座標点によって線分がマーキングされるか否かを、別の要素として上記のインタフェースに記憶することである。上記の座標点によって線分がマーキングされる場合にさらに有利であるのは、上記の点がそれぞれ線分の実際の端点を表すか否か、ひいては検出した対象体のコーナ点を表すか否かを付加的に定義する場合である。
【0008】
一般的には2次元的な表現で十分であり、かつ対象体の高さは、走行アシストシステムにおける使用については機能しないため、有利には上記の点を2次元のデカルト座標系で表す。このデカルト座標系の原点として、例えば後車軸の中心点を使用する。しかしながら車両を基準にして明瞭に定義される別の任意の点を上記の座標系の原点として使用することも可能である。上記のデカルト座標系の横軸および縦軸はふつう互いに直角に配置される。上記の横軸は、任意の方向を向くことができる。しかしながら上記の横軸が走行方向に配向されると有利である。上記の座標系の原点として後車軸の中心点を使用する場合、縦軸は、後車軸に沿った横軸に対して垂直方向に配向される。
【0009】
上記のインタフェースを介して対象体を識別できるようにするため、有利にはつぎのデータをこのインタフェースに記憶する。すなわち、
− 対象体の識別番号
− 対象体の第1点の横座標位置
− 第1点の縦座標位置
− 第1点の横座標位置の曖昧さ
− 第1点の縦座標位置の曖昧さ
− 対象体の第2点の横座標位置
− 第2点の縦座標位置
− 第2点の縦座標位置の曖昧さ
− 第2点の縦座標位置の曖昧さ
− 対象体のタイプ定義
【0010】
上記の対象体のタイプ定義として指定されるのは、対象体が点状の対象体であるか、または車両周囲における線分の境界になっている対象体であるか否かである。タイプ定義として付加的に指定できるのは、対象体が、有効でない対象体であるか否かである。この対象体が点状である場合、第1点の座標と、第2点の座標とは同じである。これは、例えば円いポールの場合である。
【0011】
座標の異なる2つの点が検出されるが、この対象体の実際のサイズが識別されない場合、第1点および第2点により、検出された線分が表されるが、これらの点は、この対象体のコーナ点を示さない。すなわちこの対象体は、上記の線分に沿って上記の点を超えて延び得るのである。発生し得る別の1つのタイプでは、対象体の一方の端部だけが検出される。この対象体の検出した端部は、第1点によって定義される。第2点により、検出した線分の端部が表され、この対象体は、第2点を超えてさらに延び得るのである。別の対象体タイプとして、この対象体の実際のサイズを検出する。これらの対象体端部は、第1点および第2点によって表される。上記の対象体タイプを指定することにより、上記のインタフェースのデータを使用する走行アシストシステムに通知されるのは、対象体の実際の長さまたは幅がどの程度検出されたか、またはこの対象体が、検出した点を超えて延びることができるか否かである。
【0012】
車両と対象物との衝突確率を求める本発明による方法にはつぎのステップが含まれている。すなわち、
(a) 車両の周囲を表すステップと
(b) 上記の車両が通過するチューブ状走行パス(Fahrschlauch)を求めるステップと、
(c) 位置曖昧さを考慮して上記の対象体とチューブ状走行パスとの重なり度を求め、ひいては上記の衝突確率を求めるステップとを有する。
【0013】
上記の車両の周囲状況を表すため、この車両の周囲にある対象体をセンサによって検出してそれぞれ検出した対象体を2つの座標点と、各座標点に割り当てられている位置曖昧さとによって表す。ここでこれらの座標点および位置曖昧さをデータとしてインタフェースに記憶し、このインタフェースには車両の走行アシストシステムがアクセスすることができる。
【0014】
上記の衝突確率を求めることによって可能になるのは、走行アシストシステムが、例えば駐車過程を支援するための走行アシストシステムが、衝突の危険がある場合に自動でこの車両を停止させることである。これにより、駐車アシストシステムにより、この車両を自律的に誘導することができる。
【0015】
駐車アシストシステムにおける使用の他に、例えば、自動車のドライバ用にインテリジェントな車両ディスプレイを実現することができる。これは、例えば検出した対象体と、可能な走行コースとをディスプレイにおいて鳥瞰図でドライバに表示し、潜在的な衝突状況をカラーで強調することによって行われる。さらに例えば、操車過程中に側方を保護することも考えられ、ここでこれは、検出した周囲対象体を追跡することにより、ドライバに警告を伝えることによって行われる。これが行われるのは、センサシステムの視野外にある対象体と、車両とが衝突しそうな場合であり、これは、例えばコーナを回ってタイトすぎる操車を行う場合に起こり得る。
【0016】
上記のインタフェースに記憶される上で説明したデータの他に(殊に駐車アシストシステムを使用する際に)有利であるのはさらに、上記の検出した対象体の運動状態を付加的に上記のインタフェースに記憶する場合である。上記の対象体の運動状態を記憶することにより、例えば、車両の運動を考慮して、考えられる衝突時点を予測することができ、ひいてはドライバに適時に警告を出力することができる。完全自動システムでは上記の車両を適時に停止させることも可能である。上記の対象体が横切るか対象体を離れ、したがってこの運動によって上記のチューブ状走行パスから再び遠ざかる場合、不要な警告をストップさせることができる。
【0017】
上記のチューブ状走行パスの側方の境界部は、すなわち、通過時に車両によってカバーされる領域の側方の境界部はふつう、曲線外側の前方の車両コーナのパスと、後車軸の高さにおける曲線内側の車両側面の軌道とによって決定される。これらの点は、車両が通過する面の最も外側の境界部を形成するため、これらの点が、上記のチューブ状走行パスの境界を定めるために使用される場合、車両の運動中、この車両の領域が、チューブ状走行パスの外に出ることはないのである。
【0018】
座標点の位置曖昧さは有利には、この座標点を中心としたガウス分布によって表される。このガウス分布の最大値は、この座標点上の高さ位置にある。位置曖昧さを求めるために上記のようなガウス分布を仮定することにより、例えば、座標点を検出する際の測定精度を考慮する。
【0019】
上記の対象体を表す2つの座標点が、チューブ状走行パスの同じ側にある場合、このチューブ状走行パスに近い方の対象体の座標点だけを使用して重なり度を決定するので十分である。これによって計算時間を節約することができ、衝突確率を高速に求めることができる。上記のチューブ状走行パスに近い方の座標点を使用するだけで十分である。それは、このチューブ状走行パスからの距離が増大するのに伴って衝突確率が小さくなるからである。またチューブ状走行パスに近い方の座標点は、チューブ状走行パスに対して最も密接した、対象体の点を表すのである。
【0020】
さらに上記の計算時間を低減し、ひいては衝突確率を一層簡単に求められるようにするために十分であるのは、上記の対象体の座標点の縦座標だけを考察して上記の重なり度合いを求めることである。縦座標だけを使用することの利点は、交わる面を求める必要がなく、チューブ状走行パスの縁部に交わる位置曖昧さの部分だけを縦軸方向に求めればよいことである。
【0021】
上記の対象体の座標点が、チューブ状走行パスの異なる側にあるか、または1つの座標点がチューブ状走行パス内にある場合、100%の衝突確率を仮定する。この100%の衝突確率は仮定できるのは、座標点の位置が異なる側にある場合にはこれらの座標点によって表される対象体は、チューブ状走行パスを横断するように位置しているからである。ただ1つの座標点だけが上記のチューブ状走行パス内にある場合であっても、この対象体の少なくとも1部分はチューブ状走行パス内にあるため、車両が制動されずに走行すれば、確実に衝突に至る。
【0022】
2つの座標点がチューブ状走行パス外にあるが、位置曖昧さとの交わりが検出された場合、有利には衝突確率が少なくとも30%の場合、対象体の位置に到達するこの車両を停止させる。
【0023】
上記の衝突確率は、例えば、チューブ状走行パス内における位置曖昧さのy成分と、y方向の位置曖昧さ全体とを関連させることによって求めることができる。この場合にこのようにして商を求めることによって上記の衝突確率が得られる。
【0024】
ここでは基本的に、上記の座標点がチューブ状走行パス外の一方の側にある場合には衝突確率が50%以下であり、また座標点のうちの1つがチューブ状走行パス内にある場合には衝突確率が50%以上であるとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】複数の軌道計画点から構成される、対象体を迂回するためのコース軌跡を示す図である。
【図2】先行して行われた軌道計画のない走行軌跡を示す図である。
【図3】チューブ状走行パスと、2つの座標点によって特徴付けられる対象体とを示す図である。
【図4】縦軸方向における座標点の位置曖昧さと、チューブ状走行パスとの交わりを示す略図である。
【図5】チューブ状走行パス内にこれを横切る対象体を有するチューブ状走行パスを示す図である。
【0026】
本発明の実施例を図示し、以下に詳細に説明する。
【0027】
本発明の実施例
図1には、複数の軌道計画点から構成される、対象体を迂回するためのコース軌跡が示されている。
【0028】
複数の軌道計画点1から構成されるコース軌跡3は、例えば誘導式の駐車過程に使用され、この駐車過程の前に、相応する軌道計画が行われる。このためにまず適当な空き駐車スペースが測定され、このように測定したデータから、上記の軌道計画点1を介してコース軌跡3が計算される。コース軌跡3はふつう軌道であり、後車軸の中心点がこの軌道を通る。コース軌跡3を特徴付ける軌道計画点1は、例えば、等間隔でコース軌跡3に配置することができる。しかしながら択一的には、軌道計画点1の間隔が、コース軌跡3の軌道の湾曲に依存することも可能である。例えば、1つの領域において軌道の湾曲が大きければ大きいほど、軌道計画点1の間隔はそれだけ小さくなる。個々の軌道計画点1は、線分によって互いに接続することができる。しかしながら択一的には、複数のコルニュ螺旋区分により、上記の軌道計画点をコース軌跡3にまとめることも可能である。コルニュ螺旋区分を使用することの利点は、個々の軌道計画点1において折り曲がり点が発生せず、滑らかな曲線が形成されることである。線分によって軌道計画点を接続するこの利点は、コルニュ螺旋区分を使用するのに比べて計算が容易になることである。個々の軌道計画点1は、デカルト座標系における座標によって表される。この座標系は、有利には図1に示したように、この座標系の原点が車両5の後車軸の中心点になるように位置合わせされる。この座標系において横軸7を文字xで、また縦軸9を文字yで示す。
【0029】
周囲状況を識別するため、ここに図示していない複数のセンサが車両5に取り付けられている。これらのセンサにより、車両の周囲状況を検出することができる。ふつうこれらのセンサは、車両5の前方および後方のバンパに配置される。使用されるセンサはふつう、例えば超音波センサまたはレーダセンサである。例えば、カメラを使用して対象体を検出することも可能である。これらのセンサによって対象体が検出されると、この対象体は、第1座標点11と第2座標点13とによって表される。場合によっては発生する測定の不正確さは、図1において各座標点11,13の周りの矩形によって示した位置曖昧さ15を指定することによって表される。第1座標点11と第2座標点13とを互いに接続する線分17は、検出される対象体に得られる境界線を表している。この対象体の正確な幾何学形状を求めることはない。第1座標点11と第2座標点13とが両端をなしている線分17は、識別される対象体と車両5との最も近い境界を表している。
【0030】
本発明では、第1座標点11と、第2座標点13と、これらの座標点11および13に対する位置曖昧さ15とをインタフェースに記憶する。このインタフェースには、車両アシスタンスシステムがアクセスすることができる。これにより、例えば図1に示した、上記の検出した対象体を迂回するコース軌跡3を計算することができる。駐車アシストシステムの他に、この車両に設けられている別の任意のアシストシステムにも上記のデータを供給することが可能である。これにより、車両アシストシステム毎に別個の測定を実行する必要はなくなり、すべての車両アシストシステムは、一回だけ求めたデータにアクセスすることができる。
【0031】
図2には、軌道計画が行われる前の走行軌跡が示されている。相応の車両アシストシステムによってコース軌跡3を計算して所定の目標に到達する図1とは異なり、軌道計画がない場合、例えば相応する駐車アシストシステムを使用せずにドライバが自分で空き駐車スペースに駐車する場合、走行軌跡は、例えば、実際の車両運動状態によって求められる。したがってコース軌跡3として、例えば、実際のステアリングアングルによって得られる目下走行中の円軌道19を使用する。この際に円軌道19は、中心点21の周りに引かれる。中心点21は、車両5の後車軸の高さにある。
【0032】
図3にはチューブ状走行パスと、2つの座標点によって特徴付けられる対象体とが示されている。
【0033】
車両5と対象体との衝突は、この対象体がコース軌跡3上にある場合だけではなく、この対象体の複数の部分が、車両5の通過時にカバーされるチューブ状走行パス23にある場合にも発生する。チューブ状走行パス23の側方の境界部25は、曲線外側の車の前方コーナ27の軌道と、後車軸31上の曲線内側の車両側面29とによって得られる。
【0034】
ここでは所定の対象体に対する衝突確率の尺度として、対象体位置とチューブ状走行パス23との、位置曖昧さを考慮した重なり度を使用することができる。位置曖昧さ15は、各座標点11,13に対する横軸方向における線分33と、縦軸方向における線分35とによって示される。位置曖昧さ15を表す横軸方向33ないしは縦軸方向35における線分の長さは、たとえは、車両に対する点の位置に依存している。
【0035】
対象体と、チューブ状走行パス23との距離が小さくなるのに伴って上記の衝突確率は増大するため、この衝突確率を求めるためには、チューブ状走行パス23に対してないしはコース軌跡3に対して間隔が小さい方の座標点13だけをベースにすれば十分である。図4には、チューブ状走行パス23と、縦軸方向における座標点の位置曖昧さと交わりが略図されている。図4に示した座標点は、コース軌跡3に近い方の座標点をマーキングする図2の第2座標点13に相応する。チューブ状走行パス23の側方境界部25は、図4においても破線によって示されている。
【0036】
衝突確率を求めるために縦軸方向における重なり度だけを求める場合、さらなる簡略化が可能である。この場合、交わった面を求めるのではなく、チューブ状走行パス23の側方境界部25と交わる、縦軸方向の位置曖昧さの部分を求める。ここでこの部分は線分35によって示されている。この位置曖昧さは、ガウス分布37の形状とすることができる。ガウス分布37の最大値は、座標点13の高さによって得られる。座標点13から遠ざかるのにつれてガウス分布37の値は減少する。上記の衝突確率を計算する際にこのことが意味するのは、座標点13からチューブ状走行パス23が遠ざかるのにつれて衝突確率も同様に減少することである。
【0037】
座標点13がチューブ状走行パス23の外側にある場合、ガウス分布状の位置曖昧さを考慮すると、衝突確率は50%以下になり、また座標点13の位置がチューブ状走行パス内にある場合には衝突確率は50%以上になる。
【0038】
図5には特殊なケースが示されている。ここでは対象体は、チューブ状走行パス内でこれを横切っており、座標点はそれぞれチューブ状走行パスの別々の側にある。
【0039】
この場合に衝突確率を求めるために可能であるのは、2つの座標点11,13の位置曖昧さを評価することである。位置曖昧さ15はここでもガウス分布37とする。関連する尺度として求めることができるのは、どのような確率で第2座標点13が、第1座標点11とは反対側のチューブ状走行パス23の半部の外側にあり得るかである。
【0040】
第1座標点11と第2座標点13とが、チューブ状走行パスの反対側にある場合について一般的に前提とすることができるのは、座標点11,13によって特徴付けられる対象体がチューブ状走行パス23を横切っているため、上記の衝突確率が100%になると仮定することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(5)の周囲にある対象体をセンサによって検出する、当該車両(5)の周囲状況を表す方法おいて、
2つの座標点(11,13)と、各座標点(11,13)に割り当てられた位置曖昧さ(15)とにより、それぞれ検出した対象体を表し、
前記2つの座標点(11,13)および位置曖昧さ(15)をインタフェースにデータとして記憶し、
当該インタフェースに前記車両(5)の走行アシストシステムがアクセス可能であることを特徴とする、
車両(5)の周囲状況を表す方法。
【請求項2】
前記検出した対象体が点状であるか否か、または前記2つの座標点(11,13)により、線分(17)がマーキングされるか否かを前記インタフェースに別の要素として記憶する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記2つの座標点(11,13)によって線分をマーキングする際、当該2つの座標点(11,13)によって、それぞれ前記線分(17)の実際の端部が表されるか否かを付加的に定義する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
基準座標系として前記後車軸の中心点を原点とするデカルト座標系を使用する、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記横軸(7)は走行方向に配向されており、
前記縦軸(9)は横軸に対して垂直かつ前記後車軸に沿って配向されている、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
車両(5)と対象体との衝突確率を求める方法において、
該方法には、
(a) 請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法を使用して前記車両(5)の周囲状況を表すステップと、
(b) 前記車両(5)が通過するチューブ状走行パス(2)を求めるステップと、
(c) 前記位置曖昧さ(15)を考慮して前記対象体とチューブ状走行パス(23)との重なり度を求め、前記衝突確率を求めることを特徴とする、
車両(5)と対象体との衝突確率を求める方法。
【請求項7】
曲線外側の前方の車両コーナ(27)のパスと、曲線内側の前記後車軸(31)の高さにおける車両側面(29)の軌道とにより、前記チューブ状走行パス(23)の側方境界部(25)を求める、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記座標点(11,13)の周りのガウス分布(37)によって前記位置曖昧さ(15)を表す、
請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記対象体を表す2つの座標点(11,13)がチューブ状走行パス(23)の同じ側にある場合、当該のチューブ状走行パス(23)の近い方の前記対象体の座標点(13)だけを使用する、
請求項6から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記重なり度を求めるため、前記対象体の座標点(11,13)の縦座標だけを考察する、
請求項6から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象体の2つの座標点(11,13)がチューブ状走行パス(23)の異なる側にあるか、または座標点(11,13)がチューブ状走行パス(23)内にある場合、衝突確率を100%とする、
請求項6から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
衝突確率が少なくとも30%の場合、前記対象体の位置に到達する前に前記車両(5)を停止させる、
請求項6から12までのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−506893(P2013−506893A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531296(P2012−531296)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061852
【国際公開番号】WO2011/038978
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】